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2015年03月の日記

2015年03月31日(火)
黒スグリ姫22
2015年03月21日(土)
黒スグリ姫21

黒スグリ姫22
ロイハボ風味

「せんぱぁい!」
 中庭のベンチで本を読んでいると聞こえた呼声と足音にロイは本から顔を上げる。そうすれば胸に薔薇の飾りをつけ卒業証書が入った筒を手にしたハボックが駆け寄ってきた。
「ハボック、もう式は終わったのか?」
 ロイは本を閉じて立ち上がりながら尋ねる。
「はい。でもまだクラスで写真撮るって言うから待たせちゃうかも」
 ごめんなさいと言うハボックにロイは笑みを浮かべて答えた。
「構わないさ。中学卒業なんだし、色々話もあるんじゃないか?」
 そう言われてハボックは小首を傾げる。
「うーん、まぁ卒業っちゃ卒業なんスけど殆どみんなそのまま上に上がるし、あんまり卒業って感じじゃないんスよね」
「でも一応区切りだからな。卒業おめでとう、ハボック」
 そう言って金髪を撫でられくすぐったそうに首をすくめたハボックは、ふと思い出したように尋ねた。
「そういえば先輩、第二ボタンってなんか意味あるんスか?」
「えっ?」
 突然そんな事を聞かれてロイは目を瞠る。続くハボックの言葉を聞いて、見開いたロイの目が更に大きく見開かれた。
「クラスの女の子から第二ボタン欲しいって言われたんスよね」
「っ?それでっ?なんて答えたんだっ?」
 ハボックの制服を見ればボタンは全てちゃんとついているから渡していない事は判る。だが渡す約束をしていないとは限らず焦って尋ねるロイの気持ちに気づいた様子もなくハボックは答えた。
「オレ、この制服気に入ってるし記念にとっておこうと思ってるんスけど、ボタンくらいなら家に予備のあるし欲しいって言うならあげてもいいかなって」
「おい」
「でも、そしたら他にも何人も欲しいっていう女の子達がきて、何だか誰にあげても気不味いって雰囲気になっちゃって……。つか、こんなボタン、みんな同じの持ってるじゃん。なんで欲しがんの?」
 アメストリス学園の制服は有名デザイナーがデザインしたもので、男女とも同じ紺地で胸に学園のエンブレムが刺繍されたブレザーに、男子はチェックのズボン、女子はチェックのスカートをはき、学年毎に色の違うネクタイやリボンをつけている。可愛いと評判で制服着たさに入学する生徒もいるくらいだ。だが、男女で同じデザインのブレザーのボタンのデザインは当然一緒で、ハボックにはどうしてボタンを欲しがるのかさっぱり判らなかった。
「なんでこんなボタンが欲しいんだろう。マスタング先輩ん時もあったんスか?こういうの」
「お前……」
 ハボックが恋愛事情に疎いのも自分に向けられるそう言った感情ににぶいのもよく知っている。そんなところが可愛いと思いもする。だが、時にこの鈍さは罪ではないかと思ったりもするのだ。
(まあ、この場合は気づかないでくれた方がいいわけなんだが)
 ロイはそう考えながら小首を傾げるハボックに手を伸ばす。制服の第二ボタンを掴むと強引に毟り取った。
「うわ……っ、なにするんスかっ?」
 いきなりボタンを毟り取られてハボックがギョッとして飛び上がる。
「マスタング先輩っ」
「ボタンがなければくれと言われて困る事もないだろう?」
「っ、そ、そりゃそうっスけど……」
 確かにロイのいうことに間違いはない。だがなんとなく釈然としないものを感じながらハボックはボタンを留めていた糸がダラリと垂れ下がる制服を見下ろした。
「だからって毟らなくてもいいのに……」
 これから写真撮るのにと唇を突き出すハボックにロイは言った。
「証書の筒で隠しとおけ。ほら、早く行って撮ってこい。後でお祝いする時好きなデザート食べていいから」
 それで許せと全く悪びれた様子もなく言うロイをハボックは恨めしげに見る。それでもこれ以上言ってもしかたないと一つため息をついて言った。
「じゃあハボックスペシャル!チョコいっぱいかけて!」
 ハボックはそう言うと「また後で」と手を振って行ってしまう。その背を見送ってロイは手の中のボタンを見た。
「益々目が離せなくなるな」
 これから先益々魅力的になれば更に言い寄ってくる人間は増えるだろう。
「いいさ、他の誰にも目なんか向かないようにしてやるから」
 自分だけを見るように、ロイはお呪いをかけるように手の中のボタンにそっと口づけた。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、いつも支えて貰ってます、ホントにありがとうございます!

