カプなし

=ハボロイ  =ロイハボ
=カプ色あり  =カプなし

2012年08月26日(日)
新・暗獣15
2012年08月24日(金)
新・暗獣14
2012年08月23日(木)
新・暗獣13
2012年08月22日(水)
新・暗獣12
2012年08月21日(火)
新・暗獣11
2012年08月20日(月)
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2012年08月16日(木)
新・暗獣6

カテゴリー一覧
カプなし(303)
ハボロイ(32)
ロイハボ(101)
カプ色あり(61)
その他(16)

新・暗獣15
 ロイは読んでいた本から顔をあげると向かいに座るハボックを見る。窓枠にしがみつくようにして外を眺めるハボックの姿を見れば自然と唇に笑みが浮かんだ。
 窓の外を流れる景色は建物が建ち並ぶ街中から田畑や林が広がる郊外の風景へと変わっていた。そんな田舎の風景もハボックには目新しいらしく、かじりつくようにして一時も目を離そうとしない。
「ハボック――ハーボック」
 一度呼んだくらいではロイの方を見もしないハボックを、わざとロイが繰り返し呼んでみればハボックがロイをチラリと見た。その様がいかにも迷惑そうで、ロイは笑いを噛み殺して尋ねる。
「なにか面白いものが見えるか?」
「ろぉいッ」
 勿論だと言いたげに力一杯頷いてハボックはすぐさま視線を窓の外に戻した。堪えきれずにクスクスと笑ったロイは、前方から近づいてきた林を指差して言う。
「ほら、林が見えてきたろう?あれを過ぎるともっと面白いものが見えてくるぞ」
 そう言うロイをハボックが尋ねるように見る。だが黙って見ていろとでも言うように口を閉ざしたままのロイを見て、ハボックは視線を外へと戻した。
 窓のすぐ外を緑の葉が生い茂った木々が流れていく。微妙に色合いの違う林の木々が途切れたと思った次の瞬間。
「  」
 青い空の下に広がる大きな湖の湖面。太陽の光を反射してキラキラと輝くそれに、ハボックは言葉もなく息を飲んだ。
「どうだ?凄いだろう?このあたりで一番大きな湖なんだ」
 まるで我がもののように自慢げに言うロイの声も聞こえているのかどうか。ハボックは空色の瞳をまん丸に見開いて湖を見つめている。ポカンと開いたままの唇がハボックの驚きの大きさを物語っていて、ロイは満足げな笑みを浮かべた。
「私達は今からあの湖に行くんだ、ハボック」
 ロイがそう言えば今まで身動き一つしなかったハボックが弾かれたようにロイを見る。空色の瞳がじっと見つめてくるのを感じながら、ロイは窓の外を見て言った。
「あそこでは釣りも出来るし泳ぎも出来る。確かボートもあったな。きっと凄く楽しいぞ」
 ロイは視線を戻してハボックを見るとにっこりと笑って頷く。そうすればハボックの顔が輝いて笑みに崩れた。
「ろーいッ!」
 そう叫んで胸に飛び込んでくる小さな体をロイはしっかりと受け止める。
「ろーいっ、ろーいッ!」
「ははは、ハボック、判った、判ったから」
 “ありがとう”と“嬉しい”と“早く行きたい”と、色んな気持ちを「ろーい」という一つの言葉にいっぱい込めて叫ぶハボックの背をポンポンと叩きながらロイは笑った。
「ろーい」
 ハボックは笑みを浮かべたロイの頬に滑らかな己のそれを擦り付けて、吐息のようにロイを呼ぶ。それを聞けば胸に暖かいものが広がって、ロイは柔らかな金髪に顔を埋めてハボックを強く抱き締めた。
「もっと見なくていいのか?ほら、ボートが浮かんでるぞ」
 照れ隠しのようにロイが言うとハボックが顔を上げて外を見る。ワクワクと期待に顔を輝かせて湖を見つめるハボックを乗せて、汽車は楽しいバカンスが待つ地へと走っていった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、励みになります、ありがとうございますv

「暗獣」です。ああ、一日開いてしまった…っ(苦)いやぁ、昨日は3時45分起きでバタバタしてたら書く時間がありませんでした。くそう、折角毎日書いてたのになぁ……。そんな訳で悔しかったので、お布団でポチポチしてます(笑)
庭の池くらいしか見たことのないハボック。大きな湖はさぞかし衝撃だろうな、と(笑)

以下、拍手お返事です。

JOEさま

わーい、ハボックと一緒にドキドキしてくださって嬉しいです。この先もドキドキワクワクをいっぱい詰め込んで頑張りますねv

なおさま

ふふふ、ほのぼの二人旅です(笑)ハボックの可愛らしさには老若男女を問わずヤられてしまうようです(笑)ヒューズ参上は判りませんが、とりあえず楽しいバカンスにしたいなと思ってますv

香深さま

毎日憑かれたように書き綴っておりますが、楽しんで読んで下さっているとのこと、とっても嬉しいですvヒューズが来ると思っている方が予想以上にいらしてびっくりしておりますが、どうなるかな(笑)私もどちらかと言うと、ロイの電話の内容はそんな感じなんじゃないかと思ってるんですけどね、ふふふ。あ、確かに例え呼べたとしても「ひゅーじゅ」ですよね、野望通りには呼んで貰えなさそう(笑)ハボックはヒューズの事もとっても好きですけど、今のところは呼んでくれない気がします、ヒューズには可哀想だけど(苦笑)リアル犬耳カチューシャ!うわ、可愛いかもっ!とりあえず街中じゃないからギャラリーも少ないし、ちょっとやらせてみたい気もします(笑)ほっこりして頂けて嬉しい。香深さまのコメントには本当にいつもやる気と元気を頂いてます。ありがとうございますv
2012年08月26日(日)   No.238 (カプなし)

新・暗獣14
「ここから汽車に乗るんだ」
 ロイは家から十五分程歩いて辿り着いた駅を前にして言う。人通りが多くなってからはロイにぴったりとくっついていたハボックは、目の前の駅舎を空色の瞳を丸くして見上げた。
「行くぞ」
 クイと手を引かれてハボックは駅舎を見上げたまま歩き出す。改札を抜けてホームに出れば丸くなっていたハボックの瞳はこれ以上ないという程見開かれた。
「ハボック」
 ポカンとして汽車を見上げるハボックの表情を見てロイがクスリと笑う。ロイが呼んだのも気づかないハボックの目の前で、ロイが手をヒラヒラとさせれば小さい体がピクンと震えてロイを見た。
「汽車と言うんだ。これに乗って行くぞ」
 そう言うロイをハボックは見て、また汽車を見る。ハアとため息をついて放心したように汽車を見つめるハボックの手をロイが引いた。
「乗るぞ」
 その言葉にびっくり(まなこ)のハボックがロイを見つめて汽車を指差す。それにロイが頷けば、ハボックの顔がパアッと輝いた。
「ろーいっ」
 ロイの手を引っ張るようにして入口に向かうハボックにロイは笑みを浮かべる。乗ろうとすれば丁度同じように乗ろうとして向こうから走ってきたハボックより少し大きい男の子とかち合って、ハボックはロイの腰にしがみついた。
「……お前も乗んの?」
 ハボックをじっと見つめてそう尋ねてくる男の子に、ハボックはロイの陰に隠れてしまう。そうすればロイがハボックの金髪をくしゃりとかき混ぜて言った。
「そうだよ」
 ロイが言うのを聞いて男の子は顔を赤らめて「ふうん」と呟くと汽車に乗ってしまう。その後に続くようにしてロイに手を引かれて汽車に乗り込んだハボックは左右に並ぶ座席をキョロキョロと見回した。
「ここにしよう、ハボック」
 ロイの声が聞こえて、ハボックは中程の座席に腰を下ろす。ロイが網棚にトランクを上げている間に、ハボックは窓に近づくと外を覗いた。
 駅のホームには荷物を片手に汽車に乗り込もうとする人や見送りの人が溢れている。そんな人々を目を大きくして見ているハボックの頭をロイはポンポンと叩いた。
「ろーい」
「もうすぐ出発だ」
 ロイはそう言ってハボックの向かいに腰を下ろす。物珍しそうに行き交う人々を眺めるハボックにロイが笑みを浮かべた時、発車を知らせるベルが鳴り響いた。それに答えるように汽車がポッポーと汽笛を鳴らす。その大きな音にびっくりして飛び上がったハボックは、ガタンと汽車が動き出したのに仰天してロイの胸に飛び込んだ。
「ろーいッ」
 ロイの胸に顔を押し付けてギュッとしがみつくハボックの背をロイが優しく撫でてやる。落ち着かせるように何度も撫でながらロイは言った。
「大丈夫だ、ハボック。怖くないから窓の外を見てごらん」
 優しく囁く声にハボックはおずおずと顔を上げる。ロイを見上げれば笑って頷くのを見て、ハボックは窓の外へと視線を向けた。そうすれば。
 ゆっくりと駅を離れた汽車の窓の外を家や木や車や人が後ろへと流れていく。次々と変わる景色をハボックは目をまん丸にして見つめた。
「ろーいッ!」
 興奮に声を弾ませてハボックはロイを呼んでその胸にしがみつく。どんどんと汽車がスピードを上げるにつれて飛ぶように流れていく景色を、ハボックは目を輝かせて見つめた。
「ろーい!」
「うん、凄いな、ハボック」
 ガタゴトと汽車に揺られながら、ハボックはロイと一緒に移りゆく景色を楽しんだ。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいですv

「暗獣」です。初めてのお出かけ(笑)この旅行はきっとハボックにとっては初めてづくしかと。まったりバカンス楽しみますv

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

髭、本当に来ますかね?(ニヤニヤ)いやあ、スク水、ビキニは持ってきた瞬間消し炭になりそうです(笑)出張お疲れ様です!うーん、完全携帯仕様にはなってないみたいですね、すみません(汗)「暗獣」が少しでも日々の疲れを癒すお役にたっているのでしたら嬉しいです〜v続きも頑張りますね!

阿修羅さま

わーい、「新・暗獣」面白いと言って頂けて嬉しいですーvvおっさん二人(爆)一応ぎりぎり二十代なのに(笑)やっぱりヒューズ、押しかけてきますかね?ロイが行き先をどの程度伝えたかがカギですね(笑)まあ、暫くは二人きりの蜜月?を楽しませてあげようと思います(笑)
2012年08月24日(金)   No.237 (カプなし)

新・暗獣13
「暑いッ」
 本を読んでいたロイがいきなり大声を上げれば、宝物用の箱に丁寧に畳んで入れたワンピースのレースを弄っていたハボックがビックリして顔を上げる。忌々しげに窓の向こうの雲一つない空を見上げたロイが、ガバッと勢いよく立ち上がった。
「ろーい?」
「避暑に行くぞっ、ハボック」
 不思議そうに呼べばそんな言葉が返ってきて、ハボックは首を傾げる。ロイはクローゼットに歩み寄ると中からトランクを引っ張り出し、次々と服を詰め始めた。
「ろーい?」
「旅行に行こう。ここは暑くてかなわん。湖の側のコテージを借りてそこで過ごすんだ。きっと楽しいぞ」
 ロイはそう言ってハボックを見る。
「出かけられる、だろう?」
 以前はどんなにハボックに見せてやりたいと思うものがあっても、それが家の外にあるものであればハボックを連れていってやることは出来なかった。だが、天使の飾りが依代の今であれば何処へだろうと一緒に行ける、行けるのだろうとロイが尋ねるように見つめる先でハボックが嬉しそうに笑った。
「ろーい」
 ハボックにギュッとしがみつかれてロイが笑う。男の子用の服も詰めれば、ハボックがいそいそとワンピースを持ってきた。
 配達員の男に誤解されたとロイがどっぷりと落ち込んだのを見てから、流石にハボックもどうやらワンピースを着るとロイにいらぬ気苦労をかけるらしいと気づいたらしく、ワンピースは着ずに眺めるだけで我慢してくれるようになっていた。それでも特別な時ならいいのかとロイの顔を見つめるハボックにロイが苦笑する。
「ハボック、それは置いていこう。向こうでも着る機会はないし荷物になるし」
 そう言えばしょんぼりするハボックにロイが言う。
「カチューシャを持っておいで。あれなら嵩張ばらないから」
 その言葉にハボックがパッと顔を輝かせ宝物用の箱に走り寄る。中からワンピースと同じ生地を使ったカチューシャを取り出して戻ってくれば、それを受け取ったロイが丁寧にトランクに詰めた。
「そうだ、連絡入れておかないと怒るだろうな」
 何かにつけて様子を見にきてくれるお節介な友人に出かけると一言断っておかなければ、きっといなくなったと大騒ぎするに違いない。ロイは立ち上がって電話に歩み寄ると受話器を取った。ダイヤルを回しヒューズが出るのを待つ間、窓に寄りかかって外を見る。脚に纏わりつくハボックの金髪を指で弄べば、ハボックが甘えるようにロイの脚に頬を擦り寄せた。
「ヒューズ?私だ」
 相手が出たのを確認してロイがこれからハボックと旅行に出ると告げれば、途端に不満の声が返ってくる。
『ズルいぞッ、俺も行く!明後日なら仕事も一段落するから――――』
「そんなに待っていられるか。土産を買ってきてやるから大人しく待ってろ」
『土産なんていらんッ!判った、今日中に何とかするッ!』
「悪いな、ヒューズ、もう出るところだ。じゃあな」
『おいっ、ちょっと待――――』
 制止の言葉にも耳を貸さず受話器を置いて、ロイはホッと息を吐いた。
「連絡を入れても怒ったな」
 やれやれと呟いて、ロイは視線を下に向ける。見上げてくる空色と目があって、ロイはにっこりと笑った。
「よし、じゃあ戸締まりして出かけようか、ハボック」
「ろーい!」
 家中の鎧戸を締めて戸締まりを確認する。玄関を出てカチリと鍵をかけるとロイはトランクを持つ手と反対の手をハボックに差し出した。
「行くぞ」
「ろーい」
 二人はにっこりと笑いあって初めてのバカンスへと出かけていった。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手、励みになってます、ありがとうございますv

「暗獣」です。とっても暑くて堪らないので、せめてロイとハボックに避暑にいって貰う事にしました。そんな訳でまだ暫くまったり話続きます〜(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、ロイ(笑)ホントに抜けてるというか詰めが甘いというか(苦笑)幼女趣味でもしっかり変態には変わりませんですけどね(爆)わーん、お優しいお言葉ありがとうございます!いい気になってもう少し続ける事にしました。どうぞお付き合い下さいv

JOEさま

ありがとうございます!これからも可愛いと言って頂けるように頑張りますよv
2012年08月23日(木)   No.236 (カプなし)

