babble babble


2015年07月の日記

2015年07月17日(金)
黒スグリ姫25
2015年07月07日(火)
新・暗獣60
2015年07月04日(土)
新・暗獣59

黒スグリ姫25
ロイハボ風味

「ヒューズ先輩!」
 背後からかかった声に通りを歩いていたヒューズは足を止めて振り向く。そうすればハボックが手を振って駆け寄ってきた。
「こんにちは、先輩」
「────おう」
 にっこりと笑って見上げてくるハボックをヒューズはまじまじと見つめる。見つめる目を細めて、ヒューズは言った。
「随分涼しげな格好だな」
「だって暑いんスもん」
 そう言ってうんざりとため息をつくハボックはタンクトップとハーフパンツと言ういかにも夏らしい出で立ちだ。ゆったりとしたタンクトップは襟元といい袖口といい開口部が大きくて、少し前屈みになるだけで白い肌が丸見えだった。
「これからどこに行くんだ?」
「マスタング先輩と待ち合わせしてるんス。映画見に行こうって」
「ロイと?」
 嬉しそうに笑って言うハボックにヒューズは眉を下げ大きなため息をつく。そんなヒューズの様子にハボックは不思議そうに首を傾げた。
「なんスか?先輩、もしかして一緒に行きたかった?」
「そうじゃなくて」
 ポリポリと頬を掻いたヒューズは迷った末に言った。
「あのな、ハボック。頼むからロイの下半身を刺激しないでやってくれ」
「は?カハンシンヲシゲキ?ってなに?」
 意味わかんないと眉を寄せるハボックにヒューズはげんなりと肩を落とす。チラリと辺りに視線をやれば慌てて目を背ける輩がいることに気づいて、ヒューズは小さく舌打ちした。
「ちょっと来い」
「えっ?でも、オレ、先輩と待ち合わせがっ!」
「すぐ終わる。このままじゃロイだけじゃなく他のヤツの下半身も刺激しまくりだ」
 有無を言わさず腕を掴むとヒューズは近くの店に入っていく。棚から数枚Tシャツをとるとハボックの顔にあわせて一枚を選びレジに持っていった。
「すぐ着るからタグをとってくれ」
 ヒューズは店員にそう言って支払いを済ませる。目を丸くしているハボックに買ったばかりのTシャツを押しつけた。
「そこの試着室借りて着替えてこい」
「えっ?なんでっ?」
「い・い・か・ら・き・が・え・ろ」
 ギロリと睨まれて、ハボックは慌ててシャツを受け取り試着室で着替えを済ませる。着ていたタンクトップを店の袋に入れたハボックが不満げにヒューズを見た。
「Tシャツ暑いからタンクトップにしたのに。お気に入りのタンクトップ、マスタング先輩にも見せたかったのにー」
「見せたきゃ見せればいいだろ。ただし着るな」
「えーっ、意味わかんないっ!」
 タンクトップを着るでなく持っていって見せろなど、一体どういう意味か判らずハボックがギャイギャイと文句を並べる。ヒューズはハボックの額を指で思い切り弾いた。
「イテッ」
「いいからさっさと行け。待ち合わせに遅れるぞ」
「えっ?今何時?────って、げっ!遅刻ッ!もうっ、ヒューズ先輩のせいっスからねッ!」
 額を押さえながら時計で時間を確認したハボックがヒューズを睨む。ヒューズは肩を竦めてシッシッと手のひらでハボックを追いやった。
「ああ、はいはい。悪かったな。早く行け、ロイによろしくな」
「先輩のせいで遅くなったって言っとくっス!」
 ハボックは大きな声でそう言って走り出す。
「まあ、ロイが知ったら感謝すんだろ」
 あのタンクトップを見ればロイも事情を察するだろう。超特急で走り去る背中を見つめてヒューズは大きなため息をついた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですーvv

「黒スグリ姫」です。無邪気な姫ハボ、実は凶悪(笑)そういや姫ハボ、ずっと中坊のつもりで書いてましたが、この間卒業式の話書いたなぁとふと思い出しました(爆)なんとなく姫ハボはずっと中坊がいいなーと思う反面育たないと先輩とのエチが書けない……うーん、うーん、悩むなぁ……。

以下、拍手お返事です。

市川さま

無配本、楽しんで頂けて嬉しいですvふふ、暗獣に引き続き新暗獣も読んで頂けて嬉しい〜vお友達の息子さんも可愛いですねvはぼっくとおんなじ(笑)風の行く先、早くラブラブになるよう頑張ります〜。でもまだ暫くかかりそうですが(苦笑)毎日暑いですね。市川さまもお体大切になさってください。

