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2012年08月の日記

2012年08月31日(金)
新・暗獣18
2012年08月29日(水)
新・暗獣17
2012年08月27日(月)
新・暗獣16
2012年08月26日(日)
新・暗獣15
2012年08月24日(金)
新・暗獣14
2012年08月23日(木)
新・暗獣13
2012年08月22日(水)
新・暗獣12
2012年08月21日(火)
新・暗獣11
2012年08月20日(月)
新・暗獣10
2012年08月19日(日)
新・暗獣9
2012年08月18日(土)
新・暗獣8
2012年08月17日(金)
新・暗獣7
2012年08月16日(木)
新・暗獣6
2012年08月15日(水)
新・暗獣5
2012年08月13日(月)
髭騎士9
2012年08月12日(日)
新・暗獣4
2012年08月11日(土)
新・暗獣3
2012年08月10日(金)
新・暗獣2
2012年08月09日(木)
新・暗獣1
2012年08月08日(水)
髭騎士 髭の日編
2012年08月07日(火)
吸血鬼14
2012年08月06日(月)
鈍感な騎士と素直でない姫君の話
2012年08月05日(日)
13.胸
2012年08月02日(木)
12.指先

新・暗獣18
 湖の向こうにオレンジ色の夕陽が沈むのを見送った後、ロイとハボックはコテージに帰ってくる。さっきは荷物を置いただけですぐ出かけてしまった為、二人は改めてゆっくりとコテージの中を見て回った。
 広々としたリビングには暖炉が備え付けられている。カウンター式のキッチンは対面になっていて、ロイが料理をしていてもリビングにいるハボックの様子がよく見えそうだった。一階には浴室もあるが、更にその奥の扉を開けると小さな露天風呂がある。木に囲まれた風呂を見て、ハボックが顔を輝かせた。
「ろーいっ」
「まあ、待て。まだ全部見終わってないだろう」
 そう言ってロイが中に戻ってしまうとハボックが残念そうな顔で風呂の入口でうろうろする。ロイはリビングの隅にある急な階段を上がり二階に上がった。
「ハボック!」
 ロイが呼ぶ声にハボックはリビングに戻ってキョロキョロと見回す。
「こっちだ、ハボック」
 もう一度聞こえた声を探してハボックが視線を上げれば、吹き抜けになったリビングを囲むようにぐるりと張り巡らされた廊下に立ったロイが手を振っていた。
「ろーいっ」
 家では見られない光景にハボックが喜んでピョンピョンと飛び跳ねる。ジャンプに合わせてポンッ、ポンッと尻尾と犬耳が出るのを見て、ロイはやれやれと肩を落とした。どうやら感情が高ぶると隠しておけなくなるようだ。
「家の中だし、まあいいか」
 あまり甘やかしてはいけないが、とりあえず今はいいだろう。ロイは笑みを浮かべて階下のハボックに言った。
「上がっておいで。そこに階段があるだろう?」
 ロイは言ってリビングの隅を指差す。ハボックは階段を上がってロイの側にやってきた。
「ろーい」
 廊下に巡らされた落下防止の柵の隙間からハボックは面白そうに階下を見下ろす。ふさふさと尻尾を振るハボックを見ながらロイは言った。
「おいで、こっちも面白いぞ」
 そう言って歩き出すロイをハボックが追ってロイのシャツの裾を掴む。ロイが開けた部屋の中に入るのに続いたハボックが目を瞠った。
 二階のその部屋は屋根の形そのままに天井が斜めになっている。斜めの天井にはシェードのついた窓がついていて、ロイが紐を引くとシェードが縮んで、淡く太陽のオレンジの光を残した空が現れた。部屋の半分以上を占領するベッドは所謂普通のベッドではなく巨大な箱に布団やクッションが敷き詰められているようなものだ。以前ビロード張りのトランクを寝床にしていたハボックの為に、綺麗な箱にフカフカのクッションを敷き詰めて寝床を作ってやったロイが、そのベッドを見てクスクスと笑った。
「お前の寝床そっくりだな。今夜はここで一緒に寝るんだぞ」
「ろーいっ」
 そう聞いてハボックが嬉しそうに尻尾を振る。ベッドの縁に掴まって中のクッションの様子を確かめるハボックにロイが言った。
「それじゃあ、まず風呂に入ろう」
「ろーい!ろーい!」
「うん、私も露天は初めてだよ、楽しみだな」
 脚に纏わりついてピョンピョンと飛び跳ねるハボックにロイが言う。二人は下に降りて風呂の準備を整えると浴室に向かった。まずは内湯で体の汚れを落とす。それから二人は奥の扉を開けて外に出た。
「ろーい……」
「大丈夫、暗いから足元に気をつけろ」
 建物の中から零れる光だけが頼りの薄暗い場所で、ハボックが不安そうにロイを呼ぶ。ロイはハボックの小さな手をしっかりと握り締めて大小様々な石で作られた風呂に足を入れた。
「熱めだな」
 肌を包む湯温の感想を呟けばハボックがロイにくっつくようにして湯に身を沈める。脇の下辺りまで湯に入って二人はほぼ同時に「ふぅぅ」と息を吐いた。互いに顔を見合わせクスリと笑う。チャパチャパと伸ばした脚で湯を蹴って遊びだすハボックを見つめていた視線を頭上に向けたロイは、僅かに目を見開いた。
「ハボック、星だ」
 その言葉に視線を上げたハボックが目をまん丸にして息を飲む。二人の頭上では梢の向こうに満天の星空が広がっていた。暫く黙ったまま空を見上げていたが、やがてハボックがホゥと息を吐き出した。
「ろーいー」
「うん、綺麗だな。星がこんなにたくさんあるなんて、知らなかったよ」
 そう言うロイの横でチャプンと湯が跳ねる音がする。クイクイと腕を引っ張られて視線を下に向ければ、ハボックが仰向けに浮かんで空を見ていた。
「狡いぞ」
 とても気持ち良さそうなその格好は、小さなハボックには出来ても大人のロイには出来るだけの広さがない。ロイは残念そうにため息をつくと縁の岩に頭を載せた。
「これでもいいか」
 そう呟いてロイは目を細めて星を見上げた。

 星空の下での風呂をゆったりと満喫して、二人はホコホコになって中に戻る。ロイが手早くパスタを茹でる間、リビングで集めた小石や貝殻を並べていたハボックがクシャンとくしゃみをした。
「ハボック、ここの夜は冷える。これを着てなさい」
 ロイは荷物の中からナイルブルーの薄地のパーカーを取り出しハボックを手招く。着せてやればハボックがにっこりと笑って、パタパタと尻尾を振った。
 簡単な夕食を済ませてのんびりとコーヒーを飲みながら寛いでいると何だか眠たくなってくる。家にいる時はかなり夜更かしなのにと傍らのハボックを見れば、ふああと大きな欠伸をしているのを見てロイはクスリと笑った。
「少し早いが今日はもう寝ようか」
「ろーい〜」
 そう言えば手を伸ばしてくるハボックを抱き上げ、ロイは寝支度を整えて階段を上がった。さっき見て回った二階の部屋の扉を開ければハボックがロイの腕からピョンと飛び降りる。枕を抱き締めてロイを見上げるハボックの金髪をロイはくしゃりと掻き混ぜた。





 二人してぽすんと巣のようなベッドに倒れ込む。クスクスと笑ってロイが言った。
「お前になったみたいだ。いつもこんな感じで寝てるんだな」
 クッションとブランケットに埋もれて笑うロイにハボックが枕を抱えたまま擦りよった。
「ろーい」
「ん、明日もいっぱい遊ぼうな」
「ろーいっ」
「ボートか?リベンジもいいが釣りなんかも楽しいぞ」
 ロイは言いながら天窓を見上げる。
「星が綺麗だな」
「ろーい」
 すりすりと擦り寄ってくるハボックの小さな体を抱き締めて、ロイは眠りに落ちていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しですv

「暗獣」です。そして、腐腐腐腐腐腐……「刹那の夢」の水瀬さんから子ハボ強奪して参りましたーッ!!でへへへへ、うーれーしーい〜〜vオネダリしてみるもんだなぁ、こんな可愛い子ハボを貰えるなんてッ!水瀬さんの絵、絵柄は勿論大好きなのですが色合いがまたすっごく好きなんですよぅvうふふ、とっても嬉しかったので宝部屋に飾る前に日記でお披露目してしまいました。水瀬さん、本当にありがとうッvv

というところで、改めましてバカンスな二人です。コテージの中がよく判んなかったので思わず検索してしまいました(笑)露天風呂なんてアメストリスにあるとは思えないけど、まあその辺は気分で(苦笑)まだまだのんびり続きますv

あ、そうだ。明日更新のハボロイですが、ちょっと順番前後しますがリク85をお届けする予定です。というのもリクの内容が思いっきり夏なので、今書かないと冬に順番回ってきたりしたら書けないんで←季節に物凄く左右されるヤツ(苦笑)それに内容的に読み切りか前後編くらいの長さでいけそうなのでこちらを先にさせて頂こうと思います。お楽しみ頂けたら嬉しいです〜。

以下、拍手お返事です。

いつも楽しく通わせて貰ってます。 の方

ありがとうございます!うふふ、「ハボックちゃ〜ぁんw」言って頂いてますか?嬉しいですーvまだまだまったり続きますが、引き続き言って頂けると嬉しいですv
2012年08月31日(金)   No.241 (カプなし)

新・暗獣17
 のんびりとボートを楽しんだ後、二人は岸辺へと帰ってくる。不貞腐れたようにボートの縁に掴まるハボックにロイが言った。
「降りるぞ、ハボック」
 ロイの声にハボックはチラリとロイを見たが、すぐにフイと顔を背ける。そんなハボックにロイは苦笑して立ち上がるとハボックを抱え上げてボートを降りた。
「仕方ないだろう?あのままじゃ岸に着くまでに日が暮れてしまう」
 ボートに揺られてのんびりと過ごした後、岸に帰ろうとすればどうしても漕ぐと言い張るハボックに暫くは任せていたロイだったが、流石に湖を吹き抜ける風が冷たくなってきたのを感じて、ハボックからオールを取り返して自分で漕いで帰ってきてしまった。
「また今度やらせてやるから」
 そう言うロイをハボックは恨めしげに見ると、ロイの腕からピョンと飛び降りてしまう。駆け出したハボックのズボンとシャツの間からポンと尻尾が飛び出すのを見て、ロイは目を瞠った。
「ハボック!」
 ロイがキツい声で名を呼べばハボックが足を止める。尻尾の上辺りで手を組んで俯いたハボックがチラリと寄越した視線が涙に滲んでいるのを見て、ロイはため息をついた。
「いいところに連れて行ってやるから機嫌直せ」
 そう言って手を伸ばせば飛びついてきたハボックをロイは抱き上げる。ふさふさの尻尾をポンポンと叩いて空色の瞳をじっと見つめれば、ハボックの残念そうなため息と共に尻尾が消えた。
 湖沿いの道をロイはゆっくりとハボックを抱いて歩いていく。途中湖に向かうように枝分かれした階段を下れば、そこは小さな浜辺になっていた。
「案内所で聞いたんだ。どうだ、いいところだろう?」
 ロイがそう言うのにハボックは答える代わりに腕から飛び降り水際に駆けていく。チャプチャプと打ち寄せる波を追い、波から逃げてハボックがロイを見た。
「ろーい!」
 嬉しそうに笑うハボックにロイも笑みを浮かべる。波にギリギリ濡れないところでしゃがみ込んだハボックが、なにやら拾ってロイのところに戻ってきた。
「ろーい」
 そう言いながらハボックが差し出してきたものをロイは手を出して受け取る。手のひらに置かれたのは小さな石の欠片だった。
「綺麗だな」
 ロイはそれを指先で摘んで空に翳す。そうすれば縁が淡く光を孕んで虹色に輝いた。
「大事に持って帰って宝箱に入れないとな」
 そう言ってロイが返そうとしたが、ハボックは返そうとした手ごとロイの方に押しやる。
「くれるのか?」
 と尋ねれば、ハボックがロイにギュッとしがみついた。
「……ろーい」
「判ってるよ、ハボック」
 さっきはごめんなさいと言うように顔をこすりつけるハボックの金髪を、ロイはくしゃりと掻き混ぜる。そんなロイを見上げてくる空色にロイは言った。
「もっと探そうか。宝箱に入れる分も見つけないとだろう?」
「ろーいっ」
 その言葉にハボックが嬉しそうにロイの手を引っ張る。小さな波が打ち寄せる浜辺でしゃがみ込んだ二人は、辺りがオレンジ色に染まるまで綺麗な石や貝殻を探して遊んだ。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、嬉しいですv

昨日は更新日でしたのに、結局更新出来ず日記も書けずで申し訳ありませんでしたー(汗)実家にいる間、多少ポメラも弄ってたんですがやっぱり思ったようには書けませんでしたよ、日記優先しちゃったせいもありますが(苦)とりあえず昨日実家から戻って、今日から通常運転です。土曜日はちゃんと更新したいな〜。頑張ろうー。

そんなわけで「暗獣」です。ちょっぴりご機嫌斜めなハボック(笑)たまにはこんなのもいいかな、と。

以下、拍手お返事です。

なおさま

和んでくださってありがとうございますvボート、やっぱり難しいですよね!なおさまのコメント読んで、思わずなかなか帰ってこられなかった事にしてしまいました、へへへ(笑)
2012年08月29日(水)   No.240 (カプなし)

新・暗獣16
「さあ、着いたぞ」
 汽車を降りて改札を抜けたところでロイが言えば、ロイの手をしっかりと握り締めたハボックが物珍しそうに辺りを見回す。ロイが歩き出すのに引っ張られるように歩き出したハボックは、少し走ってロイに並んだ。くっついて歩くハボックをロイはチラリと見下ろしたが何も言わずに駅前の観光案内所に入る。カウンターに近づくと中の女性に湖の(ほとり)のコテージを借りたいと告げた。
「お子さんとバカンスですか?」
「ああ、そんなところかな」
 用紙に書き込みながら言う女性に曖昧に頷いてロイはハボックの髪をくしゃりと掻き混ぜる。レンタカーの手続きもしてコテージと車の鍵を受け取ると、ロイはハボックの手を引いて外に出た。
「コテージに行く前に食料品やら必要なものを買っていこう」
 ロイがそう言えばハボックがコクンと頷く。案内所で聞いてきた食料品店に寄り、ロイは一週間分の食料やらなにやらを買い込んでレンタカーのトランクに載せた。
「よし、出発だ」
 ロイがそう言って開いた助手席にハボックが乗り込む。ロイは扉を閉めると運転席側に回り車に乗り込んだ。
「行くぞ」
 短く告げた言葉に続いてロイがアクセルを踏み込めば車がゆっくりと走り出す。軽くシートに押し付けられる感触にハボックが軽く目を見張った。
 駅前の賑やかな通りを抜けるとそこはもう田舎の風景だ。林の中の道からは時折木々の間から湖の煌めきが見えて、ハボックは窓に貼りついて外を見た。二十分程も走ると車はコテージが点在する地区へと出る。ロイは番号表示を確認して目的の場所へと向かった。
「着いたぞ」
 クンと軽い揺れと同時に車が停まる。ロイが運転席側のドアを開ければ待ちきれないハボックがロイの後について車を降りてきた。
「ろーいっ」
「待て、ハボック。まずは荷物を運び込んでからだ」
 すぐにも飛び出していきそうなハボックにロイが苦笑して言う。ロイはトランクから荷物を取り出すとコテージの玄関先に荷物を運び、玄関の鍵を開けた。
「ふうん、結構いいじゃないか」
 ロイは梁が剥き出しになった天井を見上げて呟く。買ってきた物を運び込むロイの側をハボックが落ち着かなげにチョロチョロと走り回った。
「ろーい〜っ」
「はいはい、待たせたな。行こうか」
 待ちきれずに足踏みして呼ぶハボックにロイが笑う。玄関で待ち構えていたハボックはロイの言葉を聞くと同時に外に飛び出した。
「あんまり急ぐと転ぶぞ」
 パタパタと前を走っていくハボックにロイはゆっくりと歩きながら声をかける。すぐに林は途切れて二人は湖の畔に出た。
「  」
 足を止めたハボックが目を大きく見開いて湖を見つめる。追いついたロイがその金髪をポンポンと叩けば、空色の瞳がロイを見上げた。
「向こうにボートがある。乗りにいこう」
 そう言って歩き出すロイの手を握ってハボックも歩き始める。その目が湖から片時も離れないのを見て、ロイはクスリと笑った。
 ボート乗り場で手漕ぎのボートを借りる。ロイに抱かれてボートに乗り込んだハボックは、中に下ろされると恐々縁に掴まって湖の中を覗き込んだ。ロイはボートの中程に腰を下ろしてオールを握る。ゆっくりと岸を離れてボートは湖へと漕ぎ出した。
 ハボックは小さな手を湖に浸してみる。思いがけない冷たさに驚いたように引っ込めた手をもう一度湖に浸して、ハボックが嬉しそうに笑った。
「ろーいっ」
「ん?冷たいか?」
 ロイはゆっくりとオールを動かしながら尋ねる。それに答えるように頷いて、ハボックはパチャパチャと湖の水を跳ね上げた。
「ろーい!」
 キラキラと水が太陽の光を反射して舞い落ちる。ハボックは楽しそうに何度も水を跳ね上げたり手を浸したりした。それからボートを漕ぐロイの手を握って伺うようにロイを見る。それにロイはニコリと笑って答えた。
「やってみるか?」
「ろーいっ」
 聞かれてハボックは顔を輝かせて頷く。ロイは脚の間にハボックを座らせ、一緒にオールを握らせた。
「こうやって水に入れてグッと漕ぐ。やってみるぞ」
 ロイはそう言ってハボックが握ったオールをゆっくりと動かす。二回、三回オールを漕いでボートを進めればハボックがロイを見上げた。
「ろーいっ」
「ん?一人でやってみるか?」
 そう言えばコクコクと頷くハボックに笑ってロイはオールから手を離す。ハボックは真剣な面持ちでオールを握り直すと、オールをグイと引いた。だが、深く差しすぎたオールは水の重みでビクともしない。うーん、うーんと顔を紅くして力を込めるハボックにロイはクスクスと笑った。
「深く入れすぎだ、ハボック。もう少し浅く入れてごらん」
 ロイはそう言いながらオールの角度を調整してやる。改めてオールを握ったハボックが水をかけば、今度は湖の表面をかいたオールがパシャンと高く水を跳ね上げた。
「うわっ」
 冷たい水が二人に降り注いでロイが声を上げる。湖の水に頭を濡らされて、ハボックはぷうと頬を膨らませた。
「ろーい〜っ」
「ははは、じゃあ二人で手分けするか?」
 むくれるハボックにロイは提案してみる。一本ずつオールを握ってせーので一緒にオールを動かした。だが。
 微妙に力加減が違えばボートは真っ直ぐに進まず右へ右へと曲がってしまう。一生懸命になればなるほど曲がっていくボートにロイが耐えきれずにゲラゲラと笑い出せば、ハボックがプウと膨れてロイに飛びついた。
「ろーいっ!」
「あはは、悪かった、怒るな」
 笑いながらロイは言ってハボックを受け止める。そのまま背後に倒れ込んだロイは、頭上に広がる空を見上げて目を細めた。
「ハボック、空が綺麗だ」
 ロイがそう言うのを聞いて、ハボックはロイの上で仰向けになる。己の瞳と同じ色の空を見上げて、ハボックは笑みを浮かべた。
「ろーい」
「ああ、気持ちいいな」
 湖面を吹き抜ける風にそっと目を閉じて、ロイとハボックはのんびりとボートに揺られていたのだった。


