カプなし

=ハボロイ  =ロイハボ
=カプ色あり  =カプなし

2012年10月25日(木)
妖4
2012年10月21日(日)
妖3
2012年10月15日(月)
新・暗獣30
2012年10月11日(木)
妖2
2012年10月09日(火)
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カテゴリー一覧
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その他(16)

妖4
 書斎で本を探していた私は聞こえた物音に本棚に伸ばしかけた手を止める。なんだろうと書斎を出て、物音が聞こえたリビングの扉を開ければ、淡く輝く毛をした犬が立っていた。
「珍しいな、そんな格好で」
 彼はいつも私の前では人の姿をとっているのが常だ。犬の姿で現れるなど珍しいと、彼に近づこうとした私は感じた違和感に足を止めた。
「誰だ、お前は」
 てっきり彼だと思ったがどうもそうではないらしい。彼の他にもこんな美しい犬がいるのかと思いながら尋ねれば犬が答えた。
「名前を返してもらおう、人間」
 突然そんな事を言われて私は眉を顰める。この犬と会うのはこれが初めてで、勿論名前など知るはずもなかった。
「悪いが覚えがないな」
 いきなり他人の家に上がり込んで言いがかりのような事を言う犬を私は睨みつける。そうすれば犬はズイと一歩踏み出して睨み返してきた。
「ふざけるな、盗っ人猛々しいとはこの事だな!奪ったろう、あの男がアイツから奪って隠しておいた名をッ!」
「……え?」
 犬の言葉に私は目を見開く。咄嗟に返す言葉を口に出来ずにいれば、犬の蒼い瞳が物騒な光を帯びた。
「返さないと言うなら力付くで奪うまでだ」
 そう言った次の瞬間淡い銀色に光る犬が飛びかかってくる。発火布を取り出す間もなく、その鋭い牙と爪から少しでも身を守ろうと体を捩った私の前に金色の光が立ちはだかった。
「やめろッ」
 顔を庇って上げた腕を下ろせば、彼が私を守るようにして銀色の犬との間に割って入っている。銀色の犬は驚いたように彼を見つめていたが、やがて振り絞るような声で言った。
「何故だ、何故庇い立てする?なぜ名を奪い返さないッ?」
 詰る響きを載せた問いに彼は俯いて答えない。そうすれば銀色の犬は蒼い瞳に怒りを燃え上がらせた。
「そうやってまたお前は泣くのかっ?人間を真似た姿をしてっ、人間なんかに肩入れするからそんな目にあうんだぞッ」
「でも、オレは……」
「俺は認めない、そんな事赦さない」
 低い声に彼はハッとしたように顔を上げる。何か言おうと唇を震わせた彼を睨んだ銀色の犬は私を見て言った。
「名は必ず返してもらう。覚えておけ、人間」
「待って!オレの話――――」
 引き止める彼の言葉に答える事なく、尻尾を一振りして銀色の犬は姿を消してしまう。宙に向かって伸ばした手をダラリと下ろして彼は私を振り向いた。
「怪我、ないっスか?」
「ああ、大丈夫だ」
 そう答える私が本当に怪我がないか確かめるように、彼は私の体を隈無く見つめる。漸く納得したのか、彼はホッと息を吐き出した。
「コーヒー淹れますね」
 そう言って彼はキッチンへと消える。ソファーに座って待っていると、彼がトレイにコーヒーを淹れたカップを載せて戻ってきた。
「どうぞ」
「ありがとう」
 目の前に置かれたいい香りのするカップを手に取り口をつける。向かいのソファーに腰を下ろして、彼は包み込むようにして持ったカップに顔を寄せた。
「驚かせてすんませんでした」
 小さく身を縮めるようにして彼が言う。
「あの犬は?」
「兄弟……みたいなもんかな」
 彼は少し考えてから答えた。
「いつも一緒にいた、もうずっと長いこと。でもオレが名を奪われて、オレ達は離れ離れになった」
 彼はコーヒーを一口飲んで言葉を続ける。
「騙されて奪われはしたけど辛くはなかった。あの人は優しかったしオレは人が好きだったから。楽しかったんスよ、あの頃は。楽しくて――――幸せだった」
 そう言って懐かしそうに目を細めて宙を見上げる彼を見れば、私の中にザワザワと昏い感情が音を立てる。そんな事にはこれっぽっちも気づかず、彼は言った。
「でもアイツはそれが赦せなかった。アイツは人が嫌いなんです。だからオレ達は会わずにいたけど、あの人が死んだと知ってアイツはオレを迎えにきた」
 言って目を伏せる彼を私はじっと見つめる。
「名を返して欲しいか?」
 そう尋ねれば、ハッとしたように彼は私を見た。何も答えないまま彼は綺麗な空色の瞳で私を見る。私はその瞳を真っ直ぐに見返して言った。
「悪いが返すつもりはない。返して欲しいと言うなら奴がしたようにするしかない」
「ッ!!」
 弾かれたように腰を浮かせて彼が私を見つめる。泣き出しそうに揺れる空色に手を伸ばして、私はそっとその目元を撫でた。
「方法はそれだけだ」
 私はそう言うとカップをテーブルに置き立ち上がる。彼をそのままにリビングを出ようとしてチラリと振り向けば、閉じる扉の隙間からソファーに座り込んで俯く彼の横顔が見えた。
 彼に名を返そうとは思わない。あの銀色の犬なら尚更だ。例え死んでも返したくないと思う私は、かつて彼から名を奪い軒下に名を刻んだ札を隠した男と同じだろう。それはきっとあの銀色の犬も同じに違いないと、窓の向こうの綺麗な空を見上げて私は思った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。そして54万打もありがとうございます!こうやってコツコツと積み重ねていくやる気と励みを下さる皆様に感謝の気持ちでいっぱいですvこれからもどうぞよろしくお付き合いのほど、お願い致しますvvハボック、好きだーッ!!これからも叫ぶぜッ!!(笑)

と叫んだところで「妖」です(笑)もう一匹出てきた銀色のワンコは言わずと知れた?ジャクでございます(苦笑)相変わらず名前が出ない話、判りづらくて申し訳ない〜、でもなんだかそう言う風に書いていきたい(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

いやいや、「また」なんてことないですよ!むしろコメント頂くのを楽しみにしてますvv妖ハボ、色気ありますか?ふふふ、ありがとうございますvでも、きっとそれは「妖」がロイの一人称のせいかな、と。ロイ視点でハボを見てるからそう言う風に感じるんじゃないかと思います。そう感じて頂けたならこの話としては大成功なんだろうなぁ(笑)腰痛、ありがとうございますー。とりあえず騙しだましポメラしてます。そうか、掛け声かけるのはいい事なんですね!じゃあ、恥ずかしがらずに「よいしょ」と言おう!(笑)「久遠の空」ふふふ、人魚姫ですよ!まあ、あくまでモチーフなので人魚ではないと思いますが(笑)そう、本家人魚姫は泡になって消えちゃうんですよねー。王子様を殺してその血を脚にかければ人魚に戻れたけれどそう出来なかった……。泡になった人魚姫のように消えてしまうのかどうするのか、実はまだ決めてないのですが、どうぞお付き合いお願いしますv

阿修羅さま

おお、風邪ひきですか?最近急に冷え込んできましたものね。色々お忙しいでしょうが、どうぞご無理なさいませんよう。キリバン〜、再挑戦ありがとうございますーッ!なかなか思うようにいかないものですね…(汗)三度目でもダメならニアピン賞三つでキリバン一つとかにしましょうかね?(笑)

キリリクに「久遠の空」がありません の方

ええと、一応携帯でも確認しましたし、他の方からコメントも頂いているのでアップ出来ている筈なのですが……うーん、どうしてだろう。一応もう一度アップし直してみました。無事お読み頂けるとよいのですが……。
2012年10月25日(木)   No.263 (カプなし)

