babble babble


2011年07月の日記

2011年07月30日(土)
暗獣16
2011年07月28日(木)
恋闇28
2011年07月25日(月)
香水
2011年07月23日(土)
暗獣15
2011年07月19日(火)
分裂
2011年07月16日(土)
暗獣14
2011年07月14日(木)
暗獣13
2011年07月12日(火)
ナンジャタウン3
ナンジャタウン2
饅頭
2011年07月09日(土)
溺愛
2011年07月07日(木)
七夕
2011年07月05日(火)
暗獣12
2011年07月02日(土)
暗獣11

暗獣16
「ハボック、開けるぞ」
 ロイはいつものように鎧戸を開ける前にハボックに声をかける。ビロード張りのトランクの中で小さく丸まって眠っていたハボックは、ロイの声に閉じていた目を開けた。だが、すぐには暗がりに隠れようとはせず、トランクの中でウーンと伸びをする。以前はロイが声をかけると即座にベッドの下に飛び込んでいたハボックだったが、最近はトランクの中でぐずぐずしている事が多かった。
「……お前、私がすぐには開けないと思っているだろう」
 声をかけてもハボックが隠れるまで、ロイは鎧戸を開けない。ハボックはそれを判っていてわざとのんびりとしているようだった。
「ハボック」
 ロイは促すようにもう一度声をかける。だが、相変わらずビロードの感触を楽しむようにゴロゴロとしているハボックを見てロイは眉を顰めた。
「判った。私はちゃんと声をかけたからな」
 ロイはそう言って鎧戸に手をかける。ガラッと言う音と共に開いた鎧戸の隙間から明るい陽射しが射し込めば、ハボックが飛び上がった。わたわたとベッドの下に潜り込むハボックにロイは笑い声を上げる。開け放った窓から身を乗り出すようにして、ロイは空を見上げた。
「いい天気だぞ、ハボック」
 そう声をかけるが反応はない。ベッドの下を覗けば、ハボックが恨めしげにロイを見た。
「怒るな、悪かった」
 ロイは言って金色の頭をわしわしと掻き混ぜる。すぐには出てこなさそうなハボックをそのままに、ロイは寝室を出て階下におりていった。
 いつもそうしているようにロイは新聞を片手に朝食を済ませる。汚れた食器を片付けていると、漸くハボックが降りてきた。ロイは足元に纏わりつくハボックをヒョイと抱き上げる。嬉しそうに尻尾を振るハボックにロイは言った。
「今日は調べものがあるから出かけるが一緒に来るか?」
 ハボックの瞳と同じ色の空は所々に雲が浮かんでいるものの綺麗に晴れている。風は爽やかでこんな日に散歩に出かければさぞ気持ちよいだろうと誘ってみたが、ハボックは答える代わりにロイの腕から飛び降りてダイニングのテーブルの下に潜ってしまった。
「行かないのか?」
 ロイはこちらに尻尾を向けているハボックに声をかける。だが、ハボックは小さく丸まって尻尾すら振らなかった。
「なら一人で行ってくるよ」
 ロイはほんの少し残念そうに言って玄関に向かう。扉を開けて外へと出ようとしたロイがふと振り返れば、ハボックが廊下に座っていた。
「一緒に行くか?」
 ロイはもう一度尋ねてみたがハボックは嫌だと言うように廊下に伏せてしまう。ロイは手を伸ばしてハボックの頭を撫でると一人だけで外へ出た。
 以前同じようにハボックを外へと誘った事があったが、その時もやはりハボックは外へ出ようとはしなかった。
「もしかして出られないのかもな……」
 ロイが住み始めた当初からハボックはあの家にいた。ロイの様子を窺うようにチョロチョロと姿を現し、ロイの為にその姿を変えた。ハボックは一体なんなのだろう。考えてもロイには想像もつかなかったが、その存在が今のロイにとって慰めとなっている事は確かだった。
「何かお土産を買って帰るか」
 願わくばいつまでもこの優しい時が続きますように。
 ハボックの瞳と同じ色の空を見上げて、ロイはそっと願ったのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手、励みになります。ありがとうございます!

「暗獣」です。ロイに慣れてその行動も判ってきたハボック。多分振り回されるのはロイの方かと思います。可愛くって仕方なかろうと。

今日の更新ですが、やっぱり間に合いませんでしたー。一応書かなきゃいけない作文の方は書きあげたんですが、というか、締め切りは月末だけど土日家族がガッツリいる状況でしかも出掛ける予定まであったら、実質締め切りは金曜じゃん!と言う事に気づいて尻に火がついたのでした(苦笑)でも、流石に更新分までは手が回らなかったー。週末過ぎたら頑張りますー。

ところで来週の土曜日はハボロイの日ですね。どなたか絵チャとか開催されるんだろうか。うちは例によってなんも企画はないですが(苦笑)せっかくだし拍手リクの募集しようかなぁ。って、自分が楽しいだけのような(苦笑)うーんと、気の長い方でリクしてやろうって方がいらっしゃいましたら8月6日のハボロイの日に拍手でリクをお寄せ下さい。二つくらい貰えたら嬉しいなぁ。……一個もこないって可能性も高いがな!最近ロイハボ派の方が多い拙宅、腐v
2011年07月30日(土)   No.84 (カプなし)

恋闇28
ロイハボ前提 CP:ヒュハボ(R18)

「ア……アアア……ッッ!!」
 ハボックが身を仰け反らせてもう何度目になるか判らない熱を吐き出す。それを追うようにヒューズがハボックの中へ熱をぶちまければ、ハボックの体がビクビクと震えた。
「く……ッ、あ……ああ……」
 切ない声を上げて弛緩する体からズルリと楔を引き抜く。ぐったりとベッドに横たわる体を、ヒューズは無言のまま見下ろした。
 もう何日もまともに食事をとっていないせいだろう、鍛えられていた筈の体は随分と肉が落ちてしまっていた。その体を哀れむようにそっと撫でれば宙を見つめていた空色の瞳がヒューズを見る。ハボックは涙に濡れた瞳でヒューズを睨みつけて言った。
「……殺してやる」
 ハボックの唇から零れた言葉にヒューズは僅かに目を瞠る。ハボックはベッドに肘をついて力の入らない体を持ち上げてヒューズを睨んだ。
「いつか……きっと、殺してやるから……ッ」
 これまでハボックはどれほど酷い目に遭わされてもどこかヒューズを憎み切れずにいるようだった。こうなる前にヒューズに対して抱いていた信頼と好意がいつかこの悪夢から自分を救い出してくれると、まるで縋りつくようにそう思い込もうとしていたハボックが、今その空色の瞳に憎悪と哀しみの焔を燃やしてヒューズを見つめていた。
「どうして……?そんなにオレの事、憎いんスか……?」
 もう、ロイの元へは戻れない。そう言う己をここまで貶め傷つけようとする理由がハボックには判らない。ただロイを守りたいだけであるのなら、もう十分にその役は果たしているだろうに。
「別に。ロイに聞かせてやりたかっただけだ。アイツはお前に対して余計な幻想を抱いているようだからな。どれだけお前がアイツに対して浅ましく汚らわしい想いを抱いているか、いい加減下らん幻想は捨てろと言ってやりたかったんだよ」
 その言葉にハボックの体がピクンと震える。ハボックはヒューズを見つめていた視線を宙に投げて、独り言のように呟いた。
「殺してやる……いつか、アンタを、殺してやる」
 そう言ってハボックは視線をヒューズに戻す。その瞳に宿る焔を見ればヒューズの中に昏い喜びが沸き上がった。
 どんなにハボックを犯し、その身の奥に己を沈めて彼の中に痕を刻んだつもりでいても、ハボックの気持ちは常にロイへと向かっていた。『嫌だ』と、『やめてくれ』と泣き叫びながらハボックはいつもロイだけを見つめていた。ヒューズに身を任せながら心を占めるのはいつでもロイただ一人だったが。
 今、『殺してやる』とその憎悪を向けるのはヒューズだ。二人の間にロイは存在せず、ハボックは真っ直ぐにヒューズに対して感情をぶつけてくる。たとえそれが憎悪と言う歪んだ感情であっても、ヒューズはハボックが自分に対してだけ感情をぶつけてくるのが嬉しくて堪らなかった。
「……いいぜ、殺してみろよ……出来るもんならな」
 ヒューズはうっすらと笑みを浮かべてハボックに手を伸ばす。ハボックの体をベッドに押さえつけ、長い脚を大きく広げるとその奥で戦慄く蕾に滾る楔を押しつけた。
「さっさと殺せよ……でないとまたぶち込むぜ?」
「チクショウッ!!離せッ!!離せよッッ!!」
 ハボックは力の入らない体を必死に捩って逃れようとする。その努力を嘲笑うように、ヒューズはゆっくりとハボックの中に楔をねじ込んでいった。
「ほら……さっさとしないからどんどん入ってく……」
「あ、あ、あ……ヤダぁ……ッ!!」
「クク……ほぅら、またヤられちまった……本当はヤって欲しくて仕方ないんだろう?」
「違うッ!!」
 根元まで深々と貫いてヒューズは笑う。覆い被さるようにハボックに顔を寄せて言った。
「またたっぷりぶちまけてやる……奥の奥まで汚して、たとえここにロイが来ても決してその手を取れないようにな」
「ッッ!!……チクショ……殺してやるッッ!!」
 自分だけに向けられるその言葉にうっとりと笑って、ヒューズはゆっくりとハボックを突き上げ始めた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手も嬉しいですvvありがとうございます!

