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2018年10月の日記

2018年10月22日(月)
橙色の秋に10のお題
2018年10月02日(火)
豆騎士 邂逅編

橙色の秋に10のお題
10.秋が終われば

「そろそろ秋も終わりっスかねぇ」
 並んで歩くハボックが空を見上げながらぽつりと呟く。その唇に咥えた煙草の煙がハボックの瞳と同じ色の空に吸い込まれていくのを目で追って、ロイが言った。
「秋が終わるだと?と言うことは冬が来ると言う事じゃないか」
 うんざりしたような口調で言ってロイはコートの襟を立てる。
「今だって十分寒いのに冬が来たら更に寒くなるんだぞ。まだ秋の方がましだ、終わらんでいい、冬なんて来るなッ」
 最後は空に向かって吐き捨てるように言うロイにハボックがクスリと笑えば途端に黒曜石の瞳に睨まれて、ハボックは慌てて公園の紅葉へと目を向けた。
「あ、ほらッ。まだ紅葉が綺麗っスよ。冬が来る前に最後の秋を楽しみましょう」
 ほらほら、とへらりと笑って紅く色づいた木々を指さすハボックにロイはフンと鼻を鳴らす。立てた襟を両手でギュッと引き寄せて言った。
「今でも十分寒いと言ったのを聞いていなかったのか?楽しむ余裕なんてない」
「まあまあ、そう言わずに」
 寒い、帰るぞと公園の出口へと足を向けようとするロイの腕を掴んでハボックが引き留める。眉間に皺を寄せるロイの腕を引いてハボックは売店へと歩いていった。
「あ、焼き芋売ってる」
 近づいていけば見えてきた「焼き芋」と言う文字にハボックが嬉しそうな声を上げる。ロイの腕を引いたまま近づくと店員の女性に声をかけた。
「焼き芋くれる?一番でっかいの」
 にっこりと笑って言うハボックに女性も笑みを浮かべる。ハボックの注文通り一番大きい芋を選んで紙に包んでくれた。
「ありがとう」
 代金を支払ってハボックは芋を受け取る。「はい」と差し出せばロイが眉を顰めて芋を見つめた。
「食うとは言ってないぞ」
「旨いっスよ、絶対」
 ニカッと笑ってハボックは近くのベンチにロイを促す。並んで腰掛けると包みから焼き芋を取り出し二つに折った。
「おお〜、うっまそう!はい、大佐っ」
 差し出された焼き芋の黄金色の断面から旨そうに湯気が上がるのを見れば思わず手が伸びる。「アツッ」と呟きつつも手にした焼き芋を齧れば腹の中から暖まるようで、思わずホウとため息が零れた。
「旨いっスね」
「そうだな」
「秋も終わりかぁ」
「別に冬になっても芋は売ってるだろう?」
「紅葉を見ながら食うのがいいんスよ」
「そんなもんか?」
 澄んだ空をバックにだいぶ少なくなった紅葉の枝を広げる木々を見上げて二人は焼き芋を頬張る。あっという間に平らげてしまうと、ハボックは残った皮を包み紙ごと丸めて近くのゴミ箱に向かって放り投げた。
「あっ、外したッ」
「ヘタクソ」
 ゴミ箱の縁に当たって地面に転がった包みにハボックが声を上げロイが肩を竦める。ハボックは「くそーッ」と呟きながら小走りに駆けて拾った包みをゴミ箱に入れると、パンパンと手をはたいてロイに言った。
「帰りますか?」
「もういいのか?秋は」
「芋食ったし」
 そう言って笑うとハボックは空を見上げる。ベンチから立ち上がりハボックの側へと行くと、ロイもハボックの視線を追うように空を見上げた。
「晩飯はおでんが食いたい」
「それって冬メニューじゃねぇんスか?」
「芋食って秋は終わったんだろう?」
「んー、せめてパンプキングラタンにしません?」
「諦めが悪いな」
「晩秋ってことで」
 へへっと笑って言うハボックに仕方ないなとロイが肩を竦める。どちらともなく歩き出すと、落ち葉を踏みしめながら公園を後にした。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。ポチポチ拍手も本当に嬉しいですーvvなんか書こうって気になります、ふふv

