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2015年06月の日記

2015年06月23日(火)
新・暗獣 はぼっく便
2015年06月18日(木)
黒スグリ姫24
2015年06月08日(月)
新・暗獣 ろいとはぼの日
2015年06月04日(木)
新・暗獣 ろいの日

新・暗獣 はぼっく便
 コトン、と聞こえた音に庭のアジサイの花の上でウトウトしていた毛糸玉はピクンとその柔らかい毛を揺らす。コロンと花から転げて落ちると、地面に着く前に子供の姿になった。トンと小さな足で地面に着地したハボックは、タタタと門の方へ駆けていく。門の横にとりつけてある郵便受けの口から封筒の端っこが飛び出ているのを見ると、手を伸ばして封筒をうんしょと引っ張った。
「ろ、いっ」
 郵便受けは少しの間封筒を咥えて離さなかったが、力を込めて引っ張るとスポンと封筒を吐き出す。引っ張った勢いでステンと尻もちをついたハボックは、封筒を落とさずに済んでホッと息を吐いた。
「ろい」
 封筒にはハボックには読めない文字で何やら書いてある。読めはしなかったがハボックにはそれがロイの名前だというのが判って、ハボックは立ち上がると封筒を胸に抱えて家に向かって来た道を戻った。
 手を伸ばして玄関のノブを回して重い扉を押しあける。そうしてハボックはリビングへと飛び込んだ。
「ろー……い?」
 庭に出る前はソファーで本を読んでいたロイの姿がない。首を傾げたハボックはリビングを抜けダイニングとキッチンを覗いたが、そこにもロイの姿はなかった。
「ろいー」
 むぅ、と唇を突き出してハボックは廊下に出る。大事に封筒を抱えたまま一段一段階段を上った。
「ろいっ」
 バンッと寝室の扉を開けたがロイの姿はここにもない。どうやら覗き忘れた一階の書斎にいるらしいと、ハボックは金色の頭に生えた犬耳をぺしょんと伏せた。だが、すぐにフンッと顔を上げると封筒を抱えて階段をそろそろと下りる。封筒を落とさずに無事一階まで下りると、封筒を頭に乗せてパタパタと廊下を駆けた。
 書斎の扉の隙間を何とか抜けて中に入ればロイが窓辺で本を積み上げて調べ物をしている姿が目に入る。ハボックは漸くロイを見つけた事にパッと顔を輝かせるとあちこち積まれた本の山を抜けてロイの側へと行った。
「ろーいっ!ろいっ!ろぉいーっ!」
 例の如く本に集中している男を声を張り上げて呼び続ける。そうすればパチパチと瞬いた黒曜石がハボックを見た。
「ああ、ハボックか。どうした?」
「ろいっ」
 ハボックは郵便受けから持ってきた封筒をロイに差し出す。封筒を受け取って差出人を確認したロイはにっこりと笑って言った。
「やっと来たか!届くのを待ってたんだ。持ってきてくれてありがとう、ハボック」
「ろいっ」
 金色の頭をわしわしと撫でられて、ハボックは嬉しそうににっこりと笑った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、ありがとうございますvv

はぼっくが届けに来てくれたら嬉しいなぁと思いつつ(笑)
ええと、大変遅くなりましたが9周年記念無配本を本日発送し、発送しましたメールを送らせて頂きました。もし、申し込んだのにメールが来ていないと言う方がいらっしゃいましたらご連絡お願いします。それから、今年はクロネコメール便が廃止になってしまったので当初はゆうメール・サイト名で送る予定をしておりましたが、クリックポストという郵便局のサービスが安かったのでこちらで送らせて頂きました。ので、個人名で送っております。知らない人から変なものキタ!と思われませんよう(苦笑)どうぞよろしくお受け取り下さい。ただし、一冊だけお申込みの方には普通郵便の方が安いのでそちらを利用させて頂いております。お申込み頂きました方には本当にありがとうございましたv
無配本の申込みへのリンクは今度の更新の時にでも剥がしますので、もしまだ貰ってやるよと言う方がいらっしゃいましたらそれまでによろしくお願い致します。

