幼愛  第十章


 それから数日の間、伯父はハボックに後ろを弄られて快感を得ることを覚えこませていった。幼い心は瞬く間に快楽に支配され、自らそれを望むようになっていく。伯父に言われる前に服を脱ぎ捨てベッドに上がり、脚を開いて強請る少年の姿に伯父は満足げに笑った。


 その日も行為を終えた後、、母のいない夕食のテーブルに二人は向かい合わせに座ると食事を始める。かったるそうにスープをすするハボックを見ながら伯父が言った。
「ジャン、悪いが明日から暫くレッスンはお休みだ」
「えっ、どうしてっ?」
 ガチャンとスプーンを置くとハボックは驚いて尋ねる。伯父は澄ました顔で肉に齧りつくと答えた。
「ちょっと用事があってね。1週間ほど出かける予定なんだ」
「1週間も?そんなに長くどこに行くの?」
 不安そうに聞いてくるハボックに伯父は内心ほくそ笑みながらもなんでもないように答える。
「セントラルにね。もしかしたらもっと長くなるかもしれない」
「うそっ」
 ハボックにとって伯父とのレッスンは楽しくて仕方がなかった。それがいいことなのか悪いことなのか、そんな事を考える間もないほど与えられる快楽にハボックは溺れ切っていて、それが唐突に1週間も途切れてしまうのだと思うと、とても我慢できそうにはなかった。
「だって、新しい方法、教えてくれるって言ったじゃんっ」
 今日、伯父はハボックの蕾を弄びながら上手に出来るようになったハボックを褒め、そしてそろそろ次の方法を教えようと言ったのだ。
「帰ってきたら教えてやろう。それまでいい子に待っているんだ」
 出来るね、そう囁く伯父にハボックは渋々と頷く。しょんぼりとうな垂れるハボックを伯父は笑みを浮かべて見つめていたのだった。


 はあ、とため息をつくハボックをブレダはこっそりと盗み見る。結局あれ以来、一度も一緒に釣りに行けぬまま数週間が過ぎていた。
「はああ」
 今度はもっとあからさまにため息をつくハボックにブレダは話しかける。
「どうしたんだよ、ため息なんてついてさ」
そ う尋ねれば隣の席に座ったハボックがかったるそうに机に肘をつくと答えた。
「おじさんがセントラルに一週間も出かけちゃってさ、あと最低3日はしないと帰ってこないんだ」
「えっ、おじさん、いないのか? だったら一緒に釣りに行こうぜっ」
 伯父と約束があるから釣りには行けないと言っていた。それなら伯父がいなければ一緒に遊べるだろうと、ブレダが嬉々として言えばハボックが首を振る。
「行かない。釣りなんて面白くないもん」
「なんでっ?前はあんなに面白がってただろっ?」
 不貞腐れたように肘をついたまま答えるハボックにブレダは大声を上げた。
「もっと面白いことがあるから」
 うっとりと夢見るようにそう呟くハボックにブレダも興味を覚えて聞く。
「もっと面白いことって?俺にも教えろよ」
 面白い遊びなら自分だってやってみたい、そう思ってブレダが聞けばハボックは素っ気なく答えた。
「ダメ」
「えーっ、教えろよっ」
「ダメだよ。オレだってまだ教えてもらってる途中だもん。それにおじさん、一度に一人にしか教えられないから誰にも言っちゃダメだって言ってたし。ブレダに教えた所為でオレまで教われなくなったらヤダよ」
 ハボックはそう言うと立ち上がった。
「だからブレダには教えない。釣りもやんない。じゃあなっ」
「あっ、おいっ、ハボっ!」
 言いたいことだけ言うと教室を飛び出していってしまうハボックにブレダは思い切り頬を膨らませる。
「なんだよっ、ハボックのヤツっ!もう絶対誘ってやらないからなっ!」
 そう怒鳴りながら、ブレダはいつの間にか生まれてしまったハボックとの距離に、淋しさを感じたのだった。


