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2015年08月の日記

2015年08月16日(日)
黒スグリ姫26
2015年08月09日(日)
新・暗獣 はぼっくの日
2015年08月08日(土)
新・暗獣 ひゅとはぼの日
2015年08月03日(月)
蜂蜜の日

黒スグリ姫26
ロイハボ風味

「せんぱぁいっ!」
 銀時計で時間を確かめた時呼ぶ声が聞こえて、ロイは視線を上げる。そうすればハボックが手を振って駆け寄ってきた。
「ご、ごめんなさい……っ、おそく、なっちゃって……ッ」
 ハアハアと弾む息の合間にハボックが謝罪の言葉を口にする。膝に手をあて前屈みになったハボックの半ば酸欠のような状態に、ロイは笑みを浮かべて言った。
「まだ間に合うから心配するな。それより大丈夫か?」
「へ、平気っス……」
「あんまり平気そうじゃないな」
 ゼイゼイと必死に空気を取り込もうとする様はとても苦しそうだ。それでもロイが優しく背を撫でていればやがて落ち着いてきて、ハボックはにっこりと笑った。
「すんません、もう大丈夫っス」
「そうか?じゃあ行こうか」
 ロイは言ってあらかじめ買っていた映画のチケットを差し出す。「ありがとうございます」と言って受け取るハボックが着ているTシャツを見て、ロイは首を傾げた。
「珍しいな、お前がそんなシャツを着るなんて」
 ハボックが着ているTシャツはよく似合っているし趣味もいい。だが、普段ハボックが好んで着ているものとは感じが違っていると思えて、ポップコーンを買う列に並びながらロイは尋ねた。
「ああ、これ。ヒューズ先輩が買ってくれたんス」
「────は?ヒューズが?」
「あ、先輩っ、オレ、ちょっとトイレ行ってきてもいいっスか?」
「おい、ヒューズが買ってくれたって、それはどういう────」
「ポップコーン、お願いしますッ!」
「あ、こらっ、ハボックッ!!」
 ロイが止めるのも構わずハボックはトイレに走っていってしまう。慌てて追いかけようとしたものの丁度順番が回ってきて、ロイは気になりながらも仕方なしにポップコーンと二人分の飲み物を買った。
「ヒューズが買ってくれたって?なんでヒューズがハボックにッ?!」
 確かにヒューズはハボックを可愛がっているし、ハボックもヒューズに懐いている。悔しいがそれは事実だしその事をとやかく言うのはやめようと思っている。だが、服を買うとなると話は別だ。ジュースを買ってやる位ならともかく、身につけるものを自分以外の男がハボックに贈るなど、たとえそれが親友だろうと許せる筈がない。
 一体どうしてそんなことになったのか、ハボックに問い質そうとロイが苛々しながら待っていると開幕を知らせる曲が流れた。
「ごめんなさいッ、お待たせしましたッ!先輩はトイレ平気?」
「ああ、大丈夫だが、そんなことよりハボック!ヒューズがTシャツを買ってくれたって、一体どういう────」
「先輩!早くしないともう始まっちゃう!」
 問い質そうと言いかけたロイの言葉を遮って、ハボックが ロイの腕を引く。仕方なしにシアター6と書かれた劇場に入って席についたところで、ロイは改めてハボックに尋ねた。
「ハボック、そのTシャツだが、ヒューズに買ってもらったって一体どうしてそんな事に────」
「よかった!まだこれからだ!よかったっスね、先輩!」
「あ、ああ。そうだな」
 ニコッと笑って言われて、ロイは思わず頷いてしまう。ハボックの手にコーラのコップを渡して自分はアイスコーヒーを啜ったロイは、ハッとして言った。
「いや、だからな、ハボック!そのTシャツ────」
