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2014年01月の日記

2014年01月31日(金)
新・暗獣46
2014年01月28日(火)
獣11
2014年01月23日(木)
新・暗獣45
2014年01月14日(火)
フィギュア2
2014年01月12日(日)
フィギュア
2014年01月08日(水)
新年

新・暗獣46
 リビングのソファーに座って新聞を読んでいれば、ドンドンと乱暴に扉を叩く音にロイは眉をしかめる。床に大事な宝物を広げて眺めていたハボックが、慌てて箱にしまい込むのを見ながらロイは言った。
「あの叩き方はヒューズだな」
 やれやれとため息をついてロイは新聞を置いて立ち上がる。宝物の箱をカーテンの陰に隠したハボックが伸ばしてきた手を繋いで、ロイは玄関へと向かった。
「煩いっ、叩くのをやめないと開けんぞ」
 喧しく扉を叩く音にロイがそう言えば、ピタリと音が止む。鍵を回し扉を開けると、案の定満面の笑みを浮かべた髭面が立っていた。
「ハボックちゃーん、こんにちはッ!まーす君ですよぉ」
 目の前に立つ家の主など目にも入らぬ様子でヒューズは言って、ハボックに手を伸ばす。だが、いつもなら何か楽しいものを持ってきてくれるヒューズを歓迎するハボックは、ロイのシャツを握り締めて背後に隠れてしまった。
「ハボックちゃん?どうし────」
「ろーいーッ!」
 たの?とヒューズが最後まで言い切る前にハボックが大声を上げてロイにしがみつく。ギューッと抱きついて嫌々と首を振るハボックに、ロイもヒューズも目を丸くした。
「えっ?なんでっ?俺、なにか驚かすようなことしたっ?」
「いや、お前のテンションが無駄に高いのはいつものことだからな」
 ハボックの態度にオロオロするヒューズにロイが言う。ロイを放すまいとするかのようにギュッとしがみついたハボックが、警戒心丸だしでヒューズを見つめていることに気づいたロイが「あ」と声を上げた。
「そうか」
「なにっ?なんだよ、“そうか”って!」
 どうにも訳が判らずヒューズはロイを見る。オロオロと焦りまくるヒューズにロイはニヤリと笑った。
「三段論法だな、これは」
「三段論法?」
「そう。お前が家に来る。すると私がいなくなる。だからお前が嫌い」
「は?────はああッ!??なにそれッ?!」
 ロイの言葉に一瞬ポカンとしたヒューズが次の瞬間声を張り上げる。ヒューズの大声にビクッとしてしがみつく手に力を込めるハボックの頭を撫でてやりながらロイは言った。
「この間お前が留守番に来て、私が家を空けたろう?だからハボックはお前が来るとまた私が自分を置いてどこかに行ってしまうんじゃないかと思ってるんだ」
「なんだよ、それッ!別に今日は留守番に来た訳じゃないぞッ!」
「仕方ないだろう、ハボックにはそう言う風に刷り込まれたんだから」
 全然仕方なくもなんともない様子で言うロイをヒューズは口を開けて見る。何度も口をパクパクとさせたヒューズが、むんずとロイの胸倉を掴んだ。
「冗談じゃないぞっ、ってことは、あれか?この先俺はハボックちゃんにずっと警戒されて嫌われるってことかッ?留守番しろって言ったのはお前だぞッ!俺は全然悪くないのにふざけんなよッ!」
 なんで俺がハボックちゃんに嫌われなけりゃいけないんだと、ギャアギャアと間近でヒューズに喚かれて、ロイは思い切り顔をしかめる。そんな二人の足元で、ハボックが泣きそうな声を上げた。
「ろーい〜〜っ」
「ああ、ハボック。大丈夫だ、心配ない」
 その声を聞きつけて、ロイはハボックを抱き上げる。ロイの首に手を回してギューッと抱きつくハボックを見て、ヒューズが言った。
「おい、なんとかしろ、ロイ!俺はハボックちゃんと遊びたいんだッ」
「何とかって言ってもな」
 必死の形相で言うヒューズにロイは肩を竦める。
「ハボックがお前が来ても大丈夫だと思うまでは無理じゃないか?」
 ハボックの中の三段論法が消え失せて、前のようにヒューズは楽しい事を持ってきてくれると思うようになるまで無理じゃないかと平然と言い放つロイを、ヒューズはじっと見つめる。それからほんの一瞬考えたと思うと口を開いた。
「よし、判った。それなら俺は毎日ここに通う」
「───は?なにを言い出すんだ、お前」
「ハボックちゃんが俺と元通り仲良くなってくれるまで、毎日ここに通うッ!!」
 拳を握り締めてそう宣言するヒューズに、ロイは目を吊り上げる。
「なにを言い出すかと思えば、大体お前、仕事があるだろうッ!毎日どうやってここに通うんだッ?無理に決まってるだろうがッ」
「無理だなんて誰が決めたッ!やると決めたら俺はやるぞッ!」
「勝手に決めるなッ、迷惑だッ!」
 きっぱりと言い切るヒューズに、ロイは抱いていたハボックをおろして正面から向かい合った。
「阿呆な事を言ってる暇があるならとっとと帰れッ!」
「阿呆じゃない、俺はいたって真面目だッ!これから毎日通うぞッ!」
「ふざけるなッ!来なくていいッ!」
「いや、来るッ!」
 ギャアギャアと顔をつき合わせて怒鳴りあう男二人を。
「ろーい〜」
 心配そうに見上げてロイのシャツを握り締めるハボックだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになってますvそして、早速のバレンタインネタ投下もありがとうございます〜vv嬉しいなッvvもう、更新そっちのけでバレンタインの方に気持ちがイっちゃってますよ(笑)頑張りますv

「暗獣」です。お留守番の続き。これ、実話ベースです(笑)息子が2歳位の頃、私が手術するので入院した事があったんですが、その時息子を実家に預けたところ実家にいる間は母にべったりだった息子が家に帰ってきた後、母が家に遊びに来るともー警戒心丸出しで(笑)どうやら「ばあばが来る」「するとママがいなくなる」「だからばあばキライ」という三段論法が出来上がってしまったらしく、その後結構長い事母を泣かせておりました。母にしてみればとんだとばっちり(苦笑)そんなわけでヒューズは暫くロイんち通いが続くかと。すんごい迷惑な髭(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

獣、あー、そういう続きを書こうと思ってたのですが読まれてましたね(笑)もう絶対そのオチですよねぇ。ロイってば意外と一時の感情に流されやすい(苦笑)おお、バレンタインネタ、ありがとうございます!エロエロしいハボックッ(爆)いやぁ、どれだけ書けるか判りませんが、力いっぱいエロエロしく、頑張らせて頂きますッvv久遠、そうですね、ウルフなら悩む前に行動に移しそうです(苦笑)おお、なおさまならそんな風ですか?ちょっと切なくていいですね、うふふふふv私、リトル・マーメイドってお話知らないんですよ。そうなんだ、同じ人魚姫でもそっちはハッピーエンドなんですね。えー、どうやってハッピーエンドになるんだろう。今度ネットであらすじ探して読んでみます(笑)

