babble babble


2016年04月の日記

2016年04月16日(土)
新・暗獣62
2016年04月07日(木)
あの子をイジメるのは誰だ?!
2016年04月01日(金)
これからはぽっちゃり系だ!

新・暗獣62
(凄い風だな……)
 ベッドに潜り込んでロイは思う。夜も更けて流石にそろそろ休もうかと読んでいた本をサイドテーブルに置いて横になったものの、途端に外を吹き荒れる風の音が耳についてロイはため息をついてブランケットを引き上げ中に潜り込んだ。
 ヒューヒューと高い悲鳴のような音を立てて吹き荒れる風がガタガタと鎧戸を揺らす。煩いと眉をしかめて頭から被ったブランケットをギュッと引き寄せた時、小さな足音が聞こえた。
「ろーい〜」
「ハボック」
 被っていたブランケットから顔を出せば、ベッドの側に立っているハボックの姿が目に入る。自慢のフサフサの尻尾を抱き締めて、口をへの字に結んでいるハボックを見たロイの唇に笑みが浮かんだ。
「どうした、眠れないのか」
「ろいー」
 吹き荒れる風とガタガタと揺れる鎧戸の音で流石に眠れないらしい。ロイはクスリと笑ってブランケットを持ち上げた。
「おいで」
「ろいっ」
 言えばパッと顔を輝かせてハボックがベッドによじ登ってくる。潜り込んでくる小さな体をブランケットの中に引き寄せて、ロイはハボックを抱き締めた。
「ろーい」
「ふふ、あったかいな」
 ロイはハボックの金色の髪に顔を埋めて呟く。フサフサの尻尾ごと抱きついてくるハボックの背中をロイは優しく撫でた。
「大丈夫、側にいるから」
「ろーいっ」
 耳元に囁けばハボックが頷いて身をすり寄せてくる。小さな体を抱き締めていると不思議と風の音が気にならなくなって、ロイはいつの間にか眠りの淵へと落ちていった。

「ん……」
 ロイは小さく身じろいで息を吐き出す。ゆっくりと目を開ければ鎧戸の隙間から明るい陽射しが射し込んでいるのが見えた。
「……ハボック?」
 ブランケットの中にハボックの姿がない。毛糸玉になってしまったのかとブランケットを剥いで探してみたが、ベッドのどこにもハボックはいなかった。
「もう起きたのか?」
 ロイは呟いて枕元に置いた銀時計を見る。時計の針はそろそろ十一時を指していて、ロイは大きな欠伸をするともう一度ブランケットに潜り込んだ。
「夕べは遅かったし……」
 言い訳のように呟いてロイは目を閉じる。その時、どこかからロイを呼ぶ声がした。
「ハボック?今度はなんだ?」
 ロイは体を起こすとベッドから足をおろす。耳を澄ませて待てばもう一度声が聞こえた。
「ろーいー!」
「外か?」
 ハボックの声は窓の外から聞こえてきているようだ。ロイはベッドから立ち上がると鎧戸を開けた。
「ろーい〜!」
 呼ぶ声にロイは庭を見下ろす。そうすれば庭の桜の木の下、ピンク色の絨毯の上にハボックが立って手を振っていた。
「ろーい〜っ」
 ロイが窓から顔を出したのを見て、ハボックはしゃがんで地面に降り積もった桜の花びらを小さな手のひらで掬う。両手を大きく上げてパアッと花びらを振り蒔いた。
「ろーいっ」
「凄いな、ピンクの雪みたいだ」
 夕べの風で散った桜が降り積もった様はまるでピンク色の雪のようだ。ハボックは両手で花びらを掬ってはそれを宙に蒔く。ひらひらと降り注ぐ花びらの中、ハボックがくるくると回れば舞い落ちた花びらが金色の尻尾を飾った。
「ふふふ、おしゃれだな、ハボック」
「ろぉいっ」
 にっこりと笑ってハボックがくるりと回る。春の陽射しの中、楽しそうに花びらと遊ぶハボックをロイは二階の窓からのんびりと眺めていた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります。もうちょっと頑張ろうって思います、ありがとうございますv

