babble babble


2011年01月の日記

2011年01月31日(月)
引越
2011年01月30日(日)
金剛石2
2011年01月28日(金)
金剛石
2011年01月23日(日)
剃刀
2011年01月22日(土)
甘くて深い10のお題2&3
2011年01月20日(木)
111
2011年01月08日(土)

2011年01月07日(金)
甘くて深い10のお題2 R×H
2011年01月05日(水)
甘くて深い10のお題1
2011年01月01日(土)
鏡餅

引越
「おい、これはどこに置くんだ?」
 ブレダが両腕に大きな段ボール箱を抱えて聞く。ハボックは寝室から顔を出して答えた。
「ああ、それはダイニングに置いといて」
「ダイニングって言ったってもう置くとこねぇぞ」
「じゃあリビング」
「リビングもダイニングも一緒だろうが」
 この狭いアパートで、とブレダはブツブツと言いながら手にした段ボール箱を置いてある箱の上に積み上げる。やれやれと腰を伸ばしてブレダは寝室でゴソゴソやっているハボックに言った。
「引っ越しっていうからてっきり大佐の家に引っ越すのかと思ってた」
「それ、大佐にも言われた」
 ハボックはそう言いながら寝室から出てくる。寒い季節にも関わらず吹き出す汗をタオルで拭って言った。
「ちょっと一息入れようか」
 ハボックはキッチンのカウンターに置いてある袋からタオルにくるんでおいた缶コーヒーを取り出す。ブレダに向かってヒョイと投げれば缶は放物線を描いてブレダの手の中に収まった。
「タオルに包んでおいたからまだあったかいと思うけど」
「サンキュ」
 ダイニングの椅子に腰を下ろしてブレダは缶コーヒーのプルトップを開ける。ゴクゴクと飲んでハアと息を吐き出した。
「ああ、ホッとする」
「悪いな、休みの日に」
 ハボックは自分も缶を手に椅子に座ると同じようにコーヒーを飲む。プハッと息を吐き出すハボックを見てブレダは言った。
「で?なんで大佐のとこに行かなかったんだ?」
 ハボックとロイが所謂恋人同士というのは軍部内では既に周知の事実だ。今更隠すこともないし、ロイが一緒に住むことを期待しているならそうすればいい。薄給のハボックにとっては家賃が節約されるのも魅力に違いない。それなのに何故?とブレダが聞けばハボックがボリボリと頭を掻きながら答えた。
「いや、まあ何事もそう一足飛びにはな……だろ?」
「だろ?って言われてもな」
 同意を求められてブレダが苦笑する。ハボックは背を丸めて両手で包み込んだ缶を膝に載せて言った。
「だっていきなり同居なんてどうしていいか判んないじゃん」
 ロイを好きな気持ちに偽りはないし、そうなったことに後悔もしていない。だが、急激な変化に気持ちがついていけない事も事実で、少しずつ慣らしていきたいと言うのがハボックの正直な気持ちらしい。
「大佐は文句言いそうだけどな」
 気持ちが決まってしまえば意外と積極的なロイのこと、ハボックのこの態度は煮えきらないと映るかもしれない。
「でも、これまでは司令部挟んで反対側のアパートだったからさ。これでも随分近づいてんだから」
 確かにここからロイの住む家までは歩いても五分とかからない。
「まあ、大佐がしびれ切らす前に慣れろや」
「ん……そうする」
 顔を赤らめながらも頷くハボックに、もう一度引っ越しを手伝わされるのもそう遠くないだろうとブレダは感じる。
「さ、後少しだ。さっさと片づけちまおうぜ。大佐、待ってるんだろ?」
「うん、今日は引っ越し祝いで奢ってくれるって。ブレダも来る?」
「まだ消し炭になりたくないんで遠慮しておく」
二人は缶をゴミの袋に放り込むと、早く片づけてしまおうと残りの荷物に取りかかったのだった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます!パチパチ拍手も嬉しいですv励まされてますvv

日記の西暦表示が2011年に出来なくて、配布元のサイトさんもなくなってしまってバージョンアップも出来ないので日記のお引っ越しをしました。前回同様Mさんに色々ご指導頂きました。わーん、Mさんありがとうッ!!ゴチャゴチャ色々くっついてるのは好かんと言うことで殆どなにもつけずにこんな感じになりましたが如何でしょう。前の日記の時に一番下にあった拍手ボタンは文字リンクにして最新記事一覧の下に貼ってあります。アイコンの色分けは青:ハボロイ、赤:ロイハボ、緑:カプなし、オレンジ:カプ色ありで、今まで通りカプ前提のものには「〜風味」エッチ含めカプ色の強いものは「CP」がつきます。とりあえず一月分だけこっちの日記に移し、昨年までの日記は一応リンク残しておきました。カレンダー嫌いなので新しいのにはつけてませんが、過去ログ検索しやすいようにカレンダー設置してます。いやぁ、これでちゃんと2011年の日記になるぞーvともあれ、これからも萌えを吐き出す日記ですが、よろしくお願いいたしますv

以下、30日拍手のお返事です。

「続きありがとうございます」の方

楽しんで頂けて嬉しいですv NHKはニュースも含めて色々ネタが拾えていいですよ(←間違っている)本当、ホープダイヤって知れば知るほど不思議ですよね。うまく使いこなしてからハッピーエンドかぁ。考えてみまーすv

柚木さま

おお、ありがとうございますーvふふふ、幸せの鉱石かぁ。ハボック、褒めて下さって嬉しいですvこういうハボック久しぶりかも(笑)
2011年01月31日(月)   No.11 (カプなし)

金剛石2
「失礼します」
 ガチャリという音と共に扉が開いてハボックが執務室に入ってくる。ロイは険しい表情でハボックを見上げて言った。
「呼ばれた理由は判っているだろう、ハボック」
 ロイがそう言えばハボックが眉を跳ね上げる。
「判らないっスね」
 と、肩を竦めて言うハボックにロイはカッとなって上げそうになった怒鳴り声を何とか飲み込んだ。
「どうして作戦通りに動かなかった?」
 その代わり低く押さえた声で尋ねる。
「最終的に上手くいったからいいようなものの、もし上手くいかなかったら───」
「上手くいくって判ってたっスから」
 ロイの言葉を遮ってハボックは言った。僅かに見開くロイの瞳を見つめたまま続ける。
「あの作戦よりよっぽど上手くいくって判ってた。実際上手くいったっしょ?」
「それは結果論だ。お前の勝手な行動のおかげで隊員達がどれほど迷惑を受けたと思ってるんだ?」
「臨機応変に対処出来ないのは単に能力がないからだと思うっスけど」
 サラリとそう言ってのけるハボックをロイは睨みつけた。
「私の部下は皆優秀だ」
「大佐の認識が間違ってない事を祈りますよ」
 見下すようにため息混じりに言う態度に腹が立つ。それでもロイは怒りを抑えて言った。
「とにかくこれからはちゃんと作戦通りに───」
「無理っス。オレはオレが一番いいと思った手段で動きます」
「ハボックっ!!」
 ダンッと机を思い切り叩いてロイが立ち上がる。ロイに対して斜(はす)に構えて立っているハボックにロイは声を荒げた。
「ハボック、ちゃんとこっちを見ろッ」
「……眩しいんスよ」
 ハボックは言って目元に手を翳しながらロイを見る。確かに冬の低い陽射しがロイの背後の窓から射し込んで、ハボックの長身を照らしていた。
「──ッ」
 ロイは思い切り舌打ちして背後の窓にシャッとブラインドを下ろす。そうしてハボックに向き直ったロイはギクリとして身を強張らせた。
 ハボックの蒼い双眸が紅く輝いている。食い入るように見つめてくるロイの様子からその理由に気づいて、ハボックは薄く笑った。
「オレの目、紅くなってんでしょ?長いこと陽の光浴びてその後暗いとこ行くと目の色が紅くなるんスよ」
「……何故?」
「さあ」
 ハボックは大して気にした風もなく肩を竦める。ロイが見つめていればハボックの瞳は徐々に赤みをなくし、いつもの蒼色に戻った。
「呪われてるせいかもしれないっスね」
 人を飲み込む深い蒼の瞳でハボックが言う。
「大佐、オレを特務に戻した方がいいっスよ。噂は聞いてるんでしょ?」
「……戻す気はない」
 ロイの答えにハボックが意外そうに目を瞠った。
「後悔してからじゃ遅いんスよ?」
「後悔などするものか」
 そう言うロイをハボックはじっと見つめていたが、不意にズイと近づいてロイの顔を間近に覗き込む。
「折角忠告してあげたのに」
 それだけ言うとハボックは踵(きびす)を返して執務室を出ていった。
 間近に見つめた魔性の蒼の輝きに囚われたように、ロイはハボックを引き留めるどころか身動きする事も出来なかった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手もコメントもとってもとっても嬉しいですーッ!ありがとうございますッvv

