凌霄花(のうぜんかずら)の宿  第十八章


「は……ふ、んッ……ッ!」
(ジャン)……」
 ベッドの上で四つに這った(ジャン)の体を背後から抱え込み、俺は激しく突き込むように己を抜き差しする。ぐちゅぐちゅとイヤラシい水音を彩るように(ジャン)の押し殺した喘ぎ声が部屋の中を満たした。
「んんっ……あっ、あっ……ッ」
 ギュッと握り締めたシーツに顔を埋めて(ジャン)は必死に声を抑えようとする。俺は(ジャン)の金髪を掴むとグイとシーツから顔を引き離した。
「声を殺すな」
「や、だ…ッ」
 俺の言葉に(ジャン)が拒絶の言葉を返せば、俺は髪を掴んだまま思い切り(ジャン)を突き上げた。
「ヒ……ィッ!!」
 容赦のない突き上げに(ジャン)が背を仰け反らせて悲鳴を上げる。俺はガツガツと突き上げながら(ジャン)に言った。
「俺の言う事に逆らうな」
「アアッ!ヒィッ!!……ごめ…ごめんなさい…ッ」
 短い悲鳴の間に(ジャン)が必死に赦しを乞う。何度も繰り返されるそれに俺は漸く攻め立てる動きを弱めた。
「俺に逆らうな、俺を拒むな。判ったか?(ジャン)
「……」
「判ったかと聞いてるんだッ」
 服従を誓う言葉を返さない(ジャン)にカッとして俺は掴んだ髪を乱暴に揺さぶる。だが、(ジャン)は悲鳴を上げながらも答えを返さなかった。
(ジャン)ッ!!」
「……もう、こんなの嫌だ…ッ!」
 苦痛にボロボロと涙を零しながら(ジャン)が言う。
雀鈴(ジャクリーン)だって…変だと思ってる……もうこれ以上こんな事したくない……っ」
(ジャン)ッ」
「ヒ……ィィッ!!」
 髪を鷲掴んだままガツンと突き上げれば(ジャン)が身を仰け反らせてビクビクと震える。パタタとシーツに白濁が零れて、(ジャン)が達したのだと判った。それと同時に俺の楔を咥えた蕾がキュウウと締まる。搾り取られるように(ジャン)の内壁に熱い飛沫を叩きつければ(ジャン)の体が大きく震えた。
「あ……ああ……っ」
 身の内を濡らされる事で(ジャン)が快楽を得ている事が、絡みついてくる内壁や(ジャン)の湿度の高い息遣いから伝わってくる。どれほど(ジャン)が嫌だと拒んだところで熟れきった体は拒む事など出来ず、結局は俺の言葉に従う以外ない事はよく判っていた。
「は……くぅ、ん……っ」
 ガクリと頽(くずお)れて(ジャン)がシーツに荒い吐息を吹き込む。繋がったままの腰を高く突き上げたその姿が酷くイヤラシくて、埋めた楔が再びムクムクと頭を(もた)げた。
「ッッ?!ヤダぁ…ッ!!」
 まだこの甘い責め苦から解放して貰えないと気づいて、(ジャン)が弱々しくもがく。シーツを掴んでなんとか逃げようとする体を残酷に引き戻して、俺は(ジャン)の背に胸をつけるように圧し掛かるとその耳元に囁いた。
「お前がなんと思おうとお前は俺のもんだ」
「……ッッ」
「決して忘れないよう、その身に刻み込んでやる……ッ」
 そう言うと同時に再び激しく突き上げ始める。
「や、だ…ッ、やだァ……ッッ!!」
 高い悲鳴を上げてもがく(ジャン)を押さえ込んで、俺は容赦なく(ジャン)を攻め立てた。


 時に抵抗し、時に快楽という苦痛に負けて従順に身を預けてくる(ジャン)をそうやって犯し続けて時間が過ぎていく。一週間が経ちこの家の主が戻ってくるのが時間の問題となり、もう次の行動を起こさなければならなかった。その為の準備を進めていた俺は、ほんの少し目を離した隙に(ジャン)の姿が見えない事に気づいた。
(ジャン)?どこにいるっ?」
 (ジャン)を探して家の中を歩き回っていれば雀鈴(ジャクリーン)が部屋から出てくる。
(ジャン)がどうかしたの?真栖(マース)
 そう言って尋ねてくる(ジャン)と瓜二つでありながらまるで似ていない顔に、俺は苛々としながら答えた。
「別にどうもしない」
 俺は言って雀鈴(ジャクリーン)を押し退けて歩き出そうとする。そうすれば雀鈴(ジャクリーン)が立ちはだかるようにして俺の腕を掴んだ。
「待って!ねぇ、いつまで?いつまでそうやって(ジャン)の面倒見てるつもり?もう(ジャン)の具合だって付きっきりで世話を焼くほどの事はないんじゃないの?」
 雀鈴(ジャクリーン)はそう言って睨むように俺を見つめる。その瞳が不安に揺らいだと思うと、雀鈴(ジャクリーン)は顔を歪めて言った。
「ねぇ、真栖(マース)……真栖(マース)は私と結婚してくれるんでしょう?その為にここへ来たのよね……?」
 そう尋ねる雀鈴(ジャクリーン)の俺の腕を掴む手に間接が白くなるほど力が入る。微かに震えるその手を俺は振り解いて言った。
「馬鹿な事を聞くな」
「答えてっ、真栖(マース)!」
雀鈴(ジャクリーン)
「不安なの……ッ」
 雀鈴(ジャクリーン)は言って縋るように俺を見る。
「不安なの、真栖(マース)……。お願い、はっきり言葉にして言って?私と結婚するって」
 縋る瞳にすら苛ついて思わず上げかけた手をギュッと握り締めた。
「くだらない事を聞くな」
真栖(マース)!」
 俺は雀鈴(ジャクリーン)を押し退けて今度こそ歩き出す。
「貴方は私と結婚するのよッ!!絶対結婚するんだからッ!!」
 大声で喚く雀鈴(ジャクリーン)を殴りつけたい衝動を必死に押さえて、俺はその場を離れた。


