カプなし

=ハボロイ  =ロイハボ
=カプ色あり  =カプなし

2011年12月23日(金)
暗獣39
2011年12月21日(水)
暗獣38
2011年12月19日(月)
暗獣37
2011年12月15日(木)
暗獣36
2011年12月14日(水)
暗獣35
2011年12月09日(金)
暗獣34
2011年12月05日(月)
予約受付中
2011年12月01日(木)
暗獣33
2011年11月30日(水)
暗獣32
2011年11月27日(日)


カテゴリー一覧
カプなし(303)
ハボロイ(32)
ロイハボ(101)
カプ色あり(61)
その他(16)

暗獣39
「ふむ。やっぱりこれしかないな」
 ロイはリビングのツリーを前に頷く。ツリーの下で宝箱の中身を並べているハボックを見下ろして、ロイは言った。
「ハボック、おいで。いいものを作ろう」
 呼ばれてハボックは不思議そうにロイを見る。ロイがキッチンへ行くのを見て、ハボックは急いで出したものを宝箱にしまうとロイを追ってキッチンへと向かった。
「ろーい?」
「お、来たか」
 パタパタと走ってきたハボックにシャツの袖を引かれてロイが言う。ロイは棚からハボックと一緒に作ったジンジャークッキーを取り出した。
「あのな、ハボック。ツリーの下の方、オーナメントがなくて淋しいだろう?」
 ロイがそう言えばハボックがじーっとロイを見る。その表情からハボックが言いたい事を察して、ロイは笑った。
「別にオーナメントを返せと言ってる訳じゃないから安心しろ」
 そう言うのを聞いて、ハボックがホッとしたような顔をする。そんなハボックにクスクスと笑ってロイは言った。
「それでな、オーナメントの代わりにこの間作ったジンジャークッキーを飾ろうと思うんだ」
 ロイはそう言って棚から出したクッキーをハボックに見せる。
「一応クッキーを作るときにリボンを通せるよう穴をあけておいたんだ。だから今日はアイシングで飾りをつけよう」
 ロイはボウルに粉砂糖を入れると水を少量垂らして椅子の上に乗ったハボックに渡した。
「ツヤが出るまでよく練ってくれ」
 そう言われてハボックはボウルを抱え込むようにして粉砂糖を練る。その間にロイはクッキーに通すためのリボンを取ってきた。
「ろーい」
「ん?出来たか?」
 ハボックが差し出したボウルの中をロイは覗き込む。粉砂糖に綺麗な銀のツヤが出来ているのを見て、ロイは「うん」と頷いた。
「いい具合だぞ、ハボック」
 そう言われてハボックが笑う。ロイはハボックが作ったアイシングを小さめのビニール袋に入れ、角をちょっとだけ切り落とすと皿の端に試しに絞り出してみた。
「うん、固さも丁度いいみたいだ。いいか?ハボック」
 ロイはアイシングの袋を手にハボックを見る。真剣な表情で見つめてくるハボックの前で、ロイはアイシングを絞り出してクッキーの頭部に目と口を描いた。
「こうやって顔を描くんだ。それからこうやると……服のボタンみたいだろう?」
 言いながら胴体部分にポツポツと三粒ほど落とせば、服の丸いボタンのように見えた。
「ほら、お前もやってみろ」
 ロイはアイシングの袋をハボックに差し出して言う。小さな手で袋を受け取ったハボックは、クッキーの上に絞り口を翳してロイを見た。
「ろーい」
「大丈夫、多少失敗してもいいからやってみろ」
 心配そうに言うハボックを励ますようにロイが頷く。ハボックはクッキーの顔の上で絞り袋を握る手にギュッと力を込めた。すると先端から絞り出たアイシングが大きな丸い粒になる。ロイが試し描きしたものよりだいぶ大きいそれを目を見開いて見つめたハボックは、泣きそうな顔でロイを見た。
「ろーい〜〜ッ」
「大丈夫、大丈夫。もう一つ同じくらいの大きさで絞り出してごらん」
 ロイは宥めるように言って続けるように促す。ハボックは口をへの字にしながらもクッキーの顔にもう一粒アイシングを絞り出した。
「ほら、目がパッチリの男の子になったぞ」
 ロイの言うとおり見本のジンジャーマンより目が大きいものの、これはこれで可愛らしい。ホッとしたように笑うとハボックは目の下に口を描いた。
「うまいぞ、ハボック。その調子だ」
 わしわしと金色の頭をかき混ぜられてハボックが嬉しそうに笑う。次々と少しずつ違う顔をクッキーに描き込めば、表情を得たジンジャーマン達が楽しそうにハボックを見返した。
「ろーい」
「ふふ、色んなジンジャーマンが出来たな」
 顔を輝かせて見上げてくるハボックにロイが言う。一通り顔を描いたところで、ロイは用意したリボンを取り上げた。
「よし、そうしたら今度はこのリボンを適当な長さに切って穴に通すんだ」
 そう言うとロイは長さの見当をつけてリボンを切る。それをクッキーの穴に通し輪になるよう端を結んだ。
「ほら、こんな感じ」
 ロイがやることをじっと見ていたハボックは、ロイから受け取ったはさみでリボンを切る。それを穴に通して端を結んだハボックは目をきらきらさせて出来上がったジンジャーマンのクッキーを高く翳した。
「ろーい!」
「ほら、どんどん作るぞ。これ全部ツリーに飾るんだからな」
 そう言われてハボックは頷いてリボンを切る。二人して次々とリボンをクッキーに通し、ツリーに飾れるように仕上げた。
「さあ、ハボック。次はツリーだ」
 ロイの言葉にハボックはピョンと椅子から飛び降りる。クッキーを載せたトレイを持つロイにじゃれるようにしながらリビングに行くと、ハボックは待ちきれないというようにリボンに手を伸ばした。ハボックがオーナメントを取ってしまって淋しくなったツリーの枝に、二人はジンジャーマンをくくりつける。少しするとツリーは大勢のジンジャーマンで賑やかになった。
「ろーい」
「うん、いい出来だ」
 ロイの言葉にハボックはピョンピョンと飛び跳ねる。嬉しそうにツリーの周りを駆け回るハボックにロイが言った。
「ハボック、おいで」
 呼ばれてハボックは駆け回るのをやめてロイのところにやってくる。小首を傾げて見上げてくるハボックに、ロイはトレイに一個だけ残してあったジンジャーマンを差し出した。
「これはお前のだ、ハボック。宝箱に入れておけ」
 言われてハボックは空色の目を見開く。受け取ったジンジャーマンとロイとを嬉しそうに交互に見つめた。
「ろーい」
 礼を言うようにハボックはロイの手に柔らかい頬をすり寄せる。そんなハボックの頭を撫でて、ロイはにっこりと笑った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、嬉しいです、励みになってますv

「暗獣」ばっかり続いてすみません(汗)もともとジンジャーマンで書きたかったのはこっちだったのですが、レシピが食べる為のものだったので前の二作を書きましたところ、Мさんからやっぱり妄想つつかれまして(苦笑)そんなわけでしつこくジンジャークッキーネタです。

以下、22日拍手お返事です。

クッキーの香りが の方

わあ、ありがとうございます!ハボックが作ったと思うと一層美味しそうな気がしますよね(笑)香りだけでも是非味わっていただければv
2011年12月23日(金)   No.141 (カプなし)

