babble babble


2015年04月の日記

2015年04月28日(火)
新・暗獣58
2015年04月24日(金)
黒スグリ姫23
2015年04月14日(火)
新・暗獣57
2015年04月01日(水)
ノーマル路線に変更しますっ

新・暗獣58
「ハボック」
 家の中にない小さな姿を探してロイは庭に出る。するとチューリップの鉢植えの側にしゃがみ込むハボックを見つけて、ロイは目を細めた。
「やっぱりここか」
 先日一緒に公園に出かけた時、ハボックは色とりどりに咲き乱れる花の中でも特にチューリップが気に入ったらしく、他の花を見に行ってはチューリップのところへ戻っていた。そんなに気に入ったのならとロイは帰りにチューリップの鉢植えを買ってやった。それ以来ハボックは暇さえあればチューリップを眺めて過ごしているのだ。
「本当にチューリップが好きだな、お前は」
「ろいっ」
 言いながら子供の金髪をかき混ぜればハボックがチラリとロイを見る。だが、すぐその瞳はチューリップへと戻って、ハボックは黄色いチューリップの花をじっと見つめた。
「一体なにをそんなに見てるんだ?」
 公園でもそうだったがハボックは飽きもせずにカップのような花の中を覗いている。なにが見えるのかと尋ねてみても、いつもならなにかしら答えてくれるハボックはなにも言わずに一心に花を覗いているのだった。
「なあ、ハボック」
 あまりに熱心に見つめているのを見ればやはりロイとしても気になる。ハボックが喋る言葉は「ろい」の二文字だけだったが、説明してくれれば理解できる自信がロイにはあった。だが。
「ハボック?」
 漸く花から顔を上げて立ち上がったハボックは呼びかけるロイを振り向いたもののニコッと笑っただけでなにも言わずにタタタと駆けて行ってしまう。その背を見送ったロイは不満げに口を尖らせた。
「意外と意地が悪いぞ」
 ロイはそう呟いて花を覗いてみる。だが黄色い花弁の中には雄しべと雌しべがあるだけで特に変わったものは見つけられなかった。ロイはチューリップの中に何かを見つけるのを諦めて家に戻る。コーヒーを淹れリビングのソファーに腰を下ろし本を読もうと手に取った。一ページ、二ページとページを繰ったもののちっとも頭に入ってこず、ロイはため息をついて本を置いた。
「やっぱり気になる」
 チューリップの中にはなにが隠れているのだろう。物の怪のハボックには見えて人間の自分には見えないものなのだろうか。そんなことを考えながらロイは庭へと続く扉を開けて外に出る。陽射しの中で揺れているチューリップをヒョイと覗き込んだロイは黒い塊が花のカップにみっちりと詰まっているのを見て「ワッ」と驚きの声を上げた。
「────ハボック?」
 よく見ればそれは黒い毛糸玉でロイはまじまじと見つめる。風にそよそよと揺れる毛をロイはそっとつついてみた。
「寝てるのか?」
 どうやらハボックはチューリップのカップの中で眠っているらしい。毛糸玉をじっと見つめていたロイはクスリと笑って黒い毛を撫でた。
「気持ちよさそうだな」
 ほんのちょっぴり羨ましそうに言ってロイはチューリップの植木鉢をそっと持ち上げる。ハボックを起こしてしまわないよう静かに部屋に運び込み窓辺に鉢を置いた。そうして椅子を側に引き寄せると、チューリップのカップで眠る毛糸玉を時折覗きながら本を読んだのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、ありがとうございますvv

「暗獣」です。姫ハボの続きを書こうと思っていたのですが、チューリップの花って何かヒミツが隠れていそうってコメント頂いて「そう!そうなの!」って思ったもので、つい(笑)ハボックが何を見つけたのかはヒミツですが、ロイがみつけたのはハボックってことで(笑)

