| 幼愛 第十三章 |
| 「ハボック!」 後ろからかかった聞き覚えのある声にハボックはウンザリと眉根を寄せる。それでも最低限の礼儀でもって振り返ると声の主と向き合った。 「お前、また講義サボったな」 フォルベックはそう言いながらハボックに近づいてくる。ハボックより頭ひとつ高い教官はハボックを上から睨みつけると言った。 「どうしてお前はもっとやる気を出さんのだ」 「…だってオレ、別に軍人になるって決めたわけじゃないっスから」 「ハボック!」 ムスッとしてそう言うハボックにフォルベックは大声を上げる。ハボックの両肩をガシッと掴んで言った。 「バカを言うな、お前ならいい指揮官になれるぞ。その為にも講義をちゃんと受けてだな」 「向いてないです、オレ。講義なんて退屈で仕方ないし、やる気なんてこれっぽっちもないっス。それじゃあ、次、射撃訓練なんで、失礼します!」 「あ、おいっ!ハボック!!」 フォルベックの手を振り払うとハボックは廊下を駆けていく。フォルベックはその背を見送って悔しそうに唸ったのだった。 「…アイツ、本当に鬱陶しい」 屋上の給水塔の上の狭い空間いっぱいに長い手足を伸ばして座り込んだハボックはため息をついた。本来なら今は授業の真っ最中だったが、ハボックはフォルベックが教鞭をとるその講義をすっぽかして屋上で昼寝をしていた。あと少しで終了のベルが鳴るはずだ。単位なんてとれなくてもいいから、最後までこうしてサボってしまおうとハボックが思った時。 「ハボック」 「うわっ?!」 ぬっと影が差してフォルベックが顔を出す。まさかこんなところにいるのを見つけられるとは思ってもいなかったハボックは驚いて固まったままフォルベックを見上げた。 「な、なんでここに…っ」 やっとのことでそれだけ言えばフォルベックが得意そうに鼻を鳴らす。 「私だって生徒だった時期があったからな。お前のようなヤツがどこに隠れてるかなぞちょっと考えれば判る」 そう言われてハボックはムッとしてフォルベックを睨むと立ち上がって無言のまま隠れ場所を出て行こうとした。だが、グッと腕を掴まれて引き止められ不服そうにフォルベックを見やる。 「お前、また講義をサボりおって」 「別にいいでしょ。単位なんて取れなくたって構わないっスから。オレ、絶対講義には出ないっス」 「それは困る。私はお前に期待してるんだ」 「んなの、迷惑っス!」 言ってハボックはフォルベックの手を振り払おうとするが、ガッシリとつかまれた腕は容易には振りほどけなかった。仕方なしに睨みつけるハボックにフォルベックは言う。 「お前がちゃんと講義に出ると約束するまで離さんぞ」 その言葉にハボックは目を見開く。暫くの間悔しそうにフォルベックを睨みつけていたが、やがて何かを思いついたようにニヤリと笑った。 「教官、オレがちゃんと講義に出たらご褒美くれません?」 「何を言ってる。講義に出るのは当然のことであって褒美を貰うから出るという類のものではないだろう」 「じゃあ絶対出ません」 キッパリと言ってそっぽを向くハボックにフォルベックは顔を歪める。ハボックの横顔をじっと見つめていたがボソリと言った。 「何が欲しいんだ。とりあえず言ってみろ」 フォルベックの言葉にハボックはパッと顔を輝かせる。にっこりと笑ってフォルベックを見ると言った。 「たいしたことじゃないっスよ。簡単な事っス」 ハボックはそう言うとフォルベックの耳元に唇を寄せる。そこに吹き込まれた言葉に、フォルベックの目がみるみる内に見開かれていったのだった。 「あー、終わった!」 終了のベルと共にハボックは思い切り背伸びをする。隣の席に座っていたブレダが苦笑して言った。 「お前、やっと講義に出てきたかと思ったらそんな態度で、怒られっぞ」 責めるというよりからかうようなブレダの声音にハボックは笑う。 「平気。とりあえず講義出たんだから、態度までは言われないって」 そうブレダに返したハボックは教壇から自分を見つめるフォルベックに気付く。その緑の瞳を見つめ返せば慌てて教室を出て行くフォルベックの姿に、ハボックは楽しそうに笑ったのだった。 消灯時間を30分ほど過ぎた頃、自室の扉を叩く音にフォルベックは体を震わせる。少し迷った末立ち上がるとそっと扉を開いた。 「こんばんは」 にっこりと微笑む白い面をフォルベックはじっと見つめる。入口に立ち尽くしたまま中へ入れてくれないフォルベックに空色の瞳が困ったような光を湛えた。 「中に入れてくれないんスか?」 その言葉にハッとするとフォルベックは左右に伸びる廊下に目を走らせて、慌てて中へと通すと扉を閉める。部屋の中に入ると、その大部分を占めるベッドに腰掛けてハボックはあたりを見回した。 