babble babble


2015年11月の日記

2015年11月17日(火)
新・暗獣 ハロウィン2015

新・暗獣 ハロウィン2015
(今更なネタですが(苦笑)


「そう言えば明日はハロウィンだったな」
 古書店からの帰り道、店先のハロウィンの飾り付けを見てロイは呟く。ショーウィンドウに飾られたハロウィンのグッズを横目に見ながら歩いていたロイだったが、ふと目に付いた仮装用の衣装に足を止めた。
「────」
 じっと見つめた衣装をまとっているのはディスプレイ用のマネキンだが、ロイの頭の中で家で待っている子供の姿へと変換される。衣装を着たハボックの姿を思い浮かべて、ロイは僅かに目を見開いた。
(かわいいかもしれない……。いや、絶対に可愛いッ!)
 頭に描いたハボックがクルンと回ってニコッと笑う。「ろーいっ」と呼ぶ声までが聞こえて、ロイはもの凄い勢いで店に突進した。
「あそこにディスプレーしてあるのと同じ衣装をくれっ!」
 店の扉を開けるなりロイは店員に向かって言う。凄い勢いで飛び込んできたロイに驚きながらも店員は愛想良く笑って尋ねた。
「サイズはどれにしましょう?」
「サイズ?えっと、五歳くらいの子供なんだが」
 ロイが言うのを聞いて、店員は棚から衣装を取り出す。袋に入れながらニコニコと笑って言った。
「毎年小さな子には大人気なんですよ、この衣装。きっとお子さんが着たら格別可愛いです」
「そ、そうか?」
 そんな風に言われてロイは嬉しそうに笑う。代金を払ってロイはウキウキと家に戻った。
「ただいま」
 鍵を開けて家の中に向かって声をかける。そうすればパタパタと軽い足音がしてハボックが飛び出してきた。
「ろーいっ」
「ただいま、ハボック」
 ぱふんとしがみついてきた小さな体を受け止めてロイは金色の髪をくしゃりとかき混ぜる。ハボックの手を引いてリビングに行きながらロイは手にした袋を振った。
「お土産を買ってきたぞ」
「ろいっ?」
 リビングに入ったところでロイは伸びてきたハボックの手に袋を渡す。ハボックはタタタと走ってソファーによじ登ると膝の上に袋を乗せて留めてあるシールをぺりぺりと剥がした。
「ろーいっ」
 袋を逆さにして振ればポトンとオレンジ色の塊が落ちてくる。たたまれていたそれをハボックが小さな手で広げた。
「ろーい?」
「カボチャなんだ。店でディスプレーしてあるのを見てな、可愛いと思ったんだがっ」
 空色の瞳を丸くするハボックにロイは言う。カボチャの衣装をじっと見つめるハボックを見て、ロイは可愛いと思った自分の見立てに俄に自信がなくなってしまった。
「あー……その、……気にいらんか」
 見た瞬間可愛いと思ったのだがどうやらハボックのお気に召さなかったらしい。そう思ってがっかりと項垂れたロイの耳にハボックの嬉しそうな声が飛び込んできた。
「ろーいっ!ろいっ」
「……え?」
 その声にロイが顔を上げればハボックが嬉しそうにソファーの上で飛び跳ねている。ハボックはぴょんと大きく飛び跳ねてソファーから飛び降りるとそのままの勢いでロイに飛びついてきた。
「ろーいッ」
 キラキラと空色の瞳を輝かせてハボックがロイを見上げる。嬉しそうに笑うその顔を見て、ロイの顔にも笑みが浮かんだ。
「よかった、気に入ってくれたか」
「ろいっ」
 ハボックはコクコクと頷いて手にした衣装をロイの手に押しつける。シャツのボタンを小さな手で一つ一つ外して脱ぐと床に座ってハーフパンツも脱いだ。
「ろーいっ」
 パンツ一つになったハボックが着せてくれとせがむ。ロイはカボチャの衣装を広げるといそいそとハボックに着せつけた。
「ろーい?」
 オレンジ色のまあるいカボチャを着せてもらってハボックが目をキラキラとさせてロイを見る。くるんと回って見せるハボックの姿にロイが頬を弛めた。
「うんっ、思った通りだ!すっごく可愛いぞっ、ハボック!」
 セントラルの親馬鹿な親友顔負けに笑みに顔を崩してロイが言う。腕を伸ばしてロイの腰にしがみついたハボックがカボチャの下から覗いたシッポを嬉しそうに振った。
「ろーいっ」
「ふふ、気に入ってくれて嬉しいよ」
 ニコニコと二人が嬉しそうな笑みをかわした、その時。
 ドンドンドンッ!
 と、乱暴に扉を叩く音が響く。その音を耳にしたロイが思い切り顔をしかめた。
「この叩き方は」
「ろーい?」
 呟いて目を吊り上げるロイをハボックが不思議そうに見上げる。ロイはハボックにここにいるよう言って玄関に向かった。