サエさま

こちらこそ読んでくださってありがとうございますv「風の行く先」今は書いている方もすれ違いが楽しくて仕方ありません(笑)なのでその辺り楽しんで下さって嬉しいです、ふふふvどうぞこの先も見守ってやって下さいv毎日暑くてたまりませんが、サエさまもお体大切にお過ごし下さい。

7/15 いつも楽しく拝見しています の方

いつも遊びに来て下さってありがとうございますvセレスタ!すっかりお待たせしてしまってすみません(汗)続きが読みたいと言って下さってとっても嬉しいですvなるべく早いうちに続きを書きますので、もう少しお待ち下さいませ。好きに任せて書くうちに数が増えて行きました。楽しんで頂けていたら嬉しいですv
2015年07月17日(金)   No.464 (ロイハボ)

新・暗獣60
「────?」
 窓辺の椅子に腰掛けて本を読んでいたロイは、どこからか聞こえてきたメロディに目を上げる。どこか調子っぱずれのその曲は、ロイの郷愁を煽り懐かしい気持ちを起こさせた。
「ハボック、か?」
 どうやら歌っているのはハボックらしい。だが、微妙に調子の外れたメロディは一体なんの曲か、思い出せそうで思い出せない苛立たしさをロイに与えた。
「どこで歌ってるんだ?」
 ロイは本をテーブルに置くと開いた窓から乗り出すようにして外を見る。夕暮れの迫る庭を見下ろしてハボックの姿を探したが、ここからではその姿を見つけることが出来なかった。
「まったく」
 仕方なしにロイは部屋を出て階下に降りる。庭へ続く扉を開けて外に出るとハボックの姿を探して辺りを見回した。
「ハボック?」
 呼びかけても聞こえてくるのは調子っぱずれの歌声だけで返事はない。ロイは歌声の出所(でどころ)を探して植木鉢の後ろを覗き庭木の葉の間を探ったが、急速に暮れていく庭の中小さな毛糸玉は見つからなかった。
「気になる……一体何の曲なんだ?」
 絶対に知っている曲だ。ここまで出ているのに思い出せない。ハボックに聞けば判るだろうが、聞こえるメロディは風に吹かれてどこから聞こえているのか判らなかった。
「うーん……」
 ロイは扉の前の段差に腰掛けて腕を組む。何とか思い出そうとして目を瞑ったロイは、メロディが風と一緒にさやさやと木々の葉を揺らしていることに気づいた。
「────まあいいか」
 目を瞑ってさやさやと葉を揺らすメロディを聞いていれば、それが何の曲なのかなんてことはどうでもよくなってくる。地面についた手に体を預けてロイが風とメロディを感じていると、ポンと軽い音を立ててロイの頭に小さな毛糸玉が降ってきた。
「ハボック」
 柔らかい毛を震わせてメロディを奏でていた毛糸玉が、ポンと跳ねて子供の姿になる。段差に腰掛けたロイの脚の間に座ったハボックは空に向かって手を伸ばした。
「ろーい!」
 その小さな手の先に見えるのはキラキラと煌めく天の川。
「あ────七夕」
 ハボックが歌っていたのは子供の頃聞いた七夕の歌だ。星の川に向かって手を伸ばしたハボックの歌に、ロイは今日が七夕だと言うことを思い出した。
「そうか、今日は七夕だったな」
「ろいっ」
 そう言えばハボックがロイを見てにっこりと笑う。
「……そうか、願い事をしそびれてしまったな」
 去年の今頃は一緒に短冊に願い事を書いた。二人そろって書いた願い事を星が聞き入れて、こうして一緒に過ごすことが出来たというのに。
「しまったな」
 ふと、不安になって呟くロイの手をハボックがキュッと握る。そうしてハボックは握ったロイの手ごと空を指さした。
「ろーいっ!」
 ニコニコと笑うハボックを目を見開いて見つめたロイは、フッと笑みを浮かべた。
「そうか、星に願えばいいんだな」
 短冊に言葉を認めなくとも星を見上げて願えばいい。
「ろぉい」
 答えて空を見上げるハボックの視線を追ってロイも空を見上げる。そうしてロイは調子っぱずれのハボックの歌を聞きながら、煌めく星に願いをかけたのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気もらってます、嬉しいですーvv

ここのところ日記と言えば「暗獣」しか書いてない気がしますが(苦笑)七夕の歌を聞いたら庭に座って空を見上げながらはぼっくが調子っぱずれの歌を歌っている姿が浮かんだもので(笑)ちなみにはぼっくが歌う歌に歌詞はありません。調子っぱずれのメロディだけ(笑)

