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2012年11月の日記

2012年11月27日(火)
薔薇2
2012年11月22日(木)
薔薇
2012年11月20日(火)
新・暗獣35
2012年11月15日(木)
妖5
2012年11月10日(土)
パワー!20
2012年11月07日(水)
新・暗獣34
2012年11月05日(月)
合成獣15

薔薇2
CP:ロイハボ(R15)

「ありがとうございました」
 ハボックはそう言って花束を手に店を出て行く男の背に向かって頭を下げる。体を起こしてホッと息を吐くと、ラッピング用のリボンのロールを引き出しにしまった。
「あ」
 そうすれば作業用の机の端に本が置いてあることに気づく。どうやらさっきの客が、支払いの時に置いて忘れていったようだった。
「まだ近くに……、いないか」
 慌てて外に飛び出し左右を見回したものの、どこか角で曲がったのか男の姿は見えない。ハボックはため息をつくと店の中に戻った。外から戻れば花の香りが強く感じられる。汚してしまわないよう本を店の棚にしまったハボックは、足をもつれさせて縋るように作業机の端を掴んだ。店の中に漂う花の香りが躯に纏わりつき、ハボックの背をぞわりと震わせる。そんな風に感じる理由に思い至って、ハボックはキュッと唇を噛んだ。
 昨夜、呼ばれるままロイの家を訪れ躯を重ねた。それだけなら恋人同士である二人なのだからなんら問題はない。問題なのはその時使われた“道具”だった。
『お前には薔薇の花がよく似合う』
 ロイはそう言ってハボックが育てた新種の薔薇をベッドの上にばらまいた。それだけならまだしもあろう事か、薔薇の花びらをハボックの後孔に押し込んだのだ。嫌がるハボックを押さえ込み芳しい香りを放つ花びらを次々と押し込んだ蕾に、ロイは己の剛直を突き入れ滅茶苦茶に掻き回した。激しい動きに押し込まれた花びらが潰れ、ベッドにばらまかれた薔薇以上に強い香りを放つ中、ハボックはその香りに酩酊したように快楽に溺れあられもない声をあげまくってしまった。行為の後は後で、ロイの長い指で花びらを掻き出されればそこでまた悶えさせられることになり――。結果、今ハボックは自分の店に並べられた薔薇の香りで躯が疼いてしまうという、退っ引きならない状態に陥ってしまっていた。
「オレの薔薇であんな事するから……っ」
 今はここにいない男を責めるように言っても疼きが収まるわけではない。緩く頭を振って纏いつく香りを追い払おうとしてみたが、所詮無駄な努力でしかなかった。
「ヤバい……」
 薔薇の香りを意識しないようにと思えば思うほど、香りは強く甘く漂ってくる。気がつけばボトムの中で楔がキチキチに張り詰め、蕾が物欲しげにヒクついていた。
「くそ……」
 ハボックはヨロヨロと店の奥へと入る。扉を開けて普段仕入れた花をより分ける作業に使っている小部屋に入ると、倒れるように椅子に座り込んだ。
「こんなところで……」
 駄目だと頭の片隅で思いながらも手はベルトを緩め下着ごとボトムをずり下ろしてしまう。押さえ込む物をなくしてブルンと立ち上がった楔を片手で握ると、ゆっくりと扱きだした。
「あ……ふ……」
 ほんの数回扱いただけでトロトロと溢れた蜜が滴り落ちる。楔を辿り双丘の狭間へと流れた蜜が蕾を濡らせば、ハボックは空いた手の指をグッと潜り込ませた。
「アアッ!」
 喉を仰け反らせてハボックは喘ぐ。花の香りが満ちる小部屋で、ハボックは夢中になって楔を扱き、蕾を掻き回した。
「んんッ!あっあっ……も、イく……ッ、イ――」
 靴の踵で床を蹴り躯を突っ張らせたハボックが今まさに果てようとした時。
「なんかスゴイ事やってんな、アンタ」
「ッ?!」
 聞こえた声にハボックはギクリと躯を震わせる。引き瞑っていた目をゆっくりと開ければ、部屋の扉のところに立って面白そうに己を見下ろす男の姿が見えた。
「本を忘れたから戻ってきて、店の中に姿が見えなかったから入ってきたら……まさかこんな面白いものが見られるなんてなぁ」
 返す言葉もなく凍りついたまま目を見開くハボックに男はゆっくりと近づいてくる。どうやら途中で本を忘れた事に気付いて戻ってきたものの、本もハボックも見当たらなくて勝手に奥まで入ってきたらしかった。
「ふぅん、アンタってソッチの人だったんだ。なに?男がいなくて躯持て余してんの?」
 男は言いながらハボックのすぐ側までくると舌なめずりする。しどけなく開いたハボックの白い内股に手を伸ばしてきた。
「でっ、出てけッ!!」
「そんな事言うなよ、アンタ、俺の彼女より色っぽいな。欲しいんだろ?指よりデカいもの挿れてやるぜ?」
 男はそう言ってハボックの腿に触れる。ビクッとハボックが震えるのを見て、男はニヤリと笑うと己のズボンを緩めた。そうしていきり立った楔を取り出す。赤黒く光る男根を軽く扱くと、蕾に指を埋めたままのハボックの手首を掴んだ。
「ほら、こっちの方がいいだろ?」
「や……、アッ!!」
 男はそう囁いて強引に蕾から指を抜く。咥える物がなくなって欲しがるように蠢く蕾を目の当たりにして、男は息を荒げてハボックに圧し掛かってきた。
「やだッ、来るなッ」
「遠慮すんなって、欲しいんだろ?」
 男は興奮に掠れた声で囁くとハボックの脚を押し上げ腰を突きつける。必死に押し返そうとするハボックに乗り掛かるようにしてグッと楔を押し込んだ。
「――――嫌ッ!」
 そそり立った男の剛直がハボックの蕾を押し開き中に押し入ろうとする。ぬめりを帯びた先端がぬぷりと音を立てて入り込んで、ハボックは悲鳴を上げた。
「嫌ッ!イヤだッ!やめろッ!」
「大人しくしろって……欲しかったんだろ?――――くれてやるよ」
男はハアハアと息を弾ませて強引に体を進めようとする。押し入ってくる凶器を拒もうと、ハボックは必死になって身を捩った。
「やだァッ!」
「暴れるなって」
 男の手がハボックの腰をがっちりと掴みゆっくりと猛る楔が押し入ってくる。もう駄目だとハボックが目をギュッと閉じた時、不意に圧し掛かってくる重みがなくなった。
「そこまでにして貰おうか」
「うわッ、なにしやがるッ!」
「……え?」
 驚いてハボックが目を開ければ、ロイが男の首根っこを掴んでハボックから引き剥がしている。ロイは男の襟首を掴むとその顎を思い切り殴った。
「グハッ!」
 殴られて床に倒れ込む男の脚の間にロイはダンッと足を踏み入れる。あと数ミリで股間を踏み潰されそうになって、男は情けない声を上げた。
「次は踏み潰す」
「ヒィィッ!」
 低いロイの声に本気を感じ取って、男は這うようにして逃げ出していく。ロイはフンと鼻を鳴らすとハボックを振り向いた。
「……マスタングさん」
「一体どうしてあんな――――薔薇の香りにあてられたか」
 ハボックの表情から大方の事情を察したロイにそう言われてビクリと震えたハボックが、涙に濡れた瞳でロイを睨み上げる。その視線に苦笑してロイが空色の瞳に手を伸ばせば、ハボックがその手を払いのけた。
「マスタングさんの馬鹿っ」
「ハボック」
 ロイはボロボロと泣き出すハボックの手を掴みその身を抱き締める。罵る言葉を紡ぐ唇を塞いで深く貪れば、ハボックの躯から力が抜けていった。
「……二度と他の奴に触れさせるな」
「ん……ん……マスタングさ……」
 縋りついてくる躯を組み敷いて、ロイはゆっくりとハボックの中に己を沈めていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手もありがとうございます。

