ロイハボ

=ハボロイ  =ロイハボ
=カプ色あり  =カプなし

2014年08月20日(水)
黒スグリ姫9
2014年07月01日(火)
黒スグリ姫8
2014年06月08日(日)
下剋上?
2014年06月04日(水)
黒スグリ姫7
2014年05月12日(月)
久遠の風1
2014年05月07日(水)
黒スグリ姫6
2014年04月30日(水)
黒スグリ姫5
2014年04月26日(土)
黒スグリ姫4
2014年04月11日(金)
黒スグリ姫3
2014年04月07日(月)
黒スグリ姫2

カテゴリー一覧
カプなし(303)
ハボロイ(32)
ロイハボ(101)
カプ色あり(61)
その他(16)

黒スグリ姫9
ロイハボ風味

「なんかちっこいのが来てるぜ?」
「えっ?」
 講義が終わってテキストを重ねて席を立ったロイは、ポンと肩を叩いて言った友人の声に視線を教室の外に向ける。そうすれば、女子大生に囲まれてオロオロするハボックの姿が見えて、ロイは慌てて教室から出た。
「中等部なんだー、何年生?」
「さ、三年っス」
「いや〜ん、お肌スベスベ〜っ」
「うそうそ、私にも触らせてっ!……やーん、ホントだ〜!」
「ちょ……っ、あ、あのッ」
「ねぇキミ、お姉さんとデートしない?」
「エッ?!いや、そのっ、オレっ」
「カワイイ〜ッ!照れてるッ!」
 女子大生三人に囲まれて、困っていると言うより怯えているハボックの様子にロイはやれやれとため息をつく。早足で近づくとキャアキャアと盛り上がる女子大生の肩を叩いた。
「その辺にしてやってくれないか?」
「マスタングくんっ?」
「その子、マスタングくんの知ってる子?」
「おいで、ハボック」
 ロイは質問に笑みだけ返してハボックの手首を掴んで歩き出す。キャアキャアと騒ぐ女子大生を置き去りに廊下を歩くと扉から外へと出た。
「大丈夫だったか?」
「び、びっくりしたぁ……」
 足を止めてハボックを振り向けば、ハボックが大きなため息と共に言う。
「クラスの女子も結構ウルサイけど、迫力が違うって言うか……なんか甘ったるい匂いするし……。先輩来なかったらもう少しで逃げちゃうとこだったっス」
 心底ホッとしたような様子で言うハボックにロイはクスリと笑って金髪をくしゃりと掻き混ぜた。
「それで?わざわざこっちまで来たのは何か用があったんだろう?」
「あっ、はい!」
 金髪を掻き混ぜられて擽ったそうに首を竦めたハボックは、ロイの言葉にポケットから封筒を取り出す。中からチケットを引っ張り出してロイに差し出した。
「先輩、一緒にプール行きませんか?チケット貰ったから」
「プール?いいぞ、いつだ?」
「え、えっと……明日までなんスけど……」
「明日?明日は――――」
 明日はゼミの教授が主宰を務める講演会がある。困ったなと思ったのが顔に出たのだろう。ハボックが慌てたように手を顔の前で振った。
「あ、いいです!そっスよね、予定あるっスよね。いいっス、全然気にしないで下さい!」
 じゃあ、とチケットを封筒に突っ込んでハボックは逃げるように立ち去ろうとする。ロイは咄嗟に手を伸ばしてハボックの腕を掴んだ。
「待て!行かないとは言ってないだろう!」
「でも予定あるんしょ?」
 言って上目遣いにみつめてくる空色にロイは答えた。
「お前とのデートに勝る予定なんてないよ」
「でも」
「一緒にプールに行こう。毎日暑くて堪らないからな、嬉しいよ」
 そう言ってにっこりと笑えば漸くハボックも笑みを浮かべる。
「ありがとう、先輩!すっげぇ嬉しい!」
 ギュッと抱きついてくるハボックをロイは抱き返す。見上げてくる空色を見つめ返して顔を寄せれば、キスしようとした唇から零れた言葉にロイは思い切り顔をしかめた。
「先輩に断られたらヒューズ先輩を誘おうと思ってたんスけど、よかった。ヒューズ先輩、今日は実験の後バイトで捕まるか判んなかったし」
「――――ちょっと待て!どうして私が行けなかったらヒューズを誘うんだっ?」
「え?だってチケット二枚しかないし、友達誘うと誰を誘うかで揉めそうだし」
 だからと言うハボックにロイは頭痛がする。不思議そうに見上げてくるハボックにロイはこめかみを押さえて言った。
「明日は何があっても絶対行くから!絶対にヒューズを誘ったりするんじゃないぞッ」
「はい!……つか、先輩、どうかしたんスか?」
 ロイの心配などまるで判っていないハボックにため息を零して。
「――――なんでもない。明日、約束だからな」
 言ってハボックの唇に己のそれをそっと重ねたロイだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、本当に励みになります、嬉しいですvv

ちょっと間が開きました、「黒スグリ姫」ですー。折角の夏なのに!書くの忘れてたよ!(爆)とりあえずプールに行こうかと……でも最近プールなんて行ってないからどんななってんのかよく判らなかったりするんですが(苦笑)

以下、拍手お返事です。

だんだん鋼のHPが減る中  の方

いつも遊びに来て下さってありがとうございますvvおお、ヒュハボも読んで頂けましたか!ハボック、カワイイですか?えへへ、嬉しいですvところで、全部読めないと言うのはどこかリンク切れとかしていると言う意味でしょうか?時々リンク切れになってしまう時があるので、もしそうでしたら場所を教えて頂ければ助かります!これからも頑張って書いていきますので、どうぞお付き合いお願いしますねv

なおさま

お盆、そうそう、絶対仕事中に悪さしそうですよね!(笑)ロイ、焔で除霊ですか?メチャクチャ傍迷惑ですね(爆)迎え火、送り火で花火!きっとご先祖さまも一緒に楽しんでいた事でしょう(笑)風、あはは、頭の遥か片隅にありましたか?うわあ、なおさまってば!先読みズバリすぎっスよ!(爆)でも、この展開だとそれしかないですよねーっ(コラ)

阿修羅さま

お盆もあちこちお墓参りに行くと慌ただしいですね。私は今年初盆の叔父にお線香を上げる為近所の親戚の家に行ったら、叔母から何やらインナーやらポーチやら貰ってきました。インナー、叔母とお揃い(爆)久しぶりに嫁の気持ちを味わってきました(苦笑)「お盆」読んで下さってありがとうございますvえええ、阿修羅さま、見える体質なんですかッ?私は物凄い小心者なのでその手の話は全くダメですんでッ!!(ビビりまくり)おおう、そろそろ再開されるのですか?お忙しいでしょうがお体お気をつけて頑張って下さいね!

おぎわらはぎりさま

どうもあまりリクに添えずすみません。男三人浴衣姿で夕涼みですか…それはどなたか絵師さまに描いて頂きたいですね〜(笑)

久遠の空すごく切なくなりました……!  の方

うわあ、ありがとうございます!!そう言って頂けてとっても嬉しいですvvこちらこそ読んで下さってありがとうございます。これからも楽しんで頂けるよう頑張りますねvv
2014年08月20日(水)   No.410 (ロイハボ)

黒スグリ姫8
ロイハボ風味

 開演を告げるブザーが鳴って劇場の灯りが落とされる。真っ暗になるこの一瞬がハボックは嫌いで、無意識に息を詰めた。予告編の上映が始まり場内が画面の光で薄明るくなってハボックが詰めた息をため息にして吐き出せば、隣に座っていたロイがハボックを見て言った。
「どうした?」
「えっ?あ……いえ、なんでもないっス」
 聞かれてハボックは小声で答えて首を振る。薄暗い中でも不満が見て取れる黒曜石にハボックは恥ずかしそうに俯いた。
「オレ、あの真っ暗になる瞬間が苦手で……子供みたいっしょ?」
 ロイから見ればまだ十分に子供の部類であるハボックがそんな事を言うのに、ロイは笑いを零しそうになって慌てて顔を引き締める。
「そんな事ないさ。誰にだって苦手なものはある」
 言えば安心したように笑みを浮かべるハボックの手をロイは伸ばした己のそれでそっと握った。
「マスタング先輩っ?」
 「こうしてたら怖くないだろう?」
 顔を覗き込むようにして言えば、ハボックが「ええと」と口ごもる。
「でもこれだとポップコーンが食べられないっつうかっ」
 恥ずかしいというのかと思えば思いもしない答えが返ってきて、ロイはプッと吹き出した。
「お前……っ」
「ごっ、ごめんなさいっ」
 クスクスと笑うロイに、ハボックが慌てて言う。そんなハボックと繋いだ手を離してポンポンとハボックの腕を叩いてロイは言った。
「怖くなったらいつでもしがみついてきていいからな」
「もうっ、先輩ってば!」
悪戯っぽく囁かれてハボックは紅い顔でロイを睨む。恥ずかしいのを誤魔化すようにメロンソーダをズズッと啜った時、丁度予告編が終わって本編の上映が始まった。
 上映が始まればハボックは銀幕に映し出される幻想的な光景に目を奪われ引き込まれる。ワクワクしながら画面を見つめたまま隣の席との間に置いたポップコーンに手を伸ばせば反対から伸びてきた手とぶつかって、ハボックは慌てて手を引っ込めた。
「ごっ、ごめんなさいっ」
「いや、気にするな。どんどん食べていいぞ」
「は、はい」
 言われてハボックはポップコーンを摘まんで口に運ぶ。首を竦めてモグモグと口を動かした。
(先輩と一緒なんだから気をつけなきゃっ)
 そう思いながらチラリとロイを見れば目があう。何だか急に恥ずかしくなって俯けばロイが言った。
「食べさせてやろうか?ずっと画面みていられるぞ」
「先輩っ、映画見てッ!」
 からかう言葉にハボックは顔を真っ赤にして言う。ポップコーンの容器に手を突っ込み握れるだけ握って手元にポップコーンを引き寄せると、ボリボリと物凄い勢いで頬張りながら画面を睨んだ。
(もうっ、先輩ってば!気になっちゃって映画に集中出来ないよっ)
 低く笑う声と頬に感じる視線にハボックは心の中で叫ぶ。だがものの五分もしないうちに、再びハボックは映画の世界に引き込まれてロイの事など忘れてしまっていた。
(まだまだ子供だな)
 そんなハボックの横顔を横目で見つめてロイは思う。広がる美しい世界に心奪われて、空色の瞳を見開き口を薄く開いて身を乗り出すように空想の世界にのめり込んでいるハボックに、ロイは笑みを深めた。
(可愛い)
 映画館でのデートは数え切れない程こなしてきたが、大抵隣に座った女の子は映画よりもロイの事ばかり気にしていて、こんな風にロイの方が隣の席を気にするなんて事は皆無だった。それは新鮮でもあり、ほんの少し淋しいような悔しいような、そんな不思議な感覚をロイの中に呼び覚ます。
(今度この監督のブルーレイを借りて部屋で一緒に部屋で見よう)
 そんな事を考えながらハボックを夢中にする映画の世界に視線を戻すロイだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、嬉しいですvv

「姫ハボ」です。先輩、チューしなかったよ!(爆)きっと次回はその分チューするかと思います(笑)

