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| エフィアルテスの悪夢 第三章 |
| 「ハアハア」 ハボックは昏い下水溝を息を切らせて走っていく。出口を探して走るものの、どこまで行っても外へと続く通路は現れなかった。いい加減息が続かなくなって、走る速度が落ちる。その時後ろから伸びてきた触手がハボックの足に絡みつき、ハボックは汚い水の中に水音を上げて引き倒された。 「はな…ッ、離せッッ!!」 派手な水飛沫をあげて倒れたハボックは、すぐさま足首に絡みつく触手を剥がそうとする。だが、触手は剥がれるどころか次から次へと伸びてきて、ハボックは無数の触手に瞬く間に裸に剥かれてしまった。 「チキショウッ!!離せぇッ!!」 手足を拘束され、身体の自由を奪われてハボックは叫ぶ。その時、闇の中に光る目が見えてキメラが低く笑った。 「ムダナテイコウハヨセ。ホントウハ、オレニオカサレタイクセニ」 「な……ッ?違うッ!!」 頭に響く声にハボックは目を見開く。大声で否定すれば、キメラの声が聞こえた。 「チガワナイ。ヨロコンデイタダロウ?ココヲオレニオカサレテ」 キメラはそう言うとハボックの脚を大きく広げる。先端が楔の形によく似た触手がスルスルと伸びてきて、開いた脚の奥で戦慄く蕾に触れた。 「ナンドモココヲツラヌカレテ、ナンボンモナンボンモウケイレテ、オレノセイヲタップリソソガレテ、ヨガリクルッテイタノハオマエダロウ?」 「違うッッ!!オレはそんな事してないッッ」 「ナラバ、タメシテミレバイイ」 否定し続けるハボックを嘲笑うようにキメラは言うとハボックの蕾を嬲るように触手を揺らめかせる。今にも入り込もうとするそれに、ハボックは顔を歪めて叫んだ。 「嫌だッ!!やめてくれッ!!」 必死に首を振ってもがくハボックをキメラは面白そうに見つめていたが、やがて揺らめかせていた触手をグイと押しつける。そうすればその先端がハボックの蕾にぬぷりと潜り込んだ。 「…ッッ!!ヤダァッ!!」 狭い入口を押し開きヌプヌプと入り込んでくる触手にハボックが身を仰け反らせる。長い触手はゆっくりとハボックの最奥まで潜り込むとその中でうねうねと動き出した。 「ヒッ!!ヒィィッッ!!」 おぞましいその感触にハボックは目を見開いて叫ぶ。熱い粘膜をこすり押し開く触手にハボックはいやいやと首を振った。 「やめろッ!!イヤだぁ…ッ!!」 「イヤジャナイダロウ?オマエノカラダハ、ヨロコンデイルジャナイカ」 キメラがそう言って別の触手でピンと弾いたハボックの楔は腹につくほどそそり立ち、タラタラと蜜を零していた。 「カンジテイルンダロウ?オレニオカサレテ。モットモット、オカシテホシインダロウ?アフレルホドタップリト、ソソギコンデホシインダロウ?」 「ああっ?…嘘だッ!そんなはず…ッ、アアアッッ!!」 驚愕にハボックが目を見開いた途端、触手の動きが激しくなる。ジュブジュブと乱暴に突き上げられて、ハボックの唇から嬌声が迸った。 「アヒィッ!!ヒャアアンッッ!!」 「クク……ヨホドイイラシイ。ナラモット、オカシテヤロウ」 キメラはそう言って笑うと更に触手を伸ばしてくる。 「ゾンブンニアジワウトイイ」 その声と同時に既に触手に犯されている蕾に更に触手が押し入ってきた。 「ヒィィィィッッ!!ヒャアッ!!アアアアアッッ!!」 無理矢理押し開かれ犯される快感に、ハボックは高い嬌声を上げ続ける。 「ホラ、オマエガホシガッテイタモノダ」 キメラが言うと同時にハボックを犯していた触手がググッと膨れ上がる。ドクンと大きく弾けたそれに大量の白濁を叩きつけられてハボックは目を見開いた。 「ホシイダケ、ノミホストイイ」 「ヒャアアアアアッッ!!」 ドクドクととどまることなく注ぎ込まれる白濁を、ハボックは甘い嬌声をあげて受け止めていた。 「ヒャアアアアアッッ!!」 寝室の扉を開けた途端響いた声にロイはギョッとする。慌ててベッドに駆け寄ると、ベッドの上で身を仰け反らせて叫ぶハボックの体を押さえつけた。 「ハボックっ!!ハボック、しっかりしろッ!!」 「イヤだッ!!ああんっ!!ヒィィィッッ!!」 「ハボックっ!!」 ロイはハボックの身体に圧し掛かると叫び続ける唇を己のそれで塞ぐ。暴れる身体を押さえつけて唇をあわせていれば、やがてハボックの身体から力が抜けた。 「ハボック……大丈夫か?」 ぐったりとベッドに沈み込んでぼんやりと宙を見上げるハボックをロイは呼ぶ。その空色の瞳がいつまでたっても自分を見ないのにゾッとして、ロイはハボックの頬を軽く叩いた。 