続きというほどではありませんが。
NHKのホープダイヤの番組を見たんですが、ホープダイヤって暗いところで紫外線を暫く当てると、紫外線を外してからも一分以上紅く光っているんだそうな。そもそもダイヤの半分は紫外線を当てると光るそうですが、どれも青い光で紫外線を外すと光は消えてしまうのに、ホープダイヤだけは紅くそれも一分以上光るっていうから不思議。正に魔性の輝きって感じしませんか?(笑)

以下、28、29日拍手のお返事です。

「初コメです」の方

いつも遊びに来て下さって&初コメありがとうございますーッ!書いたものに反応頂くのはとっても嬉しいですvふふふ、可愛いハボもいいけどクールなジャクもいいですよね!これからもおつきあい頂けたら嬉しいですv

「今日のホープダイヤの続きが読みたいです」の方

続きのリクありがとうございますーvこれの続き……。考えてみてもあまりハッピーな感じにはならないかなぁ。ロイが破滅するか、ハボが破滅するか、はたまた二人共に堕ちていくかって感じがします。とりあえず仕入れたネタで続きというほどのものではありませんが書いてみました。お楽しみ頂ければ嬉しいですv


「ホープダイヤのテレビの予告、私も見ました」の方

そうです、それがネタ元です(笑)NHKの予告にすらネタを見つけてくる奴です(苦笑)番組の方はご覧になりましたか?なかなかに神秘的ないわく付きの宝石ですよね。買って貰えるなら例え呪われても手にするか、悩むところです(笑)


蒼さま

日々しめじ栽培してますよ。この間はわざとIEの窓を小さくしてハボに運ばせて遊んでました(笑)ロイしめじは息子にも「ないの?」って聞かれました。配布元の方、ロイも作ってくださらないかなぁ。萌えな行動されると流石に家族共用のパソで栽培出来なくなるので困ります(爆)新ハボック、頑張って使いこなしてあげてくださいねvとかいいつつ、私もハボの機能、一割も使ってない気がします(爆)春コミ、がちょーん!そうなのか、相当ショックかもーorz

2011年01月30日(日)   No.10 (カプなし)

金剛石
『ロイ、アイツはやめておけ』
 受話器の向こうでヒューズが言う。こんな切羽詰まったヒューズの声など聞いたことがなくて、滅多に聞けない親友の声に思わずこみ上げる笑いを噛み締めてロイは答えた。
「もう決めたんだ、ヒューズ」
 今更変える気はないと告げるロイに、だがヒューズは食い下がる。
『どうしてアイツが特務にいたか判るか?誰もアイツを使いこなせなかったからだ』
「私なら使いこなしてみせるさ」
『ロイ!』
 根拠のない自信に裏付けられた言葉にヒューズは苛々として言った。
『今のお前と同じ事を言ってアイツを組織の中に組み込もうとした奴らがどうなったか知ってるか?誰一人もう軍にいないんだぞっ』
 ヒューズの言葉にロイは僅かに眉を顰める。
『挙げ句アイツについたあだ名を知らない訳じゃないだろう?』
「ホープ・ダイヤだろう?」
『それを知ってるなら今からでも遅くない、ロイ、アイツはやめてお───』
「もう決めたんだ」
 ロイはヒューズの言葉を遮ってそう言うと電話を切ってしまう。深いため息をついてロイがそっと目を閉じた時、コンコンと執務室の扉を叩く音がした。
「───入れ」
 キュッと唇を噛んでロイは入室を許可する。そうすればガチャリと扉が開いて、背の高い金髪の男が入ってきた。男はロイの前まで来るとピッと敬礼してみせる。
「本日付けで司令室配属になりましたジャン・ハボック少尉であります」
 言ってハボックはうっすらと笑みを浮かべる。彼の蒼い双眸がキラリと硬質な輝きをみせるのを見て、ロイは背筋を這い上がる何かにギュッと手を握り締めた。
 持ち主を不幸に追い込むという伝説を持つ蒼い宝石ホープ・ダイヤ。それと同じ輝きの瞳を持つ男を身近に置けば、自分の未来に待つのは破滅かもしれない。
(それでも私はコイツが欲しいんだ)
 あの日偶然ハボックと出会ってからこの蒼い魔性の輝きに魅入られてしまった。
「ロイ・マスタングだ、よろしく頼む」
 ロイは言って立ち上がるとハボックの瞳を真っ直ぐに見つめた。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。パチパチ拍手も嬉しいです、更新気力の素ですvv

テレビでホープ・ダイヤの話をやっていたので、そんなハボックの話があってもいいなぁと。どっちかっていうとこれだとハボよりジャクリーンかもしれないけどね。
2011年01月28日(金)   No.9 (カプなし)

