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2016年03月の日記

2016年03月22日(火)
イーストシティのケーキ屋さん
2016年03月14日(月)
新・暗獣 Happy happy whiteday

イーストシティのケーキ屋さん
ロイハボ風味

「えっと、このレモンのケーキとミルフィーユ。それとこっちのチョコレートムースも入れてくれる?」
「はい、全部で三つっスね」
「ああ、いや。全部二つずつ!合計六個ね」
 注文のケーキをトレイに載せるハボックに客の男が言う。丁度店の中へ入ってきたロイは、客の言葉に顔をあげたハボックがにっこりと笑うのを見て眉をしかめた。
「二個ずつ合計六個っスか。いつも沢山買ってくれてありがとうございます」
「や、ハボックさんのケーキ旨いから当然ですよっ」
 笑みを浮かべて礼を言われた客が顔を赤らめて答える。アハハとわざとらしい笑い声を上げて頭を掻く男を、ロイはギロリと睨んだ。
「ハボック」
「あ、マスタングさん!いらっしゃい」
 ロイに気づいたハボックがパッと顔を輝かせてロイを見る。ゆっくりと近づいたロイはハボックが手にしたトレイの上のケーキを見て言った。
「シュークリームを買ってないとは、この店のケーキが本当に好きとは言えんな」
「えっ?」
「ちょっと、マスタングさん!」
 もの凄い目つきで睨まれてタジタジとする客を見て、ハボックが眉を寄せる。
「好きなものを好きなだけ買って貰うのが一番嬉しいんスから。────今お詰めするっスからちょっと待ってくださいね」
「あ、う、うんっ」
 ニコニコと笑うハボックに頷いた客はなるべくロイを見ないようにと顔を背ける。それでもロイの鋭い視線を頬に感じて、ヒクヒクと唇の端を震わせながらハボックが会計してくれるのを待った。
「お待たせしたっス、どうぞ」
「あ、ありがとう、ハボックさん!また来るねッ、ハボックさん!」
「はい、お待ちしてるっス」
 ロイの方を極力見ないようにしながら金を払ってケーキの箱を受け取った客は、ハボックの名を連呼しながら逃げるようにして店を出ていってしまう。「またどうぞ」とその背に声をかけるとハボックは店の奥へ引っ込んだ。ハボックがいなくなると、ロイは店の中にいる他の男性客を睨みつける。そうすればそのあまりの眼光に怯えて男たちがなにも買えずに店を出ていき、そうやって全ての男性客を無言の圧力で追い出して、ロイはフンと鼻を鳴らした。
「マシュマロの追加、持ってきた────あれっ?」
 店の奥からマシュマロのカップを手に戻ってきたハボックは、客がいなくなっていることに気づいて目を丸くする。出すの遅かったかなぁと呟きながらマシュマロを並べるハボックにロイが言った。
「おい、お前の店、やけに男の客が多くないか?」
「そうっスねぇ、結構男のお客さん、来てくれるっスね」
 ハボックはマシュマロの口を縛っているリボンを整えながら言う。
「みなさん、ケーキが好きなんスねぇ、嬉しいっス」
「ケーキが好きぃ?」
 嬉しそうに笑うハボックにロイは思い切り口元を歪めた。
「マスタングさんだってそうっしょ?ケーキが好きな男性が増えるのはケーキ屋としては嬉しい限りっスよ」
 だが、ハボックはロイの表情には気づかずそう言う。丁度ドアベルを鳴らして入ってきた女性に「いらっしゃいませ」と声をかけるハボックを、ロイは眉をしかめて見つめた。
(好きなのはケーキじゃないだろうっ!ちょっと見れば下心ありありなのが丸見えだろうがッ!)
 どの客もケーキよりハボックを見ていた。それに気づきもせずのんびりと笑っているのは如何なものか。
(これはやはり毎日通って他の男どもを近づけないようにしなくてはッ!)
 ニコニコと嬉しそうに客の対応するハボックの横顔を見つめながら、ロイは堅く心に誓ったのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、本当に元気貰ってます、嬉しいですーvv

ええと、バレンタイン、ホワイトデーとリク頂いて書いたケーキ屋さんハボックです。「ハボックの事だから自分目当てで来ているとは夢にも思わず“みなさん、お菓子が好きなんスねぇ”なんて呑気に思っていそう」とコメント頂いたので書いてみました。ハッ、コメントは男限定じゃない!(爆)そうだよねぇ、女性だってハボック目当てで来ますよね!でも、女性客も追い出しちゃうとハボック、商売あがったりだから(笑)それにしても、働けよ、ロイ!(笑)やっぱり休講ばっかりの大学教授かしら(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

