幼愛  第十四章


「お前、なんだかんだ言ってちゃんとフォルベックの講義、出てるじゃん。どう言う心境の変化だよ」
 そう聞いてくるブレダにハボックは笑っただけで答えなかった。教壇で講義をするフォルベックの瞳が時折舐めるように自分を見るのにハボックはうっとりと笑う。そうしてノートも取らずに椅子の背に身を預けると楽しそうにフォルベックを見つめ続けたのだった。


「うん…っ、ハ、アッ……ッ、テオッ」
 ベッドに座り込んだフォルベックに下から突き上げられてハボックは喘ぐ。その逞しい体を抱き締めると自分から唇を合わせた。
「ジャンッ…ああ…イイ…いいよ…ッ」
 うわ言のように呟いてフォルベックはハボックを揺すりあげる。悲鳴を上げて仰け反る体をグイと引き戻すと同時にガツンと突き上げれば、ハボックはビクビクと震えて熱を吐き出した。
「アアアンンン―――ッッ」
 二人の腹の上に白濁を撒き散らしてクタンと弛緩する体をフォルベックは繋がったままベッドに押し倒す。高く掲げた脚の間に押し入る自身を見つめると、フォルベックは繋がった部分を何度も指の腹でこすった。
「アッ…ソレ…イヤッ……やめ…っ」
 何度か体を繋げるうち、少しずつ知りえたハボックの弱いところをフォルベックは何度も攻め立てる。耐え切れなくなったハボックが泣きながら赦しを乞うのを聞いて、フォルベックは満足そうに笑った。散々に嬲った末ようやくハボックの望むものを与えてやると、フォルベックはぐったりと力の抜けた体を抱き締める。暫くの間そうして抱きしめていたが、涙に濡れたハボックの顔を見つめるうち、もっともっと啼かせたくなってくる。ハボックに沈めたままの自身がムクムクと膨れ上がってフォルベックは飽きることなくハボックの体を貪ったのだった。


 その日、演習を済ませたハボックは皆より遅れてシャワールームへと入った。次々と着替えて次の講義へと向かう同級生を見ながら手早く汗を流す。それでもハボックがシャワーブースを出る頃には大勢いた学生は皆出て行ってしまった後だった。
「やべぇ、早くしなくっちゃ」
 次の講義の教官は事のほか遅刻や欠席に煩いヤツだ。余計な小言を食らうのはハボックとて本意ではなく、ハボックは急いで身支度を整えると扉を押して廊下へ出ようとした。が、開いた扉の先を塞ぐ逞しい体にハボックは驚いてその持ち主の顔を見上げる。欲に濡れる緑の瞳にハボックは息を飲むと数歩後ずさった。それを幸いと中へ入るとフォルベックは後ろ手に扉を閉める。目を見開くハボックに近寄るとにんまりと笑った。
「午後からセントラルに行かねばならなくなってね、今日の講義は休講だ」
「…だから?オレ、次の講義、遅れると困るんスけど」
「夜、抱いてやれないからな、今ここで抱いてやろう」
 そう言って伸びてくる腕をハボックは振り払う。フォルベックの手が届かないところまで逃げると言った。
「講義ないならセックスする理由、ないだろうっ」
「お前のようなスキモノは放っておくと誰にでも脚を開きかねんからな、たっぷり可愛がっておいてやる」
 そう言いながら近づいてくるフォルベックからハボックは必死に逃げる。セックスするのは好きだったが、自分がしたくない時に強制されるのは真っ平だった。それでも気がつけば壁際に追い詰められフォルベックの腕に絡めとられる。悲鳴を上げるハボックを抱き締めるとフォルベックはその耳元にねっとりと舌を這わせた。
「アッ…ヤダッ」
 ゾクゾクと体を震わせるハボックにフォルベックは低く囁く。
「ヤダじゃないだろう?もう勃ってきてるだろうが」
 フォルベックはそう言うとシャワーを浴びたばかりでしっとりと濡れた肌に舌を這わせた。
「アッ…アッ……テオッ…ほ、んとに、やめてっ」
 本気で抵抗するハボックにフォルベックは苛々として舌を這わせた肌に歯を立てる。
「ヒッ…」
 ビクッと震えて弱まる抵抗ににんまりと笑うとハボックのズボンを引き摺り下ろした。
「アッ…イヤッ」
 ハボックは慌てて身を捩ったが、半端に下ろされたズボンに足を取られて床に倒れ込む。フォルベックは倒れたハボックをそのまま床に押さえつけるとズボンと下着を剥ぎ取ってしまった。
「テオッ!!」
 もがくハボックの脚を押し上げるとフォルベックは己の指をしゃぶる。唾液で濡れた太い指をハボックの蕾にグイと差し入れた。
「ヒアッ!」
 悲鳴を上げるハボックの蕾をかき乱しながらフォルベックは言った。
「足をしっかり持っていろ、ハボック」
 そう言えばハボックがおずおずと自分の脚を抱える。曝け出される蕾に満足そうに頷くと顔を寄せ唾液を流し込みながら指でぐちゃぐちゃとかき回した。
「アッアッ…テオッ、テオッ!!」
 愛撫に慣れた体はイヤだと思いつつも瞬く間に快感を拾い上げてしまう。腰を揺らめかすハボックをじっと見つめていたフォルベックは指を引き抜くと己を取り出し戦慄く蕾に押し当てた。
「ア…」
 怯えて見上げる空色の瞳にゾクゾクとしてフォルベックはハボックの脚を高く掲げると一気に身を沈める。悲鳴を上げかけた唇を大きな手で塞ぐとガツガツと突き上げた。
「んんっ……んん―――ッッ!!」
 はらはらと涙を零す空色の瞳がフォルベックの嗜虐心を煽る。フォルベックは手で声が出ぬよう押さえつけたまま乱暴に何度も何度も突き上げた。目を大きく見開いたハボックの中心が熱を吐き出すのを満足そうに見つめると、その最奥に熱を叩きつけた。


