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2014年09月の日記

2014年09月20日(土)
弟子入り
2014年09月11日(木)
黒スグリ姫11
2014年09月05日(金)
黒スグリ姫10

弟子入り
「オレを錬金術師にしてくださいッ!お願いしますッ!」
 家の門を開けようとした時いきなり飛び出してきた男にその言葉と共に頭を下げられて、ロイは思い切り顔をしかめる。胡散臭そうに見つめれば、男は慌てて顔の前で手を振った。
「怪しいもんじゃないっス!オレはただ焔の錬金術師に教えを乞いたくて――――」
「お前が怪しい者ではないとどうして判る?」
 ロイは男の言葉を遮ってピシリと言う。
「そもそもこんなところにいきなりやってくるなんて、消し炭にされても文句は言えんぞ」
 実際発火布を填めていたら迷うことなく指を鳴らしていた。銃を抜かなかったのは一緒にいたヒューズがダガーを掌に落とすのが判ったからだ。ロイに言われて金髪の男は背の高い体を小さく縮めて上目遣いにロイを見た。
「いきなりやってきたのは謝ります。でも他に方法を思いつかなくて……」
「そんなのはお前の勝手な事情だな。私には関係ない。とっとと帰れ」
「そんなっ!お願いしますッ、オレ、錬金術師になりたいんス!」
 男はロイの冷たい態度に声を張り上げて一歩出る。縋るように見つめてくる空色にほんの少し罪悪感を覚えながらロイは言った。
「教えを乞いたいならちゃんとその筋を通してこい。なんの身元の保証もない奴をホイホイと弟子に出来るか」
 ロイはきっぱりと言って門を開けて中に入ろうとする。だが、ついてくると思ったヒューズの声が背後に聞こえて、ロイは足を止めた。
「お前さん、なんで錬金術師になんてなろうと思ったんだ?」
「えっ?それはその……オレが住んでる所はすげぇ田舎で、禄なもんないし壊れた物を直すにしてもすぐには部品も手に入らないし大変なんスよ。ところがこの間旅の錬金術師が来て、パンッて拍手一つで何でも直したり作り替えたり……。だからオレも錬金術師になったらみんなの役にたてるかなぁって思って……。だからっ!」
 と男はロイを見る。
「オレを錬金術師にしてくださいッ!お願いしますッ!」
 男はそう言ってもう一度ロイに深々と頭を下げる。ロイはそんな男を見てため息をついた。
「幾ら頼まれても無理なものは無理だ。諦めて帰れ」
 何度頭を下げても頷いてはくれないロイに男は顔を歪める。ロイはこれ以上罪悪感を感じていたくなくて、今度こそと背を向けて歩き出す。するとヒューズが立ち去ろうとするロイの背に向かって言った。
「いいじゃないか、弟子にしてやれよ。オレが後見人になってやるから」
「は?何を言い出すんだ、ヒューズ」
「故郷のみんなの為なんて今時健気じゃねぇか。なぁに、コイツが何か悪さしようとしたらオレがコイツで始末してやるから」
 と、ヒューズは目にも留まらぬ速さでダガーをハボックの喉元に押し当てる。ギョッとして見開く空色の目元にチュッとキスを落として言った。
「それともなにか?お前、コイツを錬金術師にしてやれるほどの腕はないってか?焔の錬金術師も大したことねぇな」
 ヒューズは肩を竦めると紅くなってキスされた目元をゴシゴシとこすっている男に言った。
「残念だったな、お前を錬金術師にしてやるほどの腕はないってさ。悪いが田舎に帰りな」
「そんな……」
 すまなそうにヒューズに言われて男はがっくりと肩を落とす。
「……そっか、腕がないなら仕方ないっスね……」
 そう呟くとしょんぼりと項垂れて二人に背を向け歩き出そうとする男にロイが声を張り上げた。
「ちょっと待てッ!私に錬金術を教える腕がないだと?聞き捨てならんな」
「え?だってこの人が――」
「いいだろう、教えてやる。そんなに錬金術師になりたいと言うならな」
「本当っスかッ?」
 ロイの言葉に男がパッと顔を輝かせる。ロイはフンと鼻を鳴らして答えた。
「ああ、その代わり私の修行は厳しいぞ。途中で泣き言言っても聞かんからな」
「泣き言なんて言わないっス!」
 男は満面の笑みを浮かべて叫ぶ。
「頑張ります!よろしくお願いしますッ!」
 叫んで深々と頭を下げる男にヒューズが言った。
「よかったなぁ。で?お前、名前なんて言うんだ?」
「ハボックっス、ジャン・ハボック!どうぞよろしくお願いしますッ、マスタング大佐!」
「――――あ、ああ。しっかり気張れよ」
「はいっ」
 空色の瞳をキラキラと輝かせて答えるハボックに、ロイはドキリと跳ねた心臓を誤魔化すようにぶっきらぼうに答えた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、二年半ぶりに更新しましたーッ!ポチっとして下さった方、ありがとうございます、嬉しいですv

