風の行く先   第十五章


 ハボックのシャツのボタンをゆっくりと外しながらロイはベッドに横たわるハボックの顔を見下ろす。羞恥に頬を染めてギュッと目を瞑ったハボックが微かに震えてシーツを握り締める様を見れば、ロイの唇に笑みが浮かんだ。
(可愛いじゃないか)
 想いを受け入れることは出来ないと告げても、簡単には気持ちの整理をつけられないでいるハボックにデートを機に諦めるように話を持ちかけた。ロイとデートする女性を羨望と嫉妬の眼差しで見ていたことを知っていたから、ハボックにも同じ事をしてやるつもりだった。食事と楽しい会話とそれと勿論セックスも。本音を言えば知識としての男同士のセックスは知っていても男を抱きたいと思ったことはなかったし、部下としてその実力を認めて手元に置きたいと思わなければこんな提案はしなかっただろう。ハボックを抱くのは上官としての義務だと思っていたのだが。
(食事の時も思ったが意外に可愛いぞ。しかも私を好きだと言うからてっきり男との経験も豊富なんだと思ったら)
『男とスんのは初めてっスッ!』
『オレっ、男で好きになったの、大佐だけっス!だから……』
 男に心を動かされたのはロイが初めてで男との経験はないと言う。ハボックのような男すら虜にしてしまう己の魅力に改めてこそばゆいような自信が沸き上がると同時に、ロイはハボックに対して普段は感じない興味を抱いた。
(男とするのは初めてと言うことは)
 ────処女。
 そんな言葉がロイの頭をよぎる。そう思えば俄然その気になって、ロイはボタンを外したシャツの中へと手を忍ばせた。
「あっ」
 ロイの手が触れた途端、ハボックの躯がビクリと震える。鍛えられているが日に焼けない白い肌は滑らかで、女性とは違う弾力で押し返してくるのにロイは楽しそうに指を這わせた。
「あんなに外での仕事が多いのに焼けてないんだな」
「オ、オレ……赤くなるだけでっ、すぐさめちゃうから……んっ」
 軍服は長袖だが外回りの仕事中、ハボックはTシャツ姿でいることが多い。だが首周りにも腕にも日に焼けた後は見当たらず、ロイが焼けていれば痕がついているであろう辺りを指先で擽ればハボックが眉を寄せた。
「擽ったい……っ」
「そうか?じゃあこっちはどうだ?」
 首周りをさわさわと撫でられて擽ったいと訴えるのを聞いて、ロイは手を肩へと滑らせる。白い胸の左右を飾る淡く色づく頂に目を引かれて、ロイは二つの頂を指先でキュッと摘んだ。
「ひゃッ?!」
 その途端ビクッと大きく震えたハボックの唇から悲鳴のような声が上がる。ロイが摘んだ乳首を指先でグリグリと捏ねると、ハボックが嫌々と首を振ってロイを押し返そうとした。
「やっ、やだっ」
「胸は弱いのか?」
「しっ、知らないっス!そんなとこ弄られたこと────ひゃうッ?」
 押し返そうとする手を押し退けて、ロイは片方の乳首を唇に含む。強く吸い上げ舌先で押し潰し甘く噛みつきながらもう一方を指で引っ張ったり押し潰したりすれば、ハボックがもがいてロイの肩を掴んだ。
「やあッ、や……ッ、大佐っ」
 ハボックがもがくのに構わずロイは執拗に乳首を嬲る。唇を離して見下ろすと、触れる前は薄い桜色だったそれが真っ赤に熟れているのを見て、ロイはクスクスと笑った。
「真っ赤に熟れてすごく旨そうだ」
「馬鹿言ってないでやめ────アアッ!」
 旨そうと言う言葉のままに紅く色づいた乳首に噛みつけばハボックが悲鳴を上げて胸を仰け反らせる。涙を滲ませる空色が恨めしげにロイを睨んでハボックが言った。
「ひどいっス……」
「すまん、あんまり旨そうだったんでな、つい」
 ロイはまるで悪びれた様子もなくそう言うと噛みついた乳首をチロチロと舐める。身を捩って睨んでくる空色に、ロイは苦笑して言った。
「怒るな。今悦くしてやるから」
 ロイは言うなりハボックのボトムに手をかける。ハッとしたハボックに拒む間を与えず、下着ごとボトムを剥ぎ取った。
「やだァッ」
 いきなり恥部を曝け出されてハボックが悲鳴を上げる。慌てて閉じようとする長い脚を押さえ込んで、ロイは緩く立ち上がり始めている楔をキュッと握り込んだ。
「なんだ、嫌だと言ってたくせに感じてたんじゃないか」
「ち、違……っ」
 ロイはクスクスと笑いながら手の中の楔を軽く扱く。そうすれば瞬く間に熱を帯びて硬度を増す楔の先端をロイはグリグリと捏ねた。
「違わないだろう?こんなにして……」
 捏ねればそれに答えるように先走りの蜜が零れてクチクチと粘着質な音を立てる。イヤラシいその音にハボックは耐えきれず真っ赤に染まった顔を腕で隠した。
「や……ッ、ぅんッ」
「私の事を考えながらこうして弄ってたのか?」
 ロイはハボックにのし掛かるようにして耳元に囁く。ハボックは慌てて首を振ったが、ロイの手の中の楔がクンと嵩を増して、ロイは楽しそうに言った。
「躯は正直だな、ふふ……そうか、私のことを考えながらイケナイ事をしてたんだな?」
「ごっ、ごめんなさいッ」
 ロイの言葉にハボックが泣きそうになって謝る。ロイは腕を外してハボックの顔を覗き込むと、罪悪感と羞恥に涙ぐむハボックに言った。
「謝ることはない。私のことが好きなんだろう?」
「す……好きっス……」
「そうか、なら私にこうされて嬉しい?」
 ロイは言いながら手の中の楔を扱く。徐々にスピードを上げて行けばハボックがふるふると首を振った。
「う、嬉しいっス……で、でもっ、も、いいッ!出ちゃうッ!」
 きつい手の動きに追い上げられてハボックが身悶える。扱くロイの手首を押さえてハボックは言った。
「ダメッ、ほ、ホントにもう出ちゃうッ!」
「いいさ、イけ、ハボック」
「ッ?!」
 ニヤリと笑って囁けば空色の瞳が見開く。射精感をこらえるようにシーツを何度も蹴飛ばし、ハッハッと短い呼吸を繰り返していたハボックの呼吸が一瞬止まったと思うと。
「あ────アアアアアッッ!!」
 高い嬌声を上げて背を仰け反らせたハボックが、ロイの手の中にビュクビュクと熱を吐き出した。


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