それから今日の更新ですが、多分ロイハボだけになるかと…。ハボロイまだ手つかずなんだもん。どうも周りがロイハボもしくはハボ受け派な方が多いので、ハボロイは毎回頑張らなくてもいいかなーとか思ってしまう今日この頃(苦笑)ゲームやりたいってのもあるんですが。やっとエスロジ、2周目だよ〜。ずっと放置してたからなー。そろそろシャリーが出てしまう(苦)そういやアニメのエスロジはサイアクでしたね。目鼻のずれたアニメなんて今時見たことないよ(怒)こんなのでBD出すのかと思っていたら、特典がシャリーで使えるコードとベルちゃんの小説だって!うわぁ、信じらんない!いやもう、流石に買わないけどね…。もしまたシャリーをアニメ化することがあったら今度はもうちょっとまともに作って欲しいなぁと思いつつ、夏アニメの予約を始めたり。とりあえず「東京喰種」と「野崎くん」と「ドラマティカルマーダー」と「Re:ハマトラ」と「新編集版サイコパス」辺りを見てみようかな―と思っています。「野崎くん」声がいいといいなぁ……。

以下、拍手お返事です。

なおさま

金緑石「うちのヒュハボは鬼畜がデフォ」をまんまいってる気がしますが…好きなもんで、すみません(苦笑)ヒュハボサイトさま、おお、見られてよかったですvセレスタ、えへへ、ドキドキして頂けましたか、嬉しいですーvちょっぴり成長しましたかね、ハボック(笑)今年は冷夏なのかと思っていたら結局普通通りなのねと夏の予報を見ていてがっくりきました。既にエアコン使いまくりですよ。夏になったらどうするんだ(苦)なおさまもお体気をつけてお過ごしくださいねv

おぎわらはぎりさま

金緑石、うふふ、萌えて頂けて嬉しいですーvこれからも愛あるイジメで頑張りますよvお盆ネタ!それ、いいですね!書きたいなぁ、書けるかなぁ……考えてみよう。それから、例のネタですが、すみません、まだ全然書き進んでませんorz ギャグ、苦手なもんで(苦)気長〜に待って頂けると助かります(汗)風邪、大丈夫ですかッ?!呼吸困難って相当ですよっ、本当にお体大切になさってくださいね!

お気に入りのデータが  の方

わあ、それは大変でしたね!拙宅を覚えていて下さり遊びに来て下さって嬉しいですv相変わらずチマチマと書き綴っております。これからも頑張りますので、どうぞまたお越し下さいねvv
2014年07月01日(火)   No.403 (ロイハボ)

下剋上?
CP:ロイハボ(R18)

「よう、少尉。一緒にメシどうよ?」
 演習が延びて昼休みに食い込んでしまい、司令室に帰ってみればもう同僚たちは昼食に出た後だった。一人で食べに出るのも億劫でどうしようかと思っていたハボックが聞こえた声に振り向くと、セントラルから出張で来ていたヒューズがドアのところに立っていた。
「中佐?あれ?大佐と一緒じゃないんスか?」
 てっきり上司と一緒だとばかり思っていたと言うハボックにヒューズが肩を竦める。
「会議が終わんなくてそのままメシ付きに変更だってよ。中尉も一緒だからフケらんなくてな」
「そりゃ気の毒に」
 逃げたくとも中尉に睨まれては逃げる事も出来ず、不味い弁当を食べているであろうロイの姿を想像してハボックはクスリと笑う。そういうことならとヒューズと連れだって司令部近くのレストランに行くと、一番奥のテーブルに向かい合って腰を下ろした。
「はあ……」
「どうしたよ、元気ねぇな」
 メニューも見ずに昼の定食を頼んだハボックが、背後の壁に凭れてため息をつくのを見てヒューズが言う。
「悩み事か?聞いてやるぜ、お兄ちゃんに言ってみ?」
「誰がお兄ちゃんっスか」
 ニヤリと笑って言うヒューズを胡散臭そうに見たハボックだったが、本気で悩んでいたのだろう、迷うように口を開いた。
「大佐の事なんスけど……」
「ロイ?なんだ、喧嘩でもしたのか?」
 ハボックがロイとつきあっていることはヒューズも知っている。最初は正直どうしてこの二人がと思ったが、二人の様子を見ていればいつしかこうなるべくしてこうなったのだと思えるようになり、今では二人のよき相談相手を自負しているほどだ。なかなか話そうとしないハボックにヒューズが促せば、ハボックが俯いてテーブルを見つめながら言った。
「えっと、その……もうすぐ六月八日なんスけどね」
「ああ、ロイがロイハボの日だとか騒いでるヤツな」
 ヒューズは言って苦笑する。日にちに語呂合わせしてまでラブラブぶりを発揮するとは、あのロイがなぁと思いつつ「それがどうかしたのか?」と尋ねた。
「ロイハボの日って事はっスねッ、つまりそのッオレが下って事っしょ?それって納得行かないつうかッ!」
 ハボックは顔を真っ赤にして言う。
「大佐のことは好きっスけど、オレだって男なんだし、いっ、挿れられるばっかより挿れたいっつうかッッ!!」
「なるほど。ジャン君が言いたいのはこのままだとまたロイハボの日記念とか浮かれたロイに突っ込まれてバコバコヤられちまう、でも、今年のロイハボの日は自分がヤりたい。ロイのもんを突っ込まれる前に自分がロイのケツに突っ込みたい────そう言う事だな?」
「そっ、そんな露骨に……ッ、い、いやまあそうなんスけど……」
 真面目な顔をしながらその実面白がってそんな風に言うヒューズに、ハボックは首まで真っ赤になりながらも頷く。羞恥のあまり目に涙まで滲ませているのを見て「こんなだからヤられるんだよなー」と内心思いつつ、ヒューズは腕を組んで考え込むふりをして言った。
「そうさなぁ、やっぱり最初が肝心じゃねぇ?」
「最初?もう今更遅いってことっスか?」
 一番最初にこういう関係になった時に押し倒されてしまったから、今になって受け攻めを変えるのは無理かという意味かと聞くハボックにヒューズはひらひらと手を振った。
「いや、そう言う意味じゃねぇ。当日、スルに当たっての最初が肝心だって言ってんだよ」
「と言うと?」
 ハボックがそう尋ねた時店員の女の子が皿を運んでくる。ギクリとしてひきつった笑みを浮かべながら店員が皿を並べてこちらの声が聞こえないところまで行くのを待って、ハボックはズイと顔を寄せて尋ねた。
「最初が肝心ってどうすりゃいいんスか?」
「ん?だからさ、最初に今日はこっちがヤるんだって意気込みを見せんのよ」
 ヒューズは運ばれてきた料理を早速口に運びながら答える。
「今日はオレが“挿れます”って言うんスか?」
 “挿れます”の部分を小声で言って尋ねてくるハボックに、ヒューズは「冷めるぞ」と言いながら食べ続けた。
「中佐っ、メシなんていいから!」
「メシ食いに来たんだろうが」
「ちゃんと方法を教えて貰わないと喉通らないっス」
「もう、ジャン君ってば仕方ない子ねぇ」
 言えばギロリと睨んでくる空色に、ヒューズは仕方ねぇなと水をゴクゴクと飲む。タンッとコップをテーブルに置いてハボックの方へ顔を寄せて言った。
「意気込み見せるにはやっぱ格好からだろ。セクシーで男らしい下着つけてだな、そんで襲っちまえ」
「ええッ?!」
 いきなりそんなことを言われて、ハボックは思わず大声を上げてしまった口を手で覆う。近くの客に睨まれて、ひきつった笑みを浮かべて頭を下げると、ハボックは乗り出すようにして言った。
「そんなこと言われてもそんなもん持ってねぇっスよ!」
「なんだよ、お前。エッチな下着の一枚も持ってねぇの?だらしねぇなぁ」
「そう言う中佐は持ってるんスかっ?」
「あったり前だろ?大人の常識よ」
 ニヤリと笑って言われれば、ハボックは顔を赤らめて黙り込む。そんなハボックにヒューズは「よし」と頷いた。
「いいだろう、それなら俺が用意してやるよ。少尉の幸せなロイハボの日のためだ。任せておけ」
「えっ?いいんスか?」
「おうよ。大船に乗った気で待ってな」
「はあ、じゃあお願いします」
 正直そんな下着などどこで買っていいかさえ判らない。ヒューズがそう言うならと頭を下げるハボックに頷きながら、内心楽しくて仕方ないヒューズだった。

 そして数日後。
「こっ、これわ……ッ」
 セントラルのヒューズから送られてきた包みを開けて、中から出てきたものにハボックは目を見開く。真っ赤になりながらも一緒に入っていた手紙を読めば、そこには自信満々これを着れば絶対今年はハボックが思うとおりのロイハボの日になると記してあった。
「こんなんで本当にうまく行くのか……?」
 ハボックは中に入っている下着を摘んで見つめる。
「うう……でも今年こそは逆転したいし……明日はこれを着てなんとかっ」
 ヒューズがこれが逆転に必須のアイテムと言うなら仕方ない。ハボックは下着をギュッと握り締めると今年こそはと堅く胸に誓った。

「今日もいよいよこの日が来たか!」
 ロイはウキウキとしながら大きな花丸が書かれたカレンダーを見る。今日はいよいよロイハボの日となれば、ロイは始業時間前から猛スピードで仕事を始めていた。
「残業なんて以ての外だからなッ!さっさと仕事を終えてハボックをお持ち帰りしてッ!」
 鼻の下をだらしなく伸ばしながらロイは仕事を進めていく。途中、ハボックの仕事の進み具合も確認してどんなに遅くともちゃんと定時には上がれるよう細心の注意を払っていたロイだったが、終業時間間際持ち込まれた書類の山に目を吊り上げた。
「なんだ、これはッ!今頃こんなもの持ってきても知らんぞッ!今日は大事な日なんだ、私は帰るからなッ!」
 バンッと机を叩いて立ち上がろうとしたロイは、目の前に立つホークアイにギクリとする。ホークアイは書類の山の上に手を置いて冷ややかに言った。
「たとえどんな理由があろうと、これが済むまで今日はお帰りにはなれません」
「いっ、いやっ、だがなっ、中尉ッ!」
「全部済ませてください、大佐」
 ズイと山を押し出され、ロイはウッと怯む。このホークアイを前にしては帰ることも出来ず情けなく眉を下げるロイに、ハボックが執務室の扉から顔を出して言った。
「大佐。オレ、先に帰って準備して待ってますから。だから、ね?仕事頑張って」
「ハボック……。判ったッ!すぐ済ませるッ!待っていなさいッッ!!」
 にっこりと笑うハボックに頷いてロイは猛然と書類に取りかかる。ハボックはホッと息を吐くと先にロイの家へと向かった。