暗獣38
 家に入った途端、ヒューズは真っ直ぐにキッチンに向かう。ガサガサと手にした袋からヒューズが材料を取り出すのを見ながらロイが言った。
「お前、わざわざ材料までもってきたのか?」
「お前んちにベーキングパウダーやらジンジャーパウダーやらがあるとは思えんからな」
 確かにヒューズが言うとおりそういったものの類はロイの家にはない。たとえ使うのが小さじに一杯としても必要と言われれば一瓶買うしかなく、繰り返し作る気のないロイには残りを無駄にすること請け合いだった。
「よし、じゃあまず分量を量るぞ」
 洗った手を拭きながらヒューズが言う。ヒューズはワクワクとした顔で見上げてくるハボックに笑いかけて言った。
「ハボックちゃん、粉と黒糖を計ってくれるかい?ロイ、秤あるか、秤」
「実験に使うんでよければな」
 ロイはそう言いながらキッチンから出ると小さな秤を持ってくる。ロイがキッチンのカウンターに置いたそれを見て、ヒューズは眉を顰めた。
「ヘンなもんくっついてないだろうな」
「ヘンなもんってなんだ、ヘンなもんって」
「だって薬計ったりするんだろう、これ?」
 心配そうに言うヒューズをロイは睨む。
「煩い、うちにある秤はこれだけだ。文句があるならセントラルから持ってこい」
「仕方ねぇなぁ」
 ヒューズは渋々ながら言うとシンクの下の戸棚からボウルを取り出した。
「薄力粉が140、黒糖が100だよ」
「ろーい」
 ヒューズに袋を渡されたハボックが助けを求めるようにロイを呼ぶ。ロイはダイニングから椅子を持ってくるとそれにハボックを立たせ、小さな手に己の手を添えるようにして袋の薄力粉をボウルに出した。
「この目盛りまでだ、ハボック」
 微妙に量を調整しながらロイが言う。真剣な表情で目盛りを見つめていたハボックは、ぴったり140のところで袋から粉を振り出すのを止めた。その後も蜂蜜やバターを計って必要な材料を揃える。そうすればヒューズがハボックに言った。
「ハボックちゃん、粉とベーキングパウダーと黒糖は合わせて振るわなければならないんだ。それをお願い出来るかな?」
 そう尋ねられてハボックが真剣な表情で頷く。それに頷き返してヒューズはロイに言った。
「ロイ、粉ふるい」
「そんなもんあるか」
「えっ、ないの?」
 普段、わざわざ粉をふるうような料理などするわけない。ロイの答えにヒューズはやれやれとため息をついて言った。
「仕方ねぇなぁ、じゃあザルでいいや。ザルならあるだろ?」
 言われてロイが出したザルにヒューズが計った薄力粉とベーキングパウダー、黒糖を入れる。ザルを持ち上げ左右に細かく振れば、さらさらとふるいにかけられた粉が落ちた。
「こうやるんだよ、ハボックちゃん」
 ヒューズはそう言いながらハボックにザルを渡す。ハボックは受け取ったザルを両手で持って左右に大きく振った。
「ハボック、もう少し優しく振ってみろ」
 カウンターに敷いた紙から粉が零れてしまうのを見てロイが言う。言われて小さく優しく振れば、粉は紙の上に降り積もった。
「ろーい」
「うん、上手い上手い」
 これでいいかと言うように見上げてくるハボックの頭をロイはぽんぽんと叩く。そうすればハボックは嬉しそうに笑って、粉をふるった。
「じゃあ次。バターと蜂蜜を混ぜてよく練り合わせたら、卵とジンジャーパウダーを入れて混ぜる」
 言われたとおりボウルにバターと蜂蜜を入れてハボックはへらでかき混ぜようとするが上手くいかない。見かねてロイがハボックを背後から抱き込むようにして手を添えかき混ぜるのを手伝ってやった。
「粉を入れて混ぜたら生地を休ませるからね」
 二人がかりで混ぜているボウルの中にヒューズが粉を振り入れながら言う。出来た生地をビニール袋に入れて平らにし、冷蔵庫に入れた。
「どれくらいだ?」
「一時間だって」
「じゃあコーヒーくらい飲めるな」
 ロイはそう言うと二人分のコーヒーを入れ、ヒューズと一緒にダイニングの椅子に腰を下ろす。冷蔵庫の前にじっと立っているハボックを見て、ロイは笑いながら言った。
「ハボック、そんなところで待ってないでこっちにおいで」
 だが、ハボックはチラリとロイを見たもののその場から動こうとしない。冷蔵庫の扉をじっと見つめて待っているハボックの姿にロイとヒューズは顔を見合わせてクスクスと笑った。
 最後の10分は待ちきれないハボックが何度も冷蔵庫を開けては覗くを繰り返す。それを見たヒューズが“もういいだろう”と五分早く切り上げて生地を冷蔵庫から出した。
「ロイ、お前こういうもの、持ってないだろう」
「クッキー型か、盲点だったな」
 ヒューズが自慢げに言うのにロイが小さく唸る。ヒューズは男の子の形をしたクッキー型を取り上げるとハボックに見せた。
「ハボックちゃん、これで人形の形にクッキーを抜くんだよ」
 ヒューズはそう言って型を生地に押しつけて男の子の形に抜く。
「ほら、こんな感じ」
 ひと形にくり貫いた生地をヒューズが見せればハボックが目を見開いた。ヒューズから型を受け取ったハボックは、全体重をかけるようにして生地から人形を抜き取った。
「ロイ、オーブン温めておいてくれよ」
「どうやって温めるんだったかな、久しぶりすぎて忘れたぞ」
「おい」
 オーブンの前で腕組みしているロイにヒューズが顔を顰める。二人して古いオーブンの予熱を何とかセットしていると、椅子の上からハボックの声がした。
「ろーいー」
「なんだ?ハボック」
 呼ばれてハボックのところへいけば、いくつも型を抜き取った生地は穴だらけでもう抜く場所がない。泣きそうな顔をして見つめられて、ロイは困ったように首を傾げた。
「どうすりゃいいんだ、もう抜く場所がないぞ。小さい型を使ったらいいんじゃないのか?」
 そう言うロイの声を聞いて、ヒューズが呆れたような顔をする。
「もう一度生地をまとめて伸ばせばいいだろう?」
 ヒューズはそう言って穴だらけの生地をまとめてもう一度綺麗に伸ばした。
「ほら、ハボックちゃん、これでまた抜けるよ」
 そう言うヒューズをハボックが尊敬の眼差しで見つめれば、ヒューズが自慢げな顔でロイを見た。
「ふふふ、これでまたポイントが上がったな」
「フン、言ってろ」
 ニヤニヤと笑うヒューズをロイが悔しそうに睨む。何度か生地を伸ばし直して型抜きし、最後に型で抜けない分はナイフで適当に切って、三人はクッキーをオーブン皿に並べた。
「よし、後は15分焼けば出来上がりだ」
 バンッとオーブンの扉を閉めてヒューズが言う。慣れない作業にやれやれと椅子に腰を下ろしたロイとヒューズに対して、ハボックはオーブンの前に立って焼きあがるのを待った。そうして。
 15分後、チーンという音がキッチンに響き渡る。鍋掴みを手にはめてオーブン皿を引っ張り出すロイに、ハボックが尻尾を振りながらまとわりついた。
「ハボック、あんまりくっつくと危ないぞ」
「ろーいー」
「待て待て、今見せてやるから」
 ぴょんぴょんと飛び跳ねてオーブン皿を覗こうとするハボックにロイが笑って言う。焼き上がったクッキーを皿に移して、ロイはハボックに差し出した。
「ほら、どうだ?ハボック」
 そう言ってロイが差し出した皿にはこんがりと色よく焼けたクッキーが並んでいる。そっと手を伸ばして触れた熱さに一瞬手を引っ込めて、もう一度手を伸ばしたハボックが小さな手で焼き上がったクッキーを取った。
「……ろーい」
「うん」
「ろーい!」
「上手に焼けたな」
 パアッと顔を輝かせてハボックはロイとクッキーを交互に見る。ヒューズが摘んだクッキーを口に放り込んで言った。
「うん、すっごく旨い。ハボックちゃん、バッチリだよ」
 そう言って眼鏡の奥の瞳がウィンクすれば、ハボックは嬉しそうに笑って手にしたクッキーをロイに差し出した。
「くれるのか」
 ハボックの犬耳が頷くように動くのを見て、ロイはクッキーを受け取り口に放り込む。クッキーはサクサクと口当たりがよくショウガのよい香りが仄かにした。
「本当だ、とっても旨い。こんなに旨いクッキーを食べたのは生まれて初めてだよ、ハボック」
 そう言って笑うロイに。
「ろーい」
 ハボックが笑ってギュッと抱きついた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます、嬉しいですv