「シーッ、始まった、先輩!」
 だが、今度は上映が始まってしまってロイはウッと口を噤む。いつものように映画が始まれば忽ちその世界に入り込んでしまうハボックにそれ以上尋ねる事が出来ず、ロイは苛々として爪を噛んだ。
(ヒューズがハボックにTシャツをッ?)
(一体いつの間にそんな仲になったんだッ?)
(ヒューズの奴、私に断りもなくハボックに服を贈るなんてッ!)
(幾らヒューズでも赦せんぞッ!いや、ヒューズだからこそ赦せんッ!)
(ハボックもハボックだッ!私というものがありながら他の男からプレゼントを受け取るとはッ!)
(あまつさえその服をデートに着てくるなんて、幾らハボックがニブイとはいえ私をなんだと思ってるんだッ!!)
(ヒューズ〜〜〜ッッ!!あんのクソ髭ッ!!)
 とにかくもう、ハボックがヒューズからもらったTシャツを着ていると言うことが気になって、ロイの頭の中はその事だけでいっぱいだ。苛立ちに任せてコーヒーをゴクゴクと飲みポップコーンをバクバクと食べても映画はなかなか終わらず、思わず席を蹴って立ち上がりそうになる体をロイは最後の理性の欠片で何とかシートに押さえつけた。
 そうこうするうちに漸くスクリーンにエンドロールが流れる。ぞろぞろと出口に向かう人の流れに混じりながら前を行く客の尻をさっさと行けと蹴飛ばしたくなる気持ちを必死に押さえて外に出た途端、ロイはハボックの腕をむんずと掴んだ。
「おいっ、ハボックッ!Tシャツをヒューズに貰ったってどう言うことだッ!?」
「へ?」
 映画の余韻に浸っていたハボックは、突然大声で問い質されて目を丸くする。一体なにをそんなに目くじらたてているのだろうと思いながらも、ハボックは手にした袋からタンクトップを取り出した。
「よく意味が判んないんスけど、オレがこのタンクトップ着てたらヒューズ先輩が“ロイの下半身を刺激するな”とか“他の男の下半身も刺激しまくりだ”とか訳判んない事言って、Tシャツ買って着替えろって」
「は?」
「ねぇ、このタンクトップ、いいっしょ?すげぇ気に入って買って、絶対先輩とのデートで着ていこうって着てきたのに、ヒューズ先輩に着替えさせられたんスよ?酷いと思わないっスか?」
 そう言ってハボックが広げたタンクトップをロイはまじまじと見つめる。襟刳りといい袖口といい開口部が大きいタンクトップを見て、ロイはヒューズの言わんとしていることを察した。
「なるほど……そういうことか」
「えっ?なに?このタンクトップよくないっスか?」
 ボソリとロイが呟いた言葉をよく聞き取れないハボックが手にしたタンクトップを見てがっかりと肩を落とす。「いいと思ったのになぁ……」としょんぼりするハボックに、ロイは慌てて言った。
「そんな事ないよ、ハボック。とてもいい柄だし、きっとお前に似合うだろうな。でも」
 と、ロイはハボックに顔を寄せる。
「他の奴には見せたくないから私と二人きりの時に着てくれないか?」
「えっ?」
「このタンクトップを着た可愛いお前は私だけが見ていたいんだ」
 いいだろう?と優しく囁かれてハボックは真っ赤になる。
「せっ、先輩ってば馬鹿じゃないのッ」
「馬鹿でもなんでもそうしたいんだよ」
「…………先輩がそう言うならそれでもいいけどッ」
「ありがとう、ハボック」
 真っ赤な顔で頷くハボックを引き寄せて頬にキスを落としながら。
(クソ髭なんて言って悪かった!感謝するぞ、ヒューズっ)
 心の中でヒューズに詫びるロイだった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、やる気の元です!本当にありがとうございますv