阿修羅さま

わあ、目眩やらストーブ不調やら、なんか大変な事になってますね(汗)目眩は辛いですよね……。ホントお体大事になさってください!ストーブ、直りましたか?阿修羅さまのとこ、寒い地方ですよね?風邪、引かないで下さいよぅ!すっかり遅くなってしまいましたが誕プレ小説、書きましたんで拍手にアドレスご連絡しに伺いますね。バレンタインネタもありがとうございますvって、どんなバレンタインですかーッ!(爆)いやあ、私の箍が外れそうです(笑)暴走し過ぎないようにして頑張りますっ(笑)

Kさま

おお、お久しぶりです!お元気ですか?バレンタインネタありがとうございますーvいやいや、ベタは王道ですから!どちらでもと言う事ですが、これならハボロイの方が良さそうなのでハボロイで行きたいと思います。ふふふ、仕方のないヒトvv可愛いなぁ!って、可愛く書けるかどうかが問題ですが…(汗)頑張りますッ!!
2014年01月31日(金)   No.366 (カプなし)

獣11
『ねぇ、大――』
『却下』
 毛足の長いラグの上で寝そべっていれば、頭上に影が射す。ハボックが私に呼びかけるのすら許さず一言の下に拒否すれば、ハボックが不満の声を上げた。
『まだ何も言ってないじゃないっスか!つか、呼んですらいないのに!』
『呼んでないんだな。だったら話しかけるな』
 前脚に乗せた顔も上げずに目を閉じたままそう言えば、ハボックがムゥと膨れたのが判る。ハボックは前脚でラグを引っかきながら言った。
『大佐ってば冷たい。オレの話、聞いてくれたっていいじゃないっスか』
 そう言うのさえ無視して寝そべっていたが、耳元でラグをガリガリと引っ掻く音が気になる。片目を開けて音のする方を見た私は、ハボックの爪に引っかかれたラグがぼそぼそに毛羽立っているのを見てガバッと立ち上がった。
『ハボック!』
『あ、大佐っ、オレの話聞いてくれんの?』
『違うッ!ラグを引っ掻くなッ!ぼそぼそになってるだろうがッ!』
 立ち上がった私を見てパッと顔を輝かせるハボックの脚を私は思い切り払いのける。ぼそぼそになってしまったラグを肉球で撫でつけながらハボックを睨んだ。
『なんて事をするんだッ!もう寝かせてやらんぞッ』
 お気に入りの大事なラグを粗末にされて、私はハボックを怒鳴りつけると撫でつけたラグを見下ろす。何度も優しく撫でればなんとか見られる程度にまで回復したのを見て、ホッと胸を撫で下ろした。
『全くなんて事をするんだっ。二度とこんな事をしてみろ、もう絶対寝かせてなど――――』
 やらんと言いかけて、私はハボックがいなくなっている事に気づく。リビングの中を見回したがハボックの姿はどこにもなく、近くに気配も感じなかった。
『――――なんだ、大した用事じゃないんじゃないか。だったら話しかけなきゃいいだろう?ラグまでこんなにして』
 声に出してそう言ってみたが返る答えはない。暫く待ってみたがなんの物音すらしないことに私は眉間に皺を寄せた。
『失礼なヤツめ、もう知らんぞ』
 何となく胸に湧き上がった罪悪感を誤魔化すように言って、私はラグに寝そべると無理矢理目を閉じた。

 その後、ハボックは幾ら待っても姿を見せなかった。今夜ヒューズは夜勤で、私達の晩飯は時間になるとカラクリで蓋が開く特製の入れ物に入れてあったが、蓋が開く時間になってもハボックが出てくる気配はしなかった。
『フン、拗ねるなら勝手に拗ねてろ。お前の分も食ってやる』
 私はこれ見よがしに大きな声で言ってみる。食いしん坊のハボックならそろそろ出てくるんじゃないかと期待して見回したが、金色の犬は一向に現れなかった。
『どこにいるんだ、アイツ……』
 一人の食事は食が進まず、折角ヒューズが用意してくれた食事も一つは手付かず、もう一つは半分残した状態で放置された。きっと明日ヒューズが帰ってきたらさぞかし心配するだろう。

 ハボックが何を言いにきたのか、実は大体見当がついていた。と言うのも昨日から降り続いていた雪が見事に積もって外は見渡す限りの銀世界になっていたからだ。去年の同じ季節、初めて雪を見てすっかり興奮したハボックと庭で雪のかけっこをして遊んだ。きっとハボックはそれを覚えていて、今年もまた一緒に遊ぼうと思ったに違いない。いつだってアイツは私と遊びたがり、どんなに私が邪険にしても遊びに誘うのをやめなかった。
 私は寝そべっていたラグからのそりと立ち上がるとリビングから出る。冷え切った廊下を歩き中庭に続く扉を抜けて外へと出た。
 降り続いた雪がやんで真っ暗な空には月がぽっかりと浮かんでいる。月から降り注ぐ光が雪を照らして、夜だというのに世界は白々と明るかった。
 扉から庭へと続く足跡を辿って私は冷たい雪に脚を踏み入れる。雪をキュッキュッと鳴らしながら歩いていくとハッハッと言う呼吸音と雪を踏み鳴らす音が聞こえた。
 月光が降り注ぐ庭でハボックは一人雪を巻き上げて遊んでいた。思い切り雪にダイブし大きな体で雪を掻き分けフサフサの尻尾で雪を跳ね上げる。いつもは金に輝いている体が月の光と舞い散る雪で銀色に輝き、そのまま淡く溶けて消えてしまいそうな錯覚を私に引き起こした。
『――――ッ』
 その錯覚に私は堪らず数歩の距離をジャンプして飛び越えるとハボックに飛びかかる。不意打ちを食らってハボックの体が雪の中にずっぽりと沈んだ。
『大佐っ?』
 長い毛に雪をまぶしてハボックが驚きの声を上げる。見上げてくる空色を睨むように見下ろしていれば、ハボックがにっこりと笑った。
『ビックリしたぁ!夜が大佐の形になって飛び出してきたのかと思っちゃったっスよ』
 そう言って見上げてくるハボックの瞳は月の光を受けてキラキラと輝いている。雪に埋もれたままハボックは小首を傾げた。
『一緒に遊びましょ、大佐っ』
 あんなに冷たくしたのに、まだそんな事を言うハボックに切なくなる。半分雪に埋もれたハボックの上に私は前脚で雪をかけた。
『埋まるっ!大佐っ、埋まっちゃう!』
 雪に全身埋もれかけてハボックがギャーッと悲鳴を上げる。私はフンと鼻を鳴らすと圧し掛かっていたハボックの上からどいた。
『大佐ァ』
 のそりと起き上がったハボックが体をブルッと震わせて雪を振り払う。伺うように見つめてくる空色に私は雪を引っ掛けた。そうしてじっと見つめれば、ハボックが遠慮がちに雪をかけ返してくる。それに返して私が雪をかければまたハボックが。
『大佐っ』
 にぱぁと笑ったハボックが笑いながら雪をかけてくるのに負けじとかけ返して。
 私達は銀色の月の光の中、雪を跳ね上げては長いこと遊んだ。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになってます!本当に嬉しいですv

