カプなし

=ハボロイ  =ロイハボ
=カプ色あり  =カプなし

2011年05月23日(月)
金剛石26
2011年05月21日(土)
金剛石25
2011年05月19日(木)
金剛石24
2011年05月17日(火)
金剛石23
2011年05月14日(土)
金剛石22
2011年05月12日(木)
金剛石21
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金剛石20
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2011年05月01日(日)
金剛石17

カテゴリー一覧
カプなし(303)
ハボロイ(32)
ロイハボ(101)
カプ色あり(61)
その他(16)

金剛石26
 そっと扉を開きロイは病室に入る。窓際に置かれたベッドにはハボックが目に包帯を巻かれて横たわっていた。ロイはゆっくりとベッドに近づきハボックの顔を覗き込む。白い包帯に軽く触れてホッと息を吐いた。
「ハボック」
 ハボックの手に握られたナイフを見たときは心臓が止まるかと思った。頬を濡らす深紅を目にして、ハボックの苦しみを取り除いてやれなかった自分への怒りと無力感に打ちのめされた。そして、なにより大切な蒼を失ってしまうのかという怖ろしいほどの恐怖と絶望感を思い出してロイはブルリと身を震わせる。ロイは今、その恐怖と絶望感が杞憂に済んだことに心底安堵して、ハボックの手をそっと取った。
「よかった、本当に……」
 そう呟きながらロイはハボックの手を撫でる。ハボックの瞳には呪いなど存在せず、もう二度とこんな馬鹿な事はするんじゃないと今度こそハボックに判らせてやらなければとロイが思いながらハボックを見つめていると、撫でていた手が微かに震えた。
「ハボック?」
 包帯をしているせいで目覚めたのかよく判らずロイはハボックの名を呼ぶ。そうすれば、ハボックの顔がロイの方へと向けられてその唇が開いた。
「大佐……?」
「気づいたか。傷の具合はどうだ、痛むか?」
 そう尋ねられてハボックは一瞬自分の体を調べるように黙り込む。それから緩く首を振って言った。
「いえ、今は特に痛みはないっス」
「そうか」
 ハボックの言葉を聞いてロイはホッとして頷く。まだ握ったままだったハボックの手を優しく両手で包み込んで続けた。
「手術は成功したそうだ。また前のようにちゃんと見えるようになるから」
「……え?」
 そう言えばハボックの体がギクリと強張る。ロイは落ち着かせようと握る手に力を込めて言った。
「手術は成功だ。いいか、ハボック、よく聞くんだ。お前の目に呪いなんてものは───」
「なんでッ?!なんで手術なんかッ?!」
「ハボック!!」
 バッとブランケットを撥ね除けてハボックはベッドの上に飛び起きる。ロイの手を振り解いたハボックは、包帯を巻いた顔をロイの方へ向けた。
「なんで手術なんてしたんスかッ!!なんでッッ!!これでやっと何もかも終わるって思ったのにッッ!!」
「終わる?そもそも何もないものを終わらせるなんて事が出来る訳ないだろう?お前の目に呪いなんてものは存在しないんだッ、ハボック!!」
 ロイはハボックの肩を掴んで声を荒げる。唇を震わせて浅い呼吸を繰り返していたハボックをロイがベッドに横にさせようとした時、ハボックがロイを思い切り突き飛ばした。
「うわッ!!」
 不意をつかれてロイは床に倒れ込む。顔を顰めてハボックを見上げたロイは、ハボックの手が包帯にかかるのを見てギョッとした。
「な……ッ、やめろッ!!ハボック!!」
「チクショウッッ!!こんなものッ!!」
 無理矢理包帯を毟り取ろうとするハボックをロイは必死に押し留める。もつれ合うようにベッドの上に倒れ込んだハボックの手が包帯を弛め、その下のガーゼが覗くのを見てロイは悲鳴を上げた。
「やめろッッ!!やめるんだッ、ハボックッッ!!」
「こんな目っ、ズタズタになっちまえばいいんだッ!!」
「ハボック!!」
 包帯どころかその瞳すら毟り取ってしまおうとするように暴れるハボックと、それを押し留めようとするロイとが揉み合い互いに大声を張り上げていれば、廊下を走る音に続いて病室の扉が開かれる。騒ぎに驚いて飛び込んできた看護士達にロイは病室の外へと追い出された。
「患者を興奮させないでくださいっ」
「ハボックさん、落ち着いてっ!ハボックさん!──誰か先生呼んできてっ!」
 看護士達に押さえ込まれながらも泣き叫び続けるハボックの声を聞きながら、バタバタと出入りする医師や看護士の姿を見つめて、ロイはただ呆然と立ち尽くした。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。ぱちぱち拍手も嬉しいですv

「金剛石」ロイハボバージョンやっと書き終わりましたー!ああ、長かった……。土曜日はあのあと睡魔に負け(←弱すぎ)日曜も夕方位までかかってしまいました。ダンナ不在で助かった(苦笑)後はワード作業と印刷とホチキス止め。完全家内工業に入ります(笑)WEBの方は今日からラストスパートで金曜まで毎日アップします。更新は出来れば土曜から再開したいなぁと……(弱気)ともあれもう一頑張りだー!
2011年05月23日(月)   No.52 (カプなし)