今日は更新日ですね、間に合うかなぁ。まだ何も書けてないんだが(オイ)とりあえずお昼ご飯食べてから頑張ります〜。

以下、拍手お返事です。

なおさま

暗獣、そうなんですよ、自分だっていっつも本に夢中になり過ぎてはぼっくに「むーっ」って思われてるのに、ねぇ!(笑)ホントしょうがない大人です、増田さん(苦笑)おおう、万華鏡の専門店なんてあるんですか?うわぁ、行ってみたいなぁ!はぼっく、そのお店に入ったら絶対出てきませんよ(笑)ヒューズ、子供の扱いはすっごい上手そうですよね。ロイもはぼっくは可愛いけど、扱いは上手くないと思います。絶対悔しがりますよね(笑)
2015年07月07日(火)   No.463 (カプなし)

新・暗獣59
「ただいま、ハボック」
「ろーいっ」
 ガチャリと玄関の鍵を開ければ途端にハボックが飛び出してくる。ぱふんとしがみついてくる小さな体を受け止めてロイは言った。
「遅くなって悪かったな」
 一時間くらいと買い物に出かけたものの、途中蚤の市で古本を出しているのを見つけてついつい長居してしまった。ムゥと唇を突き出して見上げてくる空色に、ロイは「ごめんごめん」と金髪をかき混ぜて言った。
「そのかわりいいものを買ってきたぞ」
「ろい?」
 ロイは持っていた紙袋の中に手を入れる。本の間から細長い筒状のものを取り出してハボックに差し出した。
「万華鏡だよ」
「ろーい?」
 ハボックは不思議そうに筒を眺め振ってみる。首を傾げるハボックにロイはクスリと笑った。
「明るい方へ向けて筒を覗いてごらん」
 そう言われてハボックは窓の方へ筒先を向けて片目を筒に当てる。中を覗き込んだハボックの空色の瞳が大きく見開かれた。
「ろーいッ!」
「こうやってゆっくり回すんだ」
 ロイは言いながら筒を回してやる。中でキラキラと模様が変わったのだろう。ハボックがパアッと顔を輝かせた。
「ろいっ、ろーいっ」
「ふふ、気に入ったか?」
「ろいっ」
 コクコクと頷いたハボックがロイにギュッと抱きついてくる。ポンポンと背を叩くロイににっこりと笑ったハボックが万華鏡を手に家の中へ駆け込んでいく姿をロイは嬉しそうに見送った。

 その日からと言うものハボックは万華鏡を片時も手放さなくなった。窓辺だったり庭の紫陽花の側だったり場所は違ったものの、とにかく朝から晩まで万華鏡を覗いている。ロイが何か話しかけても返事が返ってくる事は殆どなくて、ロイはハボックに万華鏡をあげたことを後悔し始めていた。
「ハボック。朝顔のツルがずいぶん伸びたな。そろそろ花が咲くんじゃないか?」
 窓から庭を眺めながら言ったロイの言葉に、普段なら庭に飛び出していくハボックはまるで聞こえていない様子で万華鏡を眺めている。
「ちょっと手伝ってくれないか?ハボック。書斎の片づけをしたいんだ」
 そんな風に言えば嬉々として手伝ってくれたものなのに、やっぱりハボックは万華鏡から目を離そうとしないのだ。
(絶対気に入るとは思ったが、まさかここまではまるとは)
 喜ぶだろうと思ってはいたものの、幾ら何でもこれはいきすぎだ。なによりその空色が自分を見てくれない日々が続いて、日が経つにつれロイの機嫌は悪くなっていった。

「ハボック、そろそろ起きて――――」
 言いながら寝室の扉を開けて中を覗いたロイは、クッションの山の中、ハボックが万華鏡を抱き締めて眠っている姿を見つけて眉を顰める。足音を立てないように寝室の中に入ったロイは、クッションの山に近づくとスウスウと寝息を立てるハボックを見下ろした。
「なんだってそんなにそんなものがいいんだ」
 ハボックが綺麗な物が大好きなのは知っている。だから万華鏡を買ってきたのだ。だが。
 ロイは手を伸ばすとハボックの腕の中からそっと万華鏡を抜き去る。
「あんまり一つ事にのめり込むのはよくないんだ」
 そう小さく呟いて、ロイは万華鏡を手に寝室を出た。