妖3
 読んでいた本からふと顔を上げて窓の外に目をやると、庭に佇む彼の姿が見える。空を仰ぎ見る彼が何を見ているのか気になって、私は本を机に置いて立ち上がると庭へと出た。
「何を見ているんだ?」
 そう尋ねれば彼が空に向けていた目を私に向ける。まるで空を見つめすぎてその色が写ってしまったとでもいうような、綺麗な空色の瞳で私を見て答えた。
「随分空が高くなったなぁと思って」
 と言って彼はまた空を見上げる。
「あ、鳥」
 そう言って指差すのにつられるように空を見れば、空の随分と高い所に鳥が飛んでいるのが小さく見えた。
「いい天気だな」
 雲一つない空を悠々と飛ぶ鳥を見つめて私が言う。そうすれば頷いた彼が私を見て言った。
「こんなに晴れてたら夜はさぞかし月が綺麗でしょうね。今夜は十六夜だし」
「十六夜か。人によっては十五夜より綺麗だと言うな」
「どうっスか?月を見ながら一杯いくっていうのは」
 思いもしなかった彼からの誘いに私の心臓がドキンと大きな音を立てる。私はその音が彼に聞かれなかった事を願いながら、精一杯平気な顔で答えた。
「それはいい考えだ。じゃあ酒は私が用意しよう」
「なら摘みはオレが」
 彼が笑って答えるのを聞けば、臆病な心臓がもっと大きな音を立てて跳ね上がった。

 夜になれば二人して庭に椅子と小さなテーブルを出す。テーブルの上に彼が用意した摘みと私のとっておきの酒から選んだボトルを並べれば、小さな月見の宴が始まった。雲一つない夜空には、満月に僅かばかり欠けた月がぽっかりと浮かんでいる。煌々とした輝きは庭を明るく照らして、私と彼は互いに注しつ注されつしながら酒を酌み交わした。
「結構イケる口なんだな」
「妖は酒が好きなんスよ。いや、酒を飲み交わすのが好き、かな」
 彼のグラスに酒を注ぎながら言えば彼がそう答える。彼は月を見上げながら続けた。
「昔は花見だ、月見だって何かにつけて飲んでましたね」
「最近は飲まないのか?」
「一人で飲んでもつまんないっしょ?」
 ほんの少し淋しげに笑う彼の記憶にあるのは誰なのだろう。そう思えば俄かに湧き上がる妬心を押し隠して私は言った。
「私で良ければいつでも付き合うぞ」
 私の言葉に彼は月を見ていた視線を私に向ける。月明かりの中、灰色がかった瞳でじっと私を見た彼が、ふんわりと笑った。
「なら、付き合って貰おうかな――――実は棚の中のコレクション、狙ってたんスよ」
 胸の内を隠すように悪戯っぽく付け足した彼の金髪が月の光に淡く光る。
「まあ、一回飲んだら名前を返すのが一年は延びるがな」
「はあっ?なんスか、それっ!」
「等価交換だろ?」
「うわぁ……目一杯飲まなきゃ割に合わねぇ」
「余計に旨く感じていいんじゃないか?」
 ニヤリと笑って言えばベェと舌を突き出す彼が飲み飽きてしまわないように、旨い酒を探してコレクションに加えておこうとこっそり思った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、更新の励みです、嬉しいですvv

「妖」です。暗獣ハボじゃ書けない月見で一杯(笑)「夏目友人帳」見ていると、妖ってよく集まっては酒を飲んでる感じがします。ニャンコ先生お酒、好きだし(笑)そういや、昨日ビックカメラに行った時にニャンコ先生のガチャガチャがあったのでやってみたら出てきたのは「捕まったニャンコ先生」だった……。えーっ、他に幾らでもあるのにどうしてコレ??どうせなら「お酒とニャンコ先生」とか「友人帳とニャンコ先生」がよかったなー(苦)また今度行ったらやってみよう……またコレだったりして(苦笑)

ところで、最近腰痛です……。前から時々痛い事は痛かったんですが、最近痛みが酷いよ(苦)昨日はダンナと「天地明察」を観に行って、終わって席を立とうとしたら一瞬痛くて立てないかと思いました。流石にそこで「腰が痛い」とは言わないだけの見栄とプライドは残ってたので意地で立ちましたけど、暫くは何かに縋らないと歩けなかったですよ(苦笑)とにかく座ってる方がキツイ、って要するにポメラが辛いんだorz そんなわけで更新遅れたらすみません(汗)

以下、拍手お返事です。

なおさま

コメント一杯頂いてたのにお返事遅くなってすみません(汗)ふふふ、いいなぁ、一家に妖ハボと暗獣ハボが一匹ずつ!暗獣ハボを抱っこしながら妖ハボの手料理など食べたら毎日幸せだろうと思います(笑)ヒューズの立ち位置「可愛いものをくれるけど、うるさい人」!!(爆)ヒューズ、可哀想っ(笑)ハボがロイにこっそりそう囁いたらロイがニヤニヤしながら喜びそうです(笑)「親友疑惑」随分長い事温めていましたが、少しでも楽しんで頂けたでしょうか〜。指輪はあまりに露骨だし、ハボとしてはやっぱりあの「ロイ・マスタング大佐」からの指輪は受け取れないと思うんですよね。なのでイヤーカフ。とりあえずマーキングさえ出来ればロイも満足かなーと(笑)いや、しっかり毎日躯にマーキングしてますけどね(爆)「セレスタ」あはは、マドラス、気に入ってますか?思わぬところに応援が(笑)確かに今のところ真相を知っているのはマドラスだけですしね。ふふふ、続き頑張りますvv
2012年10月21日(日)   No.262 (カプなし)

新・暗獣30
「向こうに行っている間にこちらも大分涼しくなったな」
 ロイは開け放った窓に手をつき、体を乗り出すようにして空を見上げながら言う。コテージにいる間は朝、部屋が徐々に明るくなる事に慣れていたハボックは、いきなり鎧戸が開いて朝の光が射し込んできた室内に、苦情の声を上げた。
「ろーい〜」
「ああ、すまん。うっかりしていた」
 いつもは声掛けしてから開けていたのを久しぶりの我が家ですっかり忘れていた。クッションに潜り込むハボックにロイは窓の外を見ながら言った。
「ハボック、上から見ると庭の木も色づいてきたぞ。見てみろ」
 だが、ロイが誘ってもハボックは出てこない。ロイはやれやれとため息をつくと、ハボックをそのままに寝室を出た。キッチンでコーヒーをセットしてから旅行中にたまった洗濯物を洗濯機に放り込む。それから手早く一人分の朝食を用意し新聞片手に食べていると、漸くハボックが起きてきた。
「おはよう、ハボック」
「ろーい……」
 ハボックは眠そうに目をこするとトテトテとロイに歩み寄り、ロイの膝にぽすんとぶつかるように縋りつく。そのまま目を閉じてしまうハボックにクスリと笑ったロイが何か言おうとする前に、玄関からドンドンと扉を叩く音がした。
「なんだ?」
 驚いて犬耳をピンと立てたハボックが不安そうにロイにしがみつく。ロイは安心させるようにハボックの髪を撫でて立ち上がった。
「ここにいろ、ハボック。それから耳と尻尾はしまっておけよ」
 短く指示だけ与えてロイはドンドンと叩く音が響く玄関に向かう。蘇ってくる記憶を追い出し乱暴に扉を開けた。
「煩いぞ、一体何の用――――ヒューズ」
 開けた扉の向こう側に立つのが見慣れた友人の姿と気づいてロイは目を瞠る。
「一体どうしたんだ、ヒューズ。朝っぱらから随分と騒がしい登場だな」
 いつでも賑やかなヒューズではあるが、それにしても今朝のこれはいただけない。ロイは不快感も露わに尋ねたが、ヒューズはそれを上回る不機嫌なオーラを纏ってロイを睨んだ。
「よくも俺を仲間外れにしたなっ、ロイ!」
「は?」
 唐突にそんな事を言われてロイが訳が判らないといった顔をする。ヒューズはそんなロイにズイと顔を寄せて言った。
「仕事を終わらせるからと言ったのに俺をおいて出かけた上に、旅行先も告げないなんて……ッ」
「ああ、なんだ、そんな事か」
 一体何事かと思えばヒューズが言うことを聞いて、ロイは肩を竦める。怒りの理由を“そんな事”の一言で片づけられてヒューズはすわと目を吊り上げた。
「そんな事だとぅッ!ハボックちゃんの初めてのバカンスだったんだぞッ、俺だって、俺だって一緒に行きたかったのにーッ!」
 襟首を掴んで喚き立てる髭面にロイはうんざりとため息をつく。その時、リビングの扉が開いて、不安げなハボックの顔が覗いた。
「ろーい……?」
「ハボック、大丈夫だ。何も心配ない、――――ヒューズ、いい加減にしろ、ハボックが不安がってるだろうがッ」
 ゴンッと拳固でヒューズの頭を殴れば襟首を掴んでいた手が緩む。ヒューズは殴られた頭をさすりながらハボックの方を見た。
「ハボックちゃぁんッ」
 ヒューズはロイを突き飛ばして家の中に駆け込む。その勢いにビックリしながらも、ハボックはやってきたのがヒューズだと判ると扉の陰に隠れるようにしてニコッと笑った。
「ろーい」
「ハボックちゃんっ」
 ヒューズはハボックの前にしゃがみ込むと小さな手を握り締めて言った。
「酷いよなっ、ハボックちゃんもそう思うだろ?俺を置いていくなんてロイの奴、俺とハボックちゃんが仲良しだからヤキモチ妬いてんだぜ」
「誰がヤキモチなんて妬くか。馬鹿者」
 玄関を閉めて中に戻ってきたロイがヒューズを睨んで言う。そんなロイを見上げてヒューズは言った。
「ヤキモチじゃなければ俺に旅行先を教えていったろ?なぁ、ハボックちゃ――――あれっ?ちょっと、ハボックちゃんっ?」
「ろーいっ」
 ハボックは戻ってきたロイに手を伸ばすとギュッとしがみつく。
「すまんな、ヒューズ。どうやらハボックも私と二人で出かけたかったらしいぞ」
 しがみついて頬を擦り寄せてくるハボックの髪を撫でながらロイが勝ち誇ったように言えば。
「そんなぁッ、ハボックちゃあんッ!」
 ヒューズが情けない声を上げた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、本当に励みになってます、嬉しいですv

