狂愛  第五章


「たいさ…っ」
 ハボックはうっすらと笑みを浮かべて自分を見下ろす男を縋るように見る。戒められた楔は痛いほどで、ハボックはポロポロと涙を零して言った。
「解いて…っ、こんなの酷いっス!」
 そう言うハボックにロイは笑みを深める。涙に濡れた頬をそっと撫でながら言った。
「あのまま射精してしまったら私もお前も汚れて大変なことになってただろう?違うか?」
「あ……」
 そう言われてハボックは口ごもる。だが、いいように弄られた楔は痛いほどに張りつめて、解放を訴えていた。
「でも…イきたいっス……」
 ハアと熱い吐息と共に言葉を吐き出すハボックにロイはクスリと笑う。それからソファーに腰を下ろして言った。
「イきたいなら先に私を満足させろ。ここにきて咥えるんだ」
 その言葉にハボックが目を見開く。暫くそのまま机に身を預けていたハボックだったが、ゆっくりと身を起こすと脚に絡みつくズボンと下着を脱ぎ捨てよろよろとソファーに近づいてきた。倒れるようにロイの足下に跪き震える手を伸ばしてロイのズボンをくつろげる。半勃ちになった楔におずおずと舌を伸ばすと先端をぺろりと舐めた。
「あ……」
 青臭い匂いが口に広がり、その熱で与えられた快楽を体が思い出してしまう。じゅわりと戒められた先端を蜜で濡らして、ハボックはロイの楔を口に含んだ。
「んっ………んふ……くぅ…」
 初めての奉仕に拙い手つきではあったが、ハボックは夢中でロイの楔をしゃぶる。いつしかもぞもぞと腰を揺らめかし始めたハボックにロイは楽しそうに言った。
「どうした?欲しいのか?」
 そう尋ねれば欲に潤んだ空色の瞳がロイを見上げる。色素の薄い唇をロイの先走りの蜜と己の唾液に濡らして滾る楔を口一杯に頬張るハボックの顔に、ロイは興奮して金髪を鷲掴んで己を突き入れた。
「グウッ!……ンンッッ!!」
 いきなり喉奥に突き入れられて、ハボックは苦しげに顔を歪める。それでも逃げようとしないハボックに、ロイは何度か突き入れると口内に熱を吐き出した。
「んんっ!!ぐふ…ッ!」
 喉奥に叩きつけられる大量の白濁にハボックは大きく目を見開く。必死に飲み込んだものの飲みきれずに唇の端からダラダラと白濁を垂れ流すハボックを食い入るように見つめていたロイは、大きくぶるりと身を震わせるとハボックの口から己を引き抜いた。
「ゲホッ、ゴホゴホゴホッッ!!」
 噎せて蹲るハボックに手を伸ばすとロイはハボックの顎を掬い上げる。ハアハアと息を弾ませ、息苦しさに涙を滲ませるハボックを見つめてロイはうっとりと笑った。
「イイコだ、ハボック。よく出来たな」
「たいさぁ…」
 褒めてその金髪を撫でてやればハボックが舌足らずな声でロイを呼ぶ。ロイは蹲ったまま立ち上がれないハボックの腕を掴んで引き上げると背後から抱え込んだ。
「よく出来たご褒美をやろうな…」
 ロイはそう言うとハボックの脚を開かせ戦慄く蕾に己を押し当てる。グッと押し入ってくる楔に、小さな口を強引に割り開かれてハボックは目を見開いた。
「ヒ…ッ」
 巨大な牡を飲み込むには潤いも準備も足りない蕾が引き連れて痛みが走る。ハボックはふるふると首を振って言った。
「たいさっ、無理ッ、いた…ぁっ」
「力を抜け、ハボック」
 ロイはそう言ってハボックの口に指をねじ込む。唾液で指を濡らすと、ヒクつく蕾に指を突き入れた。
「くぅっ」
 震える体を抱き締めながらロイはハボックの蕾をかき回す。これなら何とか入るだろうと言う程度まで解すと指を引き抜いた。
「挿れるぞ」
 耳元に低く囁けばハボックの体が震える。長い脚を大きく開いて蕾に楔を押し当てると、ハボックの体重を使って一気に貫いた。
「ヒッ………ア…ッ」
 ズブズブと押し入ってくる熱い塊にハボックは悲鳴を上げることも出来ずに背を仰け反らせる。一気に根元まで埋め込まれて、ハボックはハッハッと短い呼吸を繰り返して痛みをやり過ごした。そうすれば次に襲ってくるのは快楽の波だ。狭い器官を埋め尽くす熱にハボックはゾクゾクと身を震わせて視線を上げた。その途端、目に飛び込んできた扉にギクリと身を強張らせる。鍵の掛かっていない扉は二人が座るソファーの正面にあって、もし誰かが扉を開いたならロイに犯される自分の姿が真っ先に目に入ることに気づいたハボックは、猛然と暴れ出した。
「やっ、離してっ、たいさ!」
