幼愛  第十五章


「オレは後から行くから、リンドレー、先に行って」
 暫くの間リンドレーの腕に身を預けていたハボックは顔を上げるとそう言う。だがリンドレーは首を振ると言った。
「こんな状態のお前を放って置ける筈ないだろ。待ってるから一緒に行こう」
 だが、そう言われてハボックは困ったような笑みを浮かべる。不思議そうに覗き込むリンドレーから顔を背けると言った。
「でも…後始末しないと」
「後始末?」
 キョトンとして聞き返すリンドレーにハボックは顔を赤らめる。判らないと言うように名を呼んでくるリンドレーに恥ずかしそうに言った。
「中に…出されちゃったから…その、出しとかないと腹壊しちゃうから…」
「あっ…ごめんっ」
 男同士のセックスなど考えた事もなかったリンドレーはハボックの言葉に初めて気付いて顔を真っ赤にする。そんなリンドレーにハボックは苦笑すると言った。
「せめて向こうむいててくれる?」
「あっ、うんっ!」
 言われてリンドレーは慌ててハボックに背を向ける。小さく「ありがとう」と言ったハボックはベンチに腰掛けると脚を開いてその奥で震える蕾に指を差し入れた。
「うっ…ぅんっ」
 ぴちゃりと湿った音がしてハボックの微かな声が聞こえる。ハボックに背を向けていたリンドレーはその音に困りきってきょろきょろとあたりを見回した。その拍子に半ば開いたロッカーの内側の鏡にハボックの姿が映っているのに気付いてしまう。鏡に映るその光景から目を逸らせず、リンドレーは鏡の中のハボックの姿を凝視した。
「く…ぅん…っっ」
 脚を大きく開いたハボックは後ろ手についた片手に体重を預けるようにして腰を突き出している。指を差し入れた蕾からはとろとろと白濁が零れ出て、ハボックの尻や指をしとどに濡らしていた。
「ああ…ふぅ…」
 苦しげな息を吐きながらハボックは注ぎ込まれた熱をかき出していく。切なげに寄せた眉と紅く染まる頬にリンドレーはゴクリと唾を飲み込んだ。リンドレーが見つめる中、ハボックはあらかた白濁をかき出してしまうとホッと息を吐く。指を引き抜くとリンドレーに声をかけた。
「ごめん、オレの荷物の中からタオル、取ってくれる?」
「えっ、あっ、うんっっ」
 ハボックの声にリンドレーは飛び上がるとハボックのカバンからタオルを取り出す。それを手渡しながらチラリと目をやったリンドレーはしどけなく開かれたハボックの脚の中心が熱を持って立ち上がっている事に気付いた。
「あっ、あのっ」
 かき出した白濁を拭き取るハボックにそう声を書ければ不思議そうにハボックがリンドレーを見る。リンドレーは顔を赤らめながら言った。
「そ、それ…辛くないの?」
 同じ男としてそんな状態でいるのはツライだろうと察してそう聞けばハボックがリンドレーをじっと見る。その綺麗な瞳にドキドキとして目を逸らせばハボックが言った。
「でも、ロブにこれ以上恥ずかしいトコ見られるの、ヤだし…」
 頬を染めて俯くハボックにリンドレーはゴクリと唾を飲む。それから何度か息を吸うと言った。
「俺が達かせてやろうか?」
 そう言えば見開く空色の瞳にリンドレーは慌てて手を振る。
「あっ、嫌なら別に無理にとは言わないからっ!ただそのっ、ツライだろうなって思ったからっ、そのっ」
 必死に言い訳するリンドレーをハボックは目を丸くして見ていたがくすりと笑うと視線を伏せた。小さな声で「ありがとう」と呟くとおずおずと脚を開く。その様にリンドレーは心臓が飛び出しそうになりながらも立ち上がったその中心へと手を伸ばした。
「あっ…」
 リンドレーの手が触れた途端、ビクッと震えるハボックにどきりとしながらもリンドレーは手にしたそれをゆっくりと扱き出す。白い肌を紅く染めて荒い息を零すハボックを食い入るように見つめながら追い上げていった。
「うっ…ンンンッッ!!」」
 必死に声を殺して達してしまうとハボックはリンドレーを見る。薄っすらと涙の滲んだ瞳に言葉を失うリンドレーの手を取ると言った。
「ごめん…汚しちゃったね」
 ハボックはそう言うと己の熱に濡れたリンドレーの手に舌を這わせる。
「なっ…」
 驚いて引っ込めようとするリンドレーの手を引き寄せると、ハボックは綺麗に熱を舐め取ってしまった。驚きに固まったリンドレーの顔を見るとうっとりと笑う。
「今度はロブの方が辛くなっちゃったね」
「えっ…アッ」
 言われて己の股間を見ればキツキツと布地を押し上げていた。カッと顔を紅くするリンドレーにハボックが言う。
「今度はオレがやってあげるよ」
 そう言ってズボンを弛めだすハボックにリンドレーは慌ててその手を押さえ込んだ。ブンブンと首を振ると言う。
「いいいいいっ!そんなことしてくれなくていいからっ!」
「だってロブだってツライだろ?オレにしてくれたんだから今度はオレがする番」
 ハボックはそう言うとリンドレー自身を取り出した。ビンビンにそそり立った若い牡に薄っすらと笑うとじゅぶりとくわえ込む。
「ハッ、ハボックッッ!!」
 ギョッとして身を引こうとするのを赦さず更に深く咥えこむと舌と唇で追い上げていった。
「んっ…ク、アッ……で、るッ…」
 必死にハボックの頭を追いやろうとするが、耐え切れずにハボックの口中へと熱を吐き出す。ゴクリと飲み干してしまうハボックを半ば呆然と見つめるリンドレーを見上げてハボックは言った。
「ねぇ、今夜会いたいな…ダメ?」
 そう言って見上げてくる空色の瞳に、リンドレーは黙ったまま何度も頷いたのだった。