東京はもうすっかり桜も散ってしまいました。ホント桜ってあっという間ですよね〜。もう少し長く楽しめればいいのにと思うけど、短いからいいんでしょうか。先日出かけた先で丁度坂の上から見えた小さな公園が一面桜の絨毯になっていてとってもきれいでした。咲いていても散ってからもきれいなのがいいなーと思います。

以下、拍手お返事です。

なおさま

えへへ、いつもネタをありがとうございますvハボックの泣き顔〜vですよねー、もう絶対犯人を許しませんよね!犯人を教えろとロイに迫られていい加減うんざりしたブレダが「ただの花粉症ですよ!犯人っていうならあの杉の木が犯人です!」というのを聞いたロイがアメストリスを焼け野原にしないか心配です(笑)
2016年04月16日(土)   No.482 (カプなし)

あの子をイジメるのは誰だ?!
(カプなしでもいい気もするけどロイハボ風味なのかなぁ(笑)


「今日は隊長、遅いな……」
 マイクは腕時計を見て呟く。その呟きに詰め所にいたハボック小隊の隊員たちはそれぞれに壁の時計や腕時計に目をやった。今日は朝から演習の予定だ。だが、肝心のハボックが定時を十五分過ぎても姿を現さず、隊員たちは司令室に様子を見に行くかこのまま待つか、決め倦ねているところだった。
「またマスタング大佐に足止め食らってんじゃねぇの?」
「かもな」
 ハボックの直属の上官であるロイ・マスタングの顔を思い浮かべて隊員たちは顔をしかめた。
 何かにつけてロイは隊員たちから見れば我儘としか思えない無理難題をハボックに言っている。それをまたハボックが怒りもせず赦しているのが隊長絶対至上主義の彼らからすればどうにも納得がいかず、ロイがハボックの敬愛する上官以上の存在であるとはいえいつか必ず思い知らせてやるというのが隊員たち全員の一致した意見だった。
「やっぱ司令室見てくる」
 そう言って立ち上がったマイクが詰め所の扉を開けるより一瞬早く外側から扉が開く。開いた扉から入ってきたハボックの姿にホッとした隊員たちは次の瞬間、目を真っ赤に腫らしたハボックに息を飲んで凍り付いた。
「遅くなってごめん」
 ズズッと鼻をすすってハボックが言う。目を見開いて見つめてくる部下たちの視線に気づいて、ハボックは困ったように笑った。
「あー……ごめん、みっともない顔で」
 えへへ、と笑ってハボックは指先で目元の涙を拭う。言葉もなく見つめてくる部下たちに、ハボックは頭を掻いて言った。
「わりぃ、今日の演習、明日に延期ってことで。遅れた上に勝手言ってごめん」
 ハボックはそう言って軽く頭を下げると、司令室に行くからと詰め所を出ていってしまう。パタンと扉が閉じれば、誰ともなく詰めていた息を吐き出して隊員たちは互いの顔を見合わせた。
「隊長、泣いてたぞ……」
「あれは絶対マスタング大佐に……っ」
「今まで我慢に我慢を重ねていたが、今日という今日はもう我慢できんッッ!!」
「俺たちの隊長を泣かせるなんてッッ!!」
「「マスタング、赦すまじ!!」
 隊員たちはその全身から怒りの焔を吹き上げて、ロイを倒す事を誓った。

