| 賭禄 第三章 |
| さらりとしたシーツの感触にロイは目を開く。ぼんやりと見上げた先に見えた天井で、ロイは自分が今寝室にいることに気づいた。 賭けに負けた罰ゲームの一回目と称して、風呂の鏡の前でハボックに抱かれた。鏡に映し出される自分の姿が死ぬほど恥ずかしいと思いながら、体そのものだけでなく目からも犯されているようで、ロイは淫らな姿を映し出す鏡から目を逸らす事が出来ないまま散々に啼かされ、イかされたのだった。 「大佐、水どうぞ」 そう言う声が聞こえて、ロイは視線を向ける。そこには良いように自分を翻弄した男が、ミネラルウォーターが入ったグラスを手にロイの顔を覗き込んでいた。 「…………」 ロイはジロリとハボックを睨んだが、肘を突いて体を起こすとグラスを受け取る。渇ききった喉に冷たい水がとても心地よかった。一気に飲み干してグラスを返せばハボックがニヤニヤと笑いながら言った。 「大佐、実はああいうの好みだったんスね。すっげぇ声出してイきまくって」 「…ッッ!!」 「あれじゃあ罰ゲームになってんだか判んね───」 「馬鹿っ!死ねっ!この変態ッ!!」 ロイは枕をひっ掴むとバシバシとハボックを殴る。ハボックはゲラゲラ笑いながらロイの好きにさせていたが、やがて枕を取り上げて言った。 「まあ、次もイイ思いさせてあげますから、楽しみにしといて下さい」 「知るかッ!馬鹿ッッ!!」 ロイはそう怒鳴るとブランケットの中に潜り込んだのだった。 翌日はいい天気だった。朝から快晴で晴れ渡った空が広がっていて、ロイは執務室の窓から綺麗な空を見上げて眉を顰めた。その時、ノックと同時に執務室の扉が開いてハボックが入ってくる。ジロリと睨んでくる黒い瞳にハボックは薄く笑うと書類を差し出しながら言った。 「そんな目されるとヤりたくなっちまうじゃないっスか」 「…ッ?!」 書類を受け取ったままギョッとして身を強張らせるロイにハボックはクスクスと笑う。動こうとしないロイをせっついてサインを書かせながら言った。 「今は何もしないっスよ。もっともまた同じ目してオレのこと見たら判んないっスけどね。とりあえず今夜のお楽しみってことで」 ハボックはそう言うと再び凍り付いてしまったロイの手元から書類を抜き取る。「じゃあ、後で」と言い残してパタンと閉まった扉をロイはじっと見つめて呟いた。 「こんや……」 今度はどんな恥ずかしい事をさせられるのだろう。そう考えると逃げ出したくてたまらないロイだった。 「大佐、片づけ済んだらちょっと散歩に行きません?」 いつものように二人で夕食を食べた後、ハボックが席を立ちながら言う。 「散歩?」 「腹ごなしに。日中天気良かったし、きっと気持ちいいっスよ」 そんな風に言って笑うハボックにロイはコクリと頷いた。正直昼間から今夜はなにをさせられるのだろうとビクビクしていた身としては、散歩などと言われて肩透かしを食ったような気がしていた。 (まあ、変なことさせられるより散歩の方がいいし) ハボックの言うとおり、夜風に吹かれて散歩するのは気持ちいいだろう。ロイはそう考えながらゆっくりと立ち上がった。 「夜でももう、全然寒くないっスね」 「そうだな」 手早く片づけを済ませたハボックとロイは夜の道を並んで歩く。昼間、ハボックの瞳の色に晴れ渡っていた空は、今では満天の星を頂いてロイの瞳を思わせた。 「大佐」 ハボックがロイを呼んで軽く腕を引く。ハボックが歩きだした方角からは微かに音楽が風に乗って聞こえてきた。少し行った先には公園があって音楽はそこから聞こえてくる。音に引かれるようにして中へと入っていけば、小さな手作りの舞台で若者が数人楽器を演奏しているのに50人ほどの観客が声援を送っていた。 