新・暗獣12
「……ハボック」
 床に寝そべってオルゴールを眺めながらふんふんと調子っぱずれの鼻歌を歌うハボックを、ロイは眉間に皺を寄せて見つめる。なんだと振り向く空色に見つめ返されて、ロイはため息をついた。
 先日、家にやってきたヒューズにハボックと二人がかりでワンピースを出せと喚かれて、あまりの煩さにキレたロイがワンピースを燃やそうとする騒ぎになった。だが、発火布を嵌め今にも燃やさんばかりに手をつきだしたロイは結局ワンピースを燃やせなかった。
『ろーいッ!』
 ロイがワンピースを燃やしてしまうとショックを受けたハボックがボロボロと泣き出してしまったからだ。小さいハボックに肩を震わせて泣かれ、その上ヒューズに酷い男だと責められて、ロイはハボックにワンピースを渡してしまった。そして今、ロイはワンピースを渡してしまった事を激しく後悔している。
 背中に沢山のボタンと腰に大きなリボンがついたワンピースを、ハボックは当然自力では着られない。ロイはハボックがワンピースを着る事にいい顔をしないから、ハボックはワンピースを引っ張り出して自分で着ているのだが。
 床に寝転がったハボックの背中はボタンを留めていないせいで開き、背中どころかずり落ちたワンピースから肩まで覗いている。結わいていないリボンは床に長く伸びて、どう控えめに見ても倒錯的で淫らだった。
「それこそ変態じゃないか」
 もしこれを誰かに見られたら言い訳の仕様がない気がする。ロイはハボックの側にしゃがみ込むと肩からずり落ちるワンピースを引き上げてやりながら言った。
「なあ、そのワンピース、着るのやめないか?」
 着せてやらなければ着るのを諦めるのではと思っていたのだが、ハボックは諦める気はないらしい。ここはひとつしっかり話し合ってハボックにワンピースを着るのをやめさせようと、ロイはハボックの瞳をじっと見つめて言った。
「あのな、ハボック。お前が綺麗なものや可愛いものが大好きなのは知ってるし、そのワンピースは確かにお前に似合ってる。だがな」
 と、ロイはハボックの髪をかき上げる。
「それは女の子の服だ」
 ロイはそう言って立ち上がると、着せるつもりで出したままソファーに放り出されたシャツとチェックのハーフパンツを取り上げた。
「この服だって十分可愛いと思うぞ?」
 言いながらシャツを広げて見せるがハボックは不服そうだ。唇を突き出すハボックにロイが尚も言おうとした時、玄関のドアベルが鳴った。
「誰だ?」
 大事な話の最中なのにとロイはムッとしながらも玄関に出る。扉を開ければ頼んであった本の配達で、ロイは受け取りにサインすると配達員に言った。
「すまんが中まで運んでくれるか?」
「判りました」
 ロイの言葉に快く頷いて配達員は段ボールを抱えて中に入る。
「こっちでいいですか?」
 と問われ、ああ、と頷いたロイは次の瞬間慌てて扉の前に立ちはだかった。
「こっ、ここはダメだッ、向こうの書斎に――――」
「ろーい?」
 配達員を追いやろうとしたロイの背後で扉がカチャリと開くのと同時にハボックの声が聞こえて、ロイは凍りついた。
「…………ハボック」
 キュッとシャツを引っ張る感触に下を見れば空色の瞳と目が合う。背中を留めていないワンピースからしどけなく細い肩を覗かせるハボックを見、それから視線を正面に戻せば、配達員の男が目をまん丸にしてハボックを見つめていた。
「ろーいー?」
 不思議そうに言いながらロイの前にハボックが回り込めば、配達員の男が抱えていた段ボールを取り落とす。ドサッと大きな音にハッとした配達員は、顔を真っ赤に染めて剥き出しの白い背中を食い入るように見つめたまま口をパクパクとさせた。
「おっ、お邪魔しましたッ!」
 裏返った声で何とかそれだけ言うとクルリと背を向ける。そのまま玄関から飛び出して行こうとする配達員にロイは怒鳴った。
「誤解だッ!私は決して妙な趣味がある訳じゃないッ!」
「は、はは……だ、誰にも言いませんからっ」
 配達員はロイの声に玄関で一瞬足を止めて言う。
「言いませんからッ!またのご利用お待ちしてまァすッ!!」
「わーッ、待ってくれッ!」
 バタバタと飛び出した配達員は車に飛び乗り物凄い勢いで走り去ってしまう。それをなすすべなく見送って、ロイはがっくりと跪いて手をついた。
「なんてこった……」
「ろーい?」
 がっくりと項垂れるロイの顔をハボックが不思議そうに覗き込む。ロイはチラリとハボックを見ると、小さな手をがっしりと掴んだ。
「頼む、ハボック。ワンピースは勘弁してくれ……っ」
 変態の噂がたってしまうッ、と頭を抱えるロイをハボックはキョトンとして見つめたのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですv

「暗獣」です。しょうもない話ですみません(苦笑)とりあえずワンピース話はこの辺にして次はバカンス行きたいなぁ、折角夏なんだしっvって、まだ書く気なんかいって言われそうかしら(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、泣かせちゃいましたよ、ハボック(笑)確かに燃やしてたら当分毛糸玉でしたよねぇ(笑)それはそれでロイが困りまくって楽しかったかもv
2012年08月22日(水)   No.235 (カプなし)

新・暗獣11
「それにしてもお前もヒマだな。ついこの間来たばかりじゃないか」
 ロイはそう言いながら冷たいハーブティーが入ったグラスをヒューズの前に置く。ヒューズは手を伸ばしてグラスを取るとゴクゴクと一気に飲み干してから答えた。
「そりゃあな、ハボックちゃんがいると思ったらさ」
 毎日だって来たいくらいだとおどけた調子で言う男をロイはじっと見つめる。オルゴールを嬉しそうに眺めるハボックに踊り子の服が可愛いだろうだの、この綺麗な曲はアメストリスでも有名な作曲家が作ったものだの、なんやかやと話しかけるヒューズが、実は自分達の事を気にかけて様子を見に来てくれていることをロイは気がついていた。
「お節介め」
「あー?なんか言ったかぁ?」
 ありがとうと言う代わりにボソリと呟けば、ヒューズが間延びした調子で言う。それには答えず空になったグラスにハーブティーを注ぐロイに、ヒューズは笑みを浮かべた。
 ポツポツと会話を交わしていると、ハボックがソファーからピョンと飛び下りる。タタタと走ってリビングを出て行ったハボックがカチューシャを手に戻ってきた。
「ろーいっ」
 ヒューズに駆け寄ると手にしたカチューシャを翳して見せる。なんとか自分でつけようとするのを見て、手伝ってやろうと手を出したヒューズがハッとして言った。
「ハボックちゃん、もしかしてこれ使った?!」
 ハボックが答えるように笑えばヒューズがキッとロイを見た。
「ロイっ、ハボックちゃんにワンピース着せたのかッ?」
「服を買いに行くんで仕方なく、な」
「なんで俺を呼ばないんだッ」
 ガバッと乱暴な仕草で立ち上がるヒューズにロイは肩を竦める。
「なんでわざわざ呼ばなきゃならんのだ、あんな変態な格好させたからといって。大体な」
 と、今度はロイが乱暴な仕草で身を起こした。
「大変だったんだぞ、やたらめったら声をかけられて。きっと男のハボックにワンピースを着せてるのがバレたに違いないんだ。変態だと思われていたらどうすればいいんだッ」
 あああ、とロイが髪を掻き毟れば、ヒューズが呆れたように言った。
「やたら声をかけられたって、そりゃハボックちゃんが可愛いからに決まってるじゃねぇか」
「は?」
「ハボックちゃん、可愛かったろ?」
「それは、まあ……な」
 ワンピースを着せる事に抵抗はあるものの、可愛いかと聞かれたらそれは確かにそうだ。渋々ながらロイが頷くと、ヒューズが両手の拳を握り締めて身悶えた。
「やっぱりなぁッ!絶対そうだと思ったんだよッ!」
 俺の見立てに間違いはなかったと一頻り喚いたヒューズがロイにズイと顔を寄せる。
「ロイ、俺にハボックちゃんのワンピース姿見せ―――――」
「駄目だ」
 皆まで言わせずロイが却下すればヒューズが目を吊り上げた。
「なんでだッ!ズルいぞ、ロイ!自分だけちゃっかりハボックちゃんのワンピース姿見てっ!」
「別に見たくて見た訳じゃない」
「俺は見たいんだよッ、見せろッ!」
「駄目だ。あんな変態行為、ハボックに何度もやらせる訳にはいかない」
 キッパリと言い切るロイは何を言っても聞き入れてくれそうにない。ヒューズはハボックを見て尋ねた。
「ハボックちゃん、ワンピースどこ?持ってきてくれる?」
 そう言われてハボックがしょんぼりと俯く。
「ワンピースは隠した。カチューシャだけはハボックが欲しがったから渡したがな」
「そうなのかっ?ハボックちゃんッ」
「ろーいー」
 ハボックが残念そうに言うのを聞いて、ヒューズがズカズカとロイに近づいた。
「今すぐワンピースを出せ、ロイ」
「断る」
「あれは俺がハボックちゃんにあげたんだぞ」
「ハボックに何を渡すかは私が決める」
「なっ……、横暴だぞ、ロイ!ワンピース返せ!ハボックちゃんも返して欲しいだろ?」
「ろーい〜」
 二人がかりで返せ戻せろーいと喚かれて、ロイの眉間の皺が深まる。
「煩い。あんまり煩くするとワンピース燃やすぞ」
 そう低く告げれば一瞬押し黙った二人が次の瞬間一層大声で喚き立てた。
「燃やすなんてどこまで人でなしなんだッ!」
「ろーい〜ッ!!」
「だーッ、煩いッ!もう絶対燃やすッ!」
 言うなり立ち上がってリビングを飛び出すロイをヒューズとハボックが即座に追う。階段を駆け上がり寝室のクローゼットを開けると、ロイは棚の奥から箱を引っ張り出した。
「ワンピースはそこかッ!――ハボックちゃんっ」
「ろーいッ」
 追ってきたヒューズが叫ぶのに答えてハボックがぴょーんと飛ぶ。
「うわッ、こら、ハボック!やめんかッ」
 頭にしがみつかれて慌てるロイの手からヒューズが箱を奪い取った。
「やったぞ、ハボックちゃん!」
「ろーいっ」
 喜ぶ二人にロイがニヤリと笑う。
「甘いな」
そ う言うロイの手にワンピースが握られているのを見て、慌てて箱を開けた二人は空であることに気づいて飛び上がった。
「終わりだ」
 ニヤリと笑ってロイが発火布を嵌めた手を突き出せば。
「ろーいッ!」
 叫んだハボックがボロボロと泣き出すのを見て、ロイとヒューズはびっくりして押し黙った。ヒクッヒクッと肩を震わせるハボックにヒューズがチラリとロイを見る。
「あーあ、泣かせたな、ロイ」
「えっ?」
「酷い男だよなぁ」
「うっ」
 そんな風に言われれば返す言葉がない。ロイはハボックに近づくとそっと金色の頭を撫でた。
「あー……ハボック」
 決まり悪そうに呼ぶと涙に濡れた空色がロイを見る。ロイはため息をつくと手にしたワンピースをハボックに差し出した。
「ほら」
「……ろーい」
 ハボックが手を伸ばしてワンピースをギュッと抱き締める。大事そうにワンピースを抱き締めるのを見て、ロイはやれやれとため息をついた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいですvv

今日から実家に来ています。更新、やっぱり間に合わなかった(苦)そんなわけで今日は日記だけです。すみません(汗)
しかし、実家で日記アップしようとしたら、パソのお気に入りに登録してあった日記やら拍手やらのアドレスが全部消えてました。なんでー??流石にアドレス覚えてなかったので、携帯に登録してあったのをパソメールに送ってもう一度登録し直しましたけどね〜。ロイハボとかハボロイのサイトも登録してあったのに、くそう。

といったところで「暗獣」です。ハボに泣かれると弱いロイ。きっとこの後ヒューズが嬉々としてワンピースをハボックに着せて、堪能したと思います(笑)

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

あはは、歪みまくった愛に囲まれたハボック!いや、いかにも受けハボな感じでいいですよ(笑)なるほど、ペンダントロケットですか。ヒューズがもってきたらきっと中には髭の写真が(爆)ロイに真っ先に燃やされそうですが(苦笑)一応下着はヒューズが持ってきたのを(一応まともなの)を穿かせてます。流石にノーパンでは拙いかと(笑)暑さに負けず頑張りますので、どうぞお付き合いお願いしますねv

JOEさま

わーい、そう言って頂けると毎日日記を頑張る甲斐があります、ありがとうございます!これからもそう言って頂けるように頑張りますねv
2012年08月21日(火)   No.234 (カプなし)

新・暗獣10
「ハボックちゃん、こんにちはっ」
「また来たか、髭」
 扉を開ければニコニコと満面の笑みを浮かべる髭面にロイは露骨に嫌な顔をする。だが、ヒューズはそんなロイの態度など気にも留めず、中に向かって声をかけながら家へ入った。
「ハボックちゃあん!」
「おい、誰が入っていいと――――」
 パタパタと奥から軽い足音が聞こえたと思うとハボックが飛び出してくる。ヒューズの脚にギュッとしがみつくのを見て、ロイは目を剥いた。
「ろーい」
「そこで“まーす”って言ってくれるともっと嬉しいけどなぁ」
 ヒューズはだらしない笑みを浮かべて言う。ハボックの前に跪くと手にしていた紙袋を見せた。
「今日もいいもの持ってきたよ」
 ヒューズが言えばハボックが目を輝かせる。
「こんな玄関先じゃなんだから奥に行こうか」
 そう言ってハボックの手を取るヒューズに、ロイが目を吊り上げた。
「おい、待てッ!ヒューズ、貴様、ハボックに何を吹き込んだッ!」
「なにって、別になにも。オレ達昔っから仲良しだもんな」
 ねーっ、とハボックと顔を見合わせて言うヒューズにロイはズカズカと歩み寄る。ハボックの手をヒューズから取り戻して、ロイが言った。
「嘘をつくなッ!そんな訳ないだろうっ」
 ロイがそう言った時、ハボックがロイの手を振り解いてヒューズに近寄る。ハボックが紙袋の中に顔を突っ込むようにして中を覗くのを見て、ハッとしてロイが言った。
「そうか、土産か」
 ヒューズが可愛いものや綺麗なものを持ってくる事をハボックが覚えていて懐いているのだと察して、ロイはハボックを引き寄せて言った。
「ハボック、そんな奴の変態趣味に惑わされては駄目だそ」
「これのどこが変態趣味だって言うんだよ」
 ロイの言葉にヒューズがムッと唇を尖らせる。ヒューズは紙袋をガサガサと言わせて中から取り出したものをハボックの前に置いた。
「ろーい?」
「開けてごらん、ハボックちゃん」
 ヒューズに言われてハボックは床にペタンと座り箱の蓋を持ち上げる。クッション代わりの詰め物をどけると中から現れたのは小さなオルゴールだった。
「このネジを回して、それから蓋を開けるんだよ」
 ヒューズはそう言ってオルゴールの裏についたネジを回す。ハボックがそっと蓋を開けると綺麗な曲が流れ出し、中に入っていた小さな踊り子がクルクルと回った。
「ろーいっ」
 それを見たハボックがキラキラと目を輝かせる。流れていた曲が段々と小さくなり踊り子がゆっくりとその踊りをやめるまで見入っていたハボックは、ピタリと曲が止まったのを見て泣きそうになってヒューズを見た。
「大丈夫、このネジを回せば何度でも聞けるから」
 言いながらヒューズがネジを巻けばまた曲が流れ踊り子が踊り出す。床に寝そべって間近にオルゴールを見ながらふんふんと調子っぱずれの曲を口ずさむハボックを見て、ヒューズが勝ち誇ったようにロイを見た。
「どうよ?これでまたポイントが上がったな」
「チッ」
 ニヤリとわらうヒューズにロイが忌々しそうに舌打ちする。それでもハボックがそれを気に入っているのを見れば、いつまでも不機嫌を装っているわけにもいかなかった。
「よかったな、ハボック」
 そう言ってハボックの金髪を撫でてやればハボックがロイを見てにっこりと笑う。
「ろーいっ」
 嬉しそうに言ってオルゴールを抱き締めると、ハボックはロイに手を伸ばした。
「あれぇ?ハボックちゃん、俺のとこに来るんじゃないの?」
「悪かったな、ヒューズ」
 ロイはハボックの体を抱き上げるとニッと笑う。
「ろーい」
 そんなぁ、と文句を言うヒューズを後目に、ロイは嬉しそうにオルゴールを差し出して見せるハボックを優しく見つめたのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります、嬉しいですvv

「暗獣」です。天使の時計の代わりに今度はオルゴールを持ってきて貰いました。でもこれ、毎回ロイにねじ巻いて貰わなきゃならない(苦笑)本読んでたらなかなか巻いて貰えなくて怒っちゃいそうだなぁ(笑)