「────」
 ムッと唇を引き結んでロイはノブに手を伸ばす。鍵を回したロイが玄関を開けるより早く、掴んだノブが外から回って玄関が勢いよく開いた。
「ハボックちゃあんッ!」
「ヒューズッ!貴様ッ、危ないだろうがッ」
 バンッと開いた扉に押し倒されそうになって慌てて飛びすさったロイが声を張り上げる。だが、ヒューズはそんなロイには目もくれず家の奥に向かって声をかけた。
「マースくんが来ましたよッ、ハボックちゃん!ハロウィンのお土産持ってきたよぅ!」
 そう言いながら家の奥へと入っていこうとするヒューズの肩をロイがむんずと掴む。振り向いたヒューズにロイが勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「ふっふっふ、遅かったな、ヒューズ。今年はお前の出番はないぞ」
「なんだよ、ロイ。気味悪いな」
 鼻を膨らませ満面の笑みを浮かべるロイの顔をヒューズが怪訝そうに見る。二人並んでリビングに入れば、ソファーに座っていたハボックがピョンと飛び降りた。
「ろーいっ」
「ハボックちゃんっ」
 歓迎の笑みを浮かべるハボックにヒューズが顔を輝かせる。カボチャの衣装を身につけたハボックの姿にヒューズが眼鏡の奥の目を見開いた。
「あれ?その衣装────」
「ふっふっふ、どうだ。今年は私が用意してやったからなッ!もの凄く可愛いだろうッ!」
 ハボックの金髪をくしゃくしゃとかき混ぜてロイが自慢げに言う。ふさふさのシッポを左右に振って見上げてくる空色にヒューズは髭面を弛めて頷いた。
「うん、すっごい可愛いよ、ハボックちゃんッ!もう食べちゃいたいくらい可愛いッ!」
「食うなよッ、この変態髭野郎!」
 握り締めた両手の拳を口元に当ててしなをつくるヒューズにロイが目を吊り上げてハボックを抱き締める。そんなロイにヒューズがニヤリと笑みを浮かべた。
「でも、まだまだ甘いな、ロイ」
「なにッ?」
 ヒューズの言葉にムッとするロイを見ながらヒューズは手にした袋に手を入れる。なになに?と言うように見つめてくる空色ににっこりと笑って、ヒューズは袋の中のものを取り出した。
「はーい、ハボックちゃん、パンプキンの帽子とステッキだよ〜」
「ろいッ」
 ピョンッと飛び上がってハボックはヒューズに駆け寄る。ヒューズはかき回されて乱れたハボックの髪を撫でて整えると、可愛いレースのリボンと花でデコレーションされた小さなカボチャの帽子をハボックの頭に斜めにちょこんと乗せた。
「はい、カボチャのステッキだよー」
「ろーいっ」
 星とレースと小さな木の実で飾られたカボチャが先端についたステッキを手渡されてハボックが目をキラキラと輝かせる。ステッキを掲げてくるんと回るハボックを見てヒューズが言った。
「はい、可愛いカボチャの精の出来上がり!」
「……クッ」
 どうよ、とニヤリと笑ってみせるヒューズにロイが悔しそうに顔を歪める。どうして、と呟くロイにヒューズが言った。
「そろそろお前さんが衣装買う頃だと思ってな。お前ならまあまず最初は無難なカボチャから入るだろうって。でもきっと衣装だけで小物までは気が回らんに違いないからな」
「く〜〜ッッ!」
 全くその通りなところを突かれてロイは反論する余地もない。悔しげに顔を歪めたロイはツンツンと袖口を引っ張られてヒューズを睨んでいた目を下へと向けた。
「ろぉい?」
 ステッキを握り締め、心配そうに見上げてくる空色にロイは目を見開く。しょぼんとして尻尾を揺らすハボックにロイはにっこりと笑った。
「とってもよく似合うよ。可愛いカボチャの妖精だな」
「ろいっ!」
 優しく髪を撫でるロイに言われて、ハボックがパッと顔を輝かせる。
「ろいっ、ろーいっ」
 ニコニコと嬉しそうに笑って飛び跳ねるハボックに、ロイはチラリとヒューズを見て言った。
「とりあえず礼は言っておく」
「うふふ、ハボックちゃんの為だもーんっ」
 悔しそうにしながらもそう言うロイに、うっふっふっとヒューズは髭面を弛めて答える。
「ろーいっ!ろいっ!」
 見て見てと嬉しそうに笑ってくるくると回ってみせるハボックを笑みを浮かべて見つめながら。
(来年こそ完璧なコーディネイトをしてやるぞッ)
 堅く心に誓うロイだった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、サボってばかりなのにありがとうございます〜ッ!本当に嬉しいですっv