「暗獣」です。ヒューズ、やってきました。でも、ハボックはやっぱり二人きりのバカンスがよかったらしいです(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、便利ですよ、妖ハボックv料理も出来て部屋も綺麗に整えてくれて探しものまでしてくれる上、更に萌えと癒しまでくれるっていう…。一家に一匹妖ハボック欲しいです(笑)「セレスタ」諸悪の根源はやっぱり変態スケベエロオヤジのせいですかね(笑)しかし、変態スケベエロオヤジって(爆)「またお前かよっ」なんて思いませんよ!本当にいつも励まされてますvv

風汰さま

まど☆マギ、いいですよねぇ!まだ第七話までしか見てないんでどうなるのかドキドキです。やっとキュウべぇが黒くなってきましたよー(笑)今のところ誰が一番というのはなくて誰もみな好きですが、まみさんの銃がカッコよくて好きですvおお、ソウルジェムのストラップ、いいなぁ!映画の大画面でみたらまた凄そうです!

ハボロイ版ローマの休日が の方

わーいvもういい気になってローマの休日してましたが、キュートと言って頂けてとっても嬉しいですvありがとうございますvvべスパに二人乗りして走るシーンは私が絵師だったら凄く描きたいシーンなので、写真に撮れるものなら本当に撮りたいですし、飾っておきたいなんて言って頂けて本当に嬉しいですv
2012年10月15日(月)   No.261 (カプなし)

妖2
「ない」
 私はそう呟いて顔を上げる。ハアとため息をついて散らかった書斎を見回した。
 いつも持ち歩いている手帳が見当たらない。ちょっとした事から大事な事まで、何でも書き留めている手帳だ。正直なくなりなどしたら、これまで積み上げてきたものの半分以上を失ってしまうと言えるほどの一大事だった。
「参ったな」
 私は本の山があちこちに積み上げられ書きかけのメモやら服やらが散らかった書斎を見てため息をつく。書斎のどこかにあるはずだが、この中から探し物をするのは考えただけで気が遠くなりそうだった。
「うーっ」
 腰に手を当て唸ったところで出てくる筈もない。仕方ないと探し始めようとした時、扉のところからクスクスと笑う声がした。
「なに唸ってるんスか?」
 そう言う声に振り向けば、彼が扉に寄りかかるようにして立っている。
「手帳が見つからないんだ」
 と言うと、彼が考えるように首を傾げた。
「手帳っていつも持ってる黒い革のやつ?」
「ああ。この部屋のどこかにある筈なんだが」
 うんざりしたような響きをのせた私の言葉に彼が書斎を見回す。
「普段から片付けておかないからっスよ」
「ちゃんと何がどこにあるか判ってるからいいんだ」
「でも手帳の在処は判らないんでしょ?」
 苦しい言い訳を一言の下に切り捨てられて私はウッと口ごもった。
「仕方ないっスね」
 クスリと笑って言った彼が書斎の中に入ってきたと思うと私に向かって手を伸ばす。私の首にスルリと腕を絡めた彼が私の襟元に顔を埋めた。
「おいっ?!」
 驚いて肩を掴んで引き剥がせば、にっこりと笑って彼が言った。
「アンタの匂いは覚えてるっスけど、ここはアンタの匂いだらけだから」
 しっかり鼻に焼き付けておかないと、と言ったと思うと掴んだ肩がスルリと手から抜けて、人だった姿が金色の犬になる。彼はクンと鼻を鳴らして書斎の中を歩き回った。
「どっかにしまい込んだりはしてないっスよね?」
「ああ。どこかにポンと置いた筈だ」
 歩きながら尋ねてくる彼に私は答える。彼は積み上がった本の山に軽々と飛び乗り、書斎の中を見回した。
「アンタの匂いがついた革の匂いは幾つかあるんスけど……」
 彼は考えるように本の山の上で首を傾げる。傾げた首を伸ばして空気中の匂いをクンと嗅いだと思うと、ピョンと山から飛び降りた。そのままピョンピョンと山を飛び越え本棚のすぐ側の山の間に顔を突っ込む。見えなくなった顔が再び現れた時、彼の口には黒い革の手帳が咥えられていた。
「はい、これっしょ?」
 本の山を飛び越えて私の側までくると、彼は咥えていた手帳を床に置く。体を屈め手帳を拾い上げて顔を上げれば、人の姿になった彼が笑みを浮かべて立っていた。
「そうか、棚から本を取るのに近くの本の上に置いたらそこから落ちたのか。よく見つけられたな」
 ホッと息を吐いて礼を言えば彼が答える。
「アンタの匂いがする革でアンタが使ってるペンのインクの匂いが一番強いやつを探したんスよ。一応匂いを辿るのは得意なんで」
「助かったよ、本当にありがとう」
 ニコッと笑って言う彼に心の底から礼を言えば、彼は私の瞳を覗き込むようにして言った。
「お礼に名前を返してくれるとかありません?」
 悪戯っぽい表情を浮かべる彼に私は答える。
「それは等価交換じゃないな」
「えーっ、オレの名前ってアンタの手帳以下?」
 ひでぇとボヤく彼に笑って返せば彼はやれやれとため息をついた。
「まあ、これに懲りたらもう少し片付けるんですね」
「なくしたらまた探してくれるだろう?」
「またタダ働きさせる気っスか?」
「好きだろう?」
 ニヤリと笑って言えば彼が私の顔を見る。私を見つめる空色の瞳が瞼に隠れたと思うと彼は笑って言った。
「そうっスね」
 隠された瞳にどんな感情を隠したのだろう。私は襟元に微かに残る彼の香りを吸い込んでそう考えた。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気貰ってます、嬉しいですーv