「野外ライブか」 「素人コンサートっスね」 おそらくは趣味で楽器をやっている連中が友人知人を招いて演奏を聞かせているのだろう。楽しげな人の群れを見つめていたロイは、不意に腕を引かれてハボックを見上げた。 「ハボック?」 そう呼べばハボックは肩越しに振り向いて笑みを浮かべる。そのまま歩いていってしまう男に慌ててついていきながらロイは尋ねた。 「見てくんじゃなかったのか?」 「別に見てなくても聞こえるっしょ」 ハボックはそう言いながら木々の間へと入っていく。少し行って緑の葉に囲まれた空間まで来るとロイを振り返った。 「せっかくだからあの曲聴きながらヤりましょ」 「……え?」 キョトンとするロイをハボックは素早く引き寄せるとその腕の中に閉じ込める。ロイが何か言う前にハボックはロイの唇を乱暴に塞いだ。 「んんっ!んっ、ん───ッッ!!」 ロイはハボックの胸をドンドンと叩いて必死に顔を背ける。追いかけてくる唇を手で押し返して言った。 「馬鹿言うなっ!すぐそこに人がいるんだぞッ!」 コンサートに見入っているとは言え、距離にしてほんの数メートルだ。絶対に気づかれないという保証はない。 「だから?大佐に拒否権はないって言ったっしょ。罰ゲームなんスからオレがヤるって言ったらヤるんスよ」 「…ッ!!」 ハボックはそう言うとロイの体をくるりと反転させ木の幹に押しつける。ズボンに手をかけると下着ごと膝の辺りまで引きずり下ろした。 「ヤダっ!ハボ、やめろッ!!」 「大きな声出すと人が来るっスよ」 やめさせようと声を張り上げればハボックにそう言われ、ロイは慌てて口を噤む。その途端、しゃがみ込んだハボックがロイの双丘を割開き奥まった蕾に舌を差し入れた。 「ヒャッ?!アアッ!!」 ぬち、と忍び込んでくる濡れた舌先にロイは悲鳴を上げる。ハボックは構わずぴちゃぴちゃと蕾に舌を這わせ、指をグイと差し入れた。 「…ッ、アッ、ヤダっ、アッアッ……ッ!!」 ぐちゅぐちゅと蕾をかき回されてロイは熱い吐息を零す。嫌だと思っても抱かれることに慣れた体は瞬く間に熱を上げ、ロイは喘ぎながら首を振った。 「ハボ…っ、やめてっ!……んあっ!やあん…ッ!!」 「だから人が来ると言うのに」 言えば途端に口を噤むロイにハボックはクスクスと笑いながら立ち上がり、背後からロイを抱き込むようにして蕾を弄り続ける。蕾への刺激にロイの中心は高々とそそり立ち、トロトロと蜜を零していた。 「ふふ……もうトロトロっスね。気持ちいい?大佐」 「ち、違うっ」 聞かれてロイは慌てて首を振る。だが言葉に反してロイの体は桜色に染まり、零れる吐息は熱く濡れて、ロイの快楽の深さを示していた。ハボックは沈めた指を乱暴にかき回しながらそそり立ったロイの中心に指を絡める。密を零す先端をぐにぐにとこね回しながらロイの耳元に囁いた。 「そろそろ欲しくなってきたんじゃないっスか……?」 そう言いながら沈めた指をグイと中へ押し入れる。 「アアッ!!」 悲鳴を上げてロイは肩越しに濡れた視線をハボックへと投げかけた。 「ハボぉ…ッ」 切なげに腰を揺らしてハボックを呼ぶ。だが、ハボックはうっすらと笑みを浮かべたままロイの蕾を弄り続けた。 「アッ……く、んっ……な、んでっ…?」 欲しいのは判っている筈なのに意地悪く蕾を嬲り続ける男にロイは涙を零す。そうすればハボックが楽しそうに言った。 「はっきり言ってくんないと判らないっスよ、大佐?」 「〜〜〜ッッ」 そう言われてロイは唇を噛み締める。だが、次の瞬間、クイッと指を突き入れられて短い悲鳴を上げた。 