| 模造金子 〜 imitation gold 〜 第五章 |
| 直接現場から直帰したハボックは飲み屋や怪しげな宿屋の立ち並ぶ界隈を歩いていた。たどり着いた店の名前を確認すると中へと入り、カウンターの中にいる男に声をかける。言われた名前を告げれば、男は階段を指差し部屋の番号をハボックに教えた。2階へと上がったハボックは教えられた部屋の前に立つと散々迷った末に扉をノックする。暫くするとガチャリとドアが開いてウェインが顔を出した。 「よお、入れよ」 頭半分高い相手を睨みつけてハボックは言う。 「話をしに来たんじゃないんで。もう、付きまとわないでくれって言いに来ただけっスから」 キッパリと言うハボックをウェインは不愉快そうに見たが、その手が僅かに震えているのに気づいて微かに笑った。 「そう言うなよ、久しぶりに会ったんだ。ゆっくり酒でも飲みながら話そうぜ」 「もう、話すことなんてないっス」 冷たいハボックの言葉にウェインは嘲笑うように言う。 「お前、あのマスタング大佐と付き合ってんだろ?俺とお前が昔どういう関係だったか教えてやったらどういう顔、すんのかね」 「余計なこと言ったら赦さないっ!」 弾かれたように声を上げるハボックの腕をウェインはグイと引いた。 「うわっ」 部屋の中へと引き込まれ、狭い部屋の殆んどを占めるベッドの上に突き飛ばされる。ボスンと跳ねた体を起こす間もなく、圧し掛かってきたウェインにベッドに押さえ込まれた。 「アレクっ!」 「大人しくしろって。思い出させてやるよ、お前がいつもどうやって俺に抱かれてたか」 そう言うとウェインはハボックの両手をベッドヘッドに繋いでしまう。もがくハボックのズボンに手をかけるとベルトを緩めた。そうしてジッパーを下ろすと下着ごと一気に引き摺り下ろす。 「やめろっ!」 ウェインはむき出しになった脚をそろりと撫で上げると獰猛な笑みを浮かべた。 「お前、いっつも嫌だって言ってたわりに、結局最後にはアンアン言ってたじゃないか」 「違うっ!!」 「もう、ここにマスタングの突っ込ませたのかよ」 ウェインはそう言うとハボックの蕾にグイと指を突き入れる。 「ひ…っ」 グチグチとかき回しながらウェインはハボックの耳に舌を差し入れた。ネチャネチャと嬲れば組み敷いたハボックの体が震える。 「あっ…やっ」 「そうそう…こうやって耳弄りながら後ろかき回されんの、好きだったよな、お前」 楽しそうなウェインの声にハボックの瞳からポロリと涙が零れる。もう、抵抗する気も起きずにぐったりとベッドに沈み込むハボックにウェインはにたりと笑った。 「そうやって大人しくしてりゃいいんだよ。そうすりゃ気持ちよくしてやるから」 ウェインはハボックの蕾から指を引き抜くとハボックの脇腹をぞろりと撫で上げる。ビクッと震えるハボックにクククと笑うと言った。 「相変わらず感度いいな。学校卒業してから色んなヤツとやったけど、やっぱお前が一番だったぜ」 ウェインはそう言うとハボックの乳首をこね回す。ニヤニヤと笑いながら乳首を弄るウェインにハボックは言った。 「や、めて…っ、ヤダ、アレク…っ」 そう言いながらもウェインの指に摘まれたソコは色を増し堅く尖る。そこから全身に広がっていく快感にハボックはふるふると首を振った。今、ハボックの心は数年前の士官学校時代にさかのぼり、抵抗することも出来ずに毎日毎晩ウェインのなすがままにされていた頃へと戻っていた。涙を零しながら熱い吐息を吐き出すハボックの姿にウェインは興奮してハボックを見つめる。胸への愛撫ですっかりと勃ちあがった中心に手を這わせると言った。 「もう、こんなにぐちゃぐちゃじゃねぇか。なあ、お前、学校卒業してからどうしてたわけ?こんな体してたら男なしじゃいられなかったろ?」 そう聞けばハボックが必死に首を振る。 「してな…だれとも…っ」 「マジかよ、信じられねぇな」 ウェインはそう言うとハボック自身を嬲る手の動きを早めた。急速に高まる射精感にハボックは胸を仰け反らせて喘ぐ。 「ヤッ…は…あふ…も、やめ…っ」 「イっていいんだぜ、ジャン…」 ウェインはそう言ってハボックの耳に舌を差し入れた。乱暴に扱きながらネチャネチャと舌を這わせる。 「あ…アッ…や、ヤダッ…」 ハボックの脚が抵抗するようにシーツを蹴った。だが、次の瞬間下肢を突き出すようにして仰け反ると高い嬌声を上げる。 「アアアアアッッ」 そうしてびゅくびゅくとウェインの手の中に熱を吐き出すと、ハボックはぐったりとベッドに沈み込んだ。 「へへ…かわいいぜ、ジャン」 ウェインは下卑た笑いを浮かべてそう言うと、熱に濡れた指をハボックの蕾に差し入れる。 「ヒ…」 体を強張らせるハボックに構わずグチグチとかき回すと強引に押し開いた。 「ア…ヒィ…やめ…やめて、アレク…っ」 「嘘言うなよ、突っ込まれたいくせに」 ウェインは楽しそうに言いながらハボックの蕾をかき混ぜる。