それにしてもポメラを前にすると急激に眠くなります〜(汗)いつもソファーの上に足を投げ出して足の上に乗せたクッションにポメラを置いて打ってるんですが、気がつくと寝てる……(苦)今日の更新、ハボロイは書きましたがロイハボは無理かもー。なんでこんなに眠いんだろう……幾らでも寝られそう(オイ)

以下、拍手お返事です。

なおさま

黒スグリ、うふふ、なおさまってばv先輩の気持ちお見通しですねッ!って、バレバレ?(笑)次回はその辺を先輩視点でじっくり書きますんでお楽しみに〜vラプンツェル、おおう、ハボが隠された王子vvものっ凄い妄想吹き荒れまくりですよッvvいや〜んvv

香深さま

リザハボ、ワクワクしますよね、うふふvv散って尚綺麗で楽しめる花って桜以外ない気がします。色んな日本語にもなっていて本当に素敵vはぼっく、そうなの、二人でいたいんですvチューリップの花、ヒミツが隠れてそうですよね!思わずお話書いてしまいました(笑)姫ハボ、そうなんですよー、まじないとのろいって同じ漢字なのです。でも何となく納得しちゃいませんか?先輩、本当に保護者並みかどうかは次回判明しますのでvそういえば最近チューしてないかなぁ。ねこあつめ、香深さまもやってますか?なごみますよねぇvまんぞくさんが来るとあっという間にエサが空になるので補充してあげると怒って帰ってしまうのには「えーっ」って思いました(笑)最近やっと模様替え全種揃えたので、今度はレア猫に来て貰えるようにグッズを買いそろえようと思っています(笑)くろねこさんの名前を一瞬ロイにしようかとも思ったのですが、やっぱりあのまんまなネーミングがツボだなぁって。やっと見分けがつくようになってきましたし(笑)
2015年04月28日(火)   No.452 (カプなし)