いつも遊びにきて下さってありがとうございます。拍手、励みになってます、嬉しいですv

「暗獣」です。やっと目的地に着きました〜。しかし、この調子で書いてたらなかなか終わらない気がする…(汗)まあ、まったりバカンスって事でお付き合い下さい(苦笑)

以下、拍手お返事です。

JOEさま

ふふふ、キラキラした目のハボック、想像して頂けてますか?どんなハボック描かれたのか興味津々ですv

おぎわらはぎりさま

おお、いい男鑑賞でお疲れはとれましたか?(笑)お宝写真ゲット、おめでとうございますv髭、先回り!それ、粘着質凄いです(笑)それこそ職権乱用で行き先捜し当ててる感じですね(苦笑)ハボック、虫は苦手な気がします。少なくとも可愛いとは思わないだろうしなぁ(笑)本当にいつまでも暑くて嫌になりますね(苦)
2012年08月27日(月)   No.239 (カプなし)

新・暗獣15
 ロイは読んでいた本から顔をあげると向かいに座るハボックを見る。窓枠にしがみつくようにして外を眺めるハボックの姿を見れば自然と唇に笑みが浮かんだ。
 窓の外を流れる景色は建物が建ち並ぶ街中から田畑や林が広がる郊外の風景へと変わっていた。そんな田舎の風景もハボックには目新しいらしく、かじりつくようにして一時も目を離そうとしない。
「ハボック――ハーボック」
 一度呼んだくらいではロイの方を見もしないハボックを、わざとロイが繰り返し呼んでみればハボックがロイをチラリと見た。その様がいかにも迷惑そうで、ロイは笑いを噛み殺して尋ねる。
「なにか面白いものが見えるか?」
「ろぉいッ」
 勿論だと言いたげに力一杯頷いてハボックはすぐさま視線を窓の外に戻した。堪えきれずにクスクスと笑ったロイは、前方から近づいてきた林を指差して言う。
「ほら、林が見えてきたろう?あれを過ぎるともっと面白いものが見えてくるぞ」
 そう言うロイをハボックが尋ねるように見る。だが黙って見ていろとでも言うように口を閉ざしたままのロイを見て、ハボックは視線を外へと戻した。
 窓のすぐ外を緑の葉が生い茂った木々が流れていく。微妙に色合いの違う林の木々が途切れたと思った次の瞬間。
「  」
 青い空の下に広がる大きな湖の湖面。太陽の光を反射してキラキラと輝くそれに、ハボックは言葉もなく息を飲んだ。
「どうだ?凄いだろう?このあたりで一番大きな湖なんだ」
 まるで我がもののように自慢げに言うロイの声も聞こえているのかどうか。ハボックは空色の瞳をまん丸に見開いて湖を見つめている。ポカンと開いたままの唇がハボックの驚きの大きさを物語っていて、ロイは満足げな笑みを浮かべた。
「私達は今からあの湖に行くんだ、ハボック」
 ロイがそう言えば今まで身動き一つしなかったハボックが弾かれたようにロイを見る。空色の瞳がじっと見つめてくるのを感じながら、ロイは窓の外を見て言った。
「あそこでは釣りも出来るし泳ぎも出来る。確かボートもあったな。きっと凄く楽しいぞ」
 ロイは視線を戻してハボックを見るとにっこりと笑って頷く。そうすればハボックの顔が輝いて笑みに崩れた。
「ろーいッ!」
 そう叫んで胸に飛び込んでくる小さな体をロイはしっかりと受け止める。
「ろーいっ、ろーいッ!」
「ははは、ハボック、判った、判ったから」
 “ありがとう”と“嬉しい”と“早く行きたい”と、色んな気持ちを「ろーい」という一つの言葉にいっぱい込めて叫ぶハボックの背をポンポンと叩きながらロイは笑った。
「ろーい」
 ハボックは笑みを浮かべたロイの頬に滑らかな己のそれを擦り付けて、吐息のようにロイを呼ぶ。それを聞けば胸に暖かいものが広がって、ロイは柔らかな金髪に顔を埋めてハボックを強く抱き締めた。
「もっと見なくていいのか?ほら、ボートが浮かんでるぞ」
 照れ隠しのようにロイが言うとハボックが顔を上げて外を見る。ワクワクと期待に顔を輝かせて湖を見つめるハボックを乗せて、汽車は楽しいバカンスが待つ地へと走っていった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、励みになります、ありがとうございますv

「暗獣」です。ああ、一日開いてしまった…っ(苦)いやぁ、昨日は3時45分起きでバタバタしてたら書く時間がありませんでした。くそう、折角毎日書いてたのになぁ……。そんな訳で悔しかったので、お布団でポチポチしてます(笑)
庭の池くらいしか見たことのないハボック。大きな湖はさぞかし衝撃だろうな、と(笑)

以下、拍手お返事です。

JOEさま

わーい、ハボックと一緒にドキドキしてくださって嬉しいです。この先もドキドキワクワクをいっぱい詰め込んで頑張りますねv

なおさま

ふふふ、ほのぼの二人旅です(笑)ハボックの可愛らしさには老若男女を問わずヤられてしまうようです(笑)ヒューズ参上は判りませんが、とりあえず楽しいバカンスにしたいなと思ってますv

香深さま

毎日憑かれたように書き綴っておりますが、楽しんで読んで下さっているとのこと、とっても嬉しいですvヒューズが来ると思っている方が予想以上にいらしてびっくりしておりますが、どうなるかな(笑)私もどちらかと言うと、ロイの電話の内容はそんな感じなんじゃないかと思ってるんですけどね、ふふふ。あ、確かに例え呼べたとしても「ひゅーじゅ」ですよね、野望通りには呼んで貰えなさそう(笑)ハボックはヒューズの事もとっても好きですけど、今のところは呼んでくれない気がします、ヒューズには可哀想だけど(苦笑)リアル犬耳カチューシャ!うわ、可愛いかもっ!とりあえず街中じゃないからギャラリーも少ないし、ちょっとやらせてみたい気もします(笑)ほっこりして頂けて嬉しい。香深さまのコメントには本当にいつもやる気と元気を頂いてます。ありがとうございますv
2012年08月26日(日)   No.238 (カプなし)

新・暗獣14
「ここから汽車に乗るんだ」
 ロイは家から十五分程歩いて辿り着いた駅を前にして言う。人通りが多くなってからはロイにぴったりとくっついていたハボックは、目の前の駅舎を空色の瞳を丸くして見上げた。
「行くぞ」
 クイと手を引かれてハボックは駅舎を見上げたまま歩き出す。改札を抜けてホームに出れば丸くなっていたハボックの瞳はこれ以上ないという程見開かれた。
「ハボック」
 ポカンとして汽車を見上げるハボックの表情を見てロイがクスリと笑う。ロイが呼んだのも気づかないハボックの目の前で、ロイが手をヒラヒラとさせれば小さい体がピクンと震えてロイを見た。
「汽車と言うんだ。これに乗って行くぞ」
 そう言うロイをハボックは見て、また汽車を見る。ハアとため息をついて放心したように汽車を見つめるハボックの手をロイが引いた。
「乗るぞ」
 その言葉にびっくり(まなこ)のハボックがロイを見つめて汽車を指差す。それにロイが頷けば、ハボックの顔がパアッと輝いた。
「ろーいっ」
 ロイの手を引っ張るようにして入口に向かうハボックにロイは笑みを浮かべる。乗ろうとすれば丁度同じように乗ろうとして向こうから走ってきたハボックより少し大きい男の子とかち合って、ハボックはロイの腰にしがみついた。
「……お前も乗んの?」
 ハボックをじっと見つめてそう尋ねてくる男の子に、ハボックはロイの陰に隠れてしまう。そうすればロイがハボックの金髪をくしゃりとかき混ぜて言った。
「そうだよ」
 ロイが言うのを聞いて男の子は顔を赤らめて「ふうん」と呟くと汽車に乗ってしまう。その後に続くようにしてロイに手を引かれて汽車に乗り込んだハボックは左右に並ぶ座席をキョロキョロと見回した。
「ここにしよう、ハボック」
 ロイの声が聞こえて、ハボックは中程の座席に腰を下ろす。ロイが網棚にトランクを上げている間に、ハボックは窓に近づくと外を覗いた。
 駅のホームには荷物を片手に汽車に乗り込もうとする人や見送りの人が溢れている。そんな人々を目を大きくして見ているハボックの頭をロイはポンポンと叩いた。
「ろーい」
「もうすぐ出発だ」
 ロイはそう言ってハボックの向かいに腰を下ろす。物珍しそうに行き交う人々を眺めるハボックにロイが笑みを浮かべた時、発車を知らせるベルが鳴り響いた。それに答えるように汽車がポッポーと汽笛を鳴らす。その大きな音にびっくりして飛び上がったハボックは、ガタンと汽車が動き出したのに仰天してロイの胸に飛び込んだ。
「ろーいッ」
 ロイの胸に顔を押し付けてギュッとしがみつくハボックの背をロイが優しく撫でてやる。落ち着かせるように何度も撫でながらロイは言った。
「大丈夫だ、ハボック。怖くないから窓の外を見てごらん」
 優しく囁く声にハボックはおずおずと顔を上げる。ロイを見上げれば笑って頷くのを見て、ハボックは窓の外へと視線を向けた。そうすれば。
 ゆっくりと駅を離れた汽車の窓の外を家や木や車や人が後ろへと流れていく。次々と変わる景色をハボックは目をまん丸にして見つめた。
「ろーいッ!」
 興奮に声を弾ませてハボックはロイを呼んでその胸にしがみつく。どんどんと汽車がスピードを上げるにつれて飛ぶように流れていく景色を、ハボックは目を輝かせて見つめた。
「ろーい!」
「うん、凄いな、ハボック」
 ガタゴトと汽車に揺られながら、ハボックはロイと一緒に移りゆく景色を楽しんだ。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいですv

「暗獣」です。初めてのお出かけ(笑)この旅行はきっとハボックにとっては初めてづくしかと。まったりバカンス楽しみますv

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

髭、本当に来ますかね?(ニヤニヤ)いやあ、スク水、ビキニは持ってきた瞬間消し炭になりそうです(笑)出張お疲れ様です!うーん、完全携帯仕様にはなってないみたいですね、すみません(汗)「暗獣」が少しでも日々の疲れを癒すお役にたっているのでしたら嬉しいです〜v続きも頑張りますね!

阿修羅さま

わーい、「新・暗獣」面白いと言って頂けて嬉しいですーvvおっさん二人(爆)一応ぎりぎり二十代なのに(笑)やっぱりヒューズ、押しかけてきますかね?ロイが行き先をどの程度伝えたかがカギですね(笑)まあ、暫くは二人きりの蜜月?を楽しませてあげようと思います(笑)
2012年08月24日(金)   No.237 (カプなし)

新・暗獣13
「暑いッ」
 本を読んでいたロイがいきなり大声を上げれば、宝物用の箱に丁寧に畳んで入れたワンピースのレースを弄っていたハボックがビックリして顔を上げる。忌々しげに窓の向こうの雲一つない空を見上げたロイが、ガバッと勢いよく立ち上がった。
「ろーい?」
「避暑に行くぞっ、ハボック」
 不思議そうに呼べばそんな言葉が返ってきて、ハボックは首を傾げる。ロイはクローゼットに歩み寄ると中からトランクを引っ張り出し、次々と服を詰め始めた。
「ろーい?」
「旅行に行こう。ここは暑くてかなわん。湖の側のコテージを借りてそこで過ごすんだ。きっと楽しいぞ」
 ロイはそう言ってハボックを見る。
「出かけられる、だろう?」
 以前はどんなにハボックに見せてやりたいと思うものがあっても、それが家の外にあるものであればハボックを連れていってやることは出来なかった。だが、天使の飾りが依代の今であれば何処へだろうと一緒に行ける、行けるのだろうとロイが尋ねるように見つめる先でハボックが嬉しそうに笑った。
「ろーい」
 ハボックにギュッとしがみつかれてロイが笑う。男の子用の服も詰めれば、ハボックがいそいそとワンピースを持ってきた。
 配達員の男に誤解されたとロイがどっぷりと落ち込んだのを見てから、流石にハボックもどうやらワンピースを着るとロイにいらぬ気苦労をかけるらしいと気づいたらしく、ワンピースは着ずに眺めるだけで我慢してくれるようになっていた。それでも特別な時ならいいのかとロイの顔を見つめるハボックにロイが苦笑する。
「ハボック、それは置いていこう。向こうでも着る機会はないし荷物になるし」
 そう言えばしょんぼりするハボックにロイが言う。
「カチューシャを持っておいで。あれなら嵩張ばらないから」
 その言葉にハボックがパッと顔を輝かせ宝物用の箱に走り寄る。中からワンピースと同じ生地を使ったカチューシャを取り出して戻ってくれば、それを受け取ったロイが丁寧にトランクに詰めた。
「そうだ、連絡入れておかないと怒るだろうな」
 何かにつけて様子を見にきてくれるお節介な友人に出かけると一言断っておかなければ、きっといなくなったと大騒ぎするに違いない。ロイは立ち上がって電話に歩み寄ると受話器を取った。ダイヤルを回しヒューズが出るのを待つ間、窓に寄りかかって外を見る。脚に纏わりつくハボックの金髪を指で弄べば、ハボックが甘えるようにロイの脚に頬を擦り寄せた。
「ヒューズ?私だ」
 相手が出たのを確認してロイがこれからハボックと旅行に出ると告げれば、途端に不満の声が返ってくる。
『ズルいぞッ、俺も行く!明後日なら仕事も一段落するから――――』
「そんなに待っていられるか。土産を買ってきてやるから大人しく待ってろ」
『土産なんていらんッ!判った、今日中に何とかするッ!』
「悪いな、ヒューズ、もう出るところだ。じゃあな」
『おいっ、ちょっと待――――』
 制止の言葉にも耳を貸さず受話器を置いて、ロイはホッと息を吐いた。
「連絡を入れても怒ったな」
 やれやれと呟いて、ロイは視線を下に向ける。見上げてくる空色と目があって、ロイはにっこりと笑った。
「よし、じゃあ戸締まりして出かけようか、ハボック」
「ろーい!」
 家中の鎧戸を締めて戸締まりを確認する。玄関を出てカチリと鍵をかけるとロイはトランクを持つ手と反対の手をハボックに差し出した。
「行くぞ」
「ろーい」
 二人はにっこりと笑いあって初めてのバカンスへと出かけていった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、励みになってます、ありがとうございますv

「暗獣」です。とっても暑くて堪らないので、せめてロイとハボックに避暑にいって貰う事にしました。そんな訳でまだ暫くまったり話続きます〜(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、ロイ(笑)ホントに抜けてるというか詰めが甘いというか(苦笑)幼女趣味でもしっかり変態には変わりませんですけどね(爆)わーん、お優しいお言葉ありがとうございます!いい気になってもう少し続ける事にしました。どうぞお付き合い下さいv

JOEさま

ありがとうございます!これからも可愛いと言って頂けるように頑張りますよv
2012年08月23日(木)   No.236 (カプなし)

新・暗獣12
「……ハボック」
 床に寝そべってオルゴールを眺めながらふんふんと調子っぱずれの鼻歌を歌うハボックを、ロイは眉間に皺を寄せて見つめる。なんだと振り向く空色に見つめ返されて、ロイはため息をついた。
 先日、家にやってきたヒューズにハボックと二人がかりでワンピースを出せと喚かれて、あまりの煩さにキレたロイがワンピースを燃やそうとする騒ぎになった。だが、発火布を嵌め今にも燃やさんばかりに手をつきだしたロイは結局ワンピースを燃やせなかった。
『ろーいッ!』
 ロイがワンピースを燃やしてしまうとショックを受けたハボックがボロボロと泣き出してしまったからだ。小さいハボックに肩を震わせて泣かれ、その上ヒューズに酷い男だと責められて、ロイはハボックにワンピースを渡してしまった。そして今、ロイはワンピースを渡してしまった事を激しく後悔している。
 背中に沢山のボタンと腰に大きなリボンがついたワンピースを、ハボックは当然自力では着られない。ロイはハボックがワンピースを着る事にいい顔をしないから、ハボックはワンピースを引っ張り出して自分で着ているのだが。
 床に寝転がったハボックの背中はボタンを留めていないせいで開き、背中どころかずり落ちたワンピースから肩まで覗いている。結わいていないリボンは床に長く伸びて、どう控えめに見ても倒錯的で淫らだった。
「それこそ変態じゃないか」
 もしこれを誰かに見られたら言い訳の仕様がない気がする。ロイはハボックの側にしゃがみ込むと肩からずり落ちるワンピースを引き上げてやりながら言った。
「なあ、そのワンピース、着るのやめないか?」
 着せてやらなければ着るのを諦めるのではと思っていたのだが、ハボックは諦める気はないらしい。ここはひとつしっかり話し合ってハボックにワンピースを着るのをやめさせようと、ロイはハボックの瞳をじっと見つめて言った。
「あのな、ハボック。お前が綺麗なものや可愛いものが大好きなのは知ってるし、そのワンピースは確かにお前に似合ってる。だがな」
 と、ロイはハボックの髪をかき上げる。
「それは女の子の服だ」
 ロイはそう言って立ち上がると、着せるつもりで出したままソファーに放り出されたシャツとチェックのハーフパンツを取り上げた。
「この服だって十分可愛いと思うぞ?」
 言いながらシャツを広げて見せるがハボックは不服そうだ。唇を突き出すハボックにロイが尚も言おうとした時、玄関のドアベルが鳴った。
「誰だ?」
 大事な話の最中なのにとロイはムッとしながらも玄関に出る。扉を開ければ頼んであった本の配達で、ロイは受け取りにサインすると配達員に言った。
「すまんが中まで運んでくれるか?」
「判りました」
 ロイの言葉に快く頷いて配達員は段ボールを抱えて中に入る。
「こっちでいいですか?」
 と問われ、ああ、と頷いたロイは次の瞬間慌てて扉の前に立ちはだかった。
「こっ、ここはダメだッ、向こうの書斎に――――」
「ろーい?」
 配達員を追いやろうとしたロイの背後で扉がカチャリと開くのと同時にハボックの声が聞こえて、ロイは凍りついた。
「…………ハボック」
 キュッとシャツを引っ張る感触に下を見れば空色の瞳と目が合う。背中を留めていないワンピースからしどけなく細い肩を覗かせるハボックを見、それから視線を正面に戻せば、配達員の男が目をまん丸にしてハボックを見つめていた。
「ろーいー?」
 不思議そうに言いながらロイの前にハボックが回り込めば、配達員の男が抱えていた段ボールを取り落とす。ドサッと大きな音にハッとした配達員は、顔を真っ赤に染めて剥き出しの白い背中を食い入るように見つめたまま口をパクパクとさせた。
「おっ、お邪魔しましたッ!」
 裏返った声で何とかそれだけ言うとクルリと背を向ける。そのまま玄関から飛び出して行こうとする配達員にロイは怒鳴った。
「誤解だッ!私は決して妙な趣味がある訳じゃないッ!」
「は、はは……だ、誰にも言いませんからっ」
 配達員はロイの声に玄関で一瞬足を止めて言う。
「言いませんからッ!またのご利用お待ちしてまァすッ!!」
「わーッ、待ってくれッ!」
 バタバタと飛び出した配達員は車に飛び乗り物凄い勢いで走り去ってしまう。それをなすすべなく見送って、ロイはがっくりと跪いて手をついた。
「なんてこった……」
「ろーい?」
 がっくりと項垂れるロイの顔をハボックが不思議そうに覗き込む。ロイはチラリとハボックを見ると、小さな手をがっしりと掴んだ。
「頼む、ハボック。ワンピースは勘弁してくれ……っ」
 変態の噂がたってしまうッ、と頭を抱えるロイをハボックはキョトンとして見つめたのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