「獣」です。この間テレビで寒さが苦手なワンコが初めての雪に大はしゃぎして雪まみれになって走り回ってるっていうのを見たので、ヒューズがいない家で雪まみれになってあそぶ二匹ってことで(笑)今シーズン、まだ東京では積もるような雪は降ってませんが、今年は降るのかなぁ。今週は寒暖の差が激しくて一月の気温と桜が咲く頃の気温とを行ったり来たりしています。やめて、そういうの……(苦)三月になってドカ雪が降ったりする事もあるし、やっぱり年に一度くらいは雪が降ってるの見てみたい(笑)

ところで、来月はバレンタインなんてイベントがありますが、七年もサイトをやってるといい加減ネタも尽きてくるという……。そんなわけで、ネタ募集しまーす!このカプでこんなネタっていうのがありましたら、是非とも拍手でリクしてやって下さい。ハボロイ、ロイハボは勿論ヒュハボ、エドハボでもオッケーです。リクなかったら何とかひねり出そうと思いますが、出来れば是非〜v2月10日くらいまで募集します。お待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

以下、拍手お返事です。

なおさま

暗獣、ヒューズも一生懸命頑張ってるんですけどねぇ…ホント浮かばれない(笑)応援してあげて下さいvセレスタ、実はチャーリーって名前かもしれない(爆)でもそうすると、どうしてもあの頭のイメージが!い〜や〜ッ(笑)お尻にロックオン!(爆)うーん、嫌な体質だなぁ(苦笑)
2014年01月28日(火)   No.365 (カプなし)