黒スグリ姫23
ロイハボ風味

「わあ、降ってきたっ」
 バラバラと降り注ぐ大粒の雨に悲鳴混じりの声をあげてハボックは近くの店の軒下に飛び込む。あっと言う間に辺りを白く煙らせて降りしきる雨をハボックは目を丸くして見つめた。
「どうしよう、すっごい降ってきちゃった……」
 今朝の天気予報、大気の状態が不安定でところにより雷雨になると気象予報士が言っていた。傘を持って出るようにという予報士のアドバイスを聞いてはいたが大丈夫だろうと決めつけて出かけたのは失敗だったらしい。流石に傘なしではやり過ごせない雨の量にハボックは後悔のため息を零した。
「待ってたらやむのかな」
 局地的な雷雨なら雨雲が過ぎればやむのだろうか。そう考えながらハボックはガラス越し店の時計を見て眉を寄せた。
「サッカー、始まっちゃうじゃん」
 今日はこれから贔屓のサッカーチームの試合の放送がある。雨がやむまで待っていたら放送が始まってしまうかもしれず、ハボックは一瞬迷ったもののキッと口を引き結んで空を睨んだ。
「もう寒くないしっ、ちょっとくらい濡れたって平気!」
 なにより試合を見逃したくはない。ハボックは大きく息を吸うと降りしきる雨の中に飛び出した。
「うひゃあっ」
 途端に激しい雨に打たれてハボックは首を竦める。ちょっとなんて生易しいものではなく、あっと言う間に下着までずぶ濡れになりながらハボックは通りを走った。
「なに、この雨ッ!信じらんないッ!」
 見ていたよりずっと激しい雨の勢いに辟易してハボックは叫ぶ。だが、走り出してしまった手前今更もう一度雨宿りする訳にもいかず、バシャバシャと雨を跳ね上げながら走っていると耳慣れた声が聞こえた。
「ハボックッ?!」
 その声にハボックは足を止めて声のした方を見る。すると傘をさしたロイとヒューズの姿が見えた。
「あ、先輩!」
「なにやってるんだ、お前はっ!」
 目を丸くしてハボックを見ていたロイが声を荒げて駆け寄ってくる。目を吊り上げて傘をさしかけてくるロイを見上げてハボックは言った。
「なにって……家に帰ろうと思って」
「傘は?」
「持ってこなかったっス」
「だったら雨がやむまで雨宿りしていればいいだろうっ」
「えーっ、だってサッカーの試合が始まっちゃうし」
「ハボックッッ!!」
 口を尖らせて言った途端もの凄い勢いで怒鳴られてハボックは目を丸くする。そうすればロイの隣で二人のやりとりを聞いていたヒューズがククッと笑って言った。
「そういや今日は試合の放送があるもんな。のんびり雨宿りしてたら始まっちまう」
「でしょッ!ヒューズ先輩も早く帰らないと始まっちゃうっスよ!」
 だから、と再び走り出そうとすればロイに手首を掴まれ引き留められる。急いでるのにと見上げるとロイは着ていたジャケットを脱いでハボックの肩にかけた。
「風邪を引いたらどうするんだ」
「平気っスよ。もう寒くないしちょっとくらい濡れたって」
 ハボックは言いながら濡れちゃうからとジャケットを脱ごうとする。だが、ロイはジャケットの前をグッと引き寄せて言った。
「いいから着てろ。急ぐなら私のマンションへ来い」
「えっ?いいっスよ。まだ間に合うし」
「いいからッ!マンションの方が近い。ほら」
 そう言って肩を押すロイを迷うように見上げるハボックにヒューズが言った。
「いいんじゃね?実際ロイのマンションの方が近いんだから」
「はあ、じゃあそうしようかな」
「そうしろ。ジャケットはちゃんと着ておけよ、ほらっ、前閉じて!」
 ヒューズの言葉にハボックが頷けばロイがホッとしたように言う。前を閉じろと言われ「寒くないのに」と呟いた途端ジロリと睨まれて、ハボックは慌ててジャケットの前をあわせた。
「行くぞ」
「はあい」
 傘をさしかけてくるロイに促されるままハボックは頷いて、ロイ達と一緒にマンションに向かって歩きだした。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、嬉しいですv

「黒スグリ姫」です。最近は随分暖かくなって、雨も冷たい雨じゃないなぁとか思ったらずぶ濡れ姫ハボ話になりました(笑)続きは先輩視点でv

最近、更新も日記もサボってばかりですみません。どうも集中力が続かないというか……萌えが足りん(苦)どっかに楽しいハボック転がってないかなぁ。アルスラーン戦記が始まって鋼も刺激されたりしないだろうかとしても仕方ない期待をしてみたり……。誰か私にギブミーハボック。とりあえず好きなサイトさまの昔の作品読み返したりしてます(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

暗獣、キューピーはぼっく!確かにそのイメージかも!(笑)とりあえず本を読みたければ夜中にこっそり読むしかなさそうです(苦笑)今年はあっという間に葉桜になっちゃいましたよねぇ。はらはらと花びらが舞い落ちる桜も風情があって素敵ですvセレスタ、はー、ついに大詰めですよ。皆さんに「えー」ってガッカリされないよう頑張りたいと思いますが、果たしてどうなるか不安一杯(苦笑)暇暇爺さんは本当に他に楽しみがないらしいです。ハボ迷惑(笑)でも、ゲートボールしてるブラッドレイ、想像つかない(笑)
2015年04月24日(金)   No.451 (ロイハボ)