「妖」です。ふー、結局これもシリーズ化しそうな気が……これ以上増やしてどうするんだ(苦笑)相変わらず名前が出てきませんが、これでロイとハボと言えるのかどうか(笑)どこまで名前出さずに行けるかなぁ(おい)
昨日の「夏目友人帳」は「子狐の帽子」(あれ?“と”だったかな)だったんですが、あーっ、やっぱこの手の尻尾は可愛すぎて死ねるッ(爆)いやあ、子狐、可愛かった!もう、あんな子に懐かれたら妖でも狐でもいいよ!夏目、ちゃんと追いかけてくれてありがとう(笑)やっぱりこの手の話好きだーv
最近もう一つ気に入って再放送見てるのが「魔法少女まどか☆マギカ」だったりします。これ、以前息子が友達に「面白いから見てみろ」と言われ、タイトルから「どうせ萌えだけのろくでもない話だろう」と高をくくって見たら全然違って「バカにしてごめんなさいっ」と叫んでいたので、どういう話だろうと思って見てみたんですが…。いやあ、あの可愛らしい絵からは想像がつかない重たい話!好みですが(笑)アニメなのに色鉛筆見たいな淡い色合いも好きだし、あの魔女の結界?迷路?の絵も凄い好みだったり。OP、EDもいいしなぁ。男の子が出てこないアニメでこれだけ気に入ったのは久しぶりかもーvただ、放送時間が丁度ダンナが帰ってくる頃で見てると邪魔が入るのが難点。結局翌日の再々放送見てたりします。だってちゃんと見たいんだもん(苦笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

うお、バイオハザード!確かに心臓ドキドキバクバクしそうです(笑)どうぞゲームの合間に暗獣で癒しを(笑)そうそう、やっぱり締めは花火ですよね!次回は拗ねるヒューズの話かしら(笑)「親友疑惑」やっとラブラブですvブレダ、本人はお兄ちゃんしたい訳じゃないと思うんですが、ハボ見てるとお兄ちゃんになっちゃうんだろうなぁと思います(笑)いつもコメントありがとうございます。とっても励みになりますv……ってあんまり書くとかえって重荷になるかなぁと思いつつ、本当にいつも感謝しておりますv
2012年10月11日(木)   No.260 (カプなし)

新・暗獣29
「んーっ」
 と、ロイはうっすらと明るくなった巣の中で伸びをする。隣を見ればハボックが小さく丸まってぴすぴすと寝息をたてていた。
「朝だぞ、ハボック」
 ロイはそう言いながら金色の髪に埋もれる犬耳をつんつんと引っ張る。そうすればハボックがむずかるようにフサフサの尻尾でロイの腕を叩いた。
「……癖になってるな」
 ロイはそう呟いてため息をつく。家に戻ったらちゃんとしまっておくようにさせなくてはと思いつつ、ロイは起きようとしないハボックの上にドサッと覆い被さった。
「さっさと起きないと潰すぞ」
「ろー、いっ」
 眠っていたところを小さな体の上に圧し掛かられてハボックが悲鳴を上げる。ロイの体とシーツの間でジタバタともがいたハボックは次の瞬間ポンッと黒い毛糸玉に姿を変えた。
「あっ」
 驚いたロイが体を浮かした隙間から毛糸玉がスススと滑って抜け出す。ロイの手が届かないところまで逃げると毛糸玉は再びポンッと跳ねて男の子の姿になった。
「ろーいッ」
「ははは、おはよう、ハボック」
 プクーッと頬を膨らませるハボックにロイは笑って答える。床に座り込んで恨めしげに見上げてくるハボックの金髪をポンポンと叩くと、ロイは顔を洗って着替えた。
「下りるぞ」
 肩越しにそう言いながら部屋を出ればハボックが慌てて追いかけてくる。急な階段を下りれば夕べ食べた魚のグリルの匂いが微かに残っていて、ロイは昨日の夕食を思い出して笑みを浮かべた。
「昨日の魚は旨かったな。お前にも食べさせてやりたかったよ、ハボック」
 冷蔵庫から取り出したウィンナーとジャガイモを切りながらロイが言えば、ハボックが小首を傾げる。フライパンでサッと炒める間に、ハボックがコップに牛乳を注ぎ、パンとリンゴをテーブルに運んでくれた。
「働き者だな、ハボック」
 ありがとうと言うロイにハボックが嬉しそうに笑う。ロイは炒めたものを皿にあけるとそれを手にリビングのソファーに腰を下ろした。
「お前の水は?」
 ロイが聞いたがハボックはソファーによじ登ると小さく丸まってしまう。いらないと言うように尻尾を振るハボックにロイはパンをかじりながら言った。
「嫌いと言わずに少しは飲まないと、体に良くないんじゃないか?」
 正直生き物としてのハボックがどういう存在なのか判らない為、唯一の食料である水をどの程度取らずにすむのか判らない。ロイはため息混じりにハボックの髪をクシャクシャと掻き混ぜた。
「頼むからいきなり倒れたりするなよ?」
 ロイがそう言えばハボックがロイの手に頭を擦り付ける。にっこりと笑って見せるハボックの頭をポンポンと叩くと、ロイは食事に集中した。
 ロイが食事を済ませると二人は外へと出かけていく。綺麗な花を摘んだり木登りしたり、爽やかな風の中チョロチョロと走り回るハボックについてまわれば結構な運動になって、ロイはやれやれと足を止めて道端の切り株に腰を下ろした。
「ろーい」
 それを見たハボックが戻ってくるとロイの手を引っ張る。そんなハボックにロイが待て待てと苦笑して訴えれば、ハボックはロイの膝によじ登った。ロイに寄りかかるようにしてハボックが歌い出した調子っぱずれの鼻歌が、懐かしい天使の時計の曲だと気がついてロイは笑みを浮かべる。懐かしい歌が吸い込まれていく空を見上げて、二人はのんびりと風に吹かれた。

 夕飯を済ませるとロイはソファーの上でボート小屋の係の男に貰ったオレンジ色のウキを眺めているハボックに声をかける。ハボックはウキを大切にカバンの中にしまうとロイの後を追って外に出た。
「ろーい?」
「こっちだ、ハボック」
 キョロキョロとしているハボックにロイが声をかける。パタパタと走り寄ってきたハボックにロイは言った。
「ハボック、花火をしよう」
 そう言われてハボックは尋ねるように首を傾げる。ロイはロウソクに火をつけると袋の中から花火を取り出してハボックに見せた。
「これにロウソクで火をつけるんだ。見てろ」
 ロイは言って花火の先をロウソクに近づける。少し待てば花火の先端からシュッと火花が散って、パチパチと色鮮やかな焔が噴き出した。
「どうだ、綺麗だろう?」
「ろーいっ、ろーい!」
 パチパチと弾ける焔にハボックが目を輝かせる。その身の半分程を燃やして花火が消えると、ロイは用意したバケツに燃えかすを突っ込んだ。
「ろーい〜っ」
「判った、判った、やらせてやるから」
 腕にぶら下がってやりたいと主張するハボックにロイは笑って新しい花火を取り出す。ハボックに持たせると小さな手を上から握り、ロウソクに花火を近づけた。
「先っぽにつけるんだ。焔に押しつけすぎるとロウソクが消えてしまうからな」
「ろいっ」
 コクンと頷いてハボックは花火を見つめる。シュッと火花を散らした花火がパッと燃え上がれば、ハボックは歓声を上げた。
「ろーいっ」
「上手いぞ、ハボック」
 手を離してロイが言えばハボックが嬉しそうに笑う。手にした花火でクルリと円を描けば闇の中に焔が輪を描くのを見て、ハボックは喜んで尻尾をパタパタと振った。焔が小さくなって消えてしまうとハボックはロイがしたようにバケツに燃えかすを入れる。強請るように見上げてくる空色にロイが新しい花火を渡せば、ハボックはいそいそと花火をロウソクに近づけた。
「よし、一緒にやるぞ」
 ロイは言って花火を手にするとハボックと一緒にロウソクに近づける。ハボックの花火が燃えだしたのに一瞬遅れてロイの花火にも火がつき、二人は一緒になって闇の中に花火を翳した。
「ろーいッ」
「ハボック、顔が赤や緑になってるぞ」
「ろぉいー」
 焔の色を映して顔の色が変わるのを見てロイが言うと、ロイも同じだとハボックが言う。次々と花火に火をつけては闇に焔の花を咲かせて、二人は大声で笑いあった。
「さて、ハボック。最後の締めはコイツだ」
 手持ちタイプの花火を全て終えると、ロイは最後に袋に残っていた筒を取り出す。ハボックを少し下がらせると、倒れないように筒を地面に立てた。
「危ないから離れて見てるんだぞ」
 ロイは一言言ってからロウソクを手に取る。導火線に火をつけるとハボックの側まで下がった。
「見てろ、ハボック」
 ロイの言葉にハボックは息を詰めて筒を見つめる。ジジジと導火線を伝った火が筒に辿り着いたと思うと、シューッと音が聞こえてきた。最初は小さかった音が大きくなるのに合わせるように筒の先端から火花が出てくる。やがて火花は焔の噴水になって筒から高く上がった。
「ろーいッ!」
 シュワーッと音を立てて焔の噴水が夜闇に浮かび上がる。高く噴き上がる噴水をハボックはまん丸に見開いた目を輝かせて見上げた。
「ろーい!」
「うん、綺麗だな」
 ロイの袖口を引っ張って言うハボックにロイが頷く。高く上がっていた焔が徐々に小さくなっていくのを見てハボックが残念そうな顔をした時、筒の先端からなにかがシュッと飛び出した。
「ろーいっ?」
 空に向かって飛び出したそれが一番高く上がったところでポンと開く。フワフワと揺れながら落ちてきた落下傘をハボックは手を出して受け止めた。
「ろーい!」
「よかったな、ハボック」
 手にした落下傘を嬉しそうに見せるハボックの頭をロイはポンポンと叩く。ハボックはその手に柔らかい頬を擦り寄せた。
「ろーい」
 ありがとうと言う代わりに名を呼ぶハボックに、ロイは嬉しそうに笑った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになってます。ありがとうございますv