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

おお、アウェイ観戦ですか。お疲れ様です〜。男の子水着も可愛いですけど、やっぱり見て萌えを得るには女の子仕様な気がします(笑)おお、「セレスタ」感想ありがとうございます!なんか更新のコメント頂いたの、おぎわらさまに限らず久しぶりな気が(笑)私は受けハボは泣かせてナンボと思っておりますよ?(ニヤリ)キングにはガッツリハボを啼かせて貰おうと思いますv歪んだ愛万歳!(爆)

なおさま

本当にいつになったら涼しくなるんでしょうね…(苦)せめて夜が涼しくなると随分違うと思うのですが。シャボン玉、幾つになってもいいですよね。うぇっとなったり!(笑)懐かしいなぁv

JOEさま

うふふ、癒されて下さって嬉しいですvやっぱり暗獣はこういうパターンが楽しいですv
2012年08月20日(月)   No.233 (カプなし)

新・暗獣9
「まったくいつになったら涼しくなるんだ」
 ロイは部屋の窓から雲一つなく晴れ渡った空を見上げて呟く。視線を移せば部屋の床にべったりと貼り付くようにして寝転がったハボックの姿が見えた。じっと見ていれば時折ころんと転がっている。どうやら少しでも冷たさを得ようと場所を移動しているらしい事に気づいて、ロイはクスリと笑った。
「ハボック、そこは涼しいか?」
「ろーい……」
 尋ねればハボックがチラリとロイを見て呟く。いかにも暑さに参ったというような声音にロイは笑みを深めた。
「まあ、これだけ天気がいいと洗濯物だけは早く乾くがな」
 と、ロイは陽射しが降り注ぐ外へと視線を戻す。自分で言った一言で洗濯物がたまっている事を思い出してロイは眉を寄せた。
「あれが最後の一枚だったな」
 床に寝転ぶハボックを見てロイは呟く。今日洗濯しなければまたロイのシャツをワンピース代わりに着る生活に戻るしかなかった。
「もっと沢山買ってくればよかった」
 ハボックを連れて買い物に出掛けたあの日、やたらと声をかけられる事に辟易しながらも入った店で、ロイはハボックに合う服を店員に見繕って貰った。だが。
『双子なんですよね?だったらお揃いで着たらすっごく可愛いと思いますよ』
 ワンピース姿のハボックを連れて男の子の服を買おうとしたロイを訝しむ店員に、思わず双子の弟の服を買いにきたと口走ってしまえば、最初はただ男の子用の服を選んでくれていた店員が同じデザインの女の子用の服を勧め始めた。可愛いデザインの服に目を輝かせるハボックを見て、ロイは最初に選んで貰った数点だけ買うと早々に店を飛び出してしまったのだ。
「なんでもいいから適当に買ってくればよかったんだ」
 後悔したところで服が増える訳ではない。
「仕方ない、洗濯するか」
 ロイはやれやれとため息をついて立ち上がる。部屋を出ようとすれば、寝転がっていたハボックが起き上がってロイの後を追ってきた。階下に下り盥を引っ張り出して水を張る。植物系の洗剤を入れて洗い出せば、ハボックが小さな手でパシャパシャと楽しそうに水を叩いた。
 ハボックが一緒に暮らすようになってロイはそれまで使っていた洗濯機をやめて盥を使うようになっていた。以前一緒に暮らしていた時、盥で洗濯するのをハボックが喜んだからだ。だがやはり元々家事が好きでないロイにとって手洗いの洗濯は相当に負担で、やりたくなくてため込んでは着替えが足りなくなって嫌々洗濯するという繰り返しになっていた。
「なあ、洗濯機で洗濯してもいいか?」
 泡を跳ね上げて遊ぶハボックにそう尋ねれば、途端にハボックが泣きそうな顔になる。ロイはため息をつきながら洗濯をすませると、脱水だけは機械に任せようと洗濯場に洗った服を運んだ。洗濯機に放り込んで脱水を待つ間ロイは足元に纏わりつくハボックを見下ろす。どこからかフワリと飛んできた泡にハボックが手を伸ばしてピョンピョンと飛び跳ねた。
「そうか、要は泡で遊べればいいんだよな」
 そう呟いてロイはフムと考える。戸棚を開けて必要なものがあることを確かめ笑みを浮かべた。
「ハボック、いいものを作ってやる。だから洗濯は洗濯機を使わせてくれ」
 そう言えばハボックがキョトンとする。 ロイは棚から洗濯のりを取り出すとそれを手にキッチンへと向かった。キッチンでは台所洗剤とボウルを取り出す。ロイはボウルに水を入れるとその中に洗濯のりと洗剤を加えてよく掻き回した。
「おいで、ハボック」
 ロイは一生懸命背伸びして何をしているのか覗こうとしていたハボックに声をかけ、ボウルを持ってキッチンを出る。途中引き出しからストローとハサミを取り出し、扉を抜けて中庭へと出た。
「ここでいいか」
 ロイは庭の中ほど迄来るとボウルを足元に置く。木陰に入って強い日射しを避けて幹に寄りかかり、ハサミでストローの先に縦向きに何本か切れ目を入れた。切れ目を折って花のように開くとボウルを手に取りストローの先を洗剤液につけた。
「見ていろ、ハボック」
 ロイはそう言うと液をつけたのとは反対の方に唇を当てる。ふーっと優しく息を吹けば花びらからシャボンがゆっくりと膨らんで、フワリとまあるいシャボン玉が浮かんだ。ストローから離れたシャボン玉はフワフワと空に飛んでいく。目をまん丸にしてそれを見送るハボックにロイが言った。
「どうだ、シャボン玉だぞ」
「ろーいっ」
 自慢げにロイが言えばハボックがピョンピョンと飛び跳ねてストローに手を伸ばす。そんなハボックに「待て待て」と言いながらロイは片膝をつくと、ストローをハボックに渡した。
「いいか、先っぽを液につけたらそうっと優しく吹くんだ。間違っても吸うんじゃないぞ」
 ハボックはコクンと頷くとストローに洗剤液をつける。それからストローを口にするとフゥッと息を吹き込んだ。膨らみ始めたシャボン玉は、だがすぐ弾けて消えてしまう。
「ろーい〜っ!」
「大丈夫、慌てるな。もっとそっと吹いてごらん。優しくな」
 言われてハボックはもう一度液をつけ息を吹き込む。そうすればストローの先に生まれたシャボン玉はゆっくりと大きくなって、フワリと宙に浮いた。
「ろーいっ」
「上手いぞ、ハボック、その調子だ」
 フワフワと空に浮かぶシャボン玉に目を輝かせるハボックの頭をロイは撫でてやる。ハボックが液をつけて息を吹き込めばまた新しいシャボン玉が生まれた。
「ろーい〜!」
「よし、ハボック、シャボン玉をどんどん作るぞ」
 嬉しそうにぴょんぴょん跳ねるハボックにロイは言うともう一本ストローを作りシャボン玉を膨らませる。
「どうだ、大きいのが出来たぞ」
 ニヤリと笑ってロイが言えばハボックが負けじと大きなシャボン玉を膨らませた。
「ろーいっ」
「やるな、ハボック。よし、それならどっちが沢山シャボン玉を作れるか競争だ」
 その言葉にハボックが張り切ってシャボン玉を膨らまし始める。ロイとハボックが次々と生み出すシャボン玉が夏の空にフワフワと飛んでは消えていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます、嬉しいですv

「暗獣」です。シャボン玉遊びなんて久しくやったことないなぁと思いつつ(笑)しかし、今月は珍しくもう二週間も日記続けて書いてますよ。昔はちゃんと毎日書いてたけど、最近はすっかり怠け癖がついてたから(苦笑)でも、こう続くとやめちゃいけない気がしてちょっと焦ったり(苦笑)サボっても勘弁して下さい〜(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