この間の花屋ハボックの続きです。前回のを書いた時点でこれはもうネタとしてあったので書いてみました〜。


元々自家発電が主体でやってきましたが、最近充電できる萌え補給ポイントが限りなくゼロに近くなって、サイトを続けて行けるだけのテンションを保っていられるのかなんだか自信がなくなってきました……。ハボックの事は大好きだし書きたい話も沢山あるのですが…自家発電するにもガス欠しそう(苦)とりあえず充電努力中。発作的にサイト削除だけはしないよう気をつけたいと思ってますorz


以下、拍手お返事です。

なおさま

前回に続いて今回は微?エロです(笑)やっぱりロイはエロオヤジですか(爆)ええもう、じっくり念入りに掻き出してくれました。おかげですっかりパブロフの犬状態(笑)人気の花屋、ウケちゃいましたよ(笑)「セレスタ」はまだまだハボックには苦労して貰おうと思ってます(苦笑)パワーの中尉がいたら力技で解決してくれそうですよねv
2012年11月27日(火)   No.273 (ロイハボ)

薔薇
CP:ロイハボ(R18)

「いらっしゃいま――マスタングさん!」
 ロイが小さなフラワーショップに入ると花の手入れをしていたハボックが振り向く。ロイの姿を認めてパッと顔を輝かせた。
「こんにちは、今日もデート用の花束っスか?」
 顔を見た途端そんな事を口にするハボックにロイは眉を顰める。不機嫌を隠さずその表情に表してハボックを睨んだ。
「どうして私がデートなぞするんだ」
 ロイがそう言うのも、半月程前、ハボックを漸く口説き落として二人は所謂恋人同士というものになったからに他ならない。ハボックはロイの不機嫌の理由を察しながらも呆れたように言った。
「友達と食事に行くだけって、相手はそう思ってないんじゃないっスか?」
 ロイのような男に満面の笑みで花束を差し出されエスコートされたらどんな女性でもその気になってしまうのではないだろうか。
「女性に興味はない。私が興味あるのは――――知っているだろう?」
 唇に指先を当てニヤリと笑う黒曜石にハボックは顔を赤らめる。プイと顔を背けると紅くなった顔を誤魔化すように花に手を伸ばした。
「どの花で作りますか?」
 そう聞かれてロイは店の中を見回す。ガラスケースの中一際鮮やかに咲き誇る薔薇を指差して言った。
「あの薔薇を全部」
 ロイが指差す先にある薔薇を見てハボックは顔を曇らせる。その薔薇は長年かけてハボックが漸く咲かせる事に成功した新種で、ロイとの初めての夜にハボックからロイに贈った薔薇だった。
「全部って……結構デカい花束になるっスよ?女性には大きすぎるんじゃないっスか?」
 漸く咲かせた新種だからというだけでなく特別な思い入れのある薔薇を、友人とはいえ女性に贈るのかと胸の奥をチリチリと灼く嫉妬の焔を押し隠してハボックは言う。幾つもの有名企業をその傘下におさめる一大企業グループのトップであるロイには、高い新種の薔薇の腕に抱えきれない程の花束の値段さえも大した額ではないだろうが、それでもやはり花束にするには適当なボリュームというものがあると主張するハボックに、ロイは軽く肩を竦めて言った。
「構わん、いいから作ってくれ」
「……判りました」
 言い出したらきかない相手なのも判っている。ハボックはため息混じりに答えると活けてあるバケツごと薔薇をケースから取り出し、花束を作り始めた。手早く棘を落とし少しずつ形にしていくハボックの様子を、ロイは唇に薄く笑みを刷いて見つめる。やがて薔薇は大きく艶やかな花束に姿を変えて、ハボックは最後に大きなリボンを結びつけるとロイに差し出した。
「はい、どうぞ」
「車まで運んでくれ」
 花束を受け取らずそう言うロイに、ハボックは眉を顰めたものの何も言わず外に停めてある車に向かう。助手席に花束をそっと置いていると、後からついてきたロイがハボックに身を寄せるようにしてその耳元に囁いた。
「仕事が済んだら家に来い」
「えっ?でもデートなんじゃ」
「待ってる」
 ロイは囁きを落とすと同時にハボックの耳朶を甘く噛む。そうすればビクッと震えたハボックがロイを突き飛ばすようにして店に駆け込んだ。
「いっ、いらっしゃいませっ」
 動揺を取り繕うように丁度やってきた客に声をかけるハボックの姿にクスリと笑うと、ロイは車に乗り込みアクセルを踏み込んだ。