「暗獣」です。今回でバカンス編はおしまいです。本当はもう少し書きたい話もあったのですが、流石にこう周りが秋だとバカンス書けない(苦笑)もう少し早くから書き始めればよかったなぁ(苦笑)書きたい話はまた機会がある時に……ええと、来年?(爆)そんなわけで次からは季節を追っかけて行きたいと思います(笑)

以下、拍手お返事です。

おぎわらはぎりさま

うわあ、携帯頭真っ白ですか!それは確かに泣きそうですね……(苦)久しぶりに髭帰ってきました。ははは、確かにグラサンならどこ見ててもバレなさそうですね(笑)もっとも髭なら平気で見てそうな気もしますが(苦笑)色々大変そうですが、お体お気をつけて。気分転換にお立ちより頂けたら嬉しいですv

菜ノ花さま

わあ、大当たりでしたか!「夏目友人帳」いいですねv明日は子狐の話のようなのですが、予告見てあまりの可愛さに「録画しなきゃーッ」と叫んでおりました(笑)火曜日にアニメシリーズの3をやっていた事に今更ながら気づいたのでそっちも見ようと思っているところです。また「妖」書きたくなってきました(笑)書いたら是非読んでやって下さいねv

なおさま

うふふ、ハボックにぴったりですか?嬉しいですv妖のハボックならやっぱりシェパードタイプですよね。続きを書いたら多分まったりな話になると思いますが、個人的にはそんな話も好物なのでお付き合い頂けたらと思いますv
2012年10月09日(火)   No.259 (カプなし)

(あやかし)
 最近私は妖を一匹飼っている。偶然一枚の札を手にした事で、一匹の妖を手に入れたのだ。

 彼と初めて会ったのはほんのひと月程前のこと。その日偶々雨宿りに立ち寄った古い屋敷の軒下に、私は隠すように押し込まれている擦り切れた小さな札を見つけた。それがかつて彼を捕らえていた男が彼の名前を記した札であることを、私はその札を手にして記された文字を口にし再び彼から名前を奪ってしまってから知ったのだった。
「そんなところに隠してあったなんて」
 私が口にした名に答えるように姿を現したのは、金色の毛をしたそれはそれは美しい一匹の犬だった。犬が喋るなど普通の人間から見れば信じられない事かもしれないが、幼い頃から不思議な現象を目の当たりにする機会が度々あった私には別段驚く事ではなかった。それよりも私は彼の美しさに驚き、目を奪われた。淡く金色に輝く毛並みと空を切り取ったような澄んだ空色の瞳をした犬は、困ったように首を傾げて言った。
「名前を返してもらえませんかね。アンタには必要のないものでしょう?」
 そう言われて私は手にした札を見る。なにも答えずにいれば彼は重ねて言った。
「昔、その家に住んでた男に騙されて、名前を奪われちまったんス。アンタがそれを手にしたのは偶然っしょ?」
 妖にとって名前はとても大事なものだ。奪われてしまえば己の名前を奪った相手に従うしかない。私をじっと見つめてくる空色は秋の空のように澄んで美しく、それを見れば私は手にした札をポケットにしまった。
「マジっスか?」
 妖とは思えない口調で彼は言う。ハアとため息をついた彼が尻尾を一振りすると、目の前にいるのは犬ではなく一人の青年になった。
「あの男がいなくなって、ずっと探してたのに……。ねぇ、やっぱり返してくれる気ないっスか?」
「返して欲しければ家に来い――――まぁ、返すかどうかは別問題だがな」
 金髪に空色の瞳をした青年に私はそう言って微笑むと、軒下から出ていつの間にか雨がやんだ通りを家に向かって歩いていった。

 そんなことがあって以来、彼は私の家に通ってくるようになった。
「名前、返してくれませんか?」
 最初のうちは挨拶代わりに言っていた言葉を、一週間も過ぎる頃には口にしなくなった。その代わり家に来ると甲斐甲斐しく私の世話を焼いていく。ある時その理由を尋ねれば、彼は笑って言った。
「だってアンタ、生活能力ないんスもん。メシはワインとパンだし、部屋ん中は散らかってるし……。なんか放っておけないっつうか」
「随分お人好しだな。そんなだから騙されて名前を奪われたりするんじゃないのか?」
「そうかもしれないっスね」
 彼は私の言葉に苦笑する。それでも変わらず私の為に食事を作り洗濯をし、部屋を快適に整えた。彼と過ごす空間はとても居心地がよく、益々彼に名前を返す気持ちを遠ざけた。
「ねぇ、名前返してくれません?」
 彼は時折思い出したようにそう言う。だが、私が笑みを浮かべるだけで答えずにいれば、彼はやれやれと苦笑して私が座る椅子の足元に座り込みのんびりと時を過ごすのだ。

 彼の名を刻んだ札を私は誰の目にもつかない場所にしまい込む。あの優しく美しい妖をいつまでも縛り付けておくために。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります、嬉しいですv

今日の更新ですが、ちょっと間にあいそうにありません〜(苦)昨日書ける予定が人がきて狂っちゃった……。そんなわけで今日の更新は日記だけです、すみません(汗)

と、そんな事を言いつつ、よく判らない日記ですね。以前から読みたいと思っていた「夏目友人帳」のアニメシリーズの第一期を今月からアニマックスで再放送やっているので見てるんですよ。友人帳って、こういうものだったのねー。やっと納得(笑)この手の話は好きですが、あの名前を返すやり方がまたいいなーvニャンコ先生もいいけれど、やはり斑は本当の姿になった時がカッコいいです。そんなわけで犬の妖、ハボックの話だったり。

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、ハボック、無事魚釣れましたv体重軽いから、ついうっかり魚に釣られそうですよね(苦笑)定番はロイ釣りかハボ釣りかで悩みましたがロイに釣られて貰いました(笑)その代わり、晩御飯はハボが釣った魚でロイもご馳走だったと思います。
2012年10月06日(土)   No.258 (カプなし)