金剛石25
 チッチッと壁の時計が時間の経過を告げる。どれほど時計の針が回ろうと堅く閉ざされたきり開く気配のない手術室の扉に、ロイは膝の上の手を握り締めた。
「大佐、手」
 唐突にかかった声にロイは手を睨みつけていた顔を上げる。そうすればロイと同じように焦燥と疲労を滲ませた顔でブレダがロイを見ていた。
「手当て、してなかったでしょう。俺がここにいますから手当てして貰ってきて下さい」
「大した怪我じゃない」
 だがロイは吐き捨てるようにそう答えると再び顔を俯けてしまう。そんなロイにブレダは小さくため息をつくと、立ち上がって病院のスタッフを呼びにいった。少ししてブレダが治療器具を持った看護士を連れてくる。手を見せるよう言われて、ロイは一瞬不満そうに看護士を見たが何も言わずに手を差し出した。
「筋や血管に問題はないですね」
「だから最初から対した怪我じゃないと言ってる」
 傷の具合を見て言う看護士にロイはぶっきらぼうに答える。それでも大人しく手当てされるままになっていたロイは、手術室の扉を睨みつけて言った。
「まだ終わらないのか?」
「デリケートな手術ですから」
 ロイの問いかけの意味を間違わずに受け止めて答えながら看護士は包帯の端を止める。
「もう少しお待ち下さい」
 看護士は傷の具合と注意事項を告げると最後にそう言って立ち去った。
「大した事なくてよかったですね」
「だから最初からそうだと───」
「ハボの為にもですよ」
 そう言うブレダの言葉にロイは一瞬目を瞠り、それからフイと顔を背ける。
「呪いなんて存在しないのだから当たり前だ」
「それでも、大佐が手を包帯でぐるぐる巻きにしてたらハボが心配します」
 言われてロイは顔を僅かに歪めて手術室の扉を睨みつけた。
『これでもうアンタに呪いが届く事もないっスから、だから』
『安心して』
 ロイの脳裏にハボックが呟いた言葉が蘇る。どこかホッとしたような笑みを浮かべた血に濡れた白い顔。
「さっさと出てこい、ハボック。一発ぶん殴ってやる」
 ロイは呻くように言うと包帯を巻いた拳を握り締めた。

 ガチャリと音がして手術室の扉が開く。弾かれたように立ち上がったロイとブレダの前に現れた医師は二人を見回して言った。
「医療錬成を行ったのはどなたです?」
「私だ」
 もしや余計な事をしてしまったのかと焦りを滲ませるロイに医師は笑みを浮かべて頷く。
「いい判断でした。あれがなければどうなっていたか」
 医師の言葉に目を見開くロイの隣でブレダが声を弾ませて言った。
「それじゃあ、ハボの目は」
「大丈夫です。ちゃんと見えるようになります」
「やったッ!大佐っ、やりましたよッ!!」
 太鼓判を押す医師にブレダが拳を握り締めて叫ぶ。ポカンとするロイと狂喜乱舞するブレダに頷いて医師が立ち去ると、手術室からストレッチャーに乗せられたハボックが出てきた。
「ハボ!」
「まだ麻酔が効いてますから」
 慌てて駆け寄るブレダにスタッフが言う。そのままガラガラと病室へと向かうスタッフについていこうとして、ブレダは未だにぼんやりと立っているロイに気づいた。
「大佐?大丈夫ですか?」
 その腕をグイと引けばロイがビクリと震えてブレダを見る。パチパチと数度瞬いたと思うと、ハアアと肺の中の空気を全部吐き出すようなため息をついた。
「大丈夫だ。見えると聞いたら気が抜けた」
「一発ぶん殴ってやるとか言ってたのに」
 額を押さえて軽く頭を振るロイにおかしそうにブレダが言えば黒曜石の瞳がジロリと睨んでくる。ブレダは慌てて表情を引き締めるとホークアイに連絡を入れてくると言って立ち去った。
「見える、のか……よかった……ッ」
 あの蒼い宝石が失われずに済んだことを、ロイは誰にともなく感謝してハボックが運ばれた病室へと向かった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手嬉しいですv尻叩いて貰ってます(笑)

「金剛石」まだロイハボバージョン書いてます(苦)やっと過去話終わってこれから現在エチに入るとこ。四連続エチ(攻めハボ過去エチ、ハボロイエチ、受けハボ過去エチ、ロイハボエチ)書いてると「エチばっちこーい!」の私でも流石に大変というか(苦笑)幾ら同じ話の受け、攻めバージョンと言ってもまったく同じ話だとなぁと思いながら書いているのでロイハボバージョンなんだかウダウダ気味かもしれません(苦)今日中に書き上げたいが既に睡魔がちらちらと見え隠れしている現状……。でも明日午前中には書き終えてワード作業に入りたいと思いますー。ダンナがいないこの週末が勝負だ!というわけで、もう一頑張りしてきます。

以下、拍手お返事です。

柚木さま

いやいや、もうどこにでもウケてやって下さい。なんにしろ反応頂けるのは嬉しいです(笑)更新、「金剛石」は週明けまでに目途つけるつもり、他の更新はいつもの事なので伸ばして頂いても状況変わらないというか(苦笑)なので大丈夫です、ありがとうございますv

naoさま

お忙しい中ハボックに会いに来て下さってありがとうございますvその後体調&子育て如何ですか?「金剛石」楽しんで下さって嬉しいですvいやもう、好きな方のカプリングで読んで頂ければ!そのための緑アイコンなので(笑)ロイハボでもハボロイでも、ハボがいれば幸せなのでついつい両方頑張ってます。naoさまもお忙しい中、お体大切にお過ごし下さいねv

蒼さま

とりあえず某方何とかなりそうでよかったです。足掻くハボックvまぁ、私が書く話ですし、大体行く方向は見えてますね(苦笑)木金休みかぁ。今日、某テレビ番組で「気がついたらみんな木金休みになってなければいいですね」ってアナウンサーが言ってました(笑)もー、最近じゃダンナがいてもポメラ開いたりしますけど、やっぱり集中して書けんですね(苦笑)ツイッター鍵ッ子増えてるんだ、そうかー。いえいえ、どうぞ気になさらず。いつもありがとうございます。
2011年05月21日(土)   No.51 (カプなし)

金剛石24
「ハボックッッ!!」
 ブレダの悲鳴が上がるのとロイの指から迸った焔がナイフを吹き飛ばすのと、どちらが早かったのだろう。ハボックの手から離れたナイフが空に向かって銀色の弧を描くのを追うように、鮮やかな赤が風に吹き飛ばされて青い空に舞った。
「ハボックッッ!!」
「ハボッッ!!」
 顔の上半分を片手で押さえて蹲るハボックの側にロイとブレダが駆け寄る。ハボックの肩をグイと押してその顔を覗き込んだロイは、押さえた手の下から流れる紅い血の筋を見て顔を歪めた。
「……なんて事を……ッッ!!」
 呻くように言うロイの声を聞いてハボックがうっすらと笑みを浮かべる。
「これでもうアンタに呪いが届く事もないっスから、だから」
 安心して。
 呟くように言ったのを最後にハボックはそのまま気を失ってしまった。