今日まで旅行に来ております。今回の旅行のメインはダンナと息子につきあってプロ野球観戦ツアーですよ!マツダスタジアムで広島・ヤクルト戦を、京セラドームでオリックス・ロッテ戦を、そして今日はナゴヤドームで中日・巨人戦を見てきますー。最初の二戦はどっちもホームチームの圧勝だったので、中日ファンの息子としてはナゴドもホームチームのワンサイドゲームを期待してるようです(笑)
そんなわけで土曜日の更新はお休みでしたー。ごめんなさいです(汗)

……んで。今帰りの新幹線です。ワンサイドゲームにはなりませんでしたが、三対二で勝ちましたー。最後は新幹線の時間の関係で九回表の途中までしか見られなかったのでネットで勝利を確認したのですが、地下鉄乗ってたら地元のおじいさんに「どうでした?」と聞かれ(息子が中日のユニフォーム着てたので)「勝ちました!」と答えたら一緒に喜んでくれました(笑)息子が「やっぱいいなぁ、名古屋に住みたいぜ」と勝利を分かちあう喜びを噛みしめてましたよ(笑)

と言うところで「黒スグリ姫」です。相変わらずニブチンの姫ハボにやきもきする先輩(笑)次は祭に行きたいなぁ。浴衣姿も周りを刺激しそうですが(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

「暗獣」カラスと仲良くなるはぼっく!いいなぁ、それ!頭に毛糸玉乗っけたカラス、是非見つけてみたいですよ(笑)

毎日暑い日が続きますね  の方

お忙しいのに早速遊びに来てくださって嬉しいですvvセレスタ、楽しみにしてくださってありがとうございます!これからも楽しんで頂けるように頑張りますね。本当に毎日暑い日が続きますが、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください。うちのロイとハボがリフレッシュのお役に立てたら嬉しいですーv
2015年08月16日(日)   No.468 (ロイハボ)

新・暗獣 はぼっくの日
「じゃあハボック、ちょっと出かけてくるからいい子でお留守番していてくれ」
 そう言って金色の髪をくしゃりとかき混ぜるロイをハボックはほんの少し不服そうに見上げる。本当は一人で留守番するのは大嫌いだったから玄関に向かうロイの後についていき、振り向いたその顔をじっと見つめた。
「ろーい」
「頼むよ、ハボック。いい子だから」
 ロイはそう言ってもう一度ハボックの髪をかき混ぜる。今回はどうしても連れていってくれそうにないと、ハボックは肩を落としてため息をついた。
「ろい」
「すぐ帰ってくるからな」
 それだけ言ってロイは出かけていってしまう。ハボックはパタンと閉じた扉を唇を突き出して見つめていたが、少しするとすごすごとリビングに戻りぽすんとソファーに倒れ込んだ。
「ろーい……」
 以前に比べて随分と一緒に外へ連れていってくれるようになったロイだったが、やはりどこかでハボックを他人とふれあわせる事に警戒する節がある。それがかつての悲しい記憶と結びついていると判っていれば、ちょっぴりは我慢しなくちゃいけないのかなぁと思った。それでも。
「ろーいっ」
 やっぱりロイと一緒に行きたい。一人で留守番なんてつまんないと、ハボックはガバッとソファーから飛び起きる。リビングを出て中庭へ出たハボックは、ハーフパンツのポケットから小さな天使の飾りを取り出した。
「ろーい」
 これはかつてハボックがお気に入りだった天使の時計についていた飾りだ。正時ごとにくるくると回って時を告げていた薄い金属で出来た天使は、今ではハボックの依代となっている。これを持って出ればどこだって行けるのにと、ハボックが金色の天使を空にかざした時。
「カアッ」
 一声鳴き声が聞こえたと思うと、黒い影がサッとハボックの前をよぎる。大きなカラスはハボックの手から天使を奪い取ると、そのまま空に向かって舞い上がった。
「ろーいッッ!!」
 びっくりしたハボックが慌てて手を伸ばしたが、カラスはあっと言う間に空に舞い上がってしまう。それと同時に天使の依代に引っ張られるようにハボックの体が宙に浮かんだ。
「ろいっ、ろぉいッ!」
 ふわりと体が浮いてハボックはじたばたと宙を掻く。カラスが空高く舞い上がるにつれハボックの体もどんどん空に向かって上がっていった。
「ろいっ」
 上空は思いの外風が強い。手足を広げて宙に浮かび上がったハボックは、強い風に金髪を乱されながら尻尾で必死にバランスをとろうとした。
「ろ、ろいっ」
 だが、軽い体は簡単に風に煽られ上手くバランスをとれない。仕方なしにハボックはポンと黒い毛糸玉に姿を変えた。毛糸玉はふよふよと宙を漂って盗人のカラスに追いつく。ハボックはカラスの頭に乗ると高い空から地上を見下ろして形のない目を見開いた。
 空から見た地上はまるで絵本の一ページのようだ。家々の屋根や公園の緑、流れる川が銀色にキラキラと光るのを見て、ハボックは楽しくなってカラスの頭の上で跳ねた。そうすればカラスが「カア」と不満げに鳴いて、地上に向かって降りていく。段々と近づいていく景色の中、毛糸玉は大好きなロイの姿を見つけた。
「ろいッ!」
 その途端、ハボックはカラスの頭の上でポンと子供の姿になる。突然子供に頭の上に乗っかられて、カラスは「カーッ」と驚きの声を上げた。
「ろいッ!ろぉいッ!」
 ハボックはカラスの頭を小さな拳でポカポカと叩く。カラスはカアカアと鳴きながら通りを歩く人々の頭上をくるくると旋回した。
 「なんだ?」と顔を上げて空を見る人々の中にロイの黒曜石を見つけて、ハボックはカラスの羽を引っ張る。バランスを崩して驚いたカラスは、掴んでいた天使の飾りを放り出した。
「ろーいッ!」
「ハボックッ?」
 落ちる天使を追うようにハボックがパッとカラスから飛び降りる。そうして驚きに見開く黒曜石目指して両手を広げて落ちていった。
「ハボック!」
 ふんわりと落ちてきた小さな体をロイがしっかりと受け止める。その足下、カチンと音を立てて天使の飾りが地面に落ちた。
「ハボック、いったいどうしてっ?」
「ろぉいっ」
 しがみついてくるハボックを抱き締めたロイは驚いて頭上を見上げる。そうして逃げていくカラスを見遣り、それから足下に落ちた飾りを拾い上げた。
「カラスの仕業か」
「ろいっ」
 ホッと息を吐くロイにハボックはしがみつく。そして間近からその黒曜石を見つめるとチュッと大好きな瞳にキスをした。
「ハボック……怖くなかったのか?」
 ニコニコと嬉しそうに笑うハボックにロイは呆れて尋ねる。
「ろいっ、ろーいっ、ろぉいい」
 聞かれてハボックが身振り手振りで空からの景色を伝えれば、やがてクスクスと笑い出すロイにハボックはもう一度ギュッと抱きついた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気もらってます、嬉しいですvv