新・暗獣45
「あれ?」
 目が覚めたベッドの中で一緒に眠った筈の温もりを探し、ヒューズはいくらブランケットの中でもぞもぞと手を動かしても目指すそれがないことに気づいて飛び起きる。バッとブランケットをめくってみればハボックの姿はなくて、ヒューズは慌ててベッドから降りた。
「ハボックちゃんっ?」
 まさかロイを探しに出ていったりはしてないだろうか。俄に沸き上がった不安にヒューズはゲスト用の寝室を出て二階に駆け上がる。主寝室の扉をそっと開け中を覗いたヒューズは、ベッドの上に出来たブランケットの小山を見つけてホッと息を吐いた。
「ハボックちゃん」
 安心すると同時にロイのベッドで眠るハボックの姿に淋しさを覚える。ヒューズはそっと扉を閉めると階下に降りて顔を洗い朝食の準備をした。パンとコーヒーだけの簡素な朝食を手にダイニングに出てくれば、いつの間に降りてきたのかハボックが新聞をヒューズに差し出す。ありがとうと受け取って新聞を手にパンをかじるヒューズの椅子の側に立って、ハボックはヒューズのシャツの裾を掴んでいた。
「ハボックちゃん、ご飯済んだら散歩につきあってくれるかい?」
「ろいっ」
 言えば頷くハボックにヒューズは笑みを浮かべる。新聞を閉じて食べ終えた食器をシンクに放り込むと、ヒューズは側にくっついているハボックを見下ろした。
「よし、行こうか」
「ろーい」
 ヒューズの言葉に頷いてハボックは小さな手を差し出す。ヒューズは一瞬見開いた目を笑みに細めてその手を取った。
 外に出ればもう随分と高くなった青空が広がっている。手を繋いで歩いていくと程なくして小さな公園に着いた。ハボックの小さな手がヒューズのそれをグイと引っ張る。引かれるままついて行けば公園の中に入ったハボックは、ヒューズを大きなクヌギの木の下へ連れていった。
「ろーい」
 手を繋いだまましゃがんだハボックが、足下に落ちた団栗を拾ってヒューズに差し出す。
「くれるのかい?」
「ろいっ」
「ありがとう、ハボックちゃん」
 ヒューズが礼を言って受け取るとハボックはにっこりと笑った。それからまたヒューズの手を引いて歩き出す。彼岸花やコスモスの花が咲いている間を時に立ち止まって花に触れたりして歩くのを、ヒューズはハボックの好きにさせてついていった。途中、ふと立ち止まったハボックが何かを探すように公園の中を見回す。どうしたのかとヒューズが尋ねるより早く、ハボックがヒューズの手を離して駆けていってしまった。
「ハボックちゃんっ?」
 慌ててヒューズが追いかけたが、ハボックは低い植え込みの間に潜り込んでしまう。後に続こうにもヒューズが入るには植え込みの隙間は狭すぎて、ヒューズはうろうろとしながらハボックを呼んだ。
「ハボックちゃんっ!どこだいっ?戻っておいで!」
 このまま見失ってしまったらと思うとドッと汗が噴き出してくる。植え込みを踏み荒らしてでもおいかけようかと思った時、ハボックがひょっこりと顔を出した。
「ハボックちゃん!」
 無事戻ってきた姿を見て、ヒューズはハアアと息を吐く。膝に手をつきがっくりと前屈みになってため息をついたヒューズは、首を傾げて見上げてくるハボックを見て言った。
「見えないところに行ったら心配するでしょ!駄目だよ、ハボックちゃん」
「ろーい」
 メッと眼鏡の奥の目を吊り上げるヒューズにハボックは申し訳なさそうに言う。もう一つため息をついて、ハボックの頭を撫でたヒューズは、ハボックが大事そうに小さな手を握り締めていることに気づいた。
「何か拾ってきたのかい?」
「ろいっ」
 ニコッと笑ったもののハボックは見せてくれない。ヒューズに背を向けると手の中のものを大切にポケットにしまった。
「今度は何処に行く?ハボックちゃん」
 公園の入口に戻ってくると、ヒューズはハボックに尋ねる。ヒューズをチラリと見上げたハボックは、今度は賑やかな通りに向かって歩き出した。駅前の雑貨店のショーウィンドウに飾られたハロウィンの飾りを覗き、裏通りの古書店を眺める。ロイの連れだと覚えていた店主が、サービスだと言ってハボックに綺麗な栞をくれた。街を横切る川を渡る橋の上で立ち止まって川を見下ろせば、吹き抜ける風がハボックの金髪をふわふわと靡かせる。途中、ハボックが繋いだ手を離したのは、公園の中で何かを拾いにいったあの時だけだった。
 そうして一日街のあちこちを散歩して二人は家に戻る。段々と日が暮れ辺りが暗くなっていくと、ハボックは落ち着かなげに家の中を歩き回った。
「そろそろ帰ってくるね。家中ピカピカでロイの奴、きっとびっくりするよ」
「ろいっ」
 うろうろと歩き回るハボックにヒューズが言う。ヒューズはロイがいつ帰ってきてもいいように夕方から作っていたシチューを温めなおした。
 カチカチと壁の時計が時を刻む。ハボックは部屋の中を歩き回ってはカーテンをめくって外を覗き、また部屋の中をうろうろして玄関に様子を伺いに行った。そんなハボックを横目に見ながらヒューズは新聞に目を通す。新聞の隅から隅まで時間をかけてじっくりと三度も読み返して、ヒューズは乱暴に新聞をテーブルに置いた。
 気がつけば、歩き回っていたハボックの姿がない。グルリと部屋の中を見回してふさふさの金色の尻尾が窓辺のカーテンの下から覗いているのを見て、ヒューズはため息をついて立ち上がった。
「ハボックちゃん」
 そう声をかけたがハボックは顔を出さない。ハアと大きく息を吐いて、ヒューズはガリガリと頭を掻き毟った。
「あのバカ……ッ、なにやってやがる!」
 もうとっくに戻ってきてもいい時間だ。ヒューズは口の中で友人を罵るとカーテンの側にしゃがみ込んだ。
「ハボックちゃん、そんなところにいないで出ておいで。そうだ、一緒にハボックちゃんの宝物眺めようか。マース君にハボックちゃんの宝物見せてくれないかなぁ」
 そう言って柔らかい尻尾を優しく撫でたがハボックからの答えはない。仕方なしにもう一度話しかけようとして、ヒューズはカーテンの中からすすり泣く声が聞こえているのに気づいた。
「ろーい……」
「ハボックちゃん……」
 ロイがいない淋しさを必死にこらえて、もう限界なのだろう。カーテンに隠れて声を潜めて泣く姿にヒューズは胸が締め付けられる気がする。カーテンをかき分けたヒューズは、しゃがみ込んで震えている小さな体を抱き締めようと手を伸ばした。その時。
 ガチャガチャッと玄関の鍵が開く音がする。その音を聞いた瞬間、小さく縮こまっていたハボックが弾かれたように飛び上がった。
「ろーいッッ!!」
 ハボックはヒューズの脇をすり抜けてリビングを飛び出していく。その後を追って部屋を出たヒューズは、玄関の扉を開けて入ってきたロイに飛びつくハボックの姿を見てやれやれとため息をついた。
「ろーい〜〜〜ッッ!!」
「ハボック」
 ロイは手にしていた鞄を置いて飛びついてきたハボックを受け止める。わんわんと大声で泣くハボックを優しく抱き締めて、ロイは言った。
「すまん、ハボック。列車が遅れてしまってな」
「だったら連絡くらい入れろ、馬鹿ロイ」
「ヒューズ」
 しがみついてくるハボックを抱き上げながらロイはヒューズを見る。睨んでくる常盤色に苦笑してロイは言った。
「悪かったな、ヒューズ。すっかり迷惑をかけた」
「謝るならハボックちゃんに言え」
 フンと鼻を鳴らしてリビングに戻ってしまう友人にロイは苦笑する。ハボックを抱いてリビングに入ってきたロイは、綺麗に片づいた部屋の様子に目を見開いた。
「すごいな、ピカピカだ」
「ハボックちゃんがお前のために一生懸命掃除してくれたんだ」
「そうなのか?ハボック」
 ヒューズの言葉にロイはハボックの顔を覗き込む。ありがとう、と笑いかけるロイにハボックは手の甲でグシグシと涙を拭った。
「ろいっ」
 どうしましてと言うようにハボックは涙の残る顔に笑みを浮かべる。ロイが手のひらで残った涙を拭ってやれば、ハボックが擽ったそうに目を細めた。
「それで?用事は済んだのか?」
「ああ、おかげさまでな」
 もうなんの心配もない、と笑みを浮かべるロイにヒューズも笑みを返す。その時、ハボックがもぞもぞともがいてロイの腕から飛び降りた。
「ハボック?」
 どうした?と尋ねるロイの前でハボックはポケットを探る。そうしてロイの前に両手を差し出した。
「ろい」
 開いた両手の上に小さな黒い種が幾つも幾つも乗っている。黒いその表面に白いハートの模様が浮かんでいるのを見て、ロイは言った。
「風船葛?。ああ、もしかして公園に行ったのか?」
 少し前、ハボックと一緒に出かけた公園で風船葛がたくさんの実をつけていた。もう少ししたら実が出来るよとその時言ったのをハボックは覚えていたのだろう。
「ろーい」
「ハボック」
 にっこり笑ってハボックは小さな手のひらいっぱいのハートの実を差し出してくる。じっと見上げてくる空色に、ロイは泣きそうな笑みを浮かべた。
「ありがとう、ハボック。もう一人にしたりしないからな」
「ろーい」
 ロイは言ってハボックをギュッと抱き締める。その手からハートの実を取り上げてハボックと笑みを交わせば、背後から咳払いが聞こえた。
「別にハボックちゃんは一人っきりじゃなかったんだけどなッ」
「ヒューズ」
「どーせ俺なんていてもいなくても一緒だしぃ」
 すっかり拗ねた様子でそう言うヒューズにロイが言った。
「感謝している、ヒューズ。おかげで心配せずに出かけてこられた」
「ま、別にいいけどさっ」
 拗ねて見せたのは二人のあまりの仲の良さにちょっぴり妬けたからだ。
「シチュー作ったんだぜ。食うだろ?」
 肩を竦めてそう言うとキッチンへ行こうとするヒューズの前にハボックがピョンと飛び降りた。そうしてロイの手から風船葛の実を一粒取り上げる。
「ろーい」
 そうしてヒューズにその実を差し出した。
「俺にもくれるの?」
「ろい」
 尋ねればにっこり笑って頷くハボックに、ヒューズの顔も笑みに崩れた。
「俺の実が一番デカイなッ!ありがとう、ハボックちゃん」
 そう言ってハボックの金髪をくしゃくしゃとかき混ぜてヒューズはキッチンへ入っていく。その背を見送ったロイとハボックは顔を見合わせてにっこりと笑うと、遅い夕食を囲むべく手を繋いで中へと入っていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいですvありがとうございますvv

すっかり放置状態になってました「お留守番編」やっとロイが帰ってきましたー!ロイが出掛けていったの、去年の6月だよ!(爆)でもって10月に「書かなきゃ!」と途中まで書いてまた放置したので、話が秋模様なのでしたー(殴)はぼっく、ごめんよ〜(汗)放置したせいもあってやたら話長くなっちゃったし、普段の更新分より長いよ(苦)ああ、でもこれでやっと「暗獣」も通常運転に戻れる(苦笑)また、まったりとお話を進めていきたいと思います。
そういや、他の日記連載をちょっとチェックしてたら、7話が二つある話を発見してしまいましたー(爆)連載の合間が空いて次の話を書く時に7話を書いている事に気付かなかったらしい……。まあ、どっちも短いし一緒にしても問題なさそうだからこっそり混ぜちゃえば判らなそうなんですけどね(殴)いやあ、放置するなって話ですね、いや全く(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