「恋闇」です。毎度間が空いてすみません(汗)これもいい加減終わらせないとなぁ。これだけじゃないよ、他にも色々と。……と思いつつ、途中まで書いて放置している「愛玩動物」の続きとか書きたくなってたり。どうしてこう、気が多いんだろう。ちゃんと一つずつ書きあげていける集中力が欲しい〜(苦)

以下、拍手お返事です。

はたかぜさま

いや〜〜ん、素敵な妄想をありがとうございます!!もー、こういうコメント頂くとめちゃくちゃテンションあがりますよ!ここのところちょっとテンション下がり気味だったのでとっても嬉しいですv「分裂」確かにヒューズやエドがすっ飛んできて掻っ攫って行きそうですよね!こっそり連れ出す部下たちも、リザ姐さんも素敵だ(笑)そして夜のハボック達が!ハボ(攻)×ハボ(受)じゃなくて百合百合するんですね(爆)いやもう、あまりに楽しくて何度も読み返しちゃいましたよ(笑)はたかぜさまとは是非萌えトークお願いしたいなぁ、いや、ホントにvvテンション上がってモリモリ話を書きたくなったのはよかったのですが、それがどうにもロイハボなのが困りもの。急ぎで書かなきゃなのはハボロイなのに(苦笑)こちらこそ楽しいコメント、本当にありがとうございました!!
2011年07月28日(木)   No.83 (カプ色あり)

香水
本日はロイハボ、ハボロイ二本立てになっております。両方お読みいただくも、お好きなカプだけお読みいただくもご随意にズズッとvv





CP:ロイハボ(R18)

「たいさっ……やっ、……あっ」
 ひんやりと静まり返った資料室の一角、そこだけ周りより僅かに熱い空気に包まれている。書架の陰に隠れるようにして二人の人間が躯を寄せあっていた。
「ヤダ……た……さッ」
 ハボックは押し入ってくる熱に身を仰け反らせて喘ぐ。小刻みに突き上げられて零れそうになる声を左の手のひらで押さえ込み、右手でロイの腕を握り締めていた。
「んッ……んんッ!!」
 ロイはハボックの腰を引き寄せ思い切り突き入れる。突き入れる度手のひらで覆ったハボックの唇からくぐもった声が零れ、ロイを咥えた蕾がきゅうきゅうと締まった。ぐちゅぐちゅと響いていた淫猥な水音が激しさを増し、二人の周りの空気が更に温度を上げる。急激に加速した呼吸が一瞬止まった次の瞬間、激しい息遣いが資料室に広がっていった。
「ハボック」
「……ッ!」
 荒い呼吸を吐き出す唇を塞がれてハボックはロイにしがみつく。密着する躯から甘いコロンの香りが漂って、ハボックは目眩を覚えた。
「あ……あっ」
 ハボックはズルリと抜かれていく楔に躯を震わせる。ずるずると書架にもたれるようにして座り込むハボックと己の身支度を整えて、ロイは使用済みのゴムを手近のゴミ箱に放り込んだ。
「立てるか?」
 そう言って手を差し出してくる男をハボックは恨めしげに見上げる。熱に潤んだ空色の瞳で睨まれてロイはクスリと笑ってハボックの手を掴んだ。グイと引っ張り起こせば長身が胸に飛び込んでくる。その唇に己のそれを重ねようとするロイをハボックが押し返した。
「ヤダって言ったのに」
「でも、悦かったろ?」
 まるで悪びれもせずに言ってロイはハボックに口づける。身を寄せれば強くなる甘い香りにハボックの躯が微かに揺らいだ。
「大佐……っ」
 普段ロイが身につけているコロンの香り。ロイ自身の香りと混ざりあって甘く香るそれに鼻孔を擽られれば、瞬く間に躯から力が抜けてしまう。心も躯も蕩けさせる媚薬のように、ハボックから抵抗の意志を奪ってしまうのだ。
「可愛かった……続きは今夜」
 ロイはハボックの鼻先にチュッとキスを落として資料室から出ていってしまう。ハボックは甘い余韻の残る躯をすぐに動かす事が出来ず、書架にもたれて湿度の高いため息をついた。
「……まったくもう」
 男の残した甘い疼きと囁きにハボックは僅かに眉を顰める。少しして怪しまれない程度に動けるようになると、ハボックは資料室を出た。廊下沿いの窓ガラスに映る己の姿を横目で確かめ、情事の痕がない事を確認する。そうして司令室の扉を開けて中へ入ったハボックが自席に腰を下ろせば、ブレダが怪訝な様子で顔を上げた。
「なんだ、お前か」
「……なんだよ」
 自分の席に戻って「なんだ」と言われる筋合いはないとハボックが言えば、ブレダがペンの尻で頭を掻いた。
「いや、大佐のコロンの匂いがしたからさ」
「えっ?」
 ブレダはそれだけ言って書類仕事に戻ってしまう。だが、そう言われたハボックは、身を強張らせて動けなくなってしまった。
(大佐の……コロンの香り……?)
 そう思っただけで己の躯からロイの香りが匂いたつ気がする。そうすれば躯の芯が熱くなっていくのを、ハボックはどうすることも出来ず縋るように執務室の扉を見つめた。






CP:ハボロイ(R18)

「ヤダ、ハボック……っ」
「いいからじっとして、大佐……」
 耳元でそう囁いたハボックがロイの細い躯を書架に押しつけるようにして身を寄せてくる。シンと静まり返った資料室の一角、二人の周りだけほんの少し温度が高くなっていた。
 ハボックは後ろから押さえ込んだロイの双丘の狭間に己の楔を押しつける。グッと腰を突き出せば僅かな抵抗の後、蕾はその小さな唇を開いて楔を迎え入れた。
「あ……ッ、んんんッッ!!」
 それと同時に背後から伸びてきた手のひらがロイの口を覆い、嬌声を押さえ込んでしまう。ズブズブと楔を押し込まれて、ロイは身を仰け反らせて喘いだ。
「ふ、……ンッ!!んふぅ…ッッ!!」
 ロイは大きな手のひらに熱い吐息を吐き出す。根元まで潜り込んだ楔がズルリと抜かれたと思うと、ガツンと一気に突き込まれた。
「ンンッッ!!ン───ッッ!!」
 ガツガツと突き上げればハボックの楔を包み込むロイの内壁が熱く熟れて引き込むようにうねる。そうすれば内部の熱に煽られたロイの躯も熱を帯び、ロイが普段つけているコロンを甘く香らせた。
「大佐……」
 ハボックは腕の中の甘い香りをうっとりと吸い込む。甘い香りはハボックの脳を蕩けさせ、逞しい躯を痺れさせた。
「大佐……たいさっ」
「ん!……んくぅッ!」
 激しい突き上げにロイは目を見開く。ぐちゅぐちゅとイヤラシい水音が激しさを増し、見開いた黒曜石からポロポロと涙が零れた。
「ふ……んん」
 助けを求めるように伸ばされたロイの手が書架の本の背表紙にかかり、バサバサと本が落ちる。普段そんなことをすればハボックを責めるロイも、今ばかりはそんな余裕もなかった。
 淫猥な水音と二人の熱い呼吸音が資料室に満ちる。最高潮に達した音が一瞬止まった次の瞬間、激しく乱れた息遣いが広がっていった。
「あ……ああ」
 ロイは力の抜けた躯を支えるように書架に縋りつく。そんなロイから己を引き抜いたハボックは、二人分の身支度を整え重い液体を溜め込んだゴムを手近のゴミ箱に放り込んだ。
「大佐」
 ハボックはまだ弾む息を整えているロイを引き寄せその頬に口づける。そうすれば黒曜石の瞳が責めるようにハボックを睨みつけた。
「こんなところで……ッ」
「でも、悦かったっしょ?」
 シレッとしてハボックは言ってニッと笑う。その逞しい腕に抱き上げられそうになって、ロイは慌ててハボックを押し返した。
「一人で戻れるッ!」
「そうっスか?」
「いいから行け!」
 真っ赤になってグイグイと押してくる恋人をハボックは楽しげに見つめていたが、やがてその赤く染まった頬にチュッとキスを落とす。
「じゃあ続きは今夜」
 そう耳元に囁けばハッとして揺れる黒曜石にハボックは笑うとロイをおいて資料室から出た。
 廊下を司令室に向かって歩いていくと開け放たれた窓から柔らかな風が吹き込んでくる。その風がハボックの胸元から甘い香りをかき立てて、ハボックは僅かに空色の瞳を見開いた。それと同時にさっきまで腕の中に閉じこめていた細い姿が目に浮かぶ。
 闇の中ではあの香りは一層甘く香るだろう。
 そんな考えにうっすらと笑みを浮かべて、ハボックは司令室に戻っていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手、励みになります、嬉しいですvv

来ましたよvって何がかというと「鋼の錬金術師フレグランス ロイ・マスタング(R--fa_aromaroy)」でございますよ!うふふふふふvvいや、品切れという話もチラホラ聞いていたので「入荷しませんでした、ごめんね」ってメールが来たらどうしようかとドキドキしてたんですが、無事手元に届きました。アロマロイっていいよねv腐腐腐vvんで、早速箱開けてみました。ロイの絵の箱の上部にはロイの錬成陣が、香水瓶にも錬成陣が描かれてました。んで、香水の色は綺麗な空色でしたよ!いや〜〜ん、ハボカラーvvvでもって肝心の香りですが……。なんと表現すれば?匂いの表現なんて判んないよー(←ボキャブラリー貧困)んーと、あんまり甘くないさっぱりした香りです。結構よくある香水の香りなんじゃないかなぁ。某通販サイトによりますと「トップのマリンノートが凛とした印象を与え、フリージア・バイオレットの限りなく優しい香りに変化していく。強さと繊細さを併せ持つフレッシュで深い香り」なんだそうな。さっぱり判らん(苦笑)試しに息子に匂いをかがせて「どう?」と聞いたら「いい香りなんじゃない?」って。ロイファンの母を前にした優等生的回答だよね(笑)その後「やっぱロイなんだから燃える匂いがしないと」って焦げ臭い匂いかい。誰がつけるんだ、そんなの。ちなみに「エドのもあるんだけど、どんな香りがすると思う?」と聞いてみたら「機械オイルの匂い」……いや、それどっちかというとウィンリーじゃ?(爆)まあ、そんな香水それこそつけたくありませんが(苦笑)でも、エドのはどんな香りがするのかなぁ。色はやっぱり金色だろうか。ともあれ、基本は飾っておいて、元気欲しい時につけるといいかもしれんvハボックもきっと、めげた時はロイにしがみついてクンクンするに違いないですもんねvv

以下、拍手お返事です。

葉月さま

確かに4人くらいが幸せな人数ですよね(笑)8人のロイが一斉に逃亡計ったら……それこそ部下に死亡フラグ立つかもです(笑)きっとその時は8人の中尉がスナイプしてくれると思います!映画、何をご覧になりましたか?ハリポタは好みだと思いますが、私は納得しきれない部分がー(苦笑)コクリコ坂もかなり批判票があるみたいですがどうなんでしょう。面白い映画あったら教えて下さい〜v

   
2011年07月25日(月)   No.82 (カプ色あり)