「暗獣」です。しょうもない話ですみません(苦笑)とりあえずワンピース話はこの辺にして次はバカンス行きたいなぁ、折角夏なんだしっvって、まだ書く気なんかいって言われそうかしら(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、泣かせちゃいましたよ、ハボック(笑)確かに燃やしてたら当分毛糸玉でしたよねぇ(笑)それはそれでロイが困りまくって楽しかったかもv
2012年08月22日(水)   No.235 (カプなし)

新・暗獣11
「それにしてもお前もヒマだな。ついこの間来たばかりじゃないか」
 ロイはそう言いながら冷たいハーブティーが入ったグラスをヒューズの前に置く。ヒューズは手を伸ばしてグラスを取るとゴクゴクと一気に飲み干してから答えた。
「そりゃあな、ハボックちゃんがいると思ったらさ」
 毎日だって来たいくらいだとおどけた調子で言う男をロイはじっと見つめる。オルゴールを嬉しそうに眺めるハボックに踊り子の服が可愛いだろうだの、この綺麗な曲はアメストリスでも有名な作曲家が作ったものだの、なんやかやと話しかけるヒューズが、実は自分達の事を気にかけて様子を見に来てくれていることをロイは気がついていた。
「お節介め」
「あー?なんか言ったかぁ?」
 ありがとうと言う代わりにボソリと呟けば、ヒューズが間延びした調子で言う。それには答えず空になったグラスにハーブティーを注ぐロイに、ヒューズは笑みを浮かべた。
 ポツポツと会話を交わしていると、ハボックがソファーからピョンと飛び下りる。タタタと走ってリビングを出て行ったハボックがカチューシャを手に戻ってきた。
「ろーいっ」
 ヒューズに駆け寄ると手にしたカチューシャを翳して見せる。なんとか自分でつけようとするのを見て、手伝ってやろうと手を出したヒューズがハッとして言った。
「ハボックちゃん、もしかしてこれ使った?!」
 ハボックが答えるように笑えばヒューズがキッとロイを見た。
「ロイっ、ハボックちゃんにワンピース着せたのかッ?」
「服を買いに行くんで仕方なく、な」
「なんで俺を呼ばないんだッ」
 ガバッと乱暴な仕草で立ち上がるヒューズにロイは肩を竦める。
「なんでわざわざ呼ばなきゃならんのだ、あんな変態な格好させたからといって。大体な」
 と、今度はロイが乱暴な仕草で身を起こした。
「大変だったんだぞ、やたらめったら声をかけられて。きっと男のハボックにワンピースを着せてるのがバレたに違いないんだ。変態だと思われていたらどうすればいいんだッ」
 あああ、とロイが髪を掻き毟れば、ヒューズが呆れたように言った。
「やたら声をかけられたって、そりゃハボックちゃんが可愛いからに決まってるじゃねぇか」
「は?」
「ハボックちゃん、可愛かったろ?」
「それは、まあ……な」
 ワンピースを着せる事に抵抗はあるものの、可愛いかと聞かれたらそれは確かにそうだ。渋々ながらロイが頷くと、ヒューズが両手の拳を握り締めて身悶えた。
「やっぱりなぁッ!絶対そうだと思ったんだよッ!」
 俺の見立てに間違いはなかったと一頻り喚いたヒューズがロイにズイと顔を寄せる。
「ロイ、俺にハボックちゃんのワンピース姿見せ―――――」
「駄目だ」
 皆まで言わせずロイが却下すればヒューズが目を吊り上げた。
「なんでだッ!ズルいぞ、ロイ!自分だけちゃっかりハボックちゃんのワンピース姿見てっ!」
「別に見たくて見た訳じゃない」
「俺は見たいんだよッ、見せろッ!」
「駄目だ。あんな変態行為、ハボックに何度もやらせる訳にはいかない」
 キッパリと言い切るロイは何を言っても聞き入れてくれそうにない。ヒューズはハボックを見て尋ねた。
「ハボックちゃん、ワンピースどこ?持ってきてくれる?」
 そう言われてハボックがしょんぼりと俯く。
「ワンピースは隠した。カチューシャだけはハボックが欲しがったから渡したがな」
「そうなのかっ?ハボックちゃんッ」
「ろーいー」
 ハボックが残念そうに言うのを聞いて、ヒューズがズカズカとロイに近づいた。
「今すぐワンピースを出せ、ロイ」
「断る」
「あれは俺がハボックちゃんにあげたんだぞ」
「ハボックに何を渡すかは私が決める」
「なっ……、横暴だぞ、ロイ!ワンピース返せ!ハボックちゃんも返して欲しいだろ?」
「ろーい〜」
 二人がかりで返せ戻せろーいと喚かれて、ロイの眉間の皺が深まる。
「煩い。あんまり煩くするとワンピース燃やすぞ」
 そう低く告げれば一瞬押し黙った二人が次の瞬間一層大声で喚き立てた。
「燃やすなんてどこまで人でなしなんだッ!」
「ろーい〜ッ!!」
「だーッ、煩いッ!もう絶対燃やすッ!」
 言うなり立ち上がってリビングを飛び出すロイをヒューズとハボックが即座に追う。階段を駆け上がり寝室のクローゼットを開けると、ロイは棚の奥から箱を引っ張り出した。
「ワンピースはそこかッ!――ハボックちゃんっ」
「ろーいッ」
 追ってきたヒューズが叫ぶのに答えてハボックがぴょーんと飛ぶ。
「うわッ、こら、ハボック!やめんかッ」
 頭にしがみつかれて慌てるロイの手からヒューズが箱を奪い取った。
「やったぞ、ハボックちゃん!」
「ろーいっ」
 喜ぶ二人にロイがニヤリと笑う。
「甘いな」
そ う言うロイの手にワンピースが握られているのを見て、慌てて箱を開けた二人は空であることに気づいて飛び上がった。
「終わりだ」
 ニヤリと笑ってロイが発火布を嵌めた手を突き出せば。
「ろーいッ!」
 叫んだハボックがボロボロと泣き出すのを見て、ロイとヒューズはびっくりして押し黙った。ヒクッヒクッと肩を震わせるハボックにヒューズがチラリとロイを見る。
「あーあ、泣かせたな、ロイ」
「えっ?」
「酷い男だよなぁ」
「うっ」
 そんな風に言われれば返す言葉がない。ロイはハボックに近づくとそっと金色の頭を撫でた。
「あー……ハボック」
 決まり悪そうに呼ぶと涙に濡れた空色がロイを見る。ロイはため息をつくと手にしたワンピースをハボックに差し出した。
「ほら」
「……ろーい」
 ハボックが手を伸ばしてワンピースをギュッと抱き締める。大事そうにワンピースを抱き締めるのを見て、ロイはやれやれとため息をついた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいですvv

今日から実家に来ています。更新、やっぱり間に合わなかった(苦)そんなわけで今日は日記だけです。すみません(汗)
しかし、実家で日記アップしようとしたら、パソのお気に入りに登録してあった日記やら拍手やらのアドレスが全部消えてました。なんでー??流石にアドレス覚えてなかったので、携帯に登録してあったのをパソメールに送ってもう一度登録し直しましたけどね〜。ロイハボとかハボロイのサイトも登録してあったのに、くそう。

といったところで「暗獣」です。ハボに泣かれると弱いロイ。きっとこの後ヒューズが嬉々としてワンピースをハボックに着せて、堪能したと思います(笑)

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

あはは、歪みまくった愛に囲まれたハボック!いや、いかにも受けハボな感じでいいですよ(笑)なるほど、ペンダントロケットですか。ヒューズがもってきたらきっと中には髭の写真が(爆)ロイに真っ先に燃やされそうですが(苦笑)一応下着はヒューズが持ってきたのを(一応まともなの)を穿かせてます。流石にノーパンでは拙いかと(笑)暑さに負けず頑張りますので、どうぞお付き合いお願いしますねv

JOEさま

わーい、そう言って頂けると毎日日記を頑張る甲斐があります、ありがとうございます!これからもそう言って頂けるように頑張りますねv
2012年08月21日(火)   No.234 (カプなし)

新・暗獣10
「ハボックちゃん、こんにちはっ」
「また来たか、髭」
 扉を開ければニコニコと満面の笑みを浮かべる髭面にロイは露骨に嫌な顔をする。だが、ヒューズはそんなロイの態度など気にも留めず、中に向かって声をかけながら家へ入った。
「ハボックちゃあん!」
「おい、誰が入っていいと――――」
 パタパタと奥から軽い足音が聞こえたと思うとハボックが飛び出してくる。ヒューズの脚にギュッとしがみつくのを見て、ロイは目を剥いた。
「ろーい」
「そこで“まーす”って言ってくれるともっと嬉しいけどなぁ」
 ヒューズはだらしない笑みを浮かべて言う。ハボックの前に跪くと手にしていた紙袋を見せた。
「今日もいいもの持ってきたよ」
 ヒューズが言えばハボックが目を輝かせる。
「こんな玄関先じゃなんだから奥に行こうか」
 そう言ってハボックの手を取るヒューズに、ロイが目を吊り上げた。
「おい、待てッ!ヒューズ、貴様、ハボックに何を吹き込んだッ!」
「なにって、別になにも。オレ達昔っから仲良しだもんな」
 ねーっ、とハボックと顔を見合わせて言うヒューズにロイはズカズカと歩み寄る。ハボックの手をヒューズから取り戻して、ロイが言った。
「嘘をつくなッ!そんな訳ないだろうっ」
 ロイがそう言った時、ハボックがロイの手を振り解いてヒューズに近寄る。ハボックが紙袋の中に顔を突っ込むようにして中を覗くのを見て、ハッとしてロイが言った。
「そうか、土産か」
 ヒューズが可愛いものや綺麗なものを持ってくる事をハボックが覚えていて懐いているのだと察して、ロイはハボックを引き寄せて言った。
「ハボック、そんな奴の変態趣味に惑わされては駄目だそ」
「これのどこが変態趣味だって言うんだよ」
 ロイの言葉にヒューズがムッと唇を尖らせる。ヒューズは紙袋をガサガサと言わせて中から取り出したものをハボックの前に置いた。
「ろーい?」
「開けてごらん、ハボックちゃん」
 ヒューズに言われてハボックは床にペタンと座り箱の蓋を持ち上げる。クッション代わりの詰め物をどけると中から現れたのは小さなオルゴールだった。
「このネジを回して、それから蓋を開けるんだよ」
 ヒューズはそう言ってオルゴールの裏についたネジを回す。ハボックがそっと蓋を開けると綺麗な曲が流れ出し、中に入っていた小さな踊り子がクルクルと回った。
「ろーいっ」
 それを見たハボックがキラキラと目を輝かせる。流れていた曲が段々と小さくなり踊り子がゆっくりとその踊りをやめるまで見入っていたハボックは、ピタリと曲が止まったのを見て泣きそうになってヒューズを見た。
「大丈夫、このネジを回せば何度でも聞けるから」
 言いながらヒューズがネジを巻けばまた曲が流れ踊り子が踊り出す。床に寝そべって間近にオルゴールを見ながらふんふんと調子っぱずれの曲を口ずさむハボックを見て、ヒューズが勝ち誇ったようにロイを見た。
「どうよ?これでまたポイントが上がったな」
「チッ」
 ニヤリとわらうヒューズにロイが忌々しそうに舌打ちする。それでもハボックがそれを気に入っているのを見れば、いつまでも不機嫌を装っているわけにもいかなかった。
「よかったな、ハボック」
 そう言ってハボックの金髪を撫でてやればハボックがロイを見てにっこりと笑う。
「ろーいっ」
 嬉しそうに言ってオルゴールを抱き締めると、ハボックはロイに手を伸ばした。
「あれぇ?ハボックちゃん、俺のとこに来るんじゃないの?」
「悪かったな、ヒューズ」
 ロイはハボックの体を抱き上げるとニッと笑う。
「ろーい」
 そんなぁ、と文句を言うヒューズを後目に、ロイは嬉しそうにオルゴールを差し出して見せるハボックを優しく見つめたのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですvv

「暗獣」です。天使の時計の代わりに今度はオルゴールを持ってきて貰いました。でもこれ、毎回ロイにねじ巻いて貰わなきゃならない(苦笑)本読んでたらなかなか巻いて貰えなくて怒っちゃいそうだなぁ(笑)

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

おお、アウェイ観戦ですか。お疲れ様です〜。男の子水着も可愛いですけど、やっぱり見て萌えを得るには女の子仕様な気がします(笑)おお、「セレスタ」感想ありがとうございます!なんか更新のコメント頂いたの、おぎわらさまに限らず久しぶりな気が(笑)私は受けハボは泣かせてナンボと思っておりますよ?(ニヤリ)キングにはガッツリハボを啼かせて貰おうと思いますv歪んだ愛万歳!(爆)

なおさま

本当にいつになったら涼しくなるんでしょうね…(苦)せめて夜が涼しくなると随分違うと思うのですが。シャボン玉、幾つになってもいいですよね。うぇっとなったり!(笑)懐かしいなぁv

JOEさま

うふふ、癒されて下さって嬉しいですvやっぱり暗獣はこういうパターンが楽しいですv
2012年08月20日(月)   No.233 (カプなし)

新・暗獣9
「まったくいつになったら涼しくなるんだ」
 ロイは部屋の窓から雲一つなく晴れ渡った空を見上げて呟く。視線を移せば部屋の床にべったりと貼り付くようにして寝転がったハボックの姿が見えた。じっと見ていれば時折ころんと転がっている。どうやら少しでも冷たさを得ようと場所を移動しているらしい事に気づいて、ロイはクスリと笑った。
「ハボック、そこは涼しいか?」
「ろーい……」
 尋ねればハボックがチラリとロイを見て呟く。いかにも暑さに参ったというような声音にロイは笑みを深めた。
「まあ、これだけ天気がいいと洗濯物だけは早く乾くがな」
 と、ロイは陽射しが降り注ぐ外へと視線を戻す。自分で言った一言で洗濯物がたまっている事を思い出してロイは眉を寄せた。
「あれが最後の一枚だったな」
 床に寝転ぶハボックを見てロイは呟く。今日洗濯しなければまたロイのシャツをワンピース代わりに着る生活に戻るしかなかった。
「もっと沢山買ってくればよかった」
 ハボックを連れて買い物に出掛けたあの日、やたらと声をかけられる事に辟易しながらも入った店で、ロイはハボックに合う服を店員に見繕って貰った。だが。
『双子なんですよね?だったらお揃いで着たらすっごく可愛いと思いますよ』
 ワンピース姿のハボックを連れて男の子の服を買おうとしたロイを訝しむ店員に、思わず双子の弟の服を買いにきたと口走ってしまえば、最初はただ男の子用の服を選んでくれていた店員が同じデザインの女の子用の服を勧め始めた。可愛いデザインの服に目を輝かせるハボックを見て、ロイは最初に選んで貰った数点だけ買うと早々に店を飛び出してしまったのだ。
「なんでもいいから適当に買ってくればよかったんだ」
 後悔したところで服が増える訳ではない。
「仕方ない、洗濯するか」
 ロイはやれやれとため息をついて立ち上がる。部屋を出ようとすれば、寝転がっていたハボックが起き上がってロイの後を追ってきた。階下に下り盥を引っ張り出して水を張る。植物系の洗剤を入れて洗い出せば、ハボックが小さな手でパシャパシャと楽しそうに水を叩いた。
 ハボックが一緒に暮らすようになってロイはそれまで使っていた洗濯機をやめて盥を使うようになっていた。以前一緒に暮らしていた時、盥で洗濯するのをハボックが喜んだからだ。だがやはり元々家事が好きでないロイにとって手洗いの洗濯は相当に負担で、やりたくなくてため込んでは着替えが足りなくなって嫌々洗濯するという繰り返しになっていた。
「なあ、洗濯機で洗濯してもいいか?」
 泡を跳ね上げて遊ぶハボックにそう尋ねれば、途端にハボックが泣きそうな顔になる。ロイはため息をつきながら洗濯をすませると、脱水だけは機械に任せようと洗濯場に洗った服を運んだ。洗濯機に放り込んで脱水を待つ間ロイは足元に纏わりつくハボックを見下ろす。どこからかフワリと飛んできた泡にハボックが手を伸ばしてピョンピョンと飛び跳ねた。
「そうか、要は泡で遊べればいいんだよな」
 そう呟いてロイはフムと考える。戸棚を開けて必要なものがあることを確かめ笑みを浮かべた。
「ハボック、いいものを作ってやる。だから洗濯は洗濯機を使わせてくれ」
 そう言えばハボックがキョトンとする。 ロイは棚から洗濯のりを取り出すとそれを手にキッチンへと向かった。キッチンでは台所洗剤とボウルを取り出す。ロイはボウルに水を入れるとその中に洗濯のりと洗剤を加えてよく掻き回した。
「おいで、ハボック」
 ロイは一生懸命背伸びして何をしているのか覗こうとしていたハボックに声をかけ、ボウルを持ってキッチンを出る。途中引き出しからストローとハサミを取り出し、扉を抜けて中庭へと出た。
「ここでいいか」
 ロイは庭の中ほど迄来るとボウルを足元に置く。木陰に入って強い日射しを避けて幹に寄りかかり、ハサミでストローの先に縦向きに何本か切れ目を入れた。切れ目を折って花のように開くとボウルを手に取りストローの先を洗剤液につけた。
「見ていろ、ハボック」
 ロイはそう言うと液をつけたのとは反対の方に唇を当てる。ふーっと優しく息を吹けば花びらからシャボンがゆっくりと膨らんで、フワリとまあるいシャボン玉が浮かんだ。ストローから離れたシャボン玉はフワフワと空に飛んでいく。目をまん丸にしてそれを見送るハボックにロイが言った。
「どうだ、シャボン玉だぞ」
「ろーいっ」
 自慢げにロイが言えばハボックがピョンピョンと飛び跳ねてストローに手を伸ばす。そんなハボックに「待て待て」と言いながらロイは片膝をつくと、ストローをハボックに渡した。
「いいか、先っぽを液につけたらそうっと優しく吹くんだ。間違っても吸うんじゃないぞ」
 ハボックはコクンと頷くとストローに洗剤液をつける。それからストローを口にするとフゥッと息を吹き込んだ。膨らみ始めたシャボン玉は、だがすぐ弾けて消えてしまう。
「ろーい〜っ!」
「大丈夫、慌てるな。もっとそっと吹いてごらん。優しくな」
 言われてハボックはもう一度液をつけ息を吹き込む。そうすればストローの先に生まれたシャボン玉はゆっくりと大きくなって、フワリと宙に浮いた。
「ろーいっ」
「上手いぞ、ハボック、その調子だ」
 フワフワと空に浮かぶシャボン玉に目を輝かせるハボックの頭をロイは撫でてやる。ハボックが液をつけて息を吹き込めばまた新しいシャボン玉が生まれた。
「ろーい〜!」
「よし、ハボック、シャボン玉をどんどん作るぞ」
 嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるハボックにロイは言うともう一本ストローを作りシャボン玉を膨らませる。
「どうだ、大きいのが出来たぞ」
 ニヤリと笑ってロイが言えばハボックが負けじと大きなシャボン玉を膨らませた。
「ろーいっ」
「やるな、ハボック。よし、それならどっちが沢山シャボン玉を作れるか競争だ」
 その言葉にハボックが張り切ってシャボン玉を膨らまし始める。ロイとハボックが次々と生み出すシャボン玉が夏の空にフワフワと飛んでは消えていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます、嬉しいですv