 さっきまで快楽に蕩けきっていたハボックが突然暴れ出した事に、ロイはムッとしてその体を押さえ込む。戒められた楔を思い切り握り込めば、ハボックはおとなしくなった。
「どうした?悦いんじゃないのか?」
「ドア!鍵掛かってない…ッ!」
 激しく首を振ってそう言うハボックにロイはニヤリと笑う。
「そうだな、お前が大きな声を上げたらブレダ少尉がびっくりして飛び込んでくるかもな」
「……ッッ!!」
 ヒュッと息を飲むハボックの体をロイはガツガツと突き上げる。
「ヒャ…ッ?!たいさ…ッ!!」
「見せつけてやれ、少尉にな」
「や、だっ」
 必死に逃れようとするハボックの体を引き戻してロイは激しくハボックを攻めたてる。
「あ、あ……ッッ」
 射精出来ぬまま達して震える体を仰け反らせるハボックの中に、ロイはドクリと熱を吐き出した。
「ア……く、ぅんッ!」
 狭い秘肉を熱く濡らされてハボックは快楽に震える。こんな風に男の欲を迎え入れ、体の内部を濡らされる事で快楽を感じるなど、いくら好きな相手とはいえハボックには信じられなかった。それでも頭でどう思っていようが快楽を覚えてしまった体は勝手にそれを貪ろうとする。含んだロイをキュウキュウと締め付けてしまい、更に悶える結果となった。
「あ、あ……くるし…ッ」
 沸き上がる快楽にせき止められた熱が解放を訴える。ビクビクと体を痙攣させ、熱い吐息を零した。
「たいさ……イかせてっ、辛いッ」
 綴じ紐を巻き付けられた楔は先端から僅かに蜜を零し、赤く膨れ上がって見るからに辛そうだ。ロイの肩に頭を預けてハアハアと荒い息を零すハボックにロイはうっそりと笑った。
「ふふ、縛ってあるのにお漏らししてるぞ、ハボック」
 ロイはそう言って蜜を滲ませる先端をこねる。そうすればハボックの蕾がキュンと締まってロイを喜ばせた。
「ああ、たいさぁ……っ、お願い…ッ」
 もどかしげにハボックが腰を揺らめかせて言った、その時。
 コンコン、とノックの音が響いてブレダの声がした。
「大佐?グリーン少佐が来られてますが、今いいですか?」
「ヒ……ッ」
 扉越しに聞こえる友人の声にハボックの体が強張る。ロイは凍り付いたように呼吸すら出来ないでいるハボックを抱き締めると、ガツンと思い切り突き上げた。
「……ぃッ!………ッッ!!」
 容赦なく突き上げられ、零れそうになる悲鳴をハボックは両手で口を塞いでこらえる。それでもくぐもったような悲鳴を押さえることは出来なくて、ハボックは何とか逃れようと身を捩った。
「どうする、ハボック。二人に中に入ってもらおうか?」
「…ッッ!!」
 低いロイの言葉にハボックの体が竦みあがる。ふるふると必死に首を振るハボックの脚を抱えて大きく開かせた。
「このまま扉が開いたらお前のイヤラシいここが丸見えだ」
 ロイはそう言って小刻みにハボックを突き上げる。涙に濡れた空色の瞳が大きく見開かれ、友人との間を隔てる扉を食い入るように見つめた。
「大佐?」
 答えないロイに焦れたようなブレダの声が聞こえる。ハボックは浅い呼吸を繰り返しながら必死に首を降り続けた。
「大佐?……あー、開けますよ?」
「ッッ!!」
 その言葉と共にノブがゆっくりと回る。恐怖に引きつる体をガツンと突き上げれば、ハボックが背を仰け反らせて大きく体を震わせた。
「……っ!!……く、ぅ……っっ!!」
 ロイはキュウウと締め付けてくる蕾の感触を楽しみながらハボックの楔を戒める綴じ紐に手を伸ばす。シュルリと解けば堰き止められていた熱がビュクビュクと勢いよく吹き出した。
「……すまんが後にしてくれ、ブレダ少尉。今電話中なんだ」
 ビクビクと震えるハボックの濡れそぼった楔を弄りながら言う。そうすればノブが回るのが止まってブレダの声がした。
「あ、そりゃ失礼しました。じゃあ終わったら声をかけてください」
「判った、そうしよう」
 ロイがそう言えば扉の前から人の気配が消える。ロイは呆然と見開く涙に濡れた空色の瞳を覗き込んで言った。
「随分たくさん出たな。ブレダ少尉に見て貰えると思ったら興奮したか?」
「……ひど…ッ」
 体を支配する快楽の余韻とショックで身動きもままならないハボックの体を抱き締めて、ロイは低く笑った。


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