新・暗獣57
「ろーいっ」
 図書館に行く支度をすませて玄関に行けばパタパタと足音が聞こえてハボックが飛びついてくる。手を取って行こうと促すハボックにロイは言った。
「今日はこれから図書館で調べものをするんだ。連れていけないよ」
「ろーいーっ」
 ロイの言葉にハボックが不満そうな声を上げてロイの腕を引っ張る。だがロイはハボックの金髪を撫でて言った。
「だめだ、ハボック。今日は連れていけない。いい子に留守番しててくれ」
 物の怪であるハボックがかつて古い屋敷を依代としていた頃は屋敷の外へ出かけることはできなかった。だが、ある事件を切欠に依代を小さな天使の飾りに変えた事で外に出られるようになり、ロイはハボックがお気に入りの尻尾を出さないことを条件に時々外へ連れて行くようになってはいたのだが。
(連れていってはやりたいが、行くのが図書館だからな)
 図書館で本に向かえば忽ち没頭してしまうのは判りきっている。外に連れ出すようになったとは言え、本音を言えばロイはハボックから目を離すのは堪らなく不安で、そうであれば図書館に一緒に連れていくのは考えられなかった。
「今度また一緒に出かけよう。だからハボック、今日はいい子に待っててくれ」
 ロイが言えば、ハボックが思い切り頬を膨らませる。
「ハボック」
 少しきつめに名を呼ぶロイをハボックは空色の瞳に涙を滲ませて睨むと「ろいっ」と、ロイのことを小さな手でドンと一突きするとパタパタと廊下を駆けて行ってしまった。
「ハボック」
 ちょっとばかり可哀想なことをしたとは思うが仕方ない。ロイはひとつため息を零すと、奥に向かって「行ってくるよ」と声をかけ外へ出た。
 通りを図書館に向かってロイは歩いていく。そうすれば春の陽射しの中、そこここに春の花が今を盛りとばかりに咲き乱れ美しさを競いあうのを目にして、ロイはキュッと唇を引き結んだ。
「─────」
 ロイはなるべくわき見せず、真っ直ぐ前を見て足早に図書館への道を急ぐ。漸く見えてきた図書館の入口にホッと息を吐くと小走りに駆け寄り中へと入った。
「ふぅ」
 平日のそれも朝も早い図書館は殆ど利用者がいない。ロイは顔馴染みの司書の女性に軽く頭を下げて挨拶するとひんやりとした空気の中、早速目当ての本を選んで窓際の机に積み上げ腰を下ろす。本をめくり文字を目で追い始めれば、あっと言う間に調べものに没頭した。
 時折ロイがページをめくる音以外物音のしない図書館の中、どれだけ時間が過ぎたのだろう。不意にガタンと大きく椅子を引く音がしてロイはハッとして顔を上げる。そうすればすまなそうに会釈する女性に笑みを返したロイは、視線を本に戻そうとして正面の窓から見える景色に目を吸い寄せられた。
「桜……」
 図書館の中庭に桜が満開に咲いている。大振りな枝に薄桃色の花を零れんばかりにつけた桜をじっと見つめていたロイは、ゆっくりと立ち上がり中庭に続く扉から外へと出た。中庭にはベンチが幾つか置いてある。ロイは桜のすぐ側のベンチに腰掛けると見事な桜を見上げた。
「すごいな」
 無意識に簡単の言葉がため息とともに零れる。見事な桜を見ていれば、ロイの心に押し込めていた後悔の気持ちが沸き上がってきた。
「やっぱり連れてきてやればよかった」
 図書館への道すがら、咲き乱れる花々はそれはそれは綺麗で、目にした瞬間ハボックを連れてきてやればよかったと思ったのだ。綺麗なものが大好きなハボックはきっと大喜びしたに違いない。
「……」
 ロイは満開の桜を見上げてため息をつく。涙ぐんで見上げてくるハボックの顔を思い出して、ロイが戻ろうか、だがきつく言って家を出た手前今更と思った時。
「うわッ?!」
 突然ポケットがモコモコッと動き出してロイはギョッとして声を上げる。するとポケットからピョーンと飛び出した黒い毛糸玉がパアッと目映い光を放った。
「ろいっ」
 スタッと両手を広げて着地したハボックの姿にロイは目を丸くする。慌ててポケットの中を見ると金色に光る小さな天使の飾りが入っているのが見えて、ロイはそれを摘みだして言った。
「いつの間に……」
「ろい」
 驚くロイにハボックが振り向いてにっこりと笑う。ロイが座るベンチによじ登ると並んで腰掛け桜を見上げた。
「ろーい」
 ハボックは笑って咲き誇る桜を指さす。にこにこと笑うハボックを見ているうち、ロイの顔にも笑みが浮かんだ。
「そうだな、こんな気持ちのいい日に図書館にこもって調べものなんかするべきじゃないな」
 ロイは言ってハボックの金髪をかき混ぜる。
「よし、今日はこれから公園に行ってお花見しよう。屋台でホットドッグとカフェオレとおいしい水を買って、きっと気持ちいいぞ」
「ろーいっ」
 言えばハボックが嬉しそうに笑って抱きついてくるのをロイはギュッと抱き締めた。そうして暫く桜を眺めた後、ハボックも手伝って本を戻して、二人は手を繋いで公園に出かけていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、いっつも励まされてますvv

