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2015年01月の日記

2015年01月30日(金)
黒スグリ姫14
2015年01月24日(土)
新・暗獣56
2015年01月13日(火)
豆騎士 成人編
2015年01月08日(木)
綿アメ

黒スグリ姫14
ロイハボ風味

「さっむーい!」
 ピュウと吹き付ける北風にハボックは首を竦める。制服の襟元を手でギュッとかき寄せたが、この北風の前では大した役には立たなかった。
 まだ中学生のハボックは冬でも基本薄着だ。流石に母親が煩いので制服の上着の下にベストを着てはいるが、コートどころかマフラーもつけてはいなかった。
「流石に今日は寒いなぁ」
 友達と一緒にワイワイ騒いでいるときは寒さも気にならないが、一人で歩いていると寒風が身にしみる。首を竦めて歩いていたハボックは、ひらりと目の前を過ぎったものに気づいて視線を空へと向けた。
「雪」
 灰色の空から雪がはらはらと降ってくる。寒い筈だと雪が降ってくる空を足を止めて見上げていれば、背後から呆れたような声が聞こえた。
「何をしてるんだ、お前は」
「あっ、先輩」
 声がした方を振り向くと、ロイが傘を手に立っている。雪が降る中傘もささない薄着のハボックにロイは近づくと傘をさしかけた。
「そんな薄着で風邪をひくぞ」
「大丈夫っスよ。クラスのみんな、こんな格好っスもん」
「中学生はみんな鉄人か?」
 自分だったらとても耐えられないとロイはぶるりと震える。そんなロイにクスリと笑ったハボックがクシャンとくしゃみをするのを見て、ロイが言った。
「ほらみろ、やっぱり寒いんじゃないか」
「でもコートとか邪魔だし」
 学校にコートを着ていっても邪魔なばかりだ。そう言うハボックの襟元を見ればやっぱり寒そうで、ロイはやれやれとため息をつくと自分のマフラーを外してハボックの首元に巻いてやった。
「いいっスよ、先輩が寒いっしょ」
「いいから、私がそうしたいんだよ」
「でも」
「コートがあるから大丈夫だ」
 そう言ってロイはコートの襟を立てて笑う。それを見て、ハボックは素直にロイの好意を受けることにした。だが。
(先輩の匂いがする……)
 つい今し方までロイが身につけていたマフラーからはロイの温もりと共に愛用のコロンの香りがする。まるでロイに抱き締められているような気持ちになって、ハボックは胸がドキドキするのを止められなかった。
(ど、どうしよう……)
 自分でも顔が紅くなっているのが判る。なんだか恥ずかしくて、困り切ったハボックは吸い込んだ息を止めた。
「ハボック?」
 紅い顔でマフラーに顔を埋めるハボックをロイが訝しげに呼ぶ。だが返事が返るどころか苦しげに喉を押さえるハボックに、ロイは驚いて顔を覗き込んだ。
「おい、どうした?大丈夫か?ハボ――――」
「プハッ!」
 尋ねかけて、ロイはいきなり大きく息を吐き出したハボックに目を丸くする。ハアハアと息を弾ませるハボックを眉を寄せて見つめた。
「何をしてるんだ?お前は」
「だっ、だって、このマフラー、先輩の匂いがしてっドキドキしちゃうからっ」
 息を止めていたのだと言うハボックに目を丸くしたロイは、次の瞬間プッと吹き出した。
「お前なぁ」
「だって!」
 真っ赤になるハボックを見て、ロイはクスクスと笑う。むくれてプイと顔を背けるハボックが、ロイは可愛くて仕方なかった。
「ふふ……、私に抱き締められてるみたいでドキドキした?」
「ッ、知らないっス!」
 思ったことを言い当てられて、ハボックは益々顔を紅くする。マフラーを外すとロイに突き返した。
「返す!」
 ハボックはロイの胸元にマフラーを押し付けて足早に歩き出す。そんなハボックにロイは笑みを浮かべて追いかけると背後からふわりとマフラーをかけた。
「いらないって言って――――」
「ハボック」
 ムキになって声を張り上げるハボックをロイはマフラーごと引き寄せる。そうして腕の中に閉じ込めたハボックにそっと口づけた。
「好きだよ、ハボック」
「ッ!」
「お前は?」
 間近から尋ねられてハボックは耳まで真っ赤になる。それでもマフラーに顔を埋めるようにして頷いた。
「好きっス……」
 そう答えれば鮮やかに笑うロイがもう一度唇を寄せてくる。マフラーとロイに抱き締められて口づけを交わせば、もう寒さなどまるで感じなくなるハボックだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、本当に嬉しいですvv