剃刀
ロイハボ風味

「大佐、朝飯の卵、オムレツと目玉焼きどっちに───」
 朝食の支度をしていたハボックは、卵をどう料理するか聞こうとキッチンを出る。廊下を歩きながら尋ねる言葉を口にしたハボックは、洗面所をひょいと覗いた途端言葉を飲み込んだ。
 洗面所の鏡の前ではロイが剃刀を当てていた。電動のシェーバーもあるのだが、何故だかロイはこの剃刀が好きなようでどんなに時間がない時でも剃刀を使っていた。鏡に映る己の顔をじっと見つめてロイは剃刀を滑らせていく。ハボックは洗面所の扉のところから鏡の中のロイをそっと見つめた。剃刀を当てるロイを見るのがハボックは好きだった。綺麗に爪を整えた長い指が鋭い刃を操り肌の上を滑っていく。それを見ていればハボックは無性にゾクゾクとして興奮してしまうのだった。
 洗面所に来た理由も忘れてハボックはロイが剃刀を操るのを見つめる。扉の陰から隠れるように見つめながらハボックはホゥと息を吐いた。
(大佐が剃刀使うの見るの、好きなんだよね……)
 何でだろうと不思議に思いつつハボックはロイを見つめ続ける。ハボックの視線の先でロイは丁寧に剃り終えると冷たい水を出しバシャバシャと顔を洗った。
「……」
 ふぅ、と息を吐き出してロイはタオルに手を伸ばす。柔らかいパイル地でそっと顔の水滴を押さえるように拭き取りながらロイはクスリと笑った。
「いつまでそこで見てる気だ?」
「ッ!」
 笑いを含んだ声にビクリと飛び上がったハボックは、決まり悪そうに洗面所の入口に立つ。
「気づいてたんスか?」
「鏡に映ってた。それに大体お前、私に話しかけながら来たじゃないか」
「あ」
 言われてみれば確かにその通りだ。モゴモゴと言い訳のような言葉を口にするハボックを鏡を通して見つめてロイは目を細めた。
「お前、私が髭を剃るのを見るのが好きだな」
「えっ?や、別にそんな事───」
「この間も見てた」
 否定しようとしてそう指摘され、ハボックは押し黙る。ロイはローションのボトルを手に取り肌につけて言った。
「剃ってやろうか?」
「えっ?でもオレ、もうひげ剃りしたし」
「電気シェーバーだろう?剃刀の方が剃り残しがない」
 おいで、と手招きされてハボックは洗面所に入る。困ったように視線をさまよわせるのに気づかぬフリで、ロイは洗面台の縁を示した。
「そこでいいから座って」
「でも大佐」
「黙っていろ」
 ロイは言って熱い湯を出しタオルを絞る。それをハボックの顔に当て肌を湿らせるとシェービングフォームを手に取った。シュッと泡を出しハボックの頬に載せる。剃刀を手にしてハボックを覗き込むようにして言った。
「動くなよ」
 言って刃を当てればハボックがピクンと震える。その様に笑みを深めてロイは剃刀を滑らせた。
(どうしよう……ドキドキする……)
 単に刃物を当てられる事に対する緊張とは違う緊張が体を支配する。視線を上げれば間近にロイの端正な顔が見え、視線を落とせば剃刀を操る長い指が見えるという状況に、ハボックは困りきって目をギュッと閉じた。だが。
(やば……目、瞑るんじゃなかった)
 目を閉じればロイの微かな息遣いや肌を滑る刃の感触を嫌でも感じてしまう。気にすまいと思えば思うほど意識はロイの唇から零れる呼気と肌に触れる剃刀の刃の動きを追ってしまい、ハボックは自分が興奮していることに気づいて狼狽えた。
(早く……早く終わりにして……)
 瞑った目を更にギュッと閉じてハボックは思う。もういいと叫びそうになった時、近くにあった気配が離れてロイの声が聞こえた。
「もういいぞ、顔を洗って」
「は、はい……っ」
 言われてハボックはホッとして蛇口に飛びつく。水を出してバシャバシャと乱暴に顔を洗うとハアと息を吐いた。
「ありがとうございます」
 差し出されたタオルを受け取ってハボックは言う。ドキドキと高鳴る鼓動を聞かれやしないかとタオルに顔を埋めるようにして拭いていたハボックは、ロイが背後に立っている事に気づかなかった。
「勃ってるな」
「ッッ?!」
 背後から抱え込むようにしてボトムの上から中心をキュッと握られ、ハボックは身を強張らせる。硬く芯が出来て布地の下で息づく中心をそっと揉んでロイは言った。
「興奮したか?」
「大佐……っ」
 耳元に囁く声にゾクリと背筋を震わせてハボックは身を捩る。逃れようとする体を抱き込んでロイはハボックの耳に吐息を吹き込むようにして言った。
「ここも剃ってやろうか?」
「アッ」
 言いながらロイは中心を握る手に力を込める。大きく震えて腰を引くハボックのボトムを弛めるとロイはスルリと手を滑り込ませた。
「これも、綺麗に剃ってやろう。あの剃刀で───興奮するだろう?」
「たい、さ…ッ」
 しっとりと湿気を帯びる茂みを軽く引っ張ってロイはハボックの耳を軽く噛む。指先に触れる茂みを絡めてクンクンと引っ張れば、それに合わせるようにハボックの体が震えた。
「頬に当てるだけでもゾクゾクしたろう?ここを剃ったら……もっとゾクゾクするだろうな」
「アッ、……くぅっ」
 触れる茂みが濡れてくるのを感じてロイは笑みを深める。股間を弄っていない方の手でボトムを引きずり下ろしてしまうと、ロイはハボックを洗面台に腰掛けさせた。
「たいさっ」
 双丘に触れるヒヤリとした感触に、ハッとしてハボックが声を張り上げる。降りようとしたハボックは、だがロイが剃刀を手に取るのを見て動きを止めた。
「好きだよな、ハボック……私がこれを使うのを見るのが」
「たいさ……」
「大丈夫、お前を傷つけるような事を私がするはずがないだろう?」
 ロイはそう言ってにっこりと笑う。
「綺麗にしてやるから」
 そう言うロイの剃刀を持った手がゆっくりと近づいてくるのを、ハボックは大きく見開いた目で食い入るように見つめたまま動くことが出来なかった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございますv拍手も本当に嬉しいです〜、励まされますvv

相変わらずしょうもない話ですみませんー。いやダンナが髭剃ってるの見て、ロイが剃刀操るの見たらゾクゾクしそうだなーと思ったもので(苦笑)しかしどうしてこう、変態チックな方向へ話が進むんだかなー。でも、つるんなハボを美味しく頂く大佐の続きも書きた…(殴)ハボロイバージョンだとこうはならないだろうけど……(シミュレーション中)それでもやっぱり行き着く先はエロかもしれない(爆)

以下、22日拍手のお返事です。

摩依夢さま

ご心配をおかけしました。とりあえず何とかやっております。小話リンク、ありがとうございます!作品の雰囲気をぶち壊すなんてことはないですよー。それに摩依夢さまのお話も皆さんのお話と同じくらい素敵ですもんvうふふ、さあ、リンク出来るところまで話を進めなきゃ!摩依夢さまのお話と上手く繋げられるよう頑張りますねv
2011年01月23日(日)   No.8 (ロイハボ)

甘くて深い10のお題2&3
今日は更新日ですが、か、書き終らない……orz 流石に玄関だけは正月のままではあんまりなので変えましたが。復帰後久々の更新日だと言うのにどうよ、って感じではありますが、理由はね、ついお題の方をガッツリ書いてしまったからだったり(殴)そんなわけで、今日は日記お題を更新と言うことで(苦)でも、ハボロイは更新一回分くらい、ロイハボに至っては倍くらいありそうなんで(苦笑)しかし、このお題、下手するとこの後ずっとR指定になってしまいそうな感じが(汗)せめて一晩でお題全部にならない様にだけはしないとって思います。そんなお題ですが、少しでもお楽しみ頂ければ嬉しいです。

「甘くて深い10のお題」
 2.聞こえる?(ハボロイ)
 http://yeux-de-bleu.lovepop.jp/10odai_sweet_and_deep/2_kikoeru.html

 3.鏡の部屋(ロイハボ・R18)
 http://yeux-de-bleu.lovepop.jp/10odai_sweet_and_deep/3_kagamino_heya.html
 
そういえば、ふと気付いたのですが、日記の日付が2000年になってるんですよねー。よく見てみるとなんか選択肢が2000年〜2010年しかないっていう……。バージョンアップすればいいのかもしれないのですが、やり方が判らん(苦)仕方ないので暫くこのままですが、2011年の日記ですんでー(汗)


以下、21日拍手お返事です。

ジャクリーンめちゃめちゃ可愛いです!の方

わーん、ありがとうございますーッ!ジャクわんこがいたらもう絶対グリグリして可愛がっちゃいますよねvハボならレトリバー、ジャクならシェパードかなと思います(笑)

蒼さま

はい、早速収穫してきましたv私も解凍作業は苦手です(苦笑)一匹画面に出しておいたら息子がパソを弄った時には15匹くらいに増えていて「なんじゃこりゃ?!」と喚かれました。ダンナには「邪魔だーッ」と放られてたし(苦笑)でもいっぱいいると嬉しいvv(←重症2(笑)うわ、しめじ萌え!やっちゃいそうで怖いです(苦笑)おお、仔犬2始動ですか!見に行かなきゃ、ありがとございますv
2011年01月22日(土)   No.7 (カプなし)

