菫青石の恋 〜 second season 〜  第二十三章


「“最後の砦”?それはどういう意味です?」
 女性の言葉にモーガンは眉を顰めて尋ねる。普通に考えればやけに仰々しい言い種だ。だが、とても笑い飛ばす雰囲気ではなくそう尋ねたモーガンに女性は答えた。
『言葉通りの意味としか申し上げられません』
「お名前は教えて頂けないのでしょうか?」
 相手が一体ハボックのなんなのか、はっきりさせたくてモーガンは尋ねる。だが、女性はそれには答えずに言った。
『あなたがこの番号を見つけだしてかけてきたということは、ジャンが言ったんじゃありませんか?……昔のことを思い出した、と』
 そう言われてモーガンはハッとする。受話器を握り締め、噛みつくような勢いで言った。
「そうです、彼は自分の事を“人殺し”だと!どういう意味なんですっ?まさか本当に誰かを殺した訳じゃないでしょう?」
 そう言えば電話の向こうで女性が息を飲む気配がする。モーガンは少し迷って、それから畳みかけるように言った。
「ロバートというのは誰です?さっき電話に出た人ではないですね?」
 答えを待ってモーガンは耳を澄ます。だが、答えは返ってこず、代わりに聞こえた涙をこらえるような震える呼吸にモーガンは目を瞠った。
「もしもし?大丈夫ですか?」
 拙いことを言ったかとモーガンは唇を噛む。だが、一度口にしたことを取り消すことも出来ずにいれば、受話器の向こうから漸く声が聞こえた。
『モーガンさん、お願いがあります』
「なんでしょう?」
 急いで答えれば、気持ちを落ち着かせるように大きく息を吐く音に続いて女性の声が聞こえた。
『ジャンを今から言う場所まで連れてきていただきたいのです』
 女性はそう言ってイーストシティから一時間半ほど離れた場所の名前を告げる。モーガンは眉を顰めて言った。
「ジャンを連れていってそれからどうするおつもりですか?何度もお聞きしてますが、お名前を教えて頂きたい。貴女はジャンのなんなんです?」
 名前すら名乗ろうとしない相手に苛々してモーガンが言う。だが、女性は頑として名乗ろうとはしなかった。
『もし、ジャンを助けたいと思ってくださるなら、今行った場所にジャンを連れてきてください。お願いします、モーガンさん』
「……っ、しかし!」
『このままにしたらあの子は死んでしまうでしょう』
 そう言う女性の言葉にモーガンは口を噤む。確かにこのままにしておけば大変な事にならないとは言えず、モーガンはギュッと受話器を握り締めて言った。
「判りました。ジャンを連れていきましょう。でも、お会いしたら詳しいことを教えて頂きますよ」
 モーガンの言葉に、だが女性は答えない。『ジャンの事をお願いします』と短く言っただけで切れてしまった電話に、モーガンは怒りとも落胆ともつかぬため息をついて受話器をフックに戻した。
「リック」
 呼ばれて顔を上げればモリスがじっと見つめている。モーガンは軽く首を振ると手短に電話の内容をモリスに話した。
「それで、ジャンを連れていくのか?」
「仕方ないだろう。このままじゃ埒があかん」
 少なくとも“最後の砦”だと言う相手がハボックに危害を加えるとは思えない。モーガンは立ち上がると上着を手にとって言った。
「ジャンのところに行ってくる。多分そのまま指定の場所まで行くと思う」
「行く前に一度連絡を入れてくれ。こっちでも何か判らないか調べてみる。番号を教えてくれ」
「判った」
 モーガンは答えて紙片に書かれた番号をメモ帳に書き移してモリスに渡す。そうして足早に事務所を出て車に乗り込みハボックのアパートへと向かった。