「黒スグリ姫」です。最近こればっかりですみません(汗)第二ボタン、知らなかったのはうちの息子です(苦笑)六年も男子校通ってるとこうなるのか…。春からの進学先も理系で女子率低いしなー。益々疎くなりそう。姫ハボなら可愛いが息子じゃ可愛くない(笑)
あ、それから二泊三日で実家に来てます。今日帰りますが流石に更新は無理かと…。すみません〜(汗)

以下、拍手お返事です。

阿修羅さま

キリリクチャレンジありがとうございます!狙うとかえってとれないものなんですかね…?むしろ狙わない方がいいとか??うーん……。



なおさま

セレスタ、ロイ、マーキングつける犬のようですが(笑)ハッ、色気ダダ漏れ!気づかなI かった〜っ(爆)大丈夫か、ハボ!(おい)お仕事お疲れ様です!お忙しい中遊びに来てくださってありがとうございますvハボックで少しでもリフレッシュして頂けるなら嬉しいですv
2015年03月31日(火)   No.448 (ロイハボ)

黒スグリ姫21
ロイハボ風味

『ヤキモチ妬くなんて、変!』
 自分はヤキモチ妬きなのだと伝えれば、そう言うハボックの事をロイは思い出す。
『だってオレ、先輩が大好きっスもん』
 そう言って抱き抱えたチューリップに負けない鮮やかな笑みを浮かべるハボックの事を思い浮かべてため息をつけば、一緒にランチをとっていたヒューズが言った。
「なんだよ、ため息なんてついて」
「んあ?」
 尋ねられ、ロイはぼーっと思い詰めた顔でヒューズを見る。つき合いの長い男の今までにない表情に、ヒューズはやれやれと肩を竦めた。
「なに、またお姫さまの事か?ホワイトデーはデートしたんだろう?」
「ああ、まあな」
 ロイは頷きながらエビフライをつつく。
「ロキシタンで食事した」
「へぇ、あそこに連れていったのか」
 ロイのお気に入りのレストラン。だが、ロイはこれまでつきあった誰も連れていったことはなかったはずだ。
「あの店はお前が寛ぐための店で誰も連れていかないんじゃなかったのか?」
「ハボックは別だ」
「へー」
 言えば眼鏡の奥の目を細めるヒューズをロイは睨む。
「なんだよ」
「いや、本気なんだなぁと思ってさ」
 これまでのロイの恋愛はまるでちょっとしたアクセサリーのようで、決して長続きすることはなくここ暫くは特定の相手もいなかった。そんなロイが事もあろうに中学生のそれも同性にこれほど本気になるとは、チョコの贈り主を捜す手伝いをした時には全く思いもしなかった事だ。
「本気に決まってるだろう。可愛くて可愛くてどうにかなりそうだ。この間のホワイトデーだって、ほわほわの黄色のセーターですっごく可愛かったんだ」
「ほー、そいつはよかったデスね」
 大真面目にそう言うロイにヒューズはげんなりと言う。この後も惚気が続くのかと思いきやムッと唇を突き出してロイが言った。
「それなのにハボックときたら自分がどれだけ可愛くて魅力的かって事にこれっぽっちも気づいてやしないんだ。一緒に歩いていて私たちに視線が集まるのが私がカッコいいからだと言うんだぞ?」
「まあ、それは間違ってないんじゃねぇの?」
 ロイが人目を惹く存在なのはよく知っている。だが、ロイは思い切り目を吊り上げて言った。
「なにを言う。私よりハボックの方が注目されてたさ。挙げ句の果てには写真を撮らせてくれなんていう輩が現れたんだぞッ」
「それはそれは」
 確かにハボックは可愛いし、アイドル的に写真を撮りたいという人間がいても不思議ではない。
「まあ、いいんじゃねぇ?そんなに可愛い子が恋人と思えば自慢だろ?」
「冗談じゃない」
 そんなにめくじら立てなくてもと言うヒューズにロイは更に目を吊り上げた。
「私以外の誰かの手にハボックを渡せるわけないッ」
「写真だろ?実物じゃないんだから」
「写真だろうが実物だろうが関係ないッ」
「もうとっくに写真とか撮られてんじゃねぇの?今更────って、ロイ君っ?!」
 肩を竦めて言いかけたヒューズは、いきなり椅子を蹴立てて立ち上がったロイに目を丸くする。バンッと目の前に手をつかれて、食器と一緒に椅子の上で跳ね上がってヒューズは目を丸くしてロイを見上げた。
「誰がハボックの写真を持ってるって?」
「え?いやそれはそう言う可能性もあるんじゃないかなーって、いや待て待てッ、ロイ!」
 もの凄い目つきで辺りを見回すロイの腕を掴んでヒューズはロイを座らせる。はーっとため息をついてヒューズは言った。
「お前なぁ、ヤキモチも大概にしないと嫌われるぞ」
「えっ」
 言えば顔色を変えるロイを見てヒューズはニヤリと笑う。
「もう、先輩ってばヤキモチばっかり!オレの事信用してねぇの?そんな先輩、嫌いっス!」
 両手を握り締め、科を作って高い作り声でヒューズが言えば、ロイが思い切り顔をしかめた。
「気色の悪い真似はやめろ」
「だったらつまんないヤキモチ妬くなよ。周りがどうだろうとハボックが好きなのはお前だけだってよく判ってんだろ?」
 そう言われてロイの脳裏にハボックの鮮やかな笑顔が浮かぶ。
『チューリップ、すげぇ嬉しい。先輩、大好き』
 その笑顔に引き寄せられるように、チューリップごとハボックを抱き締めて何度も口づけた。
「判ってるさ……判ってるけど止められない」
「末期だな」
「煩い」
 やれやれとため息をつくヒューズにロイもため息混じりに答える。そんなロイにヒューズはニヤリと笑った。
「いっそ俺がハボックを貰ってやろうか」
「燃やすぞ」
 言えば途端にギロリと睨まれたが、ヒューズはそんなロイの視線も構わず楽しそうに続ける。
「止められないならいっそそう言うのもありだよな。サッカーで誘えばホイホイついてきそうだし」
「おい」
 決して冗談ではすまなそうなことを言い出せばロイが身を乗り出すのを見て、ヒューズはニヤニヤとしながら言った。
「よし、早速誘ってみるか」
「おいっ、ヒューズ」
 言いながらスマートフォンを取り出すヒューズにロイが慌てて手を伸ばす。
「無駄なヤキモチ、無駄でなくしてやるって」
「ふざけるなッ!本気で燃やされたいかッ」
「いや〜ん、暴力振るう先輩キライっ」
「────燃やすッ」
 逃げ出しながらゲラゲラと笑うヒューズと目を吊り上げて追いかけるロイと、無駄に注目を浴びる大学生二人だった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。パチパチ拍手沢山、とっても嬉しいですv