「よかった、先に帰れて」
 ハボックは渡されていた鍵で家に入ると呟く。正直いつ着替えたものかと悩んでいたので、ロイが残業になったのは好都合だった。
 ハボックは二階の寝室へ行くと荷物の中から袋を取り出す。中身を覗いて「うー」と唸ったハボックだったが、意を決すると服を脱ぎ捨て袋の中身を取り出した。
「何度見ても恥ずかしい……」
 ハボックはそう呟きながら下着に足を通す。下着の紐を整えて、改めて下着をつけた下肢を見下ろし顔を赤らめた。
 ヒューズが送ってきたのは迷彩柄のジョグパンツだ。ウエストの部分は二センチほどの幅の黒いゴムになっており、その中央から前の部分に迷彩柄の三角の布地がついており股間を覆うようになっている。バックには生地はなくヒップの輪郭をなぞるように黒い紐がついていた。
「しかも透けんじゃん……」
 迷彩柄の布地はメッシュになっておりつけてみると思った以上に透ける。迷彩の柄を通して金色の恥毛と楔が透けて見え、バックに生地がなくスースーする事も相まって、ハボックは羞恥のあまり泣きたくなった。
「その上これつけろって」
 ハボックはもう一枚袋の中に入っていたものを取り出す。それは潜入用のコンバットベストにアレンジを加えたコンバットエプロンとでも言うものだった。
「これって男らしいの……?」
 正直いくつものポケットがついたベストの前部分に、フリルのついた肩紐がついているエプロンは男らしいというより恥ずかしいだけではないのだろうか。腰から下は動きやすいようにと前にスリットが入っているせいで、動くと下着が丸見えだ。こんなもので意気込みが伝わるのだろうかと甚だ疑問を感じつつ、ハボックはエプロンを身につけた。
「や、やっぱ恥ずかしくねぇ?」
 自分の格好を見てハボックは呟く。エプロンのポケットを覗けば小さなローターやジェルが幾つも入っているのを見て、ハボックはヒューズの手紙に書いてあったことを思い出した。
「まずは大佐を押し倒してコイツを挿れちまえって書いてあったけど」
 優しく口説きながら、まずは最初に挿れてしまえば後はじっくり蕩かして己のブツを突っ込めばいい。そんな風に指南する内容を思い出していると、ガチャリと玄関の鍵が開く音がした。
「帰ってきたッ!」
 飛び上がったハボックはどうしようとワタワタと寝室の中を見回す。寝室に続きの浴室に飛び込んだハボックは扉の陰で耳を澄ませた。

 猛スピードで書類を終わらせて帰ってきたロイは、玄関の扉を開けて中へ入る。灯る灯りがハボックが既に来ていることを告げていて、ロイはワクワクしながらリビングに入った。
「ハボック?どこだ?ただいま、待たせて悪かったな」
 そう言いながら見回すがハボックの姿はない。リビング、キッチンと覗いていないことを確かめると、ロイはヘラリと笑みを浮かべた。
「そうか、寝室か。ハボックのヤツ、待ちきれないってかッ」
 ムフムフと鼻の穴を膨らませて、ロイは二階へと向かう。寝室の前に立つと期待に胸を膨らませて扉を開けた。
「待たせたなッ、ハボック!────と、あれっ?」
 てっきりいるとばかり思っていたハボックの姿がないことに気づいて、ロイは寝室の中へと入る。どこにいるんだと思いながらベッドの側に立ったロイは、いきなり背後から押されてベッドに倒れ込んだ。
「うわッ」
「大佐……ッ」
ボ スンと俯きに倒れ込んで、ロイは肩越しにのしかかってくる相手を見上げる。そうすれば、なにやら怪しげなエプロンを身につけたハボックに、ロイは目を丸くした。
「たいさっ、今日はオレがシてあげるっスから!」
「えっ?────ええッ?どっ、どういうことだッ?」
 驚いてもがけば押さえ込もうとするハボックと揉み合いになる。なんとか仰向けになって見上げれば、自分にのし掛かるハボックの格好にロイは目を見開いた。
「ハボック……」
 普段潜入捜査の時に来ているコンバットベストに似たエプロンを素肌につけたハボックの、ロイを押さえ込む為に開いた足の間から覗く下着はミリタリー迷彩柄のメッシュ下着だ。迷彩柄の下から金色の毛と楔が覗く刺激的な格好に、ロイはゴクリと唾を飲み込んだ。
「オレがシてあげるから……じっとしてて」
 紅い顔でそう囁いたハボックがロイの服に手をかける。上着を脱がせシャツを脱がせると、ボトムの前を弛めたハボックが言った。
「腰、浮かせて……?」
「ああ……」
 ロイは言われるまま腰を浮かせてハボックが服を脱がせるのに手を貸す。服を全部脱がされて一糸纏わぬ姿になると、ロイはハボックに手を伸ばした。
「ダメ……」
 尻に触れればハボックがやんわりとその手を拒む。触れた尻には輪郭をなぞるように紐があるだけで生地がないことに気づいて、ロイは鼻の穴を膨らませた。
「たいさ……」
 囁くように呼んだ唇がロイのそれに押し当てられる。甘く鼻を鳴らしてのし掛かる体を抱き締めようとしたロイの手を押さえ込んだハボックが、ロイの唇から頬、顎、首へと唇を這わせた。
「ハボックっ」
「ダメ、今日はオレがスルの……」
 腕を離せと手をパタパタさせればハボックが言う。己を押さえ込んだハボックの薄色の唇が肌を這い回るのを、ロイは興奮して見下ろした。
(こんなに積極的に……ッ!ハボック、お前も今日を心待ちにしてくれていたんだなッ!)
 先に行って待っていると聞いた時からもしかしたらと期待はしていたが、まさかこれほどとは。
「ハボックッ!そろそろ……ッ」
 エロティックな下着の下のハボック自身も興奮を見せているのを見れば、ロイ自身もガチガチになってしまう。これ以上焦らされるのは堪らないと訴えれば、ハボックがコクンと頷いた。
「待って……」
 そう言ったハボックがコンバットベストのポケットに指先を入れる。そろそろとポケットから抜き出したハボックの指先に小さなローターが摘まれているのを見て、ロイの頭に血が上った。
「ハ、ハボックっ、お前……っ」
「今、スルから……」
 ハボックはそう言うと別のポケットからジェルのチューブを取り出す。ハボックがローターにジェルをぬらぬらと塗るのを目にして、ロイの頭に上ってきた血がカーッと一気にボルテージを上げボンッと爆発した。
「ハボックッッ!!」
「えっ?うわッッ!!」
 ロイはガバッと起き上がると己にのし掛かっていたハボックと体勢を入れ替えベッドに押さえつける。突然のことに反応出来ないでいるハボックの手からローターを取り上げ、ハボックの脚を大きく開いて押し上げた。
「ちょ……ッ?なん……嫌ッ!」
 慌てたハボックに抵抗する暇を与えず、ロイは剥き出しの白い双丘に手をかける。生地のない下着の紐をよけてジェルに塗れたローターを蕾に押し当て、グッと中に押し込んだ。
「やああッッ!!」
 ぬぷんと中に潜り込むローターにハボックが悲鳴を上げる。ローターから伸びる紐の先にあるスイッチを入れた瞬間、ハボックの体が跳ね上がった。
「ヒィィッッッ!!」
 小さいながらも激しく振動するローターにハボックが身悶える。ロイは手を伸ばしてベストのポケットを探ると中からコックリングを取り出した。
「こんなものまで用意して……そうか、判った、ハボック。今つけてやるからな」
「え……?やっ、違……ッ!それはオレがアンタに……ッ」
「お前が私につけて欲しかったんだろう?判ってるとも。ちょっと待っていなさい」
 ロイはそう言うと透けるショーツの脇からハボックの楔を取り出す。そそり立ち蜜を零し始めているそれに、ロイはパチンとリングを取り付けた。
「ヤダァッッ!!」
 つければ途端にその力を発揮して締め付けてくるリングにハボックが悲鳴を上げる。後孔に押し込まれたローターと楔を戒めるリングに悶えるハボックを見下ろして、ロイは感激のため息をついた。
「こんなものまで用意して、今日のロイハボの日に備えてくれてたなんて……ッ、私は感激だよ、ハボック!!」
「だからそれは違……ッ、アアッッ!!」
 ブブブと低い振動音をたてながら蠢くローターにハボックは激しく首を振る。メッシュの迷彩柄パンツの脇からリングに戒められた楔をそそり立たせ、蕾からローターの紐を覗かせて身悶えるハボックに、ロイは鼻を大きく膨らませた。
「今、私のも挿れてやるッ!最高のロイハボの日にしようなッ、ハボック!」
 ロイは言ってハボックの脚を抱え込む。痛いほど張り詰めて赤黒く光る自身をローターが入ったままの蕾に押し当てた。
「ヒ……い、嫌……」
 熱く滾る塊を押しつけられて、ハボックが目を見開いてふるふると首を振る。ロイはハボックを見下ろして優しく囁いた。
「愛してるよ、ハボック。今年も最高だッ!」
 言うと同時にズブリと押し当てた楔を突き立てれば、ハボックの唇から悲鳴が上がった。
「ヒィィィッッ!!」
 強張る体に構わずロイは一気にハボックの体を穿つ。ローターにぶつかるのもお構いなしに押し込めば、ハボックが大きく身を仰け反らせた。
「アヒィィィッッ!!」
 ブルブルと振動するローターが切っ先に当たって、ロイは低く呻きながらもガツガツと突き上げる。突き挿れるたびハボックの体が面白いほどに跳ね上がって、ハボックの唇から切れ切れの悲鳴が上がった。
「ヒィッ!!アヒッッッ!!ヒャアアッッ!!」
「ハボックッ!!ハボックッッ!!」
「な、んで……今年はオレが挿れ……、ヒアアアッッ!!」
 振動するローターとロイの激しい突き上げにハボックが身悶えながら首を振る。ガツンッと一際きつく突き上げられて、ハボックは射精できないまま果てた。
「ヒ……ィッッ!!」
 吐き出せない熱に体を焼かれて、ハボックはガクガクと震える。キュウと無意識に締め付けてしまえば興奮したロイに更に激しく攻め立てられて、ハボックは続けざまに絶頂に達した。
「アヒィ……ッッ!!んあああッッ!!」
 おかしい。ヒューズの言うとおりにやれば今年は上下入れ替えたロイハボの日になるはずだったのでは。快楽に霞む頭でこれまでの己の行動を振りかえってハボックは思う。
「中佐のうそつき……ッッ!!ひゃあああんッッ!!」
 いつにない激しい攻めに高い嬌声をあげながら、ヒューズを罵るハボックだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手もとっても励みになってますv嬉しいですvv

ロイハボの日ですね!「ネタないなぁ」って言ったら「裸エプロンにエロ下着で恥ずかしがりながらロイを襲う遅い受けなハボック」ってコメント頂いたので書いてみました。いやもう、すっかりハボがおバカというか、ロイがオヤジというか……しょうもないロイハボの日ですみません(汗)「下剋上」は単純に下が上になりたいって言う事で(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

ロイの日って忘れがちですよね〜(苦笑)そうそう、ハボにお祝いして貰えればね(笑)風、酷いでしょ、ロイ(笑)逆嫉妬するのはいつ頃かなぁ……ともあれ、続きをお楽しみにーvふふふ。黒スグリ、それが禁句かどうかさえきっとロイは気づいてないと思います(苦笑)セレスタ、来たよ、ブラッドレイ!(笑)これからが正念場だ!ドキドキハラハラしつつも応援してやって下さいvロイハボの日、ネタ頂きました!ありがとうございますvvこんなお話になってしまいましたが、お楽しみ頂ければ嬉しいです〜v

阿修羅さま

本、無事届いたようでよかったです。お友達にも楽しんで頂けると良いのですが。病院の待ち時間ってどうしてああも長いんでしょうね…。元気な時なら待てても、病院って体調がいいわけじゃないからなぁ…(苦)エスカレーター、怖いですね!でも、大事故にならなくてよかったです〜!お祭り、参加してる時は賑やかだな〜と思っても、家で聞いてると煩いになりますよね(苦笑)お疲れ様です。