 (ジャン)を探して俺は庭を歩いていく。見回す視線の先に(うまや)が見えて、俺は足早にそちらへ向かった。足音を立てないようそっと近づいて中を覗く。そうすれば案の定、馬を連れ出そうとする(ジャン)の姿が見えて、俺はうっすらと笑った。
「頼むよ、早く来てっ」
 (ジャン)は切羽詰まった表情で馬を厩の外へと連れていこうとする。俺はゆっくりと厩の中へ足を踏み入れ、(ジャン)に向かって言った。
「馬を連れ出してどこへ行くつもりだ?」
「ッッ?!」
 俺の声に(ジャン)の体が鞭打たれたようにビクッと震える。肩越しにゆっくりと振り向いた(ジャン)は、俺を見て大きく目を見開いた。
真栖(マース)……」
「俺から逃げるつもりか?(ジャン)
 言いながら近づいていけば(ジャン)が手綱を離してゆっくりと後退る。パッと逃げだそうとする(ジャン)の腕を、一瞬早く俺が掴んだ。
「ッッ!!離せッッ!!」
 叫んで逃げようとする腕を捻り上げ壁に押さえつける。後ろ手に腕を捻られて苦痛に呻く(ジャン)を背後から押さえ込んで俺はその耳元に囁いた。
「逃げようなんて、そんなこと赦す筈ないだろう?」
真栖(マース)……ッ」
 痛みに顔を歪めながらもなんとか逃れようとする(ジャン)を壁に押しつけ、着物の裾に手をかける。裾を大きく開き捲り上げると白い双丘の間に指をねじ込んだ。
「ヒッ!!」
 身を強張らせる(ジャン)の脚の間に体をねじ入れ閉じられないようにすると、蕾をぐちゅぐちゅと掻き回す。苦痛に目を見開きガクガクと震える(ジャン)の蕾を強引に解すと、俺は己を取り出した。
「やめてッ!!」
 何をされるのか察して(ジャン)が拒絶の悲鳴を上げる。それに構わず俺は己を押し当て(ジャン)の中に一気に突き挿れた。
「アッ、アア───ッッ!!」
 ズブズブと狭い肉筒を押し分けて一息に根元まで押し込む。腕を捻り上げていた手を離して双丘を両手で鷲掴み、俺はガツガツと激しく突き上げた。
「ヒィッ!!ヒアアアアアッッ!!」
 激しく揺さぶられて(ジャン)は身を仰け反らせて喘ぐ。ガンッと最奥を抉れば拒絶する彼の意志とは裏腹に、体が悦びを訴えてキュウウと俺を締め付けた。
「あ、あ……くぅ…ッ」
「イイんだろう?(ジャン)……」
「違……ッ」
「こんなに締め付けておいて何を言ってる」
 意地悪く囁く声にすら感じてしまうらしく、締め付けが強くなる。俺はクスクスと笑いながら(ジャン)の耳元に囁いた。
「逃げられるなどと思うな、お前は一生俺のものだ……」
 そう告げる俺の言葉に(ジャン)が肩越しに俺を睨みつける。その唇が言葉を発しようとする直前、厩の入口で短い悲鳴が上がった。
「な…ッ、なにしてるのッ?!真栖(マース)!!……(ジャン)ッ?!」
 その声に思わず突き上げる動きを止めて背後を振り向く。そうすれば厩の入口に立ち尽くす影が見えた。
「なんで……?どういうことよッ、これッ?!」
雀鈴(ジャクリーン)
 俺が呟くようにその影の名を呼べば。
「や……嫌ァ───ッッ!!」
 姉の姿を認めた(ジャン)の唇から絶望に彩られた悲鳴が上がった。


→ 第十九章
第十七章 ←