パワー! その11


 ハボックに続いて建物に入ろうとしたロイはいきなり立ち止まったハボックの背に突っ込みそうになって慌てて足を止める。そうしてしまってから、そのまま突っ込んで押し倒してしまえばよかったと後悔したロイの耳にハボックの声が聞こえた。
「中佐、ホットドッグ食いません?」
「ホットドッグ?」
「ええ、あそこの屋台で売ってるんスけど、なんか見たら食べたくなっちゃった」
 そう言ってハボックが指差す先には、カラフルな屋根をつけたワゴンの中でアツアツのホットドッグを売っていた。
「まだライブには時間あるし、腹塞ぎに…って、あ、でも、中佐はホットドッグなんて食わないっスよね」
 勝手に結論付けてショボンとなるハボックをギュウッと抱き締めたい気持ちを抑えながらロイは答える。
「そんなことないぞ。ホットドッグは大好物だっ!」
「えっ?そうなんスか?じゃあ、オレと一緒っスね」
 パッと顔を輝かせてそう言うハボックに必死に引き締めていたロイの鼻の下がでろんと伸びた。ハボックはロイを置いて屋台まで走ると2人分のホットドッグを買ってくる。そのうちの1つをロイに渡すと「いただきます」の声と共に早速食べ始めた。大きな口をあけて食べる気持ちのよい食べっぷりを見ていたロイが自分も食べようとした時。
「あっ」
 ハボックがあげた小さな声につられて視線を上げれば、その口元からとろりと零れる赤いケチャップ。
「やべ…」
 ハボックはそう呟くと零れたケチャップを指で掬い、ぺろりと舐めた。
(エ、エロい…っっ!!)
 チラリと覗いた舌先が指についたケチャップを舐め取っていく。伏せ目がちな視線も相まって、よからぬ妄想に陥りかけたロイの視線に気付いたハボックがふと目を上げた。上目遣いにロイを見て照れくさそうに目を細めて笑う。
「☆◇×〜〜〜〜っっ!!!」
「あっ、ちゅうさっ、零れてるっ!零れてるっ!!」
「…え?どわわっっ?!!」
 今にもハボックに飛びかからんと理性がぶっ飛ぶ寸前だったロイが我に返って手元を見れば、握り締めたホットドッグから零れたケチャップがべっとりとセーターについていたのだった。


2007/12/14



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