「ハボック!!」
 ぐったりと倒れ込んでくる体を抱きとめてロイは叫ぶ。隠しから白いハンカチを取り出すと発火布を毟り取り指先に噛みついて皮膚を破った。溢れてくる血でハンカチに錬成陣を描きハボックの目の上に広げる。両手を当てればパシンと金色の輝きが風を裂いて走った。
「ブレダ少尉ッ!!」
 突然のことに目を見開き凍り付いているブレダを見てロイは怒鳴る。その声にハッと弾かれて、ブレダがロイを見た。
「目、治したんですかっ?」
「医療錬成は専門外だ、応急処置をしたにすぎん。ハボックを病院へ運ぶぞッ、急げッッ!!」
「は、はいッ!!」
 答えるブレダとロイは両脇から抱え込むようにしてハボックの体を担ぎ上げる。屋上の扉を抜け一つ下の階まで降りると、ロイは通りかかった兵士にホークアイを呼ぶように言った。
「大佐っ!」
 ハボックを支えて歩く間にホークアイがやってくる。ハボックの顔を濡らす血の筋に一瞬目を瞠ったものの、ホークアイは深くは追求せずにロイの言葉を待った。
「ハボックを病院へ運ぶ。車の用意と、あらかじめ受け入れ先の病院へ連絡を」
「判りました」
 頷いてホークアイはロイ達をおいて駆けていく。ロイとブレダが下まで降りたときには正面玄関につけた車の前にホークアイが立って二人を待っていた。
「イーストシティ中央病院に連絡を入れました。準備をして待っています」
「ありがとう、中尉」
 必要事項だけを簡潔に伝えるホークアイにロイは頷いてハボックを抱えて後部座席に乗り込む。運転席に飛び込んだブレダが勢いよくアクセルを踏み込むのへロイが言った。
「急いで、だがなるべく揺らすな」
「判ってますって!」
 ロイの言葉にブレダはスピードは緩めないまま丁寧に車を走らせる。ほどなくして病院の前に車を滑り込ませれば、病院のスタッフが待ち構えていた。
「早く、こちらへ!」
「急いで頼むッ!」
 ハボックを乗せたストレッチャーがガラガラと病院の廊下を走り抜け手術室へと消える。バンと閉まった扉がロイ達とハボックを隔てた。
「大佐……ハボの奴、大丈夫でしょうか」
「大丈夫でなければ絶対に赦さん……ッ」
 黒曜石の瞳に怒りの焔を燃え上がらせて、ロイは呻くように言うと手術室の向かいのベンチにドサリと腰を下ろした。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手、とっても嬉しいですー!頑張れるv

「金剛石」ロイハボバージョンを書き始めましたが……進まんorz とてもこれを書き終えて更新分まで書き終えられると思えません(苦)あああ、でも週末には何とか区切り付けないと間に合わないよーん!どうもハボロイを書き終えたら一種達成感を感じてしまったらしいです。まだ終わってないっての(苦笑)とにかく早いとこ書き上げてWEB分も合わせてワードにぶち込まないと、あと一週間だってば!どうも泥縄なのは学生時代から抜けん……。誰か尻叩いてやって下さい(苦笑)

以下、拍手お返事です。

以前からちょこちょこお邪魔しております の方

遊びにきて下さってありがとうございますv「金剛石」気に入って読んで下さって嬉しいですー!そう言って頂けるとテンション上がって頑張れます(笑)たぶん本(と言うほどいいものじゃないけど)に出来ると思いますので、その時は是非お手に取って頂けると嬉しいです。体調も気遣って下さってありがとうございます。ぼちぼち頑張って参りますのでこれからもどうぞお付き合いよろしくお願い致しますv

蒼さま

今日の分も合わせてお返事(笑)いや別に出して撮ってと言うわけじゃないんですが、茶袋、ババ臭いなと思いまして(笑)確かに個人情報はなるべく出さないようにしますよね。私も最初の頃口を酸っぱくしていわれました(苦笑)ピール、皮の状態が保存にも影響するんですねー。夏場の計画停電、ホントどうなることやら……。前売り特典、あちこちで色んなのやるんですね!なんて迷惑な(笑)扇子は息子は欲しいらしいが公式サイトで見て私はいらんと思いました(苦笑)オリキャラ5人の待ち受けなんていらんから、マスタン組5人の待ち受けとかにしてくれんだろうか(笑)私も前売り買った映画館は全席指定なので予め前売り持って映画館に座席指定しに行かなきゃなりません(苦)なので普段はあまり前売り買わないんですがねー、ネット予約出来ないし。前売りもネット予約出来るようなシステムにして欲しいですよ。「今買えなきゃ意味がない」まさしくその通りだ!(笑)夏、上手くいくといいですね。
2011年05月19日(木)   No.50 (カプなし)

金剛石23
 ゆっくりと階段を上がりきったハボックは屋上に続く扉を開ける。風の圧力で重い扉に体重を預けるようにして開けた扉から外へと出ればビョオッと風が吹き付けてきた。
「ッッ」
 強い風に蒼い目を細めたハボックは一瞬止めた足を再び動かして屋上に出る。吹き抜ける強い風がテールスカートをバタバタと音を立ててなびかせた。ハボックは屋上の中程まで進むと足を止める。空を見上げれば強い風に白い雲が千々にちぎれて吹き飛んでいった。
『ロイッッ!!』
『大佐ッッ!!』
 皆が心配して駆け寄る先で跪くロイの姿。その手に流れる紅い血を思い出してハボックはギュッと目を閉じた。
(もう、限界だ)
 ロイの側から離れなければと思う一方、この人なら自分を救ってくれるかもしれないと思った。誰にも心を傾けることなど自分には一生ありはしないと諦めながら、心の天秤がロイへと傾くのを止められなかった。もう自分は何ものにも縛られていないと、もう大丈夫なのだと思いこんでいただけで、本当はあの時から身も心も縛られたままこれっぽっちも大丈夫などではなかったのだと、そう気づかせたロイが赦せないと思うと同時に縋りつきたかった。
 混乱する想いの中、それでもせめてロイだけは守ろうとそう決めたものの結局そんなものは烏滸がましい願いでしかなかったのだ。このままロイの側に居続ければ最後はロイの身の上に不幸を招くことになるだろう。この呪われた蒼がある限り。
(大佐から離れなくちゃ)
 どんなに言ってもロイが自分を特務に戻す気がなく、自分にロイを守る力もないと言うなら後はロイからこの蒼を遠ざけるしかない。ハボックがそう思って見上げた空から視線を足下に落とした時、屋上の扉から今一番聞きたくない声が聞こえた。