「舞妓はレディ」を見てきました。予想に違わず楽しい映画でした。しかし、方言って全然判りませんね(苦笑)私の母は両親が長崎の出なのでリズムは覚えがあるけれど名詞が全然違うのでやっぱり判らないと言ってました(笑)
そんなわけで「舞妓になりたい」ならぬ「錬金術師になりたい」ハボックでしたー。いや、舞妓でもよかったんですけどね(笑)
でもって、今日は「蜩の記」の試写会に行ってきました。これはこれでいい映画でしたよ。ちょっと寝ちゃったけど(爆)んで、遊んでばっかりいたら更新がね……。先週もサボったので今週は書くつもりだったんですけど、すみません、またハボロイお休みですー(苦)来週こそは何とかー(汗)

以下、拍手お返事です。

なおさま

黒スグリ、ええ、きっと効果ないと思います(笑)ふふふ、妄想大暴走大歓迎ですよ!前屈みのロイ、イイ男なだけに痛いですね(笑)セレスタ、なかなかすぐに手を取り合ってとはいかないようです…。肌をツヤツヤさせたブラッドレイ!想像すると笑えます(苦笑)風、うわ、ブラッドレイと仲よしこよしのロイ!い〜や〜〜ッ(爆)秋の、確かにハボックなら幾らでも食べられそうですv

阿修羅さま

風の行く先、うふふ、楽しんで下さって嬉しいですvドS大歓迎ですよッvvおお、避難勧告!本当に最近の天候不順は怖いですね。大きな災害にならない事を祈るばかりです。

ちいさーい声で言わせてください  の方

あはは、いやあ、確かに言われてみるとその通りかも!(笑)いい加減にしないとハボックに見捨てられちゃうのでその辺にしておけと言ってやろうと思います(笑)
2014年09月20日(土)   No.414 (カプなし)

