凌霄花(のうぜんかずら)の宿  第十九章


「見ないでッ、雀鈴(ジャクリーン)ッッ!!」
 俺に貫かれたまま(ジャン)は涙に濡れた顔を振る。そうすれば涙の滴が宙に舞うのを見て、俺は(ジャン)の腰を掴んで思い切り突き入れた。
「ヒ……ヒャアアアアッッ!!」
 抉るような突き入れに(ジャン)の背が仰け反り唇から高い嬌声が上がる。それと同時に厩の入口に立つ雀鈴(ジャクリーン)の体が大きく震えるのが視界の端に見えた。
「ヤダぁッ!真栖(マース)、赦してッッ!!」
 姉の前で犯されて、泣きながら嫌だと訴えながらも(ジャン)の躯は悦びを訴えている。突き入れる蕾はきゅうきゅうと締まって俺の楔に絡みつき、泣き声は甘ったるく掠れていた。ガツガツと容赦なく突き上げれば熟れた躯は瞬く間に追い上げられ、(ジャン)は甘い悲鳴と共に熱を吐き出す。がっくりと力の抜けた躯から己を引き抜き、軽く衣服を整えた俺は(ジャン)の躯を腕に抱き締めて雀鈴(ジャクリーン)と向き合った。
「……どうして?真栖(マース)は私を愛してくれてたんじゃなかったの?」
「最初はな、そう思ってた。だが、(ジャン)と会った瞬間、俺が求めていたのは(ジャン)だと気づいたんだ」
 俺は言って涙に濡れた(ジャン)の頬に口づける。それを見た雀鈴(ジャクリーン)が嫉妬と怒りに顔を歪めた。
「どうして……?どうしていっつも(ジャン)なの?」
 雀鈴(ジャクリーン)は低い声でそう呟く。嫉妬にギラギラと目を輝かせて瓜二つの弟を睨みつけた。
「いつだってそう……。みんな(ジャン)のことを好きになる。私が好きになった男の子も仲のよかった友達も、最初は私のことを見てくれるのに雀と会ったらみんな私のことなんてこれっぽっちも気にかけてくれない。(ジャン)(ジャン)って……どうしていつもそうなのよッッ!!お父様もお母様も私よりずっと(ジャン)のことを……ッ!私のなにが(ジャン)より劣るって言うのッ?!」
雀鈴(ジャクリーン)……」
 (ジャン)は凄まじい姉の嫉妬に目を見開いて雀鈴(ジャクリーン)を見つめる。雀鈴(ジャクリーン)は歩み寄ってくると呆然と見つめてくる弟を睨みつけた。
「どうやったの?どうやって真栖(マース)を誘惑したの?抱いてくれって泣きついたの?イヤラシく媚びたのね、そうよ、そうでなきゃ真栖(マース)がアンタとこんな事をするなんてあり得ない。真栖(マース)は私を愛してるのよッ、それなのによくも……ッッ!!」
 雀鈴(ジャクリーン)はそう叫んで(ジャン)に手を伸ばす。蜂蜜色に輝く(ジャン)の髪を掴もうとする雀鈴(ジャクリーン)の手を俺は思い切り撥ね除けた。
「やめろ、雀鈴(ジャクリーン)
真栖(マース)
(ジャン)に手を出したら赦さんぞ」
 こんな女が(ジャン)に触れるなんて赦さない。(ジャン)の躯をギュッと抱き締めて睨みつければ雀鈴(ジャクリーン)が目を見開いた。
「どうして?そんな子のどこがいいの……?いつだって無邪気な顔して私から全てを取り上げて、なにもかも独り占めして……ッッ!!」
「オレ……そんなことしてない……」
 呟くように言う(ジャン)の言葉に雀鈴(ジャクリーン)がキッと(ジャン)を睨みつける。
「じゃあ、これはッ?!アンタ今ここでなにしてたのッッ!!真栖(マース)を誘惑して抱いてもらって……ッッ、こ、の……泥棒猫ッッ!!」
 (ジャン)に向かって雀鈴(ジャクリーン)が手を振り上げる。ビクッと震えて首を竦める(ジャン)を抱き締めながら、俺は雀鈴(ジャクリーン)の手首を掴んだ。
(ジャン)に手を出したら赦さんと言った筈だ」
真栖(マース)っ!」
「消えろ。俺が愛しているのは(ジャン)だ」
 きっぱりとそう告げれば雀鈴(ジャクリーン)の瞳が大きく見開かれる。何か言いたげにワナワナと唇を震わせた雀鈴(ジャクリーン)は、だが結局なにも言わずに厩を飛び出していった。
雀鈴(ジャクリーン)!!」
 姉の背に向け名を呼んで(ジャン)雀鈴(ジャクリーン)に手を伸ばす。だが、細い躯を抱き締めて引き戻せば、(ジャン)が俺を睨みつけた。
「どうしてっ?酷いよ、真栖(マース)雀鈴(ジャクリーン)にあんな事ッ!!」
「何故だ?真実を告げてなにが悪い?」
真栖(マース)!!」
 (ジャン)は俺を責めるように見つめる。
雀鈴(ジャクリーン)は本当に真栖(マース)の事が好きなんスよ?真栖(マース)の事話す時の雀鈴(ジャクリーン)がどれだけ幸せそうだったか……それなのにっ、真栖(マース)、最低だッ!!」
 空色の瞳を怒りにキラキラと輝かせて俺を罵る(ジャン)を見ればそれだけで胸が高鳴った。俺は(ジャン)の躯をきつく抱き締め噛みつくように口づける。腕の中でもがく(ジャン)ごと地面に倒れ込んで、俺は細い脚を胸につくほど押し上げた。
「ッ!!やだッッ!!」
 (ジャン)の抵抗を押さえつけ、取り出した楔を(ジャン)の中に沈めていく。そうすれば(ジャン)が喉を仰け反らせて悲鳴を上げた。
「イヤアアアッッ!!」
(ジャン)……(ジャン)ッ!!」
 狭い肉筒に思うまま突き挿れ細い躯を揺さぶる。数度目に突き上げた時、(ジャン)がびゅるりと熱を放った。それと同時にきゅうと締め付けてくる蕾の動きに逆らわず俺は(ジャン)の最奥に熱を叩きつける。身の奥深くを俺の欲望に穢されて、ビクビクと震えた(ジャン)の躯ががっくりと沈み込んだ。
「ごめん……雀鈴(ジャクリーン)……」
 姉に向かってそう呟いたのを最後に(ジャン)は気を失った。


