菫青石の恋  第四十章


「ん…ふ…」
 繋がったまま唇を深く合わせ舌を絡めあう。もっともっと近づきたくてロイの背に回した腕に力を込めて引き寄せ、己の胸を擦り付けるハボックに、その身の奥深くに埋めたロイ自身が嵩を増した。
「あっ…なっ…おっきくしな…でっ」
 狭い器官を押し広げられる圧迫感にハボックが悶える。軽く揺すりあげられて甘い悲鳴を零すハボックにロイが言った。
「お前が悪い…」
「え…?な、んで…?」
「お前の何気ない仕草が、綺麗な瞳が、甘い声が、全部私を煽るんだ」
 そう言われてもよく判らないと言う顔をするハボックにロイは苦笑する。
「私がこれまでどれだけ我慢してきたと思ってるんだ?」
「そ…なこと、知らないっス…アアッ」
「なら、たっぷり教えてやる」
 ロイはそう言うとハボックの体を強引に反す。繋がったままの乱暴な所業に熱い襞をこすられてハボックは悲鳴を上げた。四つに這わせたハボックの腰を高く掲げて、ロイは思い切り突き上げる。さっきより更に奥深くを抉られて、突き抜ける快感にハボックはびゅくと熱を吐き出した。
「ヤアアッッ…アンッ…あっあっ」
 熱を吐き出している間にもガツガツと突き上げられて、目の前がスパークするようなそんな錯覚に襲われて、ハボックはシーツを握り締める。涙と汗に濡れた頬をこすりつけ、尻だけを高く上げた格好でハボックは身悶えた。
「アアッ…マスタングさんっ…マスタ…グさんっっ」
 突き上げるたび悲鳴のように名を呼ぶハボックにロイはゾクゾクとして一層きつく突く。熱を吐き出してなお、熱く滾るハボック自身に指を這わせればハボックが悲鳴を上げた。
「ヒャアッ!…ダ、メっ…さわらな…でっっ」
 前と後ろを同時に攻め立てられてハボックは涙を零して身悶える。もう、下肢には自分を支える力などなく、貫くロイ自身と前に絡められた指だけで体を支えている状態だった。
「ンアアッ…マスタングさん…ッ」
 ロイの名を呼びながらハボックが弾ける。ロイの手の中に熱を吐き出して全身を震わせるとハボックが言った。
「や、だ…これ、ヤダ…っ」
 ポロポロと涙を零しながらハボックが訴える。拒絶の言葉を吐くハボックに、ロイはチクリと胸を痛めて囁いた。
「どうして…?私にされるのは嫌なのか?」
 そう聞けばハボックがふるふると首を振る。肩越しにロイを振り向くと言った。
「顔…っ、マスタングさ…の…かお、み、たい…っ」
 涙ながらにそう言われてロイの頭にカアッと血が上る。ロイはずるりと乱暴に自身を引き抜くとハボックの体を反した。汗に濡れる背に腕を回し、ハボックの体ごとベッドに起き上がる。座り込んだ自分の脚を跨がせるようにすると、高々とそそり立った自身の上にハボックの体を引き下ろした。
「ヤアアア――ッッ!!」
 ずぶずぶと自重で奥深くまで貫かれてハボックの唇から悲鳴が上がる。そのままガツガツと突き上げれば、切れ切れの悲鳴を上げるハボックの唇を乱暴に塞いだ。
「ンッ…んふ…んんっ」
 苦しげな息を零しながら、ハボックはロイの背に手を回すとしがみ付いてくる。苦しさのあまり何度も背をこする爪の痛みすら嬉しくて、ロイはハボックを揺すりあげた。ようやく唇を離すとハボックが嬉しそうに微笑む。
「もっと…もっと、シテ…オレん中…マスタングさんで、いっぱいにして…」
「…っっ、バカ…っ」
 甘く強請るハボックにロイはガツンと突き上げると熱を叩きつけた。その衝撃に目を見開いてハボックも追うように熱を迸らせる。
「すき…だいすき…」
「私もだよ…ハボック…」
 ハボックの言葉にロイが答えれば空色の瞳が嬉しそうに笑った。引き寄せられるように唇を寄せると、深く口付ける。そうして二人は飽くことなく互いを求め続けていった。