黒スグリ姫11
ロイハボ風味

「あっ、そうだった、塗らなきゃ!」
 マットを借りて歩き出せばハボックが言う。なんだと尋ねるロイに、ハボックはバッグから日焼け止めのローションを取り出した。
「これこれ。塗らないと大変な事になっちゃう」
 そんな事を言うのを聞いてロイはクスリと笑う。
「女の子みたいだな」
「オレ、日焼けすると真っ赤になって大変な事になっちゃうんス。先輩は塗らなくても平気なんスか?」
 女の子みたいだと笑われて頬を染めながらもハボックが言う。確かにこの白い肌を夏の強い陽射しで焼いたなら火傷のようになってしまうだろう。女の子のようだなどと言ったことを悪かったなと思いつつロイは答えた。
「私は結構平気だな。いつの間にか何となく日焼けしていつの間にか何となく褪めてる感じだ」
「いいなぁ、先輩!腹筋割れてるしっ」
「それは関係ないだろう?」
 余程ロイの逞しい身体に感動したらしいハボックが言うのを聞いて、ロイがクスクスと笑う。波のプールの近くのロングチェアに場所を確保して、ハボックは早速日焼け止めローションを塗り始めた。手のひらにとっては腕に塗り肩に塗る。ローションを塗るハボックの手の陰から色の白い胸を彩る薄桃色の飾りが見え隠れするのを見ていられなくて、ロイは目を逸らした。
「せんぱぁい、背中塗ってくれませんか?」
「えっ?」
 そうすれば聞こえた声にロイはギョッとして振り向く。
「自分じゃうまく塗れないんス」
 言ってボトルを差し出されてロイは顔をひきつらせた。見ていてさえ目の毒なのに、ローションを塗るためとは言え触れたらどうにもならなくなりそうだ。
(と言うより、ローションを塗るなんてなんだかエロくないかっ?)
 ヌルヌルとしたローションを肌に塗ることを想像してロイは膨らみそうになる鼻を必死に窄める。ロイがよからぬ妄想を描いているなど考えもせずハボックが首を傾げた。
「先輩?」
「えっ?あ、ああ、確かに背中は塗りにくいよなっ」
 フハハと妙な笑い声をあげながらロイはボトルを受け取る。「お願いします」とニコッと笑って背を向けたハボックの白い背中にロイはゴクリと喉を鳴らした。
(落ち着けッ、日焼け止めローションを塗るだけだッ!何もイヤラシイ事をするわけではないんだからッ!)
 勝手にイヤラシイ想像をしているのはロイであってローションを塗る行為自体はイヤラシくも何ともない事にはさっぱり思い至らず、ロイは自分に言い聞かせながらローションを手のひらに取る。ピシャンとローションに濡れた手で背中に触れたロイは、滑らかな肌の感触にゾクリと背を震わせた。
(うわぁ)
 頭の中に湧き上がる妄想達をロイはふるふると頭を振って追い出す。なるべく肌に触れないよう、手に取ったローションを振り飛ばすようにしておざなりに塗ったロイは、ボトルの蓋を閉めて言った。
「こんなもんでいいかっ?」
「ありがとうございます、先輩」
 振り向いてハボックは礼を言うとボトルを受け取りバッグにしまう。借りたマットを手にしてハボックが言った。
「お待たせっ!行きましょ、先輩!」
「あ、ああ。ほら、脚、伸ばしてな」
「はーい」
 ニコッと笑うハボックの笑顔にすっかり調子を狂わされながらもロイは言う。ハボックはマットを手にしたままアキレス腱を伸ばしたり足首を回したりするとチラリとロイを見た。
「よし、行こうか」
「オレが1ばーんッ!」
 ロイが頷くのを見るなりハボックがマットを手にして走り出す。打ち寄せる波をバシャバシャと蹴散らして走ったハボックはマットごと水に身を投げた。
「わあいっ」
 寄せる波にフワリと浮いてハボックが歓声を上げる。遅れてプールに入ったロイが波に合わせてジャンプするのを見てハボックが言った。
「一緒に乗りましょ、先輩!」
「えっ?いやだが狭いだろう?」
「平気っスよ、こうやって横向きにすれば並んで波乗り出来るっス」
 ハボックは言いながらマットの向きを変える。その時大きな波がきて、ハボックがマットごとひっくり返った。
「ハボックっ?」
 水の中に沈んでしまったハボックにロイがギョッとして辺りを見回す。マットだけ浮かぶ水面に、ロイは慌ててハボックの姿を探した。その時ザバッと水を撒き散らして、ハボックがロイの背後から飛びつく。不意をつかれてハボック諸共水に沈んだロイはハボックの姿を探して水の中振り向いた。
「――――ッ」
 陽の光がキラキラと散る水の中、ハボックが金髪を水に泳がせる。大きく見開いた空色にふわりと笑みを浮かべて見つめられて、ロイの心臓が跳ねた。
「先輩ッ!」
 次の瞬間、二人してザバッと水を撒き散らして水面から顔を出す。きゃらきゃらと笑うハボックにロイは跳ね上がる心臓の鼓動を誤魔化そうと眉をしかめた。
「こら!ビックリするだろうッ」
「アハハッ、先輩、ひっくり返ったーッ」
 楽しそうに笑うハボックにロイはため息をつく。ハボックはプカプカと浮かぶマットを引き寄せマットの半分に乗った。
「ほら、先輩!早く乗って、乗って!」
「――――ああ」
 ドキドキとする心臓を持て余すロイの気持ちなどまるで気づかないハボックにロイは答えてマットに掴まる。その途端波が寄せて二人が掴まったマットがフワリと浮いた。
「わあッ」
 マットの上で揺れたハボックの滑らかな肌がロイに触れる。ドキリとするロイにハボックが笑って言った。
「やっぱ波乗り楽しいっスね!」
「ああ、そうだな……」
 果たして今日一日心臓が持つだろうか。無邪気に笑うハボックに答えつつこっそり思うロイだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

「黒スグリ姫」です。9月になろうが挫けずプールです!(苦笑)「日焼けが心配」ってコメント頂いたので塗ってみました。もう、先輩、プールから上がったら股間がヤバい事になってるんじゃないかと心配でなりません(爆)

以下、拍手お返事です。

なおさま

黒スグリ、やっぱり下半身が心配ですよね!(笑)でもって日焼けネタ使わせて頂きましたー(コラ)マットで波乗りなんてした日にゃバリバリ焼けそうですが(苦笑)そして、「せんばい」!!教えて下さってありがとうございますッ!慌てて直しておきましたよ〜(汗)基本日記ネタは余程長いのを除けば携帯のメール機能でチマチマと時間の隙間に打っているので、変換する時に「ぱ」まで回さなかったか行きすぎたかって感じだと思われ(苦)いや全く、話の冒頭で「せんばい」はないよね……orz でも、先輩、バイはダメーッ!ハボックが泣いちゃう(笑)セレスタ、ブラッドレイフランクだけは食いたくありません(爆)そうですねぇ、多少強くはなったかもですが、まだまだ山あり谷ありです、きっと(ふふ)風、いやもう変態Sスイッチ回転しまくりですよ!ホントにもうハボックてばどうしてこんな男がいいんだか(苦笑)とか言いつつ、まだもう少し続くかな(爆)

