| 菫青石の恋 〜 second season 〜 第三十九章 |
| 脱衣所で服を脱ごうとしたハボックは、シャツの裾に手をかけて恥ずかしそうにロバートを見る。「どうした?」と問いかける視線に、ハボックは俯いて答えた。 「オレ、誰かと風呂入った事なんて殆どないや」 まだごく小さいうちはマリアと一緒に入っていたが、学校に上がる頃になればそれもなくなってしまった。男親も兄弟もいないハボックにしてみれば、誰かと一緒に風呂に入ることなど全くと言っていいほど経験がなかった。 「そうか?父親と風呂に入るのはごく普通のことだぞ」 「そうなんスか?」 言われてハボックは驚いたように目を見開く。見上げてくる空色の瞳に頷いてロバートは言った。 「一緒に風呂に入っていろんな事を学ぶんだ。勉強のことだけじゃない、体のことなんかをな」 「体のこと?」 そう言われてもすぐにはピンとこないらしい。不思議そうな顔をする少年を、ロバートは服を脱ぎ捨てて促した。 「とにかくまず入ってしまおう。話はそれからだ」 「はい」 そう言って服を脱ぎ捨てると先に中へと入ってしまう男に、ハボックは慌てて服を脱ぐ。急いで中に入れば視界に飛び込んできた大きな背中に、ハボックは目を見開いた。 (……おっきい背中…) それはとても頼りがいがあるように見えて、ハボックは思わず見入ってしまう。そんなハボックに椅子に腰掛けたロバートが言った。 「おい、背中を流してくれ、ジャン」 「あ、はいっ」 ハボックは言われて慌ててスポンジを取りボディソープを振りかける。クシュクシュと泡立てたスポンジでロバートの背を擦り始めた。 「ロバートの背中って大きいっスね」 「そうか?大して大きいとも思わんが」 「大きいっスよ。だってほら、端から端までこするの、大変っすもん」 ハボックはそう言いながらロバートの背をソープの泡で覆っていく。何とか背中全体を洗い終えればロバートが言った。 「こっちもだ、ジャン」 「あっ、はい!」 差し出された腕をハボックはゴシゴシとこする。要求されるままに腕、肩、胸と洗ったハボックは、ふと下げた視線の中に飛び込んできたものに目を瞠った。 (え……な、に…コレ) ハボックの視線の先にあったもの。それはロバートの股間のイチモツだった。もしそれが大人しく股間に収まっていたのならハボックもさして驚きはしなかっただろう。だが、今ロバートの楔は高々とそそり立ち、赤黒く光って酷く恐ろしげだった。 「どうした?」 「…ッ!」 突然そう尋ねられてハボックはビクッとして飛び上がる。その拍子に手にしたスポンジを落として慌てて拾い上げた。 「や、別にその……」 「何かあるならはっきり言いなさい、ジャン」 もごもごと言い訳するように言葉を口にすればピシャリと言われてハボックは困ったように目をさまよわせる。その様子にロバートはニヤリと笑って言った。 「ああ、これか」 そう言うなりハボックの手首を掴み己の股間に引き寄せる。脈打つ巨大な楔を握らされてハボックは慌てて手を引っ込めようとした。 「ロバート!」 「どうした?なにを怯えているんだ?」 そう聞かれてハボックは初めて自分が怯えていることに気づく。目にした楔の変化はそれだけハボックに大きな衝撃を与えていた。 「だ、だって……ロバートのオチンチン…っ」 こんなもの今まで見たことも聞いたこともない。学校の水泳の授業で着替える時、友人の性器がちらりと見えたりすることはあったが、幾ら体の大きな友人がその体につり合うものをぶら下げていても、こんな風に恐ろしげなものは見たことがなかった。 「なにをそんなに怯えてるんだ。こんなの極普通だぞ」 「えっ?ふ、ふつうっ?……ヒッ!」 言ってニヤリと笑う男に手ごと楔をギュッと握られてハボックは悲鳴を上げる。逃げだそうとする体を抱き込んで、ロバートはハボックの耳元に囁いた。 「怖がらなくていい。男にとってこれは本当に普通の事なんだ」 「でっ、でもっ、オレのはそんな風にはなんないっス!」 そう言って腕の中でもがく細い体を楽しむようにロバートは腕を弛める。