111
 オレの名はジャクリーン。ここ、イーストシティにある東方司令部でロイ・マスタング大佐の部下をしてる。ほんの一ヶ月前までオレは誰の部下でもなんでもなかった。オレに命令を下すのはオレ以外あり得ないと思っていたし、オレが誰かの為に力を貸したいなんて絶対ないと思ってた。でも、幾つもの偶然が重なって大佐の元に引き取られて、オレは今ここにオレがいるのは偶然なんかじゃなく必然だったに違いないと思い始めている。
 先日も大佐について銀行強盗の立てこもり現場に出た。ホークアイ中尉は先頭に立とうとする大佐に渋い顔をしてやめさせようとしてたけど、なんと言ってもオレがついているのだ。心配なんてする必要ある訳ない。結局その時も大佐が焔を使って炙り出した犯人をオレが自慢の俊足を生かして取り押さえ、事件は短時間で解決を見た。
「ジャクリーン、お前は本当に役に立つな」
 大佐がそう言って笑ってくれる。それだけでオレはこの人の部下になってよかったと心から思えるんだ。
 今日、大佐は朝から会議会議の連続でいささかうんざりした顔をしてる。軍の馬鹿ども相手に実のない会議に出なければならない大佐は気の毒だ。いっそサボっちまえばとオレが思ったのが大佐に通じたのだろう。大佐は会議の合間の休憩時間に廊下に出てくると、オレを見てニヤリと笑った。
「もういい加減うんざりだ。中尉は外出中だし、サボってしまおう。いくぞ、ジャクリーン」
 確かに中尉がいない今こそ抜け出すタイミングだろう。オレは足早に歩き出す大佐に従って廊下を歩いていく。大佐は中庭に続く扉の前に立ったものの、外へは出ずに眉を寄せた。
「流石に今の時期外でサボるのは寒いだろうな」
 今日は大寒、一年でも一番寒い季節だ。幾らオレが大佐にくっついていても寒さを凌ぐのは無理だろう。オレはちょっと考えてから悩む大佐の袖を引いた。
「ん?なんだ?……ああ、あそこがあったな」
 大佐は一瞬キョトンとしたが、すぐにピンときて笑みを浮かべる。オレ達は急いで廊下を歩くと普段行くことのないリネン室へと向かった。辺りに人がいないのを確かめてさっと中へ入る。大佐は棚からシーツを何枚か取り出すとリネン室の一番奥のスペースに腰を下ろし、折ったシーツを枕にして残りのシーツを布団代わりに広げた。
「お前もおいで、ジャクリーン」
 大佐がシーツの端を持ち上げて言う。人が入ってこないよう、入口のところで見張っていた方がいいんじゃないかとも思ったけど、大佐の側にいた方が何かあっても対処出来ると大佐が作った隙間に潜り込んだ。
「うん、これなら寒くなくてゆっくり休めそうだ。ありがとう、ジャクリーン」
 大佐が寄り添うオレにそう言って目を閉じる。疲れていたのか瞬く間に大佐は気持ちよさそうな寝息をたてて寝入ってしまった。暫くの間オレは大佐の寝顔をじっと見つめていたが、大佐が風邪を引いたりしないよう、温もりを分けようとぴったりと大佐に体をつける。そうすれば幸せそうに頬を擦り寄せてくる大佐に心の中がほんわりとあったかくなった。
大好きな大好きな大好きな大佐。これからも大佐の側で大佐を守って大佐の力になろうと、そう思いながらうとうととし始めた時。
「やっぱりここか……大佐、サボってないで起きてくださいよ」
 ガチャリとリネン室の扉が開く音と足音に続いて呆れたような声が上から降ってくる。その声に眠りを邪魔された大佐がうーん、と唸ってその声の主を見上げた。
「ハボック、どうせなら後三十分経ってから見つけてくれないか?」
「アホな事言ってないで、会議に出てください」
「眠い……あと十分」
「大佐」
 大佐はオレに身を擦り寄せてシーツの中に潜り込む。こんなに眠たがってるんだから後十分やそこら寝かせてあげればいいのに、このクソ馬鹿野郎は大佐の腕を掴んで引っ張ろうとしたから。
「大佐ー、起きて……うわッ?!」
 オレはシーツの中から飛び出してハボックの腕に噛みつく。いきなり飛びかかられ噛みつかれて、ハボックは仰天して後ずさりながらオレの顎をグイと掴んだ。
「ジャクリーン!!離せっ、この馬鹿犬ッッ!!」
 厚い軍服の上から噛みついたせいで牙こそ刺さらないものの、バランスを崩してハボックが床に倒れ込む。必死にオレを振り払おうとするハボックの上に圧し掛かればハボックが大佐に助けを求めた。
「大佐っ、何とかしてくださいよッ!!離せっての、ジャクリーン!!」
 狭いスペースでドタバタともみ合うオレ達に大佐が呆れたため息をつく。ゆっくりと立ち上がるとオレに向かって言った。
「ハボックを離せ、ジャクリーン。噛むんじゃない」
言われてオレは渋々とハボックを離す。ハボックはオレの牙で破けた袖をげんなりと見つめて言った。
「もうっ、ソイツ、繋いでおいてくださいって言ったじゃないっスか」
「ジャクリーンはリードが嫌いなんだ。それに普段はちゃんと礼儀正しい良い仔だぞ」
 そう言ってオレの頭を撫でる大佐の手をオレはペロペロと舐める。それを見てハボックが悔しそうに鼻に皺を寄せた。
「オレにはいっつも吠えるし噛みつくし、ちっとも良い仔じゃねぇっスよ」
 当たり前だ。やたらと大佐にくっついてくるお前を簡単に近づけられるものか。
「お前たち、仲悪いな。もう少し何とか出来ないのか?」
「仲良くなんて出来ません」
 ムゥと唇を突き出してハボックが言う。オレだってお前と仲良くするなんてまっぴらごめんだ。
「犬相手に本気になることないだろう?」
 呆れてそう言う大佐にオレが体を擦り寄せればハボックが目を吊り上げた。
「いい加減大佐から離れろ、馬鹿犬ッ」
 オレの名はジャクリーン、誇り高きシェパード、マスタング大佐の部下。目下の任務は大佐の安眠を邪魔するこの駄犬を追い払うこと。
「ガウッ!!ガウガウッッ!!」
 オレは大きく吠えるとハボックの長身めがけて飛びかかった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。パチパチ拍手も嬉しいです。

考えることやら何やら色々あってご無沙汰しておりました。とりあえずまた日記からぼちぼち復帰して参りますので、よろしければおつき合いのほどお願い致しますm(_ _)m

ワンコの日に書こうと思いつつ書きそびれてしまったので今更ですが(苦笑)犬のジャクリーンと張り合うハボっきゅということで。

以下、拍手お返事です。

摩依夢さま

素敵なお話を寄せて頂いたのにお返事が遅くなってしまいごめんなさい(汗)……ふふふ、ブレ迷惑だーッ!!いやもう、ブレ迷惑大好物なのでもう読んでる間中ニヤニヤしっぱなしでした(笑)こんなハボックとロイ、傍迷惑以外のなにものでもないですよねー!うふふ、もうタマンナイですvv楽しいお話をありがとうございますvvそれで、ご相談なのですが。よろしければこのお話、連載の方とリンクさせて貰えないかなぁと。宝部屋に置かせて頂いて、連載の方ではこのシーンは省略する形で上手くリンクさせられたらと思うのですが如何でしょう。摩依夢さまがお嫌でなければ是非是非そうさせてくださいませ。

蒼さま

正解は1でした(爆)いや、ウサギ達は効きましたよvちゃんと癒されてましたから〜。とりあえずふやけきる前に浮上しましたし(苦笑)名無しの人なんて、そんな名乗ればいいのにー。とっても勿体無い気がします。しめじ、ありがとうございます!結局バタバタしてるうちに聞き損ねていたので早速配布元にお邪魔して貰ってきましたーvそんなわけで今、うちのパソコンでファイナルファンタジーディシディアの壁紙の周りをしめじが這い回ってます、なんてミスマッチな(笑)私もこちらのサイトさまは知りませんでした。大佐がめちゃくちゃカッコいいのにハボロイサイトさんなんですねー。ちょっと意外。グリリンなハボが好きだ(笑)せっかくしめじ分けて貰った事だし、リンク貼っておこうかな。
2011年01月20日(木)   No.6 (カプなし)