「ハボック!!」
 最後の望みをかけて屋上の扉を押し開けば、吹き荒れる風にテールスカートを翻して立つ長身が目に飛び込んでくる。空を見上げていた蒼い瞳が地上に下ろされ、ゆっくりとこちらを見つめるのを見たロイはホッと安堵のため息を零した。
「ハボック」
 ロイは呼んでハボックへと近づこうとする。だが、その足は「来るなッッ!!」と叫んだハボックの声にその歩みを止めた。
「オレに近づかんで下さい」
「ハボック?!」
 屋上の中央に立ち尽くしたままそう言うハボックにロイは目を見開く。後から屋上に足を踏み入れたブレダがハボックに向かって言った。
「ハボ、大佐なら大丈夫だ。大した怪我じゃなかったし何も心配することなんて───」
「そんなの、いつまで続くか判んないだろ?」
 ブレダの言葉を遮ってハボックが言う。びゅうびょうと風が吹き荒れる屋上で、数メートルの距離を置いたまま対峙する二人に向かってハボックは続けた。
「ブレダならよく知ってる筈だ。オレが居る限りこの瞳は周囲に呪いをまき散らす」
「ハボック、それはッ!」
「大佐」
 ハボックの言葉を慌てて否定しようとするブレダの声をハボックの声が押さえ込む。口を噤むブレダをチラリと見たハボックはロイを見て言った。
「アンタのオトモダチの言う通りっスよ。どうしてオレはここにいるんだろう、誰もオレの存在なんて望んじゃいないのに」
「ハボック、それは違うッ!!少なくとも私はお前の事を───」
「もっと早くこうすりゃよかったんだ」
 泣き笑いのような表情を浮かべたハボックの手にいつの間にか握られた一振りのナイフ。ハッとしたロイが発火布をはめた指を打ち鳴らすのとほぼ同時に、ハボックが手にしたナイフをその蒼い瞳へと向けた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。パチパチ拍手も嬉しいですv

「金剛石」やっとハボロイバージョンが書き終わりました。なんかもう9割方肌色な感じですが。しかも前半がなぁ……。かなり好みの別れる話かもしれませんー。ともかくもこれからロイハボバージョンです。ほぼ同じストーリーを攻め受け逆転で書くのか、ははははは。ともあれ可愛いはぼっきゅを目指しますー、腐腐v

以下、14日拍手のお返事です。

蒼さま

お名前ないけど蒼さんですよね?(笑)おおう、色々情報ありがとうございます!蒼さん情報が一番早いかも、私の場合(笑)来場者記念コミック、やはり早めに行かないとヤバいっスかね……。思い切り試験前の息子は見捨てて見に行ってくるかな、やっぱ(苦笑)ブリ、買ってはいるけど全然読んでませんよー。もー読んでないコミック溜まりまくりだorz 紙袋のまま写真撮影されると全然可愛くないですよね、アレ(笑)
2011年05月17日(火)   No.49 (カプなし)

金剛石22
「ハボック!!」
 司令室を飛び出したロイはハボックの姿を探して建物の中を駆け抜ける。何事かと驚いて壁に身を寄せる軍人や事務官を突き飛ばすようにして駆け回りながら、ロイは大声でハボックを呼び続けた。
「ハボック!どこだッ?!」
 人一人捜すには司令部は広過ぎる。もし外へでも行かれたら判らなくなってしまうとロイが焦り始めた時、背後からブレダの声が聞こえた。
「大佐!」
「ブレダ少尉!ハボックはいたか?!」
 駆け寄ってくるブレダにロイは尋ねる。ブレダは首を振りながら答えた。
「いいえ、ただ、すぐに部下達を建物の出入口に立たせましたから少なくとも司令部の中にいるはずです」
「そうか」
 素早い部下の対応にロイは半ばホッとしながら頷く。手分けして司令部の中を探し回って、再度ロイと顔を合わせたブレダが言った。
「後は屋上ぐらいですね、大佐、行ってみましたか?」
「いや、まだだ」
 ロイは答えて屋上へと続く階段を見やる。すぐさま歩き出すロイに続いて階段を上りながらブレダは言った。
「大佐、ハボックの奴、どうなるんでしょう」
「どうもこうもなりようがない。何一つハボックのせいである事なんてありはしないんだから」
「大佐」
 きっぱりと言い切るロイにブレダは黙り込む。それから考えるように一歩一歩上る階段を見つめながら言った。
「どうしてみんな呪いだなんて言うんでしょう」
「臆病だからだ」
 そう言うロイの横顔をブレダは見つめる。ロイは真っ直ぐに階段が続く先を睨みつけながら言った。
「本当は手を伸ばしたいくせに拒絶されるのが怖いんだ。あの蒼に見つめられて己の本性を暴かれるのが怖いんだよ。でも、他人の手に渡るのが赦せなくてそれならハボックから全てを遠ざけてしまえばいいとくだらない噂を流す。何もかも弱くて強欲な人間のしたことだ」
 そう言いきるロイをブレダはじっと見つめる。それから囁くような声で尋ねた。
「大佐は怖いと思ったことはないんですか?もしかしたら噂は本当で呪いは存在するのかもしれないって」
 そう尋ねるブレダをロイは足を止めて見る。ブレダはロイの視線を受け止めて続けた。
「俺は士官学校でアイツと出会ってからつかず離れず、言うなれば適当な距離をおいてアイツとつき合ってきました。あの噂が本当のワケないと思う一方で噂を打ち消す為に力を貸すでもなかった。偶然が続いて重なった事故と心ない噂にアイツが傷ついて心を閉ざしていくのを、ただ黙って見てただけです。噂なんて信じないと言いながら一番噂を怖れていたのは俺なのかもしれない」
「ブレダ少尉」
「なんて、今更言っても遅いんですけどね」
 クッと自嘲気味に笑うブレダにロイは言った。
「遅すぎるなんて事はない。少なくとも少尉がそう思っている限りはまだ間に合う」
「大佐」
 そう言うロイをブレダは泣きそうな顔で見る。そんなブレダにロイはニヤリと笑って言った。
「とにかくまずハボックを捕まえるのが先決だ。悩むのはその後でいい」
「……そうですね」
 ロイの言葉にニッと笑って頷いて、ブレダはロイと一緒に屋上へと階段を上がっていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気の元です、嬉しいですv