「教官の部屋っていってもオレらのとこよりちょっと広いくらいでそんなに変わらないんスね」 ハボックはそう言うとそのまま背後に倒れ込む。うーんと腕を伸ばすと言った。 「久しぶりに真面目に授業受けたから疲れたっスよ」 そう言ってハボックは靴を脱ぎ捨てると本格的にベッドに上がり込む。長々と寝そべると扉のところに立ったままのフォルベックを見上げて言った。 「ねぇ、教官。オレ、ちゃんと講義受けたっスよ」 そう言って見上げてくる夜目にも綺麗な空色の瞳にフォルベックはゴクリと喉を鳴らすと掠れた声で答える。 「お前、本気で言ってるのか、講義を受けたからって、その…」 言いよどむフォルベックにハボックは笑った。体を起こすと下から覗き込むようにフォルベックを見る。 「本気っスよ。教官だって頷いたじゃないっスか。それとも嘘ついたんスか?」 言われて言葉に詰まるフォルベックを見上げていたハボックはTシャツの裾に手をかけた。勢いよく脱ぎ捨てると次にズボンのボタンを外し、下着ごとひき下ろす。あっという間に身につけていたものを脱ぎ去るとベッドから下りてフォルベックの首に手を回した。 「オレ、最近ずっとヤッてなかったから溜まってんスよね。教官だってご無沙汰なんじゃないっスか?」 ハボックはそう言うとフォルベックのベルトに手をかける。慌てて腰を引こうとするフォルベックを恨みがましく睨みあげると言った。 「ちゃんと講義受けたらオレとヤルって約束だったでしょ。それともあれ、嘘だったんスか?」 「いや、だが、しかし…お、おいっ、ハボックっ…!」 躊躇するフォルベックの中心をスラックスの中から取り出すとハボックは己のそれと一緒に握り締める。ゆっくりと扱きながらうっとりとフォルベックを見上げた。 「ふふ…もう硬くなってきたっスよ」 「く…ハボック…っ」 乱暴に扱く手の動きに二人の牡が擦られてたちまちそそり立っていく。薄闇の中、いつしかフォルベックはハボックの尻を握り締めるようにその体を引き寄せ、その手の動きに自身を委ねていた。 「んっ…あ…はあん…」 「ハボック…くっっ…ハッアッ」 荒い呼吸が絡み合い、とろとろと快楽の蜜を零しながら二人は喘ぐ。どちらが先に爆ぜたのだろう、続けざまに熱を放つと二人は互いにもたれかかる様にしてハアハアと荒い呼吸を零した。 「へへ…いっぱい出たっスね。気持ちよかったっスか、教官」 ハボックはとろりとした視線でそう言うとフォルベックの手から体をもぎ離しベッドへと上がる。脚を開いて奥を曝すと互いの熱に濡れた指を蕾に這わせた。戦慄く入口を何度か撫ぜた後、ゆっくりと指を一本沈めていく。口を開いて息を整えながら自分を凝視するフォルベックを見上げた。 「久しぶりだからちょっとキツイや…」 そう呟くと中をかき回す。くちくちと粘着質な音が響き、ハボックが荒い息を零した。 「ん…クゥ…はぁ…」 2本、3本と指を増やしていけば、指のはざまからぬらぬらとほの赤い内部が覗き、それを見つめるフォルベックの呼吸が荒くなるのが判った。 「ね…アンタの、挿れて…」 ハボックはそう言うとフォルベックの股間を見つめる。さっき熱を放ったそれは既に猛々しくそそり立ち、赤黒くはち切れんばかりだった。フォルベックは荒い息をつきながらハボックを見つめていたが乱暴に服を脱ぎ捨てるとベッドへと上がる。蕾に沈めたハボックの指を引き抜くと、その体をベッドに押し倒した。長い脚を胸につくほど押し上げるとひくつく蕾へ自身を押し当てる。荒い息をつくとそのまま一気に中へと押し進めた。 「アッアア――――ッッ!!」 背を仰け反らせるハボックの体を押さえ込むとガツガツと突き上げる。 「アッ…ヒアアッ…アアッ!」 「クッ…キツ…ああ、ハボックッ!」 ギチギチと狭いハボックの器官にフォルベックは容赦なく突き入れた。涙に濡れる空色の瞳がフォルベックの嗜虐心を煽り、抽送は激しさを増す。 「アヒィッ…アッ…待っ…もっと…ゆっく、り…っ!」 激しさに耐えかねてハボックが悲鳴を上げたが、フォルベックは攻め立てる手を弛めようとはしなかった。 「アッ…ヒッ…アッアッ…イ、くぅッ」 啼きながらびゅくびゅくと熱を吐き出すハボックの顔をフォルベックは食い入るように見つめる。グイと脚を押し上げればその白い尻を犯す赤黒い自身が見えてフォルベックは一層激しく突き入れた。 「ヒゥッ…ヤ…ッ…アアアッ」 苦し紛れにハボックがフォルベックの逞しい背中に爪を立てる。その痛みに煽られるようにフォルベックはハボックを犯し続けたのだった。 |
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