 いつもならもっと早く済ませられる片付けにやけに時間をかけて終わらせて、漸く店のシャッターを下ろすとハボックはロイの家へと向かう。この時間ではまだ女性との食事から帰っていないのではと思いながら訪れた家には、灯りが灯って中に人がいることを知らせていた。
「もう帰ってるんだ」
 なんとなくホッとしてハボックは呼び鈴を鳴らす。そうすれば人の気配がして扉が開いた。
「こんばんは」
「遅かったな、待ちくたびれたぞ」
 そう言って見つめてくるロイにモゴモゴと口の中で言い訳して、ハボックは促されるまま家の中に入る。リビングに入った途端視界に飛び込んできた大きな薔薇の花束に、ハボックは目を瞠った。
「どうして?持っていかなかったんスか?」
 わざわざ店に買いにきたのに女性に渡さなかったのかと、ハボックは驚いてロイを振り返る。そうすればロイが顔をしかめて答えた。
「お前は余程私にデートをさせたいらしいな」
「でも」
 ロイはソファーの上に置いてあった花束を取り上げるとハボックに差し出す。ポカンとするハボックの胸元に押し付けて言った。
「これはお前の為に買ったんだ。それを勝手に誤解して」
「あ……」
 ロイの言葉にハボックは目を見開く。胸元に押しつけられた花束を受け取って笑みを浮かべた。
「あ、ありがとうございます」
 そう言って嬉しそうに笑うハボックにロイは目を細める。ハボックに近づくとその躯を花束ごと抱え上げた。
「ちょ……っ、マスタングさ――――んんッ、んーッ!」
 慌てるハボックの抵抗を唇を塞いで封じ込め、ロイはハボックを抱いたままリビングを出る。階段を上がり寝室に入ると、花束ごとハボックをベッドに放り投げた。
「うわッ」
 スプリングのきいたベッドで躯を跳ね上げてハボックは悲鳴を上げる。ネクタイの結び目を緩めて引き抜きシャツのボタンを外しながら、ロイはハボックに圧し掛った。
「マスタングさん、薔薇っ」
 このままでは花が傷んでしまうと訴えるハボックに、ロイは「ああ」と頷いてハボックの腰の上に乗り上げたまま花束に手を伸ばす。リボンを解きラッピングを剥がすとベッドの上に花をばらまいた。
「な……ッ?」
 驚きに目を見張るハボックに手を伸ばすと、ロイは彼のシャツに手をかける。目にも留まらぬ早業で上半身を裸に剥くと、ボトムへと手を伸ばして下着ごと引き下ろした。
「待って、マスタングさん!薔薇が……っ」
 その頃になってハボックが漸く押しとどめようとする。ジタバタと暴れるハボックにロイはニヤリと笑って近くに落ちた薔薇を手に取った。
「やはりな、お前には薔薇がよく似合う」
「なっ」
「香りもよくて、いい演出だろう?」
 そう言って薄く笑う男をハボックは顔を赤らめて睨んだ。
「なに言ってるんスかっ、」
 もうっと頬を膨らませてハボックは起き上がろうとする。だがロイはそうはさせずにハボックの躯を俯せに返すと、足首に絡んでいたボトムと下着を毟り取った。
「ほら、いい香りだ」
 ロイは言って花を一つクシャリと握り潰してハボックの鼻先に押し付ける。強くなった薔薇の香りに身を捩るハボックの躯に、更に握り潰した花びらをこすりつけた。
「こうやって花の香りがするお前を抱くのも一興だ」
「やっ、マスタングさんっ」
 やめてともがくハボックを押さえつけてロイはクスクスと笑う。逃れようとシーツを掴んで躯をロイの下から引き抜こうとしたハボックの白い双丘を目にして、ロイは目を細めた。
「躯の中から香りがしたらどうだろうな」
 そう呟いてロイは薔薇の花に手を伸ばす。クシャリと握り潰したそれを双丘の狭間に押しつけると、指先で花びらを蕾の中にグイと押し込んだ。
「ヒィッ?!」
 突然押し込まれた異物にハボックが身を強ばらせる。それに構わずロイは次々と花びらを蕾の中に押し込んだ。
「やだァッ!やめてッ!」
「いいからじっとしていろ」
 ガクガクと震えるハボックを押さえ込み、ロイは薔薇の花びらを押し込んだ蕾をグチュグチュと掻き回す。仄かに薔薇の香りを漂わせる蕾が十分に解れたとみると、己を取り出し蕾に押し当てた。
「マスタングさんッ」
 ロイがしようとしていることに気付いてハボックは必死に身を捩る。逃れようともがけば左右に揺れる双丘が誘っているようで、ロイはククッと笑った。
「そんなに挿れて欲しいのか?」
 ロイはがっちりとハボックの腰を押さえつけると蕾に己の先端を押し当てる。花びらが覗く秘所へズンッと突き入れた。
「違……、アッ、アアアッ!!」
 ズブズブと押し入ってくる楔にハボックが背を仰け反らせて喘ぐ。一気に根元まで押し込んだ楔をギリギリまで引き抜き、ロイは思い切り突き上げた。
「ヒャアアアッ!!」
 ガツガツと突き上げられてハボックの唇から高い嬌声が上がる。激しい突き入れに押し込まれた花びらが潰れて甘い香りが漂った。
「あッ、あんっ!…オ、オレの薔薇っ、こんな使い方して……ッ」
「いい香りだろう?興奮する、お前の匂いと相まって……天然の媚薬だ」
「馬鹿ァ……ッ、んあッ!やあんッ!」
 むせかえるような薔薇の香りに包まれて、ハボックはロイの思うままに乱されていった。