はぎわらおぎりさま

うわ、階段落ちて捻挫って、大丈夫ですか??疲労から貧血とのことですが、くれぐれもお体大切になさってくださいね。怪我した攻めに受けが色々させられるって話は6年くらい前にロイハボを日記で書きましたよ〜。動けないを理由に色々させるのってやっぱり萌えますよね(笑)私なんて一年通して脳味噌発酵してますから(爆)
2014年09月11日(木)   No.413 (ロイハボ)

黒スグリ姫10
ロイハボ風味

「せんぱーい!」
 待ち合わせの駅前の時計台の下に立っていると遠くから声がする。読んでいた本を閉じて顔を上げれば、ハボックが息急ききって走ってきた。
「ハボック」
「す、すんません、待たせちゃって……っ、ちゃんと十五分前にはっ、こ、来ようと思ってたっ、んスけどっ」
 ハアハアと弾む息の合間にハボックが言う。ロイは笑みを浮かべて閉じた本を鞄に入れながら言った。
「そんなに慌てて来なくてもよかったのに」
「でもっ、ヒューズ先輩がマスタング先輩は十五分前には来てるって……っ」
 そう言うハボックの言葉にロイは眉を寄せる。可愛い恋人に余計な情報を与える友人の頭を心の中で一発殴って、ロイは口を開いた。
「毎回そうと言うわけじゃないさ。今日だって少し前に来たばかりだしな」
「ホントっスか?」
「ああ」
 心配そうに言うハボックの金色の頭を撫でてやれば、漸くハボックが安心したように笑った。
「よし、じゃあ行こうか」
「はいっ」
 元気よく答えるハボックの手を取れば、ハボックがカアッと頬を染める。それでも振り解かれはしない事にロイは笑みを浮かべてハボックの手を引いてバス停に向かった。
 プールは駅前からバス停の数にして三つほど乗ったところだ。程なくしてついたプールの入口で券を見せて入ると、更衣室のロッカーに荷物を入れながらハボックが言った。
「早く着替えられるように水着着てきちゃったっス」
「私もだよ。ちゃんと帰りの下着、忘れずに持ってきたか?」
「大丈夫、何度も確認したっスから!忘れたらシャレになんないしっ」
 本当に何度も確認したのだろう。拳を握り締めて言うハボックの言葉を笑って聞きながらロイは着ていたシャツを脱ぐ。そうすればハボックが空色の瞳を丸くして言った。
「先輩ってスゴイ」
「え?なにが?」
 唐突な言葉にロイがキョトンとして聞き返す。そうすればハボックがロイの体を見つめながら答えた。
「オレ、先輩って細身だとばっかり思ってたんスけど、実はすっげぇ鍛えてるんスね!腹筋割れてるしっ」
 ハボックは感動したように言うとロイの腹を撫でる。「いいなぁ」と羨ましそうにいいながら撫でるその擽ったい指の動きから身を捩って逃げると、ロイは脱いだシャツをロッカーにしまった。
「ほら、早くしないとおいていくぞ」
「わあ、待って!」
 不要なものをしまってロッカーに鍵をかけようとするロイに言って、ハボックはTシャツの裾に手をかけ一気に脱いだ。それからハーフパンツを脱いで水着一枚になる。必要な物を残してロッカーに押し込んで鍵をかけてくれと言おうとしたハボックは、ロイが自分をジッと見つめている事に気づいて首を傾げた。
「先輩、どうかしたんスか?」
「――――え?あっ、いや、別にっ」
 ロイにしては珍しく慌てた様子にハボックが不思議そうな顔をする。ロイはコインを放り込んで鍵をかけると早口に言った。
「さ、行くぞっ!泳ぎたくてウズウズしてるんだっ」
「あ、待って、先輩!」
 言ってさっさと歩き出すロイをハボックが慌てて追う。すぐ後ろからついてくるハボックの気配を感じながらロイは思った。
(何をしてるっ、ロイ!ハボックが変に思うだろう!――――いや、だが、しかし)
 と、ロイはチラリとハボックを見やる。水着一枚のハボックの少年特有のスラリと伸びた手足やまだ発達しきらない滑らかな体を視界の隅に捉えて、ロイは胸が高鳴るのを感じた。
(可愛い)
 思わず手を伸ばして抱き締めたくなるのをロイは必死にこらえる。ロッカールームを出ると降り注ぐ陽射しに目を細めて立ち止まれば、ハボックがロイを追い越して走った。
「先輩!オレ、ウォータースライダー行きたいっス!」
 あっちとハボックが指差して言う。ロイは振り向いたハボックの白い肌から無理矢理視線を引き剥がして答えた。
「まあ、待て。まずは水に体を慣らしてからだ。こっちの波のあるプールから入ろう」
「そっか、そうっスね!」
 ロイの言葉にハボックは素直に頷く。プールに向かうと思いきや、手を伸ばしてきたハボックに腕を取られて、ロイはギョッとしてハボックを見た。
「先輩!マット借りて波乗りしたい!いいっしょ?」
「あ、ああ!勿論っ!」
 多少上擦った声で答えて、ロイは遊具の貸し出しコーナーへと向かう。ぶら下がるようにして腕にしがみつくハボックの滑らかな肌に肘が触れて、ロイはムッと唇を引き結んだ。
(落ち着け、ロイ!平常心だッ!)
 自分でも信じられないほどドギマギする自身にロイは必死に言い聞かせる。そんなロイを腕にしがみついたハボックが不思議そうに見上げて言った。
「どうかしたんスか?先輩、変な顔してる」
「えっ?いやっ、気のせいだろうッ!あ、ほら、ハボック、何色のマットにするっ?」
「あっ、オレねっ、青がいいな!あ、でも黄色もいいかな」
 丁度貸し出しコーナーに着いたのをいいことに聞けば、ハボックが手を離してマットを選び始める。
(参った……まさかこんな事になろうとは)
 これまで女の子とデートでプールに来てもやましい気持ちになどなったことはなかったと言うのに、ほんの少し触れられたくらいで興奮してしまうとは。白い背中を見つめてこっそりため息をつけばハボックが振り向いてロイを見た、
「先輩、これがいい!」
 水色のマットを掲げてニッコリ笑うハボックにロイはドキリとする。だが、続けてハボックが言う言葉を聞いて、ロイは目を見開いた。
「今日はいっぱい遊んで下さいね!オレ、昨日からすっげぇ楽しみにしてたんス!」
 無邪気に笑うハボックにロイも笑みを浮かべる。
「――――ああ、そうだな」
 こんな邪な想いは脇に置いて先ずは楽しむことを考えなければ。
「よし、先ずは波乗りして、それからウォータースライダーだ」
「やったぁ!」
「うわっ」
 そう思いながらもハボックに飛びつかれれば、やっぱりドギマギしてしまうロイだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、更新の励みですvv