「暗獣」です。今年の語呂合わせの日は全部暗獣だなぁ(苦笑)というか、なんだコレな話ですみません。カラスに乗ってふわふわするはぼっくを書きたかっただけなんですが(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

暗獣、あはは、ぱちぱちの日とかいいかも〜(笑)8月8日がヒュハボの日ってちょっと強引ですものね、ふふ。ヒューズは流石パパだけにはぼっくの好きなものがよく判ってますよね。ロイ、一生懸命勉強しても微妙にはずしそうな気がします(笑)ハボックの日、結局こんな話になっちゃいました(苦笑)セレスタ、もーずっと放置だったから!攻略……ちゃんとできるんだろうか(コラ)暦の上では秋になりましたが、まだまだ暑そうですね……(苦)でも蜂の子の串焼きは無理〜っ(笑)
2015年08月09日(日)   No.467 (カプなし)

新・暗獣 ひゅとはぼの日
 ドンドンドンと、朝っぱらから玄関を叩く音にロイはベッドの中で眉を顰める。無視していればそのうちいなくなるかとブランケットの中に潜り込んだが、玄関を叩く音はやむどころか一層激しくなった。
「ろーい〜っ」
 あまりに煩いその音に、クッションの山の中で寝ていたハボックがロイのベッドに潜り込んでくる。騒音から少しでも逃げようとするようにロイの懐に潜り込むハボックの小さな体を抱き締めていたロイだったが、いい加減耐えきれなくなって、ブランケットをはね除けて飛び起きた。
「あーッ、煩いッ!!こんな朝早くから一体どこのバカ野郎だッ、燃やしてやるッッ!!」
「ろいーっ」
 物騒な言葉を吐き出すロイにハボックがぴっとりと身を寄せる。ロイはハボックの小さな体を抱き上げるとベッドから降り、足音も荒く階段を下りた。
「やかましいッッ!!今何時だと思って────」
「ハボックちゃああんッッ!!」
 怒鳴りながらバンッと扉を開けたロイの大声を、更に上回る大声が遮る。満面の笑みを浮かべた髭面が目の前に迫って、思わず後ずさるロイの腕に抱かれたハボックに向かってヒューズが手を差し伸べた。
「お待たせッ!マースくんが来ましたよっ、ハボックちゃんッ!」
 ヒューズはそう喚きながらハボックを抱き上げようとする。空色の目をまんまるに見開くハボックを、ロイは庇うように抱き締めてヒューズを睨んだ。
「ヒューズ!貴様、朝っぱらから一体何の用だッ!お待たせって、誰もお前のことなど待っておらんッ!」
 黒曜石の目をキッと吊り上げてロイが怒鳴る。そんなロイにヒューズが不満げに唇を突き出した。
「えーっ、そんな事ないだろッ!今日は八月八日だぜ、八月八日!」
「八月八日だからなんだと言うんだ?!」
 今日が八月八日だからといって何だというのだろう。特に何かの記念日でもなければ、今日この日と約束した覚えもない。
「何の事だか判らんな。朝っぱらから人をたたき起こす理由にもなってない。とっとと帰れ!」
 朝早くから叩き起こされた怒りで、ロイは冷たく言うと玄関の扉を閉めようとする。だが、一瞬早く足を挟んだヒューズが声を張り上げた。
「八月八日って言ったらヒュハボの日だろッ!オレとハボックちゃんの日だよッ!」
「────は?」
「六月八日はロイハボの日でお前とハボックちゃんの日だったんだろ?だったら今日八月八日はオレとハボックちゃんの日っ!だからハボックちゃんにプレゼント持ってきたんだよぅ」
 ほらほら、とヒューズは言って手にした紙袋から大きなリボンがかかった包みを取り出す。それを見てパッと顔を輝かせたハボックが、ロイの腕からピョンと飛び降りた。
「あっ、こら、ハボック!」
「ろぉい〜っ」
 ハボックは包みを手にするヒューズの腰にしがみつくと強請るようにロイを見る。いつもハボック好みの可愛い品を持ってくるヒューズのプレゼントにすっかりと興味を引かれてしまったハボックに、ロイはチッと舌打ちした。
「ハボックちゃんも歓迎してくれてる事だしッ、いいよなっ!」
 ハボックを味方につけたヒューズがフフフと笑う。勝ち誇ったような髭面が癪に障ったが、ハボックにキラキラとした瞳で見つめられればどうにも折れるしかなかった。
「────特別だぞっ」
「判ってるって、ヒュハボの日だからなッ!」
 仕方なしに言えば嬉しげなヒューズの声が返って腹が立つ。それでもハボックの嬉しそうな顔を見て、ロイはハアとため息をついた。
「で?なにを持ってきたんだ?」
「ナイショー。俺とハボックちゃんだけの秘密っ!ねーっ、ハボックちゃんっ」
「ろーいっ」
「なんだとッ」
 ねーっ、と顔をつきあわせて笑いあうヒューズとハボックにロイが目を吊り上げる。
「なにが秘密だッ、特別に入れてやったのに!」
「ヒュハボの日だもんッ!さ、ハボックちゃん、行こ行こ!」
「ろいっ」
「あっ、こらッ!」
 言うなりヒョイとハボックを抱き上げて近くの部屋に飛び込んだヒューズに、目と鼻の先で扉を閉められてロイはガチャガチャとノブを回した。
「開けないかッ、ハボック!」
「ろーいッ!ろいッ!」
「うっ」
「そう言うわけだからドアを燃やすなよ、ロイ」
「ううっ」
 中から返ってきた声に無理矢理扉を開けることも出来ず、ロイは二人が部屋から出てくるまでの間、扉越しキャッキャッと笑いあう楽しげな声を聞きながらうろうろと扉の前を歩き回っていたのだった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、本当に励みになってます、ありがとうございますv

ハボロイの日をスキップしてひゅはぼの日ってどうよと言われそうですが(苦笑)いや、途中まで書いてたんですが、昼間遊んでたら夜眠くなっちゃって書きあがらなかったんですよねー(汗)まあ、遅れてアップすることもないかなぁとスキップしちゃいました(苦笑)
そんなわけで「暗獣」です。ろいとはぼの日を書いたときからひゅとはぼの日を書きたいと思っておりました(笑)ロイのことが一番大好きだけど、ヒューズが持ってくる可愛いものには目がないはぼっく(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

蜂蜜、鼻息の荒さを感じ取って頂けましたか?嬉しいです(笑)蜂の子料理!!うわあ、ロイでなくてもちょっと腰が引けるというか、私だったら軽く死ねそうです(笑)でも、下手に食べさせると精力漲って余計ハボが大変な目にあったりして(爆)