いつも遊びにきて下さってありがとうございます。拍手、連打も嬉しいですv

なんで突然こんな話かと言えば、今やってるBLゲームのお気に入りキャラ樋口崇文が花屋だから。父親から継いだ小さな花屋をやりながら新種の薔薇を作ってるんですよ。PS2版だとエロがさっぱりないのでロイとハボで書いてみました(笑)やっぱりエロは楽しいなぁと思いつつ、「深淵」の可愛い?ロイを書いていたりするので、我ながらどんな思考回路だと思ったり(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

「久遠」のジャクはハボがロイに甘えられない分ワンコ仕様ですよね(苦笑)あれがハボにとっていいとこ取りになるかどうか(ふふ)BLゲームはやっぱりPC版でないと駄目ですね〜。ホントかえって悶々としますよ(苦笑)
2012年11月22日(木)   No.272 (ロイハボ)

新・暗獣35
「ん?なんだ、見たいのか?ハボック」
 古い資料をセロテープで丁寧に修繕していれば、パタパタと部屋に駆け込んできたハボックが、ロイが資料を広げているテーブルにしがみつくようにしてロイのしていることを覗く。ロイはハボックを膝の上に乗せてやるとセロテープの台を引き寄せた。
「これはセロテープだよ。裏がベタベタしていて、二つのものを貼り合わせる事が出来るんだ」
 ロイはそう言ってセロテープをピーッと引き出し紙を繋げるように貼り合わせる。一枚になった紙を持ち上げて見せれば、ハボックが目を輝かせた。
「ろーいっ」
「やってみるか?いや、ちょっと待て待て」
 流石に大事な資料を任せる訳にはいかない。ロイは早速資料に手を伸ばそうとするハボックを制して下に下ろすと立ち上がり、棚から綺麗な折り紙を出してもってきた。
「これなら好きな大きさに切ったり貼り合わせたりしていいぞ」
 ロイはそう言って折り紙をテーブルの上に広げる。赤い折り紙と青いのとを細長く手で千切ると、セロテープで端と端をくっつけた。
「ほら」
 繋げた折り紙をハボックの目の前でヒラヒラとすればハボックの頭にピンと犬耳が立ち上がり尻尾が飛び出る。すっかり興奮しているハボックにロイはため息をつきながらもハボックに椅子を譲り、自分は別の椅子に腰掛けて資料の修繕を続けた。
 コチコチと時計の音が響く部屋の中で、紙を捲ったりテープをピーッと引き出す音がする。暫くして最後のページを文字がきちんと形になるように貼り合わせて漸く資料の修繕を終えたロイが長い吐息と共に顔を上げれば、そこにハボックの姿はなかった。
「ハボック?」
 テーブルの上には様々な形に千切った折り紙が貼り合わせたままに広げられている。
「なんだ、もう飽きてしまったのか?」
 折角折り紙を出してやったのにと、何故だか酷くがっかりした気持ちにロイがなりかけた時、パタパタと軽い足音がしてハボックが部屋に飛び込んできた。
「ろーいっ」
「ハボック」
 声に振り向けばハボックは両腕にいっぱい落ち葉を抱えている。腕に落ち葉を抱えたまま椅子に上れず「むーん」と考え込むハボックを見て、ロイはハボックの両脇に手を入れて軽い体を持ち上げると椅子に乗せてやった。
「ろーい」
 ありがとうと言うようにロイに笑いかけて、ハボックは抱えていた落ち葉をテーブルに広げる。手のひらでガサガサと広げた落ち葉を探って真っ赤に色づいた紅葉と黄色の銀杏を取り出した。それを並べてテーブルに置くと慎重に貼り合わせる。上手く繋がると次はまだ緑が少し残る葉を取り上げ銀杏の隣に繋げた。更に茶色になった葉を今度は紅葉の上に繋げる。その隣にもう一枚、更に隣に一枚と貼り合わせれば六枚の落ち葉が繋がって四角になった。
「ろーいっ」
 繋がった落ち葉をハボックが自慢げにロイに見せる。少しずつ色が違う落ち葉を繋げればそれは見事なグラデーションを描いて一枚の絵のようだった。
「凄いな、ハボック。折り紙も綺麗だがこっちの方がもっと綺麗だ」
 よく思いついたなと金色の頭を撫でてやれば、ハボックが嬉しそうに目を細めて金色の尻尾をフサフサと振る。
「私もやってもいいか?二人で一緒にもっと大きくしよう」
「ろーいっ!」
 ロイの言葉にハボックが空色の瞳を輝かせた。
「ろーい?」
「赤と黄色が混じってるのか、いいじゃないか。私はこれを繋げようと思うんだがどうだろう」
「ろいっ」
 ああだこうだと言い合いながら、二人は大きな秋のタペストリーを作り上げていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、モチベーション上がりますっ、嬉しいですvv