「ううッ」
 突然の悪寒にロイはブルリと体を震わせる。風邪か?と首を傾げた時、コンコンと執務室の扉をノックする音がしてハボックがトレイを手に入ってきた。
「失礼します、コーヒー持ってきたっス」
「おお、ハボック。今朝は遅かったなっ」
 愛しのハボックの声に、窓辺に立っていたロイは勢いよく振り向く。トレイに乗せたコーヒーのカップを机に置くハボックの横顔を見たロイは、大好きな空色の瞳を真っ赤に腫らしている事に気づいて黒曜石の瞳を大きく見開いた。
「ハボックッッ!!一体なにがあったッッ?!」
「へ?」
 ドカドカと足音も荒く近づいてきたロイに腕を掴まれて、ハボックがキョトンとする。涙の滲む目元をロイの指先で拭われて、ハボックは「ああ」というように苦笑した。
「別になんでもないっスよ」
「なんでもないわけないだろうッ!一体誰がお前をイジメたんだッ?」
「別に誰にもイジメられてなんか──あー、でもある意味イジメられてんのかな」
 否定しかけたハボックがボソリと呟くのをロイはしっかりと聞きとめる。
「誰がお前を────そうかっ、ヒューズだなッッ!!あの髭めッ、私の大事なハボックをよくもッッ!!」
「えっ?中佐?中佐は関係ないっスよ」
「嘘はつかんでいい、ハボック!私がヒューズを懲らしめてやるッッ!!おのれ、悪徳髭めッッ!!待っていろッッ!!」
「あっ、ちょっと、大佐っっ!!」
 ハボックが止めるのも構わずロイは執務室を飛び出していってしまう。その背を呆然と見送ったハボックは、やれやれと大きなため息を吐き出して執務室を出た。
「おい、今大佐がもの凄い雄叫びあげて飛び出して行ったけど」
 一体なんだ、ありゃと首を傾げるブレダに答えようとしたハボックは、言葉の代わりに大きなくしゃみを連発した。
「う〜、くしゃみ止まんねぇ……目ぇ痒いし」
「なんだ、花粉症か?薬はどうした?いっつも飲んでんだろ?」
 目をゴシゴシとこするハボックにブレダが言う。ハボックはティッシュでチーンと鼻をかんで答えた。
「仕事が忙しくて貰いに行く暇なくて切らしてんだよ。花粉がオレをイジメル……ああもう、痒いッッ!!」
 大声で叫んでハボックは両手で両目をこする。真っ赤に腫らした瞳から涙を零すハボックを見て、ブレダがハボックの手を押さえた。
「そんなこすったら余計ひどくなんだろ。さっさと薬貰ってこいよ。仕事になんねぇだろうが」
「うん、演習出来なかった……」
「だろ?ほら、行ってこいって」
「ん……ちょっと行ってくる」
 パンとブレダに背中を叩かれて、ハボックは涙に濡れた瞳をしょぼつかせながら司令室を出ていった。


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杉の花粉は少なくなったようですが、まだ花粉予報は真っ赤ですね。花粉症の方々、大丈夫ですかー?私も今年はちょっぴり鼻に来てます。くしゃみと鼻づまり……鬱陶しい(苦)
花粉症で苦労なさってる方からハボの花粉症をヒューズにイジメられたと勘違いするロイっていうコメント頂いたので書いてみました。ついでに部下たちも勘違い(笑)早く花粉症の季節が終わるといいですねっ!

以下、拍手お返事です。

なおさま

あはは、被害者!(笑)確かに今年のブレさんは被害者ですよねぇ。腕回すために物凄く密着したと思われ(爆)いや、あれはぽっちゃりですよ!某忍者もぽっちゃりだって言ってますし(笑)
2016年04月07日(木)   No.481 (ロイハボ)