 昏く締め切った部屋の中、少年は浅い呼吸を繰り返してベッドに手をかける男を見つめる。ギシリとベッドが軋む音にビクリと体を震わせれば、男が低く笑った。
「どうした、なにを怯えている?」
 そう聞かれれば少年の呼吸がせわしくなる。投げ出した足首を不意に掴まれて、少年は悲鳴を上げた。
「嫌っ!離してッ!」
 少年は逃れようと身を捩る。だが、がっしりと足首を掴んだ手を振り解くどころかもう一方の足首をも掴まれ、少年は剥き出しの脚を大きく開くように胸に押しつけられてしまった。
「あ……ヤだぁッ!!」
 男の眼前に恥部を晒け出す格好に少年は顔を真っ赤に染めて悲鳴を上げる。だが、男はくつくつと笑って圧し掛かるように身を寄せると言った。
「今更恥ずかしがる事もないだろう?夕べも私のモノをここに咥え込んでアンアン喘いでいたじゃないか」
「……ッ!」
 囁くように吹き込まれる言葉に少年はビクリと震えて身を強張らせる。男はその隙に少年の腿に手をかけてグイと脚を開かせると、白い双丘の狭間でひっそりと息づく蕾に顔を寄せた。
「ふふ……こんなに小さな口が私のモノを飲み込むのだからな」
 男はそう言って剥き出しにした蕾に舌を這わせる。ねっとりと入口を這い回る濡れた感触に、少年は悲鳴をあげて首を振った。
「嫌ァッ!!やめて…ッ!!」
 少年は叫んで男の頭を引き剥がそうとして押しやる。だが、ぬめぬめと這い回る舌の動きに細い指からは力が抜け、ただ男の髪を力なく掴むことしか出来なかった。
「んっ……は、ヤッ……ッ!」
 這い回る舌は小さな蕾を押し開くように潜り込んでくる。ぬちゃぬちゃと円を描くように奥へと進もうとする舌先に、少年は小刻みに身を震わせながら喘いだ。
「お願い…っ、も、赦して……ッ」
 ハアハアと息を弾ませながら少年が言う。だが、男は低く笑って言った。
「なにを言ってる?こんなにしておいて言う台詞じゃないだろう?」
 男はそう言って蕾を嬲っていた舌先で半ば立ち上がった幼い性器をゾロリと舐め上げる。そうすればたちまちクンと勢いを増すそれに、男は楽しそうに笑った。
「嘘つきだな、お前は」
 男はそう言って唾液で濡れた蕾に指を差し入れる。ぬぷ、と潜り込んでくる指に、少年は喉を仰け反らせて喘いだ。
「ヒ……アッ…ッ」
 男は埋めた指で熱い内壁をぐるりとかき回す。ぐちゅぐちゅと音を立てて乱暴に動かせば、少年の透き通るほどに白い内腿が小刻みに震えた。
「ぐ、…ぅっ!……ハッ、嫌…ァッ」
 短い髪の毛をパサパサと揺らして、少年が悶える。泣きじゃくる小さな顔を食い入るように見つめていた男は、不意に埋めていた指を引き抜いた。
「アッ!」
 衝撃に少年が短い悲鳴を上げる。男は押し開いていた細い脚を抱え直すと、堅くそそり立った楔を戦慄く蕾に押し当てた。
「あ」
 ピタリと押しつけられた熱い塊に少年が涙に濡れた目を見開く。年齢よりももっと幼い色を宿すその瞳に、男はうっとりと笑って言った。
「さあ、お前が大好きなものを食わせてやろう」
「……ッッ!!」
 言葉と同時にグッと押し込まれる塊に、少年の喉がヒクリと震えた。男は食い入るように少年を見つめながらズブズブと一気に楔を沈めていく。その途端、喉を震わせた少年の唇から高い悲鳴が上がった。
「ヒィィィィッッ!!」
 強張る体に構わず男は根元まで一息に楔を沈めてしまう。次の瞬間、熱い内壁がめくれて一緒に出てくるほどの勢いで入口まで引き抜くと、再び根元まで突き入れた。
「ヒィッ!ヒアアアッッ!!」
 男は容赦なくガツガツと最奥を突き上げる。あまりの激しさに少年の細い体がガクガクと揺れた。
「アッ?!ヒャウッ!!」
 グラインドさせるようにして突き上げられた瞬間、しこりを掠めた楔に少年は大きく体を跳ね上げた。
「ヒーッ!!ヒィィッッ!!」
 大きく跳ね上がる体を押さえつけて、男は思いきり奥まで突き入れる。背を仰け反らせた少年の幼い性器がびゅるりと白濁を吐き出すのを見て、ニヤリと笑った。
「もうイったのか?一晩もたんぞ?」
「あ……あ……赦して…ッ」
 細い脚を思い切り押し開き、ねじ込むようにして打ちつけてくる男の腕を、少年は弱々しく掴む。ささやかな抵抗は、だが男の嗜虐心を煽るばかりで、男は更に乱暴に少年の体を揺さぶった。
「くく……きゅうきゅう締め付けてくるぞ。そんなに旨いか?これが」
 楽しげに言う男の声に少年は弱々しく首を振る。だが、そんな仕草も男を止める役には立たず、突き破るほどの勢いで突き上げられて少年は再び熱を吐き出した。
「ククッ……この淫乱め、今、たっぷりと中に出してやるからな」
 低い声に少年はハッとして息を飲む。
「いや……出さないでっ、ヤだぁッ!!」
 少年の高い悲鳴に男はゾクゾクとして笑みを深める。細い体を二つに折り畳むほど少年の脚を持ち上げると、ガツンと一際激しく最奥を突き上げた。それと同時に絡みついてくる熱い秘肉に白濁をぶちまける。そうすれば、少年は声もなく仰け反らせた体をビクンビクンと大きく震わせた。次の瞬間、がっくりとベッドに沈み込む体を引き寄せて男は少年に深く口づける。
「気を失うのはまだまだ早いぞ……」
 半ば意識をとばした少年の耳元にそう囁くと、男は細い体を再び突き上げ始めたのだった。


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