ロイハボ風味……たぶん(笑)
「あれ?お前一人?大佐は?」 おはようと司令室に入ってくるハボックに朝の挨拶を返したブレダは、てっきり一緒に入ってくると思っていた姿がないことを不思議に思って尋ねる。プカリと煙草の煙を吐き出して自席に腰を下ろしながらハボックが答えた。 「昨日の夕方新車が納車されててさ。仕事終わるまで待ちきれないから取ってくるって」 「へー、お前は行かなかったのか?」 「オレはバイクの走り納め」 「ああ、そう言えば新しいバイク買ったって言ってたっけ」 そう言われてハボックの顔が弛む。嬉しそうな笑みを満面にたたえて言った。 「うん!やっと新しいの買ったんだよー。明日納車だから今日は今のバイクの走り納め。今のバイクも良かったけど、今度のは色々いいもんつけたからさぁ」 うふふ、と垂れた目をもっと下げて言うハボックにブレダは「よかったな」と返す。その時、バンッと勢いよく扉が開いてロイが司令室に入ってきた。 「おはよう、諸君」 「あ、おはようございます、大佐」 「結構早かったっスね」 いつもより早く家を出ていったとはいえ納車なのだ、もっとギリギリに駆け込んでくるかと思ったとハボックが言えば、ロイがニヤリと笑った。 「私の愛車を是非仕事前に諸君に見せたいと思ってな」 ふふふ、と上機嫌な上司にそう言われれば見に行かないわけにはいかない。丁度司令室に入ってきたホークアイも一緒になって、ハボックたちはロイの後について駐車場へと向かった。 「さあ、諸君!見てくれたまえ!」 高らかに言ってロイは自慢の新車を指し示す。最新型の車のピカピカのブラックボディは人目を引くに十分だったが、それよりなにより全員の目が引きつけられたのはそのナンバープレートだった。 「な、な、な、なんスかッッ!!これッッ!!」 唖然としてプレートを見つめる部下たちの中で一番最初に我に返ったハボックが声を張り上げる。ブルブルと震えるハボックの指が指した先のプレートには。 「“I ♥ HAVOC”────こんなプレートいいんですか?」 プレートにデカデカと書かれた文字を声に出して読んだブレダが言う。そうすればロイが答えるより前にファルマンが言った。 「最近道路交通法が変わったんですよ。八文字以内で他に誰も使っていなければ、五十万センズ払うとナンバープレートとして認められるんです」 「「「五十万センズ?!」」」 決して高給取りとは言えない部下たちが一斉に声を張り上げる。だが、ロイはなんでもないと言うように肩を竦めて答えた。 「私のハボックへの愛を街中に示せるんだ。安いものだろう?」 「安いって……僕の一ヶ月のお給料より高いですよ」 あんなプレート一枚に五十万と、ブレダとファルマンも唸る。値段もさることながら、その書かれた文字の恥ずかしさにハボックが顔を真っ赤に染めて言った。 「アンタまさかこのナンバープレートずっとつけて走るつもりじゃないでしょうねッ?!」 「ずっとつけておくに決まってるだろう?この車のナンバーとして登録してあるんだから」 「冗談っしょッッ!!」 平然として言い放つロイにハボックが悲鳴を上げる。「やめてくれッ」と頭を抱えるハボックを後目にホークアイが言った。 「でもこれ、結構いいかもしれませんわね。私もやってみようかしら」 「えっ?中尉もやるんですか?」 ホークアイの言葉にブレダが目を丸くする。指を唇に当て考えるようにホークアイが言った。 「“BURAHA”なんてどう?」 「あ、それいいですね」 ホークアイの提案に犬好きのフュリーも目を輝かせる。少なくとも二人の部下には評判が良さそうなのを見てロイが言った。 「そうだろう?オリジナルのプレート、絶対にオススメだ。だからな、ハボック」 車の前に座り込んでプレートを何とか出来ないかと思案しているハボックにロイが言う。なんだと恨めしそうな顔で見つめてくる空色にロイはにっこりと笑った。 「お前のバイクのプレート。変えておいてやったぞ」 「────え?」 「新しいバイク、明日納車だって?間に合ってよかったよ」 そう言うロイの満面の笑顔をハボックはポカンとして見つめる。次の瞬間ガバッと立ち上がってロイに掴みかかった。 「オレのバイクになにしたんスかッッ?!ま、まさか……ッ?」 「ああ、“I ♥ ROY”にしておいた。嬉しいだろう?」 「う、うそ……」 襟首を掴まれながらも笑みを崩さないロイの答えにハボックがよろよろと後ずさる。 「オ、オレの新しいバイク……」 待ちに待った新車のバイクのナンバープレートをとんでもないものに変えられて、ハボックはガクッと膝をつく。呆然と宙を見つめるハボックにロイは嬉しそうに言った。 「そんなに喜んで貰えて嬉しいよ。一緒に並んで走ろうな」 「ぜっったいに嫌っスッッ!!」 「またまた、恥ずかしがり屋だな、私のハボックは」 「違うッッ!!戻せっ、オレのプレート!!」 半泣きになって怒鳴るハボックと浮かれきったロイと。 「ハボックも可哀想になぁ」 「折角の新しいバイク、乗れませんね」 そんな二人を見ながら気の毒そうに呟くブレダとファルマンだった。
いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気の素です、ありがとうございますvv
「♥」はちゃんと皆さんのパソでもハートマークで表示されているのだろうかと不安に思いつつ、ナンバープレート話です(笑)今朝のニュースでベルギーでは八文字以内で他に使っている人がいなければ千ユーロ(約十三万円)支払うと好きな文字で車のナンバープレートが作れるって言う話をやっていましてね。「十三万かぁ、何か一個オプション付けると思えば高くはないってことなのかなぁ。作るなら絶対“HAVOC”よね!!」と思ったものですから(笑)本当は“ROY♥HAVOC”にしたかったんですが、それだと9文字なんですよねぇ、おしい!つか、そもそもハートマークを使っていいのか怪しいですが(笑)しかし、好きな言葉でいいなんて、結構凄いのとかありそう(笑)テレビでは“I AM HAPPY”ってプレートにしたなんて人を紹介してましたが。
以下、拍手お返事です。
なおさま
風、あはは、トイレスリッパでスパーンと叩かれたり後頭部をチョップされたり、大佐、大変です(爆)まあ、そうされても仕方ない男なんですけど(苦笑)ハボックはもう色気だだ漏れで大変な事になってそうです(笑)黒スグリ、うふふ、小悪魔的ですか?タマランですね(笑)本人無意識なのが余計にヤバいです。セレスタ、ロイにはここから頑張って貰いたいです(笑)おお、どの俳優さんだろう。黒人俳優っていうとパッと浮かぶのはデンゼル・ワシントンくらい(苦笑)でもちょっと違うかなぁ……。オリキャラの名前は大体その時見ているMLBかNFLの選手の名前なもんで(爆)ちなみにリンチ君はNFLの選手でロン毛です(爆)でも、軍人だからロン毛は無理(笑)
阿修羅さま
そちらの方はもう随分寒くなってきたようですね。おかげさまで私は今のところ風邪も引かずに元気でやってますv寒くなると体調も崩しやすいでしょうし、阿修羅さまもお母様もお体大切になさってください。オリジナル書かれるのですか?頑張って下さいね!
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