「金剛石」ハボロイサイド書いてます。多分ほぼエロしかない。しかも前半は過去話なので痛いかもしれない(苦笑)ネットに載せないからいいや、ってんで好き勝手書いてます(笑)そんなわけで今日も更新は日記だけ……。来週の土曜くらいからは更新再開したいなぁ。でないと5月の更新履歴が玄関と拍手だけという恐ろしい事になりかねない(苦)日記ネタも書きたい話あるんですが「金剛石」に集中してる間に忘れそうだ(苦笑)ともあれ、そんな感じで書いてますー。

以下、12日拍手お返事です。

柚木さま

ええ?私そんな笑うような事書きました?ただ素直に現況と心境を語っただけなんですが(笑)おかげさまでWEB掲載分終わりました、ありがとうございます。書き下ろし分も頑張りますよ!
2011年05月14日(土)   No.48 (カプなし)

金剛石21
「ロイッッ!!」
「大佐ッッ!!」
 ワッと一瞬にして騒然となった司令室のヒューズ達が、執務室の中で跪くロイに駆け寄る。ロイは頭の上に翳していた腕を下ろして立ち上がった。
「大丈夫だ、大したことはない」
「見せてみろッ、……手、怪我してるじゃないかッ!」
 翳していた方の手を濡らす血を見てヒューズが声を張り上げる。ロイは右手の表を見、裏を返して見ると肩を竦めた。
「かすり傷だ」
「なに言ってる、もしガラスの欠片が腱や血管を切っていたら……」
 ゾッと背筋を震わせてそう言ったヒューズが身を強張らせるのを見て、ロイは眉を寄せる。不思議そうに名を呼んだロイの声が聞こえていないかのようにヒューズは背後を振り向くと、執務室の扉のところに立っているハボックを見た。
「お前のせいだ……」
「ッッ?!」
「どうしてお前はここにいるんだッ?!誰もお前の存在など望んじゃいない!!とっとと出てい──」
「ヒューズッッ!!」
 罵る言葉をロイの怒声が遮る。それ以上ヒューズが何か言うのを押さえるようにヒューズの腕を掴んだロイは、ハボックへと視線を移した。
「ハボック」
 真っ青な瞳を大きく見開いたハボックの顔はまるで小さな子供のように寄る辺なく見えた。そのあまりの切なさにロイが息を飲んだその隙に、ハボックは身を翻して飛び出していってしまう。それを慌てて追いかけようとしたロイの腕をヒューズが掴んだ。
「ハボ──ッ、離せ、ヒューズ!!」
「放っておけ、ロイ!もうこれ以上アイツに関わるなッ!!アイツの瞳はその名通り、呪われてるん──、ッッ!!」
 ヒューズは言いかけた言葉を最後まで言い切ることのないまま床に倒れ込む。殴られた頬を押さえて見上げれば、ロイがその全身に怒気の焔をまとってヒューズを睨みつけていた。
「それ以上言ったら例えお前でも燃やしてやる」
「ロ───」
 低い地を這うような声にヒューズは息を飲む。何も言えずにロイを見つめるヒューズを睨んだロイは、目を見開いて事態を見守っていたブレダに向かって言った。
「ハボックを追え、早く!」
「判りましたッ」
「大佐、手当を───」
「構うなッ!」
 言われるや否やブレダが飛び出していき、傷ついた手を心配してフュリーが言うのにロイは手を振り払うようにして怒鳴りつける。床に座り込むヒューズを見、周りを取り囲む部下達を見回してロイは言った。
「何もかもハボックのせいにして、それで満足か?窓ガラスが割れたのは単なる突風のせいだろう?ホールの天井が崩れたのも、美術館の入口に車が突っ込んだのも、単なる事故に過ぎない。これまでアイツの周りで起きた事を全てありもしない呪いのせいにして、一体何のつもりだっ?ふざけるなッッ!!」
 怒りに満ちたロイの声に空気がビリビリと震える。ヒューズですら返す言葉を失くす中、ロイは血の滲む手を握り締めるとハボックを追って司令室を飛び出した。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手もやる気湧きます、嬉しいですvv

「金剛石」WEBに載せる分を書き終えましたー。気が変わって足したり削ったりしなければ一応30で終わる予定です。んーと、そうすると一日おきじゃアップし終わらないのか、24日からは毎日?「金剛石」興味ない方にはごめんなさいと言う感じですが(苦笑)ともあれWEB分を書き終えたのでこれから書き下ろしのカプ別部分に入ります。一応両想いになるところまでで終わってるのでWEBだけでも大丈夫な筈……。カプ別と言ってもハボが受けか攻めかの違いでストーリー上大きな違いはないかと思いますが、WEB載せない分ガッツリエロいくぜ!(爆)無事書きあがりましたら無料配布のご案内載せるつもりです。載せられるといいが…(おい)ともあれ、頑張ってきまーすv
2011年05月12日(木)   No.47 (カプなし)

