| そのにじゅうよん |
| ゴソゴソと動く気配がしてブランケットの中に冷気が入り込む。寄り添っていた温もりが離れて、ロイは薄闇の中うっすらと目を開けた。そうすれば「うーん」と大きく伸びをするハボックの大きな背中が見える。伸びをしたハボックはついでにコキコキと首を鳴らすと静かに部屋を出ていった。 ハボックのアパートに住むようになって、ロイはハボックのベッドで一緒に寝起きしていた。来た当初、ソファーで寝ると言い張ったロイにハボックが「狭いベッドだけどロイは小さいから一緒に寝たって平気っスよ」と騒ぐロイを抱き抱えてベッドに潜ってしまったからだ。疲れていたのだろう、瞬く間に眠ってしまったハボックの腕から抜け出そうとしたロイは、出ようとする度眠っている筈のハボックの腕に引き戻され、フガフガと気持ちよさそうに抱き締めてくるハボックに根負けして、結局一緒に眠る事にしたのだった。 ロイはあと五分だけとハボックの温もりの残るブランケットを体に巻き付ける。今ではこのベッドで眠るのがロイにとって一番落ち着く時間になっていた。 (ハボックの匂いがする……) 目元まで潜り込めば微かに煙草の匂いがしてロイは目を閉じて深く息を吸い込む。そうすればハボックに優しく抱き締められているようで、ロイはうとうとと眠りの淵をさまよった。 「ローイ、メシ、出来たっスよ」 そう声が聞こえてロイはうっすらと目を開ける。そうすれば綺麗な空色が間近に見えてロイはうっとりと笑った。 「ロイ、起きて!そろそろメシ食わないと遅刻する」 言うと同時にハボックがロイの猫耳をツンツンと引っ張る。その刺激にロイはハッとしてガバリと起きあがった。 「ごめんっ、二度寝したッ!!」 あと五分のつもりが残るぬくもりに安心してしっかり眠ってしまったらしい。慌てて飛び起きるロイにハボックが笑って言った。 「いいっスよ。ロイ、寒いの苦手っしょ」 「……ごめん」 寒くなってからというものロイはなかなか朝起きれないでいる。前はちゃんと起きてハボックが朝食の準備をするのを手伝っていたというのに、最近はからきしで今日のようにハボックに起こされるのがしょっちゅうだった。 「はあ……」 ため息をついて悄気返るロイの頭をハボックがわしゃわしゃと掻き混ぜる。そうされて顔を上げるロイを見てハボックがにっこりと笑った。 「おはよう、ロイ。よく眠れたっスか?」 「おはよう、ハボック。寝すぎたくらいだ」 ロイが答えればハボックが笑みを深める。一人寝坊するのは悪いと思うものの、こうやって起こして貰う時間が待ち遠しいのも本当だった。 「さ、メシにしましょ。ちゃんとあったかくして、ロイ」 「うん」 答えて腕を伸ばせば抱き締めてくれる暖かい胸に頬を寄せて、ロイはそっと目を閉じた。 2011/12/12 |
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