俺はトランクを手に船の通路を歩いていく。船室の扉を開けて中へ入ればどっと力が抜けるのが判った。
今、船はゆっくりと岸壁を離れ海原へ出ていこうとしていた。汽笛の音に小さな窓から外に目をやれば、住み慣れた仏蘭西の地が遠ざかっていくのが見える。もう二度と戻ることのないその地への未練は毛ほどもなく、築き上げた富もなにもかも、俺には既にどうでもいい事となり果てていた。
俺はトランクをそっと床に置いて鍵を外し蓋を開ける。現れた白い顔に俺は目を細めると雀の躯をそっと抱き上げベッドに横たえた。頬にかかる金髪をはらってやり優しく口づける。もうこれで雀は永遠に俺のものになるのだと思うと、気が狂いそうなほど嬉しかった。
「雀……」
呼んで俺は雀の唇に己のそれを重ねる。何度も何度も繰り返せば、やがて雀が微かに身じろぎした。
「ん……」
口づける唇から小さな声が零れ、金色の睫が震える。ゆっくりと開いた瞼の下から俺が何よりも惹かれた空色の瞳が現れて俺を見上げた。
「真栖……?」
その唇が俺の名を呼ぶのが嬉しくて堪らない。俺は顔を近づけて雀の瞳を覗き込み、笑みを浮かべた。
「もう大丈夫だ、雀。もう何も心配することはない」
そう言えば雀が俺をじっと見上げる。数度ゆっくりと瞬いて雀は俺に尋ねた。
「ここ、どこっスか……?」
言って雀は俺の躯を押しやるようにして辺りを見回す。まだ薬による眠りの名残を引きずっているのか、ぼんやりとしている雀に俺は言った。
「日本に向かう船の中だ。俺達は日本に行くんだ」
「日本に……?船の、中……?」
よく判らないと言うように雀は俺の言葉を繰り返す。ぼんやりとしていた雀の顔が数度の瞬きの後ハッと引き締まり、雀はガバリと身を起こした。
「日本に向かう船の中っ?!」
「そうだ。もうこれで誰に邪魔されることもない。俺達はずっと一緒にいられるんだ」
そう囁いて俺は雀の唇に己のそれを寄せる。だが、唇が触れ合う前に雀は俺をドンと突き飛ばしベッドから飛び降りた。
「雀っ?!」
雀は船室の扉を開き外へと飛び出す。慌てて後を追った俺が追いつく前に、雀は狭い通路を走り抜けデッキへと出た。
「ッッ?!」
吹き抜ける風に金色の髪をなびかせて雀は手すりに駆け寄る。眼前に広がる青い海原を見つめる雀に、俺は漸く追いつくとその腕を掴んだ。
「雀、勝手に部屋を出るな」
俺は言って雀の腕をグイと引く。だが、雀は俺の手を振り払って手すりにしがみついた。
「嘘だ……こんなの」
雀は青い海を見つめて呆然と呟く。ワナワナと唇を震わせた雀は俺を振り向いて言った。
「オレを仏蘭西に戻してください」
「雀?」
「酷いよ、こんな……ッ!オレを家に戻してッッ!!」
雀は手すりに背を預けるようにして怒鳴る。空色の瞳を涙に滲ませて、雀は激しく首を振った。
「家に帰してッ!!父さんっ、母さんっ、……雀鈴ッッ!!」
「ッッ?!」
日本に行けることを喜んでくれると思ったのに、両親ばかりか雀鈴の名まで呼ぶ雀に怒りがこみ上げる。俺は腕を振り上げると雀の白い頬を思い切り張った。
「ッ!!」
デッキに倒れ込む雀の腕を俺は掴み乱暴にその躯を引き上げる。俺の手を振り払おうともがく躯を引きずるようにして部屋に戻ろうとすれば、驚いたように見つめてくる客達を俺は思い切り睨みつけた。
「やだ、マー……ッ!」」
もがく雀を引き寄せて俺は噛みつくように口づける。客達の視線を感じながら深く口づけきつく舌を絡めれば、雀の躯から徐々に力が抜けていった。
「あ……や……」
くったりと身を預けてくる雀を俺は軽々と抱き上げる。紺地に白で波を散らした寝衣用の浴衣姿の雀は知らない者には女とも見え、恐らく今の一幕は日本語の判らない客達の目に痴話喧嘩に映った筈だった。
「戻るぞ」
俺は雀を抱いて足早に船室に戻る。細い躯をベッドに下ろせば雀は逃げるように壁際に身を縮めた。
「どうして……?どうしてこんな事するんスか?」
雀は泣きそうな顔で俺を見上げて言う。俺の方こそ雀がそんな質問をする理由が判らなかった。
「どうして?あそこにいたら俺とお前は一緒にいられなくなってしまうだろう?誰も彼もが俺達の間を邪魔して……雀鈴はお前を殺そうとまでしたんだぞッ!」
そんなところにこれ以上いられる筈はない。それくらい雀だって判っている筈なのにと責めるように見つめれば、雀は空色の目を見開いて俺を見た。
「雀鈴はアンタの事を本当に、心の底から愛してた。アンタの話をする雀鈴は凄く幸せそうで、オレは雀鈴からアンタの事を聞くのが大好きだった。父さんも母さんも、アンタが結婚の申し込みをする為に家に来るって聞いて、本当に楽しみにしてたのに」
雀はそう言って一つ瞬く。空色の瞳を覆っていた涙の膜が一筋頬を伝って零れて落ちた。