金剛石20
「ッ!!」
 車から降りようとしてビュッと吹き付ける風にロイは思わず腕を顔の前に翳す。夕べからイーストシティは台風並みの強い風が吹き荒れており、あちこちで突風の被害が出ているほどだった。僅かに顔を顰めて立ち上がろうとしたロイは不意に射した影に目を瞠る。顔を上げればハボックが強い風からロイを守るように車の扉を押さえて立っていた。
「ありがとう、ハボック」
 僅かに視線を逸らしたまま扉を押さえているハボックにロイは礼を言う。だが、ハボックはそれに答えるどころか目を合わせる事なく無言のままロイを建物へと促した。
「……」
 何よりも好きな蒼い瞳が決してこちらを見ようとしないことにほんの少し傷ついて、ロイは建物へと足を進める。警備兵に車を任せたハボックが背後からついてくるのを感じながらロイは手をギュッと握り締めた。入口の警備兵が敬礼を寄越してくるのに視線で答えてロイは司令室へと向かう。ハボックを引き連れて階段を上がったロイは、背後から聞こえた声に足を止めた。
「ロイ!」
「ヒューズ?」
 背後からかかった聞き覚えのある声に振り向けばセントラルにいるはずの友人が階段を上ってくる。それを見たハボックはロイから離れると先に司令室へと歩いていった。
「怪我はなかったのか、ロイ」
 階段を上がったところで立ち止まって待つロイのところへ足早に上がってきたヒューズが言う。
「え?」
「この間のホールの事故だ、出張から戻ったらお前があそこにいたって聞いたから」
 ポカンとするロイにヒューズが苛々と言う。じろじろと調べるように見つめてくるヒューズの様子にロイは苦笑した。
「怪我なんてしてない。まさかわざわざそれを確かめに来たんじゃないだろうな」
「来ちゃ悪いか」
 ムッとした表情でヒューズが即答する。
「確かに大きな事故だったがハボックが上手く対処してくれたからな」
 見事な手際だったんだと自慢げに言うロイにヒューズは顔を顰めた。
「何が見事な手際だ。ロイ、セントラルでも噂になってる」
「噂?」
「もういい加減目が覚めたろう、ハボックを特務に戻せ」
 そう言うヒューズをロイは一瞬見ひらいた目を物騒に細めて睨む。そんなロイの視線を事も無げに受け止めながらヒューズは続けた。
「これまで何事もなかったのが不思議なくらいなんだ。さっきここにいたのがハボックだろう?なんてブルーだ、何もかも飲み込んで喰らい尽くす魔性の蒼だ」
「ヒューズ!」
 ヒューズの言葉を聞いていたロイだったが、声を張り上げてその言葉を遮る。見つめてくる常盤色を睨みつけて言った。
「それ以上言ってみろ、例えお前でも赦さん」
「ロイ!」
 低く唸るように呟いたロイはヒューズに背を向けて歩き出す。その背を慌てて追いかけてヒューズはロイと並んで歩きながらロイの腕を掴んだ。
「いい加減にしろ、ロイ!何かあってからでは遅いんだぞっ!」
「離せ、ヒューズ」
「ロイ!」
「離せと言ってるッ!」
 掴むヒューズの手をロイは思い切り振り払う。突き飛ばされるように壁に背をぶつけたヒューズをギッと睨んだロイは、ヒューズをそのままに足早に廊下を歩いていった。背後から呼び止める声に構わず、ロイは廊下を抜けてたどり着いた司令室の扉を開ける。中へ入ったロイが司令室を通り抜け執務室の扉に手をかけた時、ヒューズが司令室に飛び込んできた。
「ロイ!俺の言うことを聞───」
「煩いッ!!」
 ビリビリと怒りに空気を震わせてロイが声を張り上げる。一瞬怯んだヒューズを睨んでロイは言った。
「ハボックを特務に戻す気はない。彼がいてもいなくても、私の身になにか起きることなどあり得ない……ッ」
 中に入ってきたと思えば言い争いを始めた二人を、司令室でそれぞれ仕事を進めていた部下達が驚いて見つめる。その中の蒼い瞳をロイはチラリと見て続けた。
「私の身に何か起きるなんて事は絶対にない。そんなくだらない事を言うためにわざわざセントラルから来たのか?ヒューズ」
「ロイ、だが───」
「話は終わりだ」
 ロイは一方的に話を打ち切ると執務室の扉を開ける。その時、窓を締め切った室内からでも風がゴウッと鳴るのが聞こえ、次の瞬間。
 ガシャーーンッッ!!
 ピッと亀裂の入った窓ガラスが大きな音と共に砕け散った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手もやる気頂いてますvv

ようやっと体調も復活してきたと思われ……。年のせいか治りが遅くて(苦)
ええと、更新分、さっぱり書けてませんー。なので今日は日記だけです、すみません(汗)つか「金剛石」終わらないorz 今25まで書いてあるんですが、どこまで書くか。過去編をカプなしで書くのはかなり難しそうなのでちょっと悩みどころ。あと二週間くらいで書き終るのかなぁってのが一番の問題かもしれない……。

以下、拍手お返事です。

阿修羅さま

阿修羅さまも体調崩されていたご様子、お大事になさってくださいね。「宅配」「霧屋2」楽しんで頂けて嬉しいです。私も無理矢理系好きですよ(笑)しかし「宅配」のハボックはものすごーくニブチンなので、押し倒されても下手するとヤられてもロイの気持ちに気づかないかもしれない(爆)サイト一周年とのこと、おめでとうございますー!まめに更新されていて凄いです。これからも頑張って下さいね!記念小説拝読させて頂きました。人でなしのヒューズが素敵です(笑)お持ち帰りは、うちのサイト、一応女体リクお断りさせて頂いたりしてる関係上やはりアレかなぁと思いましたので遠慮させて頂きました(苦笑)そう言えばサイトの中あちこち移動してたら無駄にカウンター回しちゃったみたいですー、すみません(汗)
2011年05月10日(火)   No.46 (カプなし)

金剛石19
 バンッと勢いよく開いた執務室の扉に、ブレダが弾かれたように腰を浮かす。一瞬目が合ったハボックがそのまま司令室を出て行こうとするのに向かって、ブレダは慌てて声をかけた。
「ハボック!おい、一体どうし……ハボック!!」
 だが、ハボックはブレダの声を無視して司令室から出ていってしまう。その背を追いかけるのか一瞬迷って、ブレダは執務室へと向かった。
「大佐、ブレダです」
 おざなりなノックと共に扉を開けるとロイの返事も待たずに中に入り扉を閉める。この部下にしては珍しい暴挙に、ロイは軽く眉を跳ね上げたものの何も言わずにブレダを見つめた。
「どうしたんです?ハボックの奴」
 二人の間の事に口を挟むべきではないと思いながらブレダは尋ねる。その瞳に浮かぶ友人を案ずる色にロイは僅かな嫉妬を覚えながら答えた。
「どうして自分を特務に戻さないんだと言ってきたよ。噂を聞いたんだろう」
 ロイの言葉にブレダは小さく舌打ちする。目の前の部下が自分と同じ気持ちを噂を吹聴する奴らに抱いている事を感じながらロイは言った。
「ブレダ少尉、どうしたら呪いなど存在しないとハボックに判らせてやれるんだろう」
「……それが判ればとっくにそうしてますよ」
「……そうだったな」
 吐き捨てるように言うブレダの言葉にロイは苦く笑う。
(ハボック)
 言葉にせずとも優しく抱き締めたなら伝わるだろうか。
 ロイは窓の外に広がる空を見上げながらそっとため息をついた。