さて、なんでいきなり十番目?と思われるかもしれませんが、古い携帯の未送信メールを眺めていたらなにやら秋の小話が幾つかありましてね。今はスマホなので電車の中とか待ち時間とかゲームしたりネット見たりしてますが、以前携帯だった頃はメールでポチポチ日記ネタを書いてたんですよ。んで、こんな話書いたっけ?って読み返してみたらどうやらお題に挑戦してたらしい(書いた本人も覚えてない(笑)んで、検索かけたら九番目までしか書いてなかったんですよー。一応十番目のタイトルでも検索書けてみたけど出てこなかったから多分書いてない、はず。まぁ、今更書かなくてもいいんですけど、何となく後一話ってのが(笑)例によってなんて事のない話ですが、ロイとハボックの秋の終わりのまったりな一日をお楽しみ頂ければv んで、四年くらい前に書いた1から9は「橙色の秋に10のお題」←これを日記ページの一番下にある検索ワードにコピペして検索かけていただければズラッと出てきます(笑)

以下、拍手お返事です。

先日もエドハボの件で の方

えへへ、私も久々にエドハボ書いて楽しかったので、喜んで頂けて嬉しいですv スパダリ!!わぁ、確かに!エド、大人になったら絶対男前攻めですよね!うふふふ、想像すると顔がニヤケてしまいます(笑)ロイハボは勿論ですがエドハボもやっぱり好きなので、また書いていきたいと思っております。ロイハボともどもおつきあい頂けたら嬉しいですv
2018年10月22日(月)   No.512 (カプなし)

豆騎士 邂逅編
エドハボ風味

「少尉ッ!!」
「えっ?大将?」
 ロイの半歩後ろから続いて建物の入口をくぐろうとしたハボックは、背後からかかった聞き覚えのある声に驚いて振り向く。そうすれば大きく手を振ったエドワードが長い三つ編みを靡かせて駆け寄ってきた。
「少尉もここに来てたんだ!」
「うん、大佐の護衛で。って、大将も?すごい偶然」
「偶然じゃねぇよ。俺たちやっぱり運命で決められた恋人同士ってことだろ」
 空色の瞳を丸くして「びっくりした」と言うハボックに、エドワードはニヤリと笑って腕を伸ばす。ハボックの後頭部に手を回し引き寄せようとすれば、わざとらしい咳払いが聞こえた。
「ここは往来だ、鋼の。少しは人の迷惑と言うものを考えたらどうだ?」
 そう言う声に視線を向ければロイがうんざりとした顔で二人を見ている。慌てて離れようとするハボックを抱き締めてエドワードはロイを睨んだ。
「なんだよ、久しぶりに会った恋人同士が再会を喜ぶののどこが迷惑だって言うんだよ」
「迷惑以外のなにものでもなかろう」
 唇を尖らせる少年にロイは大きなため息をつく。そんな二人のやりとりにハボックはなんとかエドワードの腕から抜け出して言った。
「これから会議なんだ、大将。早くしないと遅れちゃうから」
 ごめん、元気で、とすまなそうに言って足早に立ち去ろうとするハボックの腕をエドワードは慌てて掴む。振り向く空色に、エドワードは早口に言った。
「ホテルどこ、少尉?夜なら時間とれんだろ?」
「ごめん、夜も会食の予定が入ってるから」
「会食が入ってるのは大佐だろッ?少尉は関係ないじゃん!」
 だから、と言い募る少年にハボックは眉を寄せる。腕を掴む手を外して言った。
「オレは大佐の護衛官なんだ。大佐が行くところにはどこだって一緒に行く。だから今回は無理だ。ごめん、大将」
 ハボックはそれだけ言うとエドワードに背を向けロイを促す。素っ気なく立ち去ろうとするハボックを数歩追いかけて前に回ると、エドワードは言った。
「折角会えたんだぜ?ここんとこ全然会えなくて、そりゃ、俺があっちこっち行ってるせいだけどッ、こんなとこで偶然久しぶりに会えたんだ!一緒に過ごしたいって思うだろッ!少尉だって俺に会いたかったんじゃないのかよッ?!」
「大将……」
 激しく感情をぶつけてくる少年にハボックは唇を噛む。ハボックが何か言おうとする前にロイがエドワードとハボックの間にズイと割り込んだ。
「いい加減にしろ、鋼の。我々は仕事でここに来ているし、ハボックは任務中だ。行くぞ、ハボック」
「──イエッサー」
 一瞬の間の後、ハボックはピッと背筋を伸ばして答える。そのまま振り向きもせず建物の中に入る背中を、エドワードは手を握り締めて見送った。

