菫青石の恋 〜 second season 〜  第四十七章


 ロバートは仕事部屋の机に向かって書き物をしていた。時折確認の為の辞書や資料をを広げては、異国の言葉をアメストリスの言葉に書き換えていく。カリカリとロバートがペンを走らせる音が聞こえる室内は、この部屋に似つかわしくない音がペンの音に彩りを添えていた。
「ん……んふぅ……ふぅ……っ」
 フーフーと荒い息遣いの合間に甘ったるい吐息が混じる。低いブゥンというモーター音と共に、その吐息はロバートの後ろに据えられた椅子の上から聞こえていた。
 ロバートはペンを置くと長時間酷使していた目の痛みを和らげるように眉間を揉み解す。そうしてギシリと音を立てて椅子から立ち上り、自分の後ろに置かれた椅子に近づいた。
「ジャン」
 そう呼べば涙に濡れた空色の瞳がロバートを見上げる。ロバートは自分が作り上げたオブジェを鑑賞するかのように、身動き出来ない少年を見つめた。
 今、ハボックは大きく開かされた脚をその間に渡すように膝の間に挟んだ棒にM字に固定するよう、大きく広げて縛り付けられている。上半身には胸を上下から挟み込むようにロープが巻かれ、その端は背中の後ろでねじ上げられた腕を戒めていた。棒の中央から伸びる鎖が脚を下ろせないよう細い首に繋がれている。大きく開かされた脚の中央ではそそり立った楔にリングがはめられ、奥まった蕾はランダムに強弱を変えるバイブが深々と埋め込まれていた。
「フーッ、……んふぅッ」
 口に咥えさせられたボール状のギグのせいでまともに口がきけぬまま、ハボックが必死に訴える。ポロポロと涙を零す少年が何を訴えているかよく判っていながら、ロバートはにんまりと笑って言った。
「ほったらかしにして悪かったね、ジャン。今もっと悦くしてやろう」
 ロバートは優しく言うとポケットの中からリモコンを取り出す。リモコンの表面にあるスライド式のボタンを一気に強へと滑らせれば、ハボックの体が大きく跳ねた。
「んんッッ!!んーーーーーッッ!!」
 涙に濡れた空色の瞳を見開きハボックは身を仰け反らせる。ガクガクと震えた体が一際大きく跳ねたと思うと、ハボックの体が硬直し戒められた楔からじゅわりと白濁が滲んだ。
「フー……フー……」
 ガクリと項垂れてハボックが荒い息を吐く。そんなハボックをじっと見下ろしていた男は、手を伸ばすと唾液にまみれたギグを外した。
「ジャン」
 男は優しくハボックを呼ぶと荒い息を零す唇を塞ぐ。男の舌が口内を好き勝手嬲っても、ハボックには抗う力もなかった。
「……も、赦して……お願、い……っ」
 ハアハアと息を弾ませながらハボックが囁く。
「おねがい……もう、やァ……ッ、あっ、ぅん…ッ」
 絶え間なく蠢くバイブがハボックの体を徐々に追い上げて、ハボックはふるふると首を振った。
「や、も…イきたくない…ッ、壊れる…ッ、壊れちゃうっ…ッ」
 絶頂を強いられる度行き場のない熱が幼い楔を焼き、細い体を荒れ狂って駆け巡る。必死に赦してくれと懇願するハボックを、ロバートはうっとりと見つめて言った。
「かわいいな、ジャン。お前がそうして啼くのを見ると、もっともっと苛めてやりたくなる……」
「ッッ!!」
 言われてハボックが目を見開く。ロバートは大きく開いた脚の奥深くに埋め込まれたバイブを掴むと、激しく抜き差しした。
「ヒィッ!ヒィィィッッ!!アッ、アッ…やめてェ…ッッ!!」
 柔肉を抉られてハボックが泣き叫ぶ。その姿に男はゾクゾクしてバイブを動かす手の動きを早めた。
「…ッッ!!イヒィッッ!!ヒ───ッッ!!」
 ガクガクと震える体の最奥へとロバートは手にしたバイブを突き挿れる。目を剥いてガックリと気を失ったハボックの中を楽しげにグチョグチョと掻き回して楽しんだ男は、再びバイブを押し込んで手を離した。
「ジャン」
 ロバートは少年を呼んで肩を揺さぶる。そうすればゆっくりと開く濡れた瞳を見つめてロバートは言った。
「これから私は病院に行ってくるよ。マリアがどうしているか、病院の薬は効いているのか、気になるからな」
 その言葉にぼんやりとしていたハボックがハッとして男を見る。縋るように見つめてくる空色に男はにんまりと笑って言った。
「私が帰ってくるまで、イイ子で待っていられるな?ジャン」
 言われてハボックがコクコクと頷く。ロバートはリモコンをハボックに見せて尋ねた。
「スイッチは入れたままがいいだろう?強さはどうして欲しい?」
「……いちばん……つ、よく、して……」
 たとえ望んでいなくても答えは一つしか用意されていない。その言葉に男は楽しそうに笑ってハボックの頬を撫でた。
「イイ子だな、ジャンは。イイ子にはご褒美をあげよう」
 ロバートは言って抽斗からモーターのついたクリップを持ってくる。ハボックのロープの間から覗く胸の飾りをクリップで挟むとモーターのスイッチを入れた。
「ッ、ィ、イヤアアアッッ!!」
 高い悲鳴を上げて身悶えるハボックの頬を男は優しく撫でる。
「行ってくる。イイ子で留守番しているんだぞ。ああ、そうだった、これを忘れてはいかんな」
 にんまりと楽しそうに笑ってロバートはバイブのスイッチを入れた。強弱のスライドをグイと一気に強へと動かす。
「ヒィィィッッ!!」
 蕾と胸の飾りを一時に攻められてハボックの唇か悲鳴が上がった。
「マリアにはジャンは私の言うことをよく聞くイイ子だと伝えておくよ」
 ロバートはそう言うとハボックをそのままに部屋を出ていった。


→ 第四十八章
第四十六章 ←