「黒スグリ姫」です。うちの息子もそうですが、学生さんってなんでああも薄着何だろう。私服の時はコートなりなんなり来てるのに、学生服の下、ワイシャツぺらりなんて考えただけでも寒いんですが!まあ、本人も「寒い」とはいうんですけど、じゃあマフラーくらいしてけば?と言っても絶対して行かないんだよなぁ。幾ら東京でも冬場に学ランだけは寒いってば(苦笑)

そして気がつけばもう一月も終わりですね。早いなぁ。んで二月となればやはりバレンタインデー。黒スグリ姫ならネタ出そうなんですが、他は浮かばないよ(苦笑)そんなわけで、今年も懲りずにネタ募集しますー(こら)何か楽しいネタお持ちの方、どうぞ投下してやって下さいv一応二月八日まで募集致します。どうぞよろしくお願い致します(ぺこり)

以下、拍手お返事です。

なおさま

セレスタ、やっとここまで山越えてやってきました。きっとこの先はどんな苦労も二人なら幸せって感じかと(笑)暗獣、毛玉はぼっく、ウニ!(爆)確かにそうかも〜(笑)ロイに食べられなくてよかったです(笑)
2015年01月30日(金)   No.435 (ロイハボ)

新・暗獣56
「ろーいっ、ろーい!」
「んー……なんだ、ハボック……?」
 眠っていたロイはブランケット越しパンパンと叩く小さな手に起こされてウーンと唸る。モゴモゴと答えながらブランケットに潜り込めば一層激しく叩かれて、ロイは渋々と起き上がった。
「なんだ、ハボック。夕べは遅かったんだ、もう少し寝かせてくれ」
「ろーいっ」
 ふぁぁと欠伸混じりに言うロイのシャツを握ってハボックが引っ張る。しつこく呼ばれて根負けしたロイは、ベッドから降りるとハボックにせがまれるまま鎧戸を開けた。
「すごい積もったな」
 夕べ降り出した雪が一晩中降り積もって辺りは一面の銀世界になっている。陽の光を受けて煌めく庭を見て、ハボックがキラキラと目を輝かせた。
「ろーいっ」
 外に行こうと袖を引くハボックに、ロイは眉をしかめた。
「勘弁してくれ」
 元々寒いのは苦手だ。とてもじゃないが雪が積もる庭に出る気にはなれなくて、ロイは窓を閉めるとベッドに上がった。
「ろーい〜っ」
「こんな寒い中外に出たら風邪ひくぞ。窓から見るので我慢しなさい」
 ロイはそう言うと再びブランケットに潜り込んでしまう。
「ろいッ!」
 そうすればハボックはむくれたような声を上げて寝室を出て行ってしまった。
シンと静まり返った部屋の中、コチコチと時計の音だけが響いている。暖かいブランケットの中ぬくぬくとその温もりを貪っていたロイは、窓が風でガタガタと揺れる音に眠りを遮られた。
「んー……ハボック?」
 ロイはもぞもぞとブランケットから目を覗かせてハボックを呼ぶ。少し待って、それからもう一回呼んだ。
「ハボック?」
 そしてもう一度同じように待ったものの、返事が返ってこない事に、ロイはゆっくりと起き上がった。
「いないのか?」
 ベッドから降りハボックが普段寝ているクッションの山の中を覗く。静かだからてっきりふて寝してるのかと思っていたが、姿が見えない事にロイは階下に下りた。リビングにもダイニングにもいないのを確認して、ロイは眉をしかめた。
「まさか庭に出たのか?」
 雪が積もる寒い庭に出たのだろうか。ロイは急いで着替えて庭に出た。
「ううっ、寒い!」
 ロイは首を竦めて顔をしかめる。辺りを見回しながら雪の上に残る小さな足跡を辿ったロイだったが、不意にその足跡が途切れているのに気づいて目を瞠った。
「どこに行ったんだ?」