以下、拍手お返事です。

なおさま

黒スグリ、そうそう、まだまだ色気よりサッカーですよ。ロイの下半身への影響は絶大ですが(笑)ハーフパンツをはくロイは想像つきませんもんねー。髭は似合いそうです(笑)腰への伝達、お返事打ちながら前にも言われた気がしながらもなおさまじゃなかったかなぁと思っておりました(笑)次はちゃんと腰に言い聞かせてから立ちますよ!(笑)

阿修羅さま

こんにちは、お加減如何ですか?色々お忙しくて大変でしょうが少しでもストレスをためないよう発散して下さいね。従兄弟かぁ、私も年賀状だけでもう随分会っていませんねぇ。子供の頃は行き来してても大人になるとなかなか機会がないです(苦笑)今月は無配本にかまけててすっかり更新サボってしまいました。いい加減戻らないと何を書くつもりだったのか忘れちゃう(苦笑)阿修羅さまもお体お気をつけてお話作り頑張って下さいv
2015年06月23日(火)   No.460 (カプなし)

黒スグリ姫24
ロイハボ風味

「ほら、さっさと入れ」
 玄関の鍵を開けながらロイはハボックを促す。開いた扉から中に入ろうとしてハボックは足を止めた。
「どうした?」
「床、濡れちゃうっス」
 頭のてっぺんから爪先までずぶ濡れだ。服はぐっしょりと水を含み、靴の中では足が水に浸かっている状態では床を濡らしてしまう事確実だった。
「構わん、フローリングだから拭けば大丈夫だ。気にしなくていいから早く風呂場に行け」
 苛々とした調子で言われて首を竦めたハボックは、爪先立ちで廊下を歩いて洗面所に向かう。ロイが「着替えは出しておくから」と言うのに頷いて、浴室に消えた。
「まったく……」
 ハアとため息をついたロイは背後から聞こえた笑い声に眉を顰めて振り向く。可笑しそうにクスクスと笑う髭面を睨んでロイは言った。
「なんでお前がここにいるんだ?」
「だって今から家に帰ってたら試合始まっちまうだろ?」
「知るか、とっとと帰れ」
「えーっ、ロイくん、冷たいッ」
 俺も一緒に試合みたい〜ッと握り締めた両手を口元に当てて強請る男は捨て置いて、ロイは奥の部屋からハボックが着られそうな服を選んで持ってくると、新しい下着とタオルを一緒にして洗面所の脱衣籠の中におく。ハボックが脱いだものを乾燥機つきの洗濯機に放り込み、洗剤を入れてスイッチを押した。扉の向こうでザーザーとシャワーの音がして人影が動いている方へ向きそうになる視線を何とか引き戻して洗面所から出る。リビングに戻れば、さっさとソファーに陣取ったヒューズが肩越しに振り向いて言った。
「しっかしさっきのアレはヤバかったな。シャツもハーフパンツも濡れて肌にべったり貼り付いててさ」
 そう言うヒューズの言葉にロイの脳裏にさっき見た光景が浮かぶ。降りしきる雨の中、全身に水を纏って走るハボックの姿を見た瞬間、ロイは息が止まるかと思った。
「シャツは透けるしハーフパンツも尻の形がこう……くっきりって言うか割れ目まで見える感じ?素っ裸よりヤラシかったよな」
 そんな事を言いながらヒューズが手で宙にハボックの体の線を描くのを見てロイは思いきり顔を顰める。射殺しそうな視線でニヤニヤと笑う髭面を睨んで言った。
「今すぐお前の腐った脳味噌からその映像を消せ。さもなければ燃やす」
「えー、そんなの無理に決まってんじゃん。くっきりハッキリ残ってるもんッ」
「ヒューズ、貴様」
「それに」
 近づいてきたロイにズイと顔を寄せられ襟首を掴まれてもヒューズは平然として続ける。
「あの時お姫さま見てたの、俺らだけじゃないだろ?」
「ッ」
 そう言われてロイはあの時ハボックを見ていた輩が他にもいたのを思い出した。そんな奴らの視線にほんの一時(いっとき)でも晒していたくなくて上着を着せ家に来いと誘ったのだ。
「お姫さまにも困ったもんだな、自分が他人の目にどう映ってるかなんてこれっぽっちも――」
