「違ぁう!」 パンパンとリズムを取って叩いていた手を止めてハボックが言う。その声に動きを止めたロイにハボックは言った。 「そこ違うっス。先に右手をこう上げてから追うように左手をこう」 ハボックはそう言いながら右手、左手の順に上げてみせる。眉間に皺を寄せてその様子を見ているロイに言った。 「判りました?」 「……たぶん」 「じゃあ、やってみて」 ハボックはそう言うとロイから少し離れて立つ。 「今言ったところの2フレーズ前から。行きますよ?」 ハボックがそう言って手を叩いてリズムを刻み始めるのに合わせて、ロイは左右にステップを踏んで踊り出した。 今ロイは来たる忘年会の出し物のダンスを特訓中だ。元々出し物などするつもりはなかったのだが、例によって娘自慢の電話を掛けてきたヒューズが、ちょっと早いクリスマス会で子供達を前に踊ったダンスが好評だったのだと得意げに話すのを聞いたロイが張り合ったのが原因で、やらなくてもいいダンスをやる羽目になったのだった。 「ストップ、ストップ!」 指摘された所をぎこちない動きながらも何とか乗り切ったものの、また別の所でハボックのストップが入る。こうだとやってみせるハボックにロイが言った。 「お前、ちょっと細かすぎないか?多少適当でもいいじゃないか」 「なに言ってるんスか。完璧にやりたいから厳しく指導してくれって言ったのは大佐っしょ?」 そう言われてロイは「うーッ」と唸る。やれやれとため息をついて、ハボックは言った。 「大佐ってリズム感ないっスよね。なんでもそつなくこなす大佐にこんな弱点があるとは意外っス」 「煩い。音楽は鑑賞専門なんだ」 悔しそうにハボックを睨んでロイが言う。肉体的より精神的に疲れた様子で椅子に腰を下ろすロイに苦笑して、ハボックは曲が入ったプレイヤーのボタンを押した。流れ出した曲に合わせてハボックは一人踊り出す。長い手足を曲に合わせて振り上げ振り下ろし、クルリと回って背を仰け反らすハボックの動きは、一瞬一瞬のポーズが決まっていてお世辞抜きに見惚れるほど上手かった。 「どうやったらそんな風に踊れるんだ。ムカつくな」 「まあ、一つくらい大佐に勝てるもんがないと」 ロイの言葉に苦笑してハボックが言う。プレイヤーを止めてハボックはロイを見た。 「じゃあもう一回やってみましょうか」 「なんか面倒臭くなってきた。やめるか」 「オレは別に構わないっスけど、中佐、くるんでしょ?」 「……そうだった」 電話口で自慢するヒューズに、ロイはお前なんかより自分の方が余程上手いと豪語し、互いに自分の方が上手いと譲らなかった為忘年会でそれぞれダンスを披露してどっちが上手いか皆に決めて貰う事になっていた。 「年末は忙しいんじゃないのか?わざわざ踊る為にイーストシティまで来るんじゃない」 「そんだけ自信があるって事じゃないっスか?もういっそやらないで負けを認めたらどうっス?そしたら練習しなくて済むっスよ」 「そんな事をしたら一生言われる。それにダンスとは言え負けるのだけは絶対嫌だ」 「どんだけ負けず嫌いっスか」 やれやれとハボックは肩を落とす。それでも負けたくないなら練習するしかないとロイの腕を引っ張って立たせればロイが言った。 「そうだ、お前、私の代わりに踊れ」 「はあっ?それじゃあアンタと中佐の勝負にならないじゃないっスか」 「弟子が代わりに勝負する事にすればいい」 「弟子はどっちだよ」 眉間に皺を寄せてハボックが言ったが、ロイはすっかり自分の考えが気に入ってしまったようだった。 「じゃあそういうことで後は頼む」 そう言ってさっさと行ってしまうロイの背をハボックは呆れて見送る。 「別にいいっスけどね、踊るの嫌いじゃねぇし」 ハボックがそう呟いた時、傍らの電話が鳴った。 「もしもし?――あ、中佐」 『よう、ロイの調子はどうよ』 「どうもなにも」 ハボックはため息混じりにロイが言ったことを告げる。そうすれば『そんな事だろうと思った』と苦笑したヒューズが言った。 『イイコト思いついた。ひとつ乗らないか?少尉』 「なんスか?オレに実害がないことなら乗りますよ?」 『ないって。面白い事だから』 そう言ってヒューズが楽しげに話し出す。そして、忘年会当日。 急遽ダンスユニットを結成したヒューズとハボックが見事な迄のダンスをみんなの前で披露するのを、顎が外れるほど大口を開けてロイは見守る事になったのだった。
いつも遊びに来て下さってありがとうございます。拍手、やる気の素です、嬉しいです〜v
最近ニコ動でキャラが歌に合わせて踊る動画にハマってたりします。夏目の曲をフルで聞きたくてニコ動見てたらたまたま見つけた夏目と田沼で「パンダヒーロー」が切欠だったんですが、見始めたら止まらん(苦笑)夏目と田沼と名取さんで「BREEZE」もだけど、田沼がカッコよくて死ねる(笑)銀魂の銀さんとトシで「千本桜」とか「パンダヒーロー」もオツですvそんなわけでヒューズとハボには「パンダヒーロー」を踊って欲しかったのですが、「いろは唄」で歌詞も合わせてロイに歯ぎしりして貰うのもいいかもと思ったり(笑)
以下、拍手お返事です。
なおさま
うふふ、こういうロイが一番イキイキしてる気がします(笑)なんでも飲み込むハボのアレも流石にスプーンの掬う方は挿れるの大変かなと(笑)うわ、脳内に変態佐!それは危険です!(爆)
カレーライスを食べる前に の方
いやあ、コメント読みながら思わずニヤニヤしまくってしまいました(笑)こういうコメント、メチャクチャ嬉しいです、ありがとうございますvハボ味のカレー、食べてみたいもんです。何杯でもイケそう(笑)
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