ごー無ー沙ー汰しております!日記、え?三週間ぶり?うわぁ(汗)火曜の更新はサボりまくりだったしな…。申し訳ないです(滝汗)
私事ではありますが、一昨日は息子の卒業式でした。6年通った学校ともこれでお別れかぁと思うと親はちょっぴりしんみりしますが、当の本人はそんな事もなく昨日から友達と卒業旅行に行ってます。温泉つかって美味しいもの食べて、ダラダラしてゲーム三昧するらしい。まったく!まあ、第一志望合格という一番いい形で四月からの進学先も決まった事だし、リフレッシュしてこれからに備えてくれればと思いますが(笑)
それから私事第二弾で、息子がスマホデビューするにあたり私もスマホにしましたー。ガラケーがもういかれてバッテリーがいきなりゼロになったりするもんで買い換えるつもりではいたのですが、ガラケー本体代分割+月々の使用料よりスマホ(実質0円)+月々の使用料の方が安いんですよねー。スマホにしたいとは思っていなかったものの絶対ガラケーという訳でもなかったので安い方にしようって(笑)おかげで些細な事が判らずたんびイラッとしながらネットで検索する日々を送ってます(苦笑)あ、でも三月末で終了するアプリ「鋼の錬金術師ギャラリー」をダウンロード出来たのは良かったなーって。目新しい絵はないですが、ハボックが私のスマホにいる幸せ(笑)あと、折角スマホにしたので何か無料アプリをと探して「ねこあつめ」と言うアプリにはまってます。庭にオモチャとエサを置いておくと色んな猫が遊びに来てくれるのを眺めると言う何てことはないアプリなんですが、妙に癒されると言う(笑)犬でもこんなアプリがあればいいのにと思ったけど、そもそも犬じゃ成り立たないですよね(苦笑)育成ものは課金しないとつまらなくなりそうだし、課金はやりだすと際限なくなりそうなので無料でまったり楽しめるアプリないかなぁ。何かオススメアプリあったら教えて下さい(笑)