暗獣15
 そんな風にして穏やかな日を過ごしていく。ロイが窓辺の椅子に腰掛けて本を広げていれば、ハボックはビロード張りのトランクでゴロゴロしたりロイの足元でじゃれたりしていた。夜ともなればロイはハボックを連れて庭にでる。夜が好きなハボックは庭に出た途端、ロイの腕から飛び降りてタタタと駆けだした。
「何かいいものでもあるのか?」
 数歩先を行くハボックの後をゆっくりと歩きながらロイは尋ねる。そうすれば、ハボックはロイを紅い実をつけたラズベリーの木の下に連れて行く事もあれば、何もせずにロイの元に戻ってくる事もあった。
 その夜のハボックはそう尋ねられても足を止める事なく庭を走っていく。時折ロイがついてくるか確かめるように振り向く瞳がキラキラと輝いているのを見れば、この先にロイに見せたいものがあるのだと知れた。
 ハボックはロイを庭の片隅の小さな池に連れていく。ハボックが見上げる空には満月に近い月がかかって庭を明るく照らしていた。
「綺麗だな」
 ハボックの視線を追って空を見上げたロイは月を見つめて言う。月は確かに綺麗だがこれなら家の窓からでも見えるのにとロイが思った時、ハボックがロイの袖を引いた。
「なんだ?」
 ロイが視線を落とせばハボックが池の淵にしゃがみ込む。小さな池には空の月が降りていてキラキラと輝いていた。
「そうか、この時間でないと見えないんだな」
 ロイが言えばハボックがにっこりと笑う。小さな手で月を掬おうとすれば、水面(みなも)に月がキラキラと散って、天使のダンスのようだった。
 ハボックは月を踊らせながらほんの少し調子の外れた鼻歌を歌う。池の淵に腰掛けて、ロイは空の月と池に踊る月の欠片を見ながらハボックの歌に耳を傾けた。
 パシャンとハボックが両手で水を跳ね上げれば空の月と池の月の間にキラキラと光る掛け橋がかかる。それに向かって飛び跳ねたハボックの体がポンとかぁるい毛糸玉に変わった。小さな欠片の間をポンポンと、毛糸玉のハボックが歌いながら跳ねる。欠片がなくなり掛け橋が消えてなくなる寸前、ロイの手が池の水を掬って跳ね上げた。
「いい月夜だな、ハボック」
 ロイが話し掛ければハボックが答えるように歌う。
 月の光の中、優しい調子っ外れの歌声とパシャンと水を跳ね上げる音とが、いつまでもいつまでも響いていた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手、励みになります、嬉しいですvv

【ハボロイリレー小説部屋更新のご案内】
「volere」出会い編3 みつき分更新されています。リレーなので本来交互が原則ですが、流れの都合上この話を先に持ってきてます。それから、既にアップされた「出会い編1」ですが、大幅に改訂されて再アップされてます。いや、私が色々ワガママ言ったもんで(滝汗)おうかさんにはご迷惑おかけしましたが、とっても素敵に改訂されていますvv

「暗獣」です。この間見上げた月が綺麗だったもんで、ちょっと早いけどお月見な二人。暫くまったりとこんな感じで書こうかなって思ってますv

ところで来週の更新ですが、ちょいとお休みします。土曜は出来たら更新したいけどどうなるかなぁ。7月締め切りの作文がさっぱり進んでないんですよね、実は……。おかしいなぁ、確か一ヶ月くらいあった筈なのに何故あと一週間しかないんだろう(苦)そんなわけで更新休んで書きあげちゃいます。でも、日記は出来れば書きたいなー。


菜ノ花さま

いやいやいや、おそまつすぎるなんて事はないでしょう!でも、確かに読むのと書くのとでは違いますよねぇ。私も腐歴は長いですが自分で書こうと思ったのは鋼が初めてですから。でもでも機会と時間がありましたら是非〜〜vv

水瀬さん

へへへ、お菓子の甘い匂いをつけたハボかぁvこれから少しまったり二人を書いていこうかなって思ってます(笑)「凌霄花」いいでしょう、可愛くて可哀想でvvこの夏一気にガーッと進んでエンドに持ち込みたいと思います、うふふ、乞うご期待(笑)「パナケイア」そうか、みんなの誤解を解かなきゃいけないのか。エチ書いたらすっかり満足してましたよ(爆)ラストスパート、頑張ります〜v
2011年07月23日(土)   No.81 (その他)

分裂
「ハボック、コーヒー」
 リビングのソファーにだらしなく寝そべってロイは言う。だが、いつもならすぐに返ってくる返事が聞こえず、ロイは眉を顰めた。
「ハボック!」
 もう一度、今度はさっきより声を張り上げれば漸く返事が返ってくる。だが。
「今、手ぇ離せないんでちょっと待って下さい!」
 返ってきたのは期待していたのとは違うもので、ロイは眉間の皺を深くした。
「ハボックが二人いれば便利なのに」
 ハボックが聞いたら「自分で淹れようとは思わないんスか?」と絶対文句を言いそうなことを呟いて、ロイはやれやれと不満げなため息をついて目を閉じた。

「大佐、これ、なんスか?」
 洗濯籠に洗ったばかりのリネン類を山ほど抱えたハボックが、リビングに入りながら言う。ハボックの声に閉じていた目を開けて、ロイは本を傍らに置くと体を起こした。
「これ?」
 尋ねるロイにハボックが手にした小瓶を翳して言う。
「これ。ランドリースペースの棚に入ってたんスけど」
 ハボックが手にした瓶はエッセンシャルオイルのようだがロイには見覚えがない。
「そんな瓶、あったのか?」
「大佐が入れたんじゃないんスか?……なんだろう、洗濯液に入れるといい匂いがするとか」
 ハボックはリネンの山をロイが座っているソファーの向かいの椅子に置いて小瓶の蓋を開ける。クンと匂いを嗅ぐのを見て、ロイはクスリと笑った。
「匂いで判ったらたいしたものだ」
 ロイがそう言った時、ハボックの様子が俄におかしくなる。ハボックは両腕で自分の体を抱き締め、小刻みに震えていた。
「なんかぞわぞわする……っ」
「ハボック?!」
 様子のおかしいハボックにロイは思わず手を伸ばす。ロイの手がハボックに触れた、その瞬間。
「うわわ」
 ハボックの体がその輪郭がぼやけるほどに震えたと思うと。
 ポンッという音と共にハボックが二人になった。
「「え?」」
 全く同じ顔をした二人のハボックは驚いて互いに見つめあう。同じくびっくり仰天したロイは二人の顔を交互に見つめながらゆっくりと立ち上がった。
「どう言うことだ?ハボックが二人?」
 ロイはそう呟いて一方のハボックにそっと触れる。その途端。
 ポンッ!
 音と同時にハボックがもう一人増えた。
「どっ、どう言うことだッ?」
 流石のロイも思わず狼狽え、数歩後ずさる。その拍子にもう一方のハボックに触れれば、ポンッと音がしてそのハボックも二人に分かれた。
「ちょ……ッ?!」
「どう言うことっスかッ?!」
「えーっ、なんでオレが四人ッ?」
「大佐ッ、説明して下さいよッ!」
 四人のハボックに一斉に喚かれて、ロイは慌てて小瓶を取り上げる。瓶のラベルに記された文字を声に出して読み上げた。
「“双子のエッセンシャルオイル。この香りを嗅いだ者に触れるとその者が二つに分裂する”……って、おい、ハボ───」
「わあッ!」
 不用意に触るなとロイが言おうと振り向けば、そこには既に八人のハボックが立っていた。
(……壮観!)
 思わず内心唸るロイにハボックの一人が困ったように言う。
「大佐ぁ、これ、どうすりゃいいんスか?」
「触ると増えちまうみたいなんスけど」
「どうやったら元に戻るんスか?」
「手のひら合わせたら合体するとか?」
「また増えたらどうするんだよ」
「いっそどこまで増えるか試してみるってのはどうよ」
「そんなこと言って、これ以上増えたら部屋から溢れるぞ」
「おい、くっつくなよ。また増えちまう」
 一人が喋り出すと他のハボックも一斉に喋り出す。わいわいと話すハボックの声に負けじとロイは声を張り上げた。
「少し大人しくしていろ!元に戻る方法はこれから考えるが、せっかく八人もいるんだ。家事を分担して片づけたらどうだ?」
 ロイの提案にハボックたちが顔を見合わせる。それは妙案と頷くハボック達にロイは言った。
「というところで、コーヒーを頼む」
 これだけいれば誰かしら手の空いているのがいるだろう。そう思ってロイが言えば、待つこともなくコーヒーが出てきた。
「ありがとう」
 これからは色々と便利そうだ、と元に戻す方法を考えるどころか今の状況を満喫する姿勢でロイがカップに口をつけた時。
「大佐、屋根裏の片づけ始めたんでちょっときて貰えます?」
「大佐ァ、人手あるから書斎の整理するっスよ」
「大佐!またこんなところにお菓子隠して!」
「大佐ッ、この袋、中身書類じゃないっスか!」
「大佐!」
「大佐」
「大佐っ」
 次から次へとハボックがやってきては口々にロイに言う。そのあまりの勢いにロイが辟易してその場から逃げ出そうとすれば。
「いっそのこと大佐も増やせばいいんじゃね?」
「あ、それ、いいかも」
「書類もはかどるって中尉も喜ぶぜ」
「会議に出席しながら書類も片づくじゃん」
 とんでもないことを言い出すハボック達にロイはギョッとして怒鳴った。
「馬鹿を言うなッ!私が二人も三人もいてたまるかッ!」
 冗談じゃないと言うロイにハボック達が目を細める。
「オレのことは増やしておいてズルくないっスか?」
「元に戻す方法を考えてる様子ないし」
「やっぱ大佐も増やそう」
「おう、そうと決まれば早速」
 その言葉にロイは飛び上がって逃げようとするが、ハボック八人に囲まれては逃げられるはずもなく。
「はい、大佐、思い切り腹から息吸って〜」
 両脇からガッチリと押さえ込まれ鼻先に小瓶を押しつけられてロイは必死に息を止める。だが、それも瞬く間に限界に達し。
(嫌だ〜〜ッッ!!分裂は嫌だーーーッッ!!)
 内心大声で叫んだロイの唇からプスッと息が漏れて。

「大佐」
「やめろ───ッッ!!」
 肩を揺する手を振り払い、叫んでロイはガバッと飛び起きる。そのあまりの勢いに仰け反ってロイを見下ろすハボックを見上げてロイは怒鳴った。
「私を分裂させようだなんてっ!見損なったぞ、ハボック!!」
「は?分裂?何言ってるんスか、大佐」
 キョトンとして首を傾げるハボックを見上げたロイは、ハボックが一人なのに気づいて辺りを見回した。
「他のハボックはどうしたっ?」
「他のハボック?」
「いただろうっ?分裂して他にハボックが七人!」
 そう言うロイをハボックはまじまじと見つめる。それから少しして言った。
「大佐、夢見てたっしょ」
「え?ゆ、夢?」
「オレが来たとき気持ちよさそうに寝てたっスもん」
 言って笑うハボックをロイはポカンとして見つめたが、やがて肩の力を抜いた。
「夢……そうか、夢か」
 がっくりとソファーに沈み込むロイを見て、ハボックはクスリと笑う。
「コーヒー、淹れてくるっスね」
 そう言ってキッチンに入っていくハボックの背を見送って。
(ハボックは一人いれば十分だ)
 しみじみそう思うロイだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手もとっても嬉しいですvv