 雪の上には微かな模様のような痕があるだけで、足跡はない。
「ハボック?!」
 キョロキョロと見回しながらロイはザクザクと雪を乱してハボックの姿を探す。返事がないだろうかと耳を澄ませたロイは、大振りな枝の下に雪がこんもり積もっていることに気づいた。
「まさか」
 ロイは慌てて雪の山に近づくと、両手で雪の山を掻き分ける。すると雪の中に黒い毛糸玉が見えて、ロイは急いで雪塗れのそれを掘り出した。
「ハボック!おい、しっかりしろ!」
 普段は柔らかい毛がカチカチに凍っている。ロイは家の中に飛び込むと風呂場に駆け込んだ。熱いシャワーを出し凍りついた毛糸玉にかける。暫くかければ凍っていた毛が溶けてしんなりと垂れ下がり、毛糸玉がむくむくと動いた。
「ハボック!」
 ロイの呼びかけに毛糸玉が淡い光を放って見慣れた子供の姿になった。
「ろーい〜……」
「ハボック、よかった!」
 くたんと腕に凭れてくるハボックの体にロイはもう少しシャワーをかけてやる。温まったところで浴室を出ると濡れた服を着替えさせ、髪を乾かしてやった。
「まったくもう、びっくりさせるな」
「ろーい……」
 ハァとため息をついて言えばハボックがすまなそうに上目遣いでロイを見る。淡く光った体が毛糸玉になるとコロコロと転がって見せた。
「雪の上を転がって遊んでたら枝の雪が落ちてきたのか」
 雪の上の足跡が途切れていたのはそこから毛糸玉に姿を変えたせいで殆ど跡が残らなかったからだった。
「雪が積もっている間は一人で遊びに出たら駄目だぞ。いいな、ハボック」
 言い聞かせるように言うロイをハボックがじっと見つめる。ソファーに座って本を手に取ったロイだったが、瞬きもせずジーッと見つめられて数分もたたない内にため息をついて本を閉じた。
「判った、解ったからそんなに見るな」
 そう言って立ち上がるロイを見てハボックがパッと顔を輝かせる。
「ろーいっ」
「少しで勘弁してくれよ?」
 ニコニコと笑うハボックに手を引かれて庭に出たロイは寒さに情けなく眉を下げたが、冷たい空気を吸い込むと言った。
「よし、雪だるまを作るぞ!私は胴体を作るからお前は頭を作ってくれ」
「ろいっ」
 ロイの言葉にハボックがスチャッと敬礼する。二人は小さな雪玉を庭中転がして育てると、大きな雪だるまを作ったのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手沢山パチパチ下さった方もコメント下さった方も本当に嬉しいです!モチベーションあがりますv

今年はまだ大雪降ってませんが、受験生がいる現況では今年は積もんなくていいよって感じです(笑)雪には激弱な地域だからなぁ。家にこもってればいいのなら雪も風情があっていいのだけど。

久しぶりに玄関を模様替えしたのですが、日記でも素材お借りしてる「空色地図」さんがなくなってる事に気づきました。ガーン!好きだったのに!色んな空の素材もあったし、なにより花の素材が季節ごとに分けられてるのが使いやすくてよかったのになぁ。同人サイトさまでも思うけど、更新なくてもいいから閉鎖だけはやめて欲しい……。はー。

以下、拍手お返事です。

なおさま

風、青いロイっスよ(笑)でもきっと恋にも青いのかもしれません。早くなおさまに「仕方ないなぁ」くらい言って貰えるようにならないと(笑)頑張れ、ロイ!って、お前が頑張れよって感じですね(苦笑)セレスタ、うふふ、ノックアウトされましたか?って、アームストロング少佐(少佐ですよ!(笑)の穴開き板って、それこそ破壊力抜群過ぎだから!(爆)