「……い、挿れてっ、ハボっ!」 「挿れる?もう挿れてるじゃないっスか」 ハボックはそう言いながら蕾をグチグチとかき回す。ロイは泣きながらふるふると首を振って言った。 「指じゃ嫌っ……ハボの……ハボの挿れて…ッ!」 ロイが切なげにそう強請った時、近くの茂みがガサリと音を立てる。ギクリと体を強張らせるロイを抱き締めてハボックが囁いた。 「大佐がでかい声で強請るから……聞こえちゃったっスかね?」 「…ッッ!!」 そう言われてロイは目を見開いて当たりを見回す。こんなところを見られたらと思ってゾッとしながらも、ロイの中心が萎えるどころか更に蜜を垂れ流すのを見てハボックはクスクスと笑った。 「ヤらしいっスね、アンタ……」 クックッと笑う声にロイはいたたまれなくなる。そんなロイの耳にニャアと鳴く声が聞こえて、二人は足下へと視線を向けた。 「ああ、アンタのお仲間だ。悪いな、今はこの人の相手だけで手一杯だから向こう行ってな」 ハボックがそう言えば猫は一声鳴いて行ってしまう。ホッと息を吐いたロイは、いきなりズブズブと押し入ってきた牡に高い悲鳴を上げた。 「ヒアアアアッッ!!」 ガツガツと乱暴に突き上げられて木の幹に縋りつくロイにハボックが言った。 「アンタ、ホントは誰かに見て欲しいんじゃないっスか?そんなすげぇ声上げて、いくら音楽かかってたって聞こえちまいますよ」 「ヒッ、…アッ、違…ッ」 必死に首を振るロイの耳に一際大きくなった音楽が聞こえてくる。その音に合わせるようにハボックはグラインドさせながら突き入れた。 「アッ!……ヤアッ、ハボ…ッ!!」 「すげ…きゅうきゅう締め付けてくるっスよ?音楽聴きながらだと萌えんのかな」 くすくすとからかう様に言われてロイはポロポロと涙を流す。それでも昂る体はどうすることも出来ず、激しく突き上げられてロイはたまらず熱を吐き出した。 「アアアッッ!!」 びゅくびゅくと木の幹に白濁を降り注ぐロイの耳にハボックが囁く。 「アンタにかけてもらって、来年は特別な花でも咲くっスかね」 「……ばかぁっ」 真っ赤になって泣きじゃくるロイの最奥を穿つと、ハボックもまた熱を吐き出した。 気がつけばとうに音楽は聞こえなくなっていた。手早く後始末をするとロイの身支度を整えてやってハボックが言う。 「歩けます?だっこして上げましょうか?」 「自分で歩けるッ!」 とんでもない申し出にロイは目を吊り上げて言うと歩きだそうとした。だが、数歩歩いてよろよろと座り込んでしまうロイにハボックが肩を竦める。 「やっぱ無理じゃないっスか」 「お前がところ構わずがっつくからだろうっ!!」 「アンタが咥え込んで離さなかったんでしょ」 「〜〜〜ッッ!!!」 シレッとして言う男をロイは真っ赤になって睨み上げる。なんとか立ち上がろうとするロイにハボックが手を差し伸べれば、ロイは悲鳴のように言った。 「姫ダッコは絶対ヤダッ!!!」 そう言うロイにハボックは目を丸くしたがプッと吹き出す。クックッと笑いながら背を向けてしゃがむとロイに言った。 「じゃあおんぶで。これならいいっしょ?」 「………」 そう言うハボックの背中をロイは暫く睨んでいたが、やがて腕を伸ばして広い背中に抱きつく。ハボックはしがみついてきた体を揺すり上げるようにしておぶると立ち上がって歩きだした。 「まったくねぇ、腰が抜けるまで感じちゃうんじゃ罰ゲームにならな───」 「うるさいッ!!」 呆れたように呟くハボックの首を、真っ赤になったロイは背後からグイグイと締め上げたのだった。 |
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