| 菫青石の恋 第三十八章 |
| ロイはハボックの肌に指を滑らせていく。その後を追うように唇を這わせればハボックの体がピクピクと震えた。肌の薄い脇腹を辿り臍の周りを廻ってさっき触れた胸の飾りへと辿り着く。そこは白い肌の中で紅く色づいてふたつの果実のように見えた。綺麗なそれを大切なものに触れるようにそっと唇に含む。舌先で潰したりこね回したりすれば、それは確かな弾力をもって押し返してきた。もう一方は指の腹で押しつぶすようにしてこねる。摘んだ指先の間で擦るようにこねればハボックの腰が揺れた。 「んっ…んんっ…」 ロイは暫くの間味わうように乳首を弄っていたが、やがてそれを離すと再びハボックの肌に唇を滑らせていく。時折キュッと吸い上げては白い肌に次々と花びらを散らしていった。 「アッ…ヤッ…いやっ」 ハボックは悲鳴のような声を上げると身を捩る。ロイの唇が触れるたび己のうちに生まれる熱が怖くてふるふると首を振った。その熱はいままでハボックが知っていたような即物的なものではなく、もっと心のうちから湧き出るような、じんわりと甘いもので、熾火のようにとろとろとハボックを内側から溶かしていくようだった。 「ンアッ…ふ…やだ…ヤダ…っ」 こんな甘ったるい感覚は知らない。いつだってハボックにとってのセックスは己を打ちのめす嵐であり、暴力でしかなかった。快楽はあったがそれは苦痛の延長でしかなく、ただその嵐が早く過ぎることを願い苦痛が少しでも和らぐことだけを考えて、男達の望むままに体を差し出すしかなかったのだ。 「ヤッ…こわ…いっ、怖いっ」 ロイが与える甘い感覚が怖くてハボックは泣きじゃくる。とろとろに溶けてしまいそうなそんな自分が怖くて、ハボックはその熱を与えている当の本人であるロイに縋りついた。 「ハボック…?」 しゃくりあげるハボックをロイは優しく抱き締める。怖がらせないよう、できるだけ優しく触れたつもりだったがそれでも怯えさせてしまったのだろうかと不安に感じながら、それでもロイは微笑んでハボックを見つめた。 「どうした…何が怖い?」 「だって…っ、溶けちゃう…っ」 体中が甘くて蕩けてしまいそうなのだと、途切れ途切れに囁くハボックにロイは僅かに目を瞠る。それから嬉しそうに笑うと深くハボックに口付けた。 「ぅんっ…んっ…ふ…」 合わさった唇の間からハボックの甘い声が零れる。ロイは手を滑らせるとハボックの肩といわず背といわず、体中を撫でた。 「マ、スタングさん…っ」 ロイの手が触れるたび震える体を止められない。涙に濡れた空色の瞳が縋るように自分を見つめるのにゾクゾクしながらロイは言った。 「蕩けてしまえばいい…とろとろに蕩けて身も心も私とひとつになってくれ…」 そう囁く声にハボックは目を瞠る。首筋をきつく吸われて悲鳴を上げた。ロイの手が、唇がハボックの体を滑る。全身が内側に焔を抱え込んで、ハボックは熱い吐息を吐いた。 「あ…ああ…」 快感に震えるハボックの中心にロイは手を滑らせる。すっかりと立ち上がってとろとろと蜜を零すそれをロイは手のひらに包み込むとゆっくりと扱き出した。 「やあっ…ああっ」 瞬く間に追い上げられてハボックはピクピクと体を震わせる。ロイはハボックに深く口付けると手の中のそれをきつく擦り上げた。 「ンッ…ンンン――――ッッ!!」 その刺激に耐え切れず、ハボックはロイの手の中に熱を放ってしまう。ハボックの上げた悲鳴を全て飲み込んでロイはゆっくりと唇を離した。 「あ…はあっはあっ」 荒い息を吐きながら濡れた瞳で見上げてくるハボックの頬にロイは軽く口付ける。手を口元に寄せると、ハボックの吐き出したものをぺろりと舐めた。 「…っ、マスタ…っっ?!」 自分が吐き出したものを口にするロイにハボックは仰天して声を上げる。慌ててその手を押さえると言った。 「やめてくださいっ!!そんな汚いもの…っ」 「汚い筈がないだろう」 「汚いっスよっ!ヤダッ、も…マジやめてっ!」 悲鳴交じりの声を上げて必死にやめさせようとするハボックを押さえつけてロイは指に舌を這わせる。見開く空色の瞳を見ると言った。 「お前のものはすべて私のものだ…この熱も…その綺麗な瞳も…唇も…髪も…」 ロイはそう呟くように言いながら空いている方の手を滑らせていく。熱を全て舐め撮ってしまうとロイはハボックの長い脚を掴んだ。