「お疲れさまっス、結構時間かかったっスね」
 会議を終えて出てきたロイを会議室の扉の前で出迎えてハボックが言う。手にした分厚いファイルの束をハボックに手渡して、ロイは思い切り眉を顰めた。
「下らんことにだらだらと時間をかけやがって。私が切り上げなかったら一晩中でも続けてたぞ、くそジジイども」
「強引に終わらせたんスね」
「いつまでも結論を出せずにいたから私が決めてやったんだ。感謝して欲しいくらいだ」
 おそらくはロイの言うとおりなのだろうが、また無駄に反感を買ったに違いない上司の言い分にハボックは苦笑する。だが、この時間でも次の会食にはギリギリの時間で、ハボックは急ぎ足で玄関へと向かうロイの後についていった。
「今、車を回して────」
 来ます、と扉を潜りながら言い掛けて、ハボックは次の瞬間ロイをつぎ飛ばすようにして庇う。その半瞬後、二人が立っていた場所を続けざまに銃弾が穿った。
「死ねッ!マスタングッッ!!」
 大声を上げて迫ってくる襲撃者に向かって、手にしたファイルをブーメランの要領で投げつけたハボックがフォルダーから銃を引き抜く。腹に分厚いファイルの一撃を食らって一瞬怯んだ男にハボックが引き金を引く寸前、小柄な体がハボックの目の前に飛び込んできた。
「俺の少尉に手を出すんじゃねぇぇッッ!!」
「大将ッ?!」
 叫ぶと同時にエドワードはパンッと胸の前で両手をあわせる。その手を地面につけば、激しい錬成光が迸ってバリバリと音を立てて盛り上がった地面が男に向かって一直線に走っていった。
「うぎゃあッッ!!」
 無数のギザギザした突起を突き出して地面を駆け抜けた錬成光は、男をはね飛ばした勢いのまま道路を突き抜けていく。道路沿いに建つ幾つもの建物の入口やら窓やらを壊しながら走り抜けるさまを、ハボックは銃を構えたまま呆然として見つめた。
「うそだろ……」
 一瞬にして瓦礫と化した通りに、壊れた建物の中から驚いた人々が飛び出してくる。人死にが出ていないのが不思議なほどの街の様子に呆然とするハボックに、エドワードが飛びついてきた。
「怪我ないかッ、少尉ッ?!」
「大将……」
 言ってハボックに怪我がないか確かめてエドワードは嬉しそうに笑う。「よかったァ」と喜んだエドワードは背後からゴツンと頭を殴られて、目を吊り上げて振り向いた。
「なにがよかったァ、だ。この街の有様を見てみろ」
 錬成陣を描いた白い手袋をはめた拳でエドワードの頭を殴ったロイが言う。言われて抉れた道路とそこここが壊れた建物を見て、エドワードはウッと怯みながらも答えた。
「そ、そりゃちょっとやりすぎたけどッ、でもおかげで大佐だって無事だったろ?」
「あれくらいのチンピラ、ハボックなら難なく処理できる。こんな被害など出さずにな」
「いや、だけどッ!俺の少尉に銃を向けたんだぜッ!」
「正しくは銃を向けられたのは私だ」
「だからちゃんと守ってやったじゃんッ!」
「鋼の」
 腕を広げて成果を主張する少年をロイが低く呼ぶ。その黒曜石の瞳を細めてエドワードを見据えた。
「壊した道路と建物を全部元通りに修復したまえ。それが済むまではハボックと会うのは認めん」
「はああッ?!なんだよ、それッ!折角助けてやったのにッ!」
「彼らの様子を見てもそれが言えるのかね?」
 そう言うロイの言葉にエドワードは街の人々へと目を向ける。なにがなんだか訳の判らないまま家や商店を壊されて呆然としたり怒りを爆発させる人々を見れば、エドワードも流石に言葉が出なかった。
「判ったのならきちんと、寸分違わず修復するように」
「な、なぁ、大佐ッ!明日やるッ!明日必ず全部元通りに直すからッ!」
「今すぐ、今夜中に、だ。鋼の」
「少尉が出てくるの、ずっと待ってたんだぜッ!なぁ、少尉ッ!少尉からもなんか言ってくれよッ!」