とにかく大好きです!  の方

うわああ、ありがとうございます!そんな風に言って頂けて本当に嬉しいですvv正直なところ、サイトさまもどんどん数が少なくなって、残ってるサイトさまも更新されてる所は少なくて、そろそろ潮時なのかなぁと思ったりする事もあるので、そう言って頂けるとまだ続けてていいんだなぁと思えます。これからも頑張りますので是非是非お付き合いのほどお願いいたしますvv
2015年01月24日(土)   No.434 (カプなし)

豆騎士 成人編
エドハボ風味

「成人おめでとう、大将」
「サンキュー、少尉」
 おめでとうの言葉と同時に差し出されたグラスに、エドワードは己のそれを軽く合わせる。チンとグラスが合わさる高い音に笑みを交わすと、二人は普段飲むのよりは少しだけいいワインを喉に流し込んだ。
「それにしても大将が大人の仲間入りかぁ」
「へへ」
 しみじみと言うハボックにエドワードは照れくさそうに笑う。だが続くハボックの言葉に眉をしかめた。
「会った頃はまだこーんなチビだったのにな」
「こーんなって、それは幾ら何でも大袈裟だろ」
 掌をテーブルの高さよりも下にしてかつての身長を表す仕草を見て鼻に皺を寄せるエドワードの、まだどこか幼さの残る顔にハボックは笑みを浮かべる。エドワードはグラスのワインを飲み干して言った。
「でもまあ、これからはチビだのガキだのとは言わせないけどな」
「大将」
 ニヤリと笑みを浮かべた顔がさっきとはうって変わって男臭さを滲ませるのを見て、ハボックは目を瞠る。そんなハボックにエドワードはグラスを置くと手を伸ばしてハボックのテーブルに置かれたそれに触れた。
「早速今夜はたっぷり啼かせてやるから」
 そう言ってエドワードは指先でハボックの手の甲を擽る。指先の微かな動きにゾクリと背筋を悪寒にも似た何かが這い上がって、ハボックは慌てて手を引っ込めようとした。
「なに馬鹿な事言って――――アッ」
 引っ込めようとした手をだがエドワードはそうはさせず、手首を掴んでグイと引く。思いがけず引っ張られて腰を浮かしたハボックのもう片方の手の中のグラスが大きく揺れて、テーブルに零れた。
「大将」
 責めるように睨んでくる空色もエドワードはものともしない。掴んだ手首を指先で擽れば大きく身を震わせるハボックにエドワードが言った。
「なに?感じちゃった?」
「ッ!生意気言ってんじゃねぇ、ガキ!」
「だからもうガキじゃないって」
 頬を染めながら声を張り上げるハボックにエドワードが笑う。ハボックの手を掴んだまま席を立つとゆっくりと近づいてきた。
「ジャン」
「ッ!」
 低く呼ぶ声にハボックは目を見開いてエドワードを見上げる。そこにいるのはもう少年の殻を脱ぎ捨てた一人の男だった。
「大将……」
「エドって呼べよ」
 エドワードはそう言うとハボックの手からグラスを取り上げる。一口飲んでエドワードはワインが半分程残るグラスをハボックの頭の上で傾けた。
「ッ?!」
 グラスから零れたワインがハボックの金髪を濡らし白い頬へと流れていく。頬を濡らす赤紫の液体にエドワードは金色の目を細めた。
「ふふ……ヤラシイ」
「バ、バカッ!ワインの染みは落ちないんだぞッ」
「だったら脱いじゃえよ」
「うわッ」
 エドワードは言うなり掴んだ手首を引く。思いがけない強い力に、ハボックは引き上げられるままエドワードの胸に飛び込んだ。
「大将……っ」
 この一年で急激に身長が伸びて、かつて自分の胸元位までしかなかったエドワードの顔が目の前にある。ニッと男臭い笑みを浮かべて、エドワードは言った。
「だからエドって呼べって――――ジャン」
 低く呼んでエドワードは頬を濡らすワインに舌を這わせる。ビクリと震えるハボックのシャツのボタンを素早く外して、肩から落とした。
「おいッ」
「染みになったら落ちないんだろ?」
 慌てて身を捩るハボックにエドワードは笑って言う。逃げようとするのを赦さず、ハボックの躯を床に押し倒した。
「大将ッ!」
 痛みに顔を歪めながらもハボックは圧し掛かってくる相手をおしやろうとする。だが、今や自分と変わらぬ体格になったかつての少年を振り払う事は出来なかった。
「大人の仲間入りした記念の日なんだ。朝までたっぷりお祝いしてよ」
「エド……ッ」
 ジャンと耳元に低く吹き込まれる声に抗う事も出来ず、ハボックは這い回るエドワードの熱い掌に翻弄されていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、ホントにホントに励みになります、ありがとうございます!!