お久しぶりの「暗獣」です。東京はもうとっくに桜は散ってしまいましたが、はぼっくとお花見vこの後はロイと公園行って、チューリップの中覗いたりチョウチョを追いかけまわしたりするかと思います。

以下、拍手お返事です。

なおさま

今回のエイプリールフールは中尉でしたよ!うふふvどんなの来るかなっと思っていて下さって、慌てて書いた甲斐がありました、いや危うく忘れてスルーしちゃうとこでしたよ(苦笑)やっぱりリザハボがすんなり形成されますよね!ハボリザ……うーん、お話浮かばないです(笑)

はたかぜさま

キャーッ!リザハボッッ!!リザ姐さんってばっ、ハボックってばッッvv……って、すみません、私も思い切り反応してしまいましたvvいやそれもうタマランですッ!!何度も読み返してニヤニヤしちゃいました、妄想膨らみまくり(笑)玄関、ありがとうございますv珍しい桜素材を見つけたのでお借りしてみました。毎度自分の頭の中の妄想を四行の中に必死に詰め込むのですが、そぞろ歩きする二人の姿を思い浮かべて頂けたのなら物凄く嬉しいですv今年の桜はなんだかあっという間に散ってしまいお花見をする間もなかった気がします。春気分、少しでもお届け出来たら嬉しいですーvv

こちらの小説を読んで、いつも元気もらってます!  の方

嬉しいお言葉、本当にありがとうございます!!正直稼働している鋼サイトさまも減ってモチベーションを持ち続けるのも大変な時もありますが、嬉しいお言葉頂いてまた頑張るぞな気持ちが湧いてきました。これからも楽しくハボックを書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしますvv
2015年04月14日(火)   No.450 (カプなし)