えへへ、ニヤニヤして頂けてますか?嬉しいですvカチューシャ、可愛いですよねッvおお、男の子でも綺麗なもの可愛いものが好きなお子さんいらっしゃるんですね!そうですよねぇ、男の子だって好きなものは好きですよねッ!ハボもそのうちエリシアの可愛いリボンとか見て欲しがったりしそうな気がします(笑)
2012年08月19日(日)   No.232 (カプなし)

新・暗獣8
「お前も一緒に出かけられると判ったのはいいんだが」
 と、ロイは床に座り込んだままハボックを膝に乗せて言う。
「なあ、ハボック。お前、毛糸玉にならんか?」
 突然ロイにそんな事を言われてハボックが目を見開く。何を言い出すんだと言いたげに見つめられてロイが言った。
「着ていく服がないだろう?まさかそのシャツで行くわけにいかないし」
 ヒューズに変態とまで言われた格好を、ロイとていいとは思わない。子供の姿では服が必要だが毛糸玉であれば服もいらないし、連れ歩くのも楽チンだ。そう思ってロイが言えば、膝からピョンと下りたハボックが側に置いてあったワンピースをロイに差し出す。
「ハボック」
「ろーいー」
 眉を顰めると強請るように名を呼ばれてロイは眉間の皺を深めた。
「あのな、ハボック。それは女の子の服なんだ。男のお前が着るものじゃない」
「ろーい〜っ」
 首を振ってダメと言われてハボックが目を潤ませる。ワンピースを抱き締め涙を浮かべた瞳でじっと見つめられて、ロイはがっくりと肩を落とした。
「ヒューズめ、こんなものを持ってきやがって」
「ろーい?」
 低い声で呟くロイの顔をハボックが覗き込む。じーっと見つめてくる空色にロイは深いため息をついた。
「判った。ヒューズが持ってきたものを一式持っておいで」
 そう言われてハボックが顔を輝かせてキッチンを飛び出していく。ロイはため息をついて立ち上がるとリビングに移った。
「ろーいっ」
 少ししてハボックがワンピースの他に紙袋を抱えて戻ってくる。ソファーに座ってそれを受け取ると、ロイはワンピースのボタンを外して言った。
「おいで」
 ロイはワンピースを脇に置きハボックが着ているシャツを脱がせる。下着一枚になったハボックの頭からワンピースを被せ、腕を袖から出してやった。背中のボタンを留め腰のところで大きなリボンを結んでやる。レースのついた白い靴下とワンピースと同じ色合いの靴を履かせた。
「こんなものまで」
 紙袋の中を探ればワンピースと同じ生地を使ったカチューシャが出てきてロイは顔をしかめる。ハボックの金髪に手を伸ばしたロイはひょこっと現れた犬耳に目を丸くした。
「これはつけないでいいんだな?」
「ろーいーッ」
 その言葉にハボックが慌てて犬耳を引っ込める。ロイが丁度犬耳があった辺りにカチューシャをつけてやると、ハボックが嬉しそうにそっと手で触った。
「ろーいっ」
 ハボックがくるんと回ればワンピースの裾がフワリと広がる。その様にハボックがパアッと顔を輝かせた。
「ろーいッ」
「ヒューズが見たらもの凄く喜びそうだな」
 本当に嬉しそうに笑ってクルクルと回るハボックを見て、ロイがどこか悔しそうに呟く。どうだと尋ねるように、ロイの膝に手をついて覗き込んでくるハボックにロイは言った。
「言っておくが、ハボック。その服は今日だけだからな」
 そう言った途端泣きそうになるハボックに、だがロイは心を鬼にする。
「さっきも言ったろう?それは女の子の服なんだ。その代わり私がお前に似合う服を買ってやるから。な?」
 そう言って頭を撫でてやったがハボックはどこか不服そうだ。後で服を隠してしまおうと思いながら、ロイは立ち上がった。
「よし、じゃあ買い物に行くぞ」
 ロイはそう言ってハボックと手を繋ぐ。嬉しそうに笑うハボックの手を引いてロイは玄関に向かった。扉を開いて外に出る。門から外に出る時には思わずポケットの中の天使の飾りを握り締めた。
「……大丈夫、だな」
 家の敷地の外に出てもハボックの様子に変化がないのを見れば、やはりどこかホッとする。にっこりと笑いあって歩き出すと、ハボックが途端に目を輝かせた。
「ろーいっ」
 大輪の向日葵を見上げ、ピンク色の百日紅の花の塊を指差してはロイを呼ぶ。初めて見る外の世界は何もかもがハボックにとって輝いて見えるようだった。興奮してピョンピョンと飛び跳ねていたハボックは、だが店が建ち並ぶ賑やかな通りに来ると途端にロイにピタリとしがみつくようにくっ付いた。
「ハボック」
 安心させるように呼ぶロイをハボックがほんの少し不安そうに見上げる。小さな手をしっかりと繋いで歩いていると突然かかった声にハボックがビクッと震えてロイにしがみついた。
「可愛いお嬢さんね。パパと一緒にお出かけ?」
 話しかけてくる初老の女性をハボックが空色の目をまん丸に見開いて見上げる。ギュッとしがみついてくるハボックの頭を宥めるようにポンポンと叩いてロイはにっこりと笑った。
「ええまあ。ちょっと買い物に」
「まあ、いいわね」
 言って笑う女性に笑い返してロイはハボックを促し歩き出す。何度となく同じように声をかけられて、目的の店に着く頃にはロイの眉間には深い皺が刻まれていた。
「一体全体なんだと言うんだ。まさかハボックが男なのがバレたのか?」
 やたらと声をかけられる事に辟易してロイが呟く。逃げるように店の中に飛び込むと、ロイとハボックはホッと息を吐いた。
「とっとと買って帰るぞ」
 ロイはそう言うとハボックの手を引いて目的の物を探す。男の子向けの服が並ぶ棚に来るとシャツやズボンを取ってハボックに見せた。
「これなんてどうだ?」
「ろーい」
 そうすればハボックがマネキンが着ている可愛いブラウスを指差す。明らかに女児用のそれに、ロイは眉を顰めた。
「あれはダメだ、ハボック。女の子用だろう?」
 そう言われてハボックがぷぅと頬を膨らませる。その時若い女性店員が近づいてきて二人に声をかけた。
「いらっしゃいませ。女の子用でしたらこちらですよ」
 そう言って売り場を案内しようとする店員にロイが慌てて手を振る。
「あら、でも」
 と言って店員がワンピース姿のハボックに視線を向けるのを見て、ロイは言った。
「あー、その……、そう、双子の弟用の服なんだ。すまないが幾つか選んで貰えないだろうか」
「判りました。お父さんと一緒に弟の服を買いに来たの?偉いのね。手伝うから一緒に選びましょう」
 にっこり笑ってそう言うとハボックの手を引いて服を選び出す店員に、ロイは引きつった笑みを浮かべていた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、嬉しいですv

「暗獣」です。二人でお買い物。どう見ても可愛い娘を連れたカッコいいパパですよね(笑)でも、ロイは自覚がないから変態と思われてないかちょっとビクビクしているっていうね(苦笑)ハボックが女の子ものばかりに目が行くのは単に可愛いからです。決してそう言う趣味では(笑)今度はのんびりお散歩に行かせてあげたいなぁ。

以下、拍手お返事です。

なおさま

そうそう、ハボックはヒューズがくれたワンピース、とっても気に入ってます(笑)そして仰る通り出かけるにはワンピースを着るしかないという(笑)こんな二人が歩いてたら注目したくなりますよね!早く暑さがおさまる事を願いつつ、体に気をつけて過ごしましょう。

おぎわらはぎりさま

春のお花畑とは、ありがとうございます〜v毛糸玉での外出はハボックに拒否されました(笑)わはは、スクール水着にビキニ!(爆)袋から出した瞬間ロイに燃やされそうです(笑)

りんさま

お久しぶりです〜!見毛相犬、リクしてよかったと言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます!うちのサイトは携帯用には出来ていないので見づらいのでは…申し訳ないです(汗)そして、暗獣、帰って参りました!またこのロイと小さいハボックにお付き合い頂けたら嬉しいですv
2012年08月18日(土)   No.231 (カプなし)