「ふ、ぅ……」
 ため息と共に吐き出される小さな声にふと顔を上げれば、薄く開いた唇から桜色の舌先が誘うように覗くのが見える。その綺麗な舌先に吸い寄せられるように視線を向けて、男は目を細めた。
 まるで蘭の華を飾るリップのようだと男は思う。蘭の花は花粉を虫に運んでもらう為、花弁を色鮮やかに彩り、リップと呼ばれる一際鮮やかな中央の花びらで虫を花の中へと誘うと言う。彼の桜色の舌先も、見る者を誘い込むという点ではリップと同じだと男は思った。
「……」
 じっと見つめる男の視線に気づいたのか、彼は男を見て笑う。その笑顔もまた見る者を誘う花びらだと男が思ったのを知ってか知らずか、彼は楽しそうに男に話しかけた。
 彼の唇から言葉が零れる度桜色の舌先が覗く。言葉と共に零れる甘い吐息と相まって見る者を誘い込むその動きを見つめる内、男の胸に不安が膨らんでいった。
 同じように甘い香りを漂わせるリップに誘われるのは自分ばかりではあるまい。このまま何もせずにいれば、色鮮やかな花はきっと誰かに手折られてしまうだろう。それならばいっそ。
「───?」
 食い入るような男の視線に彼が不思議そうに名を呼ぶ。信じきって見つめてくるその瞳に微かな痛みを覚えながら、男は目の前の花を自分のものにするためにそっと手を伸ばした。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます!拍手も連打も続ける力になってますvとっても嬉しいですーvv
気がついたらクリスマス仕様のまま年を越してしまったので、2日にコソッと玄関の模様替えをしておきました。正月飾りなので本当は今日の更新で変えるところなんですが、なんか飾ってる期間が短いので(←素材を探す時間がないともいう(苦笑)次回更新までそのままにしておこうと思います。せっかく可愛いウサギさんの正月飾りだしv

NHKの「美の壷」は蘭でした。あの中央の出っ張ったとこをリップと言うそうで、花粉を運んでもらう為に虫を呼び込むような、そんな鮮やかな柄になってるんだとか。思わずそれを聞いて唇の間からチラチラと覗く舌先を想像してしまう私は、相当腐ってると思います。いや、今更だけどさ(苦笑)そんなわけでお好きなカプでご想像頂ければ〜。

そうそう、ハガレンくじその後。結局昨日の夕方、もう一回息子にくじ引かせに行かせました。四回引いてその結果。軍部グラス1個、アルケミストグラス1個、別柄のクリアフォルダ1セット、そして……フィギュア引き当ててきましたよ!アルフォンスだったけどさ!(爆)いや、大したもんだと思うけどね、その引きの強さは。でも、どうしてロイじゃないんだ……orz そんでもってくじは昨日までだったんですねー。今日ファミマを覗いたら見事に撤去されて空になってました。知ってたら散財してでももっとくじを引いたのに(苦)なんかすんごい心残りですorz


2011年01月08日(土)   No.5 (カプなし)

甘くて深い10のお題2 R×H
ロイハボver.

