パワー! その15


 暗かったステージにバンッと爆発したように眩しいほどの光が灯る。ワッと湧き上がる歓声にステージに立つ男達は手を振って答えると聞きなれたナンバーを奏で始めた。
「相変わらずすげぇや、マイク!」
 空色の瞳をキラキラと輝かせてステージを見つめるハボックの横顔をロイはうっとりと見つめる。リズムに合わせて軽くステップを踏み、楽しげに体を揺らす、普段見慣れない私服はハボックをずっと幼く見せてロイはハボックを抱き締めたくてしょうがなかった。ステージから零れる照明を受けて、白い肌が薄いピンクに染まるのを見てロイはどきりとする。夢中でステージを見つめるハボックの唇は薄く開き、曲に陶酔する瞳はうっすらと紗がかかっているように見えて、事の最中のハボックはこんななのだろうかと想像をかきたてた。
 じっと見つめる視線を感じたのか、ハボックは不意にロイの方を見ると微笑む。大音響の流れるホールの中で、ロイの耳元に唇を寄せると言った。
「中佐、楽しんでるっスか?」
 芳しい吐息と共に吹き込まれる言葉にロイはゾクゾクとする。
(こっ、この距離は恋人同士の距離ッ)
 ハボックの匂いも体温も感じられる至近距離にロイは荒くなる鼻息を必死に押さえてハボックに顔を寄せた。
「勿論楽しんでいるとも!ハボックお前は?」
 そう尋ねればハボックがロイの顔を見てにっこりと笑う。
「楽しいっス!」
 ロイに顔を寄せてクスクスと笑いながら答えるハボックにロイの心臓が跳ね上がった。ロイは思わず手を伸ばすとハボックの両肩をガッシリと掴む。
「ハッ、ハボックゥッ」
 裏返った声で名を呼べば可愛らしく首を傾げるハボックに。
(キスだッ!キスするしかないッ!)
 ロイは心の中でそう叫ぶとググーと身を寄せていったのだった。



2008/07/09


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