(……?) 微かに響いたその音にハボックはギクリと身を震わせて辺りを見回す。だが、ホールの中には特に変わった様子もなく、ハボックは僅かに眉を顰めた。 (空耳?でも……) 気のせいと思おうとする一方で頭の片隅で何かが警鐘を鳴らす。込み上がる不安を抱えながらハボックが五感を研ぎ澄ませれば、不意にロイの声が壇上から響いた。ハッとしてそちらへ視線をやったハボックの目に進行役からマイクを奪い取ってにこやかに笑うロイの姿が映る。ハボックが見つめているのに気づいたようにロイの視線が客席の上をよぎりハボックへと辿り着いた。
進行役からマイクを奪い取って口を開いたロイは、強い視線を感じてゆっくりとそちらへと目を向ける。そうすれば自分を見つめる蒼い瞳が見えて、ロイはうっすらと笑みを浮かべた。 (綺麗だな……遠目からでも宝石みたいに輝いて見える) あんな綺麗な蒼は今まで一度も見たことがない。 (あの蒼を手に入れられる為ならなにも恐れることなどない。私はあの蒼がどうしても欲しいんだ) 声に出しては全く関係のない祝辞を口にしながら胸の内でそう強く願ったロイは、パラパラとマイクを持つ手に落ちてきた埃に目を見開いた。 「……?」 なんだと思った次の瞬間パッと頭上に目を向けたロイは、驚愕に見開いた目を更に大きく開いた。
壇上のロイに視線をやればまるでそれに気づいたように向けられる黒曜石にハボックは眉を寄せる。その顔に浮かぶ笑みを見て、目を逸らそうとしたハボックの耳にさっきよりずっとはっきりとパキンと言う音が飛び込んできた。 「ッ?!」 ハッと壇上へ視線を戻せばホールの天井に施された装飾の一つが剥がれるように落ちていくのが見える。ロイの視線が頭上へ向けられるのとハボックがホルスターから抜いた銃の引き金を引くのがほぼ同時だった。 ガウンガウンとホールに響き渡る銃声と壇上に降り注ぐ石の欠片にホール内が騒然となる。ロイは降ってくる欠片から腕を掲げて頭を守りながら大声で叫んだ。 「ステージから降りろッ!早くッ!!」 その声に壇上にいた人々が慌ててステージの端へと走り、ステージ近くの招待客達がワッと逃げ出す。続けざまに銃声が響く中、ロイは更に降ってくる大きな塊に手袋を填めた手を翻した。 パチンという軽い音に一瞬遅れて放たれた焔が落ちてきた塊を打ち砕く。濛々と視界を覆い隠す埃に、ハボックは銃を構えたまま壇上へと突進した。 「大佐ッ!!」 逃げようとする人々に押し返されそうになりながらハボックはなんとかステージに辿り着くと舞い上がる埃の中にロイの姿を探す。青い軍服が壇上に蹲るのが見えて、ハボックはステージの端に手をかけるとタンと壇上に飛び乗った。 「大佐ッ!!」 その声にロイが顔を上げてハボックを見る。ハボックの蒼い視線とロイの黒いそれが交わったと思った瞬間、更に大きな音がして塊が落ちてきた。 「ッ!!」 「…っ!!」 その塊めがけてハボックの銃が火を噴きロイの焔が翻る。ハボックはロイの体に飛びつくと降り注ぐ欠片から守るようにロイを胸に抱き抱えた。 「ハボック!!」 「動かないでッ!!」 ピシピシと軍服の厚い生地に細かな欠片を弾かせて、ハボックはロイの体を庇い続けた。
いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手もお礼申し上げます。
いよいよGWですね。と言ってもうちの場合土曜はガッコなのであんまり連休な感じではないんですが、いることはいるっていう身動きの取れなさ。それでも今年は4日のイベントには行くぜ!!ふふふ、半ば強引にもぎ取りましたさ。ダンナと息子は野球観戦に行くようです。今回はハボロイプチもあるんですね、ラリーしてこようかな。イベント後にオフ会もあるようですが、流石に参加する度胸はないのでとりあえず日中ガッツリ楽しんでこようと思いますvスケブも頼むぞー、ワクワクv雨だけ降らないといいな。もしどなたかにお見受けすることがありましたらその時は構ってやって下さいましv
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