 肩を竦めてやれやれと言う体(てい)で話していたヒューズの言葉が不自然に途切れる。眼鏡の奥の目を見開き「わお……」と呟くヒューズの視線の先に目をやったロイは、バタバタとリビングに飛び込んできたハボックの姿に息を飲んだ。
「もう試合始まっちゃったっスかッ?」
 髪もろくに拭かずに金色の髪からポタポタと雫を垂らすハボックはロイが用意したシャツだけを羽織っている。シャツの裾からは剥き出しの脚が伸びて、すんなりとした脚を惜しげもなく晒したハボックはソファーの前で口をあんぐりと開けた二人の様子には全く気づかずにぽすんとソファーに腰を落とした。
「よかった!間に合った!」
 まだ試合前の選手の映像を流すテレビを見て、ハボックがホッとしたように言う。固まっていたロイはその声にハッと我に返った。
「おいッ!ズボンはどうしたッ?置いてあったろうッ?」
「先輩の服デカイんスもん。シャツだって、ほら」
 そう言って両腕を広げて見せるハボックの体には確かにロイのシャツは大きい。短いワンピースのようになっているシャツの袖を捲り上げながらハボックは言った。
「ズボンなんて長くて足出ないし転んじゃう」
「裾を捲ればいいだろうッ!」
「えー、メンドクサイっス。試合始まっちゃうし……あっ、ほら!始まった!ヒューズ先輩っ、始まったっスよ!早く、早く!」
「えっ?あ、ああ」
 ポンポンとソファーを叩いて急かすハボックに答えながらヒューズはチラリとロイを見る。ムッと唇を引き結び目を吊り上げているロイからそろそろと目を逸らして、ヒューズはハボックから少し離れてソファーに座った。
「あー……、ハボック、ズボンは穿いた方がいいんじゃねぇか?風邪ひくぜ?」
「平気っス、この部屋寒くないし。あっ、ほらほらッ!いきなりキターッ!」
 ヒューズの言葉などろくに耳を貸さず、ハボックは既に試合に夢中だ。興奮して体を動かすたびシャツが捲れ上がって脚の付け根がチラチラと覗いた。
「ハボックッ!いいからズボンを」
「あーッ、惜しいッ」
 張り上げたロイの言葉を掻き消すように大声を上げたハボックが前のめりになっていた体を勢いよくソファーの背に預ける。その拍子にシャツが大きく捲れた。
「ッッ」
「わあ」
 ロイが目を剥きヒューズが間の抜けた声を上げる。がっかりとため息をついたハボックが二人の顔を見て不思議そうに首を傾げた。
「どうかしたんスか?先輩」
「どうかしたかもなにも」
 全く気づいた様子もなくキョトンとするハボックにヒューズがげんなりとため息をつく。手を伸ばしてシャツを引っ張ってやりながら言った。
「お姫さまはやんちゃでいらっしゃるからズボン穿こうな」
「え?」
「ロイくん、ズボン」
「――――」
 言われてロイは無言で持ってきたズボンを投げつける。片手でそれを受け取ったヒューズはハボックに穿くように手渡して立ち上がった。
「苦労するな、お前も」
「――今日だけで血圧が一気に上がった気がする……」
 気の毒そうに言うヒューズにロイはガックリと肩を落とす。
「ヒューズ先輩ッ!試合見ないんスかぁ?」
 そんなロイの心境などまるで気づかずヒューズを呼ぶハボックの声に、疲れ切った顔を見合せる二人だった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになってますv嬉しいですv

「黒スグリ姫」です。もー、濡れてスケスケを書いた時から彼氏シャツ状態の姫ハボを書きたくてうずうずしておりました(笑)ロイがハーフパンツを持っていればこんなことにはならなかったでしょうが、絶対持ってなさそうだから(笑)

無配本の方は今ガショガショホッチキスで止めてますー。でも明日は雨なんだよなぁ……。袋詰めまでしても発送は来週になってしまうかもです。すみません〜(汗)

