| そのじゅうはち |
| 「ああ、熱かった……」 氷の入ったグラスを手にロイはそう呟く。もう一つ口に氷を含むとガリガリと噛み砕くロイを見て、ハボックはクスリと笑った。 「まさかあの熱いのを一気に口に入れるとは思わなかったっスよ」 「だって潰したくなかったし」 ロイはそう言って頬を膨らませる。ハボックは立ち上がってくしゃりとロイの髪をかき混ぜるとキッチンへと歩いていった。 「もう食べないのか?」 ハボックの皿の上にオムレツが三分の一ほど残っているのに気づいてロイが尋ねる。ハボックはキッチンから小皿を一枚手にして戻ってくると言った。 「これは美人の猫さんの分」 ハボックはそう言って小皿にオムレツを移すと窓辺に持っていく。窓を少し開けたその前に皿を置いて言った。 「紹介したい猫がいるって言ったっしょ?猫のくせにオムレツ大好きで、オムレツの匂いがするとニャアニャア鳴いて強請るんスよ。熱々じゃ食べらんないから冷ましてからあげるとすっげー喜んで食うの。もう可愛くって」 そう言うハボックの顔は優しく微笑んでいて、本当に可愛くて仕方がないのだと判る。ハボックは窓の外を見ながら呟いた。 「おっかしいなぁ。いつもなら焼ける前からここにいて待ってるのに。また怪我でもしたのかな……」 ハボックは心配そうに言いながらテーブルに戻ってくる。グラスをギュッと握り締めて俯いているロイに気づいて言った。 「ロイ?どうかしたんスか?まだベロ痛い?」 そう言って覗き込んでくるハボックにロイは慌てて首を振る。ハボックは新しいコップに氷を入れて持ってくるとロイの手の中のコップに空けた。 「ほんとにどうしちゃったのかなぁ。オムレツ大好きなのに……」 ため息混じりにそう言って窓の外へ目をやるハボックを、ロイはそっと見上げて唇を噛んだ。 2010/09/07 |
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