新・暗獣28
「いいか、ハボック。針にこのイクラをつけて湖に垂らすんだ」
 ロイはそう言ってイクラを二粒針につける。真剣な眼差しで見つめてくるハボックをチラリと見て竿を構えた。
「こうやって」
 と、ロイは軽く竿を振る。そうすればヒュッと糸が空を切ってエサをつけた針先が少し離れた湖面にポチャリと落ちた。
「こんな感じ。まあ、お前だったら振らないで垂らせばいいよ」
「ろーいっ」
 ロイは言ったが、やはりああやって竿を振るのは格好よく目に映ったのだろう。ハボックは目をキラキラと輝かせる。そんなハボックにロイは笑みを浮かべて言った。
「あのオレンジ色の、浮いてるだろう?ウキって言うんだが魚がかかるとあれがグッと水の中に引き込まれるから、そうしたら竿を引く」
「ろーい……」
 ロイの説明にハボックが首を傾げるのを見て、ロイは金色の頭をポンポンと叩いた。
「聞くよりやった方が判るよ」
 ロイは言って手にした竿を渡そうとする。だがハボックはふるふると首を振るとボートの底に寝かせてあるもう一本の竿に手を伸ばした。
「ろーいっ」
「そうだな、最初からやりたいよな」
「ろいっ」
 ハボックはコクンと頷くとエサ箱に手を伸ばす。恐る恐るイクラを摘むと針に近づけ、じっと針先を見つめて慎重にイクラをつけた。ふーっと息を吐いてハボックは釣竿を構える。
「ろーい!」
 ハボックはかけ声と共に竿を振った。
「うわッ」
 すぐ横で上がった悲鳴にハボックが見れば、ハボックが振った針がロイのシャツの襟に掛かっていた。
「ハボック、私を釣らんでくれ」
「……ろーい」
 申し訳なさそうに首を竦めるハボックに、ロイは苦笑して襟から針を外す。ハボックは今度はそっと小さく竿を振った。針先がポチャンと水面に落ちればハボックがロイを見る。
「上手いぞ。そうしたら後は魚がかかるのを静かに待つだけだ」
 そう言われてハボックは神妙な顔で竿を構えて水面を見つめた。そのまま待つこと数分、ロイが持つ竿のウキがピクリと動く。次の瞬間オレンジのウキが水に潜るのを見て、ロイは竿を引いた。沈んでいた針先が水を撒き散らして出てくる。そこに食いついた魚が銀色の鱗に太陽の光を弾いて尾を振るのを見て、ハボックが目を輝かせた。
「ろーいっ!」
「よしっ」
 ロイは糸を手元に引き寄せて持つと釣った魚をハボックの目の前に翳す。
「どうだ、大物だぞ」
「ろーいっ、ろーいっ」
 魚が釣れたのを見てすっかり興奮したハボックが、いつの間にやら出した尻尾をパタパタと振った。
「尻尾出てるぞ」
 ロイが苦笑して言えばハボックが「あれ?」という風に背後を見る。チラッと見る空色の瞳にロイはため息をついて言った。
「甘やかすとクセになるんだがな」
 そう言いながらも引っ込めろとは言わないロイにハボックがニコッと笑って竿を構え直す。ロイも魚を針から外し魚籠に入れるとエサをつけて糸を垂らした。
「次はお前の番だな」
「ろいっ」
 言われてハボックはむんと竿を握り直す。当たりがくるのを今か今かと待っていたのだが。
「お」
 クンと竿を引かれるのに合わせてロイが竿を上げれば魚がピチピチと尾を振って上がってくる。五匹目の魚を魚籠に入れながらロイはハボックをチラリと見た。最初のうちはワクワクした様子で糸を垂れていたハボックだったが、今ではすっかり難しい表情だ。眉間に皺を寄せ口をへの字にしているハボックを見てロイは言った。
「ハボック、場所を変わろうか?」
 さっきから一度も当たりの来ないハボックにロイが言う。
「数十センチ場所が違うだけで当たりが来たり来なかったりするから」
 だがハボックはロイの言葉を遮るようにふるふると首を振った。
「ろーい」
「そうか、判った。頑張れ」
 もう少しここで頑張ると主張するハボックにロイは頷く。ハボックはギュッと竿を握るとじっと水面を見つめた。
 静かに釣り糸を垂れていれば湖の上を風が吹き抜け湖面に漣がたつ。それに合わせてウキも揺れて水中に沈んだ針も揺れているだろうと思えた。そうして二人は無言のまま時折吹き抜ける風に髪を揺らして竿を構え続ける。ロイの竿にも当たりがこなくなって、ロイが少しボートを動かそうかと思った時。
 ハボックの犬耳がピクンと動く。それとほぼ同時にピクリと動いたウキがグッと水面に引き込まれた。
「ろいッ」
「来たか、ハボックっ」
 掛け声を掛けて竿を引くハボックに、ロイが自分の竿を放り出して身を乗り出す。ハボックは背後に体重を掛けるようにして全身で竿を引いた。
「頑張れっ、魚が見えてきたぞ!」
「ろぉいーーッ!」
 ハボックが渾身の力で竿を引いた次の瞬間。
 パアッと水を撒き散らして大きな魚が姿を現した。
「ろーいっ」
 勢い余って背後に倒れ込むハボックの竿を、ロイが飛びつくようにして支える。竿の先から垂れる糸にぶら下がった魚を見て、ロイが声を張り上げた。
「やったぞ、ハボック!今日一番の大物だ!」
「ろーいッ!」
 ボートの中でひっくり返っていたハボックが体を起こして釣った魚を見上げる。ピチピチと尾を振ってキラキラと太陽の光に輝く銀色の魚に、ハボックが空色の瞳を大きく見開いた。
「ろーいッ、ろーいーッッ!」
 ピョンピョンと狭いボートの中を飛び回ってハボックが大喜びする。
「やったな、ハボック、凄いぞ!」
「ろーいっ」
 笑って差し出すロイの手にハボックがハイタッチして尻尾を振った。
「ろーい!ろーい!」
「ハボック」
 バンザーイとばかりに両手を上げて大喜びするハボックと凄いと褒めるロイの笑い声が、風に乗って湖の上を流れていった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、励みになります〜っ、嬉しいですvv

「暗獣」です。ハボック、無事釣れました(笑)念の為、釣りの描写はいい加減ですんで釣りガールな方、突っ込まないで下さいね(苦笑)ハボック、体重が軽いのでボートの上で跳ねてもオッケです。うっかり魚に引きずり込まれなくてよかった(笑)さて、やっと釣りが終わりましたよ。あと二つほど書きたい事があるんだけど、東京も秋の気配が濃くなってきましたー。今日は27度くらいにはなるらしいですが、そろそろ気分が秋なのでヤバいです。日記は特に季節に内容が引きずられるんですよね(苦笑)早く秋話が書きたい……。バカンス、急がなきゃーッ(苦)

以下、拍手のお返事です。

なおさま

うふふ、そうそう、ヒューズの裸眼は凶悪ですvあの目でじっと見つめられたら腰砕けの上、なんでも言う事聞いちゃいそう(笑)ハボの眼鏡も可愛いでしょうねv「親友疑惑」この話、実は5年ほど前に書いたのを今頃アップしてるんですが、この誤解を解くシーンは全面的に書き直してあんまり嫉妬してる感じじゃなかったのをこっちに変えたんですよ。なので「いい」と言って頂けてとっても嬉しいですvv躯って漢字、やっぱり妙にエロくさいですよね!!「暗獣」では絶対使わない漢字(笑)「暗獣」では「体」、「セレスタ」では「躯」を使うようにしてます(爆)
2012年10月04日(木)   No.257 (カプなし)