 司令室を出てきた後、怒りに任せてあてもないまま足音も荒く廊下を突き進んだハボックはやがてゆっくりと足を止める。込み上がる怒りが誰に対するものなのか判らないままハボックは目の前の壁を思い切り蹴りつけた。
「くそッ!!」
 ダンッと厚い軍靴の底で蹴りつければビリビリと壁が震える。
「クソッ!!クソッたれッッ!!」
 何度も何度も壁を蹴りつけるハボックを、廊下を通る軍人たちも極力関わるまいと目を背けて過ぎていった。そんな周りの空気に気づいたのか気づかないのか、ハボックは理不尽な仕打ちにも耐えた壁を両の拳でドンッと叩くと壁に額をこすりつける。そのまま暫くの間乱れた呼吸を整えるようにじっとしていたが、やがてふらりと歩きだした。階段を上がり屋上へと出たハボックは手すりに寄りかかり煙草を咥える。さっきまでの怒りの嵐が嘘のように静かに晴れ渡る空を見上げた。
『ジャン』
 優しく笑う空色の瞳。その瞳に見守られて幸せに過ごしていたのはいつの頃だったろう。恐らくは一番最初に自分のせいで不幸を招いてしまったであろう大切な人を想ってハボックはそっと目を閉じる。
「オレはどうしたらいい?」
 怒りに任せてロイに投げつけてしまった酷い言葉。それに宿る言霊がロイに災いを呼び寄せてしまうかもとハボックは小さく身を震わせる。
「どうしたら……?……母さん」
 深いため息のような声に縋るような響きを載せて、ハボックは優しく笑う姿にそっと問いかけた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。入れ替えた拍手も読んで頂けて嬉しいですvv

相変わらずのピー腹ですorz 流石に五日も続くといい加減固形物を排泄したいなぁ……って、汚い話でスミマセン(汗)
4日のイベントは絶食して行きましたので痛くてもトイレには一度も行かずに済んだのでやれやれでした(苦笑)当日は初めて声をかけさせて頂いたりもしてドキドキ楽しかったです。それに何と言ってもロイハボはまった当初から大好きな絵師さんに、イベント前にちょっとお伺いしたら二人描いて頂けそうだったので当日改めてお願いしてみたら描いて貰えちゃいましたーッ、ロイとハボック!!わーい、嬉しいッッ!!ロイを見上げるハボックが……てへv可愛いったら!!ありがとうございますーッッ!!しかも、それでテンション上がって、もうおひと方の絵師さんにもハボックをとお願いしつつ「ロイもいたら嬉しいですー」などと図々しくも言ってしまったところこちらでも描いて頂け……。ちょっともー、血圧上がって死にそうっス。ホントにホントにありがとうございますーッッ!!他にも今は別ジャンルに移られた方にも無理言ってハボ描いて頂いたし、とってもシアワセ。痛む腹を抱えて行った甲斐がありましたvただ、諸事情あっていた時間が長かった割にあまり回れなかったのが心残りかなぁ。今度行く機会があったらもう少しゆっくり色々見て回りたいです。ともあれ、当日は皆様お疲れ様でした。素敵な夢を沢山ありがとうございますvv

以下、拍手お返事です。

460000打おめでとうございます♪ の方

ありがとうございます!!これも遊びに来て下さる皆様のおかげですv体調の方もお気遣い頂いてありがとうございます。少しずつですが落ち着いてきてはいます。この時期気候の変動が激しいですので、お体お気をつけてお過ごし下さいね。これからもどうぞよろしくお付き合いのほど、お願い致しますvv
2011年05月06日(金)   No.45 (カプなし)

金剛石18
「あれ?お前……」
 滅多に人が立ち寄らない司令部内の一角にある部屋に足を踏み入れれば、中にいた男たちが振り向いて目を瞠る。なにも言わずに中へと入ってくるハボックに男の一人が言った。
「久しぶりだな、なんの用だ?」
「こっちに帰ってくることになった」
 そう言ってかつて己のロッカーだった場所へ歩み寄るハボックに男が首を傾げる。
「出戻り?聞いてねぇぞ」
「え?」
 男の言葉に驚いたように振り向くハボックを見て男は繰り返した。
「特務にお前が戻ってくるなんて話は聞いてねぇ。なあ?」
 男はそう言って同僚たちに同意を求める。そうすれば各(おのおの)頷く男たちにハボックは目を見開いた。
「そんな馬鹿なこと……」
「別に俺たちはお前が戻ってこようがくるまいが気にしねぇけど、ちゃんと確かめてから来いよ」
 そう言う男をハボックはじっと見つめていたが、不意に足音も荒く部屋を飛び出していく。廊下を駆け抜け階段を駆け上がり目指す司令室に飛び込めば、中にいたブレダが驚いて顔を上げた。
「ハボっ?お前、どこに行ってたんだ?朝から顔を出さないから寝込んだりしてるんじゃないかって───」
「大佐は?」
「大佐なら執務室に、……って、ハボック?!」
 訳が判らないと声を上げるブレダをそのままにハボックは大股で司令室を横切り執務室の扉に手をかける。ノックもせずに乱暴にあけた扉からハボックは中に入ると、机に向かうロイに大声を張り上げた。
「どういうことっスかッ?!」
「ハボック?」
 突然の事にロイは書類から顔を上げると目を丸くしてハボックを見る。キョトンとしたその顔にハボックは苛々して言った。
「どうしてオレの異動命令が出てないんスか?」
「異動命令?」
 鸚鵡返しに返される言葉がまるで自分をからかっているように聞こえて、ハボックは執務室の中へ足を進めるとバンッとロイが書類を広げている机に手をつく。
「どうしてオレを特務へ異動させないんだって言ってるんスよ」
 低く唸るように言うハボックをロイは驚いたように見つめていたが、開け放たれたままの扉へ目をやって言った。
「扉を閉めてこい、ハボック」
「オレの質問に───」
「返事はそれからだ」
 ピシャリと言われてハボックはグッと口を噤むとロイを睨みつける。それでもロイがそれ以上なにも言わないのを見て、ツカツカと扉に歩み寄り叩きつけるように扉を閉めた。そのままの勢いでロイの元に戻ってくるとハボックは座るロイを見下ろす。怒りに燃え上がった蒼い瞳の苛烈さにロイはうっとりと目を細めた。
「それで?なんだって、ハボック」
 意志の弱い人間ならその瞳に纏わる噂と相まって、強烈なハボックの瞳に顔も上げられなくなってしまうだろう。だが、まるで夢見るような瞳で自分を見つめながら言うロイに、ハボックは内心困惑しながらも答えた。
「どうしてオレを特務に戻さないんスか?」
「特務に?どうしてそんな事をする必要がある?」
 ハボックの言葉にロイは心底判らないと言う表情で答える。そんなロイにハボックは一瞬大きく目を見開いた。それからくしゃりと顔を歪めたと思うと、ロイを馬鹿にしたような目つきで見つめた。
「相当な馬鹿っスね、アンタ」
「そうかな」
「軍内部で流れてる噂、聞いてんでしょ?」
 そう言って見つめてくる蒼い瞳をロイはじっと見つめ返す。
「“ホープダイヤを箱から出した馬鹿のせいで事故が起こった”?……くだらんな」
「な……ッ?!」
「私はお前を手放す気はないよ。前にも言ったろう?」
 その言葉に絶句するハボックをロイは愛しそうに見つめて続けた。
「優秀な部下をみすみす手放す理由がどこにある?それにハボック、私はお前の瞳が美しいと思う、心の底から美しいと。だから───」
「黙れッッ!!」
 うっとりと紡がれる言葉を悲鳴のようなハボックの声が遮る。その勢いに口を噤むロイをハボックは冷たく見つめて言った。
「散々忠告してやったのに。アンタなんか死んじまえばいい、ロイ・マスタング」
 吐き捨てるように言うと、ハボックはロイに背を向け足音も荒く執務室を出ていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。パチパチ拍手も嬉しいです。