久遠、ふふふ、ドキドキして頂けますか?そう言って頂けると頑張る励みになりますvハボックが悩む分、ウルフの無邪気さが増すっていう(苦笑)そうなんですよ、人魚姫がモチーフなんですよね〜。ハボック、どうなる事か……。セレスタ、ロイも色々悩み中って感じですかねぇ(苦笑)いや、そこで暴走させたらヤバイですから!(笑)どんどんハラハラして下さいーッ!そういう反応頂くのがとっても嬉しいのでv

おぎわらはぎりさま

おお、お久しぶりです!お元気ですか?職場の仮眠前に!(爆)リフレッシュの役に立ってますか?(笑)フィギュア、楽しんで頂けているようで嬉しいですーv同じフィギュアネタでも攻めが誰かで大分話が変わりそうですよね(ニヤリ)抱き枕ってそれハボックのダッチワイ……(爆)穴とか開いてたり……(殴)すみません、下品で(苦笑)今年もこんなですが、引き続きお付き合いお願いしますーv
2014年01月23日(木)   No.364 (カプなし)

フィギュア2
CP:ロイハボ(R20)

「どうしよう、これ」
 ドサリと自室のベッドに腰掛けてハボックは呟く。手にはロイから取り上げた“淫靡なるハボック人形”なる己の姿を模したフィギュアがあった。
「捨てたいのはやまやまだけど……」
 正直こんなもの持っていたくはない。だが、自分に似ているものをゴミ箱に捨てるのも躊躇われた。それが妙な機能を備えているとなれば尚更だ。ハボックに似せて作られたこのフィギュア、触ると人に聞かせるのは憚られるようなあられもない声を上げる。万が一どこかの誰かに拾われでもしたらと思うと、むやみに捨てるわけにはいかなかった。とはいえ、自分で燃やすのも嫌だ。焔の中で己の顔や体が燃えて溶けて崩れていくのを見ていられるような趣味は持ち合わせていない。ロイが押収したフィギュアを燃やす時も、側で見てはいられず全てが灰になるまで少し離れた場所で空に上る煙を見上げていたのだ。だからロイがちゃっかり自分用のフィギュアを残していたことに気づかなかったのだが。
「…………」
 ハボックはフゥとため息をついてフィギュアを見つめる。じっと見つめていれば、ふと沸き上がってきた疑問に首を傾げた。
「これ、どういう仕組みになっているんだろう」
 ちょっとだけロイが弄るのを見ていただけだが、かなり高性能な気がする。肌に触ると声を上げるフィギュアなど、ハボックはこれまで見たことなかった。どうなっているのだろうと、試しにちょっとだけフィギュアの股間に触れてみる。その途端、フィギュアの唇から甘ったるい声がして、ハボックは顔を赤らめた。
「つかオレ、こんなちょっと触ったくらいで声出ねぇし」
 ハボックは恥ずかしさを誤魔化すように不満げにそう言ってみる。その途端、ロイがニヤニヤと笑う顔が浮かんで、ハボックはムッと唇を突き出した。
「どこの誰だか知らねぇけどこんなもん作りやがって」
 ハボックは忌々しそうに言うとフィギュアをソファーに放り出す。煙草を取り出し火をつけるとスパスパと吸った。だが、少しすればやはりフィギュアが気になってくる。チラリと横目でフィギュアを見遣っていたハボックだったが、手を伸ばすとそっと取り上げた。
「どんくらい似てんのかな……」
 ロイ曰く本物の方が感度がイイと言っていた──それを確かめる為にあれやこれやされてしまったが。
「触るとイイとこ同じ、とか……?」
 ハボックはそう呟いてじっとフィギュアを見つめていたが、そんなことを考えれば気になってしかなくなってくる。ハボックはそろそろとフィギュアに手を伸ばすと、その首筋を指先で撫でた。
『あ……』
「っ」
 その途端、フィギュアが熱いため息のような声を零す。ハボックはゴクリと唾を飲み込むとフィギュアの服をはだけ、首筋を撫でた手を滑らせた。引き締まった脇腹を触ればフィギュアは『はぁ……』と感じ入った声を零す。
「オ、オレっ、ここ触ったくらいじゃ声出さねぇよ」
 フィギュアの反応にハボックは不満そうに言いながらも無意識に己の脇腹を触った。更に胸の頂を彩る飾りに指先で触れてみる。ギュッと押し潰すのに反応して声を上げるフィギュアにハボックは顔を赤らめた。
「こっ、こんな……っ、オレっ、潰されるより摘まれた方が……ッ、つか、そうじゃなくてッ」
 イヤラシいフィギュアの反応に、自分でもなにを言っているのか判らなくなってくる。紅い顔でフィギュアをじっと見つめていたハボックだったが、その視線を上げて寝室の扉を見た。
「まだ……帰ってこない、よな」
 ロイは探したい本があるとかでさっき出かけたばかりだ。古い本で探すのに時間がかかるだろうから昼は外で済ますと言っていた。それならば。
「……」
 ハボックは少し躊躇ってからフィギュアのズボンを脱がせる。小さな楔の先を指先で引っ掻くと、フィギュアが大きな声を上げた。
「────こっ、これは近いかもっ」
 事の最中、勃ち上がった楔の先をロイの指で弄られるともの凄く感じてしまう。ハボックはゴクリと唾を飲み込むと楔を引っ掻いた指をフィギュアの蕾にぐーっと押し込んだ。
『はああんッ』
「ッッ!!」
 そうすればフィギュアがあられもない声を上げて、ハボックは飛び上がった。
「これはやりすぎだろッッ!!」
 後ろを弄られれば確かに感じるが幾ら何でもこれは大袈裟だ。大声で嬌声を上げたフィギュアを真っ赤な顔で睨んで、ハボックは呟いた。
「そうだよ、オレ、後ろ弄られたってこんな声は……後ろ弄られた時は……」
 ブツブツと呟いてフィギュアを睨んでいたハボックは、そろそろと己のボトムに手をやる。前を弛め下着ごとずり下ろせば、もうすっかりと張り詰めた楔が勢いよく飛び出した。
「あっ」
 高々とそそり立った自身にハボックはギュッと目を瞑って首を竦める。それからそっと目を開けると、楔から垂れる蜜を指先で掬い取った。
「こ、これはっ、コイツとの違いを確かめる為でっ」
 ハボックは誰にともなく言い訳をすると掬いとった蜜を蕾に塗り付ける。湿り気を帯びた蕾に指先を押し当て、ぐっと押し込んだ。
「あ……あ……」
 グーッと奥へ押し込めば仰け反らせた喉から切れ切れの声が上がる。指を根元まで埋め込んで、ハボックはハアハアと荒く息を弾ませた。
「ほ、ほら……あんな声、出ねぇし……」
 あんなイヤラシい声を上げたりしない。勝ち誇ったように言ったハボックだったが、後孔を埋める指の感触にもどかしげに尻を揺らす。ほんの少し躊躇ってから、ハボックは埋めたゆっくりと動かし始めた。