サエさま

セレスタ、待っていただいてありがとうございますvそしてブラッドレイに拍手もありがとうございます!(笑)やっぱりロイハボに幸せになってほしいと思いつつ鬼畜最高権力者の所業にウフウフしてしまうのがロイハボラバーの性ですよね!これからもそんなロイハボ目指して頑張りたいと思いますvあ、もちろん最後はハッピーなロイハボを目指しますよ!キチガイのような暑さが続きますが、サエさまもお体お気をつけてお過ごしくださいねv

はたかぜさま

蜂蜜、ロイ、サイコーと仰って下さって笑って下さって嬉しいですーvハボもいい加減被害者ですが、やっぱり最大の被害者はブレダたちですよね(笑)一番どうやって使ったのか気になるのかはけん玉です!!……使ってみたい、使ってもいいかなぁ(爆)FLARE BLUE、楽しみにして下さって嬉しいです。受けのハボも楽しいですが、こんなハボックも書いててとっても楽しいので、そう行って頂けて益々楽しく書けそうです。ありがとうございますvこの暑さがまだ当分続くのかと思うとげっそりしますが、はたかぜさまもお体大切にお過ごしください。
2015年08月08日(土)   No.466 (カプなし)

蜂蜜の日
CP:ロイハボ(R18)

「サンキュー、ハボック!これ大好きなんだよー」
「僕もです。ハボック少尉のとこの蜂蜜、おいしいですよね!」
 司令室の扉を開けた途端、ワイワイと話す部下たちの声が飛び出してくる。思わず扉のところで足を止めたロイに、ハボックが気づいてにっこりと笑った。
「あ、大佐。おはようございます!」
「ああ、おはよう」
 答えて執務室に入るロイの後にハボックがついてくる。椅子に腰を下ろしたロイの前にハボックは金色に輝く液体が入った小瓶を置いた。
「はい、大佐にもあげます」
「これは……蜂蜜?」
 ロイは小瓶を手に取って言う。
「さっきみんなが持っていたのもこれか」
「田舎から送ってきたんスよ。今日は蜂蜜の日だからちょっとだけどお裾分け。大佐にもね」
「蜂蜜の日?例によって語呂合わせか。そんなのもあるんだな」
 八月三日で蜂蜜の日か、とロイは苦笑しながらも手にした小瓶を目の高さに翳した。窓から射し込む陽の光を反射してキラキラと輝く蜂蜜はとても旨そうだった。ロイは蜂蜜に向けていた視線を机を挟んで立つ部下であり恋人でもあるハボックに向ける。じっと見つめればハボックが不思議そうに首を傾げた。
「どうかしたっスか?大佐」
 蜂蜜色の金髪に縁取られた顔を見つめるうち、ロイの頭にふとある光景が浮かぶ。ニッと口角を上げたロイが書類の乗った机にダンッと足を踏み出して手を伸ばしたのと、ハボックが本能的に身を引こうとしたのがほぼ一緒だった。
「ッ!!ちょ……ッ、大佐ッ!」
 半瞬、身を引くのが間に合わず手首をがっしり掴まれて、ハボックは顔をひきつらせる。ロイの顔に浮かんだ笑みに嫌なものを感じ取って、何とか手を振り払おうとした。
「離してくださいよッ!なんなんスか、いきなりッ!」
「いや、蜂蜜を見たらいいことを思い出してな」
「い、いいこと……?」
 こんな顔をしたロイが言う“いいこと”など自分にとっては絶対に悪いことに決まっている。ハボックは机の上に踏み出したロイの足の下で書類が皺になっているのを見て言った。
「書類!足跡ついてるっスよ、絶対!中尉に怒られるっスからね!」