 リビングのソファーに座って本を読んでいるロイの耳にハボックの悲鳴が聞こえる。二階で何やら引っ掻き回す音がしたと思うと、パタパタと足音がしてハボックがリビングに飛び込んできた。
「ろーいッ」
「どうした、ハボック。階段は駆けちゃいけないと言っているだろう?」
「ろーいッッ」
 本から顔も上げずに言えばハボックがロイの腕を引っ張る。あんまりグイグイ引くので仕方なしに本を置いて立ち上がれば、ハボックがロイを二階へと引っ張っていった。
「ろいッ、ろーいッ!」
 ハボックは必死に訴えてクッションの山をひっくり返し、カーテンを翻し、ベッドの下を覗く。それでも目当てのものを見つけられず、ハボックはロイの腕を掴んで叫んだ。
「ろいーッ、ろいッ!」
「……たっぷり楽しんだじゃないか、万華鏡はもういいだろう?」
 見上げてくる空色を見返す事が出来ず僅かに視線を逸らしてロイは言う。その途端大きく見開いた瞳から空色の涙がポロポロと零れ落ちた。
「ろーい〜っ、ろい〜っ」
 ぺたんと床に座り込んでハボックはポロポロと涙を流し続ける。しゃくりあげては泣き続けるハボックを見れば流石に罪悪感が込み上げて、ため息をついたロイはハボックを抱き上げて寝室を出るとリビングに行き戸棚の引出しから万華鏡を取り出した。
「ハボック」
 手にしたそれを差し出せばハボックが目を見開く。
「お前があんまり万華鏡ばかり見ているんで面白くなくてな……すまん」
 目を逸らして呟くように言うロイをハボックがじっと見つめる。あまりにじっと見つめられて居心地が悪くなり、ロイはハボックを下ろしてソファーに座ると本を手に取った。コチコチと時計の音だけが響く部屋の中、ロイは半ば意地のように本を捲り続ける。内容など全く頭に入ってこない本を睨みつけていると、いきなりハボックがロイと本の間に潜り込んできた。
「ハボックっ?」
「ろーい!」
 驚くロイの頬にハボックはチュッとキスしてにっこりと笑う。そうしてロイの膝の上で万華鏡を頭上に翳した。
「ろーい!!」
 ハボックは翳した万華鏡をクルクルと回して見せる。時折片目を瞑って万華鏡を遠目に覗いてはロイを見てニコニコと笑った。
「ろいっ、ろぉいっ!」
 たったひとつの言葉で一生懸命気持ちを伝えようとしているハボックを目を見開いて見つめたロイは、くしゃりと顔を歪める。
「ありがとう、ハボック」
 ロイは呟くように言って膝の上の小さな体を抱き締めた。
 そうして。その日から代わり番こに万華鏡を覗くのが二人の楽しい日課になった。


いつも遊びにきて下さってありがとうございます。拍手、本当に嬉しいですv

「暗獣」です。自分でお土産買っといて拗ねる大人気ない増田さん(笑)うちのロイはどのロイもこんな感じみたいです(苦笑)

しかし、気がつけば半年過ぎちゃいましたね。速いなぁ、一年なんてあっという間だ(汗)このふた月まともに更新してませんよ。まあ、私的には無配本の原稿書いてたりしてたので、あんまり書いてない気はしてないんですが……。でも、流石に二ヶ月連続で更新なしはマズイので、六月最後にロイハボだけコッソリ更新しております(苦笑)本当は玄関も変えようと思ったのですが、お借りした素材を上手く加工できなかったのでまだ桜のままだよ(苦)でも、折角四行詩は考えたのでギャラリーの方にそっとしまっておこうと思います。相変わらずしょうもないヤツですけどね(苦笑)今日はハボロイを更新予定です。あまりにサボってたのでサクサク書けない、と言うか読み直すとこから始めるもんで(爆)早いとこ通常運転に戻したい。玄関も変えなきゃ〜(汗)


以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、はぼっくが届けてくれたら嬉しいですよね。きっとあちこちで綺麗なものを貰いまくって、配ったものより沢山のお宝を持ち帰りそうです(笑)

灰さま

こんにちはv拍手ありがとうございます!こちらこそ本を貰って下さって嬉しいですvうお、十周年!そう聞くとなんか凄い気がしますが、マイペースで達成出来たらいいなと思います。これからも是非お付き合いお願いしますねv


サエさま

わーい、拍手でもありがとうございます!声を聞かせて頂けるのは本当に嬉しいですv暗獣、私自身気に入っているシリーズなので好きと言って頂けて嬉しくてニヤニヤしちゃいます(笑)またお時間ありましたら感想聞かせて頂けたら幸せです。これからもうちのロイとハボをどうぞよろしくお願いしますv


市川さま

ハボック便、無事お手元に届いて安心しました。読んで頂けるのを楽しみに製本しました。お楽しみ頂けたら本当に嬉しいです。これからもお付き合いよろしくお願いしますv


久々の更新、楽しみにしてました の方

更新気づいて下さってありがとうございます!待っていて下さる方がいると思うと、頑張る気持ちが湧いてきます!これからもまったりペースではありますが、続けていきたいと思いますのでよろしくお願いしますv
2015年07月04日(土)   No.462 (カプなし)

No. PASS
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
  Photo by 空色地図

[Admin] [TOP]
shiromuku(fs4)DIARY version 3.50