昨日の休日はなんで休日だったのかすっかり忘れていたのですが、晴れ着姿のお嬢さんを見て「あー、成人式!」と思ったのでした(笑)そんなわけで豆騎士で成人したエドをと思って書いたものの、眠気に負けて一日遅れでアップしましたー(苦笑)うちのエドとハボは九歳違い設定なのでエドが二十歳だとハボは二十九。この頃にはきっとハボとおんなじくらいに育っていると思います。これまで以上に啼かされるに違いない、ふふふv

以下、拍手お返事です。

ハボロイ・ロイハボの素敵過ぎる小説を の方

うわあ、ありがとうございます!えへへ、恥ずかしいー、でも嬉しいv微力だなんてとんでもない!物凄いやる気貰ってますvこれからもどうぞよろしくお願いしますねvv

なおさま

セレスタ、ふふふ、愛あるえっちは初めてですからねvそれにハボとしては自分の反応にロイがどう思うかちょっぴり怯えているところもあると思うのです。ハメ撮り!連写しまくりで大変そう(爆)益々エロ可愛くなったらどっかの爺さんを呼び寄せそうでヤバいです(笑)
2015年01月13日(火)   No.433 (カプ色あり)

綿アメ
ハボロイ風味

「やっぱ寒いっスねぇ」
 ハボックが長身の背を丸めてポケットに手を突っ込んで歩きながら言う。
「お前が早くに行かないと混んで大変だっていうから早く出てきたんだろう?」
 お前に文句を言う権利はないと、白い息と共に言葉を吐き出すロイにハボックが苦笑した。今朝ハボックとロイは朝早く自宅を出て、毎年大勢の参拝客で賑わう神社へと初詣に来ていた。少しでも混雑を避けるため渋るロイを急かして早くに出てきた甲斐あってもみくちゃにならずに参拝を済ませ、屋台で賑わう参道をのんびり歩いているところだった。
「冷えるなぁ……、あ、甘酒が出てる。飲みます?」
 温かいものでも飲めば少しは温まるのではないかと、甘酒の屋台を見つけたハボックが言う。だが、ロイの視線はその先にあるものへと向いていた。
「────綿アメ?」
 ロイの視線を追ってハボックが言う。「食いたいんスか?」と聞かれてハッと顔を赤らめたロイが否定する間もなく、ハボックは人混みを抜けてさっさと屋台まで走ると綿アメの袋を手に戻ってきた。
「はい、どうぞ」
「────ありがとう」
 買ってきてくれたものを「いらない」と意地を張るのも大人げないと、ロイは照れくさそうにしながらも綿アメの袋を受け取る。かわいいキャラクターが描かれた袋から一つ取り出して、ロイは残った一つをハボックに差し出した。
「いや、オレはいいっスよ」
「嫌いか?」
「いや、そんなことはないっスけど」
「だったら、ほら。私は一つでいいぞ」
 幾ら好きでも二つはいらんと差し出されてハボックは頭をボリボリと掻いた。
「好きとか嫌いとかじゃなくて……。なんか綿アメってカワイイ子が食べないといけない気がしません?絵的に」
「は?」
 唐突にそんな事を言われてロイがキョトンとする。訳が判らんと見つめてくる黒曜石に、ハボックが答えた。
「オレみたいなデカくてごついのが綿アメ舐めてても可愛くないっスよ。やっぱ大佐みたいにカワイイ子じゃないと」
「なんだ、それは。別に誰が食べようが構わんだろう?」
「いや、そこはやっぱり大事っスから」
 そう言って腕を組むハボックをロイは呆れたように見る。馬鹿じゃないのか、と手にした綿アメを齧り伸びた綿を舌先で掬うようにして口に入れるロイを見てハボックが言った。
「ね?ほらやっぱりそう言う食べ方してグッとくるのはカワイ子ちゃんなんスよ〜」
「馬鹿か、お前は」
 ニコニコと顔を弛めるハボックに、ロイはうんざりと言う。それでも大好きな甘い綿アメを啄むように食べれば、じっと見つめてくるハボックの顔をロイは恥ずかしそうに手で押しやった。
「まあいい。食わんのならもう一つも私が──」
「あっ、待って待って」
 食べると言いかけたロイの手からハボックが綿アメの袋を取り上げた。
「なんだ、食わないんじゃないのか?」
 大男は食べられないんだろう?とロイが言えば。
「えっとね、誰も見てない家でならオッケってことで。やっぱ食いたいし」
 エヘヘとハボックが笑う。
「食いたいなら素直にここで食べればいいだろう」
「いやいや、絵面は大事っス」
「ぐずぐずしてるとしぼむぞ」
「うわわ、それじゃあ急いで帰るっスよ」
「あっ、おい!」
 言うなりロイの手を掴んで走り出すハボックに、慌てて駆け出すロイだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励まされます、嬉しいですvv