「黒スグリ姫」です。もう9月に入っちゃったと言うのにプールです。と、とりあえず今日は30度くらいあるらしいしッ!(汗)夏祭りは書けなかったから秋祭りかなぁ……秋祭りに浴衣じゃダメかしらん。ああ全く、なんで夏にチャッチャと書かなかったかなぁ(苦)今年の夏はあっという間だったよ(トホ)

明日は法事なので早めに書かなきゃと思いつつ、まだ半分しか書けてない(汗)ハボロイ間に合わなかったらごめんなさい(滝汗)

以下、拍手お返事です。

なおさま

獣、ハスキーも冬向きですものね!そっかー、飲み水に氷入れるんですね。人間だって氷入れるんだもんなぁ。ワンコにも氷水!ハボック、すぐ氷をガリガリして『ヒューズさん、もっとーッ』とか言いそうです(笑)セレスタ、あはは、きっと「えっ、ここで回想くるかッ?」って思った方は多いだろうなと思いつつ、いつも行きあたりばったりに書く私の脳味噌に浮かんだのが回想シーンだったもので(苦笑)そんなバッチいフランクフルト嫌だーッ(爆)とりあえずブラッドレイフランクがどうなるかお楽しみに!(爆)風、いやもう、ホント変態オヤジ全開ですよ(苦笑)まだもう少し変態をお楽しみください(笑)

阿修羅さま

やはりどうしても年配になると治りも悪くなるのでしょうか。早く治りますように。どうぞお大事になさってくださいね。「風の行く先」ふふふ、S心擽りますか?もう、ハボックをどうやって啼かそうかとワクワクしながら書いているので、そう言って頂けて嬉しいですーvもう少し啼かせてやろうと思っているので、楽しんで下さいねッv
2014年09月05日(金)   No.412 (ロイハボ)

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  Photo by 空色地図

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