本、無事に届きました♪  の方

無事に届いたよし、安心しました。お楽しみ頂けましたら嬉しいですv

はたかぜさま

本、早速読んで頂けて嬉しいですvふふふ、そうそう「私と彼」ってどっか妖しい響きですよね(笑)そうなんですよ、和物じゃないんです。でも、書いてる本人が和物な気分なので、やっぱりそう取れますよねぇ。何故だろう、パンとワインなのに(苦笑)こちらこそ、読んで頂いた上に感想まで本当にありがとうございます!これからも少しでもお楽しみ頂けるように頑張りますねv
2014年06月08日(日)   No.400 (ロイハボ)

黒スグリ姫7
ロイハボ風味

「ここの映画館、学生三人割引ってのがあるんスね」
 チケット売場の前、料金表を見上げてハボックが言う。
「だからってヒューズを呼ぶとか言うなよ」
「言わないっスよ!────オレだって先輩と二人がいいし……」
 ジロリと見下ろしてくる黒曜石に声を張り上げたハボックが、頬を染めてボソボソと付け足した言葉にロイは笑みを浮かべた。チケット売場の女性に枚数を告げると、財布を取り出すハボックを押し留めて二枚分の料金を支払った。
「先輩、チケット代!」
「いいよ、デートなんだから私が出す」
「折角お小遣いもらってきたのに」
 ロイの言葉に喜ぶどころかムゥと唇を突き出すハボックの反応を好ましく思って、ロイはハボックの金髪をクシャリとかき混ぜる。見上げてくる空色にキスを落として、ロイはハボックを映画館の中へと促した。
「先輩、ポップコーン買うっしょ?」
「ああ、そうだな」
 休日の映画館はそこそこ混んでいる。二人はロビーを進むとドリンク&フードの看板を掲げたカウンターに並ぶ人の列についた。
「ポップコーンペアセットでいいだろう?」
「えっ?あ、はいっ!それでいいっス!」
 一瞬驚いたような顔をするハボックに尋ねる視線を送ればハボックが答える。
「えっと、オレ、友達と来るときはみんな自分の分って買うから。ペアセットなんて買ったことなくて」
「そうなのか?私は映画に来たらいつもペアセットだな」
 そう答えるロイをハボックは複雑な表情で見た。
(きっといつもは女の子と一緒に来るんだろうな……)
 映画といえばデートの定番だ。ロイはモテるから女の子とデートで映画館に来るなどしょっちゅうだったに違いない。
「塩とキャラメル、どっちがいい?」
 俯きそっとため息をつけば尋ねる声が聞こえて、ハボックは慌ててロイを見る。
「え、えとっ、先輩が好きな方でいいっス」
「お前はどっちが好きなんだ?ハボック」
“お前は”と強調するロイをじっと見上げて、それからハボックは答えた。
「……塩」
「よし、じゃあ塩な」
 言ってにっこりと笑うロイにハボックも笑い返す。
「先輩、オレ、メロンソーダね」
「判った」
 笑って頷くと丁度順番が回ってきたカウンターに歩み寄って注文を伝えるロイの背をハボックはじっと見つめた。
(気にしても仕方ないよね、マスタング先輩がモテるのは判ってることだもん)
 折角の初デートなのだ、つまらぬ嫉妬で台無しにしてしまっては勿体ない。
「ハボック」
「先輩、ありがとうございます!」
 ポップコーンペアセットを乗せたトレイを手にするロイに駆け寄って。
「六番シアターだって。行きましょう、先輩!」
 甘えるように腕にしがみつくハボックだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですーvv

「黒スグリ姫」です。ポップコーンは塩派です(笑)友達と来たらポップコーンセット、デートならペアセットかなぁって。

それから、8周年記念無配本、お申込み頂きありがとうございます。本日までにお申し込み頂いた方には発送、ご連絡させて頂いております。お受け取りよろしくお願い致します。それで、申込期間を当初6月20日ごろまでと考えておりましたが、そんなに開けていても仕方ないかな〜と思ったので6月10日までに短縮しようと思います。もしまだ「貰ってやろうじゃないの」という方がいらっしゃいましたらよろしくお願い致します。

以下、拍手お返事です。

なおさま

遅刻、ロイの日ってつい忘れちゃうんですよね〜(苦笑)それどころかロイハボの日も忘れそうな予感が……。いい加減ネタもないしなぁ(コラ)風、ふふふ、まさに撃沈ですよね。続きも楽しみにして頂けたら嬉しいですーv
2014年06月04日(水)   No.399 (ロイハボ)

久遠の風1
ロイハボ風味


 青い空を駆け抜ける鮮やかな焔の龍。美しくも切ないその姿は、彼の中で決して忘れることの出来ない記憶となった。


久遠の風 1



「────ック、ハボック」
 列車の揺れに合わせてウトウトしていたハボックは、己を呼ぶ声に閉じていた目を開ける。そうすれば、身を乗り出して覗き込んでくるガルシアと目があった。
「もうすぐイーストシティにつくぞ、ハボック」
 そう言うガルシアをハボックはぼんやりと見つめる。伸びてきた手に強く腕を掴まれて、ハボックは目を瞬かせた。
「大丈夫か?もしかして傷が痛むのか?」
「────ああ、ごめん。ウトウトしてた」
 ハボックは言って堅いシートに預けていた身を起こす。手を貸してくれようとするガルシアを見て言った。
「大丈夫だよ、ガルシア。もう傷は治ったんだから」
 そう言って笑うハボックにガルシアは申し訳なさそうに唇を噛む。それでもハボックに軽く胸をおされてガルシアは向かいの席に腰を下ろした。
 ハボックとガルシアは数年前に疫病のために滅んだ村の生き残りだ。幼くして故郷も家族もすべて失いそれぞれにつらい人生を送ってきた彼らは、ある時村を焼き払ったのがロイである事を知った。ガルシアはロイが疫病を口実に錬金術で村人ごと村を焼き尽くした仇だと信じ、ハボックは悩みながらもロイが己の力を誇示するために村を焼いたのではないと信じた。結局、ロイの口から村に起こった悲劇とロイの想いを聞いたハボックが、真実はロイは仇などではなく寧ろ村の最期を看取り村人たちを救ってくれたのだとガルシアに伝え復讐を思い留まらせようとしたのだが。
『マスタングは仇だッ!!マスタングを殺さなければ、俺はッッ!!』
 たった一つ縋りつくようにして抱いていた復讐心をすぐには捨てられなかったガルシアは、止めようとしたハボックをナイフで刺してしまった。傷つきながらも故郷へと向かったハボックだったが、列車の中で昏睡状態に陥り途中の町の病院に緊急搬送された。一時は危篤で命を危ぶまれたものの幸運にも持ち直し、ハボックは何とか一命を取り留める事が出来た。その後故郷の村に帰り療養していたが傷も癒え漸くイーストシティに戻る事になり、そうして今ハボックはガルシアと共に列車の揺れに身を任せているのだった。

「大佐、ハボックの奴、今日イーストシティに戻ってくるんスよね?」
「ああ、そう聞いている」
 サインを貰おうと書類を差し出しながら言うウルフにロイは頷く。内容を確認しサインを認めて返せば、書類を受け取ったウルフが嬉しそうに言った。
「丁度仕事が終わる頃の時間っしょ?みんなで迎えにいってやりましょうよ」
 ウルフの言葉にロイは僅かに目を見開く。それから何事もないように手元の書類に目を落として言った。
「いや、私はやめておくよ、今日中にやらなきゃならない書類もまだあるんでな」
「えーッ、書類なんて明日でもいいじゃないですか。中尉だって今日ばかりは怒りませんよ、一緒に行きましょうよ!」
 大声で言って身を乗り出してくるウルフにロイは顔をしかめる。机に手をつくウルフの顔を押しやってロイは言った。
「別に今日迎えに行かなくても明日には司令部で会えるんだ。それでいいじゃないか」
「そりゃそうですけど……」
 ロイの言うことももっともではあるが、ウルフは不満そうに唇を尖らせる。「行きましょうよ」としつこく繰り返すウルフを執務室の外へ追い出してロイはため息をついた。暫く前、見舞いに行った時のハボックの様子を思い出してロイは唇を噛む。
「迎えに行ってもハボックを戸惑わせるだけだ。アイツは私を────覚えていないんだから」
 ロイは辛そうに呟いて窓の外に広がる空を見上げた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気の素です、嬉しいですーvv

ええと……。「え?……ええッ?!」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが、先日完結致しました「久遠の空」の続編でございますー。んんと、あの話はあの形で完結した事に自分自身ちゃんと納得してますし、あれでいいと思っています。でも、心のどこかでやっぱりロイとハボがラブラブになればいいと思う気持ちもありましてね。だからこそのあんな終わり方でもあるわけなのですが。そんな事思っていましたらコメントで色々と妄想を囁いて頂いたり、某方には「いつ気付いてラブラブになってくれるかなって思ってたのに」と言われるし(苦笑)そんなこんなで書きたい気持ちを刺激され、こうなったらやっぱ書くしかないよねってことで書いてみちゃいましたー。「これ以上日記連載増やしてどうするんだ。止まってるのをさっさと書け」と思われそうなんですが、やはり萌えた時が書き時かなぁって。なのでのんびりまったり日記で綴っていこうと思っています。そんなわけでよろしければお付き合い下さいませ。

以下、拍手お返事です。

なおさま

黒スグリ、ちょ……ッ、暗闇ちゅー!!またそうやって私の妄想を刺激するんだから!(笑)あがけ、いや確かに喘いでましたけど(笑)シムシティPC版、買いたい!今やらなきゃいけない事が無事終わったらご褒美で買おうかなぁ(笑)セレスタ、そうそう、ハボックにはちゃんとロイが正面から向き合わないとダメなんですよ!それにしてもやっと振り出しに戻った感じです、いや、ちゃんと振り出しAに戻った訳ではなくA’に戻った感じでしょうか。頑張ってちゃんとゴールまで手を繋いでいって貰いたいと思います(笑)

はたかぜさま

名前、こっそり変えておきました(笑)おお、ご主人アメフトご覧になるのですね!私が見たのはシアトル・シーホークスのRBでした。悪者じゃないですよ、悪者じゃ(笑)「モブキャラクイズ」これ、私も正解出来る自信ないですよ!その時々でいい加減に付けてるからいやもう、さっぱりです(苦笑)「八雷神」は私も読めな――(殴)タイトルに悩めば悩むほど妙なタイトルになる傾向があるようです(苦笑)暗獣、はぼっくの言葉はひとえに読んで頂く方の想像力に頼っている感満々です(苦笑)なのでこれからも是非はぼっくの可愛い姿を脳裏に描いて「ろーいっ」とか「ろぉいッ!」とか言わせてやって下さいねvそういえばゴールデンウィークをガッデムウィークと言っている方がいらっしゃいましたねぇ(笑)