以下、拍手お返事です。

なおさま

「ろいとはぼの日」うふふ、まあ、暗獣は半分絵本みたいな話だから(笑)自分が絵本になったら……すっごい喜びそう!作ってあげたいなぁv腰、と、とりあえず何とか……(汗)そうか、まずは腰にも知らせてあげるのが大事なんですね。気をつけますッ

市川さま

おお、コメントありがとうございますvvこちらこそこうしてコメント頂けてとっても嬉しいですv宜しければまた頂けるともっと嬉しいですーvv本、お待たせしてすみません(汗)お言葉に甘えてゆっくり作業してます。でも、本当は少しでも早くお届けして読んで頂きたいんですけどね(笑)
2015年06月18日(木)   No.459 (ロイハボ)

新・暗獣 ろいとはぼの日
「ハボック、ちょっと手伝ってくれないか?」
「ろい?」
 これまで集めた大事な宝物を箱から出して一つずつ丁寧に並べて眺めているハボックにロイはそう声をかける。ハボックは不思議そうに首を傾げたものの、広げていた宝物を急いで箱にしまってロイの側にやってきた。
「ろーい?」
「うん、あのな。飾りを作るのを手伝って欲しいんだ」
 ロイはそう言ってごく薄い空色の紙を五枚ほど引き寄せる。重ねて細い蛇腹に折り畳むと真ん中を糸で結んだ。
「こうして真ん中を留めた紙を破かないように注意して広げると」
 言いながらロイは器用に蛇腹に畳んだ紙を広げる。そうすればそれは瞬く間に綺麗な花になった。
「ろーいっ」
「どうだ?結ぶのは私がやるからこうやって花を咲かせてくれるか?」
「ろいッ」
 コクコクと頷くハボックに笑ってロイは紙を蛇腹に折って真ん中を結んだものを作っていく。ハボックはロイが作った紙の花の蕾を小さな手でそっと咲かせていった。
「ろーい〜っ」
「大丈夫、ちょっとくらい破けても花びらを広げてしまえば判らないよ」
 薄い紙は破れやすく口をへの字にして失敗したと訴えるハボックにロイは笑う。ロイが手を伸ばして破れた花びらを他の花びらの間にくしゅくしゅと織り込めば殆ど目立たなくなって、ハボックはホッとしたように笑った。
「ほら、のんびりしてる暇はないぞ。これがすんだら輪飾りを作るからな」
「ろいっ」
 そう言われてハボックはせっせと花を咲かせていく。色とりどりの紙の花を咲かせると、今度は折り紙を細く切って輪を作っては繋げていった。
「ろーいっ」
「はは、すごい長いな。上手いぞ、ハボック」
 長ーく連なる輪っかを自慢げに見せるハボックにロイは笑う。そうしてこれまた色とりどりの輪っかを繋げて輪飾りを作ると、ロイは二人で作った花と輪飾りで部屋を飾った。
「ろーい?」
 いつもはシックな色合いの部屋を赤や青や黄色や白や色とりどりに飾り付けて、ハボックは不思議そうにロイを見る。一体これはなんなんだろうと問いかけてくる空色にロイは笑って言った。
「この間はロイの日のお祝いをしてくれただろう?語呂合わせで言うなら今日六月八日はロイとハボック、私とお前の日なんだよ」
 そう言えばハボックの顔がパアッと明るくなる。綺麗に飾り付けられた部屋をぐるりと見回してハボックはロイを見た。
「ろーいッ!」
「ああ、そうだよ」
「ろいろいッ」
「私とお前の日だ」
「ろいッ!」
 ロイの言葉にピョンピョンと嬉しそうに飛び跳ねたハボックがポーンと黒い毛糸玉になる。ポンポンと紙の花から花へと飛び移り、輪飾りの上をコロコロと転がった。最後にポーンと大きく飛び上がった毛糸玉が空中で子供の姿になる。そうして見上げるロイの腕の中に飛び込んできた。
「ろぉいッ」
「はは、気に入ったか?」
「ろいッ」
 聞かれてハボックは満面の笑みで頷く。キュッと抱きついてきた小さな体を抱き返してロイは言った。
「いつもありがとう、ハボック。これからも一緒にいよう」
「ろい、ろいッ」
 うんうんと頷いてハボックは再び毛糸玉になると色とりどりの花や輪飾りの間を飛び跳ねて遊び回る。ロイはそんなハボックの様子をコーヒーを片手に眺めていた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになってます、嬉しいですーv