「ハボック…?」
 消灯時間がとっくに過ぎた夜更け、リンドレーは指定された部屋の扉を押し開けて中に入ると声をかける。寮の片隅にある使われずに物置と化したその部屋の奥へと進んでいけば窓辺に腰掛けるハボックの姿が見えた。
「ハボック…ジャン?」
 そう声をかければハボックが振り向いてにっこりと笑う。窓から下りるとリンドレーに近づいて言った。
「よかった、来てくれないのかと思った」
「ゴメン…その、同室のヤツがなかなか寝なくって」
 消灯を告げるベルが鳴って約束の時間になったものの、同室の少年にはなかなか眠りが訪れなかったようで、いつまでも話しかけてくる相手にリンドレーは怒鳴りつけたいのを必死に我慢して眠いフリを続けた。ようやく相手が眠ってくれたものの約束の時間はとっくに過ぎていて、ハボックはもう怒って帰ってしまったのではと大急ぎでやってきたのだ。
「ゴメンな、待たせちゃって」
 そう言えばハボックは笑って首を振るとリンドレーの肩にコツンと頭を預ける。寄り添う温もりにドキドキしながらもリンドレーはハボックに聞いた。
「なぁ、フォルベックのことだけど、ちゃんと訴えるべきだと思うぜ。卒業を盾に関係を迫るなんて――」
「そんな事言う為にここに来たのかよ?」
 ムッとしたハボックの声に遮られてリンドレーは口を噤む。ハボックはリンドレーの顔を覗き込むと言った。
「オレとシたくないの?」
「そっ、そりゃっ…でもっ、そのっ」
「ロブ…好き」
 そう言ってしなだれかかってくるハボックにリンドレーは心臓が破裂しそうなほどドキドキする。顔を紅くするリンドレーを見つめるとハボックは言った。
「オレのこと、嫌い?フォルベックに抱かれてたなんて汚いヤツだと思う?」
「そんな事ないっ!」
 リンドレーはそう言うとハボックの体を抱き締める。
「俺も好きだよ、ジャン…」
 そう言って口付けて来るリンドレーを抱き返しながら、ハボックは満足そうに笑ったのだった。


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