香深さま

姫ハボ、楽しんで下さって嬉しいです。やっぱり中学生なので他のハボにはない口調でロイに話すかなぁってvえへへ、可愛いと言って頂けて嬉しいですvまだまだイチャイチャして貰うつもりなので待っていてくださいねvバムとケロ!うちの息子も読んでました!あれ、可愛いですよね〜。あんな可愛いのを思い出して貰えるなんて、なんだかとっても嬉しいですvはぼっく、ふふふ、早くもふもふさせてあげたいなーと思いながら今続きを書いてます(笑)久遠、もー、思いっきりツボでしたよ!そんな訳で早速書いちゃいましたーvのんびりになるとは思いますがお楽しみ頂けたら嬉しいですv暑くなる前の今の季節は本当に気持ち良いですね。はぼっくも姫ハボもそんな季節を満喫させてあげたいと思います。香深さまもどうぞのんびりまったりお過ごしくださいねv
2014年05月12日(月)   No.391 (ロイハボ)

黒スグリ姫6
ロイハボ風味

 待ち合わせの駅前広場の噴水の前で、ロイは懐中時計で時刻を確かめる。そろそろ約束の時間だとパチンと蓋を閉めた時、聞こえた声にロイは伏せていた顔を上げた。
「マスタング先輩っ!」
 手を振って駆け寄ってくるハボックの姿にロイは笑みを浮かべる。だが、その後ろからのんびりとついてくる髭面を見つけて、ロイは眉を寄せた。
「すんません、待たせちゃって」
 すぐ側で足を止めて、ハアハアと息を弾ませながらハボックが言う。
「いや、私も今来たばかりだから」
 気にするなと笑みを浮かべて言うロイに、近寄って来たヒューズが言った。
「よく言うぜ。必ず約束の時間の十五分前には来るくせに」
「えっ?そうなんスかっ?」
「ヒューズ」
 ごめんなさいと何度も謝るハボックを押し留めてロイはヒューズを見やる。
「どうしてお前がここにいるんだ」
 ぎろりと黒曜石の瞳に睨まれてもヒューズは全く気にしたそぶりもない。へらりと笑って、ヒューズが答えた。
「そこで偶然バッタリ会ってさ。どこ行くのかって聞いたらお前と映画に行くっつうからよ」
「――――ハボック」
「は、はいッ」
 ヒューズの言葉を聞いて、ロイはため息混じりにハボックを呼ぶ。目を見開いて見つめてくるハボックにロイは言った。
「ヒューズに聞かれたからと言ってバカ正直に全部答えるな」
「ご、ごめんなさい……」
 言われてしょんぼりと俯くハボックの金髪をロイはクシャリと掻き混ぜる。泣きそうなハボックの目元にキスを落として、ロイはヒューズを見た。
「私がいるのを確かめたんだ、もういいだろう?とっとと帰れ」
「えーッ、ロイ君ってば冷たい!いいじゃん、俺も一緒に混ぜてっ!」
 行きたい行きたいと胸元で両手を握り締めて子供のように駄々をこねてみせるヒューズに、ロイはうんざりとため息をつく。それでも「帰れ」とロイが繰り返すより一瞬早くハボックが言った。
「あ、あの……一緒に見るんじゃダメなんスか?」
「ハボック!」
「ごっ、ごめんなさいッ」
 恐る恐る言うハボックに思わずロイが声を荒げればハボックが飛び上がる。そんな二人に吹き出したヒューズがゲラゲラと笑った。
「ホントお姫ちゃんはカワイイなぁ」
 そう言ってハボックをギュッと抱き締めるヒューズからロイがハボックをもぎ取る。
「気安く触るなッ」
 ギッと睨んでくるロイとロイの胸に抱き締められて顔を赤らめるハボックを見やってヒューズは言った。
「これ以上邪魔すると本気で燃やされそうだからな。今日のところは帰るわ。でも次は一緒に行こうな、ハボック」
「えっ?あ、は――――」
「答えなくていいッ!」
 素直に「はい」と答えようとするハボックの頭をロイは咄嗟に胸元に抱え込む。
「お前と次なんてあるかッ!とっとと帰れッ!」
「はいはい、おっかねぇなぁ、ロイくんってば。じゃぁな、ハボック」
 ロイの胸に顔を押しつけられてフガフガ言うハボックに手を振って、ヒューズは行ってしまった。
「ったくもう、アイツはッ!」
 歩き去るヒューズの背を見送ってロイは言う。明日会ったら改めてシメ直してやろうと考えるロイの胸元、ちゃんと息が出来ずにジタバタとハボックが暴れた。
「あ、すまん」
「プハッ!」
 抱え込む手の力を弛めると、顔を上げたハボックが止められていた息を吐き出す。大きく空気を吸い込むと、ハボックは呼吸が出来なかったせいで涙の滲んだ瞳でロイを見た。
「あの……ごめんなさい。ヒューズ先輩つれて来ちゃって。マスタング先輩の友達だからいいかなって」
 ハボックにしてみれば他意は全くないのだろう。偶然会ったヒューズに一緒に行ってもいいかと聞かれて、無邪気に頷くハボックの姿が浮かんでロイは一つため息をついた。
「あのな、ハボック。これはデートなんだぞ」
「えっ?うわ、あ……は、はいッ」
 言われてカアアッと顔を赤らめるハボックにロイはやれやれと肩を落とす。手を伸ばして紅く染まった頬を撫でてロイは言った。
「私は二人きりで出掛けるのを凄く楽しみにしてたんだが」
「オレもっ!一緒に映画に行くの、楽しみにしてましたッ!昨日は眠れなかったし……」
「本当に?」
 尋ねる言葉にハボックがコクコクと頷く。
「だって……オレ、デートすんの初めてっスもん」
 学校帰りに喫茶店に寄ったり、ロイの家に遊びに行った事はあるがこうして一緒に出掛けるのは初めてだ。顔を赤らめながらもロイを見てにっこりと笑うハボックをロイは頬を撫でていた手で引き寄せた。
「ハボック」
「あっ!もうこんな時間!」
 キスしようとすればロイの肩越し、駅の入口の時計を見たハボックが言う。スルリと腕をすり抜けたハボックが「早く早く」と急かすのに、ロイは小さくため息をついた。
「まあ、ゆっくりいくしかないか……」
 ロイは数歩で追いつくとハボックの手を取る。驚いたように見上げてくるハボックにロイは笑いかけた。
「デートなんだから」
「あ……はい……っ」
 茹で蛸のように真っ赤になったハボックと笑みを交わして、ロイはハボックと二人映画館に向かっていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます!嬉しいですvv

「黒スグリ姫」でーす。姫ハボもお出かけ〜(笑)映画見るところまで入る筈だったのに思ったより長くなったので次回に続くとなりました。こうしてどんどん長くなっていく(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

暗獣、確かにどっちが小動物か判らなくなりそう(笑)尻尾出てたらヤバいです(苦笑)シムズ、それは絶対PC版が欲しいですッ(爆)前に「俺の下であがけ」っていうBLゲームを最初PS2版を買ったものの結局PC版を買い直してやったっていう前科が(笑)「ロイとの子供欲しい」アイコン!!!ちょ……ッ、そんなの聞いたら益々欲しくなりましたよ!買っちゃおうかなぁ(笑)

水瀬さん

えへへへ、リンチ男前って言って頂けて嬉しい〜v後日彼女を連れたリンチとバッタリ道で会ったりしたらいいかも。はぼっく、麦わら帽子可愛いなぁ。そういや水筒は持ったけど帽子は被ってないですもんね。うふふ、被せちゃおうv

はたかぜさま

凄いです!!いやあ、私そう言われてもさっぱり判らなくて「ええ?どこにッ?」って検索かけちゃいましたよ(苦笑)結果は2007年に書いてたヤツでした。しかも登場シーンは2章分だけ。全く覚えてませんでした(爆)あの当時は多分普通の意味で名前に流用したと思うんですが、今回は丁度書いている時にアメフト見てましてね、そこから(笑)いやしかし、勿論別人なんですが、今度こっそり名前替えておきます(笑)でも、はたかぜさま、本当にすごいというか、そんな殆どモブに等しい人物の名前を覚えていて下さるなんて、う、嬉しいです〜vvありがとうございますvv今年のゴールデンウィークは如何でしたか?私は特に出掛けなかった代わりに外食ばっかりしてました(苦笑)
2014年05月07日(水)   No.390 (ロイハボ)

黒スグリ姫5
ロイハボ風味

「あんのクソ髭ッ!」
 ロイはカッカと頭から湯気を立ち上らせてバンッと乱暴に扉を閉める。ドカドカと足音も荒くリビングに戻ってくれば、ソファーに座るハボックと目があった。
「――――」
 ロイは無言のまま暫くハボックを見つめたが、フイと顔を背けるとなにも言わずに本を拾い上げドサリとソファーに腰を下ろした。そうすれば目を向けずともハボックが身を強張らせたのが判る。それでもロイは無言のまま口を開かなかった。
(くそ……ッ、ヒューズの阿呆のせいだッ)
 賑やかなヒューズが帰ってしまえば二人の間は気まずい空気が支配するばかりだ。普段のロイであれば気の利いた言葉が幾らでも出てくるのにどうしてだか今日に限って一言も出てこない。ムスッと押し黙ったまま全く頭に入ってこない文字の群れを目で辿っていれば、ハボックの声が聞こえた。
「あの……マスタング先輩はなにが好きっスか?スポーツ観るのはあんまり興味ないだろうけど、それ以外。あっ、出来れば読書は抜きで……先輩が読むような本はオレには難しいから」
 へへ、と小さく笑う声にロイはハボックを見る。すると自分を見つめてくる空色と目があった。
「んーと……映画とかはどうっスか?」
 答えないロイの代わりに考えたハボックが小首を傾げて言う。映画と聞いてロイは漸く口を開いた。
「そうだな、映画を観るのは好きだ」
「本当っスか?じゃあ先週から始まったファンタジー、観に行きませんかっ?――――あ、ファンタジーは嫌い?」
 ロイが興味を示したのを見てハボックがパッと顔を明るくする。だが、ファンタジーと口にしてから不安そうに上目遣いに見つめてくるハボックにロイは笑みを浮かべた。
「いや、それなら私も観たいと思っていた。原作が好きでな」
「ホント?!それじゃあ一緒に……?」
「ああ、行こうか」
「やったー!」
 ロイが頷けばハボックがソファーの上で飛び上がる。嬉しそうに笑うハボックを見て、ロイは内心己を罵った。
(まったく、年下のハボックに気を遣わせるなんて、私は!)
 ヒューズに対する嫉妬ばかりに捕らわれていた自分にハボックはすこしでも近づこうとしてくれた。そもそも疎外感を感じていたのはロイの勝手で、詳しく知らずとも一緒にビデオを観るくらいは出来たのに。
「すまなかったな、ハボック。私は自分がこんなに嫉妬深い人間だとは思わなかった」
 そう言えばハボックが驚いたようにロイを見る。見開いた空色がふわりと笑みを浮かべるのを見て、ロイの心臓がドキリと跳ねた。
「ヒューズ先輩は面白いしサッカーの事詳しくて話してて楽しいっスけど……。でも、オレが好きなのはマスタング先輩っスから」
 そう告げるハボックの目元が淡いピンクに染まる。
「マスタング先輩……好き」
 恥ずかしそうに、それでも真っ直ぐにみつめてくる空色にロイの胸に愛しさが込み上がる。ロイは腕を伸ばすとハボックの体を引き寄せた。
「私もお前が好きだ」
「先輩……」
 間近から囁いてロイはハボックに口づける。拙いながらも必死に答えてくるのが可愛くて、ロイは深く唇を合わせ甘い口内を貪った。
「ん……ん……せんばぁい」
 思うまま味わって唇を離せば、とろんとした目をしてハボックが甘くロイを呼ぶ。唇の端から零れる銀色の滴を指先で拭って、ロイは腕の中の少年に言った。
「今度サッカーの試合も一緒に行こう。私にも色々教えてくれ」
「マスタング先輩……はい!」
 ロイの提案にハボックが嬉しそうに笑った。
「あのね、先輩。ヒューズ先輩とオレは応援してるチームが違うんスよ。だから先輩がオレと同じチームを応援してくれたら嬉しいな」
「それはいいな。一緒に応援してヒューズの贔屓のチームを負かしてやろう」
「あはは、ヒューズ先輩、怒りそう」
 ロイがハボックの好きなチームを一緒に応援するのを見た時のヒューズの顔を想像して、二人は額を突き合わせて笑う。
「先輩、大好き」
「ああ、私も好きだよ」
 そう囁きあって、ロイはハボックにもう一度口づけた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手、とっても励みです、嬉しいですv