と、長々書いたところで、お久しぶりの日記は「黒スグリ姫」です。20はホワイトデー部屋にあります、念の為(笑)段々バカップルになりつつあるような、ロイ→→→←←←ハボって感じですよね。もういい加減にしろと言うか、よくヒューズがつきあってくれるなぁと(苦笑)揶揄いでもしなきゃやってられないだろうと思います。いや、ホント(笑)

以下、拍手お返事です。

阿修羅さま

ワンちゃん大変でしたね!そんな病気があるなんて知りませんでしたが、喋れない犬だけに余計に可哀想で見ていた阿修羅さまもお辛かったでしょう。少しずつ快方に向かわれているようで安心しました。少しでも早く元気になってくれるよう願っています。月の鏡、やっとお届け開始です(笑)楽しんで頂けるように頑張りますよ!風の行く先、ホント早く自覚しろよと揺さぶってやりたくなります(苦笑)ホワイトデー企画、ハボロイも募集してたんですよ(笑)折角囁いて頂いたのに書けなくてすみません(汗)次回また機会がありましたらお願いします。

なおさま

黒スグリ、オネエロイ!(爆)ちょっとヤかも〜(笑)そうですね、まだまだロイを翻弄して欲しいですvセレスタ、確かにメビウスの輪状態は避けないとです(苦笑)アームストロング少佐の穴開き板とブレダ!究極の選択なんですが(爆)不安たっぷりのロイがブレダを行かせたりしないといいんですが(おい)ホワイトデーネタも楽しんで下さって嬉しいですv大尉、ありがとうございます!こう言う立ち位置のキャラ大好きなんですよ。そう言って頂けて嬉しいですvヒューズ、色々噂されてそう(笑)そして絶対ロイへのチョコは忘れてますよね!むくれたロイに報復されたりして。ヒューズがイーストシティに来るタイミングを狙ってハボを出張に出すとか。出張先まで追いかけて大尉にこっぴどく叱られそうです(笑)

香深さま

マスタング先輩、何とかクールダウンした……のかな?(笑)大丈夫、妄想は妄想に留めておきますのでご安心ください。やっぱり姫ハボの初めては先輩に貰ってもらわないと(笑)ジャムネタ、美味しく頂きましたvジャムと一緒にお嫁入りかなぁ、ふふふvホワイトデー姫ハボも楽しんで下さって嬉しいですv百倍返し!やっぱり嫁に行くしかないですね(笑)嫁入りのブーケは黄色いチューリップで決まりですv姫ハボのところは母ととっても仲良さそうで書いてて楽しいので、また何かあったら囁いてやってくださいねvラッセルテリアエド、想像するとニヤニヤしちゃいます(笑)セレスタ、本当にやっとここまできました。長く迷った二人だからこそ幸せにしてあげたいと思います。おお、いつか帰る、読み返して下さってありがとうございますv前に書いた作品を引っ張り出して読んで頂けるのは本当に嬉しいですvふふ、ハボ、可愛いですか?嬉しいなv姫、甘えたら先輩の柔な理性が一瞬でブチ切れそうです(笑)先日実家に行ったら沈丁花がとてもいい香りでした。はぼっくで沈丁花ネタも書きたいなぁ。

ホワイトデーネタ、楽しかったです  の方

わーい!楽しんで頂けてすっごく嬉しいですvv姫ハボ、キュンとして頂けましたか?えへへ、嬉しいなぁvそう、リザは最恐なんですよ!ハボロイからのリザハボ!うわぁ、スゴイかも!(笑)バレンタイン、ホワイトデーとお付き合い下さってありがとうございますv甘い二人を楽しんで頂けたならこちらこそとっても幸せです。ありがとうございますv
2015年03月21日(土)   No.445 (ロイハボ)

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  Photo by 空色地図

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