「なに、サインの代わりに足跡をつけたと言えば大丈夫さ」
「大丈夫なわけねぇっしょ!────うわッ!」
 そんな言い訳が通るはずがないと言おうとした瞬間、グイと腕を引かれてハボックは咄嗟に反対の手を机につく。ズイと顔を寄せてきたロイが手にした小瓶をハボックの目の前に翳した。
「前に蜂蜜をお前に塗って食べたら旨かった事を思い出してな」
「────ッッ!!」
 ロイの言葉でハボックの脳裏に蜂蜜をあらぬところにかけられた上、散々恥ずかしい事をされた事が思い浮かぶ。サーッと青褪めたハボックは、何とか逃れようと手首を掴むロイの手を引き剥がそうとした。
「離せッ!馬鹿ッ!蜂蜜は食べ物なんスよッ!」
「だからお前に塗って食うんだろう?────お前ごと」
 低く囁くロイの声にハボックはゾクリと身を震わせる。その瞬間を逃さず、ロイは踏みつけた書類を更にしわくちゃにして机を飛び越えハボックの躯を机に押し倒した。
「大佐ッ!ここどこだと思ってるんスかッ!」
「私の執務室だな。あんまり大声出すと外に筒抜けだぞ」
「ッ!」
 そう言われてギクリとしたハボックは扉に目を向ける。閉じてはいるが鍵のかけていないそれを凝視したハボックは、その視線をゆっくりとロイに向けた。
「やだ……やめて、たいさ……」
「お前が声を出さなきゃ誰も来やしないさ」
「大────んんッ!」
 ロイは反論しようとするハボックの口を己のそれで塞ぐ。ハボックの上にのし掛かって動きを封じ込めながら器用に片手で瓶の蓋を開けた。
「たいさっ、馬鹿な事すんのやめ……んっ!」
 垂れた目を吊り上げ小声で「やめろ」と訴えるハボックの口にロイは蜂蜜を掬った指先を突っ込む。無理矢理甘い蜜を舐めさせられ言葉を封じられて、ハボックは首を振ってもがいた。
「ぅんッ!んーっ!」
「旨いか?ハボック」
 にんまりと笑うロイをハボックが睨む。そんな視線などものともせずにロイは言った。
「私にも味あわせてくれ」
 指を引き抜いたロイはハボックに何か言う暇を与えず唇を重ねる。蜂蜜が残る口内を舌で舐り、甘い舌におのれのそれをきつく絡めた。
「んっ、ンンッ!……んふ、……ぅん」
 執拗に口内を舐られて、次第にハボックの躯から力が抜けていく。蜂蜜を舐め尽くして、ロイは漸く唇を離した。
「た……さァ」
 ハアと甘ったるい息を吐き出してハボックがロイを呼ぶ。ロイはハボックのボトムに手をかけると下着ごと引きずりおろした。
「あっ……やだ……ッ」
 キスに立ち上がりかけた楔を晒されて、ハボックは慌てて脚を閉じようとする。だが、長い脚の間にロイの体をねじ込まれて、閉じることは叶わなかった。それどころか、片脚をグイと持ち上げられて、ハボックはヒュッと息を飲む。目を見開いて見上げてくるハボックにニッと笑って、ロイは蜂蜜を塗した指を後孔にグイと押し込んだ。
「ヒ……ッ!」
 ぬるりとした蜂蜜の感触にハボックは身を強張らせる。ぐちぐちと蜂蜜で濡れた指で掻き回されて、ハボックは弱々しくもがいた。
「やだ……ッ!そんなもん入れないで……ッ!」
「うそつきだな、嫌だなんて思ってないだろう?こんなにして」
「ヒャンッ!」
 ピンッと立ち上がった楔を指で弾かれて、ハボックが甘い悲鳴を上げる。ロイは指を引き抜きハボックのもう片方の脚も持ち上げて大きく開かせると、小瓶を取り上げさらけ出した楔にとろりと蜂蜜を垂らした。