「暗獣」です。ジンジャークッキー作りの続き。どうしてこうなんでもない話なのにやたらと長いんだか(苦)まあ、男二人で可愛い子供とクッキー作りな話ってことで。
2011年12月21日(水)   No.140 (カプなし)

暗獣37
「なんだ?ハボック」
 ソファーで読書をしていたロイは、本を持つ手にしがみつくようにして覗き込んでくるハボックに尋ねる。その空色の視線が見つめる先を見たロイは、クッキーの広告を指差して言った。
「これか?」
 そう聞けばハボックの犬耳がピクピクと動く。ロイが広げているのはいつも読んでいるような小難しい本とは違い珍しくもこのあたりのタウン誌で、シーズン商品の宣伝でジンジャークッキーの広告が載っているのだった。
「ろーい」
 ハボックが顔を覗き込むようにしてロイを呼ぶ。ロイがそのページを破って渡してやればハボックは嬉しそうに笑って受け取った。
「ジンジャークッキーか」
 そう呟けばもう忘れかけていた幼い時の記憶が蘇る。クリスマスと言えば母がジンジャークッキーとクリスマスケーキを焼いてくれるのが常だった。
「作ったら喜ぶんだろうな」
 ハボック自身クッキーを食べる事はないが作るだけでもきっと大喜びするだろう。ロイは膝の上に上がってクッキーの写真を見ているハボックの耳が、ピクピクと楽しそうに動いているのを見つめた。
「とは言え作り方が判らんぞ」
 母がクッキーを作るのを側で見ていた覚えはある。もしかしたら型抜きくらいは手伝ったかもしれない。だが、残念ながらそれ以外の記憶は全くなかった。
「うーん」
 頭上で唸るロイにハボックが振り向いてロイを見る。その綺麗な空色が喜びに輝くのを見たいという気持ちが湧き上がって、ロイは「よし」と頷いた。
「ちょっと待っていろ、ハボック」
 ロイはそう言って膝の上からハボックを下ろす。ソファーから立ち上がったロイはリビングの隅にある電話を取り空で番号を回した。
『はい』
 少しして聞き慣れた声が受話器から聞こえる。ロイはメモを引き寄せペンを手に取って言った。
「ヒューズ?私だ。グレイシアはいるか?」
『グレイシアへの用は俺に言え』
 途端に険しい声が返ってきたが、ロイは全く気にせず言う。
「お前に用はない。グレイシアと代われ」
『なんだとッ、お前、俺の大事な妻に妙な気を起こしているんじゃなかろうな?!』
「あのな」
 ギャアギャアと騒ぎ出すヒューズにロイはげんなりとため息をつく。煩い!と怒鳴ってヒューズを黙らせると、一瞬口を噤んだヒューズが再び騒ぎ出す前に言った。
「ハボックとジンジャークッキーを造りたいんだ。材料と作り方を聞きたくてな。だからグレイシアと代わってくれ」
「駄目だ」
「ヒューズ、お前な」
 ちゃんと理由を言ったにもかかわらず代わろうとしない男にロイが目を吊り上げる。ロイの纏う空気が変わったのに気づいたハボックが、ソファーの上から心配そうに見ている事に気づいてロイが何でもないと笑みを浮かべて手を振った時、ヒューズの声が聞こえた。
「生憎グレイシアは出かけてるんだ。だから無理」
「なんだ、それならそうと最初から言え」
 またくだらないヤキモチで言っているのかと思えば真っ当な理由に、ロイは帰ったら連絡をくれるよう言って電話を切った。

 その夜。
「どうしてお前がここにいるんだ」
 チャイムの音に玄関をあければ満面の笑みを浮かべて立っている髭面に、ロイは思い切り顔を顰める。そうすればヒューズがうきうきと楽しそうに言った。
「決まってるだろう、ハボックちゃんにジンジャークッキーの作り方を教えに来たんじゃないか」
「私はグレイシアに電話で作り方を教えてくれと言ったはずだが」
 いつまでたっても連絡がないのをおかしいと思っていれば、突然現れた友人にロイは不機嫌に言う。だが、ヒューズはそんなロイの様子など全く気にせず中に向かって声をかけた。
「ハボックちゃん、マースくんですよぅ!一緒にジンジャークッキー作りにきたよ!」
 マースは言いながら手にした紙袋を掲げてみせる。ヒューズが持ってくる袋にはいつも楽しいものが入っていると知っているハボックは、期待に顔を輝かせてパタパタと駆け寄ってきた。
「ほら、ハボックちゃんだって期待してんだろ。さっさと中に入れろ」
「ハボック」
 勝ち誇った様子のヒューズにロイはため息混じりにハボックを見る。だが、キラキラとした目で見返されれば、元々ハボックにクッキーを作らせてやりたいと思っていただけに反対する事も出来なかった。


いつも遊びにきてくださってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

「暗獣」です。どこまで書いても終わらないので途中でぶった切りました。だって日記の長さじゃないんだもん(苦笑)眠くてポメラ抱えて寝ちゃうので、続きはまた明日書きます〜。

以下、拍手お返事です。

ミサさま

いつも遊びに来て下さってありがとうございますv「初回衝撃」は13日にpearlに第一話をアップしておりますが、如何でしょうか〜(笑)ふふふ、ミサさまは大佐ファンのロイハボ派なのですね。純度100%のロイハボ、了解致しました。また何かリクエストありましたら連載途中でも構いませんのでお知らせ下さい。反映出来るかお約束はできませんが、できるだけご希望に添えればと思っております。年明け連載開始予定の拍手リクは「ブラハボから始まるロイハボ」でおそらくは限りなくオリキャラに近い大総統×ハボックから入って行くことになると思いますが、よろしければお付き合い頂けたら嬉しいですv
2011年12月19日(月)   No.139 (カプなし)

暗獣36
 一緒にツリーを飾ってからというもの、キラキラと色とりどりに輝くツリーを眺めるというのがハボックの日課になっていた。たくさんのオーナメントが飾り付けられたツリーをうっとりとした顔で飽きることなく見上げていたハボックだったのだが。

「また減ってる」
 リビングに入ってきたロイはツリーを見てため息をつく。ハボックと一緒にたくさんのオーナメントを飾ったツリーは、その下の方の飾りが少しずつ減ってきていた。
「まったくもう」
 ロイはやれやれと肩を落とすとリビングを出て二階に上がる。部屋の扉を開ければ部屋の隅で宝物を入れている小さな箱を開けているハボックの背中が見えた。
「ハボック」
 近づきながら声をかければハボックが振り向く。ハボックの側までやってきたロイは、ハボックが弄っている宝箱の中を見て眉を下げた。
「ハボック、気に入ってくれたのは嬉しいが、オーナメントは飾って楽しむものだぞ」
 ロイはそう言って宝箱の中から赤いガラスの玉を摘み上げる。そうすればハボックが慌てて手を伸ばしてきた。
「ろーいー」
 ハボックはロイの手からオーナメントのガラス玉を奪い返すと宝箱の中に大事そうにしまう。よく見れば宝箱の中にはツリーに飾ってあった筈の金色のベルやらしましまのステッキやらがしまってあるのだった。
「ハボック」
 窘めるようにロイはハボックを呼んだが、ハボックは宝箱の蓋を閉めると小さな手でしっかりと蓋を押さえる。つーんと顔をそっぽに向けて絶対返さないという態度のハボックに、ロイはやれやれとため息をついた。
「まあ、気に入ってくれたと思うしかないか」
 もともとハボックを喜ばせるために用意したツリーだ。どんな形であれハボックが気に入ってくれているなら良しとするしかないのかもしれない。それに綺麗なものが好きなハボックならいずれこうなることは判っていた筈だ。ロイはとりあえずそう考えるしかないかと自分を納得させることにした。