うふふ、ホワイトデーエロネタ、楽しんで頂けて嬉しいですvロイ、チョロイですよね!(笑)軍の大佐と中佐がこんなんでいいのかって感じですが。悪友二人でエロチョコレート開発!なんか物凄い大変なチョコができそうです。そして、チョコを見ただけで反応するハボック!流石ワンコ、パブロフの犬状態ですねッ(笑)いやあ、そんなになったらハボック大変だなぁ、と言いつつ書いてみたい(爆)

はたかぜさま

えへへへへv可愛いって言って頂けてとっても嬉しいですーvロイ×2、色んな面で騒がしそうです。先輩は「私はあんな大人にはならん」って思ってそうだし、マスタングさんは「私が学生の頃はもう少し可愛げがあった」とか思っていそう(笑)拙宅の話を読んでいると頭の中で映像化して頂けるなんて、本当にもう嬉しい限りです!自分の頭の中に浮かんだハボやロイの姿や周りの様子を少しでも伝えられたらと思いながら書いているので、そう言って頂けるのは本当に本当に嬉しいですvv勿論はたかぜさまの想像力の賜物でもあるんですけど(笑)エロチョコレート、いい響きですよね!なんかフツーにCМやっていそう(爆)こちらこそ、楽しいリクエストをありがとうございましたvこれからもどうぞ囁いてやってくださいませv

里奈さま

わぁい、ロイもハボも可愛くて大好きなんて、ありがとうございます!萌えて頂けてますか?うふふふふ、嬉しい〜v作品数だけはちょっぴり自慢です(笑)これからも是非ストーキング(笑)お願いしますねv
2016年03月22日(火)   No.479 (ロイハボ)