「暗獣」です。シャボン玉遊びなんて久しくやったことないなぁと思いつつ(笑)しかし、今月は珍しくもう二週間も日記続けて書いてますよ。昔はちゃんと毎日書いてたけど、最近はすっかり怠け癖がついてたから(苦笑)でも、こう続くとやめちゃいけない気がしてちょっと焦ったり(苦笑)サボっても勘弁して下さい〜(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

えへへ、ニヤニヤして頂けてますか?嬉しいですvカチューシャ、可愛いですよねッvおお、男の子でも綺麗なもの可愛いものが好きなお子さんいらっしゃるんですね!そうですよねぇ、男の子だって好きなものは好きですよねッ!ハボもそのうちエリシアの可愛いリボンとか見て欲しがったりしそうな気がします(笑)
2012年08月19日(日)   No.232 (カプなし)

新・暗獣8
「お前も一緒に出かけられると判ったのはいいんだが」
 と、ロイは床に座り込んだままハボックを膝に乗せて言う。
「なあ、ハボック。お前、毛糸玉にならんか?」
 突然ロイにそんな事を言われてハボックが目を見開く。何を言い出すんだと言いたげに見つめられてロイが言った。
「着ていく服がないだろう?まさかそのシャツで行くわけにいかないし」
 ヒューズに変態とまで言われた格好を、ロイとていいとは思わない。子供の姿では服が必要だが毛糸玉であれば服もいらないし、連れ歩くのも楽チンだ。そう思ってロイが言えば、膝からピョンと下りたハボックが側に置いてあったワンピースをロイに差し出す。
「ハボック」
「ろーいー」
 眉を顰めると強請るように名を呼ばれてロイは眉間の皺を深めた。
「あのな、ハボック。それは女の子の服なんだ。男のお前が着るものじゃない」
「ろーい〜っ」
 首を振ってダメと言われてハボックが目を潤ませる。ワンピースを抱き締め涙を浮かべた瞳でじっと見つめられて、ロイはがっくりと肩を落とした。
「ヒューズめ、こんなものを持ってきやがって」
「ろーい?」
 低い声で呟くロイの顔をハボックが覗き込む。じーっと見つめてくる空色にロイは深いため息をついた。
「判った。ヒューズが持ってきたものを一式持っておいで」
 そう言われてハボックが顔を輝かせてキッチンを飛び出していく。ロイはため息をついて立ち上がるとリビングに移った。
「ろーいっ」
 少ししてハボックがワンピースの他に紙袋を抱えて戻ってくる。ソファーに座ってそれを受け取ると、ロイはワンピースのボタンを外して言った。
「おいで」
 ロイはワンピースを脇に置きハボックが着ているシャツを脱がせる。下着一枚になったハボックの頭からワンピースを被せ、腕を袖から出してやった。背中のボタンを留め腰のところで大きなリボンを結んでやる。レースのついた白い靴下とワンピースと同じ色合いの靴を履かせた。
「こんなものまで」
 紙袋の中を探ればワンピースと同じ生地を使ったカチューシャが出てきてロイは顔をしかめる。ハボックの金髪に手を伸ばしたロイはひょこっと現れた犬耳に目を丸くした。
「これはつけないでいいんだな?」
「ろーいーッ」
 その言葉にハボックが慌てて犬耳を引っ込める。ロイが丁度犬耳があった辺りにカチューシャをつけてやると、ハボックが嬉しそうにそっと手で触った。
「ろーいっ」
 ハボックがくるんと回ればワンピースの裾がフワリと広がる。その様にハボックがパアッと顔を輝かせた。
「ろーいッ」
「ヒューズが見たらもの凄く喜びそうだな」
 本当に嬉しそうに笑ってクルクルと回るハボックを見て、ロイがどこか悔しそうに呟く。どうだと尋ねるように、ロイの膝に手をついて覗き込んでくるハボックにロイは言った。
「言っておくが、ハボック。その服は今日だけだからな」
 そう言った途端泣きそうになるハボックに、だがロイは心を鬼にする。
「さっきも言ったろう?それは女の子の服なんだ。その代わり私がお前に似合う服を買ってやるから。な?」
 そう言って頭を撫でてやったがハボックはどこか不服そうだ。後で服を隠してしまおうと思いながら、ロイは立ち上がった。
「よし、じゃあ買い物に行くぞ」
 ロイはそう言ってハボックと手を繋ぐ。嬉しそうに笑うハボックの手を引いてロイは玄関に向かった。扉を開いて外に出る。門から外に出る時には思わずポケットの中の天使の飾りを握り締めた。
「……大丈夫、だな」
 家の敷地の外に出てもハボックの様子に変化がないのを見れば、やはりどこかホッとする。にっこりと笑いあって歩き出すと、ハボックが途端に目を輝かせた。
「ろーいっ」
 大輪の向日葵を見上げ、ピンク色の百日紅の花の塊を指差してはロイを呼ぶ。初めて見る外の世界は何もかもがハボックにとって輝いて見えるようだった。興奮してピョンピョンと飛び跳ねていたハボックは、だが店が建ち並ぶ賑やかな通りに来ると途端にロイにピタリとしがみつくようにくっ付いた。
「ハボック」
 安心させるように呼ぶロイをハボックがほんの少し不安そうに見上げる。小さな手をしっかりと繋いで歩いていると突然かかった声にハボックがビクッと震えてロイにしがみついた。
「可愛いお嬢さんね。パパと一緒にお出かけ?」
 話しかけてくる初老の女性をハボックが空色の目をまん丸に見開いて見上げる。ギュッとしがみついてくるハボックの頭を宥めるようにポンポンと叩いてロイはにっこりと笑った。
「ええまあ。ちょっと買い物に」
「まあ、いいわね」
 言って笑う女性に笑い返してロイはハボックを促し歩き出す。何度となく同じように声をかけられて、目的の店に着く頃にはロイの眉間には深い皺が刻まれていた。
「一体全体なんだと言うんだ。まさかハボックが男なのがバレたのか?」
 やたらと声をかけられる事に辟易してロイが呟く。逃げるように店の中に飛び込むと、ロイとハボックはホッと息を吐いた。
「とっとと買って帰るぞ」
 ロイはそう言うとハボックの手を引いて目的の物を探す。男の子向けの服が並ぶ棚に来るとシャツやズボンを取ってハボックに見せた。
「これなんてどうだ?」
「ろーい」
 そうすればハボックがマネキンが着ている可愛いブラウスを指差す。明らかに女児用のそれに、ロイは眉を顰めた。
「あれはダメだ、ハボック。女の子用だろう?」
 そう言われてハボックがぷぅと頬を膨らませる。その時若い女性店員が近づいてきて二人に声をかけた。
「いらっしゃいませ。女の子用でしたらこちらですよ」
 そう言って売り場を案内しようとする店員にロイが慌てて手を振る。
「あら、でも」
 と言って店員がワンピース姿のハボックに視線を向けるのを見て、ロイは言った。
「あー、その……、そう、双子の弟用の服なんだ。すまないが幾つか選んで貰えないだろうか」
「判りました。お父さんと一緒に弟の服を買いに来たの?偉いのね。手伝うから一緒に選びましょう」
 にっこり笑ってそう言うとハボックの手を引いて服を選び出す店員に、ロイは引きつった笑みを浮かべていた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、嬉しいですv

「暗獣」です。二人でお買い物。どう見ても可愛い娘を連れたカッコいいパパですよね(笑)でも、ロイは自覚がないから変態と思われてないかちょっとビクビクしているっていうね(苦笑)ハボックが女の子ものばかりに目が行くのは単に可愛いからです。決してそう言う趣味では(笑)今度はのんびりお散歩に行かせてあげたいなぁ。

以下、拍手お返事です。

なおさま

そうそう、ハボックはヒューズがくれたワンピース、とっても気に入ってます(笑)そして仰る通り出かけるにはワンピースを着るしかないという(笑)こんな二人が歩いてたら注目したくなりますよね!早く暑さがおさまる事を願いつつ、体に気をつけて過ごしましょう。

おぎわらはぎりさま

春のお花畑とは、ありがとうございます〜v毛糸玉での外出はハボックに拒否されました(笑)わはは、スクール水着にビキニ!(爆)袋から出した瞬間ロイに燃やされそうです(笑)

りんさま

お久しぶりです〜!見毛相犬、リクしてよかったと言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます!うちのサイトは携帯用には出来ていないので見づらいのでは…申し訳ないです(汗)そして、暗獣、帰って参りました!またこのロイと小さいハボックにお付き合い頂けたら嬉しいですv
2012年08月18日(土)   No.231 (カプなし)

新・暗獣7
「流石にこれ以上は無理だな」
 ロイは冷蔵庫の中を覗いて呟く。よく冷えた冷蔵庫には半分ほど入ったミネラルウォーターの瓶の他には卵の一つも入っていなかった。
「ハボック」
 と、ロイは傍らのハボックを見下ろす。ロイのズボンのポケットをギュッと掴んでいるハボックを見つめて言った。
「すまんが流石に限界だ。買い物に行かないといけない。イイ子だから留守番――――」
 と、そこまで言ったところでハボックがロイの腰にギュッとしがみつく。その様子にため息をついて、ロイはハボックの手を外させるとその前に跪いた。
「お前を置いていったりしない。ちゃんと帰ってくる、約束するから」
 ロイはそう言いながら金色の頭を撫でる。
「私は食べるものに拘りはないが、流石に水だけでは腹が減る。それに、お前の服も買わないとだしな」
 ロイがそう言えば、キッチンを飛び出していったハボックが少しして何やら腕に抱えて戻ってきた。
「ろーい」
 言ってハボックが広げて見せたのは先日ヒューズが持ってきたワンピースだ。それを手にじっと見つめてくるハボックにロイがため息をついた。
「腹が減った。お前と違って井戸の水じゃもたんよ」
 やれやれと床に座り込んで告げるとハボックが泣きそうな顔でワンピースを抱き締める。いつの間にか現れていた尻尾もしょんぼりと項垂れているのを見て、ロイは困り切って肩を落とした。
「なあ、ハボック。一つ聞きたいんだが」
 と、少ししてロイが言う。尋ねる声に俯けていた顔をパッと上げて見つめてくる空色にロイは言った。
「今のお前は昔のお前と同じなのか?それとも別物なのか?」
 そう尋ねられてハボックが目を見開く。ロイはハボックをじっと見つめて続けた。
「昔のお前はあの屋敷と強く結びついていて敷地から一歩も出ることが出来なかった。だが、屋敷は燃えてなくなってしまったろう?」
 ハボックから直接聞いた訳ではないが、ロイはハボックがあの屋敷の「想い」だと考えていた。誰も住まなくなって久しく放置されていた屋敷が、かつて屋敷に住んで屋敷を明るく暖かくしていた人々を懐かしみ、もう一度会いたい、誰もいなくなってしまって淋しいと想い続けて生まれたのがハボックなのだろうと思っていた。屋敷に想いがあるなどと、科学者としては受け入れられない考えと言えなくはなかったが、現にハボックは存在していたし、そのハボックを否定する事はロイには出来なかったのだ。屋敷の想いであるハボックは、強く屋敷と結びついていてそこから離れる事が出来なかった。だから事件がおきた時ロイはハボックを置いて屋敷を出るしかなく、火事で屋敷が焼け落ちてハボックも消えてしまったと思っていた。だが、今ハボックはここにいて、それならこのハボックは以前のハボックとは違うのだろうか。
「説明、は出来ないか……」
 ハボックは「ろーい」としか言わない。たった一つの言葉は様々なハボックの想いをはっきりと伝えてはいたが、ロイが知りたい事を説明するのは無理だろう。
 ロイがフウとため息をつけばハボックが持っていたワンピースをロイに押し付ける。さっきと同じように出ていったハボックが今度も何かを手に戻ってきた。
「ハボック?」
 さっきとは違い手の中に収まる小さなものをハボックはロイの手のひらに載せる。それがハボックが大好きだった天使の時計の小さな天使の飾りと気づいてロイは目を見開いた。
「これは」
 そういえばハボックがこの飾りから出てきた事を思い出す。ハボックが小さな手を伸ばして飾りを持つロイの手に頬を擦り寄せた。
「ろーい」
 ロイを呼んでハボックが笑う。その顔を見て、それからロイは手のひらの天使を見た。
「もしかして私にもう一度逢うために戻ってきてくれたのか?」
「ろーい」
 身勝手な考えかもしれないがそうだと思いたい。
「今のお前の依代(よりしろ)はこいつか。それならこれからは何処へでも一緒に行けるな」
 何があろうともう二度とこの小さな手を離さなくてすむのだ。
「ろーい」
 ロイは抱きついてくる小さな体をしっかりと抱き締めた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手も沢山、嬉しいです〜v

毎日暑いですね。東京も今日は35度以上あったらしいし。普段の買い物だからと思って出たら、冗談抜きで気持ち悪くなりました……。暑すぎだよ、尋常じゃない(苦)皆さまもどうぞお体大事になさってくださいね〜。でもってうちのハボとロイが息抜きになったら嬉しいですーv

というところで「暗獣」です。毎日こればっかりですみません(汗)お好きじゃない方には申し訳ないのですが、今はひたすら「暗獣」な気分です(苦笑)だって五月からずっと書きたかったんだもん〜。前回の「暗獣」の終わり方は賛否両論あるでしょうが私的にはあれでよかったと思っていますし、あれがあるからこそ今の「暗獣」があるというか、あの話がなかったら今の「暗獣」もなかったと思っています。本当は書き下ろしの「毛糸玉の記」を読んで頂くとハボックが最後までロイの事が大好きで、だからこそ天使に想いが残ったと思って頂けるかなと思うのですが、「暗獣」は今までの無配本で一番需要がなかったからなぁ(苦笑)「毛糸玉の記」をガーッと書いて、その後はもう続きが書きたくて堪んなかったのですけど流石にすぐ書くわけにもいかないし……という訳でやっと書きだして今はひたすら「暗獣」になってますー(苦笑)まだもうちょっと熱が引くには時間がかかりそうなので、どうぞぬるく見守って頂けたらと思います。

以下、拍手お返事です。

なおさま

わーん、癒されて頂けてますか?嬉しいですvうわあ、「まーすー」って言ったらもうきっと大変だろうなぁ!いや、想像しただけで楽しいです(笑)ギャーっ、カメムシっっ!!携帯、ご無事でしたか?私は足がないものも4本より多いものも大嫌いですッ!!でも、生物の九割は昆虫なんだそうですよ。聞いただけでも嫌になりますよね(苦)暗獣ハボックならロイに泣きつきそう(笑)

おぎわらはぎりさま

サスペンダーつき半ズボンにハイソックスvvふふふ、タマランですねッ(笑)いいですよね〜、スポーツ選手のスレンダーでありながらも無駄のない筋肉っvv撫でまわしたくなります(爆)東京は今日も35度越えでした。脳みそ煮えちゃう……(苦)

暗獣…ハボック(#^.^#)可愛すぎ〜 の方

ありがとうございます〜vうふふ、なでなでしてやって下さいvワンピースの陰からふさふさ尻尾が覗いていたら益々可愛いと思いますv
2012年08月17日(金)   No.230 (カプなし)

新・暗獣6
 ロイはヒューズが得意げに広げて見せる物を食い入るように見つめる。夏らしい明るい空色に白いレースがフリフリと沢山ついた可愛らしいワンピースに、ロイは思い切り眉間に皺を寄せた。
「なんだ、それは」
「えっ?なんだってワンピースだよ。知らないのか?ロイ」
 意外だなぁと眼鏡の奥を丸くするヒューズにロイが眉間の皺を深める。
「知らない訳じゃない。どうしてハボックへの土産がワンピースなんだ」
「可愛いからッ」
 低い声での問いかけに、ヒューズが満面の笑みで答えた。
「いいだろ、この色!見た瞬間ハボックちゃんの瞳の色にピッタリだと思ってさあ!レースもいっぱいついてて可愛いだろ?ハボックちゃんもそう思うよなっ?」
 そう聞かれてハボックが目を輝かせる。ソファーから降りヒューズの側に行くと柔らかいワンピースの生地に嬉しそうに触った。
「ろーい」
「お、ハボックちゃんも気に入った?」
 ニコニコと笑いかけられてヒューズが言う。
「ほら、折角だし着てみようか」
 そう言ってヒューズがいそいそとワンピースのボタンを外し始めるのを見たロイのこめかみがピクピクと震えたと思うと、物凄い形相で立ち上がった。
「やめんかッ!!ハボックも嬉しそうにするんじゃないッ!!」
 物凄い勢いで怒鳴られたハボックがビックリしてワンピースから手を離す。目を吊り上げて睨んでくるロイを見上げて、ヒューズが不思議そうに言った。
「なに怒ってんだよ、ロイ」
「何を、だと?ヒューズ、貴様いい加減ハボックを変態行為につき合わせるのをやめろ」
「変態行為?どこが?」
 言われている事が心底判らないと言うようにヒューズは首を傾げる。「ハボックちゃん、判る?」と尋ねるヒューズを見てロイが言った。
「ハボックは男だぞ、それなのにフリフリのワンピースを着せようなんて変態行為以外の何物でもないだろうがッ!大体お前の家にはエリシアという、幾らでもフリフリドレスを着せられる子供がいるだろうッ!どうしてエリシアに着せないでハボックに着せようとするんだッ!」
「えー」
 ロイに言われてヒューズが思い切り不服そうな顔をする。
「だってエリシアの服はグレイシアが買ってるんだもん、オレが買うと見境なく何でも買うからって。ハボックちゃんだって可愛いんだからさ、こういう服着せてあげたいだろ?それに」
 とヒューズは続けた。
「デートの帰りに部屋に連れ込んだ彼女にさせるような、シャツ一枚だけ着せて後は据え膳みたいな格好させてる方がよっぽど変態じゃねえ?」
「これは単に服を買いに行けなかったからだッ!ハボックが一人で留守番するのを嫌がって買いにいけないだけで――――」
「やだやだ、自分の事は棚に上げちゃって。ロイの変態〜っ」
 握った両手を口元に当てて「ヘンタイ」と連呼するのを聞いて、ロイのこめかみがブチブチと音を立てる。シュッと発火布を嵌めたと思うと、その手をヒューズに向かって突き出した。
「燃やす」
 短くそう告げた瞬間指を擦り合わせる。パチンと言う音と同時に飛んでくる焔に、ヒューズが悲鳴を上げた。
「わあッ!ハボックちゃん、助けてッ!」
「ハボックを盾にするなッ!」
「ろーいーッ」
 ワンピースを抱き締めるハボックの陰に隠れようとするヒューズにロイが怒鳴る。ギャアギャアと喚きあう大の男二人は、だがハボックが上げた悲鳴にピタリと口を閉ざした。
「ろーいッッ!!」
 悲鳴混じりに叫んだハボックが涙をいっぱいにたたえた瞳で二人を睨む。ワンピースを抱き締めたままタタタと部屋の隅に走るとカーテンの陰に隠れてしまった。
「――――」
 そんなハボックにロイとヒューズが決まり悪そうに顔を見合わせる。ロイは発火布を外してテーブルに置くと、ハボックが隠れたカーテンに歩み寄った。
「ハボック」
 ロイはそう呼びかけながらカーテンに触れる。その途端カーテンが揺れてギュッと内側に引っ張られた。
「悪かった、ハボック。私もヒューズも本気で喧嘩してた訳じゃないんだ」
 言いながらロイはカーテンごとハボックを抱き締める。
「不安にさせたなら謝る。だから出てきてくれ、ハボック」
 繰り返しすまなかったと言えば引っ張られたカーテンが弛んでハボックが顔を覗かせる。じっと見つめてくる空色を見つめ返せば、ハボックがロイに腕を伸ばした。
「ろーい」
「ハボック」
 抱きついてくるハボックを抱え上げてロイはハボックを間近から見つめる。すまんともう一度言うとギュッと首に抱きつくハボックの髪に顔を寄せて、ロイはホッと息をついた。