ちょっと遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。結局クリスマスもお正月も玄関すら変えないまま過ぎてしまいましたー。日記も気がつけば滅茶苦茶久しぶり……。ネタはあったのですが、脳内妄想で満足しちゃってました。ちゃんと吐き出さなきゃダメですね(苦笑)こんな感じですが、今年もどうぞよろしくお願い致します(ぺこり)

んで、久々日記でハボロイです。先日初詣に行った時「綿アメは美少女が食べてないとダメ」って話が出たもんで。いやそれって物凄い偏見なんじゃ(苦笑)自分も含めてダメと言いつつ、「あ、でも家とか誰も見てないとこならオッケーだから」と言うので笑ってしまいましたがね(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

読書、そうそう、ぐりとぐらです。やっぱり卵焼きっていうイメージですよね。ブラッドレイ爺さんの絵本!いーや〜〜〜ッ(爆)でもシリコンカバー付きハボ板なら3万センズでも買……(爆)風、スコーンと矢がささりましたでしょう?(笑)ロイ、なかなか挽回出来ないですね、自業自得か(笑)セレスタ、やっと「愛してる」って言えました。どんだけかかったんだか(苦笑)じっくりたっぷり愛ある快楽を教え込んで上げて欲しいと思いますvクリスマス、お正月とゆっくりお過ごしになられましたか?私はなんだかいつの間にか過ぎた感じです。大掃除、それなに?って感じだったし(苦笑)今年も相変わらずな感じだと思いますが、どうぞよろしくお願い致しますvv

2015年、明けましておめでとうございます♪  の方

あけましておめでとうございますvこちらこそ、今年もどうぞよろしくお付き合いお願い致しますねvv

阿修羅さま

遅くなりましたがこちらこそ昨年はお世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い致しますvお体どうぞ大切になさって、うちのハボが気分転換のお役に立てたら嬉しいですv

本年も毎晩こっそりとお邪魔させていただきます  の方

あけましておめでとうございますvこっそりと言わずこんな風に足跡残して頂けると励みになりますーvこれからものんびり長く続けていけるよう頑張りますので、本年もどうぞよろしくお願い致しますv
2015年01月08日(木)   No.432 (ハボロイ)

No. PASS
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
  Photo by 空色地図

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