そのじゅうなな


「はい、どうぞ」
 ハボックはそう言いながらロイの前に皿を置く。白い皿には、カリカリに焼いたベーコンと一緒にぷっくりと膨らんだぷるぷるの目玉焼きが載っていた。
「わぁ……」
 さっきまでボウルに入っていた卵が黄金色の目玉焼きになって皿の上に載っているのを見てロイは目を輝かせる。本当に嬉しそうなその様子にハボックは笑いながら自分のためのオムレツをテーブルに置いて席に座った。
「さ、熱いうちにどうぞ」
 そう言って勧めればロイがフォークを手に取る。いただきます、と言ったロイはフォークの先を卵に近づけた。だが、突き刺す手前でフォークを止めるとハボックをチラリと見る。オムレツの上にケチャップでハートマークを描いたハボックは視線を感じてロイを見た。
「なんスか?」
「な、なんでもない」
 不思議そうに尋ねられてロイは慌てて卵に視線を戻す。そうしてじっと卵を見つめるロイにハボックがもう一度言った。
「どうかしたっスか?食べないの?」
 そう聞かれてロイが困ったように言う。
「食べるためには潰さなくちゃいけないじゃないか」
 勿体ないと言うロイにハボックはプッと吹き出した。
「どこまで勿体ながってるんスか、アンタ」
 クスクスと笑えばムゥと頬を膨らませるロイにハボックは言う。
「それじゃあ丸ごと口に放り込んだらどうっスか?」
 そしたら潰さずにすむっスよ、と言われてロイはじっと卵を見つめる。よし、と頷くと皿を手に取り流し込むように一気に卵を頬張ったが。
「ッッ?!あつッ!!」
 焼きたて卵の熱さに目を白黒させるロイだった。


2010/07/13


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