2.蒼い灯り

「待たせたな、ハボック」
「いえ、そんなことないっス」
 オレは車にもたれていた背を離し、声のした方に顔を向ける。そうすれば大佐が長いコートの裾を風に翻して玄関のステップを降りてくるところだった。
(ああ、カッコいい……)
 そんななんでもない姿にすらオレの心臓はドキドキと高鳴ってしまう。オレが車に乗り込もうとする大佐の為に扉を開ければ、大佐は車に体を滑り込ませながらオレをチラリと見上げた。
「ありがとう、ハボック」
 その視線と笑顔に高鳴っていた心臓がドキンと大きく跳ねる。顔が紅くなるのをどうすることも出来ないまま、オレはもごもごと『いえ』とかなんとか答えながら扉を閉めた。
 オレは上司であるロイ・マスタング大佐の事がずっと好きだった。元々オレにはそっちの気はなかったし、これまで好きになったのはみんな可愛い女の子だった。だけど大佐の元に配属になって初めて大佐に会った瞬間、あの強烈な光を放つ黒曜石の瞳にまるで射抜かれたように身動きがとれなくなってしまった。それが恋に落ちた瞬間だったのだと気づいたのはもう少し後になってからだったが、その時にはオレはもう大佐から目を離せなくなっていた。姿形は勿論だけどその生き様がカッコよくて、貫く信条が潔くてオレはどんどん大佐に惹かれていった。気がつけばいつも大佐の事を目で追っていて、大佐の為なら何でもしようと思った。オレは男で、恋愛の対象になんてならないのは判りきっていたからせめて大佐の部下として役に立ちたくて、それまで以上に訓練に励んで大佐の期待に応えられるよう努力した。大佐がオレを信じて任務を任せてくれて、それを成し遂げた時『よくやった』と褒めてくれるそれだけで、オレはとても嬉しくてとても幸せだった。大佐が上を目指す為にオレは自分の命を懸けるつもりで、それだけで十分だと思ってた。でも。
 大佐の言葉の端々に他の奴に対するのとは違うものが込められているように思えるようになったのはいつ頃からだったろう。さりげなく触れてくるその手に何か意味があるのではと思うようになったのは。最初は気のせいだと思ってたけど一度そう思ってしまうと大佐の言葉や仕草が酷く気になるようになった。何か言われる度、大佐が微笑む度、オレは期待してドキドキしてしまう。そんな筈ないと必死に心の中に沸き上がるものを押さえ込もうとするオレの耳に大佐の言葉が香る吐息と共に吹き込まれれば、オレの心は抑えようとする理性とは裏腹に期待にうち震えてどうすることも出来なくなっていった。
 もしかして大佐もオレの事を好きでいてくれるんじゃないか。もしかしたら次に二人になった時、好きって言われるんじゃないか。そんな気持ちがどんどん膨らんでどうしようもなくなった時。
 いきなり大佐の態度が素っ気なくなった。今までは一番にオレにかけていてくれた挨拶の言葉がかからなくなって、触れてくる手もなくなってしまった。飲み会の席でも大佐の隣に座るのはオレじゃなくなってしまった。任務は変わらず任せてくれたけど、かけてくれる言葉も笑顔もずっと少なくなってしまった。もしかしたらこのまま側にもいられなくなるんじゃないかって、不安になればなるほど大佐の事が気になって大佐への気持ちがどんどん膨らんでいって。
『大…さぁ…ッ』
 オレは毎晩ベッドの中で大佐を想って自分を慰めた。もしかして大佐を満足させることが出来たら側に置いて貰えるかもなんてバカな事を考えて、あんなにモテる大佐がそういう意味での道具としてのオレを必要とする筈ないと判っていながら、オレは想像の中で必死に大佐に尽くした。切り捨てられるかもしれないという不安が大佐への気持ちに拍車をかけて、大佐が好きで好きで堪らなくて。
「まっすぐ家でいいんスか?」
「ああ」
 オレは運転席に座りゆっくりとアクセルを踏み込みながら大佐に尋ねる。短く答えるその声にすらドキドキしながらオレは内心ホッとしていた。
(よかった、デートじゃないんだ)
 大佐には数え切れないほどのガールフレンドがいる。それも極上の女性ばかり。特別な誰かがいるんじゃないことは判ってたけど、それでも胸が痛む事には変わりない。少なくとも今日はそんな胸の痛みを抱えながら自分を慰めなくて済む事に安堵して、オレは丁寧に車を走らせた。間もなくして車は大佐の家へと到着する。運転席を降りて後ろに回り大佐の為に扉を開ければ大佐がゆっくりと外に出てきた。
「ハボック」
 そう呼ぶ声にドキンとする。今夜もきっとこの声を思い浮かべて自分を慰めてしまうのだとほんの少し後ろめたさを感じた時。
「車を裏に回して中に入れ」
「え?」
 突然の言葉にオレはポカンとして大佐を見た。大佐はそんなオレに薄く笑みを浮かべたと思うとさっさと家の中に入ってしまう。オレは理由を聞く事も断る事も出来ないまま仕方なしに車を裏の駐車スペースに入れた。
「なんの用事だろう……」
 大佐の家に入ったのは今まで数えるほどしかない。大抵は山のような資料や本を運び込むのが目的で、それが済めば早々に引き上げていた。こんな風に目的も判らず中に入るのは初めてで、オレは不安になりながら家の中へと入った。
「大佐?」
 この家で知っているのは書斎とリビングだけだ。先に入ってしまった大佐がどこにいるのか判らなかったので、オレはとりあえずリビングに向かう事にした。
「失礼します」
 そう言って押し開いた扉の中は青みがかった照明に照らされていた。まるで水の中を歩いているような感覚に部屋の中を見回せば、それが部屋の片隅に置かれた水槽を照らす灯りから漏れ出る光なのだと気づいて妙に納得してしまう。その時オレを呼ぶ大佐の声が聞こえて、そちらに目をやれば大佐がソファーに座っていた。
「なんだか水の中にいるみたいっスね」
 オレはそう言いながら大佐に近づく。言葉にすれば益々そんな気になって、オレの足取りは水の中を歩くみたいにゆっくりとなった。
「水の中を歩いているみたいな歩き方だぞ」
 大佐もそれに気づいたのかクスリと笑いながらそう言う。その笑顔にドキンと跳ねる心臓を必死に宥めながらオレは尋ねた。
「あの……なんの用事っスか?ああ、もしかして水槽の掃除とか?」
 水槽から漏れ出る蒼い灯りに目をやってオレは言う。わざわざ家の中に呼ばれた理由がどうしても判らなくて首を傾げるオレに、大佐は笑みを深めて言った。
「ここに座れ、ハボック」
「……はい」
 自分の隣を示してそう言う大佐の言葉のままにオレは大佐の隣に腰を下ろす。大きなソファーは一人分間を開けて座ってもまだ十分に余裕があった。
「なんスか?」
 座れと言ったきりなにも言わない大佐に、オレは段々と居心地が悪くなってくる。じっと見つめてくる大佐を見返すことも出来ず、水槽の灯りを見つめていればなんだか息苦しいような気分になってきた。
「あの……大佐…?」
 頬に突き刺さるような視線を感じる。もしかしたら大佐の気に障る事をしてしまったのかと不安になり始めた頃。
「ハボック」
 不意に大佐の声がすぐ側で聞こえた。ハッとして振り向くより先にオレの体が傾いで、まるで水の中のようにゆっくりとソファーに倒れ込んでいた。驚いて見上げる先にあるのは大佐の顔。その顔が笑みに崩れると同時に大佐が言った。
「愛してる、ハボック……」
「……え?」
 なにを言われたのか判らないまま唇が柔らかいものに塞がれる。大佐にキスされているのだと気づいたのは、大佐の舌が歯列を割って口内に入り込んできてからだった。
「っ?!んんッッ!!」
 びっくりして大佐の体を押し返そうとする。だが上から圧し掛かる大佐の体はビクともしなくて、入り込んだ大佐の舌がオレの口内を勝手気ままに弄(まさぐ)るのに任せるしかなかった。
「ふ……ぅん……ッ」
 深く合わさった唇の中で大佐の唾液がオレのそれと混ざりあう。甘いそれがまるで媚薬のようにオレの体を蕩けさせて、唇が離れる頃にはオレの体からはすっかり力が抜けていた。
「たいさ……」
「可愛いよ、ハボック……」
 大佐はそう言ってオレの軍服に手をかける。あっと言う間に上着が剥ぎ取られ、大佐の手がシャツの中に入り込んできた。
「あっ」
 ひんやりと冷たい手のひらにオレの体が竦み上がる。ぼんやりと霞がかかっていた意識がはっきりとして、オレは慌てて身を捩って大佐の下から抜け出そうとした。
「やだ、大佐っ」
「やだ?そんな事はないだろう?ハボック」
 大佐がそう言ってオレを見つめる。
「私の事が好きでしょうがない、そうだろう?」
「あ…」
 そんな風にズバリと言われれば否定することも出来ない。なにより顔が真っ赤になって、それだけで大佐の言葉を肯定しているようなものだった。
「私の事を思い浮かべてここを慰めてたんじゃないのか?」
「ひゃっ?!」
 ボトムの上からやんわりと股間を握られてオレはビクンと震える。そんな事まで言い当てられてオレはもうどうしたらいいか判らなかった。
「ご…ごめんなさい……ッ」
 真っ赤になった顔を腕で隠して身を縮める。男のオレが大佐を思い浮かべて慰めていると知って、きっと大佐は怒っているに違いない。明日になったら別の部署への異動を言い渡されるのだろうと、もう大佐の側にいられないと思ったら辛くて悲しくて涙が零れるのを止められなかった。
「ハボック」
 大佐がオレを呼びながら顔を隠すオレの腕に手をかける。腕を外させようとする大佐と外すまいとするオレは、暫くの間もみ合っていたがやがて大佐が焦れたように言った。
「顔を見せるんだ、ハボック」
「嫌っス」
 気持ちを知られて浅ましい行為を知られて、恥ずかしくて顔なんて見せられる筈がない。腕で顔を覆ったままふるふると首を振れば上から大佐の声が降ってきた。
「少尉」
「ッッ」
 ほんの少し厳しい声にそう呼ばれれば逆らえる筈もない。オレはおずおずと腕を下ろして涙に濡れた顔を大佐に晒した。
「ハボック」
 大佐の手が頬を濡らす涙を拭う。とても大佐の顔が見られなくてギュッと目を閉じていると、クスクスと笑う大佐の気配がした。
「ハボック、目を開けて」
 囁くように大佐がオレに言う。優しい声に導かれるように目を開ければ大佐が笑みを浮かべてオレを見下ろしていた。
「私のものになれ、ハボック」
「……なん、で…?」
 大佐が何故そんな事を言うのか判らない。消えそうな声でそう尋ねるオレに大佐が苦笑した。
「聞いていなかったのか?愛していると言っただろう?」
 そう言われればそんな気もする。でも、そんなの信じられない。もしかしたらと期待した時もあったけど、最近の大佐はオレと距離をおこうとしてたじゃないか。だからオレは切り捨てられてしまうのかと不安で不安で堪らなくて。
「そんなところがお前の可愛いところだ」
 半ば訴えるように告げるオレの言葉に大佐がクククと笑う。大佐はオレの頬を優しく撫でながら言った。
「私が好きだろう?ハボック。この中に私への想いを溜め込んで辛くて堪らないんじゃないのか?」
 そう言って大佐はオレの心臓の辺りをトンと指で突く。そうされればようやっと表面張力で零れずにいた想いが、サアッと溢れて落ちた。
「好き……ッ、好きっス、大佐……ッ」
 絶対に言えないと思っていた言葉が唇から零れて部屋を満たす蒼い灯りにキラリと光る。大佐は満足そうな笑みを浮かべてオレの髪をかき上げた。
「なら異存はあるまい。お前は私のものだ」
 大佐はそう言ってオレの額にキスを落とす。キスを落とした唇が瞼に頬に鼻筋に降って、最後に唇を塞いだ。
「ん……ッ」
 さっきよりもっと荒々しい口づけにオレはたちまち何も判らなくなる。
「たいさぁ…ッ」
 蒼く揺蕩う光の中、気がついたときには服を全て剥ぎ取られ、オレはただ大佐のなすがままにこの身を任せるしかなかった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます!拍手もパチパチ励みになりますーッ!とっても嬉しいですvv

