「おい、これはどこに置くんだ?」 ブレダが両腕に大きな段ボール箱を抱えて聞く。ハボックは寝室から顔を出して答えた。 「ああ、それはダイニングに置いといて」 「ダイニングって言ったってもう置くとこねぇぞ」 「じゃあリビング」 「リビングもダイニングも一緒だろうが」 この狭いアパートで、とブレダはブツブツと言いながら手にした段ボール箱を置いてある箱の上に積み上げる。やれやれと腰を伸ばしてブレダは寝室でゴソゴソやっているハボックに言った。 「引っ越しっていうからてっきり大佐の家に引っ越すのかと思ってた」 「それ、大佐にも言われた」 ハボックはそう言いながら寝室から出てくる。寒い季節にも関わらず吹き出す汗をタオルで拭って言った。 「ちょっと一息入れようか」 ハボックはキッチンのカウンターに置いてある袋からタオルにくるんでおいた缶コーヒーを取り出す。ブレダに向かってヒョイと投げれば缶は放物線を描いてブレダの手の中に収まった。 「タオルに包んでおいたからまだあったかいと思うけど」 「サンキュ」 ダイニングの椅子に腰を下ろしてブレダは缶コーヒーのプルトップを開ける。ゴクゴクと飲んでハアと息を吐き出した。 「ああ、ホッとする」 「悪いな、休みの日に」 ハボックは自分も缶を手に椅子に座ると同じようにコーヒーを飲む。プハッと息を吐き出すハボックを見てブレダは言った。 「で?なんで大佐のとこに行かなかったんだ?」 ハボックとロイが所謂恋人同士というのは軍部内では既に周知の事実だ。今更隠すこともないし、ロイが一緒に住むことを期待しているならそうすればいい。薄給のハボックにとっては家賃が節約されるのも魅力に違いない。それなのに何故?とブレダが聞けばハボックがボリボリと頭を掻きながら答えた。 「いや、まあ何事もそう一足飛びにはな……だろ?」 「だろ?って言われてもな」 同意を求められてブレダが苦笑する。ハボックは背を丸めて両手で包み込んだ缶を膝に載せて言った。 「だっていきなり同居なんてどうしていいか判んないじゃん」 ロイを好きな気持ちに偽りはないし、そうなったことに後悔もしていない。だが、急激な変化に気持ちがついていけない事も事実で、少しずつ慣らしていきたいと言うのがハボックの正直な気持ちらしい。 「大佐は文句言いそうだけどな」 気持ちが決まってしまえば意外と積極的なロイのこと、ハボックのこの態度は煮えきらないと映るかもしれない。 「でも、これまでは司令部挟んで反対側のアパートだったからさ。これでも随分近づいてんだから」 確かにここからロイの住む家までは歩いても五分とかからない。 「まあ、大佐がしびれ切らす前に慣れろや」 「ん……そうする」 顔を赤らめながらも頷くハボックに、もう一度引っ越しを手伝わされるのもそう遠くないだろうとブレダは感じる。 「さ、後少しだ。さっさと片づけちまおうぜ。大佐、待ってるんだろ?」 「うん、今日は引っ越し祝いで奢ってくれるって。ブレダも来る?」 「まだ消し炭になりたくないんで遠慮しておく」 二人は缶をゴミの袋に放り込むと、早く片づけてしまおうと残りの荷物に取りかかったのだった。
いつも遊びに来てくださってありがとうございます!パチパチ拍手も嬉しいですv励まされてますvv
日記の西暦表示が2011年に出来なくて、配布元のサイトさんもなくなってしまってバージョンアップも出来ないので日記のお引っ越しをしました。前回同様Mさんに色々ご指導頂きました。わーん、Mさんありがとうッ!!ゴチャゴチャ色々くっついてるのは好かんと言うことで殆どなにもつけずにこんな感じになりましたが如何でしょう。前の日記の時に一番下にあった拍手ボタンは文字リンクにして最新記事一覧の下に貼ってあります。アイコンの色分けは青:ハボロイ、赤:ロイハボ、緑:カプなし、オレンジ:カプ色ありで、今まで通りカプ前提のものには「〜風味」エッチ含めカプ色の強いものは「CP」がつきます。とりあえず一月分だけこっちの日記に移し、昨年までの日記は一応リンク残しておきました。カレンダー嫌いなので新しいのにはつけてませんが、過去ログ検索しやすいようにカレンダー設置してます。いやぁ、これでちゃんと2011年の日記になるぞーvともあれ、これからも萌えを吐き出す日記ですが、よろしくお願いいたしますv
以下、30日拍手のお返事です。
「続きありがとうございます」の方
楽しんで頂けて嬉しいですv NHKはニュースも含めて色々ネタが拾えていいですよ(←間違っている)本当、ホープダイヤって知れば知るほど不思議ですよね。うまく使いこなしてからハッピーエンドかぁ。考えてみまーすv
柚木さま
おお、ありがとうございますーvふふふ、幸せの鉱石かぁ。ハボック、褒めて下さって嬉しいですvこういうハボック久しぶりかも(笑)
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