 そう言って縋ってくる少年をハボックは肩を落として見つめる。まだ手にしたままだった銃をホルダーに納めて言った。
「オレも大将にすっごく会いたかったし、ここで偶然会えてめちゃくちゃ嬉しかった」
「だろッ?だったら────」
「でも今回ばっかりは庇いようがねぇ……無理」
「しょ、しょういッ?」
 首を振ってため息と共に言葉を吐き出すハボックを、エドワードは金色の瞳を見開いて見上げる。そんなエドワードにロイが冷たく言い放った。
「我々は明日の朝ここを立つが、きちんと全部修復しろよ、鋼の」
「ええッ?明日の朝って、それじゃあ……ッッ!!」
「当然ハボックも一緒だ。さて、会食に向かうか、行くぞ、ハボック」
 そう言ったロイに肩を叩かれ、頷いたハボックが車を回してくる。ロイが乗り込んだ車の扉に慌てて縋ってエドワードが叫んだ。
「ちょっと待てって、大佐ッ!せめて明日の朝、少しだけでも────」
「ではな、鋼の。ハボックの事はちゃんと連れて帰るから心配するな、君はキリキリ働きたまえ」
 ニヤリと笑ったロイが合図すれば車はゆっくりと走り出す。すまなそうなハボックの表情が一瞬見えた車があっという間に走り去るのを為す術もなく見送ったエドワードは握り締めた拳をプルプルと震わせて、そして。
「大佐のバカヤローッッ!!!」
 エドワードの怒鳴り声が瓦礫と化した通りに空しく響きわたった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。ポチポチ拍手もとっても嬉しいですv 励みになってますvv
お久しぶりの豆騎士です。どれくらい久しぶりかというと……三年半ぶりくらい?(笑)いや、豆騎士お好きだという方からメッセージを頂いたので自分でも読み返してみたら書きたくなったもので、えへへv 多分翌朝に帰らなくても間に合うんだと思うんだ、大佐。でも、それじゃあつまらないから帰っちゃうイジワルな大人の大佐です(笑)
そうそう、豆騎士を書いたついでに日記に載せたまま豆部屋に収録してなかった話を「citrine」に入れておきました。しかし、収録してて思ったけど、豆騎士って無配本に書き下ろしでサイトに載せてない話、多いなぁ……。書き下ろしは本を頼んでくださった方へのお礼も兼ねているのでサイトには載せない事にしているのですが、結構数あるよね(苦笑)むーん……。無配本は基本、サイトのお誕生日の時に再配布しているのですが、もし、どーしても読みたいよッ!と嬉しい事を言ってくださる方がいらっしゃいましたら、メールフォームの方からお問い合わせ頂ければ対応できるかも?まぁ、その時の状況にもよりますが。
何はともあれ久々の豆騎士、お楽しみ頂けましたら嬉しいです〜v

以下、拍手お返事です。

突然のメッセージ失礼致します  の方

はじめまして!遊びに来てくださって、そして更にはメッセージまでありがとうございます!うふふ、ビバ、懐かしさの気紛れ!拙宅を見つけてくださって嬉しいです〜v 理想のロイハボなんて、照れ照れ/// でもそう言って下さって本当に嬉しいです!そしてエドハボもお好きとは!いいですよね、エドハボ!エドは絶対に攻めだと思うのですよ、そして絶対相手はハボックでないとッvv 同志がいて嬉しいです〜v これからもぼちぼちと頑張っていきますので、よろしければどうぞこれからもおつきあいのほどよろしくお願いいたしますv
2018年10月02日(火)   No.511 (カプ色あり)

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  Photo by 空色地図

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