「おい、ハボック」 小隊の詰め所の扉を開けながらロイは求める相手の名前を呼ぶ。中に入ればそこには潜入服を身に纏い、ピッチリしたフードで髪と顔の半分を隠し、ご丁寧に色付きのゴーグルをつけた体格のいい男たちが十名ほど、演習の予定表を前に机を囲っていた。 詰め所の中に入ったロイはグルリと男たちを見回し、中の一人にスタスタと近づく。全く迷いもせずに側まで来ると、ロイは近づいた相手に言った。 「すまんが演習が終わったらすぐに車を出してくれ。それとな、お前、さっき出した書類、肝心なところが抜けてたぞ」 そう言うロイを話しかけられた男はじっと見下ろす。つけていたゴーグルを上に押し上げ、顔の半分を覆っていたフードを下げて顔を出したハボックは感心したように言った。 「よくこの中からオレが判ったっスね。みんな同じ格好してて、区別つかねぇっしょ?」 ハボックが言うとおり男たちは皆寸分違わぬ格好をしている。髪も出ておらずゴーグルは色付きで外からでは瞳の色も全く判らない中で、よく判ったものだとハボックが言えばロイが肩を竦めた。 「お前の体なら一目見れば判るからな。それじゃあ、車頼んだぞ。書類は机に置いておくから後で出し直せ」 何でもないように言って、ロイは「じゃあ」と片手を上げて詰め所を出ていく。そのすらりと伸びた背を無言のまま見送ったハボックに、部下の一人がポツリと言った。 「なんか今、スゴイ事聞いた気がするんですけど、隊長」 「隊長の体なら一目見れば判るって……」 「それ、すっげぇ意味深じゃないですか?」 「えっ?!」 部下たちに口々に言われてハボックは顔を赤らめる。 「一目見て判るほど隊長の体、知ってるって……」 「隊長って」 「スケベ」 そう言いながらジロジロと見られてハボックは赤らめ顔を益々赤くした。 「なっ、なんでそこでオレがスケベになるんだよッ!!」 「だって……なぁ?」 「だよなぁ」 「まったくだ」 「お前らなぁッ!!」 「どの辺りが俺たちと違うんですかね」 「やっぱこの辺じゃねぇ?」 「うひゃあッッ!!」 スルリと尻を撫でられてハボックは飛び上がる。 「お前らッ!!馬鹿な事言ってねぇで演習だっ、演習ッ!!」 一人真っ赤な顔で怒鳴るハボックに部下たちがニヤニヤと笑った。 「隊長、膨らんでますよ、前」 「えっ?!」 言われてギョッとして股間に目をやるハボックに部下たちがドッと笑う。 「やだなぁ、隊長。可愛いんだから」 「さ、演習いきましょ、演習」 ゲラゲラと笑いながら部下たちが出ていくと後にはハボックと副官の軍曹が残った。 「まあ、マスタング大佐には詰め所の出入りを禁止しておくんですな」 肩を竦めて副官は言って出ていってしまう。 「……チキショー、大佐の馬鹿……っ」 一人取り残されて、そうぼやくしかないハボックだった。
いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、嬉しいですv
ハガレンの九月のカレンダーを見るたび、座っているロイの後ろに立っているのは、顔見えないけど絶対中尉とハボックだよねッ、とそう思っているというだけの話。
以下、拍手お返事です。
摩依夢さま
ご了承ありがとうございますvでは、今度宝部屋の方へ納めさせて頂きますね。でも、私の話はホントしょうもない話なので……あんまり期待なさらないで下さいましー(汗)
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