「やあんッ!」
 とろりと垂れた蜂蜜が楔をゆっくりと垂れていく感触に、ハボックはゾクゾクと身を震わせる。ピクピクと震える楔を目にして、ロイはクスリと笑うと蜂蜜に塗れた楔に舌を這わせた。
「ふふ……旨いな。お前の味がする」
「馬鹿ァッ」
 すっかりと立ち上がった楔から先走りの蜜が零れて蜂蜜と混じりあい楔を濡らす。精液混じりの蜂蜜をペロペロと舐めたロイは、ひくつく蕾を指で押し開き蜂蜜を垂らした。
「ヒッ!やだァッ!」
 とろんと垂らされた蜂蜜に内壁を濡らされて、ハボックが驚愕に目を見開く。身動きできず浅い呼吸を繰り返して、ハボックは縋るようにロイを見上げた。
「も、やめて……やだ……」
「甘くて最高だよ、ハボック」
「やだ……やッ!」
 更に蜂蜜を垂らされてハボックは必死に首を振る。ロイは蜂蜜を指で掬うと、白い双丘にべたべたと塗り込めた。
「ハボックの蜂蜜漬けだ」
「馬鹿ッ、ヘンタイッ!」
 クスクスと笑うロイをハボックが罵る。それでも蜂蜜が体の奥底へ垂れていってしまいそうで動けずにいれば、ロイが蜂蜜に濡れた蕾に指を二本まとめて突き挿れた。
「ヒィッ!」
 グチュグチュと蜂蜜を塗り込まれ掻き回されてハボックが喘ぐ。ビクビクと白い内腿を震わせて喘ぐハボックを見下ろしてロイが言った。
「旨そうだな、ハボック」
「なわけ、ねぇっしょッ!やめて、もうやだァ……ッ!」
 ポロポロと涙を零してハボックが訴える。だが、そんなハボックの様にロイはかえって煽られて、ボトムを緩めて己を取り出した。ロイは小瓶に残った蜂蜜を指で掬いそそり立った自身に塗り込める。執務机に体を預けたハボックの両脚をグイと押し開き、蜂蜜に濡れた蕾に蜂蜜でベトベトになった楔を押し当てた。
「奥まで塗り込んでやるからな」
「ッ!やだッ、嫌ッ!たいさッ、やめ────、アアアアアッッ!!」
 ズブズブと一気に貫かれてハボックの唇から悲鳴が上がる。一息に最奥を穿つと、ロイはガツガツと激しく突き上げた。
「ヒィッ!ヒィィッッ!やぁッ!やめ……ひゃああんッッ!」
「イイッ!ぬるぬるして、熱くて……ッ!堪らんッ!」
 激しく打ちつける度、楔を咥え込んだ蕾の縁から塗り込んだ蜂蜜が泡だって零れる。蜂蜜の甘い香りが執務室に立ちこめて、ハボックは羞恥にゆるゆると首を振った。
「やあんッ!たいさァッ!」
「ハボックッ!甘くて可愛いよ」
「馬鹿ッ!このヘンタイエロオヤジッ!アアアッ!!」
 罵る声も甘く濡れてハボックは身悶える。ガツンと最奥を抉られて、ハボックは高い悲鳴を上げて熱を迸らせた。
「ひゃあああんッッ!!」
 イくと同時にキュウキュウと己を犯す楔を締め付ける。きつい締め付けに堪らずロイは深く穿った最奥に熱を叩きつけた。
「くぅぅ……ッ」
「あ……アア……ッ!」
 ドクドクと体の奥底に熱を注がれてハボックは背を仰け反らせてビクビクと震える。フッと気が遠くなって、ぐったりと机に身を預けたハボックは噛みつくようなロイの口づけに意識を引き戻された。
「ふふ……旨かったよ、お前の蜂蜜」
 ニヤニヤと笑いながら何度も口づけてくるロイに。
(もう絶対大佐には蜂蜜あげない……ッ)
 堅く心に誓ったハボックだった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいです、ありがとうございますvv