グイと大きく開いてその奥で戦慄いている蕾を曝け出すと唇を寄せる。 「これも…私だけのものだ…」 そう囁いて舌を這わせる。ハボックの唇から悲鳴が零れてバタバタと暴れた。 「ヤダッ…ヤダァッ!!…やめっ…汚いっ、やめてっ!!」 奥まった箇所に濡れたものを感じて、ハボックは必死にロイを押し返す。ロイにそんなところを舐められているのだということにショックと羞恥に苛まれてハボックは泣きじゃくった。 「ヤ、アアンッ…イ、ヤッ…アアッ」 ハボックが必死に逃れようとするのをロイは押さえつけると更に舌を射し込む。両手の親指で押し開くようにして開くと舌を使って唾液を流し込んだ。 「ンゥッ…は…」 濡れた舌が這い回る感触に羞恥で意識が霞んでいく。中心は既に高々とそそり立ち、蜜を零して微かに震えていた。 「あ…ああ…っ」 その時、ロイの長い指がハボックの蕾に押し入ってくる。途端に体を強張らせるハボックにロイは顔を上げずに言った。 「大丈夫だ、お前を傷つけたりはしない…」 舌を這わせながらそう言う言葉が快感となってハボックの背筋を駆け上がっていく。 「ウッ…アッ」 ビクビクと震える脚を宥めるように撫でてロイは蕾をかき回した。グチグチと濡れた音が響き、ハボックの息遣いが荒くなる。密をたっぷりと含んだ袋をロイが唇に含めばハボックの体が跳ねた。 「ヤダァッ!」 ロイは指を増やして蕾をかき混ぜながら優しく袋を弄ぶ。唇で食むように挟み、舌で珠を転がせばしとどに蜜が溢れてきた。 「ア…ヒゥ…ッ」 執拗なほどに蕾を解され袋を愛撫される。ロイは今度はそそり立つ棹に舌を這わせるとその先端を舌でこね回した。 「は…うふ…んぅぅ…っ」 下肢に施される愛撫にもう、ハボックは全身から力が抜けきってしまった。今ではもう、抗うことも出来ずにただ熱い吐息を零しながらロイの与える快感に身を震わせるだけだ。じゅぶとロイがハボック自身を咥え込んでも、もうろくに抵抗も見せず、甘いため息を零した。 「あん…アアンンッ…ハアン…ッ」 じゅぶじゅぶと唇で擦り上げ、先端を舌先で割るように押し開く。片手で袋を揉みしだき、蕾をかき回せばハボックの体がビクビクと震えた。 「アッ…あ、ダメ…っ、出ちゃう…ッ」 こみ上げてくる射精感に快感に朦朧としていたハボックは、頭を振ると慌ててロイを押し返す。己の根元を指でギュッと押さえつければ、それに気付いたロイがハボックの手首を掴んだ。 「ヤダッ…は、なして…っ、出る…っ」 ロイの口の中に出すなどとても考えられなくて、ハボックは必死にもがく。だが、ロイはハボックの手を強引に外させると強く吸い上げた。 「…っ!!アッアアッッ!!」 一瞬躊躇うように震えて、だがもう耐え切れずにハボックの中心が熱を放つ。ロイは口内にドッと流れ込んできた青臭い液体をごくりと飲み干すと唇を離した。飲みきれずに唇の端から零れたものを指で掬うと舐める。息を弾ませながらロイを見つめたハボックは半泣きになって言った。 「ごっ、ごめんなさ…っ」 ロイの口の中に吐き出してしまったショックでハボックはボロボロと涙を零す。ロイはハボックの下肢を弄っていた手を離すとハボックに言った。 「どうして謝る?」 「だって…い、嫌でしょうっ、口の中に…っ」 自分もこれまで何度も男達の精を飲むことを強要されたが、何度やっても男のモノを咥えることも、その精を飲まされることも嫌で仕方がなかった。行為を強要されたその後は必ずと言っていいほど吐き気に襲われて胃の中の物を全て吐き出してしまったものだった。ロイは涙を零すハボックを抱き締めるとその耳元に囁いた。 「忘れてないか、私はお前を愛しているんだ」 そう言えば見つめてくる空色の瞳を見返してロイは言う。 「お前を気持ちよくさせてやりたいし、喘がせて快感に震える姿を見たい。私の手で、舌でイかせたい。快楽の果てに吐き出したものは全部私のものだ。全て飲み干して私の内に取り込みたい」 あからさまなロイの言葉にハボックの頬がみるみる内に染まっていく。そんなハボックの様子にロイはくすりと笑うと言った。 「愛してるんだ、ハボック。何もかも全部私の物にしたいんだ」 そう言えば真っ赤になったハボックは、何も言わずにギュッとロイにしがみ付いたのだった。 |
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