 その夜。
 一度ベッドに入ったあと喉の乾きで目を覚ましたロイは、悩んだものの仕方なしに起きあがると水を飲みにベッドから降りる。寒さに身を縮こまらせて階段を下りかけたロイは、リビングの方からした気配に眉を顰めた。
(なんだ?誰かいるのか?)
 戸締まりはしっかりしたし、古い屋敷は泥棒の目を引くものでもない筈だ。足音を忍ばせてリビングの扉に近づいたロイは、そっと扉を開けてその隙間から中を伺った。そうすれば。
 大きなツリーのてっぺんにふさふさの尻尾が見える。ガサガサと枝に足をかけたハボックが輝く星に手を伸ばそうとしているのが見えて、ロイは大きく目を見開いた。
「ハボック!なにしてるんだっ?」
 思わず大声を上げれば、驚いたハボックが枝を踏み外した。
「ハボック!」
 ザザザとツリーの枝をこすってハボックが床に落ちる。慌てて駆け寄れば仰向けに倒れたハボックがロイを見上げた。
「ろーいー」
 呼んで手を伸ばしてくるハボックをロイは抱き上げる。軽い体が幸いして怪我こそしなかったものの、落ちてビックリしたのだろう、ハボックはロイに(ひし)としがみついてきた。
「ろーいーー」
「まったくお前は」
 しがみついてくる背をポンポンと叩いてロイはため息をつく。体を少し離してロイは空色の瞳を覗き込んだ。
「星が欲しかったのか」
 綺麗なものが好きなハボックから見たら、ロイと一緒に飾ったあの星は最高の宝物なのだろう。ツリーのてっぺんを飾る星を見て、ロイは言った。
「だが、あれまで取ってしまったら流石にツリーとしてどうかと思うぞ」
 そう言えばハボックがショボンと項垂れる。そんなハボックを見てうーんと唸ったロイは、思いついた考えにハボックを下ろして棚に近づいた。抽斗をあけて金色のリボンを取り出す。それは以前買ったクッキーについていたもので、なんとはなしにとっておいたものだった。
「こんなところで役に立つとはな」
 ロイはそう言ってツリーの星を外して代わりにリボンを飾り付ける。外した星をロイがする事を見ていたハボックに差し出した。
「ほら、ハボック。だがもうこれで最後だぞ、いいな?」
 その言葉に頷いてハボックは星を受け取る。キュッと大事そうに抱き締めてロイを見上げた。
「ろーい」
「いいさ、お前が喜んでくれるならそれで」
 ロイはそう言ってハボックの頭を撫でる。
 それからというもの、ツリーの下でハボックは宝箱からオーナメントを出しては並べて眺めるのが、ロイはそんなハボックの隣に運び込んだクッションに寝ころんで本を読むのが、冬の間の日課になったのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手嬉しいですー、頑張れますv

「暗獣」です。昨日の続き?ツリーを飾らせたのはいいけれど、綺麗なもの、可愛いもの好きのハボックなら絶対オーナメント欲しくなるよねぇと思ったもので(苦笑)

以下、拍手お返事です。

最近ハガレン熱が再燃し の方

わーい、ハボロイ同志が増えて嬉しいですvvやたら数ばかりあるサイトですが、ひとつでもお気に召した話があれば幸いです。拍手リク再開の暁には是非リクしてやって下さいvこれからもどうぞお付き合いのほど、お願い致しますv
2011年12月15日(木)   No.138 (カプなし)

暗獣35
「そうか、もうそんな季節なんだ」
 古書店からの帰り道、ロイは通りに並ぶ店先を見て呟く。12月に入って店の店頭や内装にはそれぞれに趣向を凝らしたクリスマスの飾り付けがなされていた。ふと通りに植えられた木々を見ればイルミネーションの小さな電球が幾つもいくつもついている。夜ともなれば一斉に点された電球がきっと幻想的で美しい風景を作り出すのだろう。
「ハボックが外に出られるなら見せてやれるのに」
 ロイはこんな時ハボックが外に出られないのを残念に思う。綺麗なもの可愛いものが大好きなハボックが見たら絶対に喜ぶだろうと思うものがあっても、見せてやることは出来ないからだ。
「写真に撮ったところでなぁ」
 実際に見なければこの心がウキウキとする楽しさは伝わらない。がっかりとため息をついたロイは、通りに出ている露店に気づいて足を止める。この時期限定で出ている露店の店先に並ぶものを見て、ロイは笑みを浮かべた。
「そうか、この手があった」
 ロイはそう呟くと露店に近づいていく。幾つもあるものの中から気に入ったものを選ぶと、超特急で配達してくれるよう頼んで雑貨屋に向かった。そうしてクリスマスカラー一色の店内で目当てのものを買うと、ハボックが待つ家に急いで帰った。

「ハボック」
 家の扉を開けるなりロイは中に向かって呼びかける。そうすればハボックがリビングの扉からひょっこりと顔を出した。
「ろーい」
 一人留守番をしていたハボックは、ロイの姿を見ると嬉しそうに笑って駆けてくる。ぱふんとぶつかるようにしがみついてきたハボックの金髪をわしわしと掻き混ぜてロイは言った。
「今日はいいものを買ってきたんだ」
 ロイがそう言うのを聞いてハボックが期待に目を輝かせる。ハボックを連れてリビングに入るとロイはテーブルの側に膝をついた。
「おいで」
 そう言ってロイはつい今し方雑貨店で買い求めたものをテーブルに広げようする。すると丁度その時、玄関のベルが鳴り響いた。
「お、本当に超特急で来たな」
  品物の金額に上乗せして金を払っただけあっての配達の速さに、ロイは満足そうに言って立ち上がる。ベルに答えるため出ていくロイにくっついて玄関まで行ったハボックは、配達員の男が抱えているものを見て空色の瞳を見開いた。
「急かして悪かったな」
「いいえぇ、こんな可愛いお子さんがいたら早く見せてやりたいですよね」
 男はそう言ってハボックを見る。
「よかったなぁ、こんな立派なの買って貰えて」
 そう言う男が運んできたのはロイの背丈ほどもある大きなツリーだった。
「すまんが中まで運んでくれるか?」
「いいですよ、どちらです?」
「こっちだ」
 ロイに案内されて男はリビングへとツリーを運び込む。一緒に持ってきた大きな鉢に慣れた手つきでツリーを植え込むと、まん丸に目を見開いているハボックの頭をポンポンと叩いて帰っていった。
「どうだ?いいツリーだろう?クリスマスだからな、買ってきたんだ」
 ロイが通りで見つけたのはこの時期限定でツリーを売っている露店だった。外にクリスマス一色の街を見に行けなくても、これならハボックも楽しめると思ったのだ。
「ほら、オーナメントもいっぱい買ってきたぞ。一緒に飾ろう」
 ロイはそう言ってさっき出しかけたオーナメントを机の上に広げる。金色のベルや小さな靴下、しましまのステッキに可愛いリボンがついたプレゼントの箱。色とりどりのオーナメントにハボックは空色の目を見開いて顔を輝かせた。
「ろーい!」
 嬉しくて嬉しくて堪らないというようにハボックはオーナメントを手にリビングをスキップする。赤いガラスの玉を灯りに翳して見るハボックにロイは笑いながら言った。
「ほら、ツリーに飾るぞ」
 そう言えばハボックがオーナメントを手に駆け寄ってくる。ツリーの下の方をハボックが、上の方をロイが担当して次々と飾り付けていった。
「よし、最後はこの星だ」
 ロイは言ってハボックに金色に輝く星を渡す。目をキラキラさせてそれを受け取ったハボックをロイは抱え上げた。
「ツリーのてっぺんにつけてくれ、ハボック」
 そう言ってロイはハボックが星をつけやすいように支えてやる。ハボックは手を伸ばしてツリーの一番上に大きな星を飾り付けた。
「よし、完成だ」
 ロイはハボックを抱いたままツリーから少し離れる。そうして全体のバランスを見て満足げに笑った。
「いい出来だ。どうだ、ハボック、綺麗だろう?」
 ロイの言うとおり緑の葉陰にたくさんの色とりどりのオーナメントを飾ったツリーは賑やかで可愛くてとても綺麗だった。
「ろーいー」
 ロイの腕の中で背伸びするようにツリーを見ていたハボックがキュッとロイの首にしがみつく。金色の尻尾をふさふさと振ったハボックにチュッと頬にキスされて、ロイは嬉しそうに笑ったのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございますv拍手、とっても励みになります、嬉しいですv