これからはぽっちゃり系だ!
ロイブレ風味

 カチャリと扉が開く音にブレダはハッとして腰を浮かす。執務室の扉を背に立つハボックを見て、ブレダは乾ききった唇を舐めた。
「ハボック……」
 掠れた声で小さい頃からの友人の名を呼べば、ハボックがピクリと震えて俯けていた顔を上げた。
「あ……ハボック、俺……ッ」
 何をどう言っていいか判らず、ブレダは唇を噛み締める。そんなブレダにハボックが青褪めた顔に無理矢理笑みを浮かべた。
「大佐の事よろしく頼むなっ!あの人、お前も知ってると思うけど結構抜けてるとこあるからさっ!────オレはもう大佐のためになんもしてあげらんないから……っ」
 ひきつった笑顔でそう言ったハボックの言葉の語尾が震える。ブレダはギュッと手を握り締めて頭を下げた。
「ごめん、ハボッ!お前から大佐を奪うような真似……ッ」
 深々と頭を下げて叫ぶように詫びの言葉を口にする。そんなブレダにハボックは慌てて駆け寄ると肩に手をかけブレダの体を起こした。
「お前が謝ることないって!仕方ないよ、オレはお前みたいに可愛いぽっちゃり系じゃないんだから。オレみたいにデカくてゴツイ奴、大佐が愛してくれるわけ……ッ」
 そこまで言ったハボックがクシャクシャと顔を歪める。
「お前の幸せ、願ってるけど……っ、でも今はオレ……ごめんッ」
 空色の瞳からボロボロと涙を零してハボックは呻くように言うと司令室を飛び出していってしまった。
「ごめん、ハボ……でも俺も大佐の事……だから譲れない」
 飛び出していったハボックを追うことも出来ずブレダはそう呟く。そっと目を閉じたブレダは目を開くとゆっくりと執務室の扉に近づいた。大きく息を吸い込んで吐き出し持ち上げた拳で軽く扉をノックする。中から聞こえるロイの声に小さく震えたブレダは意を決して執務室の扉を開いた。
「ブレダ少尉」
 中に入れば執務机の向こうに座っていたロイが弾かれたように立ち上がる。扉を背に立ち尽くすブレダにゆっくりと歩み寄って、ロイはブレダの手を取った。
「来てくれてよかった、少尉。もし君が来てくれなかったら、私は……」
「少尉だなんて……これからは二人の時はハイマンスって呼んでください」
 ほんの少し頬を染めたブレダがそう言うのを聞いてロイが嬉しそうに笑う。ブレダの手をギュッと握り締めて尋ねた。
「キス……してもいいかな?」
「そ、そんな、いちいち聞かないでくださいっ」
「でも、嫌かもしれないだろう?」
「嫌なわけない、して欲しいに決まってるじゃないですかッ────あ……」
 ロイの言葉に思わず言い返してしまってから、ブレダは自分が言った言葉にハッとして顔を真っ赤に染める。恥ずかしそうに目を逸らすブレダに、ロイはクスリと笑ってふっくらとした頬をそっと撫でた。
「可愛いな、もうずっとこうして触れたいと思ってたんだ。お前のこのぽっちゃりとした体に」
「た、大佐っ」
「愛してるよ、ハイマンス」
「あ……お、俺もっ、ずっと大佐のことッ」
 にっこりと笑って名を呼ばれて、ブレダは泣きそうに顔を歪める。そんなブレダの体に手を回して、ロイはぽっちゃりとした体を引き寄せた。
「私のものだ、ハイマンス」
「大佐……」
 囁いて近づいてくる唇を、ブレダはそっと目を閉じて受け止めた。


いつも遊びにきてくださってありがとうございます。拍手、本当にありがたいです!嬉しいですーvv

さて。
これまでずっとロイハボ、ハボロイで頑張ってきた私ですが、やっぱり時代はぽっちゃり系よね!と思い至るようになりました。つきましては今日からロイハボ、ハボロイサイト改めロイブレサイトで頑張っていきたいと思います。ハボの事は勿論好きですので、これからはブレダのよい友人ってことで登場させたいなと。そんなわけで、本日からはロイブレサイトyeux de bleuをよろしくお願いいたします!






………
……………


で。(←だがしかし風に)
もう毎年やってるんで誰も信じてくれないと思いつつ、以前楽しみにしているというお声を頂いた事があったので、今年もエープリールフールにやってみました。如何でしたでしょう、今年のエープリールフール劇場(笑)もういい加減ネタがないわーと悩んだ結果たどり着いたのがロイブレ!(爆)いやあ、なかなかにチャレンジャーだわとぞわぞわしつつ書いてました(笑)きっと今頃妙な芝居をさせられて、ブレダは全身にジンマシンが出て、ロイはハボックに慰めて貰っていると思います(笑)
そんなわけで、これからもブレダには親友ポジションで、ロイハボ、ハボロイメインにヒュハボ、エドハボなどなど織り交ぜつつ頑張っていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしますv

以下、拍手お返事です。

なおさま

ケーキ屋ハボック、チョー怖い番犬(笑)ものすごい噂の的になっていそうです。花粉症、辛いですよね〜!私も今年は久々に鼻に来てます。くしゃみと鼻づまりでフガフガ言ってますよ(苦笑)花粉症ネタで書こうと思っていたのですが、エープリールフールだったので次回花粉症ネタ頂いちゃいますねッ!えへへv

ラインさま

こちらこそ今でもこうして遊びに来て下さって本当に本当にありがとうございます!やっぱりこうして遊びに来て下さる方がいると思うと続けていく励みになります。これからもどうぞよろしくお願いいたしますv
2016年04月01日(金)   No.480 (カプ色あり)

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  Photo by 空色地図

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