新・暗獣7
「流石にこれ以上は無理だな」
 ロイは冷蔵庫の中を覗いて呟く。よく冷えた冷蔵庫には半分ほど入ったミネラルウォーターの瓶の他には卵の一つも入っていなかった。
「ハボック」
 と、ロイは傍らのハボックを見下ろす。ロイのズボンのポケットをギュッと掴んでいるハボックを見つめて言った。
「すまんが流石に限界だ。買い物に行かないといけない。イイ子だから留守番――――」
 と、そこまで言ったところでハボックがロイの腰にギュッとしがみつく。その様子にため息をついて、ロイはハボックの手を外させるとその前に跪いた。
「お前を置いていったりしない。ちゃんと帰ってくる、約束するから」
 ロイはそう言いながら金色の頭を撫でる。
「私は食べるものに拘りはないが、流石に水だけでは腹が減る。それに、お前の服も買わないとだしな」
 ロイがそう言えば、キッチンを飛び出していったハボックが少しして何やら腕に抱えて戻ってきた。
「ろーい」
 言ってハボックが広げて見せたのは先日ヒューズが持ってきたワンピースだ。それを手にじっと見つめてくるハボックにロイがため息をついた。
「腹が減った。お前と違って井戸の水じゃもたんよ」
 やれやれと床に座り込んで告げるとハボックが泣きそうな顔でワンピースを抱き締める。いつの間にか現れていた尻尾もしょんぼりと項垂れているのを見て、ロイは困り切って肩を落とした。
「なあ、ハボック。一つ聞きたいんだが」
 と、少ししてロイが言う。尋ねる声に俯けていた顔をパッと上げて見つめてくる空色にロイは言った。
「今のお前は昔のお前と同じなのか?それとも別物なのか?」
 そう尋ねられてハボックが目を見開く。ロイはハボックをじっと見つめて続けた。
「昔のお前はあの屋敷と強く結びついていて敷地から一歩も出ることが出来なかった。だが、屋敷は燃えてなくなってしまったろう?」
 ハボックから直接聞いた訳ではないが、ロイはハボックがあの屋敷の「想い」だと考えていた。誰も住まなくなって久しく放置されていた屋敷が、かつて屋敷に住んで屋敷を明るく暖かくしていた人々を懐かしみ、もう一度会いたい、誰もいなくなってしまって淋しいと想い続けて生まれたのがハボックなのだろうと思っていた。屋敷に想いがあるなどと、科学者としては受け入れられない考えと言えなくはなかったが、現にハボックは存在していたし、そのハボックを否定する事はロイには出来なかったのだ。屋敷の想いであるハボックは、強く屋敷と結びついていてそこから離れる事が出来なかった。だから事件がおきた時ロイはハボックを置いて屋敷を出るしかなく、火事で屋敷が焼け落ちてハボックも消えてしまったと思っていた。だが、今ハボックはここにいて、それならこのハボックは以前のハボックとは違うのだろうか。
「説明、は出来ないか……」
 ハボックは「ろーい」としか言わない。たった一つの言葉は様々なハボックの想いをはっきりと伝えてはいたが、ロイが知りたい事を説明するのは無理だろう。
 ロイがフウとため息をつけばハボックが持っていたワンピースをロイに押し付ける。さっきと同じように出ていったハボックが今度も何かを手に戻ってきた。
「ハボック?」
 さっきとは違い手の中に収まる小さなものをハボックはロイの手のひらに載せる。それがハボックが大好きだった天使の時計の小さな天使の飾りと気づいてロイは目を見開いた。
「これは」
 そういえばハボックがこの飾りから出てきた事を思い出す。ハボックが小さな手を伸ばして飾りを持つロイの手に頬を擦り寄せた。
「ろーい」
 ロイを呼んでハボックが笑う。その顔を見て、それからロイは手のひらの天使を見た。
「もしかして私にもう一度逢うために戻ってきてくれたのか?」
「ろーい」
 身勝手な考えかもしれないがそうだと思いたい。
「今のお前の依代(よりしろ)はこいつか。それならこれからは何処へでも一緒に行けるな」
 何があろうともう二度とこの小さな手を離さなくてすむのだ。
「ろーい」
 ロイは抱きついてくる小さな体をしっかりと抱き締めた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手も沢山、嬉しいです〜v

毎日暑いですね。東京も今日は35度以上あったらしいし。普段の買い物だからと思って出たら、冗談抜きで気持ち悪くなりました……。暑すぎだよ、尋常じゃない(苦)皆さまもどうぞお体大事になさってくださいね〜。でもってうちのハボとロイが息抜きになったら嬉しいですーv

というところで「暗獣」です。毎日こればっかりですみません(汗)お好きじゃない方には申し訳ないのですが、今はひたすら「暗獣」な気分です(苦笑)だって五月からずっと書きたかったんだもん〜。前回の「暗獣」の終わり方は賛否両論あるでしょうが私的にはあれでよかったと思っていますし、あれがあるからこそ今の「暗獣」があるというか、あの話がなかったら今の「暗獣」もなかったと思っています。本当は書き下ろしの「毛糸玉の記」を読んで頂くとハボックが最後までロイの事が大好きで、だからこそ天使に想いが残ったと思って頂けるかなと思うのですが、「暗獣」は今までの無配本で一番需要がなかったからなぁ(苦笑)「毛糸玉の記」をガーッと書いて、その後はもう続きが書きたくて堪んなかったのですけど流石にすぐ書くわけにもいかないし……という訳でやっと書きだして今はひたすら「暗獣」になってますー(苦笑)まだもうちょっと熱が引くには時間がかかりそうなので、どうぞぬるく見守って頂けたらと思います。

以下、拍手お返事です。

なおさま

わーん、癒されて頂けてますか?嬉しいですvうわあ、「まーすー」って言ったらもうきっと大変だろうなぁ!いや、想像しただけで楽しいです(笑)ギャーっ、カメムシっっ!!携帯、ご無事でしたか?私は足がないものも4本より多いものも大嫌いですッ!!でも、生物の九割は昆虫なんだそうですよ。聞いただけでも嫌になりますよね(苦)暗獣ハボックならロイに泣きつきそう(笑)

おぎわらはぎりさま

サスペンダーつき半ズボンにハイソックスvvふふふ、タマランですねッ(笑)いいですよね〜、スポーツ選手のスレンダーでありながらも無駄のない筋肉っvv撫でまわしたくなります(爆)東京は今日も35度越えでした。脳みそ煮えちゃう……(苦)

暗獣…ハボック(#^.^#)可愛すぎ〜 の方

ありがとうございます〜vうふふ、なでなでしてやって下さいvワンピースの陰からふさふさ尻尾が覗いていたら益々可愛いと思いますv
2012年08月17日(金)   No.230 (カプなし)