ものすご〜く今更感バリバリなんですがハロウィンです(苦笑)いやでも途中まで書いてあったので来年まで眠らせておくのもなんだしってことで。カボチャの衣装着たはぼっく、きっと可愛いってコメント頂いたので着せてみました〜。親馬鹿二人で張り合ってます。来年は勝てるか、ロイ(笑)

この後は姫ハボ書いてーハボロイ書いてーはぼっく書きたいなー。ネタ頂いたしっ!まったりですが頂いたネタにニヤニヤしながらのんびり進めたいと思ってますー。更新もね……うん。もしかしたら他のを更新するかもですが(オイ)ともあれ、引き続きおつきあいよろしくお願いしますv

以下、拍手お返事です。

なおさま

いつもコメントありがとうございます!カボチャの衣装、はぼっくに着せてみました!もう脳内で可愛い姿を妄想しまくってましたよ(笑)流星群あったんですね、知らなかったです。私も一度は見てみたいと思いつつ、夜なかなか見に出られなくて中秋の名月すら見たことありませんよ(苦笑)はぼっく、もう絶対目をキラキラさせてひっくり返りそうなほど上を見上げて見ていそうです。そんなはぼっく、また書いちゃおうかなー。いつも勝手にネタにしてすみません(汗)

サエさま

なかなか更新できずにすみません〜(汗)こちらこそ早速読んでくださって嬉しいですv姫ハボ、うふふ、スッと表情が変わるのってたまりませんよねッ!そして、おおう、ヒューズといる時のロイ!それいいなぁ、絶対ロイ先輩カッコつけてますもんね!是非ネタに使わせてください〜vもう秋もだいぶ深まって参りました。サエさまもお体お気をつけてお過ごしくださいね。

市川さま

姫ハボ秋祭り、お待たせしちゃってごめんなさい(汗)でも、ニマニマしながら読んでくださってとっても嬉しいですーv景品、何にしようと悩んで写真たてにしましたが、素敵と言ってもらえてよかったです!二人の写真が入った写真たて……欲しいですよねぇ(笑)ハボロイ、うお、私もハボの胸板で寝たいッ!えへへ、またネタにしてもいいですか?(コラ)妄想囁いてくださると嬉しいですvv朝晩めっっきり涼しくなりました。市川さまもお体大切にお過ごしくださいね。

ヒュハボ部屋の小説なのですがリンクの無いものが  の方

リンク切れ教えてくださってありがとうございます!わあ、なんかがっつりリンク外れてますね、何でだろう(汗)リンク貼り直しておきましたので、お読み頂けましたら嬉しいですv
2015年11月17日(火)   No.471 (カプなし)

No. PASS
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
  Photo by 空色地図

[Admin] [TOP]
shiromuku(fs4)DIARY version 3.50