「新しい兄さんが出来るって、本当に楽しみだったんスよ。真栖、アンタはオレ達みんなを裏切ったんだ」
空色の瞳に非難の色を浮かべて雀が俺を睨む。
「帰して。オレを家に帰してよ……っ、アンタなんて……アンタなんて大ッ嫌いっス!!」
「雀……」
全身で俺を拒絶して雀が叫ぶ。両腕で己の躯を抱き締めて震える雀を見ていればフツフツと沸き上がった怒りが俺の躯を支配していった。
「どうして……どうして判らないんだ。こんなに愛しているのに」
「真栖」
「あれだけお前を愛していると、愛しているのはお前だけだと教えてやったのに、どうして判らないんだッッ!!」
俺は大声で怒鳴って雀に飛びかかる。悲鳴を上げる躯をベッドに押さえつけ、その顔を真上から覗き込んだ。
「いいだろう、日本に着くまではまだ大分かかる。その間に俺がどれだけお前を愛しているか教えてやる。お前は一生俺のものだと、その躯に刻んでやる……ッ」
そう言うなり俺は雀の浴衣の襟に手をかける。そのまま左右に乱暴に開けば、細い肩が剥き出しになった。
「嫌ッ!真栖!」
逃れようともがく雀を押さえつけ、白い首筋に唇を寄せる。思い切り歯を立てると薄い皮膚が切れて血が滲んだ。
「ヒィッ!!」
痛みにビクリと躯を震わせる雀に構わず更に歯を食い込ませる。そうすれば雀の躯から抵抗の意志が消えていった。
「真栖……っ」
食いちぎられた皮膚から零れた血が白い肌を赤く濡らす。怯えた瞳で見上げてくる雀に笑って俺は言った。
「お前は俺のものだ。俺達はこれからずっと一緒にいるんだ、永遠にな……」
低く囁いて傷口に舌を這わせる。ピクンと震える雀の浴衣を更に開き、現れた薄色の突起を唇に含んだ。
「アアッ!」
キュッときつく吸いつき舌先で潰す。そうすれば柔らかかった突起は忽ち堅くなって、プクリと立ち上がった。
「ああ……嫌ァ……ッ」
ふるふると首を振る雀に構わずしつこく乳首を弄れば雀の唇から零れる吐息が温度を上げる。俺は雀の乳首にチュウチュウと吸いつきながら浴衣の裾を跳ね上げて雀の脚の間に躯をねじ込んだ。紺色の布地の間から剥き出しになった白い脚の内側に手を這わせる。中心をギュッと握ると雀が喉を仰け反らせて喘いだ。
「や……ッ、アッ!!」
下穿きを毟り取り立ち上がり始めた楔を直に握り込む。ゆっくりと扱けば雀が嫌々と首を振った。
「ヤダ……ッ、お願い、やめて、真栖……ッ!」
「駄目だ、お前がちゃんと理解するまで続ける」
「そんな……ッ」
そう言う間にも扱き続けていると堅さを増した楔から蜜が溢れてくる。俺は溢れた蜜を掬って雀の蕾に塗り込め、グッと指を沈めた。
「アアッ!!」
グチュグチュとイヤラシい水音を立てながら蕾を掻き回す。指の数を二本、三本と増やせば雀の唇か零れる息が甘さを増していった。
「感じているのか?雀」
「違……ッ」
「もうぐちょぐちょだぞ」
「ッッ!!」
そう言う俺の言葉通り、今ではすっかりとそそり立った雀の楔からはとろとろと蜜が零れて蕾をしとどに濡らしている。俺は沈めた指をグリグリと動かしてから乱暴に引き抜いた。
「ンアッ!!」
短い悲鳴を上げる雀の脚を大きく開かせ押し上げる。ハッとして見上げてくる雀に俺はうっとりと笑った。
「お前の大好きなのを挿れてやろうな。そうすればお前が俺のものだと言うことをはっきり自覚するだろう?」
「嫌……嫌っス……もう、やめて、真栖……ッ!」
「雀……俺の……」
うっとりと囁いて俺は己を雀の蕾に押し当てる。雀の蕾が悦ぶように戦慄くのを感じて、俺の心は歓喜に打ち震えた。
「愛してる、雀……」
囁くと同時にゆっくりと、ゆっくりと身を沈めていく。何度抱いても相変わらずキツい雀の躯を強引に割り開いていけば、雀が苦しげに身を捩った。
「ィッッ……アアッッ!!」
逃げを打つ躯を引き戻して一気に根元まで突き挿れる。楔の根元と雀の蕾が解け合うほどに身を寄せて、俺は雀の耳元に囁いた。
「ふふ……キュウキュウ締まって奥に引き込もうとしてるぞ……可愛いな、雀……」
「アッ、アアッ!」
囁きを吹き込みながらねっとりと耳朶に舌を這わせる。それと同時に小刻みに突き上げれば雀の唇から甘い悲鳴が上がった。
「やっ、だッ!嫌ァッ!!……アアッ!んあッ!!」
ビクビクと躯を震わせて雀が喘ぐ。俺は雀の脚を抱え直し、思い切りガツンと突き挿れた。
「ヒアアアアアッッ!!」
一際高い嬌声を上げる雀を容赦なく攻め立てる。前立腺を狙って楔を打ちつけると雀が弓なりに反らせた躯を大きく震わせた。
「アッ……アアアアアッッ!!」
びゅくびゅくと雀の楔から白濁が迸る。キュウウと締まる後孔に熱い息を吐き出して、俺は雀の最奥に熱を叩きつけた。 |