それから乱暴に指を引き抜くとハボックに言った。 「俺のをぶち込めば、すぐ思い出すさ。お前が俺のもんだってことをな」 ニヤリと笑うとウェインはハボックの脚を大きく広げる。舌なめずりをしたウェインがハボックを貫こうとした時。 ドンッッ!! 凄まじい音と共に扉が吹き飛んだ。 「なっ?!」 驚いて振り返ったウェインはそこにロイが立っている事に気づいて目を見開く。ロイはベッドに近づいていくとウェインに向かって言った。 「ハボックから離れろ」 「んだよっ、大佐だかなんだかしらねぇけどな、俺達は合意の上でヤってんだよ」 「ベッドに縛り付けた相手を犯すのが合意というとは知らなかったな」 ロイはそう言うとウェインをハボックから引き剥がす。殴りかかってくる拳をよけて、ロイはウェインの下あごを思い切り殴った。 「ぐはっ!!」 殴られて吹き飛んだ体をしたたかに壁に打ち付けて、ウェインはずるずると床に沈みこむ。ロイは縛られたハボックの腕を解くと乱された服を整えその体を抱き上げた。そうして床に這い蹲るウェインを見ると言った。 「これ以上ハボックに付きまとってみろ、次は殺すぞ」 低く冷たい声にウェインは言葉を返すことも出来ずにロイを見上げる。その怒りのオーラに一瞬にして焼かれて、ウェインは唇を震わせると視線を落とした。ロイはそんなウェインにそれ以上構わず、ハボックを抱いて部屋を出ていったのだった。 家に戻ったロイはハボックの体をベッドの上に横たえる。ベッドに腰かけたロイはぼんやりと宙を見据えたままのハボックの髪をかき上げると額にそっとキスを落とした。 「ハボック」 瞼にキスを一つ。 「ハボック」 頬に一つ。 ロイは何度もハボックの名を呼びながらキスを降らせる。やがてゆっくりとハボックの空色の視線がロイを捉えると怯えたような恐れるようなそんな表情がその瞳に浮んだ。ロイはハボックの頬をそっと撫でると囁く。 「もう、何も心配することはない」 そう言うロイにハボックは恐る恐る聞いた。 「アレクは大佐になんて言ったんスか?」 「何も。あんな輩から聞く言葉などないからな」 そう言って優しく撫でてくる手に、ハボックの瞳から涙が零れ落ちる。 「たいさ…オレ…っ」 「何も言わなくていい。無理にに聞きだそうとして悪かった」 ロイはそう言うとハボックに笑いかけた。 「キスしても?」 そう聞けばハボックが腕を差し伸べる。ロイはその手に引き寄せられるようにハボックに身を寄せた。啄ばむように何度も口付けるとロイはそっとハボックを抱きしめる。何も言わずに身を寄せ合っていた二人だったが、やがてハボックが小さな声で言った。 「オレ、アレクのことが好きだった。好きって言うか、憧れてたんス。頭もよくて体術なんかも抜きんでてたし。だから同室になった時は凄く嬉しくて、アレクに突然キスされたときはビックリしたけど嬉しいって思った。でも、そのうちアレク、俺のことが好きならヤらせろって…嫌だって言ったけど、全然聞いてくれなくて…体はそのうち感じるようになったけど、でも嫌だった。怖くて気持ち悪くてでも、誰にも言えなくて…オレ…」 「もういい、もういいから、ハボック」 ロイはハボックの言葉を遮るとギュッと抱きしめた。ウェインとのことがどれ程ハボックを傷つけていたのか、今では痛いほどによく判る。おそらくこうしてロイと触れ合うことが出来るようになるまでだって、ハボックにとっては随分と大変だったに違いないのだ。ロイはハボックの髪をかき上げるとそっと額に口付ける。 「ウェインとのことは忘れろ。そんなのセックスとは言わん」 「たいさ…」 「気持ちのないセックスなぞレイプと一緒だ」 ロイはそう言うとハボックの髪を撫でた。 「ハボック、お前と付き合い始めるときに言ったがもう一度言おう」 ロイはハボックをじっと見つめて言う。 「私はお前が好きだ、ハボック。…愛している」 ロイがそう言えばハボックの空色の瞳が見開かれた。ロイの指先がハボックの頬を滑る。 「好きだよ、ハボック…好きだ」 ロイは囁くように言うとハボックに身を寄せた。 「お前は?少しでも私が好きか?」 囁いてくる熱い瞳にハボックはロイの首に腕を回す。 「好き…好きです、たいさ…」 ハボックの唇から零れた言葉にロイは嬉しそうに笑った。そうしてロイはハボックに言う。 「二人で本当のセックスをしよう」 「本当の…?」 「愛し合う者同士の、な」 ロイはハボックの空色の瞳をじっと見つめた。 「お前が嫌でなければ、だが」 「い、や…じゃない…嫌じゃない…」 ハボックはそう言うと回した腕に力を込める。 「オレに本当のセックス、教えて…」 恥ずかしそうにそう言うハボックにロイは優しく笑った。 「ああ、教えてやるとも」 ロイはそう言うとハボックに口付けていった。 |
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