だが、逃げ出せるほどには弛めずに己の脚の間にハボックを抱き込めば、小さな尻に当たる楔の感触に少年の体が大きく震えた。 「やっ、ヤダッ!離して、ロバート!」 「ジャン」 少しきつめに名を呼べば、ハボックがビクリと震えてロバートを見る。怯えて涙ぐむ空色の瞳を見つめてロバートは言った。 「さっき風呂に入る前に言ったことを忘れたのか?」 「……え?」 「体の事を学ぶと言っただろう?ジャン」 「あ」 そ う言われてハボックは漸く風呂に入る前にロバートが言ったことを思い出す。怯えながらももがくのをやめた少年にロバートは言った。 「男ならこうなるのはごく自然なことなんだ。ジャンだって後もう少ししたらこういう風になるんだよ。判ったら怖がらないでよく見なさい」 男にそう言われてハボックはロバートの楔を見る。ロバートはハボックの指先を楔をなぞるように押しつけながら説明を始めた。 「この先端の丸い部分は亀頭というんだ。この穴は尿道口だな」 言いながらロバートは説明するが、ハボックは恐怖が先に立ってそれどころではない。もう、まともに見ていることもできずにポロポロと泣き出すハボックにロバートがため息をついた。 「ジャン」 「ごめ…ごめんなさい…っ」 教えてくれているのだからと思おうとしても、怯える気持ちをどうすることも出来ない。性的な事にまだ全く興味がなかったハボックにとって、勃起した性器は好奇心よりも恐怖の対象でしかなかった。 「仕方ないな、それじゃあ勉強はここまでにしよう」 そう言ってロバートはハボックの手を離す。やっと自由になった手をハボックは胸元に引き寄せてホッと息をついた。 「よし、今度は私がジャンを洗ってやろうな」 「え?」 胸元に手を引き寄せて俯くハボックの項をじっと見つめていたロバートは、そう言ってボディソープのボトルに手を伸ばす。直接手のひらに出したソープを泡立てると腕の中の少年の体に塗りたくった。 「ひゃっ?!ロバートっ?」 「じっとしていなさい、お前のような子供はまだ肌が弱いからスポンジを使わない方がいいんだ」 「で、でもっ、くすぐったいよ!」 ぬるぬると肌の上を這い回る手はくすぐったいばかりだ。だが、ロバートはもがいて逃げだそうとする細い体を抱え込み、丁寧にその肌を洗っていった。 「ヒャアッ!」 いきなり双丘の狭間に触れられてハボックが飛び上がる。慌てて両手で隠すと、顔を赤らめて言った。 「いいっス!ここは自分で洗うから!」 「……そうか?」 少年の主張を男は肩を竦めて受け入れる。ハボックはホッと息を吐くとボディソープを手に取り、下腹部を丁寧に洗った。 「洗えたか?」 「はい」 「じゃあ髪も洗ってしまおう」 ロバートはそう言って体の泡をシャワーで流すと自分とハボックの頭にシャンプーを振りかける。向かい合ったハボックの頭をワシワシとこすりながらハボックを促した。 「ほら、洗いっこだ」 「あ」 言われてハボックはロバートの頭に手を伸ばす。向かい合って互いの頭を泡立てるのはなんだか面白くてハボックは楽しそうに笑った。 「流すぞ」 いい加減洗ったところでロバートは二人の頭からシャワーをかけた。綺麗さっぱり洗い流してハボックはため息を零す。ロバートはシャワーをフックに戻すとハボックの手を引いて湯船に入った。 「一緒に浸かろう」 そう言って引き寄せられるままロバートの下腹に腰を下ろせばそそり立った楔が当たる。ギクリとしたもののハボックはキュッと唇を噛み締めた。 (気にしない、気にしない。男なら普通って言ってたし、あんまり怖がったらロバートに悪いし) ハボックは自分を必死に宥めながらそう考える。肩越しに男を振り返って外国の話をしてくれと強請った。 「そうだな、それじゃあシンの話をしてやろう」 僅かに身を強張らせながらも大人しく腕の中で話を聞く少年の細い体を見つめながら、ロバートはにんまりと笑ったのだった。 |
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