パワー! その4


「ハボック、今夜は何か予定があるのか?」
 ロイは執務室に入ってきたハボックに向かって言う。
「これにサインお願いします。…えと、今夜ですか?特に何もありませんけど」
 ロイに書類を差出しながらハボックはそう答えて首を傾げた。その可愛らしい仕草に口元を緩めながらロイは言う。
「予定がないなら一緒に飲みに行かないか?」
 尊敬する上司からのお誘いに、ハボックはちょっと驚いたように目を見開いたが、目元を染めて嬉しそうに笑うと答えた。
「オレなんかでよければご一緒させていただきます」
 二つ返事で返ってきた答えにロイは内心ガッツポーズをとる。だが表立っては何もかわらぬ風に澄ました顔で言った。
「そうか、それじゃあ仕事が終わったら玄関で待っていてくれ」
 それからちょっと考えてこの事は他言無用だと言おうとした矢先、ハボックが言う。
「それじゃ少尉にも声をかけておきますね」
 にっこり笑ったハボックの口から飛び出た言葉にロイは一瞬固まったが、バンと机に手をついて言った。
「ちょっと待てっ、何でそこで少尉が出てくるっ?」
 身を乗り出すようにして言うロイに、ハボックは目をぱちくりとさせると言う。
「だって少尉が中佐に誘われたら自分にも声をかけてくれって。そういう時には自分が同席するのが決まりだからって」
 だから伝えておきますねと言うとロイがサインし終えた書類を手にハボックは出ていってしまった。ロイは閉じた扉を呆然と見つめると、有能な副官の仕事の早さに歯ぎしりするのだった。


2007/6/24


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