「暗獣」です。もうすっかり紅葉ですね、あちこち落ち葉が綺麗です。朝晩だいぶ冷え込んできたし、あの葉っぱが散ると短い秋もおわりですね。
しかし、最近日記といい更新といい、エロ書いてないな〜。むーん、ちょっぴり色気が足りん……。そんなこんなで今教えて貰ったBLゲームなぞやってみてます。「俺の下でAGAKE」のPS2版。教えて貰ったのはPC版の方だったんですが、試しにPS2版からやってみました。…………樋口がめっちゃ好みなんですがッ!!高校生にもリーマンにも興味はないのでもうガッツリ樋口一本やりで進めてしまいましたよ(笑)でも、つい気が急いちゃって(がっついてとも言う)早くに契約してしまって失敗したーッ!そんなわけでもう一回やり直そうかと(苦笑)んで、思った通りパソ版も注文しちゃったよ……だってPS2版だとエロが全然なんだもん!足りんッ!!(爆)パソ版が来るのは木曜で、しかもこの日は息子が学校休みなんですぐには出来ない事もあり(その上翌日は休日だ!)とりあえず今日はPS2版でじっくり樋口を啼かそうと思いますーvあ、その前に更新更新。まだ一行も書いてないよ(殴)

以下、拍手お返事です。

なおさま

「妖」ふふふ、気持ちの問題もあると思うんですがね。誰かが心を込めて淹れてくれたコーヒーなら自分が淹れたのよりずっと美味しいじゃないですか、特にそれがハボなら!(笑)本当は呼べばすぐ来るけれど、呼べないジレンマが益々コーヒーを不味くしてる気もします。「セレスタ」ブラッドレイ毒素(笑)そりゃあロイのお薬貰わないと治らな……(殴)そんな幸せな未来が来るまでハボには頑張って貰おうと思います。でもまだもう少し先かなーッ(←オニ)
2012年11月20日(火)   No.271 (カプなし)

妖5
 しとしとと絹糸のように細く降る雨を私は窓辺に置いた椅子に座って眺める。昼だというのに外は薄暗く、雨と相まって私の気持ちを陰鬱なものにさせた。
 この一週間、彼は私の前に姿を現さない。もしかして、名を返せと私に襲いかかってきた銀色の犬に強引に連れ帰られてしまったのだろうか。そう考えると胸がキュッと締まって苦しくて堪らなかった。
 不意に喉の渇きを覚えて、私はキッチンへと向かう。そうすればカウンターの前に立って私の為にコーヒーを淹れてくれる彼の幻が見えて、私はその幻を掻き消すようにキッチンの中に入った。
「……不味い」
 自分で淹れたコーヒーは苦いばかりで美味しくない。私は一口だけ飲んだコーヒーのカップをカウンターに置くと、階段を上り二階の部屋に戻る。窓辺の椅子に腰掛けて、雨が降り続く外を眺めた。
 雨は後から後から降ってくる。雨に閉ざされた世界はモノトーンに染まり、色をなくしてしまったようだった。
 しとしと。
 しとしとしと。
 静かで、それでいて耳障りな雨の音。その音が急速に狭まって押し潰されそうな錯覚に陥りそうになったその時、バシャバシャと水が跳ねる音がした。ハッとして窓から下を覗けば庭を駆ける金色の光。私は弾かれたように部屋を飛び出すと階段を駆け下りた。
「……お久しぶり」
 駆け下りた勢いのまま玄関に行けば、彼が雨の滴を纏って立っていた。
「入ってもいいっスか?」
 拒絶されるのを恐れるように細い声で彼が尋ねる。彼が入れるよう壁に寄って立つと、彼はホッとしたような笑みを浮かべて入ってきた。
「もう来ないのかと思っていた」
 私の横を通り過ぎる時そう呟く。そうすれば彼は驚いたように私を見た。
「何故?アンタはオレの名前持ってるじゃないっスか。呼べばいつだってオレは……呼んでくれたらオレは……」
 最後の方は囁きよりも小さくてはっきりと聞こえない。私が聞き返すより一瞬早く、彼は軽く首を振って逃げるように奥へと入ってしまった。
「ちょっと来なかったら凄い事になってるっスね」
 後を追ってリビングに入れば彼が呆れたように呟くのが聞こえる。そのままキッチンに入っていったと思うと、やがてコーヒーのいい香りがしてきた。
「どうぞ」
 トレイにカップを載せて戻ってきた彼がそう言って笑みを浮かべる。テーブルに置いてくれたそれをソファーに座って手に取れば、彼は散らかしたままの本や服を拾い始めた。
「ホント生活能力ないっスね」
 呆れたため息と共に彼は一つひとつ私が散らかしたものを拾い集めていく。彼が拾う度に部屋が少しずつ片付いていくその様は、まるで彼の不在で乱れた私の心を彼がその手で宥めていくようだった。
「おかえり」
 コーヒーの旨さに緩んだ唇から自然とそんな言葉が零れる。弾かれたように顔を上げた彼が泣きそうな顔で笑った。ただそれだけでモノトーンだった世界が色を取り戻していく。
「コーヒー、もっと飲みます?」
「それより腹が減ったな。ここのところワインとパンしか食ってない」
 ため息混じりに私が言うのを聞いて、彼がプッと吹き出した。
「やっぱりほっとけないっスね、アンタ」
 そう言った彼が以前と同じように私の為に洗濯をし部屋を整え食事を用意してくれるその音を、今はもう穏やかな響きと変わった雨の音と共にに聞きながら、私は笑みを浮かべて窓の向こうの降りしきる雨を見上げた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいですv連打もありがとうございますーvv