「暗獣」です。ハボックとクリスマス!冬ネタは絶対コレだと思っておりました(笑)何を書くかまでは具体的に考えてなかったのですが、書き始めたら色々書きたくなってきました。というわけでもう少しクリスマスネタが続きます〜(笑)
2011年12月14日(水)   No.137 (カプなし)

暗獣34
「朝か……」
 けたたましく鳴り響く目覚まし時計をブランケットの中に引きずり込んでロイは呟く。もぞもぞと起き上がりかけたロイは、逃げていく温もりを惜しんでブランケットを体に巻き付けた。
「寒い……起きるなと言ってるのと同じだな」
 冬の朝、鎧戸をおろした薄暗い部屋の中で勝手な事を呟けば起きるのが億劫になってくる。それでも今日は古書店に頼んでいた本を取りにいく約束をしているのを思い出して、ロイは名残惜しそうにブランケットから抜け出した。
「うう、寒いっ」
 夜の間に暖めた空気が逃げ去って、だいぶ冷え込んだ部屋の中、ロイはブルリと震える。急いで服を着替えるとやれやれと一息ついて窓に近づいた。
「ハボック、窓を開けるぞ───ハボック?」
 いつものように声をかけたロイはハボックの寝床になっているビロード張りのトランクに向けた目を大きく見開いた。
「いない……どこに行ったんだ?」
 ロイは決して早起きではないし、夜遅くまで本を読んでいたりすれば益々起きるのは遅くなる。それでも大抵ハボックはそんなロイに合わせて寝ているのが常だった。
 ハボックがいないのなら遠慮する事はないと、ロイは鎧戸をガラリと開く。そうしてふと見下ろせば、ハボックが庭を歩いているのが目に入った。
「ハボック」
 そんなところにいたのかと、ロイは二階の窓からハボックに声をかける。だが、ハボックはチラリとロイを見上げただけでそのまま歩いていってしまった。
「なんなんだ?」
 何となく面白くなくてロイは眉を顰める。窓を閉めると急いで階下に降り、上着を羽織って庭に出た。
「ハボック」
 呼びながらロイはハボックが消えた方に向かって歩く。家の周りを回るようにして行けば、小さな池の側にしゃがみ込むハボックの後ろ姿が見えた。
「ハボック、なにをしてるんだ?」
 近づきながら声をかければハボックが肩越しにロイを見上げる。ロイはハボックが木の枝でつついている池の表面が薄く凍っていることに気づいた。
「凍っているのか?もうそんなに寒いんだな」
 寒い寒いと思ってはいたが、薄いとはいえ池に氷が張っているのを見れば益々寒く感じる。ツンツンと氷をつつくハボックにつき合って暫くの間一緒にしゃがみ込んでいたロイだったが、足下から上ってくる冷気にブルリと身を震わせて立ち上がった。
「寒い。もう戻ろう、ハボック」
 ロイは言ったがハボックは立ち上がる気配がない。仕方なく先に戻るぞと言いおいて家に戻ろうと歩きだしたロイは、ふと振り返って目を見開いた。
「ハボックっ?」
 見れば立ち上がったハボックが氷の上に足をおろそうとしている。氷が張ったとはいえまだそれはごく薄く、乗ればたちまち割れてしまうと思えた。
「やめろっ、危ないぞッ」
 ロイは叫んで駆け戻る。だが、ロイが止める前にハボックは氷の上に乗ってしまった。
「危な───」
 割れる、と身を竦ませたロイの目の前で、だがハボックの体はスーッと氷の上を滑っていった。
「え?……あ」
 スーッと何事もないように氷の上を滑るハボックに、ロイは目を見開く。それから漸く合点がいったというように作った拳でもう一方の手のひらを叩いた。
「そうか、お前、元は毛糸玉だったな」
 小さな子供の見た目に反して、その体は驚くほど軽い。そのことをすっかり失念していた事に気づいてロイはやれやれと池の側に腰を下ろした。
「まったく、びっくりさせるな」
 ため息をつくロイの前でハボックはスーイスイと氷の上を滑る。ロイの方を見るとにっこりと笑って手を伸ばした。
「ろーい」
「私は無理だよ、ハボック」
 毛糸玉のハボックと違ってロイは人間の大人だ。足を乗せただけで薄い氷はたちまち割れてしまうだろう。
「ろーい?」
「お前と違って私は重いからな。氷が割れてしまうんだ」
 そう説明すればハボックが寂しそうな顔をする。ロイは笑みを浮かべてハボックの金髪をわしわしと掻き混ぜた。
「私は乗れないから、その分お前が滑って見せてくれ。な?ハボック」
 ロイが言えばハボックが目を輝かせて池の上を滑り出す。スーイスーイと身軽に滑る姿にロイは手を叩いて喝采を送った。
「上手いぞ、ハボック!」
 そう言った途端、ハボックがステンと転ぶ。尻をついたままくるくると回るハボックにロイが笑い声を上げた。
「ろーいー」
 そのまま少し滑ったハボックがロイのところに戻ってくる。手を伸ばしてくるその体を抱き上げれば、尻尾とお尻が濡れて冷たくなっていた。
「戻ろうか、ハボック」
 そう言うロイの首にハボックがキュッとしがみついてくる。ハボックを抱いたまま家に戻ったロイは濡れた尻尾をよく拭いてズボンを変えてやった。もう一度外に行こうとするハボックを引き留めてロイは朝食をすませる。ロイがコーヒーを飲み終えるか終えないうちに、ハボックはロイの腕をグイグイと引っ張って外へと促した。
「陽は上ってきたがまだ寒いぞ」
 もう一度外に出るのが億劫でロイは言ったが強請るように見つめられれば嫌とも言えない。走っていくハボックの後についてゆっくりと庭を歩いていったロイは、池の側に立つハボックを見て言った。
「どうした?滑らないのか」
「ろーいー」
 ロイの言葉にハボックが泣きそうな声で言ってしがみついてくる。どうしたのかと池を見たロイは、さっきまで張っていた氷が溶けてしまっているのに気づいた。
「ろーい」
「気温が上がってきたからな」
 ロイはしがみついてくるハボックを抱き上げて言う。口をへの字にしているハボックに笑みを浮かべて続けた。
「明日になったらまた凍るさ。まだまだこれからどんどん寒くなるから、好きなだけ滑れるよ、ハボック」
「ろーい」
「判った、ちゃんと早起きしてつき合うから」
 そう言えば嬉しそうに笑って抱きついてくる小さな体をロイは抱き返す。そうして家に戻るとハボックと一緒に明日のためにマフラーと手袋を用意したのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます、嬉しいですv

どうも最近頭がゲームになってまして(苦笑)拍手の続きを書いてみたり。どうも気に入ったゲームがあると思考がググーッとそっちに向くので困りもの。FF13の時もそうだったしなー。ちょっと思考を引き戻さなくっちゃ!

