司令室に向かって廊下を歩いていたロイは、足下にひらりと舞い落ちた紙に気づいて足を止める。何気なく拾って紙面を見たロイは驚愕に目を見開いた。 「なんだ、これわッッ!!」 ロイがそう叫んで睨みつけた紙面には大きな文字で【予約受付中】と書いてあった。問題はその予約の内容だ。 『ジャン・ハボックと二人きりのクリスマスデート お値段1,225センズ(プレゼント・お食事付き、エッチ込み)ご予約はお早めに!』 「ハボックとのクリスマスデートだとッ?しかもエッチ込みって……それでこの値段じゃ安すぎるだろうッッ!!」 ツッコミどころはそこじゃないだろうと、ブレダあたりが聞いたら言いそうなことを叫んでロイは手にしたビラを握り締める。そのままドカドカともの凄い勢いで廊下を歩くと、司令室の扉をバンッと開いた。 「ハボックッッ!!」 「わあ、来たッ!!」 開けると同時に中に向かって怒鳴れば、ハボックが悲鳴を上げてブレダの後ろに隠れる。鬼の形相で近づいてくるロイと怯えるハボックの間に立たされて、ブレダはまあまあとロイを宥めた。 「誰かがイタズラでビラをばらまいたみたいなんですよ。こいつ自身すっごい迷惑被ってるんで怒らないでやって下さい」 ブレダにそう言われてロイはジロリとハボックを見る。「そうなのか?」と尋ねればハボックがうんうんと頷いた。 「もう、朝からビラ見たって奴らが電話だったり直接だったり申し込みしたいって凄くて」 ハボックは引き寄せた椅子に腰掛けながらゲンナリと言う。ハアアとため息をついて疲れきった様子のハボックに、ロイも流石にそれ以上言うことが出来ず、手にしたビラをもう一度見た。 「誰かお前を恨んでる奴の仕業じゃないのか?フラレて逆恨みしたとか」 「アンタじゃあるまいし」 思わずそう言ってしまったハボックの襟首をロイがグイと掴む。「ギブギブ」と叫ぶハボックと容赦なく締めるロイとをため息混じりに見ながらブレダが言った。 「まあ、申し込みに来た奴には事情を説明してお引き取り頂くしかないでしょうね」 「そんなので大丈夫なのか?」 漸くハボックから手を離してロイが言えばブレダが答える。 「常識的に考えたらすぐ判ることでしょう」 「確かにそうだな」 ロイは頷いてやれやれとため息をついて、事態はそれで収まったと思われた。だが。
翌日。 ロイとハボックが通りを歩いていると向こうから男が一人近づいてくる。大きな薔薇の花束を抱えた男は、ハボックの前で立ち止まると満面の笑みを浮かべて言った。 「ハボックさん、是非、このクリスマスデートを予約したいんだけど」 「えっ?」 そう言って男がビラを差し出してくるのにハボックはギョッとして顔を顰める。昨日のビラがまだ出回っていたのかと紙面を見たハボックは、そこに書いてある数字を見て目を見開いた。 「え……?お値段3,500万センズ……?」 「勿論即金で支払うよ。受け付けて貰えるだろう?」 「えっと」 ニコニコと笑いながら薔薇の花束を差し出してくる男にハボックはひきつった笑みを浮かべる。そんなハボックと男の間にズイと立ちはだかってロイが言った。 「お引き取り願おう。ハボックは私のものだ」 「えっ?もう先約がっ?」 ロイの言葉に男が驚いて言う。だが、引き下がるかと思った男は、ハボックを見つめて言った。 「だったら俺は3,600万払うッ!だから是非俺とッ!」 「はあっ?なにをふざけたことをッ?!」 男の申し出にロイが目を吊り上げる。男はロイを押し退けるようにして更に言った。 「3,600万で足りないなら3,700万……いや、3,800万払おうッ!!」 「貴様ッ、ふざけるなッ!!」 「煩いな、俺はハボックさんと交渉してるんだッ」 とんでもない事を言い出す男の肩をロイがグイと掴めば、男がキッとロイを睨む。それからハボックを見て言った。 「ハボックさんっ、いいだろう?是非俺とッ」 「ふざけるなッ、だったら私は4,000万出すぞッ」 ロイを押しやるようにして言う男に負けじとロイが叫ぶ。そうすれば男が更に言った。 「だったら4,100万出すッ!」 「なにをっ、それなら私は4,200万だッ!」 「4,250ッ!!」 「4,275ッ!!」 「ええと」 ギャアギャアと細かく金額を競り上げながら言い合う二人を目を丸くして見つめながら。 (オークションするのもいいかもしんない) ついうっかりそんなことを考えてしまったハボックだった。
いつも遊びに来て下さってありがとうございます。入れ替えた拍手、読んで下さってありがとうございます。とっても嬉しいですvv
「あなたと二人きりでクリスマスデート お値段を決めったー」っていうのを見つけましてね。早速ジャン・ハボックでやってみたところ1,225円って。安ッ!!(笑)これなら私でも予約出来るわ〜vと、ロイでもやってみたら500円!!(爆)いやあ、これなら二人まとめて予約させて頂きますよ(笑)食事、プレゼント、エッチつき、凄いね(爆)ちなみにみつきでやってみたら700円。本名でやってみたらなんと3,500万円でした。3,500万あげるって言っても予約入らなそう(苦笑)ちなみにこれ、日替わりなので明日になったらすっごく高くなってるかもです。本日限り!お買い得ッッ!!(爆)
あ、そうそう。更新記録に載せ忘れましたが“ギャラリー「玄関」”なる部屋を作りました。要はこれまでに拙宅の入口を飾っていた素敵素材としょぼい四行詩を集めた部屋です。いや、最初のうちは保存してなかったんですが、ふと保存しておかないと同じ素材を使用する&同じような詩を書くって事をやりかねない事に気づきましてね。でも、しょっちゅう保存するのを忘れそうになるので、まあ備忘録みたいなもんです(苦笑)そんなわけですので、最初の頃のはありませんし最近も保存し忘れたりで抜けてるっていう中途半端なギャラリーですが、こそばゆいハボックラブを感じたい時などご覧いただければ(苦笑)こっそりpearl/diamondから入れます。
以下、拍手お返事です。
文字だけなのに の方
わあ、ありがとうございます!!書いてる本人もハボックは「ろーい」しか言わないし、殆どロイが一人喋ってる状態でこんなのでいいのかなと思わないでもないのですが、ハボックかわいいと言って頂けて、とってもとっても嬉しいですーーvvこれからも可愛らしさが伝わるよう、精一杯書いていきますので、よろしくお付き合い下さいませv
いつも楽しく拝見しています の方
いつも遊びに来て下さってありがとうございますvあはは、バレましたか?ご察しの通りそのゲームでございます(笑)あの設定って凄いですよねぇ。発売日に買っていまだに第五章の辺りをうろうろしているので最後どうなるのか判ってないのですが、イザナの死が今後も関係してくるのかなぁと期待しながらやってます。でも、せっかく14人もキャラがいるのに使いまわせずエースばかりレベルが上がるっていう(苦笑)これからもゲームネタなぞ出てくるかもしれませんが、引き続きお付き合いのほど、お願いいたしますv
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