早速ですが、今日の更新はたぶん「パナケイア」だけになると思いますー。ハボロイの方には申し訳ない(苦)土日月の三連休明けの更新日って書く時間ないんだもん……orz だったらこんな長い日記書いてないで先にハボロイ書けって言われそうですが(汗)連休中にダンナと息子と三人で「ハリーポッター」見てきたんですよ。終わって誰も「面白かったね」って言わなかったという(苦笑)んで、映画の中に「双子の呪文」って言うのが出てきて、それがかけられたものに触ると次々二つに分裂していくって魔法があったんですが……ハボックいっぱいいたらいいなぁvvハーレムじゃん(爆)何見ても妄想尽きません(苦笑)しかし、この話、エチにもつれこんだら大変な事になりそう。ハボとロイだけじゃなくてハボ×ハボも楽しそうだしっvvって、相変わらず脳みそ腐っててすみません(汗)

以下、拍手お返事です。

菜ノ花さま

うわぁ、ありがとうございます!「キスまでの距離」……高校生みたいなハボとロイで恥ずかしいんですが(汗)感情移入して読んで頂けて嬉しいですv菜ノ花さまのお宅はロイアイサイトですかー。ハボック至上主義の私としてはロイがハボ以外の人を好きなのが駄目なので……うーん、菜ノ花さまのお話、読んでみたかった……残念ですーorz うちのハボロイきっかけでハボロイ再熱したとは嬉しい限りです!再熱の勢いでハボロイも書いてみるとかどうですかっ(こら)
2011年07月19日(火)   No.80 (その他)

暗獣14
 二、三日するとハボックの様子も段々と落ち着いてくる。コレクションを床に並べ出すハボックを見れば、体調がよくなってきたことを感じさせてロイをホッとさせた。
 大事なコレクションを床に並べて眺めていたハボックは、大好きな天使の時計が正時を告げるのを聞いてパタパタと時計に駆け寄る。棚の縁に掴まるようにして天使のダンスを見つめながら少し調子の外れた鼻歌を歌うハボックを、ロイは微笑んで見つめた。曲が終わっても飽かず天使を眺めているハボックの髪を、ロイはクシャリとかき混ぜた。
「好きだな、それ」
 正時になる度ハボックは時計を眺めている。優しく撫でてくれるロイをハボックは見上げていたが、不意にその手から逃れると部屋を出ていってしまった。
「おい」
 その背を追おうとして足を踏み出したロイは、靴の下でパリッと音が鳴ったのに気づいてギクリとしてそろそろと足を上げた。
「しまった」
 上げた足の下でクッキーが一枚、二つに割れていた。ロイは腰を屈めて割れたそれを拾い上げる。
「出しっぱなしにするから」
 と、言い訳めいた事を口にしながらロイは割れたクッキーをポケットに入れ、残りのクッキーとジェリービーンズを拾い集める。ビロード張りのトランクの隅にそっとしまうとロイはため息をついた。
「どうするかな」
 同じクッキーを入れておけばバレない気もする。だが、ハボックを騙すような事をするのはなんだかはばかられて、ロイはハボックを探して寝室を出た。階下に降り中庭への扉を抜けて外へ出る。ロイは色々な木々が植えられた庭をハボックを探して歩いた。
「ハボック」
 小さなハボックは庭に隠れてしまうとその姿を探すのは容易ではない。時に元の毛糸玉に戻ってしまうこともあり、そうなると本当にどこへ行ったか判らなくなってしまうのだ。
「やれやれ」
 ロイはそう呟いて庭を見回す。不意に甘い香りが鼻孔を擽って、ロイは香りの元を探して足を踏み出した。
「こんなところにクチナシが……」
 少しして木々の合間に白い花が咲いていることにロイは気づく。甘い香りを放つ白い花弁はとても可憐で、ロイは綺麗なものが好きなハボックと花を眺めたいと名前を呼んだ。
「ハボック」
 だが、どこへいってしまったのか、ハボックは姿を見せない。ロイは一つため息をつくとポケットの中の割れたクッキーを握り締めて家へと戻った。

 その日一日ハボックは戻ってこず、ロイはどこかで倒れでもしているのではと心配になってくる。簡単な夕食を済ませて食器をシンクに放り込んだロイはもう一度探しに行こうとして、ふと鼻先を掠めた甘い匂いに目を瞠った。
「ハボック」
 パタパタという軽い足音に振り向けば小さな姿が駆け寄ってくる。腕を伸ばして抱きついてくる体を抱き上げて、ロイはハボックに言った。
「どこに行ってたんだ?あんまり帰ってこないから心配したぞ」
 ロイが言えばハボックがロイの肩口に髪をすり付ける。そうすれば香りたつ甘い香りが昼間嗅いだものと同じ事にロイは気づいた。
「お前、あそこにいたのか」
 ロイがそう尋ねればハボックがロイを見る。ハボックは握り締めていた手を開いてロイに差し出した。
「ろーい」
 小さな手のひらの上の白い花弁を見てロイは目を瞠る。ふぁさりと尻尾を振ったハボックの空色の瞳が期待するように見上げてくるのを見て、ロイはハボックの手のひらからクチナシの花を取り上げた。
「くれるのか?」
 そう尋ねるロイにハボックが頬を擦り寄せてくる。甘い香りがする金色に目を細めたロイは、ふと思い出して言った。
「そうだ、お前に謝らないといけないことが」
 ロイはハボックを抱いたままキッチンを出て二階に上がる。寝室のベッドサイドのテーブルに置いておいた割れたクッキーを取り上げてハボックに見せた。
「踏んでしまったんだ。すまなかったな」
 ロイはそう言って謝ると新しいクッキーをやろうかと尋ねる。ハボックはロイとクッキーを交互に見ていたが、ロイの手のひらからクッキーを取り上げるとピョンと飛び降りた。どうするのだろうと見ているとハボックは割れたクッキーをビロード張りのトランクの隅にそっとしまう。他のコレクションと一緒に割れたそれを大切にしまうハボックを見て、ロイは胸が熱くなった。
「ハボック」
 呼べば肩越しに振り向いた空色が見上げてくる。ロイが腕を伸ばせばハボックが抱きついてきた。
「ろーい」
 甘えるように呼んでくるハボックの甘い香りのする髪に鼻を埋めて、ロイはうっすらと笑った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。パチパチ拍手も嬉しいですーv

今日の「暗獣」はMさんに。クチナシの花言葉は「喜びを運ぶ」だそうですよ。早く元気になってまた私に萌えを供給してやって下さい。大好きだ!

そうそう、リンク切れご報告頂いた分、アップしなおしましたー!ご連絡頂いた方にはありがとうございます。どうしてリンク切れになったりファイルがどっか行っちゃったりするのかさっぱり判らないのですが、基本、アップした後リンクのチェックをしたりする事はないので、どっかでリンク切れ見つけたら教えてやって下さい〜。あとよくやるのはループ。連載で次の章にリンクしようとして同じページのリンク貼っちゃうってやつ(苦笑)見つけたら知らせて下さいー。って、自分でチェックしろって話か(汗)

それから、ハボロイリレー小説ですが、都合により隔週連載となりました。基本、第二、第四土曜日になります。なので今週はお休み……。ご了承くださいませ。

それからもう一個。今日の更新はもしかしたら「パナケイア」だけになるかもしれませんー。「霧屋」まだ書いてないんだもん……。実は七月末締め切りのハボロイがあるんですが、のんびりしてたら間に合わない気がしてきたもんで(汗)そして更に「凌霄花」を夏中に書き上げたいとかも思ってたり。これ、夏ネタなので今を逃すとまた一年先になっちゃうから(苦笑)色々書きたいものが山積みでちょっと混乱気味。いっそ今日は「パナケイア」と「凌霄花」アップするかなぁ(どっちも書いてある)うーん、ハボロイに優しくない更新だ(苦笑)
2011年07月16日(土)   No.79 (その他)

暗獣13
 ヒューズの寝室を出たロイは扉を抜けて庭に出る。月の光が照らす中、ロイは庭の片隅にある井戸のところへやってきた。ハボックを片手に抱いたまま、もう一方の手でポンプのバーをガシャンと動かす。古いポンプはガシャンガシャンと派手な音を響かせながら井戸の水を吐き出した。
「ハボック」
 腕の中の小さな姿に呼びかければハボックがロイの腕から抜け出す。ふらふらと危なっかしい足取りで井戸に近づくと、ハボックはポンプの下に手を差し出した。
 ガシャンとロイがバーを押せばザバリと水が零れる。ハボックはホッと息を吐き出し、全身ずぶ濡れになって手のひらに受けた井戸の水を口に運んだ。
 ガシャンガシャン。
 月の光の中、井戸の水が銀色に輝く。いつしかハボックは地面に座り込んで井戸の水を頭から浴びていた。金色の犬耳をぺしょんと伏せ、尻尾を水たまりの中に浸して座り込むハボックをロイは心配そうに見つめる。バーを動かす手を止めると、ロイはハボックの顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
 どうしてやったらいいのか判らないまま月の光に誘われるように庭に出ていた。ハボックが唯一口にする井戸の水を飲めば体の中のアルコールも薄まるかと思ったが、濡れそぼったハボックの体はまだ赤みを帯びたままだった。
「ろーい」
 小さく呼んで手を伸ばしてくる体をロイは抱き上げてやる。家の中に戻ったロイは濡れた服を脱がせハボックの体をタオルで包み込んだ。そうして二階の寝室に上がりハボックの体をビロード張りのトランクの中におろす。うっすらと目を開いて見上げてくるハボックの赤みを帯びた金髪を、ロイは優しく撫でた。
「すまなかったな、私の不注意だ」
 ハボックの気に入りのグラスだと判っていたのに酒を飲むのに使わせてしまった。せめてその場ですぐに中身を空けて洗っておけばハボックが間違って口にすることもなかったものを。
「苦しくないか?」
 そう言いながら撫でるロイの手にハボックは頬を擦り寄せる。時折ふぁさりと尻尾を振ってとろとろと微睡むハボックを、ロイは一晩中見守っていた。