「妖」です。とりあえずハボック帰ってきました。まあ、またジャクが邪魔しにくるかと思われますが(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

お返事遅くなってごめんなさい(汗)「パワー」楽しんで頂けましたか!ふふふ、夢の中でも中尉最強(笑)それこそハボが中尉に「大佐と付き合いたいっス」とでも言わない限り大佐がダーリン・ハボックを手にするのは難しいかも(笑)そう言ったとしても「早まっちゃだめよッ」と説得されそうだし(爆)「セレスタ」ムサ男恐怖症!(笑)まだ当分ハボの受難は続きそうです(苦笑)「久遠」あはは、いいとこどり!ハボがいいとこをとれる日がいつか来るんでしょうかね?なんだか私も人魚姫でシンデレラなハボになってきた気がします、どうしよう(笑)
2012年11月15日(木)   No.270 (カプなし)

パワー!20
ロイハボ風味

「ハボック……」
 腕の中に囲い込んだ部下の耳元にロイは囁く。そうすれば柔らかい耳朶が桜色に染まって、ハボックが困り切ったように視線をさまよわせた。
「中佐、あの……離して下さい……」
「離して欲しいなら自分で振り払って逃げればいいだろう?どうしてそうしないんだ?」
 ハボックを囲い込んだ腕には力が入っている訳ではない。寧ろ触れてすらいないくらい緩く、振り払おうと思えばなんの苦労も出来る筈だった。
「どうしてって……」
 ハボックは呟くように言ってロイを睨む。
「意地悪っスね、中佐」
 判ってるクセにと伏せ目がちに言うハボックにロイは鼻息が荒くなるのを必死に抑えながら尋ねた。
「はっきり言ってくれないと判らないだろう?」
 ロイはハボックの顔を覗き込む。真っ赤に染まった耳元に唇を寄せて囁いた。
「言ってくれ、ハボック……はっきり、言葉にして聞かせてくれ」
 最後の言葉と一緒にフッと息を吹き込めば、ハボックの体が大きく震える。恨めしげにロイを睨む涙の滲む空色が不意に揺らいだと思うと、ハボックが口を開いた。
「オレ、中佐の事が」
 好き、と空気が震えるような声で囁かれてロイは鼻を膨らませた。
「私もお前が好きだッ、ハボ――――ジャンっ!」
 早口にそう言うと同時にハボックの両肩をガシッと掴む。そのままググーッと唇を寄せれば、頬を染めたハボックが恥ずかしそうにそっと目を閉じた。
(ついにハボックの唇が私のものにッ!)
 唇を突き出しロイは目を瞑る。ハボックの甘やかな息遣いが感じられその柔らかい唇に今まさにロイの唇が触れようとした、その瞬間。
「セクハラで訴えますよ、中佐」
「えっ?」
 聞こえた声に驚いてロイは目を開ける。そうすれば極めて至近距離から見返してくる鳶色の瞳と目があった。
「この変態セクハラオヤジ」
「ギャーッ、ゴメンナサイッ!」
 低い氷点下の声にロイは肩を掴んでいた両手を離して万歳すると、そのままの勢いで土下座した。
「一度死なないと判らないようですわね」
 低い声と共にカチリと金属質な音が聞こえて、ロイはハッと顔を上げる。そうすれば眉間にピタリと突きつけられた銃口が視界に入って、ロイは目を剥いた。
「ちょ、ちょっと待て、少尉っ」
「待てません。貴方のような人は生かしておいても百害あって一利なしです」
「待ってくれッ、私の話を――――」
「消えなさい、この腐れキモ気障オヤジ」
 ロイが見つめる視線の先で、ホークアイの指先が一切の躊躇いなくトリガーを引いた。