 どれくらい時が過ぎたのだろう、ロイはぐったりと横たわるハボックから己を引き抜く。ずるりと引き出されたそれを追うように残漿を吐き出したソコは、熱く熱を持ってヒクヒクと蠢いた。
「ヤ…」
 ロイが離れていくことを嫌がってハボックがロイに回した腕に必死に力を込める。しがみ付いて離れようとしないハボックの髪を宥めるように撫でながらロイは言った。
「ハボック…。少し腕を弛めて」
「やだ…」
 まるで離してしまったらロイがいなくなってしまうとでも言うかのように縋りついてくるハボックにロイは優しく言う。
「これが最後じゃないんだから。大丈夫だ、ハボック、大丈夫、どこへも行かない」
 何度も言い聞かせるように囁けばやっとハボックの体から力が抜けた。ロイはぐったりとベッドに沈み込むハボックの頬を撫でる。ハボックはロイの顔を見上げると言った。
「朝になったら全部夢だったとか…そうだったらどうしよう…」
 不安そうにそう呟くハボックにロイはくすりと笑う。
「そんな事がある筈ないだろう?」
 おかしそうにそう言うロイの胸にハボックは顔を寄せた。そっと目を伏せると呟くように言う。
「オレ…ずっとずっとマスタングさんのことが好きだったっス…。初めてアンタに抱かれたあの時からずっと…。もう2度と会えるはずないって思いながらそれでもいつか会えたらって、ずっとそう思って生きてた。誰に抱かれててもアンタのこと考えて…アンタがあの時オレにくれた言葉思い出して…」
「ハボック…」
 小さな声でそう語るハボックをロイは目を見開いて見つめた。
「眠るとよくアンタの夢を見たっス…。あの時みたいにオレのことを優しく抱きしめてくれて、とっても幸せで、でも…目が覚めればオレはいつも薄汚いベッドで…」
「ハボックっっ!!」
 ロイはそれ以上聞いていられずにハボックの唇を乱暴に塞ぐ。舌を絡めて僅かに唇を離してハボックの瞳を見つめる。綺麗な空色の瞳がロイを見返して言った。
「これは夢じゃないっスか?目が覚めたらまたオレはあそこで――」
「夢なんかじゃない…っ」
 ロイはハボックの言葉を遮ってその体をギュッと抱き締める。金色に輝く髪に手を差し入れて引き寄せるとその耳元に囁いた。
「夢なんかじゃない…ハボック。私達はこれからずっと一緒にいるんだ。もう絶対に離さない、どこへも行かせない」
「マスタングさん…」
 ハボックはそう呼ぶとロイの胸に頬をすり寄せる。幸せそうに笑うと言った。
「も、死んでもいいっス…」
 そう呟けばロイがグイとハボックの髪を引く。小さな悲鳴を上げたハボックが涙の滲む目でロイを見上げれば黒い瞳が睨んできた。
「死なれてたまるか。やっとここまできたのに」
 ロイはそう言うとハボックの髪をかき上げる。
「言っただろう?絶対に離さない、どこへも行かせないと。お前は私のものなんだからな、勝手に死んだりしたら赦さない」
 そう告げればハボックが笑った。金色の髪を撫でると小さなクシャミをするハボックにキスを落とすとロイが言う。
「シャワーを浴びよう。このまま寝たら風邪をひきそうだ。それに」
 と、ロイはハボックの耳元に唇を寄せた。
「たくさん出してしまったからな」
「…っっ」
 露骨に言われてハボックは顔を真っ赤にして口をパクパクとさせる。ロイはクスクスと笑うとベッドから下りてハボックを抱き上げた。
「じ、自分で歩けますっ」
 慌ててもがくハボックにロイは言う。
「立てないだろう?無理するな」
 言われてハボックはまるで力の入らぬ下肢に気付いた。今まで身動きできないほど酷い抱かれ方をしたことはあったがこんな腰砕けのような状態になったのは初めてで、ハボックは仕方なしに紅く染まった顔をロイの胸に寄せると身を任せる。
「愛してる、ハボック…」
 ロイはそう囁いて口付けるとハボックを抱いて部屋を出た。


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