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2022年02月の日記

2022年02月22日(火)
20220222

20220222
ハボロイver.

「ロイ、ローイ!」
 ハボックは餌が入ったボウルを手に部屋の中を見回しながら歩く。今の時間暖かい陽射しが射し込むクッションを見やり、ソファーの上で丸まったロイのお気に入りのブランケットをまくってため息をついた。
「どこに行ったのかなぁ」
 そう呟きながら、ロイがよく外を覗いている出窓に近づく。ボウルを持っていない方の手をついてレースのカーテン越し庭を見た。
「外にいった……ってことはないよなぁ」
 春になって暖かい風が吹く頃ならともかく、まだまだ冬の寒さが続く今日この頃、寒いところが大嫌いなロイが外に出るとは考えられない。それならばどこへ行ってしまったのだろうと、外へ向けていた視線を部屋の中へと戻したハボックは、「あ」と声を上げた。
「あんなところに」
 そう言ってハボックが見上げたのは背の高い食器棚の上だ。天井との間の狭い隙間にのんびりと寝そべった黒い猫を見つめて、ハボックはため息をついた。
「ローイ、ご飯の時間っスよ」
 ハボックは言って手にしたボウルを掲げてみせる。ハボックの声にうっすらと目を開けた黒猫は、ふわぁと欠伸をすると再び前脚に顎を預けて目を閉じてしまった。
「ロイってば」
 ハボックは棚の上の黒猫に手を伸ばす。指先で柔らかい毛に包まれた脚先を撫でれば黒猫が嫌そうに脚を振った。
「ロイ、ごはん」
 そう繰り返しても黒猫は目を開けもしない。やれやれとため息をついたハボックは、それ以上ロイに餌をやるのを諦めて棚から離れた。ソファーの上のブランケットを畳んで脇に置くとソファーに腰を下ろす。手にしたボウルをソファーの前のテーブルに置き、シャツのポケットから煙草のパッケージを取り出した。トントンと底を軽く叩き少し覗いた煙草のフィルターを咥えようと唇を寄せる。ハボックが煙草を咥えようとした瞬間、ビュッと飛んできた塊がハボックの手から煙草のパッケージを叩き落とした。
「ロイ」
 煙草を咥えられなかった唇を動かしてハボックはロイを呼ぶ。ソファーの上でツンと顔を反らす黒猫にハボックはやれやれと笑みを浮かべた。
「さっきは呼んでも見向きもしなかったくせに」
 ハボックは言いながら大きな手を伸ばして黒猫を抱き上げようとする。その手をペシッと叩いて黒い瞳で見上げてくる黒猫に、ハボックは笑みを浮かべて狭い額を指先で撫でた。
「ローイ」
 コチョコチョと撫でてくる指先にロイは目を細める。その手を掻い潜るようにしてハボックに近づくとピョンと膝の上に乗った。
「やっと来てくれた」
 フフと笑ってハボックは滑らかな黒い毛を撫でる。撫でる手と反対の手を伸ばしてテーブルの上のボウルを取った。
「はい、アンタの好きな特製ご飯っスよ」
 言いながら決して市販の餌は口にしない黒猫に差し出せば、チラリとハボックを見上げたロイがボウルの中に顔を突っ込んだ。
「腹減ってるくせに」
 素直じゃないんだからと笑えば黒い瞳が睨んでくる。それでも美味そうに食べる姿を見て、ハボックは嬉しそうにその艶やかな毛を撫でた。
「……っと、煙草」
 ふと思い出したようにハボックは足下に落ちた煙草を拾い上げる。改めて咥えようとした途端シャーッとロイに睨まれて、ハボックは渋々パッケージを懐に戻した。
「はいはい、判りましたよ」
 ため息をつきながらも煙草をしまうハボックにロイは満足げに鼻を鳴らす。ボウルの中の餌を綺麗に食べ終えるとハボックの膝に前脚を突っ張って伸びをした。そうしてそのまま膝の上に丸まると目を閉じる。ハボックは空色の目を細めて膝の上の黒猫をそっと撫でた。
「大好きっスよ、ロイ」
 そう囁けば黒猫の長い尻尾がハボックの手を優しく叩く。ハボックは嬉しそうに微笑んでロイの背を撫で続けた。


ロイハボver.