「ワアアッ!!」
 ロイは大声で喚くと同時にガバッとベッドに起き上がる。
「ゴメンナサイッ!もうしませんッ!赦して下さいッ!」
 ベッドの上に正座してそう叫びながらシーツに額を擦り付けたロイは、いつまでたっても銃声が聞こえない事に気づいて顔を上げた。恐る恐る辺りを見回してそこが自宅のベッドの上だと漸く気づいて、ロイはやれやれと肩を落とした。
「夢か……なんて恐ろしい……っ」
 そう呟いてロイはブルリと震える。危うくホークアイにキスしそうになった上、銃で撃たれかけたショックが今更ながら押し寄せて、ロイはパタリとベッドに突っ伏した。
「少尉め、現実どころか夢の中でまでも邪魔しくさって……っ」
 先日、ハボックと二人で出かけたライブ会場、後少しでキス出来るという寸前も寸前、ホークアイに阻まれた事を思い出して、ロイはクッと悔しそうに拳を握り締める。そうすればハボックの薄色の唇が目の前に浮かんで、ロイはハアアと大きなため息をついた。
「惜しかったなぁ……、後少しだったのに」
 ロイはそう呟いて唇を突き出す。枕を引き寄せブチューッと唇を押し付けた。
「ライブの時だってハボックは全然嫌がる素振りもなかったんだ。少尉さえ来なければッ!」
 ロイは忌々しげに言ってガバリとベッドに飛び起きる。
「そうさ、ハボックだってきっと待っているに違いないんだッ、少尉の妨害なんぞで挫けてたまるかッ!例え銃で撃たれようと……、いや、撃たれたくはないが」
 ホークアイに言わせればあの時ハボックが逃げなかったのは、単に尊敬する上官にそんな事をされかかっているなど夢にも思っていなかったからだと言うに違いない。だが、 自分を中心に世界が回っている男にはそんな常識などこれっぽっちも通用しなかった。
「待っていろ、ハボック!必ずやお前のその唇を我がものにしてやるからなッ!オー、マイ・スゥイート・ダーリンッ!」
 傍迷惑な男は大声で叫ぶと、枕を抱き締めブチュブチュとキスの雨を降らせたのだった。


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お久しぶりの「パワー」です。どれくらい久しぶりかと言うと、前回書いたのが2009年の11月だっていう…(爆)思わず本当かと日記ログ確認しまくっちゃいましたよ(苦笑)間開きすぎだorz 次回はここまで放置しないようにしたいと思います〜(汗)
2012年11月10日(土)   No.269 (ロイハボ)

新・暗獣34
「ろーい」
「ん……」
 小さな手でユサユサと揺すられて、ロイはうっすらと目を開ける。そうすれば薄暗い寝室の中、ハボックがベッドにしがみつくようにしてロイを覗き込んでいることに気づいた。
「夕べ遅かったんだ、もう少し寝かせてくれ……」
 例によって例のごとく本を読んでいて夜更かししたせいで、まだベッドに入ってから二時間と経っていない。ロイはモゴモゴ言って寝返りをうつと二度寝を決め込もうとした。だが。
 ブランケットから覗いたロイのパジャマの襟元からツルリと何かが中に落とされる。その冷たい感触に、ロイは悲鳴を上げて飛び上がった。
「ウヒャアッ!冷た……っ、な、なんだッ?」
 ベッドに座り込んでロイは肩越しに背中を見ようとしながらパジャマの裾をパタパタと揺する。そうすれば背中から薄べったい氷がポトンとブランケットの上に落ちた。
「氷?こんなもの一体どこから……」
 指先で摘んだ氷はとても薄くて体温だけで瞬く間に溶けてしまう。指先を濡らす水になってしまったそれを軽く手を振って払うと、ハボックがその手を引っ張った。
「ろーいっ」
「判った、判った。今起きて着替えるからちょっと待ってくれ、ハボック」
 流石にパジャマ一枚でウロウロする気にはなれず、ロイは言う。そうすればベッドから降りようとするロイの手を離して、ハボックはロイをじっと見つめた。
「見張ってなくても二度寝はしないよ」
 前科のあるロイは苦笑しながら言う。ハボックはロイの事をジーッと見つめたと思うとパタパタと走って寝室から出ていってしまった。
「やれやれ」
 ロイはフワァと欠伸をすると洗面所に向かう。眠気を覚まそうと冷たい水で顔を洗いモタモタと着替えていると、閉めた鎧戸の向こうから声が聞こえた。
「ろーいー」
「待て待て」
 ロイは呟きながら窓に歩み寄り鎧戸を開ける。入り込んできた冷たい空気に首を竦めながら窓から身を乗り出すようにして見下ろせば、ハボックが窓の下でこちらを見上げていた。
「今行くよ、ハボック」
 そう言ってロイは窓を閉め下に降りる。庭に出てぐるりと回ってハボックがいた辺りにくるとキョロキョロと見回した。
「ハボック」
「ろーい」
 呼べば金色の頭がひょこっと覗く。
「そこか」
 庭木の枝を押しのけるようにして間に分け入れば、しゃがみ込んだハボックがロイを見上げた。
「さっきの氷はここから持ってきたのか」
 ハボックの足下には使われないまま放り出されていた植木鉢が幾つか転がっている。昨日降った雨が植木鉢の中に溜まり、今朝の冷え込みで薄く凍ったのだった。
「まだまだ冬なんて暦の上の事だと思っていたんだが」
 どうやら思っていたよりずっと早く季節は巡っていたらしい。
「ろーい」
 ハボックが小さな指で摘んだ薄い氷を朝日に翳して見せる。
「キラキラだな」
「ろーいっ」
 冬の訪れを知らせるように、ハボックの指先で氷が朝日にきらきらと煌めいた。


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「暗獣」です。今日は立冬だそうですね。なんかやっと普段の「暗獣」に戻った気がする(苦笑)「暗獣」はこういうまったりしたのが好きだったりします(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