「は……あ……ッ」
 潤いが足りず少し引きつった痛みが走るがそれすらも興奮を煽る。ハボックは埋めた指でグチグチと蕾を掻き回しながらもう一方の手でフィギュアの蕾を嬲った。
「あふ………あっ、ああっ」
『あんッ!アアッ!!』
「ば、ばかッ、オレはそんな声、あげない、ったらっ」
 恥ずかしいフィギュアの声を耳にしてハボックは文句を言う。だが、その間にも蕾を嬲る指の動きは休むことなく、ハボックは息を荒げた。
「んあッ!アアアッ!!」
 荒い息の合間に自分がフィギュアに負けず劣らずイヤラシい声を上げていることにハボックは気づいて顔を赤らめる。だが、気づけば寧ろ興奮を煽り、ハボックは沈めた指の動きを早めると共にフィギュアの蕾を激しくこすった。
「んアアッ!アッアアッッ!!」
『ひゃあああんッッ!!』
 二人のハボックの唇がイヤラシい声を張り上げる。聞こえる声に興奮しきって、ハボックが腰を突き出し己の指をキュウキュウと締め付けて更に高い嬌声を上げた。
「ヒアアアアアッッ!!」
『ヒィィンッッ!!』
 その時。
「楽しそうだな、ハボック」
「ッッッ!!」
 突然聞こえた声にハボックはビクッと大きく躯を震わせる。指を抜くことも出来ず凍り付いたまま視線だけを寝室の扉へ向ければ、いつの間に戻ってきたのか楽しげな笑みを浮かべたロイが扉に寄りかかるようにして立っていた。
「な……なんで……?戻るの、遅くなるって……」
「私がいない隙に人形の検証か?私がしたときには怒ったくせに」
 咎めるように言いながらロイはハボックに近づく。大きく見開く空色を間近から見つめて、ロイは言った。
「イケナイ子だな。そう言う子にはお仕置きが必要だ」
 ロイはそう言うと蕾に指を沈めたハボックの手を掴む。その手を下肢に押しつけるようにしてハボックの指で彼の蕾を掻き回した。
「やだ……ッ!」
「嫌な事はないだろう?たった今までシてたんだから」
 ギョッとして指を引き抜こうとするハボックにそれを赦さず、ロイはハボックの指を動かす。己の指で己の恥部を掻き回す事を強いられて、ハボックは激しく首を振った。
「やだァッ、大佐、やめてッ」
「嘘つきだな、こんなにしておいて」
 ロイは言って高々とそそり立ったハボックの楔を指で弾く。ヒャアと声を上げて背を仰け反らせるハボックの手を掴むと、更にもう二本指をねじ込ませた。
「いやあッッ」
 己の指を三本も蕾に咥え込まされて、ハボックは羞恥のあまりポロポロと涙を零す。グチグチと掻き回されて息を弾ませながら、ハボックはロイを見上げた。
「こ、こんなのヤダ……っ、こんなの……ッ」
 ハボックは首を振って涙声で訴える。そんなハボックを見つめてロイは尋ねた。
「じゃあどうされたいんだ?」
 そう聞かれて、ハボックは涙に濡れた空色の瞳を見開く。コクンと唾を飲み込んで、ハボックは言った。
「大佐の……大佐の指でシて欲しいっス……ッ」
 必死の思いでそう強請るハボックにロイは小首を傾げる。それから仕方ないなと肩を竦めると判ったと頷いた。
「たいさ……」
 その言葉にハボックはホッと息を吐く。己の指を引き抜こうとして、だが、押さえつけるロイの手に阻まれてハボックは不安げにロイを見た。
「たいさ……?」
「判った、私の指も挿れてやろう」
「え……?」
 にっこりと笑うロイの言葉を一瞬理解出来ずハボックは瞬きする。そんなハボックににんまりと笑って、ロイは蕾に埋められたハボックの指に己の指を沿わせるとそのまま強引に中へとねじ込んだ。
「ヒ」
 既に己の指を三本も飲み込んでいる蕾に更にロイの指をねじ込まれて、ハボックが目を剥く。グイグイと押し込まれ狭い蕾を無理矢理開かれる痛みに、ハボックの唇から悲鳴が上がった。
「ヒィィィィッッ!!」
「イヤラシいな、四本も指を咥えこんだぞ」
 ロイはそう言って可哀想なほど開いた蕾をぐちょぐちょと掻き回す。痛みのあまり脚を突っ張り涙に濡れた瞳を大きく見開いて悲鳴を上げるハボックの頬を優しく撫でた。
「やっぱり本物は違うな。人形じゃこうはいかん」
「ヒ……ア……ッ、いた……、痛ァ……ッ」
「痛みにすら感じるのは流石に人形じゃ再現出来ないだろうな」
 痛いと訴えながらもハボックの楔はそそり立ったままだ。ロイはグチョグチョと蕾を掻き回しながらそそり立った楔の先端を指先で引っ掻いた。
「ヒャアアッッ!!」
 その途端、ハボックの唇から甘ったるい嬌声が上がる。それにククッと笑ってロイは言った。
「よく出来た人形も本物には敵わない。そうだろう?ハボック」
「あ……あ……たいさァ……」
 今ではもうすっかりと感じきって蕩けた表情を浮かべるハボックにロイは囁く。涎を垂れ流す唇に己のそれを近づけて、ロイは言った。
「さて……。これからどうしようか、ハボック……」
「…………たいさの、……おっきいの、挿れて……ェ」
 尋ねればイヤラシいオネダリを返すハボックにロイはクツクツと笑う。
「仕方のない子だ」
 ロイは半ば呆れたように言いながらもハボックの指ごと己の指を引き抜いた。埋め込まれていたものがなくなって不満げに唇を震わせる小さな口に、ロイは取り出した己をピタリと押し当てた。
「挿れるぞ」
 低く囁くと同時にハボックの蕾を一気に貫く。ズブズブと滾る牡に貫かれて、ハボックの唇から甘い悲鳴が上がった。
「ヒャアアアアアッッ!!」
 ロイは長い脚を抱え込むと激しくハボックを攻め立てる。ガツガツと突き上げればあられもない声を上げて身悶えるハボックにロイはクツクツと笑った。
「やはり人形より本物だな」
「アアッ!!たいさァッ!!もっと……もっと……、ヒィッ!ヒィィィィッッ!!」
 嬌声と共に熱を迸らせるハボックを激しく犯して、ロイは本物とフィギュアの違いを検証していった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、モリモリやる気貰ってます、嬉しいですv

ええと、またまたコメント萌えです(苦笑)萌えツボを刺激するコメント頂くとつい〜(苦笑)おかげで飾ってるハボックのフィギュアを見ると良からぬ妄想がムラムラと(爆)ケースから出して撫でくりまわしたい欲望を抑えるのが大変ですー(苦笑)
なんて言ってないで早く今日の更新に取り掛からないとっ、やばやば(汗)