新・暗獣27
「今日もいい天気だな」
 別荘を出て歩いていけば、やがて林が途切れて湖の畔に出る。太陽の光を反射してキラキラ光る湖面を横目に見ながら二人はボート乗り場へと歩いていった。
「ろーいっ」
 ボートが繋がれている乗り場が見えてくると、ハボックがロイの手を引っ張る。急かすハボックに歩みを小走りへと速めて、ロイはボート小屋に辿り着いた。
「あ、いらっしゃい」
 二人を覚えていたらしい係の男がハボックの手を繋いだロイを見て笑みを浮かべる。それに「やあ」と返してロイは続けた。
「今日は釣りの道具も頼むよ」
「いいですけど、ちょっと時間が遅いからあまり釣れないかもしれませんよ?」
「……ろーい」
 係の男がそう言うのを聞いてハボックが目を細めてロイを見る。寝坊を責める視線を受け流してロイは釣りの用意を頼んだ。
「竿と魚籠、それからこれにエサが入ってますから」
 男はそう言いながら小さなケースの蓋を開ける。ロイと一緒に覗き込んだハボックがピッと悲鳴を上げて飛び上がった。
「ろ〜い〜ッッ」
「ん?どうした、ハボック」
 ロイは箱の中のミミズを摘んでハボックを見る。それを見たハボックが物凄い勢いで逃げだし、五メートルほど離れた木の後ろに隠れた。
「ああ、これか」
 ロイはウニョウニョと動くミミズを見て言う。箱に戻してハボックに近づこうとすれば木の陰から顔を出したハボックがブンブンと首を振った。
「そんなに嫌がらんでもいいのに」
 ロイはため息混じりに言いながらも水道を借りて手を洗う。そうまでしてからやっと近づくロイを、木にしがみついたハボックが目をまん丸にして見上げた。
「ちゃんと洗ってきたからいいだろう?」
 そう言ってロイは手を開いて見せる。それでも自分からは出てこないハボックにため息をついて、ロイは手を伸ばすとハボックを抱き上げた。
「ろーい……」
「もうミミズはついてないよ」
 心配そうに自分を抱く手を見つめるハボックにロイは苦笑する。ボート小屋に戻れば二人の様子を見ていた係の男がクスクスと笑った。
「じゃあエサはこっちにしましょう」
 そう言って男が見せた箱の中をハボックが恐る恐る覗く。そうすれば赤いツブツブが入っているのを見て、ハボックが心配そうにロイを見た。
「これはイクラだよ、ハボック。魚の卵だ。間違ってもミミズが生まれてきたりしないから安心しろ」
 そう聞いてハボックがホッと息を吐く。ロイはハボックを下ろすと釣りの道具一式を受け取って乗り場に行った。先にボートに乗り釣り道具を置いてからハボックに手を伸ばす。係の男の手を借りて乗り込んでくるハボックの手を取るとボートの中央に座らせた。
「今の時分だと湖のあの辺りがいいと思います。あそこ、高い木が見えるでしょう?あの辺り」
「判った、ありがとう」
 体を捻って男が指差す先を確認したロイは礼を言ってオールを握る。途端に張り切り出すハボックを脚の間に座らせた。
「いってらっしゃい」
 ボートを押し出して手を振る男にハボックが嬉しそうに手を振る。ひとしきり手を振るとオールを掴もうとするハボックにロイが言った。
「ボートなら後で漕がしてやるから今は急いでポイントに向かおう」
「ろーい〜っ」
 ロイの言葉にハボックが思い切り不満そうな声を上げる。それに構わずロイはオールを漕ぎ続けた。
「早くしないと魚が釣れないぞ」
「……ろぉい」
「判った、後でリベンジさせてやるから」
 漕ぐ手を休めずにロイが言えばとりあえず納得したハボックはボートの縁に寄る。「落ちるなよ」と言うロイの言葉に頷きながらも、ハボックは小さな手を湖に浸した。
「ろーいっ」
「波が立つんだろう?面白いか?」
「ろいっ」
 にっこりと笑ってハボックは両手を浸けてみたりパンパンと水面を叩いてみたりする。楽しそうに水と戯れるハボックに笑みを浮かべたロイは、辺りを見回して言った。
「そろそろだな。ハボック、水遊びはやめてこっちにおいで」
 ロイに呼ばれてハボックが側に寄ってくる。ロイがオールを操れば、ボートはゆっくりと止まった。
「ハボック、ここからは大声でのお喋りは禁止だ、いいな」
 ロイがどこか悪戯っぽく言えば、ハボックが期待に目を輝かせてロイを見上げる。
「ろーいっ」
「さあ、釣りを始めようか」
 ピンと犬耳を立たせたハボックの金髪を撫でて、ロイはにっこりと笑った。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても励みになります。嬉しいですvv

「暗獣」です。一話で釣りを終わらせるつもりだったのに続くになっちゃった……。ちなみに釣りの知識は全くありません!いや、一応ネットで見てたんですけど既に単語がさっぱり判らんし、正しい釣りを書こうとすると書きたいシーンが書けないんで(苦笑)とりあえずミミズに飛び上がるハボックを書きたかったっていうね。ミミズ触った手で触られたくないと思うの(笑)そんなわけでもう少し釣りしますv
そうそう、PBBSに「ろーい」のハボック投稿して頂きましたvメチャクチャ可愛くて今日はそのハボック思い描いて書いてみました〜vうふふv

以下、拍手お返事です。

なおさま

ふふふ、ディアス、とんでもないヤツですね(笑)しかし、昔書いた話なので展開が早いです。今書いたらきっとディアスとのシーンもねちねちしつこそうな気が(苦笑)ともあれロイにはきっちりガッツリ誤解を解いて貰おうと思います(爆)

JOEさま

うおおおおおッッ!!お絵かきありがとうございますッッ!!ハボック、か〜わ〜いい〜〜〜ッッ!!あんなハボックに「ろーい」って言われたら抱き締めて離さないわッ!!暗獣ハボックは見た目あれくらいの年齢と思ってますv幼稚園の年少さんなイメージ?うふふふvv本当に嬉しいvvま、また描いて頂けたりするのかなぁ……。髭タン組も見てみたいけど、おっきい金魚とちっさい金魚とかも見てみたいなーッ(←リクするな!)
2012年09月27日(木)   No.255 (カプなし)

新・暗獣26
「ろーい」
「んー?……もう朝か」
 ゆさゆさと揺すられてロイは薄目を開ける。もぞもぞとブランケットに顔を半分埋めれば、ロイの上に乗っかってきたハボックが小さな指で無理矢理ロイの瞼を開けようとした。
「ろーいっ」
「判った、起きる……」
 強引に開かれた目でハボックを見上げたロイは、肘をついてゆっくりと起き上がる。ふわぁと大きな欠伸をすると膝の上にちょこんと座っているハボックを見た。
「おはよう、ハボック」
 そう言って金髪をわしわしと掻き混ぜる。嬉しそうに笑うハボックを膝から下ろして、ロイは巣から這い出た。
「あー、よく寝た……」
 うーんと伸びをすれば同じように巣から這い出してきたハボックが真似をする。金色の頭をポンポンと叩いて洗面所に行くと顔を洗い、ロイはボトムを履き替えシャツを羽織ると階下に下りた。
「今日もいい天気だな」
 窓の外は明るい陽射しに照らされている。ロイは湯を沸かすと一杯用のコーヒーとフィルターが一つになった簡易式のコーヒーフィルターをカップにセットしお湯を注いだ。ハボックには冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出しグラスに注いでやる。そうすればハボックが嫌そうな顔をした。
「仕方ないだろう、井戸水を持ってくるわけにはいかないんだから。これだって一応人気銘柄だぞ」
 そう言うロイをハボックが不満そうに見る。コーヒーのカップと水のグラスを手にロイはソファーに座ると、隣に腰掛けたハボックにグラスを渡した。
「今日はこれからどうしようか」
 結局昨日はだらだらと一日別荘で過ごしてしまった。外のハンモックでゆらゆらと風に吹かれたり、露天風呂とは別にあるジャグジーにのんびり浸かったりしてそれはそれで楽しかったのだが、今日もそれでは芸がない。昨日まったりすごし過ぎたせいで腹が空かずにコーヒーだけで朝食を済ませながらロイが聞けば、眉間に皺を寄せながらミネラルウォーターを飲んでいたハボックが答えた。
「ろーいっ」
「うん、まあ、お前に聞けば絶対そう言うとは思ったがね」
 ボートか、と呟いてロイは少し考える仕草をする。ロイの返事を待って見上げてくる空色を見下ろして言った。
「よし、それならボートに乗って釣りをしよう」
 そう言われてハボックは尋ねるように首を傾げる。ロイはカップをテーブルに置いて竿を持つ真似をした。「魚を捕まえるんだ。長い棒の先に餌をつけた糸をつけて魚を釣る。面白いぞ」
 確かボート乗り場で釣竿の貸出もしていた筈だ。ロイが竿を振る真似をすればハボックが尻尾を振った。
「じゃあ、支度をしたら出かけよう」
 ロイはそう言って立ち上がるとカップを手にキッチンへ行き最後の一口を飲んでシンクに入れる。冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを出し、オレンジと一緒に袋に入れた。パンにバターとマヨネーズを塗りハムとレタスを挟む。紙で包んでそれも袋に入れたロイはハボックがまだパジャマのままな事に気づいて着替えさせてやった。
「ろーい」
 いそいそと空色のカチューシャを持ってくるハボックにやれやれとため息をついて、ロイは犬耳をピンと立てたハボックの頭にカチューシャをつけてやる。
「ハボック、尻尾」
 ロイに言われてハボックが尻尾を一振りするとフサフサの尻尾がパッと消えた。
「よし、準備はいいか?」
「ろーいっ」
 ロイの言葉に答えるようにハボックがピシッと直立不動の体勢を取る。その様子にロイはクスリと笑って言った。
「じゃあ行こうか。今度は迷子になるなよ」
「ろーい〜」
 言われてぺしょんと犬耳を伏せるハボックにクスクスと笑って、ロイはハボックと手を繋ぐと湖へと出発した。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、とっても嬉しいですv