「黒スグリ姫」です。マスタング先輩といちゃいちゃして欲しいってコメント頂いたのでイチャイチャして貰いました(笑)すぐチューしますね、マスタング先輩ってば(苦笑)普段の連載では最近甘いのを書いていないけど、やっぱり甘いのもいいなーって思いますvふふふv

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

頑張りますー、気長にお待ち下さい(苦笑)サッカー、お好きですよね?私も昔はJリーグ見に行ったりしてましたが、最近は野球観戦が多いですね〜。スポーツはもっぱら「見る派」です(笑)

なおさま

黒スグリ姫、ふふふ、笑って頂けて嬉しいですvどうして筋肉痛になっているのか判らなくて、ハボに「先輩、どうしたんスか?」って聞かれて返答に困るロイを想像すると笑えますvおお、600000打リク、ありがとうございます!承りましたvちょっと時間かかっちゃいますが絶対お届けしますのでお待ち下さいねvセレスタ、リンチ、頑張ってくれました。ロイにも頑張って貰わないと(笑)風、あはは、いやあ、ハボック本当に乙女ですよね!私も自分で書きながら「なんて乙女なんだッ///」と恥ずかしくなりましたから(笑)久しぶりの新連載なので張り切ってますvまたまたお付き合いお願いしますv

香深さま

マスタング先輩と姫ハボのイチャイチャ、頑張ってみましたーvどっちかと言うと頑張ったのは姫ハボな気がしますが(笑)うふふ、はぼっく、うさ耳気に行って頂けて嬉しいですv今度は動物園でフワフワしたいと思ってます。久遠、ありがとうございますーvそうですね、矢印は出ていたかもですが、本人たちも気付く前に離れてしまった感じでしょうか。でも、すーっとした気持ちになって頂けてよかったーvわあ、その続き、メチャクチャ萌えるんですがッ!!まだら記憶障害でロイの事はよく覚えていなかったりしたらいいなぁ。はっきり覚えているのは戦場で焔を操るロイの姿だけとかで、先にロイの方が実は助けてくれたのはハボだったと気付いたりしたら面白いなぁとか、妄想し出したら止まりませんよ!うう、続き書きたーい!(笑)セレスタ、ドキドキハラハラ嬉しいですーv早くハボックが幸せになれるよう頑張りますのでお付き合いよろしくお願いしますねv

阿修羅さま

多少はお役に立てたようでよかったですー。まだお辛いとは思いますが、息子わんちゃんの為にも元気だしてくださいね。そして時々息抜きに遊びにいらしてくださいませv
2014年04月30日(水)   No.388 (ロイハボ)

黒スグリ姫4
ロイハボ風味

「よっ、ロイ。邪魔するぜ」
 しつこく鳴り響くチャイムの音を流石に無視出来ず玄関を開けたロイが「帰れ」と言うより早く、ヒューズはロイを押しやるようにして中に入ってしまう。
「おいっ、ヒュー――――」
「待たせたな、ハボック」
 慌てて追いかけてきたロイに背後から引っ張られながらもリビングの扉を開けて、ヒューズは最近知り合いになった少年の姿を見つけてニヤリと笑った。ソファーに行儀よく座っていたハボックは、聞こえた声に雑誌から目を上げてにっこりと笑う。
「ヒューズ先輩、来たんですね!」
「おうよ、約束のもん持ってきたぜ」
 ヒューズがそう言うのを聞いてパッと顔を輝かせるハボックを見て、ロイは眉をしかめた。
「おい、どういうことだ?」
 二人の会話から察するにヒューズはロイではなくハボックに会いにきたようだ。家主ではなく遊びにきていたその恋人に会いにきたヒューズを睨めば、ヒューズがブルーレイのディスクを取り出して言った。
「コイツがサッカーのヨーロッパ選手権の決勝見損ねたって言うからさ。録画したの貸してやるって話をしたんだけど、今日、お前んちに来るって聞いたから、じゃあここで会おうって事になってな」
「そんな話聞いてないぞ」
 自分の預かり知らぬところで話が進んでいたことを知って、ロイはムッとして言う。不機嫌なロイの声を聞いて、ハボックが申し訳なさそうに首を竦めた。
「ごめんなさい。ヒューズ先輩、来られるか判らないって言ってたから」
「例えそうでもそういう話があるなら前もって言うべきだろう?そもそも私の許可なく私のマンションで会う約束をするなんてどういうことだ?」
「ごめんなさい……っ」
 不機嫌さを全く隠さないロイの言葉に、首を竦めたハボックが泣きそうな顔で謝る。そんなハボックの隣にドサリと腰を下ろしたヒューズが、ハボックの肩を抱き寄せて言った。
「そんな怒る事ないだろう?それともお前、ブルーレイ見せるから俺んち来いってハボックを誘ってもいいのか?」
「な……っ?ダメに決まってるだろうッ!」
「だったらなんも問題ないじゃねぇか」
 なぁ、ハボックとヒューズは笑ってハボックの顔を覗き込む。確かにヒューズの家に呼ばれるよりはこうして自分の目の届く所で会った方がいいに決まっていた。
「よし、ロイのお許しも出た事だし、ビデオ見ようぜ」
 不機嫌ながらもそれ以上は言わないロイを見てヒューズが言う。ロイのことを伺うように見ていたハボックもホッと息を吐いて笑みを浮かべた。
「デッキ借りるぜ」
 ヒューズは言ってロイの返事を待たずにリモコンを手に取る。テレビとデッキの電源を入れブルーレイをセットした。
「見逃しちゃってすっげぇ悔しかったから嬉しいっス」
「お、そうかそうか、カワイイな、お前」
 本当に嬉しそうに言うハボックの金髪をヒューズがわしゃわしゃと乱暴にかき混ぜる。擽ったそうに笑うハボックを見て、ロイはムッと唇を歪めた。
(あんなに嬉しそうな顔しなくたっていいだろうっ)
 試合が始まれば一層楽しそうにヒューズと言葉を交わすハボックにロイは苛々と考える。テレビの正面に座る二人の横、テレビとは九十度の位置に置かれた一人掛けのソファーにロイはドサリと腰を下ろし脚を組んで本を広げた。本に集中するフリをしながらその実全く本の内容など頭に入ってこない。全身耳になったようにロイは本の文字を見つめながら二人の会話を聞き入っていた。
「行けーっ!うわ……っ、すげぇ!今のパス見たっスかっ?後ろに目がついてるみたい!」
「ここからがもっと凄いんだって!ほら、ここ!!」
 身を乗り出すようにして画面を見ていた二人が同時に歓声を上げて飛び上がる。パンッと両手の手のひらを合わせてゴールが決まったのを喜ぶ二人を見れば疎外感が甚だしかった。
 ロイだってサッカーのルールくらい知っている。はっきり言って審判が出来るくらい詳しく知っていると思う。だが、それは単なる知識であって試合を見て楽しむというのとは別の話だった。ハボックやヒューズのように贔屓の選手がいるわけでもチームの勝敗に一喜一憂するわけでもない。ハボックがサッカーをするのも見るのも好きなのは知っていたが、ロイにとってサッカーは楽しむものではなかった。
「わーッ、やばいっ、カウンター!ヒューズ先輩っ、どうしようッ!」
 攻守が一転したらしく、ハボックが悲鳴を上げてヒューズの腕を掴む。ヒューズが励ますようにハボックの腕を掴んで、二人して食い入るように画面を見つめるのを見て、ロイはギリギリと歯を食いしばった。
(どうしてくっついて見るんだッ!離れろッ、このクソ髭ッ!)
 可愛い恋人に必要以上にくっついてサッカーを見るヒューズをロイは心の中で罵る。次の瞬間「よかったァ」とホッと息を吐いたハボックがヒューズの胸に抱きつくのを見て、ロイは思わず本のページをクシャリと握ってしまった。
「……くそッ」
 ハッと気づいてロイはクシャクシャになってしまったページを伸ばす。乱暴な仕草で立ち上がると、キッチンに行き冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出しゴクゴクと飲んだ。
「くそッ、私にだって抱きついてきたりしないのにッ」
 ロイとハボックはつきあってはいるが、まだ中学生のハボックはロイと一緒にいるだけで嬉しくて満足しているようだ。正直物足りないと思う時がないわけではなかったが、ハボックを大事にしたいと思っているロイは焦る気はなかった。とは言え、ハボックが無邪気にヒューズとはしゃいでいるのを見れば心穏やかでいられる筈もない。ロイはキッチンの壁に寄りかかり、気持ちを落ち着かせようと水を飲んだ。時折聞こえる歓声を聞きながらロイは水を飲み続ける。三本目の水を飲み干しいい加減足が疲れてきたので仕方なしにリビングに戻ると、丁度試合が終わったところだった。
「済んだのか?」
「ああ。お前も見ればよかったのに。いい試合だったぜ?なあ、ハボック」
 ヒューズはそう言って傍らに座る少年を見る。ソファーに腰を下ろし本を手に取りながらロイがチラリと視線を向けた先、ハボックが興奮した面持ちで言った。
「すっげぇ面白かった!ヒューズ先輩、ありがとうございました!」
「いやいや、俺も楽しかったぜ」
 ニッと笑って答えるヒューズにハボックが言う。
「最後のオーバーヘッドシュート、凄かったっスね!オレもあんなシュート打ってみたいなぁ」
「練習すりゃいいじゃないか」
「どうやって?」
 憧れをいっぱいに滲ませて言うハボックにヒューズが答える。やり方が判らないと首を傾げるハボックをヒューズは手を伸ばしてソファーに押し倒した。
「オーバーヘッドだろ?やっぱ脚をこうやって……」
 と、ヒューズはハボックの脚に手をかける。初夏の陽気の今日、ハーフパンツのハボックの剥き出しの脚をヒューズがベタベタと触った。
「こっちの脚をこうやってこっちの脚でボールを」
 ソファーに押し倒したハボックの剥き出しの脚を好きなように動かすヒューズに、ロイの中でブチッと切れる音がする。本を投げ捨て立ち上がると、ヒューズの肩をむんずと掴んだ。
「ヒューズ、貴様ッ!ベタベタ触るんじゃないッ!」
「っと……。なぁに怒ってんの、ロイ君ってば」
 睨んでくるロイにヒューズはニヤニヤと笑って言う。
「シュートのやり方教えてるだけだろ、こうやってさ」
 と、わざとらしくハボックの脚に手を這わすヒューズに、ロイの唇がヒクヒクと震えた。
「こ、の……ッ、出て行けーッッ!!」
 目を吊り上げてロイが怒鳴る。投げつけられたディスクを器用に受け止めて、ヒューズが立ち上がった。
「いやーん、ロイ君、ヤキモチ妬きなんだからっ」
 ニヤニヤ笑いながら言うヒューズにロイは手当たり次第物を投げつける。頭を抱えて逃げながらヒューズが言った。
「じゃあな、ハボック!今度は一緒に試合見に行こうぜ!」
「あ、はいっ!」
「なにッ?!」
 自分を挟んでそんな約束を交わすのを聞けばロイの目が更につり上がる。分厚い専門書を掴んで振り上げるロイにヒューズが玄関から飛び出しながら言った。
「悔しかったらサッカー見ろ、楽しいぜっ!じゃあな!」
「クソ髭ッ!二度と来るなッ」
 怒鳴るロイの声に被さるようにゲラゲラと笑うヒューズの声がマンションの廊下に木霊した。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、更新の励みですー、おかげで更新頑張れますvありがとうございますvv