以下、拍手コメントです。

なおさま

ふ、ふふふふふ。すみません、また妄想頂いちゃいましたーッ(殴)だってもう、なおさまってば今年も私の萌えツボ突きまくりなんですもの(苦笑)音声付写真集もいいなぁ!ホント夢に出てきて欲しいです!淫靡なるハボックフィギュアが付録の音声付き写真集!!(笑)

夢路秋さま

いやったーッ!リク小説、ありがとうございます!コメント頂いてすぐお伺いして拝読させて頂きましたッv感想は改めてサイトの方へ伺ってさせて頂きますね。そしてお持ち帰りオッケー!!夢路さま、太っ腹ッッ!!いやん、もうvありがとうございますッ!!こちらこそこんなところで先にお礼ですみません(汗)なるべく早くコメいれにお伺いしますッ!
2014年01月14日(火)   No.363 (ロイハボ)

フィギュア
CP:ロイハボ(R18)

「あっ……」
 艶やかな肌に手を滑らせれば色の薄い唇から甘ったるい声が零れる。滑らせたその手の指先で胸の突起をぐりぐりと押し潰すと零れる声が熱を上げた。
「そこ、イヤ……っ」
 嫌と拒絶する声は、だが本気で嫌がっている訳ではない。そんなハボックを冷静な目で見つめたロイは、胸を弄る手を股間へと移した。そうして長い脚の間で息を潜めるモノに指を絡める。軽く扱いただけでハボックの唇から高い嬌声が上がった。
「アアッ!」
 ハボックを更に攻め立てようとロイが絡める手の動きを早めた時。
 ボカッ!!
「あいたッ!!」
 背後から思い切り頭を殴られてロイはハボックの股間に顔を突っ込んでしまう。殴られた頭をさすりながら振り向けば、顔を真っ赤に染めたハボックが垂れた目を精一杯吊り上げてロイを睨んでいた。
「なにやってるんスかッッ!!」
「いや、折角だから性能の検証をしようとだな」
「んなことはしなくていいっス!!」
 ハボックはそう言うとロイの手から己の姿を模したフィギュアを奪い取る。テーブルの上に散らかった小さな軍服を拾い上げ、裸に剥かれたフィギュアに着せた。
「それにしても良くできた人形だな」
「冗談じゃないっスよ。こんなもんが売りに出されるところだったなんてッ!」
 ハボックは怒りと羞恥に声を震わせてフィギュアを抱き締める。そんなハボックにニヤニヤと笑ってロイが言った。
「本当はこれっぽっちも嫌だと思ってないくせに嫌がってみせるところなんてそっくりだ」
 実は数日前“淫靡なるハボック人形”なるものが密かに発売されるという情報が舞い込み、慌てて出動したハボック隊が踏み込んだ小さな工場で今まさに出荷されようと言うハボックのフィギュアを押収したのだった。
「押収したフィギュアは全部燃やしたんじゃないんスか?なんでアンタが持ってんの?────まさか」
 馬鹿言ってんじゃねぇと、とても上官に対するものとは思えない言葉でロイの戯れ言を一蹴したハボックの空色の瞳が物騒な光を帯びる。
「まさかアンタが作ったんじゃないでしょうね……?」
 そう言って睨んでくるハボックに、ロイはさも心外だと言うように肩を竦めた。
「どうして私がこんなものを作らねばならんのだ。幾ら良く出来ていても所詮は玩具だろう?実物には敵わんさ」
 そんな風に言われてついうっかり顔を赤らめてしまうハボックにロイは手を伸ばした。
「そうだ。折角だからその人形がどれだけ本物に近く作られているか比べてみようか」
「なっ、なに言ってんスかッ」
「ほら」
 と、ロイはハボックの手からフィギュアを取り上げる。
「こうして握ってみるだろう……?」
 そう言ってロイがフィギュアの股間を指先でキュッと握ればフィギュアの口から「アッ」と濡れた声が零れた。
「で、お前のを」
 と、ロイは言って顔を真っ赤にして固まっているハボックに手を伸ばす。キュッと股間のものを握れば固まっていたハボックの体が大きく震えた。
「アッッ!!」
「ふむ。やっぱり本物の方が感度がいいな」
「ば……ば……ばか言ってんじゃ……」
「というか、触る前から勃ってたな」
 ニヤリと笑って言われて、ハボックは口をパクパクとさせる。そんなハボックにクスリと笑ってロイはゆっくりと立ち上がった。
「もしかして人形を触るとお前も感じるのか?」
「な……ッ、そんなわけねぇっしょッッ!!」
「どうかな?」
 ロイは言ってフィギュアにねっとりと口づける。そのまま唇を首筋へと這わせればそれを見ていたハボックがゴクリと鳴らした喉を僅かに反らせた。
「やっぱり感じてるんじゃないか」
「んなわけ……ッ」
「じゃあもっと試してみるか?人形だけ触っててお前がイくかどうかやってみよう」
 そう言ったロイが軍服越しフィギュアの体を撫で回し始める。その途端、ビクビクと震えるハボックをズイと壁際に押しやってロイは言った。
「……どうする?」
 間近で囁く黒曜石をハボックは恨めしげに睨んだが、キュッと唇を噛み締める。
「……人形より本物の方が感度がいいんでしょ?」
 だったら、と腕を伸ばしてくるハボックに。
「可愛いよ、ハボック。人形なんかよりずっとな」
 ククッと喉奥で笑ったロイはフィギュアを抱いていた手を離し、リアルな躯を抱き締めていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、嬉しいですvv

前回の日記でフィギュアの話を書いたら「“淫靡なるハボック人形”とか軍部で売りだしたら」なんてコメント頂いたもので、つい書いてしまいました(苦笑)ロイのおかげで売り出しはされませんでしたが……でも、これ誰が作ったんだろう(笑)燃やしたなんて、また陰で泣いた人がいたんだろうなぁ(苦笑)ああ、リベンジ写真集話、続きださなきゃ!もう忘れられてそうですが(汗)

以下、拍手お返事です。

阿修羅さま

新年のお祝いもあるとうやむやにされそうですしね(苦笑)ええと、なんでもいいって言われたので、ちょっと書いてみてます。お誕生日祝いにこんなんでいいのかというエロしかない話なんですけど…(苦笑)書きあがりましたらお知らせしますので、少々お待ち下さいませ。

なおさま

ふふふ、流石ブレダ!マスタン組、イイ感じですか?嬉しいですーvでもって、書いちゃいましたよ、淫靡なるハボック人形!毎度すみません(苦笑)一万センズなら買いますよ!!ええと、触る用と飾る用と保存用と、あと触る用は触り過ぎてすり減った時の為にスペアを……って、どんだけ触るつもりだよ(爆)しかもどこを?(爆×2)こちらも新年から相変わらずですが、どうぞよろしくお願いしますねvvセレスタ、どうもああいうキャラを出したくなるのはどんだけハボを苛めたいんだって事なんですかね(苦笑)目を離せないなんて、ありがとうございます!今年こそハボックを幸せにしてやりたいと思ってます。ホントですよ!(笑)
2014年01月12日(日)   No.362 (ロイハボ)