「ハボックちゃん、不安にさせちゃったかな」
 抱きついたまま眠ってしまったハボックを抱いてソファーに座るロイを見つめてヒューズが言う。ハボックの金髪を撫でながらロイが答えた。
「どうだろうな、ハボックにどの程度あの頃の記憶があるかも判らんし」
 二人が別れる直前の騒動をハボックが覚えていたなら、不安に思う事もあるかもしれない。ロイは一つため息をつくとヒューズを見た。
「そもそもお前がこんなものを買ってくるから悪いんだ」
「でもハボックちゃんだって気に入ってくれてるだろ」
 その言葉にハボックを見下ろせばワンピースをしっかりと抱き締めて眠っている。ロイは眉間に皺を寄せて言った。
「可愛いものや綺麗なものが好きだからな」
「だったら」
「ヒューズ」
 パッと顔を輝かせるヒューズをロイは睨む。
「例え好きでも着せる訳にいかないだろう!可愛くても男の子が着られるものを買ってこい!」
「えー」
「でないと出入り禁止だ」
 ピシリとそう言われてヒューズは口を尖らせながらも黙り込んだ。
「まぁ、またお前に怒鳴られてハボックちゃん泣かせる訳にいかないしな」
「そう言うことだ」
 少ししてため息混じりに言うヒューズにロイが答える。顔を見合わせてクスリと笑ったロイとヒューズは、スウスウと寝息を立てるハボックを優しく見つめた。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手も沢山嬉しいですv

夕べは予定通りダンナと息子は野球観戦に、私はホテルでダラダラしてました(笑)とりあえず「セレスタ」は書いたけど「深淵」はちょっとだけ…。間に合うか、更新(苦)
昨日野球から戻ってきた息子が陽岱鋼(ようだいかん)の背番号の巾着を持っていたので買ったのかと思いきや、応援団のオニイサンとのジャンケン合戦に勝ち残ってゲットしてきたんだと。陽と田中賢介と栗山監督の三枚の内の一枚だから結構頑張ったって感じです。以前日ハムの試合を見に行った時は二岡のホームランボールを取ってきたし、日ハム戦に強い息子(笑)

そんな訳で?「暗獣」です。本当は帰りの新幹線で書きかけの「深淵」を書こうかと思ってたんですが、眠くて携帯で打てる「暗獣」にしました(苦笑)ハボックにかつての記憶がどの程度あるかまだ判りませんが、やはりハボックに泣かれると弱い親バカ二人ということで(笑)

そうそう!休んでる間に530000打回りました〜!いつもながらにありがとうございます!キリリクも頂いたし、嬉しさマックスですv相変わらずまったり好き勝手に書き綴るサイトですが、どうぞ引き続きよろしくお願いしますvv

以下、拍手お返事です。

しあんさま

わあ、日参ありがとうございます!そう言って頂けると日記も頑張ろうって思えます!やっぱり暗獣はほっこり賑やかなのがいいかなと思います。次は着ぐるみですかね?(笑)続きも頑張りますねv

530000キリ番 の方

カプ了解しました!うわぁ初めてだ、ドキドキします(笑)少しお待たせしてしまいますが必ず書かせて頂きますので、暫しお待ちくださいね。リク、ありがとうございました!

530000打おめでとうございます♪ の方

いつもありがとうございます!相変わらずこんな萌えばかりのサイトですが、これからも引き続きお付き合いお願いします!

なおさま

ふふふ、ヒューズは相変わらずの暴走特急ですよ(笑)これからもまったりな二人の生活を掻き回して貰おうと思いますvあああ、中尉に会わせてあげたいなぁ。でも、軍関係者から身を隠している現況だと無理かしら…(苦)「ヌマタ」そう言って下さってありがとうございます!結局最後まで「スマタ」にしか見えませんでした(苦笑)お菓子、早速探してみます。売ってるといいなぁ。

おぎわらはぎりさま

着ぐるみハボック、尻尾だけホンモノ!可愛いかも(笑)おおお、サインゲットおめでとうございます!確かにバレますが(笑)昔はよくJリーグも見に行ってましたが、最近はもっぱら野球観戦になりました。でもスポーツ観戦は色んな意味で楽しいですよね(爆)そうそう、無理せずまったりと。私の場合まったりし過ぎと言われそうですが(苦笑)
2012年08月16日(木)   No.229 (カプなし)

新・暗獣5
「ハボックちゃあんッッ」
 呼び鈴の音に扉を開ければ眼鏡の奥の瞳に涙を滲ませた髭面が目に飛び込んできて、ロイは開いた扉をバンッと閉じる。だが、ドンドンと扉を叩きながらハボックの名前を大声で連呼されて、仕方なしに扉を開けた。
「ヒューズ、お前────」
「ハボックちゃんっ、どこッ?!」
 文句を言いかけたロイをドンッと突き飛ばしてヒューズは家の中に飛び込んでくる。リビングの扉を叩き壊さんばかりの勢いで開けたヒューズは、びっくりしてカーテンにしがみついているハボックの姿を見つけてパアアッと顔を輝かせた。
「ハボックちゃんッッ!!」
「ッッ!!」
 もの凄い勢いで突進してくるヒューズに、ハボックはビクッと震えてカーテンの陰に隠れようとする。だが、一瞬早くヒューズの腕が伸びて、ハボックは力任せに抱き締めてくる男に目を白黒させた。
「ハボックちゃんっ、また会えるなんてッッ!!嬉しいッ、本当に嬉しいよッッ!!」
 ヒューズは大声で喚いてハボックをギュウギュウと抱き締めながら、ハボックの滑らかな頬に髭面をこすりつける。手荒い抱擁にハボックが涙目になってロイを呼んだ。
「ろーい〜〜」
 助けを求めて伸ばされるハボックの手を見て、ロイはズカズカとヒューズに歩み寄るとヒューズの頭を拳骨で思い切り殴る。「いてッ」と頭を押さえたヒューズの腕からハボックを取り戻してロイは言った。
「いい加減にしろ、ハボックが嫌がってるだろうが」
「なにするんだ、折角の感動の再会を邪魔するなんてっ」
「感動しているのはお前だけだ」
 冷たくピシャリと言い捨てて、ロイは抱き上げたハボックを下ろすとキッチンに入る。後からついてきたハボックがロイのシャツの裾を掴むのを目を細めて見遣ると、ロイは手早くコーヒーを淹れた。
「こんなにすぐ来るとは思わなかった」
 言いながらカップをテーブルに置いてソファーに腰を下ろすロイの隣に、ついてきたハボックがよじ登ってロイにピタリとくっつく。それを見てヒューズは二人の向かいに腰を下ろして言った。
「当たり前だろう。ハボックちゃんが戻ってきたって聞いたらさ」
 ヒューズはズズッと鼻を啜って滲んだ涙を手の腹で拭う。漸く落ち着いたと言うようにソファーに身を預けてカップに手を伸ばそうとしたヒューズは、ハボックに向けていた目をハッと見開いた。
「なんでッ?」
 ヒューズは叫ぶと同時に立ち上がるともの凄い勢いでテーブルを回ってハボックの側にやってくる。ギョッとしてロイにしがみつくハボックに食いつかんばかりに顔を寄せて、小さい体を上から下までじろじろと見た。
「ハボックちゃんに尻尾がないッ!!」
「なにかと思えば喧しいぞ、ヒューズ」
 あの可愛い尻尾はどこッ?と喚くヒューズをロイは思い切り顔を顰めて見上げる。「だって」と大騒ぎするヒューズを視線で黙らせてロイは言った。
「隠しておくようにと私が言ったんだ」
「隠して?なんでっ?」
 向かいのソファーに戻って尋ねるヒューズをロイは見つめる。
「忘れた訳じゃないだろう?私がハボックを置いて家を出なければいけなくなった理由」
「あ」
 そう言われてヒューズは目を見開き、それからため息をついた。
「そうだったな」
 あの哀しい出来事を思い出しながらヒューズはハボックをじっと見る。次の瞬間フニャと表情を崩して言った。
「でもなぁ、あの尻尾が可愛かったんだよなぁ。マースくん、ハボックちゃんの尻尾大好きだったからさぁッ」
 ヒューズが体をくねらせてそう言うのを聞いたハボックがしがみついていたロイから体を離す。次の瞬間、ポポンと音がして金色の髪の間から犬耳が、シャツの裾からふさふさの金色の尻尾が覗いた。
「おお〜〜ッッ!!」
 得意そうな顔で見上げてくるハボックに、ヒューズが目を輝かせて身を乗り出す。そんな二人にロイが思い切り眉間に皺を寄せた。
「ハボック……ヒューズ!!」
 ロイはソファーの上で体の向きを変えハボックをじっと見る。黒曜石の瞳で見つめられてシュンと俯いたハボックから犬耳と尻尾が消えた。
「あーあ、折角可愛いのに」
「燃やすぞ」
 ジロリと睨まれてヒューズは慌ててカップに手を伸ばす。ズズッとコーヒーを啜るヒューズにため息をついたロイは、ハボックの頭を優しく撫でた。
「ろーい」
 撫でる手にすり寄ってくるハボックをロイは優しく見つめる。そんな二人を見ていたヒューズは「あっ」と短く声を上げた。
「そうだった、ハボックちゃんにお土産持ってきたんだよ〜」
 ヒューズはそう言ってソファーの上に放り出してあった紙袋に手を伸ばす。
「ほら、ハボックちゃん、可愛いだろうッ」
 そう言ってヒューズが広げたのは、フリフリのレースも可愛いショート丈のドレスだった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。お休み中にもかかわらず拍手もありがとうございますv

「暗獣」です。ここの髭は親馬鹿、ハボックちゃん馬鹿です(笑)ロイとハボの二人だけでも十分幸せですが、ヒューズが加わると賑やかになっていいかな、と。ロイも迷惑そうにしてますが、内心は楽しんでいると思います。これからはヒューズがくるたびハボック尻尾出していそう(笑)

仙台に来ています。目的は野球観戦(笑)楽天ではなく、相手の日ハムの応援です。いや、北海道は遠いからさ(苦笑)チケット取るのが遅くて外野自由席しかとれなかったんですが、思い切り応援団席でかえって面白かったです。先日の中日戦に引き続き応援バットを購入しましたさ!(笑)稲葉ジャンプ(稲葉の応援の時にダンダンとジャンプする。ホームの札幌ドームだと球場が揺れるらしいです)も出来たしねv私がバットを買ってきたら後ろの座席にいたオネエサンが「売ってるんですか?」って、早速買いに走ってました。やっぱ欲しくなるんですよ、あの席にいると(笑)息子とダンナは今夜も観戦に行きますが、私はホテルでまったりするつもりです。少しでもポメラ出来るといいんだが。でないと更新間に合わないよ(汗)

ところで、しょうもない話なんですが、ホテルの前に「ヌマタのタネ」っていう看板が出ていて、見る度「スマタのタネ」に見えちゃいましてね、モヤッとエロスな気分になってま…(殴)すみません、脳みそ、腐ってますね(滝汗)


以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

夏の重装備コスは危険ですね〜。タートルネックは熱籠もりそうです(苦笑)でも、萌えは年中無休ですからね。暑くても好きなものは好きと言うか、萌えに殉じるのであれば本望なのかと(笑)「暗獣」ははは、ハボに着ぐるみ、可愛いかも!結構得意そうに着ていそうです(笑)エリシアがハボックと一緒にカーテンの陰に隠れて内緒話してるんですよ。ヒューズが覗こうとすると「パパはダメ!」って言われていじけてたりしたら楽しそうです(笑)確かに取り締まる部署の人間がやってどうするという感じですね(苦笑)私的にも後者が希望ですッ!そのうちやりたいかも(爆)ジャクもの、最近すっかりご無沙汰してますね。もう書けなかったりして(苦笑)ちなみにキリバンは日付が変わる頃だったみたいです。意外と踏み抜けないのは私も経験済みですよ(苦笑)ええ?もう秋の気配ですか?東京は相変わらず暑いですよ(苦)夏バテですか、やはり体がついていかないですよね…、どうぞお大事になさって下さいね。会社で一斉に夏休みもいいですが、自分の都合に合わせてお休みも便利じゃないですか?オリンピックもあっという間でしたね。これからはまたまったり大リーグ見ながらポメラしようと思います(笑)

なおさま

わあ、暗獣ハボも可愛いと言って頂いてありがとうございます、嬉しい〜(照れ)ハボの為なら職権乱用も厭わない髭です(笑)うお、そのチョコ菓子美味しそうです!今度探してみます〜(笑)

JOEさま

うふふ、これは大佐へのエールでしょうか(爆)一応二人の関係は知らない筈なんですが、実は素知らぬ顔で掻き回して楽しんでいるような気もします(苦笑)

キリ番530000を踏みました の方

いつも遊びに来てくださってありがとうございます!「新・暗獣」も楽しんで頂けてますか?嬉しいですーvそして530000踏み抜いて下さったとのこと、ありがとうございますッ!ええと、ヒュ→ハボ←ロイのギャグちっく、お受けいたしました。ただ、ヒュ落ちって事は、どっちのカプでしょう(汗)間違ってお受けしたら拙いんでロイハボって事ですかね?すみません、阿呆で(苦)一応確認させて頂けたらと思いますので、よろしくお願いします。

阿修羅さま

あー、キリバン、どうやら日付が変わる頃だったみたいです〜。タイミング難しいですね(汗)
2012年08月15日(水)   No.228 (カプなし)

髭騎士9
ヒュハボ風味

「やっと終わった……」
 バタリと机に突っ伏してロイは呟く。昼間サボりまくったせいで溜まりに溜まった書類の今日中の決済を鬼より怖い副官に命じられたロイは、日にちが変わる寸前どうにかこうにか最後の一枚にサインをし終えたところだった。
「まったく……どうして私がこんな目に」
 と呟いてロイはため息をつく。どうしてもなにも全て自分がサボっていたからなのだが、ロイの頭にはそんな考えなど欠片もなく、書類を大量に回した部署にブツブツと悪態をつきながら身を起こした。
「帰るとするか」
 とにかくも言われたことを終えたのだ、これ以上ここにいる事もない。
「明日は今日働いた分休ませて貰わんと」
 結局懲りても反省もしていない言葉を吐いてロイが帰ろうと立ち上がった時、ドカドカと廊下を走る音がしたと思うと少しして執務室の扉が乱暴に開いた。
「ヒューズ」
 本来ならここにいる筈がない男の姿にロイが目を丸くする。
「お前、どうしてここに」
 と、当然の質問を口にするロイにズカズカと歩み寄ったヒューズは、ダンッと机に手をついてロイの顔を睨みつけた。
「少尉はどこだ?」
「少尉って……お前もしかしてあの電話の後セントラルから来たのか?よく来られたな」
「緊急の捜査だと言って列車を止めて、車で追いかけて乗った」
 驚くロイにヒューズは低い声で説明する。
「おい、それは職権乱用じゃ――――」
「少尉はどこだっ?」
 呆れて言いかけたロイの言葉を遮ったヒューズがズイと顔を近づけて言えば、ムッと口を噤んだロイが言った。
「やはりお前がハボックを苛めたのか、よくも私の大事な部下を泣かせたな」
「泣いてた?おい、少尉はどこにいるんだっ?」
 ハボックが泣いていたと聞いてヒューズが目を吊り上げてロイの襟首を掴む。いつもは飄々とした友人の思いがけない姿に、毒気を抜かれてロイはまじまじと間近に迫るヒューズの顔を見た。
「ハボックならとっくに帰ったぞ。私があげたチョコを持って」
 と言ってからロイはハタと思い出す。
「そうだ、ヒューズ、あのチョコ買って返せ。折角の限定品、最後の一箱だったのをハボックにやったんだ」
「とっくに帰った?でもアパートにはいなかったぞ」
 言った言葉を綺麗にスルーされてロイはムッとしたものの未だに襟首を掴んでいるヒューズの手を振り払って言った。
「知るか。苛めっこのお前に女性を紹介して貰うより自分で探した方がいいって思ったんじゃないのか。今頃アイツ好みのボインで可愛い子とよろしくやってるんだろう」
 ロイが乱れた襟元を直しながらそう言えば、ヒューズが常盤色の目を見開く。そのまま何も言わずに執務室を飛び出していくヒューズの背にロイは慌てて声を上げた。
「おいっ、ヒューズ!これ以上私の部下を苛めたらただでは――――」
 だが言い終わらぬうちにドカドカと走り去ってしまったのを見て、ロイはため息をつく。
「まったく一体なんだっていう――――、あ」
 やれやれと言いかけた言葉を飲み込んでロイはハッと顔を上げた。
「チョコ……っ!くそっ、後で請求書送ってやるッ!」
 ロイはもう誰もいない扉の向こうに向かってそう怒鳴ったのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

「髭騎士」です〜。髭、手段選びません(笑)そしてロイは相変わらず(笑)

以下、拍手お返事です。

阿修羅さま

あらら、リク下さるつもりだったのですね〜。今年のハボロイの日は週始めだからみなさんお忙しかったですよね(苦笑)と、とりあえずキリバン近いのでそっちでお受け出来たらいいなぁ、と(汗)

なおさま

えへへへへへv尻尾ぎゅうっなハボックをセロリさん絵で妄想すると、更に癒されると思います(笑)暑い毎日少しでも暗獣ハボが気晴らしになったら嬉しいですv
2012年08月13日(月)   No.227 (カプ色あり)