歩いて1分のファミマでハガレン一番くじやってきました。四回やってロイのストラップとロイ+αのクリアファイルとシャオメイのメモ帳&しおり。んでもう一個が息子お目当てのD賞のリンのフィギュアでしたーッ!くじは全部息子が引いたんですが、いつもものっ凄く引きがいいんですよねー。前にスクエニのショップでハガレンのトレーディングアーツ買った時も二回目くらいでリン当てたし……。ロイが欲しくて滅茶苦茶投資してしまった私はパンダ娘とエンヴィばっかだったのにorz 後でもう一回ファミマ行ってロイ当ててきてって息子に頼みこんでいたりします(苦笑)

気を取り直して「甘くて深い10のお題」今日はロイハボの二つ目「蒼い灯り」です。ああまた今回はやたらと長くなってしまった。いやつい楽しくて(苦笑)今日はこの後更新を先にかかねばなので、ハボロイはなるべく早い機会にお届けしますということで(苦)ロイハボver、次回はR指定だな、腐v

以下、6日拍手のお返事です。

摩依夢さま

うふふ、ロイ、絶好調です!頑張るハボックの反応を書くのが楽しみで堪りません(笑)好きで書いているお題ですが、反応頂けるととっても嬉しく励みになります。いつもありがとうございますvv


2011年01月07日(金)   No.4 (ロイハボ)

甘くて深い10のお題1
いつも遊びに来てくださってありがとうございます!今回は戯言を先に(苦笑)またお題?って言われそうなんですが、この hs title's さんというお題サイト、見てると色々書きたくなるんですよねぇ。規約も緩やかだし借り手にとってとても親切。それに日記だと長くても短くてもいいので気ままにかけるものでつい(苦笑)そんなわけで今回は「甘くて深い10のお題」のver.1と2をお借りしました。なんで二つかと言えば流石にこれはカプ別で書きたかったので。まあ、今回は毎日続けてではなく、どちらか1カプの日もあれば2カプ同時の日もあり、他に日記ネタがあればそれを書くし溜まってる日記連載も書きたいし、そんな感じでまったり消化したいと思います。とりあえず今日は両方の一話目をお届け。ただ、今実家でビルダー使ってリンク貼るのが出来ませんので、オンリー派の方には申し訳ありませんが、お好みのカプまでズズッとスクロールしてやってくださいませ〜。一応ハボロイ、ロイハボの順になってます。よろしくおつき合いのほど、お願いいたします。

以下、2日拍手のお返事です。

摩依夢さま

あけましておめでとうございます、今年も連載含め頑張りますので、どうぞよろしくおつき合いのほど、お願いいたしますvvお題、楽しんで頂けたのなら嬉しいですー。どうもあのお題サイトさまにはまってしまったようでなかなか抜け出せません(苦笑)ところで「今年の野望」〜〜〜ッッ!!いやもう、こちらからお願いして読ませて頂きたいですよ!以前ちらりと拍手に寄せて頂いた時から綺麗な文章だなぁと思っておりました。もしよろしければ宝部屋のスペース確保させてくださいvv色々お忙しいとは思いますが、ワクワクドキドキしながらお待ちしております!!


この先、お題です。







ハボロイver.





1.Switch

「ッ?!」
「ああ、すまん、ハボック」
 わざとフラリとよろめいてハボックの厚い胸に寄りかかる。仰ぎ見るように肩越しにハボックを見上げればハボックの男らしい顔がカアッと染まった。
「別にいいっスけど……気をつけて下さいよ」
 ハボックは僅かに私から目を逸らして言いながら自分の体に寄りかかった私の体をそっと離す。ドンと突き放されないのをいいことに私はハボックの腕に手を置いた。
「お前みたいなのが側にいると安心だな」
 そう言いながら置いた手を肩の方へ滑らせにっこりと笑ってみせる。
「なんスか、それ」
 ハボックは赤い顔で私を睨みつけるように見ると、私の手を振り払うようにして側から離れた。
「中尉、ちょっといいっスか?」
 ハボックはその胸の内を表すような乱暴な足取りで中尉に近づくと手にした書類を示して話し始める。そのあまりのわざとらしさに私は思わずクスリと笑った。
「ここんとこなんスけど」
 と、中尉と話し続けるハボックの空色の瞳が私を見る。ちらりと寄越すその視線に怒ったような光を見つけて私はゾクゾクとした。
 ハボックが私に対して恋愛感情を抱いてくれるようになった時、私は飛び上がるほど嬉しかった。初めて会った時から私はハボックが好きだったが、ハボックは女性にしか興味がなかったしハボックが私に振り向いてくれる可能性は皆無と思われた。それでも諦めきれずに事あるごとにハボックに触れ熱い視線を送り続けた。ハボックが私を意識し始めれば更にハボックを側に置くようにした。彼が私への気持ちを誤魔化そうとするように女性に目を向けようとすれば、まるで横から奪うようにその女性にアプローチをかけて私に気持ちを向けさせた。そのことで随分ハボックに恨みを買ったが、かえってハボックの気持ちが私に向くことが嬉しかった。そうしていつしかハボックの視線が熱を帯び、私に対する恋情を滲ませるようになった時はどれほど嬉しかったか。だが、そうなってもハボックは私に手を伸ばそうとはしなかった。ハボックは軽く見られるその言動とは裏腹に至極真面目な性格だったから、上司でありしかも同性の私に恋愛感情を抱く事を良しとしなかった。だから、必死に私への気持ちを押し殺し二人の間のラインを越えようとしないハボックの最後のスイッチを押そうと、私は今まで以上にハボックを煽っていた。
「ハボック、そっちの用事が終わったら車を回してくれるか?」
「……まだあと三十分位かかりますからブレダに頼んで下さい」
「三十分か、それくらいなら私の方も都合がいい」
 そう言って笑えばハボックの顔が歪む。私はそれには気づかぬフリで執務室に入った。
「今日こそお前のスイッチを入れてやる……」
 そう呟いて椅子に腰を下ろし書類を手に取りはしたものの内容など頭に入ってこない。時を刻む時計の音さえハボックが部屋に入るまでのカウントダウンのようで、私の興奮を煽った。そうしてかっきり三十分後、執務室の扉が開いてハボックが顔を出した。
「車の用意出来たっス、大佐」
「ああ、私も丁度終わったところだ」
 眉間に皺を寄せて告げるハボックに私は満面の笑みを浮かべて答える。書類を抽斗にしまいコートを手に立ち上がると、執務室の扉を開いたきりそこに立ち尽くしていたハボックの脇を抜けて出ていこうとした。
「行こうか」
 脇をすり抜ける瞬間、ハボックを見上げ煙草を咥えた唇に向かって声をかける。ピクリと震えて目を見開くハボックにねっとりとした笑顔を向けて、私は執務室を出た。司令室に残る部下たちに声をかけて大部屋を抜ける。背後からついてくるハボックの気配にこれまでとは違うものを感じて先を歩く私の唇に笑みが浮かんだ。
 今夜こそ、今夜こそ。
 カチリとスイッチの入る音を聞きながら、私は足が地につかぬような足取りで司令部の廊下を歩いていった。








ロイハボver.







