ロイハボ風味
「ヒューズ先輩!」 背後からかかった声に通りを歩いていたヒューズは足を止めて振り向く。そうすればハボックが手を振って駆け寄ってきた。 「こんにちは、先輩」 「────おう」 にっこりと笑って見上げてくるハボックをヒューズはまじまじと見つめる。見つめる目を細めて、ヒューズは言った。 「随分涼しげな格好だな」 「だって暑いんスもん」 そう言ってうんざりとため息をつくハボックはタンクトップとハーフパンツと言ういかにも夏らしい出で立ちだ。ゆったりとしたタンクトップは襟元といい袖口といい開口部が大きくて、少し前屈みになるだけで白い肌が丸見えだった。 「これからどこに行くんだ?」 「マスタング先輩と待ち合わせしてるんス。映画見に行こうって」 「ロイと?」 嬉しそうに笑って言うハボックにヒューズは眉を下げ大きなため息をつく。そんなヒューズの様子にハボックは不思議そうに首を傾げた。 「なんスか?先輩、もしかして一緒に行きたかった?」 「そうじゃなくて」 ポリポリと頬を掻いたヒューズは迷った末に言った。 「あのな、ハボック。頼むからロイの下半身を刺激しないでやってくれ」 「は?カハンシンヲシゲキ?ってなに?」 意味わかんないと眉を寄せるハボックにヒューズはげんなりと肩を落とす。チラリと辺りに視線をやれば慌てて目を背ける輩がいることに気づいて、ヒューズは小さく舌打ちした。 「ちょっと来い」 「えっ?でも、オレ、先輩と待ち合わせがっ!」 「すぐ終わる。このままじゃロイだけじゃなく他のヤツの下半身も刺激しまくりだ」 有無を言わさず腕を掴むとヒューズは近くの店に入っていく。棚から数枚Tシャツをとるとハボックの顔にあわせて一枚を選びレジに持っていった。 「すぐ着るからタグをとってくれ」 ヒューズは店員にそう言って支払いを済ませる。目を丸くしているハボックに買ったばかりのTシャツを押しつけた。 「そこの試着室借りて着替えてこい」 「えっ?なんでっ?」 「い・い・か・ら・き・が・え・ろ」 ギロリと睨まれて、ハボックは慌ててシャツを受け取り試着室で着替えを済ませる。着ていたタンクトップを店の袋に入れたハボックが不満げにヒューズを見た。 「Tシャツ暑いからタンクトップにしたのに。お気に入りのタンクトップ、マスタング先輩にも見せたかったのにー」 「見せたきゃ見せればいいだろ。ただし着るな」 「えーっ、意味わかんないっ!」 タンクトップを着るでなく持っていって見せろなど、一体どういう意味か判らずハボックがギャイギャイと文句を並べる。ヒューズはハボックの額を指で思い切り弾いた。 「イテッ」 「いいからさっさと行け。待ち合わせに遅れるぞ」 「えっ?今何時?────って、げっ!遅刻ッ!もうっ、ヒューズ先輩のせいっスからねッ!」 額を押さえながら時計で時間を確認したハボックがヒューズを睨む。ヒューズは肩を竦めてシッシッと手のひらでハボックを追いやった。 「ああ、はいはい。悪かったな。早く行け、ロイによろしくな」 「先輩のせいで遅くなったって言っとくっス!」 ハボックは大きな声でそう言って走り出す。 「まあ、ロイが知ったら感謝すんだろ」 あのタンクトップを見ればロイも事情を察するだろう。超特急で走り去る背中を見つめてヒューズは大きなため息をついた。
いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですーvv
「黒スグリ姫」です。無邪気な姫ハボ、実は凶悪(笑)そういや姫ハボ、ずっと中坊のつもりで書いてましたが、この間卒業式の話書いたなぁとふと思い出しました(爆)なんとなく姫ハボはずっと中坊がいいなーと思う反面育たないと先輩とのエチが書けない……うーん、うーん、悩むなぁ……。
以下、拍手お返事です。
市川さま
無配本、楽しんで頂けて嬉しいですvふふ、暗獣に引き続き新暗獣も読んで頂けて嬉しい〜vお友達の息子さんも可愛いですねvはぼっくとおんなじ(笑)風の行く先、早くラブラブになるよう頑張ります〜。でもまだ暫くかかりそうですが(苦笑)毎日暑いですね。市川さまもお体大切になさってください。
サエさま
こちらこそ読んでくださってありがとうございますv「風の行く先」今は書いている方もすれ違いが楽しくて仕方ありません(笑)なのでその辺り楽しんで下さって嬉しいです、ふふふvどうぞこの先も見守ってやって下さいv毎日暑くてたまりませんが、サエさまもお体大切にお過ごし下さい。
7/15 いつも楽しく拝見しています の方
いつも遊びに来て下さってありがとうございますvセレスタ!すっかりお待たせしてしまってすみません(汗)続きが読みたいと言って下さってとっても嬉しいですvなるべく早いうちに続きを書きますので、もう少しお待ち下さいませ。好きに任せて書くうちに数が増えて行きました。楽しんで頂けていたら嬉しいですv
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