と言うわけで、思考を引っ張り戻して「暗獣」です。やっと冬ネタに入れて嬉しいけれど、いい気になって書くとネタ切れするので少しずつ(笑)ハボックなら庭の小さな池でもスケートオッケーっス(笑)

以下、拍手お返事です。

阿修羅さま

おお、「お値段決めったー」やって頂けましたか!って、それ、0多すぎて判りませんよ!凄い(笑)それでまたご本名が(笑)結構これ、笑えますよね、楽しんで頂けたようで嬉しいですvお風邪ですか?今流行ってますね、かく言う私も咳がとれません(苦笑)阿修羅さまも大事になさって早く治して下さいね。

パナケイア脱稿おめでとうございます の方

こちらこそ最後までお付き合い頂いてありがとうございます!やたらと長い話になってしまいましたが、お楽しみ頂けて嬉しいです。最後にぽかりと浮かんだラストは空を見ていたロイがハボックを引き寄せてチュウするシーンだったので、そんな風に言って頂けて本当に嬉しいですーvありがとうございますvv
2011年12月09日(金)   No.135 (カプなし)

予約受付中
 司令室に向かって廊下を歩いていたロイは、足下にひらりと舞い落ちた紙に気づいて足を止める。何気なく拾って紙面を見たロイは驚愕に目を見開いた。
「なんだ、これわッッ!!」
 ロイがそう叫んで睨みつけた紙面には大きな文字で【予約受付中】と書いてあった。問題はその予約の内容だ。
『ジャン・ハボックと二人きりのクリスマスデート お値段1,225センズ(プレゼント・お食事付き、エッチ込み)ご予約はお早めに!』
「ハボックとのクリスマスデートだとッ?しかもエッチ込みって……それでこの値段じゃ安すぎるだろうッッ!!」
 ツッコミどころはそこじゃないだろうと、ブレダあたりが聞いたら言いそうなことを叫んでロイは手にしたビラを握り締める。そのままドカドカともの凄い勢いで廊下を歩くと、司令室の扉をバンッと開いた。
「ハボックッッ!!」
「わあ、来たッ!!」
 開けると同時に中に向かって怒鳴れば、ハボックが悲鳴を上げてブレダの後ろに隠れる。鬼の形相で近づいてくるロイと怯えるハボックの間に立たされて、ブレダはまあまあとロイを宥めた。
「誰かがイタズラでビラをばらまいたみたいなんですよ。こいつ自身すっごい迷惑被ってるんで怒らないでやって下さい」
 ブレダにそう言われてロイはジロリとハボックを見る。「そうなのか?」と尋ねればハボックがうんうんと頷いた。
「もう、朝からビラ見たって奴らが電話だったり直接だったり申し込みしたいって凄くて」
ハボックは引き寄せた椅子に腰掛けながらゲンナリと言う。ハアアとため息をついて疲れきった様子のハボックに、ロイも流石にそれ以上言うことが出来ず、手にしたビラをもう一度見た。
「誰かお前を恨んでる奴の仕業じゃないのか?フラレて逆恨みしたとか」
「アンタじゃあるまいし」
 思わずそう言ってしまったハボックの襟首をロイがグイと掴む。「ギブギブ」と叫ぶハボックと容赦なく締めるロイとをため息混じりに見ながらブレダが言った。
「まあ、申し込みに来た奴には事情を説明してお引き取り頂くしかないでしょうね」
「そんなので大丈夫なのか?」
 漸くハボックから手を離してロイが言えばブレダが答える。
「常識的に考えたらすぐ判ることでしょう」
「確かにそうだな」
 ロイは頷いてやれやれとため息をついて、事態はそれで収まったと思われた。だが。

 翌日。
 ロイとハボックが通りを歩いていると向こうから男が一人近づいてくる。大きな薔薇の花束を抱えた男は、ハボックの前で立ち止まると満面の笑みを浮かべて言った。
「ハボックさん、是非、このクリスマスデートを予約したいんだけど」
「えっ?」
 そう言って男がビラを差し出してくるのにハボックはギョッとして顔を顰める。昨日のビラがまだ出回っていたのかと紙面を見たハボックは、そこに書いてある数字を見て目を見開いた。
「え……?お値段3,500万センズ……?」
「勿論即金で支払うよ。受け付けて貰えるだろう?」
「えっと」
 ニコニコと笑いながら薔薇の花束を差し出してくる男にハボックはひきつった笑みを浮かべる。そんなハボックと男の間にズイと立ちはだかってロイが言った。
「お引き取り願おう。ハボックは私のものだ」
「えっ?もう先約がっ?」
 ロイの言葉に男が驚いて言う。だが、引き下がるかと思った男は、ハボックを見つめて言った。
「だったら俺は3,600万払うッ!だから是非俺とッ!」
「はあっ?なにをふざけたことをッ?!」
 男の申し出にロイが目を吊り上げる。男はロイを押し退けるようにして更に言った。
「3,600万で足りないなら3,700万……いや、3,800万払おうッ!!」
「貴様ッ、ふざけるなッ!!」
「煩いな、俺はハボックさんと交渉してるんだッ」
 とんでもない事を言い出す男の肩をロイがグイと掴めば、男がキッとロイを睨む。それからハボックを見て言った。
「ハボックさんっ、いいだろう?是非俺とッ」
「ふざけるなッ、だったら私は4,000万出すぞッ」
 ロイを押しやるようにして言う男に負けじとロイが叫ぶ。そうすれば男が更に言った。
「だったら4,100万出すッ!」
「なにをっ、それなら私は4,200万だッ!」
「4,250ッ!!」
「4,275ッ!!」
「ええと」
 ギャアギャアと細かく金額を競り上げながら言い合う二人を目を丸くして見つめながら。
(オークションするのもいいかもしんない)
 ついうっかりそんなことを考えてしまったハボックだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。入れ替えた拍手、読んで下さってありがとうございます。とっても嬉しいですvv

「あなたと二人きりでクリスマスデート お値段を決めったー」っていうのを見つけましてね。早速ジャン・ハボックでやってみたところ1,225円って。安ッ!!(笑)これなら私でも予約出来るわ〜vと、ロイでもやってみたら500円!!(爆)いやあ、これなら二人まとめて予約させて頂きますよ(笑)食事、プレゼント、エッチつき、凄いね(爆)ちなみにみつきでやってみたら700円。本名でやってみたらなんと3,500万円でした。3,500万あげるって言っても予約入らなそう(苦笑)ちなみにこれ、日替わりなので明日になったらすっごく高くなってるかもです。本日限り!お買い得ッッ!!(爆)

あ、そうそう。更新記録に載せ忘れましたが“ギャラリー「玄関」”なる部屋を作りました。要はこれまでに拙宅の入口を飾っていた素敵素材としょぼい四行詩を集めた部屋です。いや、最初のうちは保存してなかったんですが、ふと保存しておかないと同じ素材を使用する&同じような詩を書くって事をやりかねない事に気づきましてね。でも、しょっちゅう保存するのを忘れそうになるので、まあ備忘録みたいなもんです(苦笑)そんなわけですので、最初の頃のはありませんし最近も保存し忘れたりで抜けてるっていう中途半端なギャラリーですが、こそばゆいハボックラブを感じたい時などご覧いただければ(苦笑)こっそりpearl/diamondから入れます。

以下、拍手お返事です。

文字だけなのに の方

わあ、ありがとうございます!!書いてる本人もハボックは「ろーい」しか言わないし、殆どロイが一人喋ってる状態でこんなのでいいのかなと思わないでもないのですが、ハボックかわいいと言って頂けて、とってもとっても嬉しいですーーvvこれからも可愛らしさが伝わるよう、精一杯書いていきますので、よろしくお付き合い下さいませv

いつも楽しく拝見しています の方

いつも遊びに来て下さってありがとうございますvあはは、バレましたか?ご察しの通りそのゲームでございます(笑)あの設定って凄いですよねぇ。発売日に買っていまだに第五章の辺りをうろうろしているので最後どうなるのか判ってないのですが、イザナの死が今後も関係してくるのかなぁと期待しながらやってます。でも、せっかく14人もキャラがいるのに使いまわせずエースばかりレベルが上がるっていう(苦笑)これからもゲームネタなぞ出てくるかもしれませんが、引き続きお付き合いのほど、お願いいたしますv
2011年12月05日(月)   No.134 (カプなし)