「黒スグリ姫」ですー。「サッカー談議する髭と姫ハボ」ってコメントに妄想萌えあがって書いてみました。この話、ロイハボなんだけど、髭との絡みが楽しいなぁ(コラ)

さて、そろそろ大型連休開始ですね。今年は特に旅行の予定もありませんが、家人がガッツリいる状況で更新どうなるかなぁ。とりあえず29日の更新は何とかしたいと思いますが、3日は平日にこれ以上予定が入らなければ書けるかな。連休最終日の6日はちょっぴり厳しいかもしれません。
それにしても「FLARE BLUE」、なんか話が当初予定していたのと違う方向へ突っ走っている気が満々と……orz この先どうなるか、書いてる本人が一番気になるところです(爆)しかし、こんなハボロイ、面白いのかなーと不安に思いつつもう三十六章だよ!もう少しコンパクトな話が書きたい今日この頃(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

桜の名所って意外と山奥だったりしますよね〜(苦笑)ふふふ、こんなホークアイとハボック、また機会があったら書きたいと思いますvデリヘルハボックも書きたい!時間が欲しい〜〜!セレスタ、ここはやっぱりリンチ頼みするしかないですよねぇ…と言いつつ、圧し掛かってたりするかもしれませんが(苦笑)久遠、最後までお付き合い頂きありがとうございましたvうう、そういうのもありですね!久遠は人魚姫がモチーフなのでこんな形に落ち着きました。いいお話と言って頂けて嬉しいですvうおッ?なおさま、600000万踏み抜いてたんですか??いやてっきりニアピンかと(苦笑)勿論リクオッケーですよ!是非リクしてやって下さいvvお届けには大分時間がかかっちゃうかもですが、宜しければリクお待ちしてますv

阿修羅さま

読んで下さってありがとうございます。少しはお役に立てましたでしょうか。どうぞお体大切にお過ごし下さい。

はたかぜさま

久遠、こちらこそ素敵なリクをありがとうございました!そうなんです、このお話のハボはそういうハボだったんですよ。タイトル、そういって頂けて嬉しいです。「ロイにはハボが何を思ってここまで生き、何を思って死んでいったのか判らないままで」うう、切ないですー。子猫の中にハボの魂がやってくるの、いいですねv子猫の中に入っちゃうときっと自分がハボだった頃の記憶はなくなって、ただひたすらロイが好きだった記憶だけになっちゃうのかなーとか思いました。今もロイが大好きな子猫だけど、もっともっとロイが好きになる子猫。でもどうしてこんなに好きなのか判らないままゴロゴロ鳴いてるんだと思います。……って、あ、勝手に妄想付け足しちゃった。すみません(汗)久遠ははたかぜさまがリクして下さらなかったら絶対生まれてこなかったお話なので、本当にはたかぜさまの子供だと思います。ここまで育てさせて下さってありがとうございますv黒スグリ姫もすっかり楽しんで書いてますvFLARE BLUEとハイムダールも楽しんで頂けてますか?よかったーvこれからも一緒にハボックをラブラブしてやってくださいね。どうぞよろしくお願いしますv

おぎわらはぎりさま

お誕生日おめでとうございます!!ええと、ご依頼の件ですが……ギャグ、さっぱり自信がありませんが(苦)ものすごーくお待たせしてしまうかもしれませんがそれでも宜しいでしょうか?とりあえずポチポチ頑張ってみますー。
2014年04月26日(土)   No.387 (ロイハボ)

黒スグリ姫3
ロイハボ風味

 講義が終わってヒューズは教室を出る。この後今日は授業がなかったからこのまま帰ってしまってもよかったのだが、ふと思いついた考えにヒューズは足を中等部の校舎へと向けた。
「それにしてもあのロイがねぇ……」
 今年のバレンタイン、ロイに届けられた一箱のチョコレート。そのチョコレートにすっかり心奪われてしまったロイがイニシャルしか判らなかった贈り主を見つけだしてきた。自分も探す手伝いをしていたし、なによりロイが惹かれた黒スグリのお姫様を見てみたくて紹介しろとせっついて、行きつけのバーにロイが連れてきたのはスツールのフットレストに足が届かないような中学生のそれも少年だった。
『コイツが黒スグリ姫ッ?!マジッ?!』
『中坊だろ?ガキじゃん!いやそれ以上にお前男はお断りだって言ってたじゃねぇか!』
 全く想像もしていなかった黒スグリ姫の正体に、思わずポンポンと言葉が口をつけば、すっかり怖じ気付いてしまったハボックにロイが濃厚なキスを仕掛けるのを見せつけられた。あれを見ればロイがどうやら本気らしいというのは判ったが、それにしても驚きは隠せない。
「まあ、でも結構かわいかったけどな」
 怖じ気て涙を浮かべた空色の瞳。とても綺麗でちょっとばかり手を出したくなった。蜂蜜色の金髪とまだ幼さの残る顔にすんなりと伸びた手足と少年特有のしなやかな体つきと。
「おもしれぇ……色々楽しくなりそうじゃん」
 ロイが聞いたら思い切り顔をしかめそうなことを口にして、ヒューズは軽い足取りで歩いていった。

「そろそろ中休みだよな」
 中等部の敷地に入ってヒューズは腕時計で時間を確認して呟く。二時間目と三時間目の間の休みは二十分と少し長めで、この休み時間多くの生徒たちは校庭でサッカーをしたり遊具で遊んだりおしゃべりをしたりと、思い思いに過ごすのが常だった。
「お、出てきた出てきた」
 時間を確かめて少し待てば、昇降口から生徒たちがバラバラと出てくる。その中に数人の友人とじゃれあうように出てきた金髪の少年を見つけて、ヒューズは目を細めた。
「みーっけ」
 ヒューズが見ているのに気づかず、ハボックは友人たちとサッカーを始める。ボールを追って走る子鹿のようなしなやかな体と、時折弾けるように笑う明るい表情をヒューズは暫く眺めていたが、やがて徐に校庭を横切ってサッカーをする少年たちに向かってゆっくりと走り出した。徐々にスピードを上げたヒューズはハボックに向かって出されたパスを途中でカットする。いきなりゲームに飛び込んできた大学生に生徒たちが驚きの声を上げる中、ヒューズだと気づいたハボックが目を見開いて声を上げた。
「ヒューズ先輩っ?」
 呼ぶ声にヒューズはチラリとハボックを見たが、そのままゴールに向けてドリブルで走る。慌てて立ち塞がる生徒たちの間を抜けて走れば、猛スピードで駆けてきたハボックが追いすがってきた。
「ヒューズ先輩!」
 その声にヒューズは足を止めてハボックと向き合う。ニヤリと笑った次の瞬間、ヒューズはハボックの脇をすり抜けて走った。
「あっ!くそッ!」
 背後で悔しそうな声と共に追いかけてくる足音が聞こえる。ヒューズはハボックが追いつくのをわざわざ待ってから、ボールを奪おうとするハボックをかわしてシュートをゴールに叩き込んだ。
「すげぇッ!」
「カッコイイ!」
 その鮮やかなシュートに生徒たちの間から感嘆の声が上がる。その中でただ一人だけ悔しそうに口をへの字に結んで睨んでくるハボックに、ヒューズはニッと笑って見せた。
「よお、ハボック」
 ヒューズがハボックに向かって呼びかければそこここで驚きの声が上がる。いつの間にか集まってきていた生徒たちが見守る中、ヒューズはハボックに近づいてその肩をポンと叩いた。
「いきなり飛び込んでくるなんてズルイっス」
 その言い方に不意をつかれなければ負けたりしなかったのだと言うニュアンスを感じ取って、ヒューズは楽しそうに笑う。「わりぃわりぃ」と全然悪いと思っていない様子で謝ると、ヒューズは言った。
「久しぶりで思わずやりたくなっちまったんだよ。俺も混ぜてくれねぇ?」
「えっ?でも……」
 思いもしない申し出にハボックが躊躇うのに反して、周りで聞いていた生徒たちからワッと歓声が上がる。是非一緒にと一気に盛り上がった仲間にしょうがないとため息をついてゲームを始めるハボックを、ヒューズは他の生徒たちを適当にあしらいながら見つめた。
「よーし、先輩から一点とろうぜッ」
「オーッ!」
 ハボックが言えばチームの仲間たちから声が上がる。
(おお、可愛いねぇ)
 ヒューズが加わったチームに果敢に挑むハボックを眺めながら、ヒューズは目を細めて笑った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですーvv

懲りずに「黒スグリ姫」です。ロイ出てこないけど(苦笑)多分この先もヒューズはちょくちょくちょっかいを出すと思われます。ロイハボと言いつつヒューズとの絡みも結構多くなるような気がする……。って、まだまだ続く気満々ってどうよ(苦笑)なんでもすぐにシリーズ化するのもいい加減にした方がいいような気がしつつ、どうしてもやめられないです(笑)

そういえばこの四月からTOKYO MXで鋼の一期が再放送されてたんですね。知らなかったよ……ッ!気付いた時にはもう第四話まで終わってた。なんで二話ずつ放送なんだよー。一期は録画してないので再放送あったら録画したいと思いつつ、一時期はケーブルテレビでやらないか結構チェックしてたんですよねぇ。その頃は二期の再放送はやってたんですが一期はやる気配なかったのに、クソーッ、TOKYO MXかあ、盲点だったぜ……orz とりあえず第五話から毎週録画をセットしたけど、あああ、一話から録りたかった(苦)でもこれでまた鋼に興味を持ってくれる人が増えたらいいなーとかちょっぴり思ってます。ビバ!鋼!