新・暗獣4
「服を買ってくるまではこれを着てなさい」
 ロイは膝をついてそう言いながらハボックに自分のシャツを着せかける。ボタンを留め、長い袖を捲ってやれば、シャツは丁度ワンピースのように見えなくもなかった。
「ちょっと尻がスースーするだろうが……まあ、夏だし、風邪もひかんだろう」
 流石に買い置きの大人用の下着を着せるわけにもいかず、ロイは言い訳するように呟く。シャツを着せて貰ったハボックが、具合を試すようにクルンと一回転すれば、ハボックの動きを追うようにシャツの陰で尻尾がクルンと回った。
「…………」
 ロイはシャツの裾から覗くふさふさの金色の尻尾をじっと見つめる。それからハボックの金色の頭に生えた犬耳に視線を移した。
「ろーい?」
 腕を組んでじっと見つめてくるロイにハボックが不思議そうに首を傾げる。組んだ腕に掴まって顔を覗き込んでくるハボックを見返してロイは言った。
「ハボック、その犬耳と尻尾だが、隠すことは出来んか?」
 そう言われてハボックが僅かに目を見開く。ハボックの空色の瞳を見つめてロイは続けた。
「お前が私が可愛がっていた犬を真似てそうなったのは判っている。だが、その格好だとまたお前をキメラと勘違いして騒ぎ立てる輩が出てくるかもしれん」
 ロイがハボックを置いてあの家を出なければいけなくなった理由。それは犬耳と尻尾を見てハボックをロイが作ったキメラと思い込み、家に押し掛けてくる連中が後を絶たなくなったためだ。あの頃ハボックは家と強く結びついていて、というより家そのものであった為家を離れる事が出来なかった。そんなハボックを強引に連れだそうとする者まで現れてハボックの命が危険に晒された為、ロイはハボックを置いて家を出なくてはいけなくなってしまったのだ。
「私は同じ事を繰り返したくない。もう二度とお前を失うような事にはなりたくないんだ。私が言っていることが判るか?」
 ロイはそう言ってハボックの金色の頭を撫でる。柔らかなその髪から覗く犬耳をピクピクとさせたハボックは、ふさふさの尻尾を大事そうに抱き締めた。
「私もお前の尻尾が好きだよ。でも、そのせいでお前を傷つけることになったり、お前と離れなければならなくなるのは嫌なんだ」
 ロイは辛抱強くハボックに言ってきかせる。尻尾を抱き締めていたハボックは、ギュッと目を粒って「んーっ」と力を込めた。
 すると。ハボックの犬耳が髪の毛に溶け込むように小さくなって目立たなくなる。よく見れば小さな獣の耳があるようにも見えるが、髪の毛だと言えばそれで通りそうだった。
 「んーっ」とハボックは尻尾を強く抱き締めて更に力を込める。次の瞬間、ポンッと音がしてハボックの手の中からふさふさの尻尾が消えた。
「凄い、上手いぞ、ハボック」
 ふぅと息を吐いてへなへなと座り込むハボックをロイは褒めて抱き締めてやる。そうすればハボックが嬉しそうにパッと顔を輝かせた。
「ろーいー」
「ありがとう、ハボック。よく出来たな」
 ロイは笑みを浮かべてハボックの金髪を撫でてやる。褒められて嬉しそうに笑ったハボックは床に手をついてうんしょと立ち上がった。だが。
「っ?」
 立ち上がったハボックがふらふらと倒れそうになる。右に左にふらつくハボックを、ロイが慌てて手を伸ばして支えた。
「お前……もしかして今まで尻尾でバランスをとってたのか?」
「ろーいー」
 ハボックが鼻に皺を寄せて唇を突き出す。むー、と下唇を突き出してハボックが不満そうにしたと思うと、ポンッとシャツの下から尻尾が現れた。
「ハボック」
 尻尾をギュッと抱き締めてロイに背を向けるハボックに、ロイはため息をつく。その小さな体を背後から抱き締めてロイは言った。
「頼むよ、ハボック。いい子だから」
 もうあんな思いは二度としたくない。そう思って頼み込むロイを唇を突き出したハボックが肩越しに見た。その瞳をロイがじっと見つめれば、ポンッと音がして尻尾が消える。ホッと笑みを浮かべるロイの腕か抜け出して、ハボックはタタタと走った。右に右にと傾げながら走って、ハボックは窓までたどり着くとカーテンにしがみつく。
「ろーいー」
 と不服そうに見上げてくる空色に苦笑して、ロイは言った。
「バランスの取り方は慣れて貰うしかないな」
 そう言ってロイはハボックに歩み寄ると金色の頭をクシャリと掻き混ぜる。そうすればハボックがハアとため息をついて肩を落とした。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、更新の励みです、ありがとうございますv

しつこいですが「暗獣」です。感動の再会中、ハボックはマッパだったっていうね(爆)ハボックは犬耳・尻尾がないと淋しいんですが、前作で二人が離れることになった理由が理由なので(苦笑)でも、ハボック自身あの尻尾が大好きなので多分しょっちゅう生やしてるんじゃないかと思います、バランス悪いしね(笑)んで、そのたんびロイに怒られてしょんぼりするんですよ、きっと(笑)

以下、拍手お返事です。

JOEさま

うふふ、嬉しいと言って頂けてこちらも嬉しいですv髭絵落書き見せて下さいよぅ(笑)お気遣いありがとうございます。のんびりまったり書いていきたいと思いますv

なおさま

なんだか自分でも信じられないくらい日記書きまくってます(笑)おお、セロリさんのわんこハボ!そうそう、是非脳内変換して下さいねッv一匹いたら毎日楽しいだろうなぁ(笑)お仕事、お忙しそうですね。暑さが続きますからどうぞお気をつけてお過ごし下さい。

おぎわらはぎりさま

イベントお疲れ様でした。ハボロイ総なめ、凄いですね(笑)そうですね、確かに全盛期に比べたらホント少なくなりましたよ、特にロイハボ…(苦)それでもまだ鋼が好きな方がいらっしゃると思うとそれだけで元気出ますけどねvしかし、この暑い時期の軍服コスは鋼に限らず危険ですよね〜!その点エンヴィーはいいかも〜(笑)「暗獣」へへへ、ショタですよ、ショタ(笑)いいなぁ、フリフリのお洋服!可愛すぎるvvキリバン、言われて気づきました、確かにそろそろ……。ふふふ、頑張って下さいねv
2012年08月12日(日)   No.226 (カプなし)

新・暗獣3
「──── ハボック」
 懐かしい空色の瞳に見つめられて、ロイは掠れた声で小さな男の子の姿になった毛糸玉を呼ぶ。すると、ハボックが小さく震えたと思うと、ポンとまた毛糸玉に戻ってしまった。床の上をサーッと滑って毛糸玉は棚の後ろに潜ってしまう。ポカンとしてそれを見ていたロイはハッとして棚に飛びついた。
「何故だッ?おいっ、ハボック!どうしたんだッ?!」
 もう一度会えたと感動する間もなく、再び毛糸玉に戻って棚の後ろに隠れてしまったハボックに、ロイは隙間に顔を突っ込まんばかりにこすりつけて怒鳴る。何度呼んでも出てこないハボックに、ロイはため息をついて棚から離れた。
「…………もしかして怒っているのか?お前を置いて屋敷を出てしまったことを。お前を ──── 守ってやれなかったことを」
 ロイとしてはハボックを守ろうとしての行動だった。だが、ハボックからしてみれば捨てられたと思っても不思議はないかもしれなかった。
「そうか……そうだな。そう思うのが普通だな」
 ロイはそう呟いてドサリと椅子に腰を下ろす。力が抜けてしまったように椅子に沈み込んでいると、毛糸玉が棚の後ろから顔を出した。毛糸玉はススス、スススと床を行ったりきたりする。時折小さく縮こまって震える様子を見ていたロイは、ふと浮かんだ考えに眉を寄せた。
「ハボック、お前────もしかして、恥ずかしがってるのか?」
 そう尋ねれば毛糸玉がポンと跳ねて子供の姿になる。タタタと駆けてカーテンの陰に飛び込んだハボックの、カーテンからはみ出た尻尾がクルンと内巻きに巻いているのを目を見開いて見つめていたロイは、ゆっくりと立ち上がった。
「ハボック」
 そう呼びかけながら近づき、カーテンをめくる。そうすれば恥ずかしそうに見上げてくるハボックと目が合った。
「おいで」
 にっこりと笑って言えば、ハボックが腕を伸ばしてくる。その手を引き寄せて、ロイはハボックを抱き上げた。
「おかえり、ハボック……もう一度会えて、本当に嬉しいよ」
 目を細めてそう告げれば。
「ろーい」
 ハボックが答えてロイの首にしがみついた。きゅううと精一杯の力でしがみついてくるハボックを抱いて、ロイは窓辺に近づく。すると真夏の光をすり抜けるようにして爽やかな風が吹いてきた。
「ハボック」
 ポンポンと背中を叩いて呼ぶと、ハボックが顔を上げる。ロイの視線に促されるように、窓の外へと空色の視線を向けた。
「ろーいー」
 空の色を映す瞳で雲を見上げ、にこにことロイに笑いかける。そんな様を見ているだけでうんざりするようだった暑さも気にならなくなってくるから、人間なんて勝手なものだとロイは苦笑した。
「ろーい?」
「なんでもないよ、ハボック」
 ロイはそう言って笑うと、嬉しそうに夏の青空を見上げた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、嬉しいですvv

なんか今週はやけに真面目に日記を書いているなぁ(笑)でもそろそろ力尽きそう(苦笑)
そんなわけで「暗獣」です。いつものまったり話に行くまであと2つ3つ書きたい話があるので、それまではちょっと続けて書いてしまいたいなと思っています。でも、間に髭やら身体お題やら挟むかもだけど(笑)

そうそう、一応夏休みの予定をちょっと。
14〜16日は旅行で不在です。なので14日の更新はお休みになります。それから21〜28日は帰省なので、25日(土)の更新はお休み、21日と28日は……どうしようかなぁ。14日も休みなのでこの両日を休むと火曜は三週連続で休みになってしまう……。むーん。どっちか、実家に帰る前か帰ってきてから更新出来たらしたい……。ちょっと頑張ってみます。日記は旅行中も含め、書くタイミングがあったらアップする予定です。そんな感じで夏休みはよろしくお願い致します。

以下、拍手お返事です。

なおさま

えへへ、久しぶりの「ろーい」喜んで頂けて嬉しいです。大好きと言って下さって幸せです。これからもほっこりな二人をお届け出来るよう頑張りますねv
2012年08月11日(土)   No.225 (カプなし)

新・暗獣2
「おいっ、隠れてないで出てこい!」
 ロイは黒い毛糸玉が潜り込んだ棚の後ろを覗き込んで言う。だが、返事は勿論何かが動くような気配もせず、ロイは顔を壁に押し付けて必死になって壁と棚の隙間を覗いた。
「くそっ、よく見えんな……、おい、まだそこにいるんだろう?」
 もしかして反対側の隙間から出て行ってしまったりしていないだろうか。ロイは棚の周りをウロウロしては隙間を覗き込む。どうしたら出てきてくれるだろうと考えて、ロイはハッと目を見開いた。
「そうだ、クッキーを」
 初めてあげたのはクッキーだった。そう思ったものの次の瞬間肩を落とす。
「ダメだ、クッキーなんて今家にないぞ」
 あげる当てのないクッキーなぞ家にはない。どうしようとウロウロしたロイはポンと手を叩いた。
「あれだ、あれがあった!」
 ロイは大声で言ってクローゼットを開ける。ガサガサと中を探して小さな箱を取り出した。
「よかった、あった」
 ホッと息をついて蓋を開ければ中には錬金術に使うために集めていた鉱石が入っている。以前住んでいた屋敷を出る時に持ち出した数少ない物の一つであったその箱から綺麗な空色の鉱石を取り出すと、ロイはそれを手に棚に近づいた。
「ほら、綺麗だろう?出てきてくれたらこれをやるぞ」
 棚の側に膝をついたロイは手のひらの上に鉱石を置いて言う。向こうからよく見えるよう、だが棚の陰から出てこなければ触れない微妙な位置に手を差し出して、ロイは相手の動きを待った。
 何の物音も何の動きもないまま数分が過ぎる。もしかして自分は何もいない所に話しかけているのではないか、もしかしたらさっき見たと思った物は夏の暑さが見せた幻だったのではないかとロイが思い始めた時。
 棚の後ろから小さな毛糸玉が顔を出す。ハッとしてロイが見つめる先で、真っ黒な毛糸玉はロイの手の上を覗き込むようにうにょんと伸びたり縮んだりした。
「綺麗だろう?大丈夫だ、出ておいで」
 ロイは毛糸玉を怖がらせないよう優しく囁く。そうすれば毛糸玉はスス、スススと少しずつロイの方に寄ってきた。辛抱強く待っていると毛糸玉はロイの手のすぐ側までやって来て鉱石を覗き込む。ロイの様子を伺うようにうにょんと伸びて、それから鉱石に覆い被さるようにロイの手のひらに乗った。もぞもぞと動いて毛糸玉は鉱石を抱き込むとロイの手のひらから滑り降りる。ロイはそんな毛糸玉の動きをじっと見つめていたがそろそろと手を伸ばすと柔らかい毛糸玉の体を撫でた。ロイが触れた途端ピクンと震えた毛糸玉はしおしおと小さくなる。そのまま萎んで消えてしまいそうに見えて、ロイは思わず声を張り上げた。
「ハボック……っ」
 今ここにいるのがあのハボックなのかロイには判らない。だが、この毛糸玉がハボックが大好きだった天使から出てきた事で、ハボックと全く関係がないとは思えなかった。
「お前はハボックじゃない、のか?」
 囁くように尋ねるロイを毛糸玉がじっと見つめる。萎んだ体をロイがそっと撫でてやれば、毛糸玉が喜ぶように震えてムクムクと大きくなった。そして。
 次の瞬間パアッと明るい光が毛糸玉を包む。
「ろーい」
 光が消えた後に現れた小さなハボックが、空色の瞳を輝かせてロイを呼んだ。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。なんだか拍手を沢山ありがとうございます。凄く励まされてます、嬉しいです〜v

拍手いっぱい貰っていい気になりました、「暗獣」です(笑)ああ、久しぶりだなぁ、「ろーい」って。やっぱり書いてて楽しいです。読んで下さる皆様にも楽しいと思って頂けたらとっても嬉しいです。

以下、拍手お返事です。

髭の日のロイさん達想像して の方

おお、どんな落書きをされたのでしょう。私は絵が描けないのでお絵かき出来る方は尊敬しちゃいますv見せて頂きたいなぁ(笑)黒いモコモコ、またよろしくお付き合いお願いしますねv

香深さま

えへへ、ただいま!です。嬉しいと言って頂けてこちらも嬉しいvとりあえずハボックになりました(笑)続きもお楽しみ頂けますようにv「掌」そうか、そんなイメージが…。やはり人それぞれイメージがあるものなんですね。ハボックの大きな掌でえっちく触ったりしたらちょっとドキドキしそうですv「指先」いや〜ん、ハボの心まで絡め取る大佐の指先!エロ素敵ですッv「セレスタ」ふふふ、いいでしょう、秘書(笑)ああいうの書くの大好きなんです(爆)らぶいロイハボは勿論好きですが、そこまでに色々紆余曲折してハボックが辛いのが好きなものでハボにもロイにも余計な苦労をかけている気がします(笑)でも多分大丈夫v続き、ありがとうございます、ゆっくりボチボチ進めます、お気遣い嬉しいですv香深さまもお体お気をつけてお過ごし下さいv

なおさま

うふふ、こちらこそ喜んで頂けてありがとうございます。早速「ろーい」と言わせてみました(笑)続きもどうぞお楽しみくださいますようv

おぎわらはぎりさま

ただいま〜ですvふふふ、確かにイメージとしては「はぼっく」とひらがな表記が似合うかもですね。初日はいかがでしたか?ガッツリお宝ゲット出来ている事をお祈りしていますv

しあんさま

ありがとうございます〜vうふふ、ヒューズには邪魔されてもいいんですね(笑)またほのぼのな二人を書いていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお付き合いお願いしますねv

風汰さま

はい、ではキリリクでお受けしますね。書くのはちょっと先になってしまいますが、必ず書きますので暫しお待ち下さいませvおお、母校からメダリスト!それは凄いですねッ!!甲子園も見てますよ〜。プロ野球選手に比べて細っこいなぁ、でも高卒ルーキーとかって結構ガタイいいのに、あと数年もすると育つのかしらとか、邪な目で見ております(爆)
2012年08月10日(金)   No.224 (カプなし)

新・暗獣1
「暑い……」
 窓辺に置いた椅子に腰掛けて本を読んでいたロイは、視線を上げてそう呟く。開け放った窓からはそよとも風は入ってこず、直接陽が射さないだけで外と全く気温の差がない室内に、ロイは手の甲で額の汗を拭った。
「水でも撒くかな」
 二階の窓から見下ろした庭の木々は、連日の暑さで萎れかかっているように見える。水に触れれば少しは涼しくなるかもと、ロイは本をテーブルに置くとゆっくりと立ち上がった。一階に降り庭に続く扉から外へ出る。カッと降り注ぐ夏の陽射しに、ロイは腕を翳して目を細めた。
 庭の片隅にある水道に近づくとホースを繋いで蛇口を捻る。長いホースを水が走り抜ける感触がして、ロイが手にした先端から生温かい水が出てきた。そのまま少し待てば冷たくなった水を、ロイはホースの先を潰すようにして庭に撒く。サーサーと降り注ぐ水を見ていれば、不意に小さな姿が水にじゃれる光景が浮かんでロイは目を見開いた。金色の尻尾を振って楽しそうに庭を駆けたと思うと、ロイを振り向いてにっこりと笑う。その唇がたった一つ覚えた言葉を紡ごうと口を開いた次の瞬間、吹いた風が幻を掻き消した。
「ハ ────」
 呼びかけようと言いかけた言葉をロイはグッと飲み込む。サーサーと撒き散らされる水をじっと見ていたロイは一つため息をつくと、水を止めホースを巻き取って庭の隅に置き家の中に戻った。
「ちっとも涼しくならんな」
 昔水まきした後はすっきりと涼しくなってのんびり昼寝をしたのにと、ロイはため息をつくと本に手を伸ばした。

 この家に住む前、ロイは古びた屋敷に住んでいた。叩きつけるように軍に退役届けを出したロイが飛び込んだ不動産屋で見つけたその屋敷は、幽霊が出るかもと噂がたつほど長いこと誰も住む者もなく放置されていた。どこでも構わないと買って住み始めたその屋敷で、ロイはそれに出会ったのだった。
 ロイがそれの存在に気づいたのは屋敷に住み始めてすぐのことだった。ロイの様子を伺うようにちょろちょろと部屋の片隅から覗いていた黒い毛糸玉の姿をしたそれに、ロイはクッキーを置いてやった。少しずつ少しずつ互いの存在に慣れ始めた時、洗濯機の中に落ちて洗剤にかぶれたそれをロイが助けてやるという事件が起きた。その時ロイの写真を見たそれが犬耳と金色のふさふさの尻尾をつけた男の子の姿を取り、そして。
 ハボックと名付けられたそれとロイは古びた屋敷で静かに楽しく暮らすようになった。錬金術師であったロイが心に負っていた深い傷を小さなハボックは癒してくれた。二人きり古びた屋敷で楽しく季節を過ごした幸せは、だが長くは続かなかった。ハボックの存在を知った軍の関係者がハボックをロイが作り出したキメラと誤解し、屋敷に押し寄せてくるようになったからだ。ハボックを守るためハボックを置いて屋敷を出て身を隠したロイの耳に屋敷が火事で焼け落ちたと知らせが入ったのは、ロイが屋敷を出て一ヶ月を過ぎた頃だった。