またもや絶不調になってしまいましたorz 昨日から腹痛+ピーだよ。なんか熱っぽいし……。明日のイベントは這ってでも行きたいが、ピーだけはなぁ。今日は一日干して明日に備えよう。中身なければ出るもんないし……って汚い話でスミマセン(汗)

今日もssの更新はありませんが、玄関と拍手だけ入れ替えました。GW明けも更新ちょっとお休みするかもしれません。というのも、ちょっと纏めて「金剛石」を仕上げてしまいたいので。WEBに載せる部分を書き終えたら書き下ろしのカプ仕様を書いてそれを今年の五周年無料配布本にしようかと企て中。まだ判りませんけどねー。とりあえず頑張ってみる。
2011年05月03日(火)   No.44 (カプなし)

金剛石17
「三日前の点検の時には全く異常は見られなかったそうです」
「異常が見られなかっただと?見落としていただけじゃないのか?」
 執務室の椅子に行儀悪く斜めに腰掛けて、ロイは不機嫌そうに机に頬杖をつく。その目に苛立ちを滲ませて、ロイは机の前に立つホークアイに視線をやった。
「関係者全員にもう一度詳しく話をきいてくれ。テロの可能性も含めて徹底的に調べるように」
「判りました」
 頷いてホークアイは執務室から出ていこうとする。その背に向けてロイは思い出したように尋ねた。
「ハボックはどうした?」
「さあ……朝、席にいるのは見ましたけれど。探しに行かせましょうか?」
「……いや、今はいい」
 一瞬迷ったロイが首を振るのを見て、ホークアイはそのまま執務室を出ていく。扉がパタンと軽い音と共に閉まると、ロイはそっとため息をついた。
「また呪いだのなんだのとくだらんことを言う奴が出てくるんだろう」
 ホールの天井が突然崩れるという大事故は、幸いにも一人の死者も出さずに済んだ。大事故とはいえ世間的にはただの事故として認識されるであろうこれを、恐らくはまことしやかに噂する奴らが軍内部に現れるに違いなかった。
『あの事故はホープダイヤの呪いだ』
と。
「ハボック」
 そう名を口にすればあの時ホールの中で自分を見つめてきた蒼い瞳が思い出される。蒼い蒼い一対の宝石。
「ふざけるな、あれが呪いなんかなもんか」
 あの美しさを呪いだというなら、世の全ての美しいものは呪われていることになってしまう。ロイはくだらない噂を口にする奴らを許せないと思うと同時に、なによりその噂に囚われているのはハボック自身だと思った。
『オレを特務に戻してください』
『後悔する事になるっスよ』
 何度もそう繰り返したハボックの真意はどこにあるのだろう。
 ロイはなによりもそれを知りたいと思いながらそっと目を閉じた。

 ハボックは撃ち尽くした弾丸のマガジンを抜き出し新しいものを装填する。的に向けて構えると続けざまに的の中心を撃ち抜いた。
「…………」
 蒼く深い瞳でハボックは的を睨みつける。まるで的を撃ち抜いたのが銃の弾丸などではなくて彼の蒼い瞳から放たれた呪いであるかのように。
 ハボックは弾の切れた銃を暫くの間構えたままでいたが、不意に浮かんだ幻影を手にした銃で振り払う。浮かんだ幻影がステージに倒れるロイの幻と重なり、ハボックは蒼い瞳を片手で覆って唇を噛み締めた。
 ホールの天井が崩れ落ちた昨日の事故。だが、ハボックはそれが事故とは思えなかった。スピーチをする為に壇上にロイが立った途端、まるで狙ったように天井が崩れて落ちてきた。あの一瞬前、自分はどこを見ていた?
(オレが大佐に目を向けた途端、天井が落ちてきた)
 ここに落とせと己の視線が導いたようにロイめがけて落ちてきたとハボックは思う。かつてその身の上に同じように不幸を呼び寄せてしまった人の背中を思い起こして、ハボックはギュッと目を閉じた。
(だからオレを特務に戻せと言ったんだ)
 だが、これでもうロイも流石に目が覚めたろう。すぐにもハボックを特務へ戻す人事が行われるに違いないと、ハボックはどこか安心したように深いため息を零した。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手もありがとうございます。
気がつけば46万打を回っておりました。いつもながらありがとうございますv以前に比べれば随分とまったりなサイトになりましたが、ハボックへの愛は深まりこそすれまだまだ覚める気配はありません。またっと自分ペースでぼちぼちと進めていきたいと思っておりますので、これからもどうぞよろしくお付き合い下さいませ
2011年05月01日(日)   No.43 (カプなし)

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 OR AND
スペースで区切って複数指定可能
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  Photo by 空色地図

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