 ゆっくりと埋め込んだ楔を引き抜けば、小さな口はとろりと白濁を吐き出す。俺は(ジャン)の躯を簡単に清めて身なりを整えると細い躯を抱き上げた。
 雀鈴(ジャクリーン)(ジャン)との関係を知られ、俺の気持ちもバレてしまった。雀鈴(ジャクリーン)の性格を考えれば両親に俺と(ジャン)の事を話はしないだろう。だが、その分(ジャン)に対して何かをしてくる可能性は十分にある。もう、すぐにでも行動を起こす必要があった。


 (ジャン)の躯を抱えたまま屋敷に戻れば、使用人が驚いて駆け寄ってくる。貧血を起こして倒れたと告げた俺は、雀鈴(ジャクリーン)の居場所を尋ねた。
雀鈴(ジャクリーン)さまなら先ほど戻ってこられて今はお部屋にいらっしゃいますけれど」
 使用人はどこか怯えた様子でチラチラと雀鈴(ジャクリーン)の部屋がある方を伺いながら言う。どうしたと尋ねようとした瞬間、ガシャーンという食器が割れる音とヒステリックな声が二階から聞こえた。
「申し訳ございませんっ、雀鈴(ジャクリーン)さま!」
「うるさいわねッ、アンタなんて首よッ!とっとと出ていきなさいッ!!」
 転がるように部屋から出てきて床に額をすり付けて謝る使用人の頭を、雀鈴(ジャクリーン)は足で何度も蹴りつける。階段の上から階下を見下ろした雀鈴(ジャクリーン)の視線が俺と俺の腕の中の(ジャン)を捉えて、雀鈴(ジャクリーン)は鬼の形相で俺たちを睨んだ。
「……ヒ……」
 そのあまりの凄まじさに側にいた使用人が悲鳴を上げかける。暫くの間俺たちを睨んだ雀鈴(ジャクリーン)はクルリと背を向け部屋の中に戻っていった。よろよろと立ち上がった使用人は俺が見ていることに気づくと、拙いものを見られたというようにそそくさと引っ込んでしまう。俺は雀鈴(ジャクリーン)がいた場所を暫くの間見つめたが、その後ゆっくりと階段を上がり二階の部屋へと戻った。


→ 第二十章
第十八章 ←