 ロバート・リンドレーは次の講義が行われる教室に入るとホッと息をつく。講義のためのノートを取り出そうとして目当てのものがない事に気付くと眉を寄せた。
「あれ?確かに持ってきたはずなのに…」
 リンドレーはガサガサと重ねたテキストをひっくり返したがそれでもないことが判ると眉を顰めて考える。この講義の前と言えば演習で汗を流したシャワールームにテキスト一式を持っていっていたことを思い出してリンドレーは舌を鳴らした。
「置いてきちゃったんだ」
 戻る時間を惜しんでわざわざシャワールームにテキストを持って行ったのに置いて来てしまったのでは元も子もない。時計をチラリとみたリンドレーは急げば教官が来る前に戻ってこられると判断してガタンと席を立った。持ってきたテキストはそのままに教室を飛び出すと足早にシャワールームへと向かう。走りたい気持ちを抑えて早足で辿り着いた扉にホッと息を吐いてノブに手を伸ばしたリンドレーは微かに聞こえた悲鳴にギクリとして手を止めた。どこから聞こえたのだろうときょろきょろとあたりを見回すが、もう間もなく始業のベルがなる廊下には人影は見当たらない。気のせいだったかとそっと扉を押し開けたリンドレーは目に飛び込んできた光景にギョッとして身を強張らせた。むき出しにされた下肢の奥深くを男に貫かれているのは同期のジャン・ハボックだ。男の大きな手で声を上げぬよう唇を塞がれたハボックは声の代わりにその空色の瞳から苦痛を伝える涙をポロポロと零している。やがてビクビクと震えて達したらしいハボックを何度か突き上げた男がブルリと身を震わせてハボックの中へと熱を吐き出した。リンドレーが扉の隙間から声もなく見つめていると、男はハボックの中からズルリと自身を引き抜く。ハボックの白い双丘から抜き出される赤黒い牡と、無理矢理押し広げられて閉じる事を忘れたようにひくつく蕾から零れる白濁がはっきりと見えてリンドレーはゴクリと唾を飲み込む。男はハボックの髪を掴んでその顔を引き寄せると噛み付くように口付けた。
「私が帰ってくるまで大人しくしているんだぞ…」
 いいな、と低く唸ればハボックが力なく頷く。男はハボックを離すと身支度を整えて立ち上がった。出てくる気配にリンドレーは慌てて扉の前を離れると身を隠す。シャワールームから出てきた男の顔を見て、リンドレーは小さく呟いた。
「テオドール・フォルベック…」
 その手腕を買われて教官として教鞭を振るっている偉丈夫がハボックを犯していたのだと知って、リンドレーは驚きに呆然とその場に立ち尽くす。その時始業を告げるベルがなって、ビクッと体を震わせたリンドレーは迷った末シャワールームへと足を踏み入れた。扉を後ろでに閉めたリンドレーは床に蹲るハボックの姿に息を飲む。明らかな暴行の後に唇を噛むとハボックの傍に跪き肩に手を伸ばした。
「…っ?!」
 ビクッとして見上げる涙に濡れた瞳にリンドレーは怒りがこみ上げて来る。ハボックの体をギュッと抱き締めると言った。
「クソッ、酷いことしやがって…っ」
「リンドレー…?」
「アイツ、いつもお前にこんな事するのかっ?教官だからって無理矢理…っ」
 怒りのあまり言葉が続かないリンドレーをハボックは驚いて見つめていたが、目を伏せるという。
「ヤらせないと卒業させないって…」
「ッ!!」
 ハボックの言葉にリンドレーは歯をギリと鳴らしてハボックを抱き締めた。
「そんな酷いこと、赦されていいはずないっ!」
 そう言うとリンドレーはハボックの耳元に囁く。
「俺が守ってやるから。だからもう心配するなっ」
 吐き出すように言うリンドレーをハボックはギュッと抱き返すと言った。
「ありがとう、でも、そんなことしたらリンドレーが…」
「心配するな、絶対何とかしてやるからっ」
 そう言って抱きしめてくるリンドレーの胸に顔を埋めて、ハボックは楽しそうな笑みを浮かべたのだった。


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