ロイハボの日ですねv暗獣は一応カプなしジャンルなのですが、ロイの日を暗獣にしたのでロイハボの日も暗獣にしてみました(笑)ハボロイの日はどうするんだろうと思いつつ、まあその時はその時で(オイ)

ところで……腰を痛めてしまいましたー(苦)別に重い物を持ったわけでもなんでもないですけど、立とうとしたらいきなりグキッってなったよ……。夕べは横になっていられず結局一晩ソファーに座ってて寝られなかったorz 今日は流石に医者嫌いとも言っていられず整形外科に行って電気当てて貰って湿布薬と痛み止めを貰ってきました。……はー。そんなわけで益々作業が遅れるって言う(苦)とりあえずなるべく頑張りますー(汗)

以下、拍手お返事です。

なおさま

ロイの日、忘れますよねぇ(笑)「野花ティー」もそれはそれで風情があるかもしれません。飲んで美味しいかは判りませんが(笑)搾乳機、天国へ誘う!ある意味確かに天国かもしれません(爆)やっぱりブラッドレイ絡みのネタって楽しいですね(笑)ふんわりかき氷機でかき氷を作ったら、きっとはぼっくが大喜びすると思います(ニヤリ)
2015年06月08日(月)   No.458 (カプなし)

新・暗獣 ろいの日
「うーん……」
 ロイはベッドの上で身を起こし腕を突き上げて思い切り伸びをする。やれやれと腕をおろしてコキコキと首を回したロイは、ベッドから降りてハボックが寝床にしているクッションの山に向かって声をかけた。
「おはよう、ハボック。そろそろ起きて────」
 そこまで言ってからロイは山の中にハボックがいないことに気づく。自分に劣らず朝が苦手なはずのハボックがもう既に起き出している事に少なからず驚きながら、ロイは寝室を出た。
「ハボック、どこに」
 言いながら踏み出した足の下になにかあることに気づいて、ロイはそっと足を上げる。
「────花?」
 踏んでしまった小さな花をつまみ上げてロイは首を傾げた。
「どうしてこんなところに」
 と、視線を動かせば廊下に転々と花が落ちている。ほんの少し目を見開いて、ロイは転々と続く花を拾い上げた。
「ハボックが落としたのか?」
 それにしては綺麗に並べたように花が落ちている。ロイは廊下から階段を下り花を辿るようにリビングへと向かった。
「おい、ハボック、廊下に花が────」
 言いかけてリビングの扉を開ければ。
「ろぉーいッ!」
「わッ」
 頭上からはらはらと色とりどりの花が沢山降り注いできてロイは目を見開いた。
「ろいっ」
「ハボック?一体これは」
 手にした籠を投げ捨てて飛びついてくるハボックを、膝をついて受け止めてロイは尋ねる。すると聞き覚えのある声が頭上から降ってきた。
「よっ、ロイ」
「ヒューズ!どうしてお前がここにいるんだ?」
 驚いて見上げてくる黒曜石を見下ろしてヒューズがニヤリと笑う。
「いや、この間ハボックちゃんに六月一日は語呂合わせでロイの日だよって言ったらさ、お祝いしたいって言うんだよ。だからその手伝い」
 ヒューズはそう言ってリビングの扉の近くに置かれた台を指さす。どうやらその台に乗ったヒューズに肩車して貰ったハボックがロイの頭上めがけて籠に摘んだ花を撒いたらしい。ロイはキュッと抱きついてくるハボックの顔を覗き込んで言った。
「この花、いつの間に摘みに行ったんだ?全然気づかなかった」
「ろーいっ」
 そう言われてハボックがチラリとヒューズを見る。すると途端にヒューズが顔を弛ませて言った。
「昨日お前が図書館に行ってる隙にハボックちゃんと摘みに行ったんだよ〜。楽しかったァ」
 うふうふと髭面を両手で包み込んで体をくねらせるヒューズにロイは眉を寄せる。ハボックがヒューズを頼ったのはちょっとばかり気に入らなかったが、それでもこうして祝おうとしてくれたのがロイは嬉しかった。
「ろぉい?」
「うん、ありがとう、嬉しいよ、ハボック」
「ろいッ」
 どうだったと尋ねるように見つめてくる空色ににっこりと笑って答えれば、ハボックがパッと顔を輝かせて抱きついてくる。そんな二人にヒューズがクスリと笑って言った。
「ほら、ハボックちゃん、まだあるだろう?」
「ろいっ」
 言われてハボックがロイの腕の中でピョンと飛び跳ねる。キッチンにパタパタと走っていったと思うと、トレイにガラス製の急須とグラスを乗せて戻ってきた。
「ろー……い……」
 トレイの上の食器を落とさないよう慎重に慎重に歩いてハボックはロイの前にやってくる。ニコッと笑ってハボックは花が散った床の上にトレイを置いた。小さな手で急須を持ち上げそろそろとグラスに中の液体を注ぐ。そうしてハボックが差し出したグラスをロイは驚いたように目を見開いて受け取った。
「ハーブティー?」
「ハボックちゃんの井戸水で淹れたハーブティーだぜ」
 そう言うヒューズの言葉を聞きながらロイはグラスに口をつける。口の中に広がる甘く爽やかな香りにロイは顔を綻ばせた。
「旨い」
「ろーいっ」
 ロイの言葉にハボックがピョンピョンと飛んで喜ぶ。そんなハボックをロイは笑って引き寄せた。
「ありがとう、ハボック。本当に嬉しいよ」
「ろい」
 ロイの腕の中でハボックが嬉しそうに笑う。ロイはハボックの金髪を優しく撫でて言った。
「ありがとう、こんな素敵なロイの日は初めてだよ」
「ろいっ」
「俺には?俺にお礼は?ロイ」
 ハボックにばかり礼を言うロイにハボックが髭面を指さして言う。ヒューズをチラリと見上げて、それからハボックを見てロイは言った。
「仕方ない、特別大サービスでお前にもハボックが淹れてくれたハーブティーを飲ませてやる」
「お、やったね!」
 そうして花が散る床の上に座り込むと、三人はハボックが淹れたハーブティーを飲みながら楽しく時を過ごした。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手とっても嬉しいですv