うわあ、最初から読み直して下さってありがとうございます!つか、読み直さないと話忘れてますよね(苦笑)実は今日は「パワー」を書こうかとも思っていたのですが、立冬だったので「暗獣」にしました。近々変態佐お届けしますね(笑)
2012年11月07日(水)   No.268 (カプなし)

合成獣15
ロイハボ風味

 書類をめくっていた手を止めてロイはゆっくりと息を吐き出す。さっきから書類に目を通してはいたが、その内容はさっぱり頭に入ってこなかった。
「くそ……」
 目を閉じれば初めて会ったジャクの姿が浮かぶ。ハボックと同じ遺伝子を持ちながらまるで違う双子の兄。その苛烈な光をたたえた空色の瞳が、記憶の中ですら恐ろしいまでの憎悪を込めてロイを睨みつけていた。
『ジャンはお前のところへは返さない、あれはオレのもんだ……ッ』
 激しい独占欲と愛欲の滲む言葉。頭に木霊するその声に、ロイはギリと歯を食いしばった。
「ふざけるな……、ハボックは私のものだッ」
 低く囁きギュッと机の上の手を握り締めれば、手の中で書類がクシャリと悲鳴を上げる。手のひらに刺さる堅い感触がロイの気持ちを逆撫でして、ロイは机の上の書類を払い落とした。
「お前なんかに渡さない。絶対に連れ戻すッ」
 ジャクがあの場所に現れたということは、二人はそう遠い場所にいる訳ではないはずだ。それどころかハボックの性格を考えれば、ロイのすぐ側でその動向を見守っている可能性だってある。
「ハボック……」
 肘をついてギュッと組んだ両手にロイは額を寄せる。そっと目を閉じれば己に向かって笑いかけるハボックの顔が思い浮かんだ。
『大佐』
 名を呼んでにっこりと笑うハボックの空色の瞳。初めて好きだと告げた時、その瞳が泣き出しそうに歪んだのを今でもはっきりと覚えている。
『うそ……っ、大佐がオレの事好きなんて、そんなの有り得ねぇもんっ』
 絶対にそんな事などある訳がないと、なかなかロイの言うことを信じようとしなかった。否定の言葉を紡ぎ続ける唇を強引に塞いで存分にその感触を味わって、漸く離せば大きく見開いた空色がロイを見つめていた。
『ホント、に……?オレ、大佐のこと、好きだって言って、いいんスか……?』
 不安に揺れながらもそう尋ねたハボックが、その時どう思っていたのか今ならちゃんと判る気がする。
「お前がキメラだろうと、アメストリスを滅ぼす悪魔だろうと、そんな事は関係ない。私達の邪魔をする奴は誰だろうと赦さない。ハボック、お前は私のものだ」
 ロイは脳裏に浮かぶそっくりな二つの姿に向かって呟いた。
「ジャク、お前に私たちの邪魔はさせん」
 ジャクとハボックが元は一つの遺伝子だというなら、己とハボックは元は一つの魂だったに違いないとロイは思う。そこにキメラだ、人間だという器の問題は存在しない。己とハボック、引き合う魂の邪魔立てなどたかが遺伝子レベルに赦される筈はないのだ。
「必ず連れ戻す」
 低く言い放ってロイはゆっくりと席を立つ。執務室の扉を開ける音に振り向いたホークアイ達を一瞥すると、そのまま司令室の扉へと足を向けた。
「大佐、どちらへ?」
 当然のごとく尋ねてくるホークアイに、ロイは振り向かずに答えた。
「ハボックを連れ戻しに行ってくる」
「えっ?少尉がどこにいるか判ったんですか?」
「大佐、ハボの奴、どこにいるんですっ?」
「大佐っ?大────」
 驚く部下達の声を扉で遮って、ロイはジャクからハボックを取り戻すために一人イーストシティの街へと消えていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とってもとっても励みになってます!嬉しいです〜vv

ええと、約八ヵ月半ぶりの「合成獣」ですー。きっと「どういう展開になってたっけ?」と思われる方が殆どと思われ……(苦)いや本当に放置が多くてすみません(滝汗)なるべく忘れないうちに頑張りますーッ!

以下、拍手お返事です。

なおさま

「セレスタ」ロイは愛憎の表現がはっきりしてますからね。冷たくする時はとことん冷たいですよ(笑)スライディング土下座したら笑えますよねぇ、一気にコメディ(笑)

「セレスタの涙」最高です の方

うお〜っ、ありがとうございますッ!!なんかもう趣味に突っ走った感じですので、そう言って頂けて嬉しいですvそして「合成獣」や「恋闇」も読み返して下さってありがとうございます。再開しますと書いてはすぐまた放置状態ですみません(滝汗)時々「○○はどうした、続き書かんかい!」と尻を叩いて頂けるといいかなって(コラ)とりあえず続きなど書いてみました。お楽しみ頂けましたら嬉しいですーv

妙さま

遊びに来て下さってありがとうございますvいや〜ん、本当ですか?メロメロだなんて…嬉しいですvv東方司令部全体を尻に敷く小悪魔ハボ、そういえばそう言うのは書いた事がないですね。今度チャレンジしてみたいと思います(笑)秋を通り越してもう冬という感じになってきました。妙さまもお体お気をつけてお過ごしくださいね。これからもどうぞよろしくお願いしますv
2012年11月05日(月)   No.267 (ロイハボ)

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