「ヒューズ」
 翌朝、リビングに下りればヒューズが飲み散らかしたままだったテーブルの片づけをしていた。呼ぶ声に片づける手を止めて振り向いたヒューズはすまなそうに頭を掻いた。
「夕べはすまなかったな。で、どうよ、様子は」
「眠ってる。井戸の水を飲ませてみたんだ。落ち着いてくるといいんだが」
 ため息混じりに言うロイを見つめていたヒューズは、再びテーブルに戻ると残りの片づけを済ませてしまう。朝飯を食っていけというロイに首を振って、ヒューズは玄関に向かった。
「ロイ、夕べお前に戻ってくればと言っただろう?あれな、本気だから。上の連中もお前に戻って欲しがってる」
「ヒューズ」
「まあ、ハボックの様子が落ち着いたら考えてみてくれ」
 じゃあな、とヒューズが帰っていくとロイは一つため息をつく。寝室に戻り、ハボックが休んでいるトランクの側に腰を下ろした。
「このままお前とここで暮らすのは駄目なんだろうか」
 そう言いながらロイはハボックの髪を撫でる。ほんのりと暖かく柔らかい手触りは、ざわざわと波立つロイの心を落ち着かせた。
「大それた望みなぞ持ち合わせていないのになぁ」
 ただハボックと二人、静かに暮らていけたらそれでいいのに。
 ロイはハボックの髪を優しく撫でながらそっと目を閉じた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

お久しぶり「暗獣」です。しかし、最近日記でまともなハボをかいていない気が(汗)もののけじゃなかったら子ハボばっかりだしなぁ……。まぁ、いいか。書いてて楽しければ(苦笑)

以下、拍手お返事です。

柚木さま

ナンジャ、色々考えるなぁと感心しますよねぇ。饅頭、楽しんでいただけて嬉しいです。

葉月さま

もー、息子と食べまくってきましたよ!選ぶ基準はステッカーが欲しいかどうか(笑)でも、焔の錬金術師クレープは食べてみたかったです。ボイン饅頭、にまにまして頂けて嬉しいですv

霧屋、とても楽しく読ませて頂いております の方

わぁ、ありがとうございます!カッコいいハボは書きつけなくて毎度悩みの種なのでそう言って頂けると嬉しいですー!ナンジャ、うわ、いいなぁ、その掛け合い!!私の時は店員さん一人でやってくれませんでしたよー。「お前ボイン好きだろ!」って言ってくれたら「大好きっす、ボイン!」って答えてあげたのになぁ(笑)まだまだ鋼、終わりませんよ!これからもよろしくお付き合い下さいねv

いつも楽しませていただいています の方

「低気圧」リンク切れ、ごめんなさい&教えて下さってありがとうございます!これ、調べてみたらリンクが切れているどころかページが丸々なくなってしまってまして(汗)慌てて下書き溜めこんでるフォルダー探したらありました、よかった……。そんなわけで改めてアップしなおしましたので、是非読んでやって下さいv「パナケイア」ははは、最後のエロエロやっと到達したので頑張って書かせて頂きます!
2011年07月14日(木)   No.78 (その他)

ナンジャタウン3
後はお持ち帰りで晩ご飯にいただきました。

サクサク!アルフォンス餃子 630円
かなり薄い餃子で、持ち帰って温めなおしたせいかちょっと堅かったかな。中はチリだかなんだかでピリ辛味。一味唐辛子の入った塩でいただきました。うーん……まあまあ?(笑)



エドの三つ編餃子 580円
三つ編みというよりエビだよなぁと思いつつ、カレーの香りのする揚げ餃子。味は……具、少なすぎだよ(苦笑)



アルの魂の血印餃子 680円
上に餃子の皮?をアルの形に切った切り絵が載ってるだけの普通の餃子でした。美味しかったけど、アルが載ってるだけで普通の餃子より180円も高いなんて……ぼってるなぁ(苦笑)



アルとネコのチョコレアチーズケーキ 530円
アルとネコのクッキーが可愛い〜vでも、載ってるチョコケーキが甘くて……(苦)もともとあまりチョコ系のケーキを食べつけないので美味しかったけど甘かったー……。



国家錬金術師セット 450円
エドとロイと少佐の顔が焼き印されたお煎餅。たぶん食べずに飾っておくと思います(笑)

色々食べて、後はグッズなんかも買ってきました。でも、眼鏡ケースもハンカチもあらかた売り切れで、それでも缶バッチやらポストカードやら買ってきましたが。あと、なんぞミッションみたいのやると賞品がもらえるというのをやりまして。私は二回やってどっちもC賞で、息子は一回やってA賞のブックマーカーだったんですよね。いいなぁを連発してたら、グッズを1000円買うことに一枚貰えるミニポスター二枚(エドとロイ&リザ)と交換してくれました。ありがとぉぉ、息子!!

そんなわけでひたすら食べ歩きしてきました。「焔の錬金術師クレープ」なんかもあったんですが、流石にお腹いっぱいで(苦笑)ともあれ、楽しんできましたよ。そうそう、グッズ売場のスタッフは全員軍服着用でしたv

以下、拍手お返事です。

naoさま
えへへ、ニヤニヤして頂けて嬉しいですーvぜひまたネタをよろしくお願いしますv(笑)夏の子育ては暑いですよねぇ。腕にアイスノン、気持ち判ります!小さく産んで大きく育てるのがいいって言いますし、まだまだ許容範囲ですよ!でも、ダッコする身としては大変ですよね(苦笑)「パナケイア」もやっとここまで来ましたー!後もう一息です。息抜きにお役立て頂けたら嬉しいです〜v
2011年07月12日(火)   No.77 (その他)

ナンジャタウン2
ナンジャで食べてきたもの、続きです。

エンヴィーの鉢巻餃子 600円
皮に黒ごまを練り込んで黒くしてあるんですが、味は普通の餃子で美味しかったです。



お前ボイン好きだろ。 730円
本日のメインイベント!!ちゃんとレジで「お前ボイン好きだろ一つくださいッ」って注文してきましたよっv恥かきついでにカウンターに飾ってあったハボのカードも写真に撮らせて貰ってきました(爆)これ、牛皮でピーチ味のアイスをくるんであって結構美味しかったんですが、アイス食べた後、その下に赤いグミが隠してありましてね!もしかして賢者の石?うわぁ、凝ってる!いいなぁ、こう言うの!そしてこれ、レシートを見たら商品名は「ソラリス」でした。すばらしいv



リンとグリードアイス 650円
カシスシャーベットと……なんだっけな、黒いアイス。名前が思い出せん。羽かと思ったのはホワイトチョコで作ったリンの剣でした。味は、まあ……普通?(笑)



現地ではこれだけ食べて後はお持ち帰り(笑)
写真載らないのでもういっこ続きで。
2011年07月12日(火)   No.76 (その他)

饅頭
「ハボック?」
 学校からの帰り道、菓子屋の店先でガラスにへばりつくようにして菓子を覗いている見覚えのある姿にロイは眉を顰める。家へ向かう足を店へと変えると、ロイは近づきながら声をかけた。
「ハボック」
「あ、ロイ」
 背後から聞こえた声にハボックが張り付いていたガラスから顔を離す。ガラスが微かに曇っているのに呆れたようなため息をつきながらロイは尋ねた。
「そんなところに張り付いてるなんて、よっぽど腹が減ったのか?」
 五つ年下のハボックはもうすぐ八歳になる、ロイのお隣さんだ。赤ん坊の頃から知っているハボックをロイは弟のように可愛がっていた。
「ううん、あれ、いいなぁって」
 ハボックは首を振って答えるとショーケースの中を指さす。ショーケースの中に飾られたものを見て、ロイはギョッとして凍り付いた。
「な……ッ?なんだ、あれは……ッ!!」
 白くふっくらと丸みを帯びた菓子はどうやら饅頭のようだ。二つセットになっているらしいそれは、もちっとした白い丸い形の三分の一ほどを黒い紙で覆ってあった。
「どっ、どうみてもあれは……っ」
 女性の胸のようにしか見えないと口にしかけて、ロイは慌てて言葉を飲み込む。そんな想像をしてしまうなんてとロイが自分を責めた時、ハボックが言った。
「あれ、ボイン饅頭って言うんスよ」
「えッッ?!」
 女性の胸だと思ったのは決して間違いではなかったらしい。驚きながらも胸を撫で下ろしたロイは、続くハボックの言葉に飛び上がった。
「旨そうだなぁ、白くてもちもちしてて」
「ハボック!なんて事を言うんだッ!!」
 女性の胸を旨そうだなんて、齢八歳にしてボインが好きとはこの先将来が思いやられると、ロイが目を吊り上げればハボックはキョトンとして首を傾げた。
「どうしてっスか?だってただの饅頭っしょ?」
「えっ、いやまぁ……確かにそうだが」
 不思議そうに自分を見上げてくる空色の瞳は一点の曇りもない。それを見れば下世話な事を考えてしまった自分が恥ずかしくて、ロイは顔を赤らめて言った。
「食べたいなら買ってやろうか?」
「えっ?ホントっスか?!」
 言えば目をきらきらさせるハボックが可愛らしい。ロイは店に入ると饅頭を指さして注文した。
「ボイン饅頭お一つですね?」
「……はい」
 口に出して頼むのが恥ずかしいから指さして注文したというのにわざわざ声に出して確認されて、ロイは顔を赤らめながらも頷く。代金を払ってそそくさと店を出ると、期待に顔を輝かせるハボックに饅頭を押しつけた。
「ほら、これでいいだろう?」
「わぁ、ありがとうっ、ロイ!」
 ハボックは嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。それを見れば買ってやってよかったかとロイが思った時。
「この饅頭ってボインっていうよりロイのお尻みたいっスよね」
 早速饅頭を取り出したハボックが言うのが聞こえてロイは凍り付く。
「ほら、白くてプリッとしてロイのお尻そっくりっしょ?」
 ハボックはそう言って二つセットの饅頭を両手で持ってキュッとくっつける。少し縦長に延びてぴったりとくっついた白い饅頭は、女性の胸というより確かに尻の形のように見えた。
「ロイのお尻、いただきまーす」
 ハボックはにっこり笑って口を大きく開ける。ロイはハボックが噛みつく寸前、ハボックの手から饅頭を奪い取った。
「あっ?!」
「食うなッ!!」
「えっ?どうしてッ?!」
 買ってくれたということは食べてもいいのではないか。それなのに今更食うなとは酷いと、ハボックは饅頭を奪い返そうとした。
「ヤダッ!食わせてッ!」
「食いたいなら他のものを買ってやるッ!」
「えーっ?!オレはそれが食いたいんス!!」
 そうは言われても自分の尻のようだと言われたものを食われるのは抵抗がありすぎる。
「ロイっ、返してッ!」
「だめだ、これだけは絶対ダメだッッ!!お前に食わせるくらいなら私が食うッ!!」
 白いボインを高々と掲げるロイと、取り戻そうとしてぴょんぴょん跳ねながらまとわりつくハボックと。街の大人たちは微笑ましく見守っていたとかいなかったとか。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手もパチパチ嬉しいですv

実際は饅頭でなくてアイスなんですが、アイスだとギュッと押してくっつけられないし、取り合いっこも出来ないので饅頭で。
と、言うわけでナンジャタウンに行ってきましたーッ!いやあ、「おまえボイン好きだろ」アイスがあると聞いてから、もういきたくて行きたくて堪らなかったんですが、漸く今日、息子と一緒に行ってきました(流石に一人で行く勇気はない(苦笑)以下、色々食べてきました。