すんごい今更なんですけど、六月一日はロイの日だったなぁって……どうも忘れちゃうんですよねぇ(苦笑)でも、はぼっくにお祝して欲しかったので書いてみましたー(笑)はぼっくにお祝して貰えたらもうそれだけですっごく幸せだと思うので。髭付きだけど(笑)

ところで、無配本早速お申込み頂きました方にはありがとうございます!鋭意作業中ではありますが、今週中の発送は無理かもー(苦)とってもありがたい事に過去の無配本のお申込みも結構頂きまして、ちょっとお時間かかってしまいそうです(汗)でもって、この作業が終わらないと更新作業も始まらないっていう……両方いっぺんに進められなくてすみませんー(苦)頑張ってなるべく早くお送りできるようにしますので、今少しお待ち下さいませ。

以下、拍手お返事です。

なおさま

9周年ありがとうございます、そしてただいまです(笑)うう、夢枕にブラッド霊には立って欲しくないなぁ(笑)あ、でもハボック連れてならいいかも!色々無体を見せて欲し……(爆)隠された王子ハボック、確かに不思議な力があるのは涙だけじゃないですよねッ!で、でも搾乳機……痛そう(笑)無配本、そうそう、それですー。もうあまりに放置しすぎでキノコ生えてそうな話ですが、楽しんで頂けたら嬉しいですvこの間お店でレトロなかき氷機が25,000円位で売ってて置く場所もお金もないって思いました(笑)「ふんわりかき氷機」だったら欲しいなぁ、買いましたか?

香深さま

本当に色々ご心配おかけしました。そっか、ハボッCLUBでしたね!ご一緒してくれてとっても嬉しいvv本、まだもう少しかかりそうですので今少しお待ち下さいねv
2015年06月04日(木)   No.457 (カプなし)

No. PASS
 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
  Photo by 空色地図

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