暗獣33
「今日は冷えるなぁ」
 ロイはキッチンで熱いジンジャーティーを淹れるとそのカップを両手で包み込むようにして持つ。フウフウと一口啜るとカップを手に二階へと上がった。
「ハボック」
 扉を開けて部屋に入れば、ハボックが窓枠に掴まるようにして窓から外を眺めている。カップを手に近づくと、ハボックが窓枠に掴まったまま外へ向けていた目をロイへと向けた。
「何か見えるのか?」
 ロイはカップの熱でほんの少し暖まった手でハボックの金髪を撫でる。そうすれば擽ったそうに首を竦めて、ハボックは再び外へと目を向けた。
 窓の外に広がる空はどんよりと曇っている。モノトーンの空の下で、地上も色をなくして寒々しく見えた。
「見てるだけで寒くなるような空だな」
 ロイは空を見上げて言うと手にしたカップに口をつける。こんな日は家にこもって本でも読んでいるのが一番と、ロイが椅子に腰を下ろそうとした時。
 不意に窓枠に掴まっていたハボックが振り向いたと思うと、カップを持つロイの袖を引く。熱い茶を零しそうになって、ロイは慌ててカップを持つ手を上に上げた。
「こら、ハボック。危ないだろう?」
 零れたりしたらロイよりハボックにかかりかねない。メッと目を吊り上げるロイに、だがハボックはもう一度ロイの袖を引く。どうやらカップを置けと言いたいらしい事を察して、ロイはテーブルにカップを置いた。
「どうしたんだ、ハボック……って、おいっ?」
 何だと尋ねるロイの手をハボックが引っ張る。それに引かれるように足を出せばハボックはロイを部屋の外へと連れ出した。そのまま階段を下りたハボックが自分を家の外へと連れていこうとしていることに気づいてロイは顔を顰める。思った通りハボックが庭に出る扉に手をかけるのを見て、ロイは言った。
「ハボック、この寒いのに外は勘弁してくれ。何かあるなら口で説明───というわけにはいかんか」
 言いかけた言葉を自分で否定するうちにハボックは扉を開けてしまう。その途端ピュウと吹き付ける冷たい風にロイは首を竦めた。
「寒ッ」
 中から見ていた以上に外は寒い。それでも構わずハボックはロイの手を引いて庭へと出た。
「寒いっ、せめて上着を」
 急速に奪われる熱にロイは往生際悪くそう訴える。それでも中へ戻らせてくれそうにないハボックに、ロイは手を伸ばすとその小さな体を抱き抱えた。
「寒いぞ、ハボック。一体何なんだ?頼むから早く教えてくれっ」
 ロイは少しでも暖をとろうとハボックの体をギュッと抱き締める。ハボックはそんなロイの片手を掴むと手のひらを上にして差し出させた。
「ハボック?」
 意味が判らずロイがハボックを呼んだ、丁度その時。
 ひらり。
 ロイの手の上に小さな雪片が舞い落ちる。手の熱であっと言う間に水滴に変わってしまったそれに目を瞠ったロイは、灰色に広がる空を見上げた。
「雪」
 一面グレーの空から剥がれ落ちるように雪が降ってくる。落ちてくるそれを目で追えば、ロイの手の上に落ちてスッと溶けて水滴になった。
「ろーい」
 呼ぶ声にハッとして腕の中のハボックを見れば小首を傾げてロイを見ている。じっと見つめてくる空色にロイの顔に笑みが浮かんだ。
「雪が降るのを教えてくれたのか」
 その年最初の雪を手にすると幸せになれるという古い言い伝え。ハボックがそれを知っているのか確かめる術はなかったが、それでもロイの胸はほんわりと暖かくなった。
「ほら、ハボック。手を出せ」
 言われて不思議そうに差し出された小さな手のひらに、ロイは溶けた雪の滴を移す。
「お裾分けだ」
 そう言えばハボックが嬉しそうに笑って手を握り締めた。
 寄り添う体から伝わる温もりを分けあって、二人はひらりひらりと舞い落ちてくる雪を見上げていたのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

「暗獣」です。早速冬ネタ〜。12月に入ってきっちり寒くなりました。日中、一人の部屋にエアコンつけるのは気が引けるので小さい電気ストーブ使ってるんですが、今までは半分だけつけてたのを今日は流石に二本ともつけてます、寒い!(苦笑)しかし、この気温の乱高下、ホント勘弁して欲しいです。今日明日は最高気温7〜8度だけど、土曜日はまた19度くらいになるんだと。まったく体がついていかないっての。ああ、鼻が垂れる……。

ところで、11月中の更新、近年では珍しく一度もお休みしませんでした、おお!理由は四本立てになったから。サボると間が二週間あくなぁと思うとなんとなく書かずにいられないというか、まあ、あいても気にする方はいらっしゃらないでしょうが(苦笑)でも流石に12月はやりたくないけどやらなきゃいけない事が多々あるので後半特にお休みすると思いますー。大掃除とかね、年賀状とかね、正月準備とかね、ああ、ヤダヤダ(苦)家の庭木にクリスマスで電飾巻かなきゃだしな。一年で一番嫌いな月ですよ、普段ぐーたらなもんでしわ寄せが半端ないんだもん。って、自業自得と言われそうですね(苦笑)
2011年12月01日(木)   No.133 (カプなし)

暗獣32
「ろーいー」
 パタパタと軽い足音が聞こえたと思うと涙混じりの声がする。窓辺の定位置で本を読んでいたロイが顔を上げると、ハボックが開けっ放しの扉から入ってきた。
「どうした、ハボック」
 タタタと駆け寄ってきたと思うと椅子に座るロイの膝にぱふんとぶつかるようにしがみつくハボックに、ロイは尋ねる。涙目で見上げてくるハボックの背後を覗き込んだロイは、ふさふさとした金色の尻尾に大きな毬栗(いがぐり)が絡まっていることに気づいた。
「なんでまたそんなところに」
 ロイが目を丸くして言えば、ロイの膝から手を離したハボックが毬栗を取ろうとする。だが、自分の尻尾の毬栗を取ろうと後ろを向けば、尻尾もその動きにあわせて逃げてしまい、結果ハボックはくるくるとその場で回る羽目になった。
「おっ、お前……っ」
 尻尾の毬栗を掴もうとしてくるくる回る姿に思わずロイが吹き出せば、ハボックが恨めしげにロイを睨む。ロイは「ごめん、ごめん」と謝りながら立ち上がって本を置くと、ハボックの側にしゃがみ込んだ。
「まあた見事に絡まってるな。どうやったらこんなことになるんだ?」
 ロイは苦笑混じりに言いながら毬栗に絡んだハボックの尻尾の毛を少しずつ外してやる。漸く毬を外すと、ロイはくしゃくしゃになった尻尾の毛を丁寧に手で梳いて綺麗に整えてやった。
「よし、これでいいぞ」
 ロイがそう言うとハボックが尻尾を確認するように、背後を見ながらくるんと回る。そうして礼を言うようにキュッとしがみついてくるハボックの金色の頭を、ロイはポンポンと叩いた。
「じゃあ、これは捨てるからな」
 ロイは外した毬栗を手に窓辺に寄るとそこから庭に投げ捨てようとする。すると慌てて寄ってきたハボックがロイの腕にぶら下がった。
「ろーい!」
「なんだ?捨てちゃいかんのか?」
 もう毬栗なぞ見たくもないだろうと思いきや、庭に投げ捨てるのを止められてロイは不思議そうにハボックを見下ろす。伸ばしてくる小さな手に毬栗をそっと載せてやれば、ハボックはそれを手に部屋の片隅に歩いていった。
 部屋の隅にはハボックのベッド代わりのビロード張りの小さなトランクが置かれており、最近そこにもう一つ小さな箱が置かれるようになっていた。綺麗なもの、可愛いものが大好きなハボックはトランクの隅に集めたものをコレクションしているのだが、段々と数が増えてトランクがベッドなのかコレクションボックスなのか判らなくなってきたのを見かねたロイが、集めたコレクションを入れるための場所として新たに箱をおいてやったのだ。
 ハボックは毬栗を床に置くと、コレクションの箱を開ける。背後から覗くロイの前に、ハボックは箱の中から彼の大事な宝物を出して並べた。
「ああ、そうか。秋なんだ」
 ロイは並べられた宝物を見て言う。真っ赤に色づいた楓の葉、ロイが作ったどんぐりの独楽、ハボックの尻尾によく似た薄の穂、コスモスの押し花……。幾つもの“秋”の隣にハボックは茶色い栗が覗く毬を置いた。
「ろーい」
 自慢するようにハボックがロイを見上げる。ロイは見上げてくる空色に微笑むと、ハボックと一緒に床に座り込み色とりどりの秋を楽しんだのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手も嬉しいですv正直なものでなんぞアップした後に拍手頂くと頑張ろうって気になります、ありがとうございますv