「暑いな」
 再び本を読み始めたものの、あまりの暑さにロイはため息をついて本から目を上げる。本を置いて立ち上がると、棚に近づき抽斗から天使の形をした小さな金属片を取り出した。
 それはロイが焼け落ちた屋敷の跡で見つけたものだ。ハボックが大好きだった天使の時計に使われていた飾りで、正時になる度音楽に合わせてくるくると可愛い踊りを踊っていた。天使の踊りを見ながらフンフンと調子っぱずれの鼻歌を歌っていた小さな姿が思い浮かんで、ロイは天使の飾りをギュッと握り締めた。
「結局私はなにも守れなかったな」
 ロイは手の中の堅い感触を感じながら呟く。錬金術師としての力を使って守りたいと思ったものは業火の向こうに消えた。己の心を癒してくれたたった一つの小さな命さえ結局は守れなかった。
「私は」
 言いかけて何を言うべきか判らず手の中の飾りを強く握れば、その堅さに拒絶と非難を向けられている気がしてくる。くしゃりと顔を歪めたロイの手の中で、折れ曲がりそうになった天使がピキンと小さな悲鳴を上げた、その時。
 モコ。
 モコモコ。
「うわッ?!」
 ロイは握り締めた指の隙間からなにやら黒いものが出てきた事に気づいて声を上げる。なんだと開いた手の上で、天使の飾りから湧き出るようにモコモコと黒い塊が出てきたと思うと。
 ポン!
 小さな黒い毛糸玉が天使の飾りから飛び出した。
「な……ん……」
 まじまじとロイが見つめる先で、床に落ちた毛糸玉は伸びをするように伸びたり縮んだりする。それからロイに見つめられている事に気づいたそれは、後ずさるようにスススと床を滑って逃げた。
「待てっ」
 慌ててロイが追いかければ、それは棚の後ろに潜ってしまう。ロイは壁に顔を擦りつけるようにして棚の後ろを覗き込んだ。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます、ありがとうございますv

今日はハボックの日ですねっvそんなわけで(?)モコモコ毛糸玉くんに帰ってきて貰いました〜。いや、五月に「暗獣」の最終回を書いてからずっと新シリーズを書きたかったのですが、流石に切欠が(苦笑)あー、やっと始められてよかった(笑)また、まったり話にお付き合い頂けたら嬉しいですv

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、猫髭(笑)でも自分で錬成して猫髭じゃああまりにお間抜けなので(笑)髭ハボ!そりゃあ、ヒューズがいたら押さえつけてでも剃っちゃいますよ!!ハボックに髭なんて有り得ねぇッ!!(←髭ハボ嫌いらしい)ハボックはやっぱりツルンがいいです(笑)

おぎわらはぎりさま

覚えてましたよ〜(笑)ネタをありがとうございますvええ、きっと中尉は誰を見ても無表情で仕事をこなしていくと思います。そして元祖・髭(笑)はお腹が捩れるほど大笑いすると思います。ハボに呆れられ、中尉には冷たい目で見られながらヒーヒー腹抱えて笑ってそう(笑)ここ数日朝が涼しいですね。でもまだ暑さは続くようなのでもう少し頑張りましょう。
2012年08月09日(木)   No.223 (カプなし)

髭騎士 髭の日編
ヒュハボ風味

「大佐、この書類にサイン ────」
 ノックもそこそこに執務室の扉を開けたハボックは、サインを貰おうと書類を差し出した格好のまま凍り付く。ハボックの声に顔を上げたロイの鼻の下をまじまじと見つめた。
「──── なんスか、それ」
 漸くそれだけ絞り出すようにハボックは言う。そんなハボックにロイはにんまりと笑った。
「どうだ、カッコいいだろう?」
 そう言うロイの鼻の下にはチョロッと髭が生えている。八の字に左右に伸びたそれはカッコいいというよりナマズの髭のようだった。
「ただのエロ親父に見えるっス」
 ハボックが素直にそう感想を口にすれば、ロイがムッと眉間に皺を寄せる。
「失礼な奴だな、私のどこがエロ親父だ」
 口髭を扱いてそう言うロイにハボックが首を傾げた。
「いきなりどうしたんスか?朝はなかったっスよね?」
 確か朝ロイと顔を合わせた時、こんな髭はなかった筈だ。顔のほぼ中央にあるそれを見落とす訳はなく、ハボックがそう尋ねればロイが答えた。
「今日は髭の日だそうだよ。だから錬成術で生やしてみた」
「髭の日?なんで?」
「さあな、この髭が八の字に似てるからじゃないか?」
 そう言ってロイが指で上向きに捻り上げた髭は確かに八の字と言えなくはない。
「髭の日だからって髭生やします?フツー」
「いいじゃないか、一度生やしてみたかったんだ」
 今日は一日これで行くと、妙に上機嫌なロイにハボックは呆れたため息をつく。
「なんでもいいっス、サイン下さい」
「なんだ、その言い方は。お前にも髭を生やしてやろうか?」
「謹んでお断りします」
 いらねぇよ、そんな髭と思い切り嫌そうな顔をすれば、サインしないと言い出すロイを宥め賺してサインを貰うとハボックは執務室を出た。
「なんなんだか、一体」
 ハボックがそう呟いてため息をついた時、ブレダが司令室に戻ってくる。「おう、ハボ」と声をかけられて視線を向けたハボックは、ブレダの鼻の下に張り付くちょび髭を見て目を見開いた。
「ブッ、ブレダっ?なに、それッ!」
「おう、似合うだろ?大佐に生やして貰った」
 カッコいいだろとニッと笑って言うブレダにハボックはげんなりと肩を落とす。妙なところでノリがいい友人に何か言おうとしたハボックは、連れだって入ってきたフュリーとファルマンの顔にも髭が生えているのを見て開いた口をあんぐりとさせた。
「あ、ハボック少尉、どうですか?僕の髭!カッコいいでしょう!」
「偶には髭もいいものですな」
「お前もどうよ、ハボック」
 ニコニコと笑う三つの髭面に、ハボックはげっそりする。
「いい、遠慮しとく」
 ハボックはそう呟くように言うと、三人を押しやるようにして司令室を出た。そのまま廊下を歩き階段を上って屋上に出る。広い屋上を横切って手すりに寄りかかると、ハアとため息をついた。
「何が髭の日だよ、まったく暇なんだから」
 事件がないのはいいことだが、わるふざけにもほどがある。煙草の煙を吐き出して、ハボックは短くなった煙草を携帯灰皿に放り込んだ。
「髭、かぁ……」
 そう呟けば遠距離恋愛中の恋人の顔が思い浮かぶ。悪戯っぽく笑う眼鏡の奥の常盤色の瞳が頭に浮かんで、ハボックはため息をついた。
「中佐……」
 会いたい、と胸の内で呟いたハボックの耳に。
「呼んだか?」
 たった今思い浮かべた人物の声が響いて、ハボックはギョッとして振り返った。
「な……なんでここにいんのッ?!」
「お前が呼んだから」
 驚くハボックにヒューズがサラリと答える。そうすればハボックが眉を顰めてヒューズを睨んだ。
「嘘ばっか」
「なんだよ、実際呼んでたじゃねぇか」
「空耳っしょ」
 ツンと顔を背けて言うハボックの耳が真っ赤になっている事に気づいて、ヒューズは薄く笑う。ゆっくりとハボックに近づくと、ハボックの体を囲い込むように手すりに手をついた。
「俺に会いたくなかったのか?ジャン」
 意地悪くそう囁く男をハボックは睨み上げる。それでも、そんな風に睨んでいたのはほんの僅かな間で、ハボックは腕を伸ばすとヒューズの体を掻き抱いた。
「アンタの髭が一番カッコいい」
「ん?なんだって?」
 肩口に顔を埋めて言った言葉を聞き取れず不思議そうな顔をするヒューズに。
「何でもねぇっス」
 ハボックは笑うと自分から口づけていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

今日は「髭の日」だそうで。そんなわけで「髭騎士」です。連載中の話からちょっと外れて髭の日話なぞ書いてみました(笑)ロイの髭は絶対エロオヤジだと思うの(苦笑)やっぱりハボにとってカッコいい髭はヒューズってことでv

以下、拍手お返事です。

JOEさま

いいですよね、薔薇の香りvふふふ、確かに吸血鬼話ばかりで混乱しますよね〜(苦笑)ハボロイでもロイハボでもヒュハボでもカプなしでも書きたいという欲望のままに書き散らかしたらこんなになりました。まあ、その時々で楽しんで頂けたらいいなと思いますv

なおさま

わー、気になってらっしゃいましたか!五年も放置してましたものね(苦笑)昔の作品で正直恥ずかしくて仕方ないのですが、楽しんで頂けたら嬉しいですv
2012年08月08日(水)   No.222 (カプ色あり)

吸血鬼14
Alucard14

「やまないっスね」
 ハボックは窓の外を見てため息混じりに呟く。専属のシェフになってくれと言うロイの申し出を断って帰るとハボックが告げた直後から降り出した雨は、三日たってもまったくやむ気配がなかった。
「空の水が全部なくなっちまうんじゃねぇの?」
 思わずそんな心配をしたくなるほどザアザアと降り続く雨にハボックが呟いた時、背後から面白がるような笑い声が聞こえた。
「マスタングさん」
「空の水が全部なくなったらやむかもしれんな」
「そこまで待ってらんないっス」
 もう随分と長いこと店を休んでしまっている。連絡を入れようとかけようとした電話は悪天候の影響でどこかで回線が切れてしまったらしく、ハボックは苛々しながら日々を過ごしていた。
「焦っても雨はやまんよ」
「それは判ってるっスけど」
 ハボックは答えてため息をつく。見ていればやむとでも言うかのように窓から離れようとしないハボックに、ロイは近づくと言った。
「ほら、そんなところで立っていても仕方ないだろう。お茶でも飲もう」
「あ……はい」
 優しく微笑むロイに手を取られて、ハボックは窓から離れる。促されるままソファーに腰を下ろせばバルボアがハボックの前に湯気の上がるカップを置いた。
「どうもありがとう」
 ハボックは無表情な男に礼を言う。だが、バルボアは何も答えず軽く会釈すると部屋を出ていった。
「いただきます」
 ハボックは呟くように言ってカップに口を付ける。そうすれば口内に広がる薔薇の香りが苛立つ気持ちを宥めるようで、ハボックはうっすらと笑みを浮かべた。
「オレ、このお茶好きっス」
「そうか?」
「薔薇のいい香りが気持ちを落ち着けるっていうか……どこのお茶っスか?」
 売ってたら買いたいなと言うハボックを見つめてロイが言う。
「これは我が家オリジナルのブレンドだよ。庭の薔薇の花びらを乾燥させて茶葉に混ぜてるんだ」
「へぇ、そうなんスか」
 言われてハボックは驚いたように目を見開いた。改めてカップに鼻を寄せて思い切り香りを吸い込む。
「庭の薔薇なんだ。じゃあどの薔薇を使うかで少しずつ香りも変わるんスね」
「そういうことだな」
「あ、でも」
 と、ハボックは心配そうに窓の外へ目を向けた。
「この雨じゃ薔薇が心配っスね」
「なに、心配はないよ。こんな雨はしょっちゅうだからな」
「えっ?そうなんスか?」
 まるで何でもないことのように紡がれた言葉にハボックは驚いて腰を浮かす。そんなハボックをロイはじっと見つめて言った。
「そうと判っていたらここには来なかったか?雨に閉じこめられてしまうかもと判っていたら」
「えっ?いや、そんなことは……」
 聞かれてハボックは慌てて首を振る。ポスンとソファーに腰を下ろして言った。
「マスタングさんにオレが作ったの食べて貰いたかったっスから、来てよかったっス」
「そうか、なら良かった。まあ、いつもの雨ならそろそろやむさ。お茶でも飲んでのんびり待ったらいい」
「はい」
 にっこりと笑ってカップに口を付けるハボックを、ロイはうっとりと見つめていた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手もとっても嬉しいですvv

ちょっと間が空きましたが「吸血鬼」です。なんだかんだで四つも吸血鬼話書いてて、いい加減話が交錯しそうだよ(苦笑)でも、楽しいからいいや(自己満足)

昨日のハボロイの日には拍手を沢山ありがとうございました!淋しくお祝いせずにすんで嬉しかったです〜vそしてリクもありがとうございます!いや、今年あたりは本当にリクないんじゃないかと思っておりましたので、喜びも一入でした(笑)頂いたリクは以下の通りです。

no.85 花火を見ながらラブラブなハボロイ。二人手を繋いで真っ赤になるロイ
no.86 ハイムダール国物語の設定で親睦目的の為カウィルに里帰りする話
no.87 裏商売をしているハボとそんなハボに一目惚れしたロイ。
    ロイがハボックを軍に引き入れ最後はハッピーエンド。R指定で

どれも面白そうなリクですーvふふふ、嬉しい〜v今書いているのが終わり次第頑張って取り掛かっていきますので、今少しお待ち下さいね。

そうそう、前回火曜日の更新で「初回衝撃」が終わったのでロイハボはキリリクに取り掛かろうと思っていたのですが……。すみません、モチーフになる「人魚姫」読んでから考えますのでもう少しお時間下さい(汗)まるっとお話をなぞるのは無理ですが、やはり話読まずに書くわけにいかないので……。その間繋ぎというわけではありませんが、pearlに放り込んだままずっとcoming soonになっていた「親友疑惑」をアップします。これ、書き終えたまま放置してあったんですが、見てみたら2007年8月に書いたヤツだった、5年も前じゃん(爆)読み返したら昔の私が垣間見えて凄く恥ずかしかったんですが、今更書きなおすのもなんなので多少訂正加えただけでそのままアップします。一応五章で完結の予定です。恥ずかしいけどあまり突っ込まずに楽しんで頂けたら嬉しいですー(汗)

以下、拍手お返事です。

JOEさま

ハボロイの日、楽しくお過ごしになりましたか?やはりハボロイの日だと思うといつも以上にドキドキしますよねv

りみ吉さま

こんにちは、はじめまして。いつも遊びに来て下さってありがとうございます。そしてこのたびはリクもありがとうございます!わーい、ハイム〜vこのお話、自分的にもすっごく楽しんで書いていて気に入っている話なのでリクして頂いて凄く嬉しいですvほのぼのラブにするか事件が起きるかはもう少し考えますが、頑張りますのでよろしくお願いしますねv

こんな接触は初めてです の方

いつも遊びに来て下さってありがとうございますvそしてリクもありがとうございますー!ありがたく承らせて頂きますv裏商売……どんな商売させようかしら(笑)おお、久しぶりのR指定ご希望!久しくハボロイエロから遠ざかっているのでちょっぴり心配ですが頑張らせて頂きますね。お仕事の息抜きになっているのならとっても嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願い致しますv

風汰さま

お久しぶりです〜vええと、流石にハボロイの日にロイハボリクはちょっとかも〜(苦笑)でも、風汰さま、だいぶ前に50万ニアピン踏み抜きでリクお受けすることになってませんでしたっけ?たしかまだリク頂いてないと思いましたので、よろしければそちらでお受けしますけどどうでしょう?私も誘いうけしつつ主導権を握られているハボック書きたいですし!(笑)もしよろしければそんな感じでリク受けさせて下さいませv

おぎわらはぎりさま

おお、七夕祭りだったんですね。楽しそうですーv斜め度合い、あれくらいなら何とか(笑)頑張って書かせて頂きますねv「鈍騎士」あはは、確かに据え膳ですね、とりあえず可愛らしくキスまでにしておきました(笑)ああ、熱中症は本当に怖いです。何年か前の夏コミは本当に暑くて、東から西への通路が冗談抜きで死ぬほど暑かったのを覚えています。列が密集してて全然動かないの。私はたまたま端にいたのでよかったですが、あれ、列の真ん中辺りにいたら確実に熱中症になってたと思いますよ。どうぞ気をつけてお出かけ下さいね。
2012年08月07日(火)   No.221 (カプなし)

鈍感な騎士と素直でない姫君の話
ハボロイ風味

「今日がなんの日か知ってるか?ハボック」
 書類が堆く積まれた机の隙間にコーヒーのカップを置けば、突然そんな事を尋ねられてハボックは首を傾げる。じっと見つめてくる黒曜石にどぎまぎしながらハボックは答えた。
「今日がなんの日か……ですか?」
 ええと、とハボックは頭をフル回転させる。瞬きもせずじーっと見つめられれば頭が沸騰するようで何も浮かんでこなかった。
「すんません、全然判らないっス」
 ハボックはシュンと俯いて答える。するとため息が聞こえてハボックは益々身を縮めた。
「今日はお前と私の日だそうだ」
「は?」
 全く想像だにしなかった答えにハボックは思わず俯けていた顔を上げてロイを見る。そうすればロイは眉を寄せて答えた。
「だから、お前と私の日」
「なんスか、それ」
 反射的に聞き返してしまってからハボックは「しまった」と首を竦める。ロイは不愉快そうな顔でハボックを見て言った。
「ハボックの8とロイの6でお前と私の日なんだと」
「はあ……」
 誰がそんな日を決めたのだろう。ハボックは首を傾げて考える。
「えと……それが?」
 ロイがわざわざそんな事を言うのだ。何か自分には計り知れない理由があるのだろうと恐る恐る尋ねてみれば、ロイは益々眉間の深めてため息をつく。
「もういい」
 そう言って追いやるように手を振られてハボックは失礼しますと呟くと執務室を出た。そのまま司令部の大部屋を突っ切って廊下に出る。俯いたまま少し歩いて給湯室に入ったハボックはゴンと壁に額を打ちつけた。
「またため息つかれちゃった」
 壁に額を押しつけたままハボックは呟く。ハアアと深いため息をつくと頭を支点にゴロリと回転して壁に寄りかかった。
「なんですぐ怒らせちゃうかなぁ……」
 怒らせるつもりなどないのだが、ロイと喋っていると何故だかロイが不機嫌になっていくのだ。大概最後はああやって追いやられて、ハボックはションボリと肩を落としてロイの前を辞するのが常だった。
「あーあ」
 実のところハボックはロイの事がずっと前から好きだった。初めてロイが赴任してきた時から凛とした美しさとその強さに惹かれてはいたが、ある時偶然見たロイの笑顔に一発でやられてしまったのだ。
「またあの笑顔見たいなぁ」
 気持ちを伝えられないまでもせめてと思うものの、いつだってハボックに向けられるのは眉間に皺を寄せた顰め面だ。
「ま、どうせオレなんてあの人に気に入られるわけないけどさ」
 幾ら好きでも結局は高嶺の花に過ぎないと、ハボックはもう一度ため息をつくと肩を落として給湯室を出た。