「暗獣」です。やっとバカンスに戻りました〜(笑)東京は昨日は23度、今日は30度……そろそろ秋がやってきそうなんですけど、一応まだ暑い時分ってことでよろしくお願いします(苦笑)

あ、そうそう。お絵かき掲示板はまだ稼働してますかというお問い合わせを頂きました。管理人が絵を描けないので「おねだり」お絵かき掲示板ですが、宜しければどうぞお絵かきしてやって下さいませ。入口をテキストページに貼っておきました。描いて下さると尻尾ブンブン振って大喜びしますvvどうぞよろしくお願いします。

以下、拍手お返事です。

なおさま

「セレスタ」そんな風に言って頂けて本当に嬉しいです〜ッvえへへ、頑張る気がモリモリ湧いてきます(笑)マドラス、涙目で「無茶言うなっ」って言うかも(笑)完結した暁には是非泣いて頂けるよう、頑張りますねv長かった残暑も漸く終わりそうですね。でも、まだ「暗獣」はバカンス中(苦笑)今日もほんわかして頂けたら嬉しいですv

阿修羅さま

おお、お引っ越し、もうすぐですね!準備、進んでますか?(笑)「暗獣」ハボックで息抜きのお手伝いが出来たらと思います。頑張って下さいね〜v
2012年09月24日(月)   No.254 (カプなし)

新・暗獣25
「ん」
 プカリと意識が浮かび上がってロイは目を開ける。シェードの隙間から入り込んだ陽射しが丁度顔に当たって、もういい加減起きろと言っているようだった。
「もうこんな時間か」
 ロイは枕の下から引っ張り出した懐中時計を見て呟く。結局半日寝倒してしまったが、特に計画があるわけでなく無駄に過ごした気にはならなかった。
「腹が減った……」
 とはいえ流石に空腹を覚えてロイは体を起こす。傍らを見ればハボックがすぴすぴと鼻を鳴らして惰眠を貪っていた。その寝顔を見ればロイの顔に自然と笑みが浮かぶ。額にかかる金髪を払ってやると、ロイはハボックを起こさないようにそっとベッドから抜け出した。
「んー」
 思い切り伸びをしてロイはコキコキと首を鳴らす。これだけ寝たにもかかわらず大きな欠伸をしながら階下へと下りた。
「卵でいいか」
 とりあえず空腹を満たせればなんでもいい。ロイはフライパンにベーコンを載せると油が出てきたところで卵を落とし、蓋をして蒸し焼きにする間に顔を洗った。タオルで顔を拭きながら卵の焼け具合を確認し、皿に移す。コーンフレークを皿に出し牛乳をかけると、ベーコンエッグの皿と一緒にリビングに運んだ。ロイはソファーに腰を下ろし配達を頼んでおいた新聞を読みながらコーンフレークを口に運ぶ。のんびりと昼食にも遅い食事を取っていれば、悲鳴に近い呼び声が聞こえてバンッと寝室の扉が開く音がした。
「ろーいッ!」
「ハボック?」
 パタパタと軽い足音がしたと思うと、ハボックが二階からの急な階段を駆け下りてくる。あんまり急ぎすぎてズルッと足を滑らすのを見て、ロイはギョッとして腰を浮かした。
「ハボック!」
 そのまま落ちるかと思った体はパッと黒い毛糸玉に姿を変える。ポンポンと跳ねて一階まで下りたと思うと、再び子供の姿になってロイの胸に飛び込んできた。
「ろーい〜ッ!」
「ハボック」
 ロイは飛びついてきたハボックを受け止めて浮かしていた腰をぽすんとソファーに戻す。半泣きになってしがみついてくるハボックを驚いて見下ろしたロイはクスリと笑って言った。
「どうした、私ならここにいるぞ」
 どうやら目が覚めた時にロイがいなくなっていてびっくりしたらしい。さっきはぐれて迷子になったショックがまだ尾を引いているらしいハボックの背を、ポンポンと叩いてロイは言った。
「まったく、飛び出していなくなったのはお前の方だぞ」
「ろーい〜」
 苦笑して言うロイにハボックが唇を尖らせてロイを見る。背を叩いていた手にフサフサとしたものが触れて、ハボックの背を覗き込むようにして尻尾が生えているのを見たロイはやれやれとため息をついた。
「大丈夫、ちゃんと一緒にいるだろう?」
 そう言って金色の頭を撫でてやるとハボックが安心したように目を細める。漸く落ち着いてきたらしいハボックを膝から下ろしたロイが食べかけの食事に手を伸ばせば、ハボックはソファーに寝そべってゴロゴロとロイの膝に懐いた。
「ろーい」
 甘えるように頬を擦り付けてくるハボックにロイは笑みを浮かべると、新聞を片手に食事を続けたのだった。


いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、嬉しいですv

最近やたら眠くて作文が遅々として進みません(苦)まあ、とりあえず明日の更新分は書き上げましたが、なんか毎度綱渡りな気が(苦笑)なんでこう眠たいんだろう……。
日記は「暗獣」です。やっとロイのところに帰ってきて甘ったれなハボック(笑)

以下、拍手お返事です。

なおさま

そうそう、「ろーい」に込められた気持ちはロイでないと判らないです(笑)ヒューズもそこそこ判るかな。うふふ、ポイント、似てるんですよ、きっと。嬉しいですvv

おぎわらはぎりさま

おおう、携帯、それは大変です。お仕事に使ってると困りますよね(汗)とりあえず前機種で凌いでらっしゃるようですが、確かに使いづらいだろうなぁ(苦笑)早く復活しますように!「兎」ははは、カットされた部分はまあ例によって例のごとくですよ、妄想してやって下さい(にやり)お忙しい中遊びに来て下さってありがとうございますv

JOEさま

ロイとハボック堪能して下さってますか?嬉しいです〜vそしてお絵かき掲示板!わあ、描いて下さるのですか??やったー!いやあ、自分じゃ描けないのですっかり放置状態になってましたが、描いて下さったら嬉しいですッ!どうぞよろしくお願いしますvv
2012年09月21日(金)   No.253 (カプなし)

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