「ただいま」
 ガチャリと鍵を開けて玄関の扉を開いたハボックは、中に向かってそう声をかける。リビングに向かうより先に洗面所に行くと、手を洗ってうがいをした。冷たい水に軽く体を震わせながら手を拭くと、リビングへと足を向ける。扉をあければ零れてくる暖かい空気にホッと息を吐いた。
「ただいま」
 もう一度そう言えば毛足の長いラグの上に横たわっていた黒い塊がのそりと立ち上がる。見上げてくる黒い瞳を見返して、ハボックは笑みを浮かべた。
「ただいま、ロイ」
 ハボックは言って黒豹の頭を撫でる。その手を嫌がるように顔を背ける黒豹にクスリと笑って、ハボックは着ていた上着をソファーの背にかけた。
「すぐご飯にしますね」
 そう言いながらキッチンに入ったハボックは、冷蔵庫を開けようと手を伸ばす。その手が冷蔵庫に触れる寸前、背後から飛びかかってきた黒い塊に、ハボックは慌てて伸ばした手を冷蔵庫の扉についた。
「ロイ────わわッ!」
 振り向く間もなくシャツの襟首を咥えた黒豹にグイと引っ張られる。キッチンから引きずり出したハボックを黒豹はポイと自分が寝ていたラグの上に放り出した。
「イテテ……と、うわッ」
 放り出された拍子に打ち付けた頭をさすっていたハボックは、ドンとのし掛かってきた黒豹に目を見開く。仰向けに押さえ込まれて、ハボックは見開いていた空色の瞳を細めて笑みを浮かべた。
「遅くなったから怒ってるんスか?」
 告げて出た帰りの時間より小一時間も遅れてしまったことを怒っているのかと尋ねれば、黒豹が歯を剥いて見せる。いかにも不機嫌そうなその表情に思わずハボックがクスクスと笑えば、ロイが低い唸り声を上げた。
「ごめんなさい、怒んないで」
 ハボックは慌ててそう言うと黒豹の首筋を撫でる。グルルと喉を震わせるロイにハボックは言った。
「腹減ってるっスよね。すぐ用意しますから」
 言いながら肘をついて身を起こそうとしても黒豹が自分の上から退く気配はない。「ロイ」と促すように呼んだが、じっと見つめてくる黒い瞳に、ハボックは諦めたようにカーペットに躯を戻した。
「腹減ってんでしょ?」
 自分を見下ろしてくる黒豹を見返しながらハボックは躯の力を抜いて腕を広げる。そうすれば笑みを浮かべるように目を細めたロイがハボックの首筋をぞろりと舐めた。
「……ッ」
 その濡れた感触にビクリと身を震わせるハボックに黒豹が喉を鳴らす。肉球の間から覗いた爪でハボックの白い肌に薄く紅い痕を残す獣に、ハボックは震える吐息を吐き出した。
「まぁ、アンタになら喰われてもいいっスけどね」
 そう言ってうっすらと朱を刷いた空色の瞳で見上げると、ハボックは手を伸ばして美しい獣をそっと抱き締めた。


ご無沙汰しております。不自由な日々が続いておりますが、みなさまお元気でお過ごしでしょうか?ポチッと拍手も頂いたりして、さっぱり更新もしてませんのに本当にありがとうございます、めっちゃ嬉しいですv
さて、今日は2022年の2月22日。今世紀最大の猫の日だそうで(笑)そんなわけで猫がらみの話など書いてみました。ロイハボの方は黒豹ですが(笑)書いてみたわりになんてことのない話ですみません。黒豹ロイにのし掛かられるハボックが頭に浮かんで、相変わらず妄想が脳内駆けめぐっております、てへv
北京オリンピックも気が付けば終わっていて、毎度一人鬱陶しく盛り上がるダンナを横目で見ながら相も変わらずゲームしております。今やっているのは「ニーア・レプリカント」というだいぶ前にPS3で出たのをPS4版にリメイクしたやつです。面白いんだけど、羊狩っても魔物狩っても血しぶきがあがるのがなんとも〜(苦)返り血どころか直後に歩くと血の足跡が……。ちょっとキモイと思っていたらCEROーDだった。CEROーDでこれかぁ。「ゴーストオブツシマ」というゲームがゲーム評がよかったので買ってみたいと思っているのですが、これ、CEROーZなんですよね。……動画見てから考えよう。FFも出るし、息子が買ったアルセウスもあるし、他にも積んでるゲームあるしなっ!そもそもニーアがまだまだ時間かかりそうだし。少年期→青年期で更にエンディングを全部見るためには周回しなきゃいけないらしい。うちのハボック(ニーア)まだまだ少年期です〜、可愛いvフフフv
2022年02月22日(火)   No.524 (カプ色あり)

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