八月三日は蜂蜜の日だそうで。そう聞いたら、そういや前にハボックの蜂蜜漬けの話書いたなぁとおもったもんで、つい(笑)きっと声はダダ漏れ、朝っぱらから執務室でことに及んだ上に書類に足跡付けて、この後中尉に撃たれまくったと思います(爆)
八月三日が語呂合わせで蜂蜜の日だということで、そういやもうすぐ八月六日だなーと思い出し……ネタ、思いつかないなぁ。なにかありませんか?(オイ)ネタあれば是非ー(コラ)

以下、拍手お返事です。

なおさま

黒スグリ、そうそう、お兄ちゃん、頭抱えてますよね(笑)ふふ、ロイ、どう出るか、一応続きがあるのでお楽しみに(笑)あ、やっぱりハボックは永遠の中学生ですかね!やっぱりいいですよね、中学生!(爆)セレスタ、私も大丈夫か?と心配になりましたよ(爆)鼻歌、確かに聞こえてきそう(笑)ハボックに頑張って貰わないとです(コラ)

セレスタの涙、オニキスの誓いの更新、とっても嬉しいです の方

ありがとうございます!長い事サボってお待たせしてすみません(汗)そう言って頂けるとメチャクチャ嬉しい&やる気が湧いてきます!これからも楽しんで頂けるように頑張りますねv
2015年08月03日(月)   No.465 (ロイハボ)

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