 ハボックは家に帰ると思い切り扉を開ける。そのまま何も言わずに階段へと向かえば母がキッチンから顔を出した。
「ただいまくらい言ったらどうなの?ジャン」
 そう言う母をハボックは肩越しに振り返ってじっと見つめる。すると母はその視線に絶えかねたように目を逸らした。ハボックはそのまま暫く母を見つめていたが、肩を竦めると2階に駆け上がる。自分の部屋を通り過ぎ、伯父の部屋に入るとそっと扉を閉めた。
「あーあ、つまんないの」
 カバンを放り出したハボックはそう呟いて扉に背をつけたままズルズルと座り込む。誰もいないベッドの上を見つめてため息をついた。
 伯父がセントラルに出かけるのと入れ替わるように母は家に戻ってきていた。戻ってきた母はまるで人が変わったように怯え切っていて、時折ハボックのことを探るように見つめてくる。何か言いたげなその視線はハボックを酷く苛立たせ、ハボックは母を避けるようになっていた。
 ハボックはコツンと頭を扉に預けるとぼんやりと部屋の中を見回す。壁際に置いた戸棚が目に入って、ハボックはゆっくりと立ち上がった。戸棚に近づき引き出しのひとつをそっと開ける。引き出しの中にはいつも伯父がハボックの蕾を傷つけぬ為に使うジェルのチューブが入っていた。ハボックは引き寄せられるようにそれを手に取るとじっと見つめる。それを見ているうちに、ハボックの胸はドキドキと高鳴り中心に熱が溜まり始めていた。
「ちょっとだけ…」
 ハボックは言い訳するようにそう呟くとベッドへと上がる。下着ごとズボンを脱ぎ捨てると脚を大きく開きチューブを手にした。指先にジェルを出すと脚の間へ手を差し入れる。ハボックの中心は既に頭をもたげて、とろりと蜜を零していた。ハボックは小さく息を弾ませるとジェルを載せた指先を蕾に押し当てる。伯父がいつもしてくれるように丁寧に塗りこめると指を一本沈めていった。
「あ…」
 僅か数日とはいえ、刺激の与えられなかった体には違和感の方が強かったが、それでもハボックは構わずに指を埋め込んでいく。根元まで入れるとそっとかき混ぜ始めた。
「アッ…んっ」
 ビクビクと体を震わせながらハボックは快感を求めて乱暴に指を動かす。いつも伯父の太い指を何本も挿れられているそこは、子供の細い指では満足出来ず、ハボックは己の指を一気に4本も突き入れた。グチグチとかき回しながら空いている方の手で勃ちあがった中心を扱く。いつしかハボックは無我夢中になって蕾をかき混ぜ自身を扱いていた。
「アッ…ああんっ…ンンンッッ」
 唇の端から涎を垂れ流し、恍惚とした表情を浮かべながらハボックは行為に没頭する。その時、階下でなにやら言い争うような声が聞こえたが、夢中になっていたハボックの耳には入らなかった。
「ンアッ…アヒ…ア、ア…やんっアッ」
 あられもない声を上げながらハボックは身悶える。最初のうちはベッドに座り込んでいた体はしどけなく脚を開いたままベッドに仰向けに横たわり、ハボックは腰を揺らめかせては開いた脚で何度もシーツを蹴った。もどかしい刺激も続けるうちに大きなうねりとなってハボックを飲み込みハボックは大きく背を仰け反らせる。
「んあああああっっ!!」
 涙の滲んだ空色の瞳を大きく見開き、ハボックはブルブルと体を震わせると熱を吐き出した。
「あ…」
 己の手の中にたっぷりと白濁を吐き出すと、ハボックの体から力が抜けベッドへと沈み込む。蕾に指を差し入れたままハボックが荒い息をついていると、ゆっくりと部屋の扉が開いた。部屋の中に入ってきた人物は達した余韻でぼんやりと宙を見上げるハボックに歩み寄るとその顔を覗き込む。快楽に蕩けた表情を浮かべているハボックに満足そうに頷いて伯父はハボックの頬を優しく撫でた。
「ふふ…復習してるのかい?ジャン、私が教えたことを」
「…お、じさん…?」
 ハボックはぼんやりと伯父の顔を見つめると呟く。そんなハボックを見つめながら伯父は優しく言った。
「ここまで出来ればもう次のステップは簡単だよ、ジャン」
「つぎ…?」
「そうだよ、セントラルに行く前に言っただろう?帰ってきたら新しい方法を教えてやると」
 伯父はそう言うと蕾に差し入れられたハボックの指を引き抜く。甘い刺激にビクビクと体を震わせるハボックの髪をかき上げながら伯父は言った。
「さあ、次の方法を教えてあげるよ」
 優しくそう囁くと、伯父はまだ身につけたままのハボックのシャツのボタンを外していったのだった。


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