「大佐、この書類、急ぎでサイン――――、っと」
 ノックもそこそこに執務室の扉を開けたハボックはソファーで微睡むロイの姿に気づいて言葉を飲み込む。そっと扉を閉め足音を忍ばせてロイに近づき、ソファーに横たわるロイの顔を覗き込んだ。スースーと寝息を立てるロイのどこか幼い無防備な顔にハボックは笑みを浮かべた。
「ここんとこ忙しかったもんな」
 ロイは決して疲れた顔は見せないし休みたいとも言わない。だが、疲労が溜まっていない筈はなく、ハボックは少しでもロイを休ませてやりたくて、コーヒーを入れたり過密なスケジュールの隙間に少しでも休めるようさり気なく気を配ってやったりしていた。
「今日も会食入ってたっけ……」
 ハボックはそう呟いて大振りな机に近づくとスケジュール帳を手に取る。パラパラと捲り会食の相手を確かめ先に伸ばしても問題ないと判断すると、電話を入れ日にちを変更して貰うよう申し入れた。
「これでよし」
 ハボックは受話器を置いて言うと肩越しにロイを見る。相変わらず寝息を立てているロイを見つめて優しい笑みを浮かべた。
「まったく、働き過ぎなんだから」
 ハボックはそう呟いてロイに近づく。うそ寒いのか体を縮めるのを見て、上着を脱ぐとそっとかけてやった。ソファーの側に膝をつきロイの顔を見つめる。額にかかる黒髪を指で払いながら無防備な顔に囁いた。
「そんな顔で寝てると襲っちまうっスよ……?」
 好きで堪らないのだからと耳元に唇を寄せて囁いた、その時。
「だったら襲ってみろ」
 そう声が聞こえてハボックはギクリと身を強ばらせる。恐る恐る視線を向ければ黒曜石の瞳と目が会って、ハボックは飛びすさった。
「うわァッ!」
 大声で叫んだハボックは飛びすさった拍子に尻餅をつく。ゆっくりと体を起こしてソファーに座るロイを見つめてパクパクと口を開いた。
「起き、起きて……ッ」
 てっきり眠っているとばかり思っていたから口にした想いだったのに。
「起きてたら都合が悪いのか?」
「あ……いや、その……」
 しどろもどろになりながらハボックは目をさまよわせる。キュッと唇を噛んでハボックは立ち上がった。
「その……すんませんでした、まさか起きてるとは思わなかったから」
 すみませんとハボックは頭を下げる。体を二つ折りにする程深々と頭を下げるハボックの耳にロイの声が聞こえた。
「起きてると思わなかったから言ったのか?何故?」
「え?いや、だって」
 言えるわけないとハボックが言おうとするより早くロイが大声を張り上げる。
「何故だッ?なんで起きてる時には言わないんだッ!いっつもそんな熱い目で見つめてくるくせに、なんでッ!」
 そんな風に怒鳴られてハボックは言いかけた言葉を飲み込む。驚いたように見つめてくる空色に、ロイは顔をくしゃくしゃと歪めて言った。
「いつ言ってくれるのかとずっと待ってるのにお前ときたら見つめてくるばっかりでッ!言いにくいなら切欠になるようにって今日はお前と私の日だて言っても素知らぬ顔だしッ!一生懸命気持ちが伝わるようにと見つめてもいつだって困った顔で目を逸らされてッ、私がどんな気持ちでいたと思うんだッ!襲いたいなら起きてる時に襲えッ、好きと言うなら起きてる時に言えッ!!」
 一気にまくし立てるロイをハボックはポカンとして見つめる。何も言わずに見つめてくるハボックに、ロイは苛々として言った。
「何とか言えッ!!」
 そう怒鳴られてハボックは目を瞬かせる。「ええと」と呟いてハボックは言った。
「てっきり嫌われて睨まれてるんだとばかり思ってたっス」
 ポリポリと頭を掻いて言われてロイはグッと言葉に詰まる。
「どうせ私は目つきが悪いからなッ」
 プイと顔を背けて言うロイの瞳が涙を滲ませているのに気づいてハボックは目を見開いた。唇を噛んで目に涙を浮かべながらも精一杯強がって見せるロイを見ていれば不意に愛しさが込み上げる。ハボックはソファーの側に跪くとロイの手を取った。
「オレとアンタの日って言うのがそう言う意味だったとは思いませんでした。アンタが見つめてくる意味も」
「ちゃんと考えないからだ」
「すんません」
 ロイにしてみれば精一杯の努力だったに違いない。そっぽを向いたまま自分の方を見てくれないロイの手を優しく撫でながらハボックは言った。
「今日はオレとアンタの日なんスよね?だったらまだ間に合うっスか?」
 そう言えばロイがハボックを見る。不安そうに見つめてくる黒曜石を見返してハボックは言った。
「アンタが好きっス、ずっと好きだった……」
「……待たせ過ぎだ、さっさと言え、馬鹿」
 頬を赤らめてそう返す素直でない唇に、ハボックは笑ってそっと口づけた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手もとっても嬉しいですv

いよいよハボロイの日ですねッvそんなわけでハボロイです。タイトル思い浮かばなかったので苦し紛れなタイトルですみません(苦笑)少しでもラブい気分になって頂ければ嬉しいですー。
でもって、本日限定で拍手リク受け付けております。お待ちしておりますので、宜しければリクしてやって下さいませーv

以下、5日拍手のお返事です。

菜ノ花さま

わーい、頻繁に通って過去作も新作も読んで下さっているとは、照れくさいけど嬉しいです〜/// 花火、綺麗でしょう?珍しく花火の素材を見つけたので嬉しくて早速使ってしまいましたv「深淵に偲ぶ恋」うふふ、久しぶりに真っ当な恋愛ネタなので是非楽しんで頂けたらと思っています。わ〜、ハイムダール!あれはかなり楽しんで書いていたので読み返して頂けるのは本当に嬉しいです!ヒュハボ、エドハボと相変わらず節操のないサイトですがお楽しみ下さって幸せですv本当に暑い日が続きますね。菜ノ花さまもお体お気をつけてお過ごしください。

おぎわらはぎりさま

おーい、フライングですよ、ハボロイの日は今日です(笑)でも、リクありがとうございます!承りました、最終兵器目指してお話考えますねvイベント準備着々と進めてらっしゃいますね。私はどうしようかなぁ……、のんびり覗きにいこうかしら。それじゃあ欲しい本はなくなってるかな(苦笑)「胸」昔は結構ヘンタイ入った変大佐ばかり書いてましたが、ちょっと久しぶりでしたね(笑)ホント暑い日が続くと脳みそ発酵して妄想も爛れてきますよ(笑)

なおさま

あはは、確かに桃と言えばお尻ですよね。実はこれ、最初は桃話じゃなかったんですよー。汗に濡れたシャツが胸に貼りついて…みたいな話にするつもりでした。でも、桃買いに行った事にしたら話がこんな方に曲っちゃって(苦笑)まあ、肌の色合いが桃って事で、ハボックが甘ければオッケと言う事で楽しんで頂ければ〜(笑)暴走列車と化した妄想で夏を乗り切りましょう!
2012年08月06日(月)   No.220 (ハボロイ)

13.胸
身体の一部で20題  13. 胸

CP:ロイハボ(R18)

「あーっ、あっつ〜〜ッ!!」
 リビングの扉がバンッと開いたと思うとハボックが飛び込んでくる。空調がきいた涼しいリビングでのんびりと本を読んでいたロイが驚いて顔を上げれば、ハボックがTシャツの襟を引っ張ってシャツの中にパタパタと風を送り込んでいた。
「もー、外、半端ないっスよ。なんスか、この暑さ!」
 そう言ってハボックが近づいてくると部屋の温度が三度ほど上がったようで、ロイは思い切り顔を顰めた。
「シャワー浴びてこい、お前、凄い熱持ってるぞ」
 寄るな、暑いとそんな事を言われて、ハボックはムッと唇を突き出す。
「アンタが桃食いたいって言うからわざわざ買いに行ったんでしょ!礼の言葉があってもいいんじゃないんスか?」
「あー」
 確かに突然桃を食べたいと言いだしたロイの我儘をきいて暑い中買い物に言ってくれたのは確かだ。垂れた目を吊り上げて見下ろしてくるハボックを見上げたロイは、本を脇に置くとソファーの上に投げ出していた足を下ろした。
「悪かった。桃、剥いておくからシャワー浴びてこい」
「ホント?じゃあちょっとさっぱりしてきます」
 ロイが言えば簡単に機嫌を直したハボックは、抱えていた桃の袋をテーブルに置いてリビングを出ていく。ロイはクスリと笑って袋を取り上げ、キッチンへと入っていった。
 熟れた桃はナイフを使わなくてもツルツルと簡単に皮が剥けていく。剥けば一層香りが強くなって、ロイは甘い匂いに目を細めた。切り分けた桃を皿に盛りリビングに出れば丁度シャワーを浴び終えたハボックが戻ってくる。ジーンズだけを穿きシャワーの滴を身に纏いつけたハボックは、甘い匂いに目を輝かせた。
「すっげぇいい匂い!」
 ハボックはそう言ってソファーに腰を下ろす。向かい合って腰を下ろしたロイはハボックの方に皿を押し出して言った。
「ほら、買ってきたのはお前なんだから」
「いいんスか?」
 そう尋ねながらも既にフォークを突き刺しているハボックにロイは苦笑しながら頷く。最初の一口を放り込んでハボックは満面の笑みを浮かべた。
「甘〜い」
「どれ」
 いかにも旨そうなハボックの言葉にロイも桃を口に運ぶ。鼻に抜ける甘い香りにロイも笑みを浮かべた。
「本当だ、凄く甘いな」
「でしょ?」
 その後は無言のまま桃を食べていく。皿に山盛りあった桃はあっと言う間になくなって、二人は満足げなため息をついた。
「あ〜、買いに行ってよかったー」
「私が食べたいと言ってよかっただろう?」
「なんスか、それ」
 まるで桃が甘かったのが自分の手柄だというかのようなロイにハボックが呆れた顔をする。ハボックはうーんと伸びをするとソファーの背に両腕を広げてのせた。
「なんか暑い中歩いて、シャワー浴びて、甘い桃食ったら眠くなってきた」
 ハボックはそう呟きながら目を閉じる。そのままの格好で忽ちスースーと寝息をたて始めるのを見て、ロイはクスクスと笑った。
「子供だな、まったく」
 そう言って空になった皿を片づけようと立ち上がったロイは、寝息にあわせてゆっくりと上下するハボックの胸を見て動きを止める。持ち上げた皿をテーブルに戻すとハボックの隣にそっと腰を下ろした。
 鍛えられた胸は綺麗に筋肉が乗っている。女性とは違う厚く盛り上がった胸は陽に当たっていないせいで白く、それを飾る乳首の薄い色合いが食べたばかりの桃の色を思わせた。
「こっちの方が旨そうだ」
 そう呟きながら無意識に手を口元に寄せれば、皮を剥いた時に移った桃の甘い香りがする。その甘い匂いににんまりと目を細めたロイは、緩く上下する胸に手を伸ばした。
 キュッと乳首を摘み、親指と人差し指の腹でグリグリと捏ねる。そうすれば、ハボックの躯がピクンと震えて眉が切なそうに寄った。
「ん……」
 直ぐには目を覚まさないのをいいことに、ロイはもう一方の胸にも手を伸ばし乳首をグリグリと捏ねる。テーブルに置いた皿に手を伸ばすと、皿に残っていた桃の果汁を指で掬いとり胸に塗りたくった。
「……え?」
 その頃になってハボックが漸く目を開ける。ごく間近にロイの黒曜石があることに気づいて、目を丸くした。
「え……?なに……」
 寝惚けて直ぐに反応出来ないハボックをロイはソファーに押し倒す。皿を手に取り桃の果汁をハボックの胸に垂らした。
「ッ?!ちょ……っ、なにしてるんスかッ?!」
 流石にギョッとしたハボックがロイを押し返そうとしたものの、もうしっかりとハボックを押さえ込みにかかったロイに簡単に抵抗を封じられる。目を見開いて見上げてくるハボックにロイはにっこりと笑って言った。
「いや、もう一度桃を味わおうと思ってな」
「はあッ?アンタなに言って……あっ!」
 桃の果汁を塗りたくった胸をグッと鷲掴まれて、ハボックは顔を顰める。ロイはツンと尖った乳首をペロペロと舐めて言った。
「ん……甘い、いい香りだ」
「アッ!……アンタっ、なに腐れたことして……ッ、ひゃんッ!!」
 乳首ごと胸を捏ねられ舌でベロベロと舐め回されてハボックはビクビクと震える。何とか押し返そうとすれば本格的に圧し掛かってきたロイに唇を塞がれた。
「んっ……んんッ!」
 甘い舌で口内を嬲られてハボックは嫌々と首を振った。
「甘いだろう?お前の胸も同じ味がする」
「馬鹿言ってんじゃね……ッ、アアッ、噛むなッ!!」
 クスクスと笑って言うロイに胸にカプリと噛みつかれてハボックは悲鳴を上げて胸を仰け反らせる。仰け反れば自然突き出される胸にロイは舌を這わせて言った。
「なんだ、もっとシて欲しいのか?」
 ロイは楽しそうに言いながらハボックの胸に幾つも噛み痕をつける。そのたびにビクビクと震えるハボックの胸から沸き上がる甘い香りにロイは目を細めて笑った。
「本当、買いに行って貰ってよかったよ」
「馬鹿ァ、やめ……っ、んぅッ!」
 甘い香りと共に下腹にも甘い疼きがたまっていく。真夏の午後、部屋の中に桃の甘い香りと共にハボックの甘い喘ぎ声が広がっていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、ありがとうございますv

身体お題で「胸」です。明日は何を書いてもハボロイなので今日はロイハボで(笑)しかし、もっと違う話を書くつもりだったんですが、なんか書いていたらいつの間にか例によってヘンタイなロイになってました。どうしてこうなるかなぁ(苦)

そんなわけで?明日はハボロイの日ですね。以前の日記にも書きましたが、ハボロイの日限定で拍手リク受付致します。もし、リクしてやってもいいよ、という気の長い方(←ここがポイント)がいらっしゃいましたらリク、お待ちしておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

以下、三日までの拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

ふふふ、確かに「みんなに向ける笑顔」って言ったらハボのイメージかもしれませんね(笑)そうそう、大佐に苛められて泣いちゃったり、最初はフツーに苛められてブレダに泣きつき、それを見た大佐に更に18禁仕様で苛められるんですよ、きっと(爆)私的には北島より入江の方が好みの身体です(殴)外人選手の体を眺めながら「ハボならきっとこんな感じ」と妄想するのも楽しいですよ(爆)

なおさま

「初回衝撃」そうですね、出来れば続き書きたいなと思っています。反抗期なハボック、押し倒したいですし(笑)指先はやっぱりロイですかね、ふふふ、エロくさい(笑)ホント妄想って楽しい!暑い季節にはしっかり妄想して元気だしましょうねv
2012年08月05日(日)   No.219 (ロイハボ)

12.指先
身体の一部で20題 12. 指先(R15)

 彼の髪に触れる。存外に柔らかい髪を指先で梳いて、悪戯に引っ張って。
 彼の頬に触れる。頬に残る涙の跡を指先で拭って、もっと濡れさせたくて。
 彼の指に触れる。拒もうと振り払おうとする指を指先で絡め取って唇を寄せて。
 彼の肌に触れる。抵抗する躯を押さえ込んで白い肌に指先を這わせて。
 己の想いなどこれっぽっちも気づかずに、皆に向ける笑顔と同じそれを向けてくる彼が赦せなくて。
 己の欲望など微塵も疑わず警戒心の欠片も抱かない彼が可笑しくて。
 だから指先で触れてみる、その身の自由を奪って、髪に頬に指に肌に。乳首に臍に楔に――――そして慎ましやかな蕾に。
 指先が触れる度灯る熱が信じられないと目を見開くのを見れば、もっともっと触れたくなる。刺激に堅くなった乳首を指先で摘んでは押し潰す。逃れようと身を捩る様を楽しむように指先て臍を擽る。叢に身を潜めようとする楔を引き出して、その先端を指先で押し開く。そして。
 双丘の狭間で息づく蕾を指先で柔々と撫でれば強張る躯。涙の滲む瞳がやめてくれと訴えるのに構わず指先をねじ挿れ、拒むようにキュンと窄まる蕾を強引に押し開いて指先を沈めていけば絡みつく熱い肉襞。グチグチと動かす度切れ切れに上がる悲鳴。
 この指先が彼の躯に触れる度様々に応えてくれるのが嬉しくてやめられない、やめてやれない。
 指先で。
 この指先で。

 愛しい彼の全てを支配する為に、今夜も指先を伸ばした。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます、嬉しいです〜v

身体お題です。前回「掌」をあんな感じで書いたので、今度は攻め→受けな「指先」です。どうぞ、お好きなカプで思いっきり脳内妄想してやって下さい(笑)

それにしても毎日暑いですね。言うまいと思っても気がつけば「暑い」って言ってます。一度「暑い」と言うたびに100円貯金することにしたらアッと言う間に溜まりそうな気がする……。
そんな暑い中、火曜日は東京ドームに中日戦を見に行ってきました。Y新聞が配ってる2階D指定席の招待券を父が送ってきて、息子が行くと言うんで行く事にしたのですが、これ、当日指定席券に引き換えなきゃいけないんですよね。2時から引き換え開始だったので1時半頃いけばいいかと1時20分頃行ったら……夏休みなめてましたorz 既に長蛇の列で、しかも私が並んだところは建物の陰にもならない思いっきりの炎天下。もう死ぬほど暑くて時間潰しに携帯で日記書く気にもならず、ただひたすら日傘の小さい陰に身を潜めて耐えておりました。1時20分頃から並んで結局券を引き換え終えて時計を見たら2時50分頃。ホント冗談抜きで熱射病で倒れるんじゃないかと思いましたよ(苦笑)長蛇の列だったんで立ち見かと恐れていたものの何とか席も確保でき、その後は近くのデニーズに飛び込んでアイスカフェオレとフルーツナタデココで一息入れました。こんなにおいしいカフェオレは初めてだったよ(笑)息子が部活終わってくるまでそのままそこで「初回衝撃」の続きを打ち、息子が来てから早めの夕飯を食べていよいよドームへ。天井近い席だとは思ってたけど、いや〜、前の座席に人が座ってないと落ちそうで怖い(苦笑)でも、球場全体がよく見えてよかったですけどね。三塁側でも巨人ファンが多くて「同胞がいない」と言いつつ応援バットを叩いて応援してる息子を見てたらすっごく楽しそうだったので、思わず自分もバット買ってきて応援してしまいました(笑)いやだって、井端の応援とかしてみたかったんだもん。井端の応援は最初「オー、オオオ、オー」と掛け声から入るので、初球打ちとかされてしまうと応援する暇がないヤツだとは知っていたのですが、ああいう風にバットを突き出して「オーオー」言っているとは知りませんでした。試合も中日勝ったし、楽しかったですよー。暑い中並んだ苦労が報われました(笑)

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

ハム、茹でても作れるんですね。茹で豚とかになるんじゃないんだ、ハムなのね(笑)ハボならきっちり燻製で作ってくれそうですv髭、いや、仕事なんて全部放り出して部下も振り切って来てると思いますよ。今頃セントラルでは部下たちが「中佐〜〜〜ッ、またですかーーーッッ!!」って叫んでると思います(笑)キングはもうシたい放題ヤりたい放題です、なにせキングですから(笑)「そういう人々」このロイはやっぱり「猫」ですよー。なにせ夜一さん状態の“まんま猫”ですから(笑)私的にはハボロイのロイは「黒猫」ロイハボのロイは「黒豹」だと思っております。親猫の代わりに子猫育てる大型犬!いやまさしくそうかも(笑)「初回衝撃」ようやく終わりました。続編書かないとちゃんと懐いてないですよねぇ(苦笑)そのうち書くものなくなったら書きたいです、今はほら、宿題溜まってるから(笑)

なおさま

いつもコメント沢山ありがとうございますーvふふ、やはり同一人物でしたか(笑)なんか楽し嬉しいですvロイの机の引き出し!凄い、三段全部お菓子でいっぱいなんだ!(笑)確かにクッキーは嵩張りそうですから一番下の大きいところに缶がいっぱい入ってそうです。いいなぁ、それ、そのうちなんかのシーンで書きたいですよ(笑)
2012年08月02日(木)   No.218 (カプ色あり)

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  Photo by 空色地図

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