ノーマル路線に変更しますっ
リザハボ風味

「そう言うわけで大佐、アンタとは今日を限りにおしまいってことで」
「────は?」
 唐突にそんなことを言われて、ロイは執務机を挟んで立った長身の部下を見上げる。単なる部下と言うには深いつき合いの男を不思議そうに見つめてロイは言った。
「そう言うわけでってどう言うわけだ?今日を限りにおしまいって何を言っているのか判らんな」
 そう言うわけもなにも執務室に入ってきて最初に言った言葉がこれだ。なんの説明もされていないし、そもそもおしまいとは一体どういう意味だと尋ねるロイにハボックは答えた。
「どういう意味もなにも言葉の通りっスよ。大佐とはもう単なる上司と部下っていう、それ以上でもそれ以下でもない関係になるって事っス」
 ハボックはなんでもないように肩を竦めて言う。
「今までお世話になりました。それじゃあ失礼します」
 軽く頭を下げて形ばかりの礼を言って執務室を出ようとするハボックの腕をロイは慌てて掴んだ。
「ちょ……ッ、ちょっと待てッ!単なる上司と部下って……まさか他に好きな男が出来たのかッ?」
 漸くハボックの言葉の意味が脳味噌に届いてロイは目を吊り上げる。そんなロイをうんざりしたように見つめてハボックが答えた。
「男じゃねぇっス。つか、なんで好きな相手が男限定なんスか」
「いやだってお前……」
 自分から心変わりしたというのだ。一体どこの野郎かと尋ねればハボックが言った。
「そもそも男同士って不毛じゃありません?やっぱり生物学上で考えたら男女っていうのが普通なんスよ」
「え……?それじゃあ」
 ハボックの言葉にロイが目を丸くした時、コンコンとノックの音がして執務室の扉がカチャリと開いた。
「失礼します────ジャン、挨拶はもうすんだの?」
「中尉っ」
 顔を出してそう言うホークアイにハボックがパッと顔を輝かせる。腕を掴むロイの手を振り解いてホークアイに駆け寄るとその手を取った。
「はいっ、もうすんだっス、中尉。ちゃんと挨拶したっスよ」
「そう、ならもう何も問題ないわね」
 ギュッと大きな両手で手を包み込んで報告するハボックにホークアイは優しく微笑む。そうすれば嬉しそうに垂れた目を細めるハボックの髪を撫でるホークアイに、ロイが恐る恐る尋ねた。
「おい、ハボック……もしかして新しい相手っていうのは……」
「そうっスよ、中尉っス」
「な……ッ?!」
 満面の笑みを浮かべて頷くハボックにロイが黒曜石の目を見開く。信じられないとばかりに大きく口を開くロイの心情など気にする風もなく、ハボックは言った。
「中尉は優しいし頼りになるし、ずっと好きだったんスよね。そしたら中尉もオレのこと好きだって……へへ、すっげぇ嬉しかった」
「私もとっても嬉しいわ、あなたは素直でとっても可愛くて、ずっと大佐には勿体ないって思ってたの」
 そう言って見つめあう二人をロイは呆然と見つめる。
「え……い、いやだが、ハボックは私とつきあって……ッ」
「これまではそうでしたわね。でも今日からは……ね?ジャン」
「はいっ、中尉っ!」
 ハボックは自分のものだと必死に主張するロイを冷たく見遣った視線を優しいものに変えてハボックを見つめれば、元気よく返る答えにホークアイはクスリと笑った。
「中尉じゃないでしょう、ジャン」
「えっ?あ……え、えと……リ、リザ……っ」
 照れくさそうに言うハボックの染まった目元にホークアイはチュッとキスをする。それからジロリとロイを見て言った。
「そう言うわけで大佐。ハボック少尉は今日から私のものですから」
「い、いや、だがしかしッ」
「なにか異論でもおありですか?」
 必死に言い募ろうとしたものの鳶色の瞳で冷たく睨まれてロイは言葉を飲み込む。
「────な、なにもありません……」
「そうですか。じゃあ行きましょう、ジャン」
「はい、リザっ」
 ハボックは嬉しそうに答えると優しく微笑むホークアイと手を繋いで執務室を出ていってしまう。
「そ、そんな……ハボックっ」
 仲睦まじい二人の姿が扉の向こうに消えるのを呆然と見送って、がっくりと跪くロイだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになりますvv

んで。
やっぱり鋼で最強はリザ姐さんなので、ハボのお相手もやっぱりリザ姐さんって事で、今日から当サイトはハボロイ、ロイハボサイト改めリザハボサイトに衣替えしようかなって!かなって!って!(←強く主張してみた)

………………
………


――――ええ、もう毎年恒例過ぎて誰も相手にしてくれなさそうなエイプリールフールネタでございます。もうネタにもなにもなってない気もしますが(苦笑)でも、どうですか?リザハボv結構楽しいと思うんですが。いっそカプリング増やそうかしら、ふふふv
2015年04月01日(水)   No.449 (カプ色あり)

No. PASS
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
  Photo by 空色地図

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