新・暗獣 Happy happy whiteday
「ハボックちゃあん!マース君が来ましたよぉ!」
 ドンドンと扉を叩く音と共に陽気な声が聞こえる。ピョコッと金色の頭と同じ色の犬耳を立てて、ハボックが本を読むロイを見た。
「────ったく!もう少し静かに来られんのか、アイツは」
 ブツブツと文句を呟きながらロイは本をテーブルに置いて立ち上がる。玄関に向かえば、ハボックがフサフサの尻尾を振りながらついてきた。
「煩いぞッ!少しは静かにしろッ!」
 バンッと勢いよくロイは扉を開ける。ムスッとした顔で見つめてくる友人を無視して、ヒューズはロイのズボンにしがみついて見上げてくるハボックを見た。
「ハボックちゃんっ、元気だった?」
「ろい!」
 コクンと頷いてハボックは答えるとパッと身を翻してリビングに戻ってしまう。ニコニコとその背を見つめていたヒューズは低い声で尋ねた。
「おい、抜け駆けしなかったろうな」
「フン、このロイ・マスタングがそんなセコイ真似をする訳がなかろう」
 バチバチと交わす視線で火花を散らしてロイとヒューズは相手の様子を伺う。次の瞬間、二人同時にリビングに向かって駆けだした。
「「ハボック(ちゃん)ッッ!!」」
 互いを押し退けるようにしてもの凄い勢いでリビングに飛び込んでくる二人に、ハボックがぴゃっと飛び上がる。ポンッと黒い毛糸玉になるとカーテンの後ろに隠れてしまった。
「あっ、ハボック!おい、お前が驚かせるからッ!」
「ハボックちゃん!なに言ってる、お前がおっかない顔して飛び込むからだろッ!」
 ギャアギャアと大声で騒ぐ二人の様子を黒い毛糸玉がカーテンの陰からそっと伺う。それに気づいて、男二人は精一杯笑みを浮かべた。
「すまん、ハボック、大声を出して悪かった」
「ビックリさせちゃったね、ハボックちゃん。ごめんねッ」
「……ろーい」
 二人の言葉にハボックがポンと子供の姿に戻る。カーテンにしがみついて見上げてくる空色に、二人は互いに視線を交わすと一歩近づいた。
「あのな、ハボック、この間のバレンタインにクッキーをくれただろう?そのお返しを────」
「お返しっ、あげようと思ってさッ、ハボックちゃんッ」
「あっ、こらッ、ヒューズッ!押すんじゃないッ!」
「お前こそ押すなよ、ロイッ!俺がハボックちゃんに渡そうとしてるのにッ!」
「なんだとッ、私が先に渡すんだッ!」
「俺が先だッッ!!」
「ろーいー」
 プレゼントの包みを手にど突きあう二人にハボックがため息をつく。
「ろいッ!」
「「はいッッ」」
 腰に手を当てキッと睨んでくるハボックに、二人はピッと直立不動の姿勢を取る。ジロリと空色の瞳に睨まれて、二人は視線を交わすと膝をつきそっとプレゼントを差し出した。
「この間のバレンタインのお返しだ、ハボック。いつもありがとう。お前がいてくれて私は本当に幸せだ」
「俺からもバレンタインのお返し。ハボックちゃん、大好きだよ」
「ろい……」
 笑みを浮かべてプレゼントを差し出す二人にハボックが目を瞠る。それからにっこりと笑って両手を出すと、二つのプレゼントを受け取った。
 ハボックはソファーによじ登りプレゼントの包みを左右に置く。ロイから貰ったプレゼントを取り上げリボンを解き包みを開いた。
「ろいっ」
 中から出てきたのは繊細なカットが施されたクリスタルのグラスだった。
「水を飲むのにいいかなと思って」
「ろーいッ」
 そう言うロイにハボックは嬉しそうに笑ってグラスを宙に掲げる。そんなハボックにヒューズが焦れたように言った。
「ハボックちゃぁん、俺のも開けてよぅ」
「ろぉいっ」
 判ってると頷いて、ハボックはグラスをそっと置くとヒューズのプレゼントを手に取る。リボンを解いて包みを開くと中から綺麗な筒が出てきた。
「ろい?」
 キョトンとして筒を手にするハボックにヒューズは言う。
「ここの小さな穴から中を覗きながら筒をゆっくり回してごらん」
「ろい」
 ハボックは言われたとおり筒の片側の穴に目を当て筒をゆっくりと回す。そうすれば、綺麗なガラスの破片が様々な模様を描くのを見て、ハボックはパッと顔を輝かせた。
「ろーいッ!」
「カレイドスコープだよ。綺麗だろう?」
「ろいッ」
 ハボックは顔を輝かせて頷く。右手にロイのグラスを左手にヒューズのカレイドスコープを持ってピョンとソファーから飛び降りた。
「ろいっ、ろぉいっっ」
 ありがとうと礼を言って二人の頬にチュッとキスをする。
「ハボックっ」
「ハボックちゃぁんっ」
「ろいっ」
 ニコッと笑うハボックにロイとヒューズが感極まったような声を上げた。
 そうしてグラスで井戸の水を飲みながらカレイドスコープを覗くハボックの側で、ロイとヒューズはコーヒーを飲みながらのんびりと過ごしたのだった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、元気のもとです、嬉しいですvv

ホワイトデーですね。いただいたネタ、何とか書き上げました〜!作文自体は昨日で書き上がっていたのですが、玄関変えたり素材探したりしてたら結構時間がかかってしまって、一瞬間に合わないかと思っちゃいました(苦笑)今回はハボロイ、ロイハボ、ヒュハボとバランスよくネタをいただきまして(笑)今回も愛を込めて書きましたので、お楽しみ頂けましたら嬉しいです。その他企画部屋に格納しておりますので是非ご覧くださいませv

以下、拍手お返事です。

市川さま

感想沢山ありがとうございますv楽しんで読んで頂けて嬉しいですーvvそれからホワイトデーネタもありがとうございます!頑張って書いてみました。少しでもお楽しみ頂けたら嬉しいです。コメント頂けるのは本当に嬉しくて励みになるのでありがたいですv今日は本当に寒かったですが、そろそろ春がやってきそうですね。春の楽しいネタなんぞも囁いてくださったら嬉しいですー(笑)

はたかぜさま

うふふ、お名前なくても判りましたよ〜v二人のハボック、書いていて本当に楽しかったです!いつも自分では思いもしないようなネタをありがとうございますvvご一緒に楽しんで頂けましたら嬉しいです!やっと春がやってきそうですね。姫ハボにも春を楽しんで貰いたいなぁ……でもいつまでも中学生なんですけどね(笑)
2016年03月14日(月)   No.478 (カプなし)

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  Photo by 空色地図

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