「暗獣」です。今回で秋ネタも終わりです。明日からはもう12月ですね、一年早いなぁ……。今日の東京は最高気温が19度だったんですが、明日は7度だってよ。一日で二ヶ月くらい季節が進むらしい。気温の乱高下が激しいのに体がついていかずしっかり風邪っぴきになってしまいました。かんでも啜っても鼻が垂れる、ポメラ打ちにくいったら(苦)皆さまもお気をつけてお過ごし下さいね。そんなわけで、次回からは冬ネタでーすv
2011年11月30日(水)   No.132 (カプなし)

「おはよ、ブレダ。今日は寒いなぁ」
 司令室の扉を開けたハボックは長身の背中を丸めてそう言う。先に来ていたちょっとばかり横幅の広い友人の背に向けて声をかければ、ブレダは手にした書類の束をトントンと机に当てて揃えると立ち上がった。
「おはよ、ハボ。朝早くから来ると部屋が暖まってないからしんどいわ」
 ブレダがそう言いながら振り向く。同意の言葉を返そうとしたハボックは、振り向いた友人の顔を見て固まってしまった。
「ん?どうした、ハボック?」
 突然固まってしまったハボックにブレダが不思議そうに首を傾げる。ハボックはブルブル震えながらブレダの顔を指さした。
「な、な、な……なんでっ?!なんでブレダの顔が大佐にッ?!」
 横に広い体は確かにブレダのそれだ。だが振り向いたブレダの顔だけが何故だかロイの顔になっていた。
「はあ?なに言ってんだよ、ハボ」
 驚愕に空色の目を見開いているハボックにブレダが怪訝そうに言う。ハボックはちょっとぽっちゃりしたロイの顔がブレダの声で話すのを聞いて喚いた。
「なにって、お前の顔が大佐になってんだよッ!!一体全体どういうことだよ、それッッ!!」
「なにを騒いでるの、あなた達」
 ハボックが指を突きつけて騒いでいると背後から涼やかな声が聞こえる。その冷静な声にほんの少しホッとしてハボックは振り向いた。
「中尉っ!大変なんス、ブレダの顔が───」
「ブレダ少尉の顔がどうかしたの?」
 不思議そうに言うホークアイの顔を見て、ハボックが言葉をなくす。金髪をキュッと留めてほんの少し眉を寄せたその顔はロイのものだった。
「なん……なんで……っ、中尉の顔も大佐……っ?!」
 信じられないとばかりに目を見開くハボックにホークアイがムッとしたように顔を顰める。
「ハボック少尉、女性の顔を見てそんな顔をするなんて失礼というものよ」
「や……だって……」
 この状況でびっくりするなという方が無理だろう。ハボックが頭の片隅でそう思ったとき、ホークアイの後ろから聞き慣れた声がしてファルマンとフュリーが入ってきた。
「おはようございます」
「おはようございます、どうかなさったんですか?こんなところに突っ立って」
 朝の挨拶を口にしながら不思議そうに首を傾げる二人の顔をまさかまさかと恐れながら見たハボックは、当たって欲しくなかった予想が当たった事に思わずふらりとよろめいた。
「うそ……ファルマンとフュリーまで……」
「どうかしましたか?ハボック少尉」
 そう言うロイの顔は見慣れたそれより目が細い。もう一人、眼鏡の奥の目を不思議そうに瞬かせる小柄なロイを見れば、ハボックはドサリと近くの椅子に倒れ込むように座った。
「なんで……なんでみんなの顔が大佐に……」
 そう呟くハボックにブレダがおかしそうに言った。
「なに言ってんだよ、お前だってそうだろう?」
「え?」
「そうよ、驚くなんておかしいわ、ハボック少尉」
 そう言いながらホークアイがポーチから取り出したコンパクトを開いてハボックに見せる。その鏡の中に映る煙草を咥えたロイの顔を見た瞬間、ハボックの唇から悲鳴が上がった。

「ギャ───ッッ!!」
 大きな叫び声を上げてハボックはガバッと跳ね起きる。ソファーの上に身を起こして、目を大きく見開いたハボックはハアハアと肩で息をした。
「ゆ……夢?」
 恐る恐る辺りを見回せばそこにはロイの顔をしたブレダ達はどこにもおらず、見慣れた家のリビングの光景があるだけだ。たった今見たものが悪い夢だったのだと気づいて、ハボックはハアアアと肺の中の空気を全部吐き出した。
「よ……よかったぁ」
 あまりにも心臓に悪い夢に、ハボックが脱力してソファーの背もたれに懐いて目を閉じた時。
「なんだ、今の声は」
 そう声が聞こえてハボックはハッとして目を開ける。声の方に視線を向ければ目に入ってきたロイの顔にハボックはギクリと身を強張らせた。
「えっ?や、ちょっと夢を見て……」
「夢?」
 アハハと乾いた笑いを浮かべるハボックの様子がどこか変な事に気づいて、ロイは目を細める。ズイとその顔をハボックのそれに近づけてロイは言った。
「あんな声を上げるなんて、どんな夢だったんだ?」
「いや別に大した夢じゃ……ちょっと顔近づけないでっ、もうたくさん───」
「はあ?それはどういう意味だ、貴様ッ」
「別になんでも……ッ、わぁっ、大佐の顔、怖いッッ!!」
「な……ッ?ハボック!!」
 夢にうなされ現実のロイの顔から逃げ出そうとしたハボックは、飛んできたロイの焔にお尻を焼かれる羽目になったのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、更新の原動力ですー、嬉しいですv

ええと、なんでこんな妙な話かと言いますと……。先日からヤフーメールの隅っこに出てくる文字広告にこんなのがありましてね。
「洗うだけでぷる肌!女性たちがトリコの秘密」
これを見て「ああ」と思われた方と「なに?」と思われた方がいるだろうなぁ(苦笑)「トリコ」って言うマンガがあるんですよ。美食屋のトリコっていう筋肉モリモリのカッコいいお兄ちゃんが主人公の話。この広告「虜」って漢字で書いてあればなんてことないんですが「トリコ」だとどうしてもそっちのお兄ちゃんの顔が浮かんじゃって……女性たちみんなトリコになってるの?って(苦笑)そんなわけで軍部総ロイ化。ちょっと怖いかもしれない(苦笑)相変わらず阿呆な脳みそでスミマセン(汗)

以下、拍手お返事です。

風汰さま

あはは、もうすっかりハボックが可哀想な話になってますね(苦笑)うちのロイハボ、良いですか?ううう、そう言って頂けて嬉しいですーッ!これからも可愛いハボック目指して頑張りますねvおお、風汰さまもエドハボお好きですか?うふふ、嬉しいです〜vあのエンディング!私も見るたび「あれってエドだよねぇ」って言ってます。あれ、絶対エドに見えますよね!(笑)是非また色々語って下さいませ、お待ちしてますvv
2011年11月27日(日)   No.131 (カプなし)

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