以下、拍手お返事です。

なおさま

黒スグリ姫、うふふ、足ぶらぶらさせてるハボック、想像すると可愛いでしょう(笑)ヒューズ、ああそれいいなぁ!(笑)是非言わせてやりたいです(コラ)いやあ、いつも私の妄想を刺激して下さって本当にありがとうございますv久遠、あ、やっぱりロイと同じ事を思われましたか?(笑)うふふ、切り上手って言って貰えると「よっしゃあッ」とテンション上がりますよvやっぱり続きを期待して貰えるのは本当に嬉しいです。頑張りますよッv

ε(*'-')з†.*・゚☆Happy☆Birthday☆゚・*.†ε('-'*)з の方

おお、どうもありがとうございます!年を取るのはアレですが、おめでとうと言って頂けるのは幾つになっても嬉しいものですねvこの一年もハボック塗れで頑張りたいと思いますv
2014年04月11日(金)   No.384 (ロイハボ)

黒スグリ姫2
ロイハボ風味

「えっ?ヒューズ先輩に紹介?!」
「ああ、チョコレートの贈り主を見つけたって言ったら紹介しろって煩くてな」
 放課後、ロイに誘われて喫茶店でカフェオレを飲んでいたハボックは、ロイの言葉に目を瞠る。ロイの親友であるヒューズの姿を思い浮かべれば無意識に顔が強張った。
「ヒューズに会うのは嫌か?」
 そんなハボックの表情の変化を見逃さずロイが尋ねる。大好きな黒曜石にじっと見つめられて、ハボックは慌てて首を振った。
「ううん、そんな事ないっス!」
「まあ、正直言うと私もあまり紹介したくないんだが……。紹介しないといつまでも煩いからな、悪いがちょっとだけ付き合ってくれ」
「……はい」
 言って立ち上がるロイに頷いて、ハボックはカップを置いて席を立つ。店を出て行くロイの背を見つめて、ハボックはため息をついた。
(紹介したくないって言うのは贈り主がオレじゃ恥ずかしいからかな……)
 私立アメストリス学園の中等部に通うハボックはまだ十五歳だ。かたやロイは大学生で年の差は五つもある。その上二人は同性となれば、ロイが自分を紹介したくないと思っても不思議はなかった。
(ヒューズ先輩か……。凄く頭が切れる人だっていう噂だけど)
 同じ学園内とはいえ中等部と大学では接する機会などほぼないに等しい。ハボックがロイと出会ったのは偶然で、その後こうして付き合うようになったのだってハボックがこっそりと贈ったバレンタインチョコが沢山贈られたチョコの中で偶々ロイの目にとまったという本当に偶然の積み重ねでしかないのだ。本来なら大学生のロイやヒューズとハボックに接点など持ちようがない筈だった。
(会ったらなんて言われるだろう。マスタング先輩、オレの事どういう風に紹介するのかな)
 もしかしたらファンだとか言って紹介するのかもしれない。
(これからもチョコ作って欲しいって言われたけど、チューしたけど――――オレ、中学生で……男だし、こっ、恋人なんて紹介できないよな)
 考えても考えてもいいことなど一つも浮かばない。
(会いたくないな……嫌だって言っちゃおうか)
 だがそう言えばロイの顔を潰す事になり、ロイを怒らせてしまうかもと思えば嫌とも言えなかった。
(なるべく悪い印象与えないように頑張ろう)
 ヒューズはロイの親友なのだ。少なくとも悪い印象だけは持たれたくないと、ハボックはギュッと手を握り締めた。

「こっちだ」
 そう言って地下に続く階段をロイは下りていく。漸く暮れ始めた通りに出された店の名前を記した看板をちらり見て、ハボックはロイを追って店に続く階段を下りた。
「ここ、バーっスか?」
「ああ、ヒューズとよく来るんだ。マスターがいい人でな」
 言いながらロイは店の扉を開ける。扉の向こうは趣味のよいバーになっており、微かな酒と煙草の香りが大人の空間であることを知らせて、自然ハボックは俯きがちになった。
「なんだ、まだ来てないじゃないか、ヒューズめ」
 グルリと店内を見回してロイは眉をしかめる。慣れた様子で一番奥のカウンター席に陣取るロイの横、背の高いスツールにハボックはよいしょとよじ登った。
(足届かねぇ……)
 学年の中では背が高い方だがそれでもフットレストに届かず足がブラブラしてしまう。隣に座るロイを盗み見れば、スツールに腰掛けてバーテンと話す仕草が様になっていて、ハボックはギュッと唇を噛み締めて俯いた。
緊張で喉が渇いてロイが頼んでくれたオレンジジュースも直ぐに空になってしまう。ロイに話しかける事も場に馴染む事も出来ずにハボックは泣きたくなった。
(もう帰りたい……)
 ハボックがそう思って涙に滲む瞳をギュッと閉じた時。
「わりぃわりぃ、遅くなった」
「ヒューズ、遅いぞ!」
 賑やかな声がして、ハボックは弾かれたように目を開ける。壁とロイの間で小さく身を縮めれば文句を言うロイの声に続いて興味津々のヒューズの声が聞こえた。
「んで?黒スグリのお姫さまはいずこ?」
 そう言いながら覗き込んできたヒューズとロイの肩越し目があって、ハボックは凍りついてしまう。涙の滲む空色の瞳を見開くハボックをまじまじと見つめたヒューズは「あっ」と声を上げた。
「お前、この間学校で会ったよな?ええと……ハボック、だっけ?」
 そう聞かれてハボックはおずおずと頷く。
「で?なんでコイツがここにいんの?」
「お前が会わせろと騒いだんだろう」
 尋ねるヒューズにロイが嫌そうに答えるのを聞いてキョトンとしたヒューズは次の瞬間ロイの肩をむんずと掴んでハボックの方へ身を乗り出した。
「ええッ?!じゃあコイツが黒スグリ姫ッ?マジッ?!」
「ごっごめんなさいッ!」
 素っ頓狂な声を上げるヒューズに、ハボックは思わず首を竦めて謝罪の声を上げる。ロイは肩を掴む手を払いのけてヒューズを睨んだ。
「ヒューズ」
「いやだって、コイツ、中坊だろ?ガキじゃん!いやそれ以上にお前男はお断りだって言ってたじゃねぇか!」
「ッ!」
 ヒューズが喚き散らす言葉の一つひとつがハボックの胸に突き刺さる。傷つくと同時にやっぱりと納得する自分もいて、ハボックはスツールからトンと下りた。
「あのっ、チョコを贈ったのはオレっスけど、それはマスタング先輩のファンだからで深い意味はないっスから!」
「えっ?」
 そう言えばヒューズでなくロイから声が返ってくる。ペコリとヒューズに頭を下げ出て行こうとするハボックの腕をロイはグッと掴んだ。
「ハボック、今のはどういう事だっ?」
「えっ?だって……」
 怒りをたたえて睨んでくる黒曜石にハボックは目を見開く。ロイの顔を見ていられず唇を噛んで俯けば腕を掴むロイの手に力が入って、ハボックは顔を歪めた。
「痛いっ、痛いっス!」
「ハボック、あのチョコレートはそう言う意味じゃないだろう?」
 言って顔を寄せてくるロイにハボックは首を竦める。視線を逸らしたままハボックは答えた。
「だって……オレはガキで男だし……ごめんなさい、オレ、迷惑だって気づかなくて……」
 キスしてくれたのはきっと自分を哀れと思ってのサービスだったのだ。そうハボックが思った時、グイと引き寄せられてハボックは驚いてロイを見上げた。次の瞬間噛みつくように口づけられてハボックは目を見開く。深く激しい口づけに驚いてハボックはもがいたがそうすれば口づけは一層深くなった。
「ンンッ!ン――――ッ!」
 きつく舌を絡め取られギュッと抱き締められてハボックはクラクラしてくる。フッと気が遠くなってくずおれそうになるハボックをロイはギュッと抱き締めた。
「おいおい、中坊のガキにそのキスはねぇんじゃないの?」
 くったりとロイに身を預けるハボックの耳にヒューズの呆れた声が聞こえる。そうすれば抱き締めるロイの腕に力が入るのをハボックは感じた。
「お前のせいだろうッ!ハボックに妙な事を言うなッ!」
 ギロリと睨んでくる黒曜石も全く気にした風もなくヒューズはロイとハボックを見る。凭れかかるハボックの細い体を引き寄せようとするヒューズに、ロイが慌ててハボックを引き戻した。
「ヒューズ!」
「いいだろう?ちょっとくらい」
 ヒューズは言ってハボックの顎を掬う。うっすらと涙を浮かべるハボックの空色の瞳を見つめて、ヒューズはニヤリと笑った。
「ふぅん、結構イイじゃん」
「え……?」
 言うなり顔を寄せてくるヒューズにハボックは目を瞠る。ヒューズの唇がハボックのそれに触れる寸前、ロイがハボックの頭を己の胸に抱き込んだ。
「貴様ッ!なにをするッ!」
「ちぇッ、ロイくんのケチー!」
「誰がケチだッ!ハボックに妙な事を吹き込むだけでなく悪さまでする気かッ!だからお前にハボックを紹介するのは嫌だったんだッ!」
「えっ?」
 頭上で怒鳴るロイの言葉にハボックは驚いて声を上げる。抱き込まれた胸元からロイを見上げて言った。
「オレの事が恥ずかしいから紹介したくないって言ったんじゃなかったんスか?」
「は?何を言ってるんだ、お前は。そんな筈ないだろう?」
 ロイは言ってハボックを真っ直ぐに見つめる。
「これからもずっと私の為にチョコを作ってくれる約束だろう?言っておくがな、ハボック。ヒューズの言うことは聞かなくていいからな。コイツはろくな事を言わん」
「おいおい、それはないだろう、ロイ」
 ロイが言うのを聞いてヒューズが苦笑するのに、フンと鼻を鳴らしてロイはハボックの髪を撫でた。
「好きだ、ハボック。何度も言うがヒューズには気をつけろ。私だけ見ていればいいからな」
「マスタング先輩……」
「やってらんねぇな、全く好き勝手言いやがって」
 呆れたようにぼやくヒューズの声を聞きながら、ハボックはロイの腕に優しく抱き締められて降ってくる唇を受け止めた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、更新の励みですv嬉しいですーv

ホワイトデー企画の「Black currant Cinderella」の続きの続きです(笑)で、タイトルが長くていちいちめんどくさいので(おい)「黒スグリ姫」で行こうと思いますー(苦笑)前回書いた続きを「黒スグリ姫1」に変えたので今回は「2」で。も〜15歳以下にはエチさせないとか言っていたのはどこへやら……最近は子ハボ書くのが楽しくていけませんね(苦笑)でも、こういうネタ、書いてて楽しいんだものー。よろしければお付き合い下さいませv

でもって、全然関係ないんですが、今日でまた一つ年食いました。15歳なんて一体いつの事だろうと思いつつ書いてましたよー(苦笑)可愛いハボックを書きつつ、受けハボの滴るようなエロが読みたいとか思っている、どうしようもない大人です(笑)あー、でも本当にそういうエロ読みたいなーッ!たまには人さまの書いたエロが読みたいと思いつつ一つ年取る誕生日……どうしようもない(苦笑)

以下、拍手お返事です。

600000打おめでとうございます♪ の方

本当にいつもありがとうございます!パチパチも沢山嬉しいです〜v毎度ハボックへの愛だけで成り立っているサイトではありますが、これからも一緒にハボックラブを叫んで頂けたら嬉しいですvどうぞよろしくお願いいたしますvv

阿修羅さま

日記、楽しんで頂けて嬉しいですーvニアピン2回目でしたか。ええと、じゃあもう一回?(苦笑)なんて、お忙しいのにとんでもないですね(汗)

なおさま

うふふ、最強ホークアイv私も恋愛が絡まないホークアイとハボックの絡みは書いててとっても楽しいですーvそうそう、もう母性擽りまくりですよね!そして誰も絶対に文句言えない。やっぱり最強ホークアイ(笑)
2014年04月07日(月)   No.383 (ロイハボ)

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  Photo by 空色地図

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