「焔のバーガーセット」だ、覚えておきたまえ! 850円
マフィンにロイの錬成陣が描かれたバーガーを一番最初に食べてきました。中身はチョリソー3本とマッシュポテトとレタスにチリソースがかかったピリ辛味。なかなか美味しかったですv揚げたてポテトとウーロン茶のセットでした。



エド餃子まん 680円
エドの顔を形どった餃子まん。これ、やたら皮が厚くて中身はちょんびりしか入ってなかった……。顔の部分も厚いのにさらに髪の部分もあるので皮ばっかり食べてる感じでした(苦笑)



「もう喋らなくていいぞ、エンヴィー」餃子 750円
これ、手と目はパイ生地なのかなぁ……。なんかあんまり味がなくて。煎餅も正直美味しくなかったです(苦笑)トマトベースのソースが載った餃子はまあまあ美味しかった、かな。アイディアは頑張ったけど出来はイマイチ(苦笑)



食べてい〜?餃子 550円
鼻が餃子、舌は餃子の皮でした。ウロボロスの紋章が焼き印で押してあるんですが、イマイチなんだか判らない(苦笑)顔も薄い餃子で味は良かったんですが箸で切れなくて苦労しました(苦)



写真が4枚しか載らないので続きます〜。
2011年07月12日(火)   No.75 (カプなし)

溺愛
「ブレダ少尉〜ッ!」
 バンッと司令室の扉が開いて髭面の上司が飛び込んでくる。書類を書いていたブレダは思わず力が入った弾みに潰れてしまったペン先を見て、低く呻いた。
「少尉っ、聞いてくれよッ」
 真っ直ぐにブレダの所に向かってきたヒューズは、ブレダの机に思い切り両手をつく。ヒューズの手の下で書類がクシャリと歪むのを見て、ブレダは慌てて書類を助け出した。
「はいはい、今度は何です?可愛いジャンくんになにかありましたか?」
 この上司がこんな顔で聞いてくれと言えば、その話は99パーセント愛息子のジャンの話に決まっている。ヒューズの子煩悩ぶりは司令部でも有名で、その話の熱烈さ故、今ではヒューズの話を聞いてくれるのはブレダくらいなものだった。
「何かあったなんてもんじゃねぇよ!俺は凄いショックで!!」
 どれほどショックを受けたか切々と語る上司の話をこれも給料の内とブレダは耳を傾ける。行儀よく聞いていれば話は漸く本題に入って、ヒューズは涙を拭うフリをした。
「ジャンが幼稚園で好きな子が出来たって話はしただろう?」
「ああ、ロイって子でしたっけ?黒髪黒目の可愛い子」
 ブレダは以前聞いた話を思い出して言う。ロイはジャンの一つ上で、ジャンが入園した直後からなにくれと面倒をやいてくれ、その優しさにジャンはすっかりロイの事が好きになってしまったらしかった。
「そう、あのタラシのガキをジャンが好きだって言い出しただけでもショックだったって言うのに…!」
 自分で話に出しておきながらロイの事を思い浮かべて一通り罵るのを適当に聞き流してブレダは話を促す。そうすればヒューズは眉を顰めて言った。
「それがな、ジャンの奴、他にも好きな奴が出来たらしいんだよ」
「へえ、そりゃ」
 二股ですかと言いかけてブレダは言葉を飲み込む。ヒューズはブレダが言おうとしたことには気づかずに話を続けた。
「年少に入ってきた奴なんだがな、エドワードっていう金髪金目のガキでよ、コイツが利かん気で騒ぎばっかり起こしてて」
 ついほっとけなくて面倒を見ているうちに絆されてしまったらしい。エドワードの方も満更ではないらしく、いまではロイと三角関係のようになってしまったということだった。
「なあ、どうしたらいいと思うっ?!」
「どうと言われても」
 たかだか幼稚園に通う子供の言うことだ。微笑ましいと見守っておけばいいのではとブレダが思っていると、ヒューズが拳を握り締めた。
「しかもしかもジャンってば二人と結婚するって言い出して!その上、その事は俺には内緒にしてねってグレイシアに言ってたんだッ!小さい頃は俺と結婚するって言ってたのにそれなのにッ!!」
 このままじゃ他の男のものになってしまうと嘆き身悶える髭面の上司をブレダはげんなりと見つめる。
(今からこんなで将来どうするんだ)
 ジャンが年頃になったらそれこそ血を見るんじゃなかろうかとブレダが心配になってきた時、司令室の扉が開いて小さな姿が駆け込んできた。
「パパぁ」
「ジャンっ」
 抱きついてくる小さな体をヒューズは両腕を広げて受け止める。頬ずりされて痛いと笑うジャンを見て、ブレダは言った。
「連れてきてたんですか?中佐」
 幾ら家族とは言えこれでは公私混同ではないのだろうか。思わずブレダがそう言えば、ヒューズが口を尖らせて言った。
「だってパパがお仕事してるところが見たいって言うんだもんっ」
 可愛い息子を抱き締めてカワイコぶりっこで言う髭面の男にブレダは脱力してしまう。すると、ヒューズに抱き締められていたジャンが言った。
「違うよ、パパ。パパのお仕事見たいって言ったのはロイだもん」
 ジャンはそう言ってヒューズの腕から抜け出しピョンと飛び降りる。司令室の扉から顔を出すと外に向かって声をかけた。
「ロイ、入っていいって」
 そうすればどうやら外で行儀よく待っていたらしい黒髪の男の子が入ってきた。「俺はいいなんて言ってない」とヒューズがぼそぼそと言うのは聞こえないフリでロイはにっこりと笑った。
「お忙しいのにワガママをきいて頂いてありがとうございます。ロイ・マスタングです。ジャンがいつもパパは凄い仕事をしているんだと自慢するので、是非拝見したくて」
 とても幼稚園に通う子供が言いそうもないことを口にしてロイはヒューズを見る。挑戦的なその視線にヒューズがムッとして睨みつけた時、バタバタと足音がしてもう一人子供が飛び込んできた。
「ジャン!ここにいたのかっ!迷っちまったぜ」
「エド」
 金髪金目の子供は司令室に入って来るなりキョロキョロと辺りを見回す。ヒューズが自分を見ている事に気づいてニッと笑った。
「アンタがジャンの父ちゃん?俺、エドワード・エルリック。将来ジャンのダンナになる男だから」
 ヨロシク、とピッと敬礼もどきの合図を投げてくるエドワードにヒューズのコメカミがヒクつく。それを聞いていたロイがヒューズより早く不愉快そうに言った。
「聞き捨てならんな、ジャンと結婚するのは私だ」
「はあ?なに言ってんだよ。ジャンと結婚すんのは俺に決まってんだろ!」
 ロイの言葉にすぐさまエドワードが言い返す。私だ、俺だと言い争う子供達を震える拳を握り締めて聞いていたヒューズが、カッと目を見開いて言った。
「ふざけるなッ!可愛いジャンをお前らなんかにやれるかッ!ジャンはなぁ、パパのお嫁さんになるって言ってるんだよッッ!!」
「そんなのガキの頃の戯言だろッ!ジャンは俺と結婚するって言ったんだ!」
「なにを言う!私とジャンは一年前から婚約中だッ」
 ギャアギャアと言い争う三人をジャンがオロオロと見つめる。何とか止めようとしていたジャンはスラリとした美人が扉から顔を覗かせたのに気づいて駆け寄った。
「ママ!」
「ジャン、勝手に行っては駄目でしょう」
 グレイシアは駆け寄ってきた息子を抱き上げて言う。なにやら疲れきった表情をしているブレダに気づいてグレイシアはすまなそうな顔をした。
「ごめんなさい、ちょっと目を離した隙に勝手に行ってしまって……。ご迷惑かけませんでしたか?」
 どうやら今日はグレイシアがヒューズの許可の元、ジャン達三人を連れて司令部に来ていたらしい。アンタのダンナが一番迷惑だと言いたいのをこらえて、ブレダは引きつった笑みを浮かべた。
「ママぁ、結婚の事はパパには内緒なのに二人が言っちゃった!」
「あら、それじゃあさぞかし」
 大変な事に、とヒューズの方へ視線を向けたグレイシアは幼稚園児と本気で言い争っている夫の姿にため息をついた。
「いつもご面倒をかけているみたいで」
「いや、これも仕事の内ですから」
 毎度夫がその部下であるブレダに迷惑をかけているらしい事を察してグレイシアが言えばブレダがアハハと笑う。
「ママ、どうしてパパが迷惑なの?」
 不思議そうに首を傾げる無邪気なジャンに、お前のせいだとは流石に言えないグレイシアとブレダだった。



いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手、励みになります。嬉しいですv

【ハボロイリレー小説部屋更新のご案内】
「volere」第一章出会い編第二話、みつき分更新されています。

拍手で幼稚園のお子さんが二人好きな男の子がいて、選べないので両方と結婚するって言ってるって話を伺ったもので、早速ネタにしちゃいました。気の多いロイとヤキモチハボの話でもよかったんですが、なんかヒューズを出したら話が妙な方向へいってしまった(苦笑)男同士でと言うところは目を瞑って頂けると。罪作りな子ハボの話(笑)しかしタイトル思いつかなかったよ(苦笑)

以下、拍手お返事です。

風汰さま

おおお、今頃の到着ですか??風汰さまのところならそんなに日数かからずに届く筈なのに、ど、どこを彷徨っていたんだろう……(汗)ともあれ、無事お手元に届いてよかったですぅ。お楽しみ頂けたらなお嬉しいです。11.5巻、手に入れ損なう事のないよう、ちゃんと初日に見に行ってきましたよ!(笑)も〜〜〜〜ッ、ハボックーーーーッッ!!って叫びたくなりますよねッッ!!ちなみにうちには11.5巻、今のところ三冊ありますよ(笑)


naoさま

ありがとうございます。おかげさまでなんとかここまでやってこられてます。これからもどうぞよろしくお願いしますねvそれにしても本当に毎日暑いですねー。私も息子が夏生まれなので、抱っこしてると腕に汗かいちゃうのでいつもタオル挟んで抱っこしてました(苦笑)下着で転がしておいても風邪をひく心配はないけど、ホント夏場の人間湯たんぽは辛いですよねぇ。どうぞ、お母さんがバテテしまわないよう、お体お気をつけ下さいね。そして、お子さんのカワイイ話、またまたネタに頂いてしまいましたー!なんかズルッと違う方向に行っちゃった感じなんですが、とりあえずハボがモテモテって事で(苦笑)また何かありましたらお聞かせ下さい〜vv
2011年07月09日(土)   No.74 (カプなし)