新年
「大佐ァ、マジ行かないんスか?」
 腰に手を当てベッドの脇に立ったハボックは、ブランケットの小山を見下ろして言う。小山の中から「うー」とくぐもった呻き声に続いてこの家の主の声が聞こえた。
「この寒い時になんでわざわざ日が昇る前に外に出ねばならんのだ……」
「日が昇る前に外に出なきゃ初日の出が見らんないっしょ」
 ロイの言葉にハボックが呆れたように返す。家の近くには見事な初日が拝める坂上の公園があり、毎年一人寂しく初日の出を見に行っていたハボックは今年こそ一緒に見に行こうと、寒さが苦手なロイを何とか説き伏せて了解を取り付けた筈だったのだが。
「もう……っ、今年は一緒に行くっつったのに」
 やっと一緒に行けると思っていただけに今更なロイの態度にハボックはムゥと下唇を突き出す。
「いいっスよ、もう。ブレダと一緒に行って、それからブレダんちで飲んで泊まってくるっスから」
 一人で幾らでも寝てて下さい、と冷たく言い捨ててハボックは寝室を出ていってしまう。パタンと扉が閉まる音に数秒遅れて、ロイがブランケットを跳ね上げて起き上がった。
「ちょっと待てッ!どうしてブレダ少尉のアパートに泊まってくるなんて事になるんだッ?!」
 自分はただ初日の出を見に行くのは億劫だと思っただけで、折角の新年の休み、ハボックと二人楽しく過ごす事にやぶさかではないのだ。いや寧ろ一緒に楽しく過ごしたい。普段なかなか一緒にゆっくり過ごす時間がとれない二人にとって、事件も事故もないこんな新年の休みはとても貴重なものだ。それをよりによって自分以外の男の家に泊まって過ごすなど赦せる筈がなかった。
「待てッ、ハボックッ!!」
 ロイはベッドから飛び降りるとコートを引っ掴み階段を駆け降りる。パジャマのままコートに袖を通しながら叩きつけるように玄関を開けた。
「ハボ────」
「あ、出てきた」
 大声で呼びながら玄関を飛び出たロイは、門の前でポケットに手を突っ込んで立っているハボックの姿を見て足を止める。待っていてくれたのかとホッと笑みを浮かべて近づこうとすれば門の陰からブレダが姿を現した。
「やっぱブレダが言った通りだった」
「だろ?ってなわけで、あけましておめでとうございまーす、大佐」
 軽い調子で新年の挨拶を寄越す部下に目を瞠るロイにハボックが言った。
「大佐の事だから直前になってごねそうってボヤいたらブレダがこうしろって」
「年が明けても変わんないですね、大佐」
 ニヤニヤと笑って言うブレダにロイが顔をしかめた時、足音に続いて明るい声がする。
「あけましておめでとうございます!大佐、ハボック少尉、ブレダ少尉!」
「おめでとうございます、今年もよろしくお願いします」
 そう言いながら姿を現したフュリーとファルマンにハボックが目を丸くした。
「おめでとう……って、二人とも、どうして?」
「ブレダ少尉が誘ってくれたんですよ。みんなで一緒に初日の出見に行こうって」
 その言葉にハボックがブレダを見れば、策略家の男はニヤリと笑う。
「どうせならみんなで行った方が楽しいだろ?それにこうなりゃ大佐も絶対行かずにはいられないだろうし」
 そう言って見つめてくる部下にロイは肩を竦めるしかない。
「上官の事をよく判っている部下がいて今年も我が部隊は安泰だ」
 着替えてくるから待ってくれと家に戻るロイの背を見送ったハボック達は顔を見合わせて笑った。
「流石ブレダ」
「二人で行きたかったんなら悪かったけどな」
「ううん、賑やかで楽しいよ。あ、でも中尉は?」
「公園で待ち合わせてる」
 ニッと指を立てる友人にハボックはクスクスと笑う。
「今年も頼りになるなぁ」
「待たせたな」
 ハボックが言った時着替えを済ませたロイが出てきて部下たちを見回した。
「まあ、そういうわけで今年もよろしく頼む」
「「よろしくお願いします!!」」
 一斉に答える部下たちに笑みで返してロイは歩き出す。その後、公園で待っていたホークアイが用意していたホットコーヒーで暖をとりながら新年の夜明けを迎えたマスタン組だった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、今年も励みになります、嬉しいですーv

新年明けましておめでとうございます。昨年は拙宅に遊びに来て下さってありがとうございました。今年も頑張りますので、是非引き続きお付き合いのほどよろしくお願いいたしますvv

と言う訳で、新年早々お久しぶりですになってしまいましたー。年末のご挨拶もなかったし、新年のご挨拶も松の内明けてからっていう体たらく…いやはや申し訳ないです(汗)この年末年始はなんだかバタバタして落ち着かず、玄関模様替えするので精一杯でした。本当は昨日も更新する予定だったんですがね、新年早々洗濯機が反乱おこしまして……脱水が出来ん(苦)洗濯途中の洗濯物を手洗いですすいで手で全部絞ったりしてたらなんかもう気力がなくなっちゃいまして。結局その後はボーッとアメフト録画したのを見てました(苦笑)週末の更新からは何とか通常運転に戻したいです。

んで。年明けに実家に行ってたんですが、実家から歩いて行ける距離にブックオフがありましてね。ちょっと覗きに行ってみたらフィギュアなんかもあったので色々探してましたらば!これが!
↓↓↓↓↓





いやまさか、ハボックに会えるとはッ!しかも105円!安ッ!(笑)いやあ、お年玉貰った気分でしたよ。他にも小さい二頭身のが三個105円とかだったし、ブックオフ、安いなぁ!中野で同じものが一個150円だったんだけどねぇ(苦笑)ふふふ、探すのは大変だったけど頑張った甲斐があったぜ!

以下、拍手お返事です。

なおさま

暗獣、確かにヒューズって子供服選ぶセンスはありそうですよね!はぼっく好みの服をガッツリ選んできそうです(笑)家に帰ったらヒューズからの宅急便で雪だるまのぬいぐるみが届いてたりしたら笑えます(笑)セレスタ、ハボック頑張ってるよ!でもまだまだ色々ありそう……かも?(笑)昨年はコメント一杯頂けて嬉しかったですv今年もハボ受け頑張りますよ!引き続きお付き合いよろしくお願いしますvv

阿修羅さま

こちらこそ昨年はお世話になりました。今年もどうぞよろしくお願い致しますvvそしてお誕生日おめでとうございます!姉妹でお正月がお誕生日なんてめでたい!お誕生日のお祝い……エロなら書けますが(コラ)女体は無理ですがふたなりとかならイケるかも(え?)お母様、調子がよくなって本当によかったです!サイトも復活ですか、おおvvお邪魔虫だなんてとんでもない!阿修羅さまが遊びにきてくださるの、とっても嬉しいので今年も是非是非遊びにいらして下さいねv
2014年01月08日(水)   No.361 (カプなし)

No. PASS
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
  Photo by 空色地図

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