「ハボック!私を見ろッ!」 そう声を荒げて肩を揺さぶれば、漸くハボックがロイを見る。その空色の瞳に己の姿が映し出されるのを見て、ロイはホッと息を吐いた。 「まだ、熱が高いな」 ロイはハボックの頬に触れて言う。 「ドクターに薬を処方して貰った。目が覚めたのなら一度飲んでおこう」 薬を飲むなら本当は何か食べさせたかった。だが、スープでもと問いかけてもぼんやりとして答えないハボックに、ロイは眉を顰めて仕方なく薬だけ飲ませることにする。背中に腕を回して体を少し起こして、薄く開いた唇に薬を押し込んだ。 「水だ、ハボック」 そうしてコップを口元に当てて飲ませてやる。喉が乾いていたのか、コクコクと一息に水を飲み干してしまったハボックにロイは尋ねた。 「もっと飲むか?」 そう聞けばハボックが小さく首を振る。己の体を支えるロイを見上げてハボックが言った。 「たいさ……シよ?」 「え?」 唐突に聞こえた言葉を咄嗟に理解出来ず、ロイはハボックの顔を覗き込む。そうすればハボックの腕がスルリと伸びて、ロイの首にしがみついた。 「抱いてよ…たいさ……」 「な…っ?」 耳元で熱い吐息と共に言葉を吐き出したハボックはロイの首筋にぞろりと舌を這わせる。その濡れた感触にゾクリとしてロイは慌ててハボックを引き剥がした。 「馬鹿を言うな、今のお前を抱けるわけがないだろうっ?」 燃えるように熱いハボックの体は、傍目からでもそうと判るほど弱りきっている。傷つけられた蕾の傷はまだ癒えていない筈で、そんなハボックを今、抱けるはずもなかった。 「馬鹿な事を言っていないで、今は休んで一刻も早く体を治す事だけに専念しろ」 ロイはそう言ってハボックの体をベッドに横たえる。縋りつこうとする腕を強引にブランケットの中にしまうと、襟元をポンポンと叩いた。 「ここにいるから、何も心配しないで眠るんだ」 「やだ、たいさっ、抱いてよッ」 むずかるように言って首を振るハボックの頬をロイはそっと撫でてやる。 「イイコだから。眠りなさい、ハボック」 「……いさっ」 涙を滲ませる瞳を口づけで閉じさせると、ロイはハボックを宥めるように手を握り締めてやった。 一度目を閉じれば、ハボックは引き込まれるように眠ってしまった。それだけ体調が悪く体力も落ちているということなのだろう。 「ハボック……」 ハアハアと荒く息を弾ませるハボックをロイは苦渋に満ちた表情で見つめる。抱いてくれと強請ったのは抵抗も儘ならぬままキメラにいいようにされてしまった事で、ロイに対して罪悪感と不安があったからだろう。抱いてやれば安心させてやれると判っていても、傷つき弱り果てた体を抱くことにはどうしても抵抗があった。それに、正直触れれば加減してやる自信がない。ハボックに非はないと判っていても自分以外の誰かが触れたと思えば、やはり心の中に嫉妬と怒りが沸き上がるのはどうすることも出来ず、ロイは自分の狭量に深いため息をついた。 「くそ…っ」 そっとハボックの頬に触れれば肌そのものが燃えているかのように熱い。せめて熱だけでも下がれば体力の消耗も違うのにと、ロイが冷たく絞ったタオルをハボックの額に載せた時、音量を絞っておいた電話がリンと鳴った。 「……はい」 呼び出し音をなるべく鳴らさせまいと、ロイは飛びつくように受話器を取る。聞こえてきた声に、そっとため息を零した。 「中尉」 『申し訳ありません、大佐。取り込んでおられるとは思ったのですが』 「構わない。概要は」 『報告を受けました。燃え残ったキメラの体も回収済みです。解剖して毒素の成分解析をするよう手配しました』 「そうか」 細かな指示などなくてもロイの思う方向へと、素早く対処してくれている副官にロイは口にはせずに感謝する。ほんの少しの間をおいて、ホークアイが躊躇いがちに言った。 『それで……ハボック少尉の容態は如何ですか?』 「あまりよくないな。熱が酷い」 『そうですか……。キメラの解剖で何か判りましたらすぐにご連絡します』 「頼むよ」 『それから申し訳ないのですが』 その口調からホークアイが言いたいことを察してロイは苦笑する。 「判っている。フュリー曹長に持たせてくれ」 『ありがとうございます』 ロイはサインを必要とする書類をフュリーに持たせるよう告げて受話器を置いた。そうして相変わらず熱に浮かされているハボックを見て唇を噛むと、フュリーを待つべく寝室を出ていった。 |
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