七夕
 学校のレポートを纏めていたロイは、ペンを置くとうーんと大きく伸びをする。ずっと近くばかり見ていた目を休めようと窓の外へ視線を向けたロイは、向かいの家の玄関にポツンと座るハボックの姿を見つけて目を瞠った。
「なにをやってるんだ?あんなところで」
 今日は生憎の雨模様。玄関ポーチの中とはいえ雨が吹き込まないわけではない。膝を抱えて蹲る幼なじみが気になって、ロイは部屋を出て階下へ下りた。玄関から外へ出ようとすれば二階から見ていたよりも雨が結構降っている。いくら道を挟んだ反対側とはいえこのまま出ればずぶ濡れだと、ロイは傘をさしてハボックの家に向かった。
「ハボック」
 通りを渡り、ロイは門の外から声をかける。だが、顔を上げようとしないハボックに、ロイは眉を顰めて門を押し開けるとハボックに近づいた。
「ハボック、どうした?」
 そう声をかければ漸くハボックが顔を上げる。今日は厚い雲の向こうに隠れて見えない空の色と同じ色の瞳がうっすらと涙の膜を纏っていることに気づいて、ロイは目を見開いた。
 ロイの幼なじみのハボックは今年小学校にあがったばかりだ。漸く小学校に入ってロイと一緒に通えると喜んだハボックが、実は入れ替わりにロイは卒業してしまうと知って大泣きしたのはついこの間のことだった。
「どうしたんだ、ハボック」
 小さい頃から可愛がっていたハボックの涙がロイは苦手だ。卒業しないでとハボックに泣かれて、本気で留年しようかと考えたのは誰にも内緒だった。
「雨……雨が降ってる……」
「え?」
 言われてロイは頭上を降り仰ぐ。確かに雨が降っているがそれが泣くほどの事だろうかと首を傾げれば、ハボックが言った。
「今日は七夕なのにっっ!!」
「あ」
 大きな声で言ってボロボロと泣き出すハボックを見て、ロイは漸く今日が七夕だったと気づく。この間ハボックと一緒に短冊に願い事を書いたことも思い出して、ロイはハボックの頭を撫でた。
「仕方ないだろう、今は雨の季節だからな。七夕に晴れる方が珍しい」
 七夕の頃、この辺りは雨の季節だ。実際七夕の夜に綺麗に晴れ上がる事など滅多になくて、ロイの意識の中では七夕と星を見ることは全くと言っていいくらい結びついていなかった。
「でも……せっかく願い事書いたのに。織り姫様と彦星様が会えなかったらお願い聞いて貰えないっス」
 あの日、なにを短冊に書いたのか、ハボックはロイに教えてくれなかった。赤い顔で「内緒」と言ったハボックが泣くほど叶えて欲しい願い事とは何だろう。グスグスと鼻を鳴らして涙を拭うハボックの頭をロイは撫でる。自分にその力があればと思いながらロイは言った。
「なぁ、お前の願い、私が叶えてやろうか?」
「えっ?」
 そうすればハボックの泣き顔を見なくて済む、そう思って言うロイにハボックは顔を赤くして首を振った。
「駄目!ロイには内緒だもんっ」
「ハボック」
 絶対教えないと首を振るハボックにロイはほんの少し傷つく。それでもハボックの涙を止めてやりたくて、ロイはため息をついて言った。
「なら、いいことを教えてやろう。雨が降って天の川の水かさが増しても、織り姫と彦星は会えるんだよ」
「えっ?どうしてっ?」
 てっきり今年は会えないのだろうと泣いていたハボックはロイの言葉に目を見開く。ロイは涙に濡れた空色を指先で拭ってやりながら言った。
「七夕に雨が降ると、会えないと泣く二人を気の毒がってどこからかカササギの群が飛んでくるんだ。カササギは広げた翼を繋いで橋を作って、織り姫を彦星のところへ渡してやるんだよ」
 だから大丈夫なんだ、とロイが言えばハボックの顔がパアッと明るくなる。喜んだハボックに飛びつかれて、ロイは傘を取り落としそうになった。
「おい」
「よかった!お願い聞いて貰えるッ!!ロイとずっと一緒にいられるんだッ!!」
「……え?」
 ハボックの言葉にロイは思わず目を瞠る。ギュウとロイにしがみついていたハボックは、次の瞬間ハッとして顔を真っ赤にした。
「お前の願い事っていうのはずっと私と一緒にいられますように……?」
 そう尋ねればハボックが拗ねたように唇を尖らせる。
「だって……ロイ、いっつもどんどん行っちゃうんだもん。オレ、ロイとずっと一緒にいたい。オレ、頑張って早くおっきくなるからっ、だからずっと一緒にいたい!!」
 赤い顔で七夕の願い事を口にするハボックにロイの胸がほんわりと暖かくなる。
「星なんかに願わなくても直接私に言えばいいのに」
「……だって」
 笑って言えばハボックが困ったように俯く。ロイはそんなハボックの頭を撫でて言った。
「判った、お前が大きくなるのをちゃんと待ってる。早く大きくなって、そうしてずっと一緒にいよう」
「ホントっ?」
 ロイの言葉にハボックが空色の目を大きく見開く。
「ホントにホント?絶対っ?!」
 ぴょんぴょんと跳ねて繰り返すハボックにロイはクスリと笑った。
「信じられない?それじゃあ約束の印」
 ロイは言って傘を傾ける。雨の滴が跳ねる傘の陰で、ロイはハボックの唇にそっと己のそれを重ねた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手も元気貰ってます、嬉しいですv

今日は七夕ですね。流石にもう短冊に願い事をかく事もなくなりましたが、七夕で晴れたのって殆ど記憶ないですよ。今日も雨こそ降ってないけど雲がかかってるし、たぶん星なんて見えないだろうなぁ。というわけで、今日は「暗獣」お休みして、七夕に雨で泣いてる子ハボの話。ちっさいうちからロイのお手付きだ(苦笑)

以下、拍手お返事です。

蒼さま

宝塚はやっぱりカッコいいですよ!昔見に行った記憶がありますv映画館によって色々サービスデーあるみたいですね。渋谷の某映画館は毎月14日が1000円とかありますもん。シニアや50割はこっちにもありますよ。後高校生3人で3000円とか。屋上駐車場も節電の影響あるんですね。薄暗いのも嫌だけど、オープンが遅いのは気持ち的に焦ります。そういやうちの近くの駐車場「停電の時は入出庫出来ませんのでご了承の上ご利用ください」って張り紙がしてありました(苦笑)そうか、エアコン入ってないと水槽の温度も上がるんですね。そりゃやはり節電とはいえおいそれとエアコン消せない(苦)しかし、梅雨時からこんなに暑くて、梅雨明けたらどうなるんだと思いながら扇風機に煽られてます。ナンジャ、グッズも勿論見てきますよ〜!とりあえず明日は息子連れて二度目の映画に行ってきますーv

葉月さま

こちらこそありがとうございました。明日は二度目の映画なので別の視点で楽しんでこようと思います(笑)そして……QP〜〜〜〜〜ッッ!!いや〜〜〜〜ん、QPジャク!!カワイイッ!!かわいすぎるッッ!!ありがとうございますッッ!!丁度宝部屋をアップした直後に拍手に気づいたので、急いで追加でアップさせて頂きましたvvでへへへへ、嬉しい〜〜〜〜〜vvいっぱい遊んで頂いた上、こんな可愛いハボックまで……。もう葉月さまの為なら何でもしますよッ、私はッ!!なにかあったら遠慮なくお申し付け下さいねッvvQP〜〜〜vvラブラブだぁvv

菜ノ花さま

ありがとうございますvこれもこうして菜ノ花さま始め皆さまが声をかけて下さったりするからですよ。感謝してもしきれません〜。「暗獣」ありがとうございますvえへへ、嬉しいー。またニヤニヤして頂けるように頑張りますーvところで菜ノ花さまのサイトは鋼なのでしょうか、ものすごーく気になります。
2011年07月07日(木)   No.73 (カプなし)

暗獣12
 眠るロイの耳に寝室の扉が開く微かな音が聞こえる。
「………っ」
 ロイは眉を寄せて僅かに身じろぎしたものの目覚めるまでには至らない。そんなロイに気づいているのかいないのか、乱れた足音がベッドに近づいてきた。軽い足音は右に左にと揺れながら、扉から真っ直ぐに入れば大してかからない距離を長い時間かけてたどり着く。そうして漸くたどり着いたベッドに、ぱふんと小さな手をかけてハボックがロイを呼んだ。
「ろーい」
 呼ぶ声はとても小さくてロイを眠りの淵から呼び戻す事が出来ない。ハボックは手を伸ばすとロイの枕カバーの端を掴んだ。んー、と全体重をかけてハボックはカバーにぶら下がる。ふんわりと軽い体に、それでも枕はゆっくりとベッドの端へと引っ張られた。
「……ッ、───なんだ?」
 頭を載せていた枕を引っ張られて流石にロイが目を覚ます。頭を少し持ち上げた拍子に押さえをなくした枕が一気に引っ張られてベッドから落ちた。
「  」
 聞こえた微かな声にロイは慌てて枕が落ちた先を覗き込む。落ちた枕の端を掴んで持ち上げれば、きゅうと伸びたハボックの姿があった。
「ハボックっ?」
 ロイはベッドから飛び降りハボックの体を抱き上げる。腕に軽い体を抱いたまま灯りのスイッチをつけたロイは、ハボックを見て目を丸くした。
「な……っ?どうしたっ?」
 ロイが驚くのも道理で、腕の中のハボックは髪も体も全体的に赤っぽい。くったりとロイの腕に小さな体を預けたハボックは、ハアハアと熱い吐息を小さな唇から吐き出した。
「どうしたんだ?熱でもあるのか?」
 何が何やら判らないままロイは己の額をハボックのそれにコツンと押し当てる。その拍子にふわりと鼻先を掠めた匂いに、ロイはハッとして目を見開いた。
「これは……っ」
 ロイはそう叫ぶなりハボックを抱いたまま階下に駆け降りる。リビングの扉を開いて、食べ散らかしたままのテーブルに近寄ると綺麗なカットが施されたグラスを取り上げた。
「これを飲んだのか」
 グラスに残る透明な酒から香る匂いがハボックの吐き出すそれと同じ事を確かめてロイは唸る。グラスとハボックを手に、ロイはヒューズが寝ている部屋の扉をバンッと開いた。
「ヒューズッ!!」
「うわッ?!……え?ロイ…?」
 ベッドの上に飛び起きたヒューズは枕を抱えて目をしょぼつかせる。
「なに?もしかして夜這い?」
 ヘラッと笑って言ったヒューズは、ロイが纏う怒気に気づいて居住まい正した。
「はい、なんでしょう、ロイさん」
 そう言うヒューズの鼻先にロイはグラスを突きつける。いきなり突きつけられたグラスに、ヒューズは目を丸くしてロイを見た。
「これが?」
「貴様、酒を捨てずにグラスを置きっぱなしにしたなっ?」
「え?だっていつも朝になってから片づけるだろ?」
 ロイの家で飲んだ時はいつも片づけは朝になってからするのが常だ。それなのに今回に限り何故怒られなければならないのかと、キョトンとするヒューズにロイが言った。
「ハボックが酒を飲んだ」
「えっ?」
 言われてヒューズはベッドから降り部屋の灯りをつける。ロイの腕の中のハボックが顔も体もふさふさの尻尾まで赤みを帯びているのを見て、ヒューズは目を丸くした。
「うわ、真っ赤っか!酔っぱらってんのか?……おっ、熱いっ」
 触れた尻尾が熱を持っているのに気づいてヒューズは手を引っ込める。おっかなびっくりといった様子でハボックの様子を見ながらヒューズは言った。
「味見したのかね」
「水と間違えたんだろう。あのグラスでよく井戸の水を飲むんだ」
「でも、匂いがするだろう?」
「ハボックに酒なんて概念があるか」
 ロイはそう言ってヒューズを睨むとクルリと背を向け扉に向かう。
「ハボックに何かあったら燃やしてやるからな」
「ええっ?俺のせいっ?!」
 ビシリと宣言されて情けない声を上げるヒューズを残して、ロイは部屋を出ていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手も嬉しいです〜!励みになります、ありがとうございますv
そして、47万打回りました。いつもながらにありがとうございます。今回は五周年があったり鋼の映画が公開されたり色々あって気がつけばまたひとつ階段登ってました(笑)これからも、少しずつでいいので進んでいけたらいいなぁって思います。今回はキリリクのお申し出も頂きました。ふふふ、まだまだやめられん。ハボック大好きーッ!!ハボックを好きになって本当によかった!!これからもどうか引き続きお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします<(_ _)>