新・暗獣6
 ロイはヒューズが得意げに広げて見せる物を食い入るように見つめる。夏らしい明るい空色に白いレースがフリフリと沢山ついた可愛らしいワンピースに、ロイは思い切り眉間に皺を寄せた。
「なんだ、それは」
「えっ?なんだってワンピースだよ。知らないのか?ロイ」
 意外だなぁと眼鏡の奥を丸くするヒューズにロイが眉間の皺を深める。
「知らない訳じゃない。どうしてハボックへの土産がワンピースなんだ」
「可愛いからッ」
 低い声での問いかけに、ヒューズが満面の笑みで答えた。
「いいだろ、この色!見た瞬間ハボックちゃんの瞳の色にピッタリだと思ってさあ!レースもいっぱいついてて可愛いだろ?ハボックちゃんもそう思うよなっ?」
 そう聞かれてハボックが目を輝かせる。ソファーから降りヒューズの側に行くと柔らかいワンピースの生地に嬉しそうに触った。
「ろーい」
「お、ハボックちゃんも気に入った?」
 ニコニコと笑いかけられてヒューズが言う。
「ほら、折角だし着てみようか」
 そう言ってヒューズがいそいそとワンピースのボタンを外し始めるのを見たロイのこめかみがピクピクと震えたと思うと、物凄い形相で立ち上がった。
「やめんかッ!!ハボックも嬉しそうにするんじゃないッ!!」
 物凄い勢いで怒鳴られたハボックがビックリしてワンピースから手を離す。目を吊り上げて睨んでくるロイを見上げて、ヒューズが不思議そうに言った。
「なに怒ってんだよ、ロイ」
「何を、だと?ヒューズ、貴様いい加減ハボックを変態行為につき合わせるのをやめろ」
「変態行為?どこが?」
 言われている事が心底判らないと言うようにヒューズは首を傾げる。「ハボックちゃん、判る?」と尋ねるヒューズを見てロイが言った。
「ハボックは男だぞ、それなのにフリフリのワンピースを着せようなんて変態行為以外の何物でもないだろうがッ!大体お前の家にはエリシアという、幾らでもフリフリドレスを着せられる子供がいるだろうッ!どうしてエリシアに着せないでハボックに着せようとするんだッ!」
「えー」
 ロイに言われてヒューズが思い切り不服そうな顔をする。
「だってエリシアの服はグレイシアが買ってるんだもん、オレが買うと見境なく何でも買うからって。ハボックちゃんだって可愛いんだからさ、こういう服着せてあげたいだろ?それに」
 とヒューズは続けた。
「デートの帰りに部屋に連れ込んだ彼女にさせるような、シャツ一枚だけ着せて後は据え膳みたいな格好させてる方がよっぽど変態じゃねえ?」
「これは単に服を買いに行けなかったからだッ!ハボックが一人で留守番するのを嫌がって買いにいけないだけで――――」
「やだやだ、自分の事は棚に上げちゃって。ロイの変態〜っ」
 握った両手を口元に当てて「ヘンタイ」と連呼するのを聞いて、ロイのこめかみがブチブチと音を立てる。シュッと発火布を嵌めたと思うと、その手をヒューズに向かって突き出した。
「燃やす」
 短くそう告げた瞬間指を擦り合わせる。パチンと言う音と同時に飛んでくる焔に、ヒューズが悲鳴を上げた。
「わあッ!ハボックちゃん、助けてッ!」
「ハボックを盾にするなッ!」
「ろーいーッ」
 ワンピースを抱き締めるハボックの陰に隠れようとするヒューズにロイが怒鳴る。ギャアギャアと喚きあう大の男二人は、だがハボックが上げた悲鳴にピタリと口を閉ざした。
「ろーいッッ!!」
 悲鳴混じりに叫んだハボックが涙をいっぱいにたたえた瞳で二人を睨む。ワンピースを抱き締めたままタタタと部屋の隅に走るとカーテンの陰に隠れてしまった。
「――――」
 そんなハボックにロイとヒューズが決まり悪そうに顔を見合わせる。ロイは発火布を外してテーブルに置くと、ハボックが隠れたカーテンに歩み寄った。
「ハボック」
 ロイはそう呼びかけながらカーテンに触れる。その途端カーテンが揺れてギュッと内側に引っ張られた。
「悪かった、ハボック。私もヒューズも本気で喧嘩してた訳じゃないんだ」
 言いながらロイはカーテンごとハボックを抱き締める。
「不安にさせたなら謝る。だから出てきてくれ、ハボック」
 繰り返しすまなかったと言えば引っ張られたカーテンが弛んでハボックが顔を覗かせる。じっと見つめてくる空色を見つめ返せば、ハボックがロイに腕を伸ばした。
「ろーい」
「ハボック」
 抱きついてくるハボックを抱え上げてロイはハボックを間近から見つめる。すまんともう一度言うとギュッと首に抱きつくハボックの髪に顔を寄せて、ロイはホッと息をついた。

「ハボックちゃん、不安にさせちゃったかな」
 抱きついたまま眠ってしまったハボックを抱いてソファーに座るロイを見つめてヒューズが言う。ハボックの金髪を撫でながらロイが答えた。
「どうだろうな、ハボックにどの程度あの頃の記憶があるかも判らんし」
 二人が別れる直前の騒動をハボックが覚えていたなら、不安に思う事もあるかもしれない。ロイは一つため息をつくとヒューズを見た。
「そもそもお前がこんなものを買ってくるから悪いんだ」
「でもハボックちゃんだって気に入ってくれてるだろ」
 その言葉にハボックを見下ろせばワンピースをしっかりと抱き締めて眠っている。ロイは眉間に皺を寄せて言った。
「可愛いものや綺麗なものが好きだからな」
「だったら」
「ヒューズ」
 パッと顔を輝かせるヒューズをロイは睨む。
「例え好きでも着せる訳にいかないだろう!可愛くても男の子が着られるものを買ってこい!」
「えー」
「でないと出入り禁止だ」
 ピシリとそう言われてヒューズは口を尖らせながらも黙り込んだ。
「まぁ、またお前に怒鳴られてハボックちゃん泣かせる訳にいかないしな」
「そう言うことだ」
 少ししてため息混じりに言うヒューズにロイが答える。顔を見合わせてクスリと笑ったロイとヒューズは、スウスウと寝息を立てるハボックを優しく見つめた。


いつも遊びに来てくださってありがとうございます。拍手も沢山嬉しいですv

夕べは予定通りダンナと息子は野球観戦に、私はホテルでダラダラしてました(笑)とりあえず「セレスタ」は書いたけど「深淵」はちょっとだけ…。間に合うか、更新(苦)
昨日野球から戻ってきた息子が陽岱鋼(ようだいかん)の背番号の巾着を持っていたので買ったのかと思いきや、応援団のオニイサンとのジャンケン合戦に勝ち残ってゲットしてきたんだと。陽と田中賢介と栗山監督の三枚の内の一枚だから結構頑張ったって感じです。以前日ハムの試合を見に行った時は二岡のホームランボールを取ってきたし、日ハム戦に強い息子(笑)

そんな訳で?「暗獣」です。本当は帰りの新幹線で書きかけの「深淵」を書こうかと思ってたんですが、眠くて携帯で打てる「暗獣」にしました(苦笑)ハボックにかつての記憶がどの程度あるかまだ判りませんが、やはりハボックに泣かれると弱い親バカ二人ということで(笑)

そうそう!休んでる間に530000打回りました〜!いつもながらにありがとうございます!キリリクも頂いたし、嬉しさマックスですv相変わらずまったり好き勝手に書き綴るサイトですが、どうぞ引き続きよろしくお願いしますvv

以下、拍手お返事です。

しあんさま

わあ、日参ありがとうございます!そう言って頂けると日記も頑張ろうって思えます!やっぱり暗獣はほっこり賑やかなのがいいかなと思います。次は着ぐるみですかね?(笑)続きも頑張りますねv

530000キリ番 の方

カプ了解しました!うわぁ初めてだ、ドキドキします(笑)少しお待たせしてしまいますが必ず書かせて頂きますので、暫しお待ちくださいね。リク、ありがとうございました!

530000打おめでとうございます♪ の方

いつもありがとうございます!相変わらずこんな萌えばかりのサイトですが、これからも引き続きお付き合いお願いします!

なおさま

ふふふ、ヒューズは相変わらずの暴走特急ですよ(笑)これからもまったりな二人の生活を掻き回して貰おうと思いますvあああ、中尉に会わせてあげたいなぁ。でも、軍関係者から身を隠している現況だと無理かしら…(苦)「ヌマタ」そう言って下さってありがとうございます!結局最後まで「スマタ」にしか見えませんでした(苦笑)お菓子、早速探してみます。売ってるといいなぁ。

おぎわらはぎりさま

着ぐるみハボック、尻尾だけホンモノ!可愛いかも(笑)おおお、サインゲットおめでとうございます!確かにバレますが(笑)昔はよくJリーグも見に行ってましたが、最近はもっぱら野球観戦になりました。でもスポーツ観戦は色んな意味で楽しいですよね(爆)そうそう、無理せずまったりと。私の場合まったりし過ぎと言われそうですが(苦笑)
2012年08月16日(木)   No.229 (カプなし)

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