1.熟れた果実

「おっと」
「すっ、すんません」
 渡そうとした書類を落としかけてハボックが慌てて手を伸ばす。同じように伸ばした手で書類ではなくハボックの手を掴めば、ハボックがビクリと身を強張らせた。
「あ」
 そうすれば当然のように書類はハボックの手をすり抜けバサバサと床に落ちる。私は床に散らばる書類を見て眉を跳ね上げた。
「すんませんっ、大佐!」
 書類を拾う為に慌ててしゃがもうとするハボックの手を私はキュッと握る。ハッとして私を見るハボックから手を離して私はにっこりと笑った。
「すまんな、ハボック。受け取るタイミングが悪かった」
「い、いえ……っ」
 ハボックは顔を赤らめて私から目を逸らすと腰を落として散らばった書類に手を伸ばす。一枚一枚落ちた書類を集めるハボックの存外に長い睫を見下ろして、私は笑みを深めた。
 部下であるハボックが私に上司に対する敬愛以上の好意を抱いていることに、私は随分と前から気づいていた。何故なら私自身、ハボックに単なる部下に対するものとは違う気持ちを抱いていたからだ。ハボックの崇拝に近い純粋で綺麗な気持ちに対して、私のハボックへのそれはもっとどろどろと粘つく感情だった。ハボックの全てを手に入れたくて支配したくて、拒まれることなど絶対に赦せなかった。ハボックはずっと女性にしか興味がなかったから例え私に敬愛以上の好意を抱いていたとしても、そのままでは単なる憧れですまされてしまう可能性が高く、実際ハボックはその瞳に私への恋情を滲ませながらもそれ以上その気持ちを育てる様子もましてやその気持ちを私に打ち明ける気配もなかった。だから私はハボックの私に対する気持ちにせっせと肥料を与えることにした。普段の会話に彼が思わず期待してしまうような言葉を織り交ぜ、さりげなく彼に触れた。飲み会の席では彼の隣に座り、内緒話をするように彼の形のよい耳に言葉を吹き込んだ。大好きな花を育てるように毎日毎日彼の好意に水をやり肥料を与え続けた結果、今ではその花はすっかりと育ちきり熟れた果実をつけて重そうに撓(たわ)む程になっていた。早くもぎ取ってくれと甘い香りを漂わせ、以前とは違う熱を持って見つめてくるハボックに、だが私はすぐには手を伸ばさなかった。それどころか逆にこれまで与えていた肥料をやるのすらやめてしまった。そうすればたちまち乾ききった果実はその身を守ろうとするようにせっせと自分で栄養をため込もうとする。私に対する恋情という栄養を身の内にため込んだハボックは今ではもう触れればポトリと地面に落ちてしまいそうなほど熟れきってしまっていた。
「すんません、大佐」
 ハボックは何度目になるか判らない謝罪の言葉を口にしながら私に書類を差し出す。私が笑みを浮かべてそれを受け取ればハボックは顔を赤らめて目を逸らした。
「ありがとう、ハボック」
「いえ、落としたのはオレだし……っ」
 笑みを深めて礼を口にすると面白いようにハボックの顔の赤みが増す。内心それを楽しみながら私はハボックに言った。
「六時に司令部を出る。車の用意をしておいてくれ」
「は、はいっ」
 ハボックは私の言葉に弾かれたように視線を戻し敬礼する。ぎくしゃくと執務室を出ていくハボックの紅く染まった項を見送って、私はにんまりと笑った。
 大事に育てた果実を今夜摘み取ることにしよう。それはどれほど甘く私の喉を潤してくれるのだろうか。数時間後に迫ったその時を思い浮かべて、私はうっとりと目を閉じた。
2011年01月05日(水)   No.3 (カプなし)

鏡餅
「これでよし!」
 ロイは鏡餅のてっぺんに黄色い塊を置いて満足げに頷く。鏡餅を一つ置いただけで広い部屋が新年の雰囲気に包まれるようで、ロイは笑みを深めた。その時、ハボックが寒い、寒いと手を擦り合わせながらリビングに入ってくる。
「外の飾り付け終わったっスよ」
 そう言ったハボックは飾られた鏡餅を見て眉を顰めた。
「なんでミカンが二つ載ってるんスか?」
 言ってハボックが指差した鏡餅の上には確かにミカンが二つ載っている。どうなってるんだと覗き込んで、ハボックは二つのミカンが枝にくっついているのだと気づいた。
「一つ取っちゃえばいいのに」
「一つにするには枝の向きが悪いんだ」
 ロイが言うとおり確かに枝が二つのミカンの間を通るように付いているため、片方とると格好が悪くなってしまいそうだった。
「他にも葉付きミカンあったっしょ?」
「これが一番美人のミカンなのだ」
「……そっスか」
 どうにも妙な拘りがあるらしい。胸を張ってこのオレンジの色艶がいいのだと語るロイに、ハボックがアホらしいとばかりにため息をつけばロイがジロリとハボックを見た。
「そもそも折角二つ仲良くなっているのを引き裂くなんて可哀想だと思わんのか?」
「そりゃあまあ」
 なんつー少女趣味なと思いつつも曖昧に頷いたハボックだったが、次に続いたロイの言葉にギョッとして飛び上がった。
「無理矢理分けたらミカンの呪いで私達も引き裂かれたりしてな」
「なっ……?たかがミカンの話っしょ?!」
「じゃあ二つに分けるか?」
 チラリと横目で見ながら言われてハボックはウッと言葉に詰まる。
「……やめときます」
 とボソリと言ってハボックは心配そうにミカンを覗き込んだ。
「ポトリと片方落ちたりしないでしょうね」
 言いながらそっとミカンに触るハボックの肩をロイがポンと叩く。
「わっ?!ちょっと大佐、ビックリしてミカン落としちゃったらどうするんスかッ」
「ちょっと肩を叩いただけだろう?それよりほら」
 目を吊り上げて喚くハボックにロイは呆れたように眉を寄せたが、気を取り直して壁の時計を指差した。
「あ、十二時」
 時計の針は日付を跨ぎ、新しい年が来たことを告げている。ハボックは見つめてくる黒曜石を見返して言った。
「今年もよろしくお願いします、大佐」
「ああ、よろしくな」
「……ずっと一緒っスよね?」
 どうやらさっきのミカンの話が気になっているらしい。神妙な面持ちでそう言うハボックにロイはニヤリと笑った。
「鏡開きの時、ミカンを枝から外さないで二人で一緒に食べれば平気じゃないか?」
「ホントですねッ?絶対一緒に食べてくださいよッ?」
「お前な……」
 肩を掴んで“絶対っスよ!”と喚くハボックに、ロイはげんなりと肩を落とす。
「ほら、約束だ」
 ロイは苦笑してそう言うと、ハボックの唇にチュッとキスしたのだった。


あけましておめでとうございます!昨年中は遊びに来てくださったり声をかけてくださったりと、色々ありがとうございました。今年もハボックとロイで楽しく過ごしていこうと思いますので、是非是非お付き合い下さいませ。

新年最初の日記は鏡餅話で。なんでアメストリスで鏡餅かというのは気にしない方向でお願いします。一夜飾りは縁起が悪いというのは聞かなかったことで。きっと忙しくて飾る暇がなかったのかと(苦笑)
鏡餅を飾るのに葉付きミカンを買ったんですが、なんか葉の付き方とかミカンの傷とかの具合が一番良さそうだったのが双子だったんでそのまま飾っちゃいました(笑)しかし、テレビを地デジ対策で買い換えたらテレビの上に鏡餅が乗らないよ。意外なところで不便だとき気付いたり。

以下、拍手お返事です。

蒼さま

そうそう、行けなければ結局は一緒です(苦笑)おせち料理はちょっとだけです、二日から実家に帰るもので。しかし、初おせちが高校の時ですか??凄いな、流石蒼さん。大晦日から元旦はかなり荒れ模様な天気だったようですが、大丈夫でしたか?実家、リンゴはあるはずなので、多分(苦笑)今年もご一緒にハボックラブを叫びましょうね!

風汰さま

おお、お元気ですか?こちらこそ昨年は大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い致します。わー、リク、早く消化出来るよう、頑張ります!おお、バニーのお年賀ですか??期待して待ってますねッvv

J.A.さま

こちらこそご無沙汰しております〜。昨年は大変お世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い致します。おお、受験ですか、御苦労さまですー。後もうひと踏ん張りですね、お体お気をつけて頑張って下さいませv


2011年01月01日(土)   No.2 (カプなし)

No. PASS
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  Photo by 空色地図

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