というところで「暗獣」です。酔っ払いハボック。全身茹でダコ状態っス。もこもこポカポカで冬だったら湯たんぽ状態なんだが(苦笑)

以下、拍手お返事です。

柚木さま

ありがとうございます。ホントキリ番は運が九割方ですね(苦笑)柚木さまだったらどんなリク下さるんだろうと興味ありますが。訪問者、よかったですーvきっかけになったのでしたら嬉しいです。それから御挨拶に伺っておりませんで失礼しました(汗)お帰りの際にもちゃんと御挨拶出来ず(滝汗)こちらこそ楽しい時間をありがとうございました!11.5巻感想やらなにやら色々お話出来て嬉しかったですv

蒼さま

ちゃんと寝過ごさずに行けたんですね(笑)やはりハボックへの愛あらばこそ?朝一は安いんだ!いいなぁ、その設定!気がつけば段々イベントが近づいているんですね。今回行けるかなぁ、真夏のビックサイト!!考えただけで煮えそうだが(苦笑)もう、冬の電力不足の話が出てるんですか……。でも、夏より冬の方がまだいいですよね。家の中で着込む分には耐えられそう。でも、暑いのはなぁ。午前中は扇風機で凌げても午後は流石にきつい……家の中でじっとり汗をかいていると冗談抜きで熱中症ヤバいかもって思います。脱原発を叫ぶ気持ちは判るけど、どう考えても電気足りないですよね(苦)

摩依夢さま

ありがとうございます!本当に蒸し暑いですね。それだけでもシンドイのにお仕事もお忙しいご様子。気分も重くなるの、判る気がします。せめてうちのハボが気分転換のお役に立てればいいのですが…。ハボロイリレー、パラレルなのでどんな感じになるか判りませんが、お楽しみ頂けたら嬉しいです。摩依夢さまもくれぐれもお体にはお気をつけてお過ごしくださいね。

470000打おめでとうございます♪ の方

ありがとうございます!いつも皆様に励まされて続けてこられてます。これからも是非是非お付き合いくださいね。よろしくお願いいたします
2011年07月05日(火)   No.72 (カプなし)

暗獣11
「なぁ、ロイ。お前こんなところで隠居暮らししてねぇでいい加減帰ってくれば?」
 ヒューズはグラスの中の氷をカラカラと鳴らしながら言う。リビングのソファーとテーブルの間の床にだらしなく腰を下ろして、二人はヒューズが持参した酒を飲み交わしていた。
「まあ、そのうちな」
「そのうちって何時だよ」
 気乗りしない様子で答えるロイにヒューズはズイと顔を突き出す。テーブルに圧し掛かるように突き出された髭面を、ロイは嫌そうに押し返した。
「鬱陶しい顔を近づけるな」
「あ、そういうこと言うか?」
 友人の冷たい態度にヒューズは鼻に皺を寄せてロイを睨む。グラスの酒を飲み干したヒューズが何か言おうとする前にロイは言った。
「それ以上くだらんことを言うなら追い出すぞ」
「ああ、はいはい」
 ジロリと睨んでくる黒曜石にヒューズは肩を竦める。新たに酒を注ごうとした拍子にボトルをぶつけてグラスの縁を欠いてしまい、ヒューズは顔を顰めた。
「あーッ、欠けたっ」
「なにやってるんだ、お前は」
「わりぃ」
 頭をボリボリと掻いてヒューズは立ち上がり棚から新しいグラスを取り出す。
「グラス出すぞ」
「もう割るなよ」
 そう言ったロイがヒューズが持ってきたグラスを見て開きかけた口を閉じたのに気づいて、ヒューズは眉を寄せた。
「なに?このグラス、駄目か?」
「いや、ハボックが気に入ってるグラスなんだ」
「あ、そうなのか?」
 言われてグラスを戻すのかと思いきやヒューズはニヤリと笑う。
「うふふ、ハボックちゃんのグラス〜」
「おい」
「いいじゃねぇか、割らないようにするからさ」
 そう言ってグラスに頬ずりするヒューズをロイは不満げに睨んだが、ヒューズは平気な顔で酒をグラスに注いだ。
「可愛いもんや綺麗なもんが好きなんだな」
 ヒューズは言いながら細かなカットが施されたグラスを目の高さに掲げて見る。透明な酒をその身に抱え、キラキラと灯りを反射して輝くグラスを見ながらヒューズは言った。
「なぁ、あの子、何なんだろうな」
「さぁな」
 聞かれてロイは短く答える。まるで気のない友人の返事に、ヒューズは眉を寄せた。
「なに、気にならねぇの?研究者の血が騒がないわけ?」
「ハボックは研究対象じゃない」
 ロイがそう言うのを聞いて、ヒューズはチビリと酒を口にしながらロイを見つめた。
「俺はてっきりハボックを研究するために好きにさせてるのかと思ったよ」
「ヒューズ」
 その途端ロイはヒューズを睨む。
「ハボックはハボックだ。それ以上でもそれ以下でもない。アイツに妙なちょっかい出したら赦さんぞ」
「なぁんだ、本当に研究対象じゃないのか」
 てっきりそうだと思ったとヒューズが言えばロイの視線が険しさを増した。
「怒るなって」
「お前が怒らせたんだろう?」
 ロイは唸るように言ってグラスに残った酒を飲み干す。ダンッと乱暴にテーブルにグラスを置いてロイは立ち上がった。
「寝る」
「えっ、もう?」
 不満そうにヒューズが言えば黒曜石の瞳が睨んでくる。ヒューズは肩を竦めて飲みかけのグラスをテーブルに置き、よっこらせと立ち上がった。
「部屋借りるぞ」
 飲み食いした食器をそのままに、二人は各々寝室へ引き上げた。

 寝室の扉を開けたロイは、トランクの中が空っぽなのに気づき眉を寄せる。窓に目を向ければハボックの大事なコレクションが並べたままになっており、ロイはやれやれとため息をついた。
「まったく……大事なものじゃないのか?出しっぱなしにして」
 ロイは呟くとハボックのコレクションをトランクの隅に丁寧にしまう。そうする間にもハボックは戻ってこず、ロイは寝室の扉を見た。
「好きにさせておくか……夜の方が好きだしな」
 わざわざ探しに行くこともあるまい。ロイはそう考えて手早くシャワーを浴びベッドに入る。アルコールが入っていたこともあり、ロイが瞬く間に眠りに落ちた丁度その時、寝室の扉がゆっくりと開いた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手もありがとうございますv
「金剛石」無料配布本はたくさんのお申込みありがとうございました。ありがたいコメントもたくさん添えて頂いて、本当に嬉しかったですvvお申込み頂いた分は昨日までに全て返信、本の発送を済ませております。返信がまだないと言う方がいらっしゃいましたら申込みメールが届いていない可能性がありますので、メルフォよりご連絡お願い致します。

ちょっと間あきましたが「暗獣」です。書きたいシーンが幾つかあるけど、なかなかそこに辿りつかない感じです。もう少しこんな感じでまったり続きます。

でもって、今日の更新ですが色々と間に合いませんー(苦)更新は玄関だけです(苦笑)その代りと言ってはなんですが。

【ロイハボでGO!更新のご案内】
「デッドエンド4」みつき分アップ致しました。色々小出しに展開中。ふふふ、楽しいっスv

そんでもって新企画
【ハボロイリレー小説部屋 更新のご案内】
「volere 第一章1」おうかさん分アップされています。
本日から「想い、重ねて。」のおうかさんとハボロイでリレーを始める事になりました。「リレー、楽しいですよ。おうかさんも機会がありましたら是非やってみてください」とお話したら「それじゃあ」って事になりまして(苦笑)ロイハボの方とは大分違う感じかと思いますが、こちらはこちらでお楽しみ頂ければ。テキストのトップページに入口がリンクしてあります。基本的に土曜日更新。サイトの更新履歴には載せませんが、定期的に更新されるはずですので覗いてみてください。第一回はおうかさんにお任せしました。


以下、拍手お返事です。

菜ノ花さま

ふふふ、アップ後すぐに読んで頂いたみたいで、書いたものに反応頂けるのはとっても嬉しいですvv扉の隙間からうっとり……萌えってそんな感じかも(笑)ロイもハボが可愛くて仕方ないと思います。ワンコハボ、ホントに欲しいですよね!(切実)

蒼さま

大佐、確保出来てよかったですv息子はエドを住まわせてますよ。携帯ゲームは触らない、触らない!一度やったら抜けられなくなりそうだし(苦笑)ハボメダルなんて集め出したら止まりませんよ!(笑)牧場、楽しそうですね。飼ってる動物、レベルアップ出来るんだ!ハボばっかり育てちゃいそう(苦笑)
2011年07月02日(土)   No.71 (カプなし)

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  Photo by 空色地図

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